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2001ねん宇宙うちゅうたび

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
2001ねん宇宙うちゅうたび
2001: A Space Odyssey
監督かんとく スタンリー・キューブリック
脚本きゃくほん スタンリー・キューブリック
アーサー・C・クラーク
原作げんさく アーサー・C・クラーク
製作せいさく スタンリー・キューブリック
出演しゅつえんしゃ キア・デュリア
ゲイリー・ロックウッド
ウィリアム・シルベスター
ダグラス・レイン
撮影さつえい ジェフリー・アンスワース
ジョン・オルコット
編集へんしゅう レイ・ラヴジョイ
配給はいきゅう メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
公開こうかい アメリカ合衆国の旗 1968ねん4がつ6にち
日本の旗 1968ねん4がつ11にち
イギリスの旗 1968ねん5がつ10日とおか
上映じょうえい時間じかん 142ふん
製作せいさくこく イギリスの旗 イギリス
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
言語げんご 英語えいご
製作せいさく $ 10,500,000 - 12,000,000
興行こうぎょう収入しゅうにゅう $146,000,000
配給はいきゅう収入しゅうにゅう 日本の旗 2おく6643まんえん[1]
つぎさく 2010ねん
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2001ねん宇宙うちゅうたび』(にせんいちねんうちゅうのたび、原題げんだい2001: A Space Odyssey)は、1968ねん叙事詩じょじしてきSF映画えいが製作せいさく監督かんとくスタンリー・キューブリック脚本きゃくほんはキューブリックとアーサー・C・クラーク

物語ものがたりはクラークが1951ねん発表はっぴょうした短編たんぺん小説しょうせつ「The Sentinel」(邦訳ほうやくばんタイトル「前哨ぜんしょう」)ほかの作品さくひんまえているが、直接的ちょくせつてきな「原作げんさく」はかった。 映画えいが公開こうかい発表はっぴょうされた「小説しょうせつばん」は、脚本きゃくほん同時どうじ進行しんこうかれた部分ぶぶんもあるとされるが、クラークは新編しんぺん序文じょぶんノベライズではないとべている。

実存じつぞん主義しゅぎ人類じんるい進化しんか科学かがく技術ぎじゅつ人工じんこう知能ちのう地球ちきゅうがい生命せいめいたい可能かのうせいなどをテーマに、未知みち存在そんざいモノリス発見はっけんした人類じんるいが、人工じんこう意識いしきつコンピューターHALとも木星もくせいかう航路こうろ勃発ぼっぱつした事件じけんえがいたサスペンス

1965ねんのアーサー・C・クラーク、ディスカバリーごううち撮影さつえい

様々さまざま評価ひょうかけていて、終末しゅうまつろん人類じんるい進化しんかほし知性ちせいたいへの応答おうとうなど、多岐たきにわたる。 従来じゅうらい映画えいが物語ものがたり手法しゅほうけ、台詞せりふ音楽おんがくだけのながいシークエンスがある。科学かがくてき正確せいかく惑星わくせいあいだ宇宙うちゅう航行こうこう描写びょうしゃ先駆せんくてき特殊とくしゅ効果こうか映像えいぞうしつつ、曖昧あいまい印象いんしょうあたえている。サウンドトラックには、リヒャルト・シュトラウスヨハン・シュトラウス2せいアラム・ハチャトゥリアンリゲティ・ジェルジュなどのクラシック音楽おんがく多数たすう使用しようされている。 アカデミーしょうでは4部門ぶもんにノミネートされ、キューブリックは視覚しかく効果こうか演出えんしゅつ受賞じゅしょうした。

1991ねん米国べいこく議会ぎかい図書館としょかんによって「文化ぶんかてき歴史れきしてき美学びがくてき重要じゅうよう」とみなされ、アメリカ国立こくりつフィルム登録とうろく簿保存ほぞんされることになった。もっと偉大いだいもっと影響えいきょうりょくのある映画えいが作品さくひんひとつとしてひろられている。

あらすじ

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人類じんるい夜明よあけ(THE DAWN OF MAN)

