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キビ

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きびから転送てんそう
キビ
キビの
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ Angiosperms
階級かいきゅうなし : たん子葉しよう植物しょくぶつ Monocots
: イネ Poales
: イネ Poaceae
ぞく : キビぞく Panicum
たね : キビ P. miliaceum
学名がくめい
Panicum miliaceum
和名わみょう
キビ
英名えいめい
Proso millet
きび(精白せいはくつぶ[1]
100 gあたりの栄養えいよう
エネルギー 1,520 kJ (360 kcal)
70.9 g
食物しょくもつ繊維せんい 1.6 g
3.3 g
飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 0.44 g
一価いっか飽和ほうわ 0.56 g
あたい飽和ほうわ 1.78 g
11.3 g
ビタミン
チアミン (B1)
(30%)
0.34 mg
リボフラビン (B2)
(8%)
0.09 mg
ナイアシン (B3)
(25%)
3.7 mg
パントテンさん (B5)
(19%)
0.95 mg
ビタミンB6
(15%)
0.20 mg
葉酸ようさん (B9)
(3%)
13 µg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
2 mg
カリウム
(4%)
200 mg
カルシウム
(1%)
9 mg
マグネシウム
(24%)
84 mg
リン
(23%)
160 mg
鉄分てつぶん
(16%)
2.1 mg
亜鉛あえん
(28%)
2.7 mg
どう
(19%)
0.38 mg
セレン
(3%)
2 µg
成分せいぶん
水分すいぶん 13.8 g
不溶性ふようせい食物しょくもつ繊維せんい 1.6 g
ビオチン(B7 7.9 µg
%はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける
成人せいじん栄養えいよう摂取せっしゅ目標もくひょう (RDI割合わりあい

キビきびきび学名がくめい:Panicum miliaceum)は、イネいちねんくさで、穀物こくもつ一種いっしゅ五穀ごこくひとつとされる。

名称めいしょう

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キビの語源ごげんについては、一般いっぱんてきには『和訓わくんしおり』などが黄色きいろ(キミ)がてんじたものという[2]。しかし、『日本語にほんごげんがく』では(マキミ)のりゃく、『日本にっぽん古語こごだい辞典じてん』ではしょく(ケミ)の意味いみ、『日本語にほんごげんこう』ではまいべつおん(Ki-Mi)に由来ゆらいするとしており諸説しょせつある[2]

中国ちゅうごくの「きび」は『せつぶんかい』によると「黏(ねばり)あるもの」の意味いみがあり、本来ほんらいはもちきび(モチしゅ)を意味いみした[2]。「きび」は本来ほんらいはうるちきび(ウルチしゅ)を意味いみしたが、コウリャン高梁たかはし)を意味いみしたとするせつもある[2]

名称めいしょうかんしては、モロコシ(タカキビ)を「キビ」と地方ちほうでは、ほんたねを「コキビ」とぶ。サトウキビを「キビ」と地方ちほうもある。

原産げんさん伝播でんぱ

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原産地げんさんち

もっとふる栽培さいばい植物しょくぶつ一種いっしゅではあるが)植物しょくぶつがくてき起源きげん祖先そせん野生やせいしゅ)はあきらかでない[3]ひがしアジアから中央ちゅうおうアジアにかけての大陸たいりくせい気候きこう温帯おんたい地域ちいき原産地げんさんちかんがえられている[4]起源きげんかんするせつは、ユーラシア大陸たいりく起源きげんせつひがしアジア起源きげんせつがあるがはっきりしていない[5]

栽培さいばい

栽培さいばい地理ちりがくてき起源きげんについても諸説しょせつある[3]ヨーロッパ中央ちゅうおうアジア、インド中国ちゅうごくなど有史ゆうし以前いぜんからひろ栽培さいばいされていた[4]考古学こうこがくてき証拠しょうこ(エビデンス)としては、紀元前きげんぜん1まんねんころには中国ちゅうごく北部ほくぶ栽培さいばいおこなわれていたという証拠しょうこがある(Lu et al., 2009)[6]しん石器せっき時代じだい以来いらい人類じんるい食用しょくよう穀物こくもつで、中国ちゅうごく華北かほく地方ちほうでは、アワとともに古代こだい主要しゅよう穀物こくもつであった[7]