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公式こうしき映画えいが予告よこく動画どうが

人類じんるい文明ぶんめいきずく400まんねんまえ小説しょうせつばんでは300まんねんまえ)、ホモサピエンスの祖先そせんであるヒトザルが、荒野あらのえにくるしみながら生存せいぞん競争きょうそうたたかっていたころ。ある、ヒトザルたちのまえくろ石板せきばんのようななぞ物体ぶったいモノリス」が出現しゅつげんし、サルたちはおどろきながらもおそおそるそれにれる。やがて一体いったいのヒトザル(つきるもの)がモノリスの知能ちのう教育きょういくにより、動物どうぶつほね道具どうぐ武器ぶきとして使つかうことに目覚めざめ、ししたおしておおくのにくべられるようになる。ヒトザルたちは、みずじょうをめぐって対立たいりつするべつのヒトザルのれにもほね武器ぶきとして対戦たいせんし、てきのボスを殺害さつがいする。みずじょうあらそいに勝利しょうりした「つきるもの」が、よろこびのあまりこつそらげると、これがカットつなぎで一瞬いっしゅんにして最新さいしん軍事ぐんじ衛星えいせいわる(人類じんるい俯瞰ふかんするモンタージュとされる)[ちゅう 1]

モノリス

つき人類じんるい居住きょじゅう可能かのうになった時代じだいアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく宇宙うちゅう評議ひょうぎかいのヘイウッド・フロイド博士はかせは、つきティコクレーターで発掘はっくつされたなぞ物体ぶったいTMA・1」(Tycho Magnetic Anomaly, ティコ磁気じき異常いじょう1ごう)、通称つうしょうモノリス」(一枚岩いちまいいわ)を極秘ごくひ調査ちょうさするため、月面げつめんクラビウス基地きちかう。途中とちゅう宇宙うちゅうステーション5(小説しょうせつばんでは「宇宙うちゅうステーション1ごう」)でソ連それん科学かがくしゃたちに懇談こんだんするが、「クラビウス基地きち閉鎖へいさされているが、いったいなにきているのか」と質問しつもんされ、フロイド博士はかせ回答かいとうこばむ。

月面げつめん基地きちいたフロイド博士はかせは、会議かいぎしつ今回こんかい事態じたい重要じゅうようせいについて訓示くんじし、TMA-1の発掘はっくつ現場げんばかう。調査ちょうさちゅう、400まんねんぶりに太陽光たいようこうびたモノリスは、強力きょうりょく信号しんごう木星もくせい小説しょうせつばんでは土星どせい)にけてはっした。TMA-1は、あのヒトザルたちがつき到達とうたつするまでに進化しんかしたことをげるセンサーだった。

木星もくせい探査たんさ計画けいかく 18ヶ月かげつ(JUPITER MISSION)

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宇宙船うちゅうせんディスカバリーごう木星もくせい探査たんさ途上とじょうにあった。乗組のりくみいん船長せんちょうのデヴィッド・ボーマンとフランク・プール隊員たいいん出発しゅっぱつまえから人工じんこう冬眠とうみんなかの3にん科学かがくしゃと、史上しじょう最高さいこう人工じんこう知能ちのうHAL(ハル)9000がたコンピュータであった。

順調じゅんちょうすすんでいた飛行ひこう途上とじょう、HALはボーマン船長せんちょうに、この探査たんさ計画けいかく疑問ぎもんいていることける。その直後ちょくご、HALはふねのアンテナ部品ぶひん=AE35ユニットの故障こしょうげるが、ボーマンがユニットを回収かいしゅうして点検てんけんすると、問題もんだいつからなかった。HALの異常いじょううたがったボーマンとプールは、その思考しこう停止ていしさせることをめる。しかし、ふたりの密談みつだんを読唇して察知さっちしたHALが、それを阻止そししようと乗組のりくみいん殺害さつがい決行けっこうする。プールはふねがい活動かつどうちゅうにポッドに衝突しょうとつされて宇宙うちゅうふくこわされ、人工じんこう冬眠とうみんちゅうの3にん生命せいめい維持いじ装置そうちられてしまう。べつのポッドにってプールの救助きゅうじょかったボーマンは、遺体いたい回収かいしゅうしてもどるが、HALに入船いりふね拒絶きょぜつされ、くプールの遺体いたいはなし、ポッドのハッチを爆破ばくはしてエアロックに突入とつにゅうする。

唯一ゆいいつのこった乗員じょういんとなったボーマン船長せんちょうは、HALの思考しこう停止ていしさせるべく、ユニットをはずしていく。HALは助命じょめい嘆願たんがんかえすが、次第しだい知能ちのううしない、ついには「デイジー」のうたうたはじめ、録音ろくおんテープが失速しっそくするようにしてまる。すると、木星もくせい到着とうちゃく搭乗とうじょういん全員ぜんいん開示かいじされる動画どうが再生さいせいされ、探査たんさしん目的もくてきであるモノリスのけんをフロイド博士はかせかたる。

木星もくせい無限むげん彼方かなた(JUPITER AND BEYOND THE INFINITE)

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ディスカバリーごう木星もくせい衛星えいせい軌道きどう付近ふきん到達とうたつすると、ボーマンはちかくにかぶ巨大きょだいモノリスを発見はっけんする。ポッドにって接近せっきんしてくと、巨大きょだいモノリスは漆黒しっこくやみえ、そのあたりの空間くうかんからはっしたひかり奔流ほんりゅうがポッドをみ、めくるめく次元じげん光景こうけいつぎからつぎへとせてる。

やがて、閉鎖へいさされた王朝おうちょうふうしろ部屋へやにポッドごと到着とうちゃくすると、そこでボーマンは、年老としおいて自分じぶん自身じしん順々じゅんじゅん発見はっけんする。ついには老衰ろうすいしてベッドによこたわるボーマンのまえに、あのモノリスがあらわれ、かれがそれにかってべると、ひかりつつまれた胎児たいじ変貌へんぼうする。ボーマンは、人類じんるい超越ちょうえつした存在そんざい=スター・チャイルドへと進化しんかげた。

そして胎児たいじ太陽系たいようけいへともどり、地球ちきゅう見下みおろしながら、これから自分じぶんすべきことについておもいをめぐらせるのだった[ちゅう 2]

メカニック

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特筆とくひつしないかぎり、詳細しょうさい部分ぶぶんかんする記述きじゅつ小説しょうせつばん参考さんこうとしている。#小説しょうせつばん参照さんしょう