中国ちゅうごくではきび(うるちきび)は「ひゃくこくちょう」あるいは「五穀ごこくちょう」とされ神格しんかくされていた(べい(イネ)はいんしゅう時代じだいには華北かほくでは栽培さいばいされなかったためといわれている)[2]漢語かんごの「社稷しゃしょく」には国家こっか朝廷ちょうてい意味いみがある[2]

日本にっぽんへは、アワヒエイネなどよりもおそ渡来とらいしたとかんがえられている[4]。『万葉集まんようしゅう』にキビの記述きじゅつがあるとおり日本にっぽんではふるくからしたしまれており、童話どうわ桃太郎ももたろう』の作中さくちゅう登場とうじょうするキビダンゴ有名ゆうめいである[5]。なお、北海道ほっかいどう導入どうにゅうされたのは明治めいじになってからである[4]

なお、イネキビぞくやく470しゅ分布ぶんぷしており、これらのなか栽培さいばいされたのは3しゅで、ほんこうのキビ(Panicum miliaceum L.,)のほか、インド起源きげんのサマイ(P. sumatrense Roth.)およびメキシコ起源きげんのサウイ(P. sonorum Beal.)がある[3]

一方いっぽう亜種あしゅふくめ、世界せかいてきひろ分布ぶんぷする雑草ざっそうでもあり、雑草ざっそうてき系統けいとうから野生やせい系統けいとう区別くべつすることは容易よういでない[3]

特徴とくちょう

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いち年生ねんせい草本そうほん[3]なつからあきにかけてくきさきができてがる。姿すがたがイネにていることからイナキビともいう[2]大型おおがた円錐えんすい花序かじょ[2]しょうみのりはなみのるじつはなからなる[3]。穎果()のいろしろだいだいあかくろ褐色かっしょくなどがある[2]

栽培さいばいしゅ形態けいたいてき変異へんいおおきいが、草丈くさたけ1メートルから2メートル程度ていどになり、一般いっぱんてき初夏しょか播種はしゅしてあき収穫しゅうかくされる[3]ぶんげつはあまりしない[3]。アワと同様どうようウルチしゅ(ウルチ、ウル、うるち)とモチしゅ(モチ、もち)がある[4][5]

雑草ざっそうせいだつつぶせいつよく、きたアメリカのミシシッピーじょう流域りゅういきではつよがい雑草ざっそうになっている[3]。また、ヨーロッパ、ロシアから東部とうぶシベリアにかけ雑草ざっそうてき帰化きかしている[3]

栽培さいばい期間きかんが45日間にちかんみじかく、せた土地とちすくない水量すいりょうにも適応てきおう可能かのうなため、完全かんぜん定住ていじゅうしているわけではないはん遊牧民ゆうぼくみんでも栽培さいばい可能かのうである[8]

利用りよう

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野生やせいしゅおもにサバンナ地帯ちたい利用りようされており、野生やせいしゅ食糧しょくりょう飼料しりょう薬用やくようなどに利用りようされている[3]。また、栽培さいばいしゅとしては、ユーラシア大陸たいりくのほか、アフリカ、北米ほくべいオーストラリアでも栽培さいばいされている[3]とくにユーラシア大陸たいりく全域ぜんいきしん石器せっき時代じだいから文明ぶんめいささえてきた重要じゅうよう穀物こくもつである[3]

伝統でんとうてき穀物こくもつ調理ちょうりほうは、粒食りゅうしょく粉食ふんしょく粉食ふんしょくおよび飲物のみものけられる[3]

粒食りゅうしょく(めしやつぶかゆ)はおもひがしアジアからみなみアジアにみられる[3]。キビはべい一緒いっしょに1、2わり割合わりあいぜて炊飯すいはんすると、米飯べいはんよりもあまみとすこしのほろにがみがくわわる[9]古代こだい中国ちゅうごくくさ本書ほんしょ食物しょくもつ本草ほんぞう』によれば、「あじあま性質せいしつゆたかどくはない。えきし、脾臓ひぞうはたらきをたすける作用さようがある。」とある[9]。キビの独特どくとくあまみは、ひとによって「しつこいあじ」とひょうされる場合ばあいがあるが、豆類まめるい一緒いっしょむとまめ旨味うまみして「おいしい」に評価ひょうかわるともいわれており、相性あいしょう食材しょくざい一緒いっしょ調理ちょうりされることでおいしくべられる[9]

キビの挽粥やパンは中央ちゅうおうアジアやヨーロッパで調理ちょうりされている[3]

また、穀物こくもつのモチせい品種ひんしゅもちいたもちおこわなどはひがしアジアに特徴とくちょうてきものとなっている[3]きたてのモチきびをすりばちれてついたものは黄色きいろもちになり、それをまるめるときび団子だんごとなる[9]岡山おかやまけん吉備きび団子だんごも、元々もともときび団子だんご一種いっしゅで、そのとおきび原料げんりょうとしていた。吉備きびきび(キビ)の語呂合ごろあわせから吉備きび団子だんごかれるようになった。現在げんざいでは、きび使つかわずに白玉粉しらたまこなどでつくられることもおおい。桃太郎ももたろう伝説でんせつ登場とうじょうするキビダンゴはきびつくられた団子だんごであり、江戸えど時代じだい末期まっきになって登場とうじょうした吉備きび団子だんごではない。

キビは極東きょくとうではアルコール飲料いんりょう焼酎しょうちゅうなど)の原料げんりょうにするが、ヨーロッパではアルコール飲料いんりょうのみに利用りようされる[3][2]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 文部もんぶ科学かがくしょう、「日本にっぽん食品しょくひん標準ひょうじゅん成分せいぶんひょう2015年版ねんばんななてい
  2. ^ a b c d e f g h i j 松木まつき順子じゅんこ熊倉くまくらかつもと石橋いしばしあきら飼料しりょうがく(63)」『畜産ちくさん研究けんきゅうだい64かんだい3ごうやしなえ賢堂かしこどう、2010ねん3がつ、367-374ぺーじ 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 木俣きまた美樹みきおとこキビ Panicum miliaceum L. の栽培さいばい起源きげん」『国立こくりつ民族みんぞくがく博物館はくぶつかん調査ちょうさ報告ほうこくだい84かん国立こくりつ民族みんぞくがく博物館はくぶつかん、2009ねん3がつ31にち、205-223ぺーじ 
  4. ^ a b c d e たいら 宏和ひろかず雑穀ざっこくのポートレート』にしきぼう、2017ねん、4ぺーじ 
  5. ^ a b c はやし弘子ひろこ 1998, p. 94.
  6. ^ ScienceDirect, Proso Millet
  7. ^ 新編しんぺん 食用しょくよう作物さくもつ星川ほしかわ清親きよちか やしなえ賢堂かしこどう 昭和しょうわ60ねん5がつ10日とおか訂正ていせいだい5はん p353
  8. ^ Maris Fessenden (2016ねん1がつ7にち). “This Ancient Grain May Have Helped Humans Become Farmers”. Smithsonian Magazine. スミソニアン協会きょうかい. 2022ねん10がつ23にち閲覧えつらん
  9. ^ a b c d はやし弘子ひろこ 1998, p. 95.

参考さんこう文献ぶんけん

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  • はやし弘子ひろこ穀物こくもつをもっとたのしもう』晶文社しょうぶんしゃ、1998ねん6がつ30にちISBN 4-7949-6358-0 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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