ディスカバリーごう復元ふくげんモデル
ディスカバリーごう
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく所属しょぞく宇宙船うちゅうせん。UNCOS登録とうろく番号ばんごう01/283、コールサイン「X-Ray Delta One(XD1)」。映画えいがばんでは「ディスカバリー1ごう」ともばれている。2001ねん時点じてんでは最高さいこうそく宇宙船うちゅうせんで、元々もともとは2ねんおよ木星もくせいへの有人ゆうじん往還おうかん飛行ひこう木星もくせい計画けいかく」のため建造けんぞうされたものだったが、TMA・1の発見はっけんともない、TMA・1がはっした電波でんぱさき調査ちょうさへと任務にんむ変更へんこうされた。なお、映画えいがばんと『2010ねん宇宙うちゅうたび』では目的もくてき木星もくせいのままであるが、小説しょうせつばんでは最終さいしゅうてき目的もくてき土星どせい衛星えいせいヤペタス変更へんこうされており、木星もくせいでは大気たいき探測たんそく投下とうか重力じゅうりょくによるスイングバイおこなうのみとなっている。
全長ぜんちょうは100m・120m・150mと諸説しょせつある(後述こうじゅつ)が、『2010ねん宇宙うちゅうたび』ではやく100mに設定せっていされた。船体せんたいまえから、居住きょじゅう区画くかくとなる半径はんけい6mのあずかあつ球体きゅうたいながさ90mほどの棒状ぼうじょう構造こうぞうぶつ原子げんしてい推力すいりょくプラズマ・ドライブからなる推進すいしんシステムのみっつで構成こうせいされている。その構造こうぞうじょう大気圏たいきけんないでの運用うんよう考慮こうりょされておらず、建造けんぞう地球ちきゅう軌道きどうじょうで、試験しけん飛行ひこう地球ちきゅう - 月間げっかんおこなわれた。乗員じょういんは5めいで、かれらにくわえて人工じんこう知能ちのうHAL 9000が搭載とうさいされている。なお、乗員じょういんのうち3めい目的もくてき到着とうちゃくするまで人工じんこう冬眠とうみんはいっている。
あずかあつ球体きゅうたい内部ないぶにはコントロール・デッキ、生命せいめい維持いじシステム、キッチン、トイレ、乗員じょういん5名分めいぶん私室ししつ人工じんこう冬眠とうみんカプセルなどが存在そんざいし、球体きゅうたい赤道せきどう部分ぶぶんおさめられた直径ちょっけい10.6mの遠心えんしんが10びょういちかい割合わりあい回転かいてんすることによって、地球ちきゅうの6ぶんの1ほどの人工じんこう重力じゅうりょく発生はっせいさせている。また、球体きゅうたい下部かぶには3つのエアロックゆうする格納庫かくのうこがあり、スペースポッド3格納かくのうされているほか小説しょうせつばんではセラミックせいとおるじょしきねつ遮蔽しゃへいざいによって防護ぼうごされたばくだんがた無人むじん大気たいき探測たんそくを2搭載とうさいしている。
棒状ぼうじょう構造こうぞうたい居住きょじゅう区画くかく推進すいしんシステムを連結れんけつするもので、中央ちゅうおう地球ちきゅうとの通信つうしんもちいられるパラボラがた長距離ちょうきょりメイン・アンテナが設置せっちされており、HALが故障こしょうすると予測よそくしたAE35ユニットはこのアンテナの指向しこうユニットである。このほか小説しょうせつばんではVがた配置はいちされた一対いっつい放熱ほうねつフィンと4液体えきたい燃料ねんりょうタンクを装備そうびしているが、映画えいがばんではこれらのもの見受みうけられない。
推進すいしんシステムは一種いっしゅ原子力げんしりょくロケットで、6のスラスターをゆうしているが、使用しようするのはつき軌道きどうから発進はっしんするさいのみで、通常つうじょう慣性かんせいによる航行こうこうおこない、原子げんし船内せんない電力でんりょく供給きょうきゅうなどに使用しようされるのみとなる。また、こまかい姿勢しせい制御せいぎょにはべつ制御せいぎょジェットを使用しようする。
小説しょうせつばんではディスカバリーごうたび片道かたみちのみであり、土星どせい軌道きどう到達とうたつして100にち探査たんさ活動かつどうえたのちには、乗員じょういんは5年間ねんかん人工じんこう冬眠とうみんによって今後こんご建造けんぞうされる同型どうけいせんディスカバリー2ごうによる回収かいしゅう予定よていであったが、『2010ねん宇宙うちゅうたび時点じてんでもディスカバリー2ごう完成かんせい状態じょうたいにあり、ディスカバリーごう調査ちょうさにはソ連それん宇宙船うちゅうせんコスモナウト・アレクセイ・レオーノフごうもちいられている。
スペースポッド
ディスカバリーごう搭載とうさいされているふねがい活動かつどうカプセル。搭乗とうじょうしゃ宇宙うちゅうふく着用ちゃくようする。おおまかな形状けいじょう直径ちょっけいやく2.7mの球体きゅうたいで、機体きたい前部ぜんぶ円形えんけいまどと4のライト、さらに「ウォルドー」ともばれるつい作業さぎょうようマニピュレーター装備そうびされている。マニピュレーターのうちいちつい重労働じゅうろうどうよう、もう一対いっつい精密せいみつ作業さぎょうようで、このほか各種かくしゅ工具こうぐゆうする伸縮しんしゅくしきのタレットだいそなわっている。また、推進すいしんはメイン・ロケット、姿勢しせい制御せいぎょ飛行ひこう姿勢しせい制御せいぎょノズルによっておこなう。
小説しょうせつばんではかくポッドに女性じょせいめいからなる愛称あいしょうけられており、ディスカバリーごう搭載とうさいされている3愛称あいしょうは「アナ」「ベティ」「クララ」となっている。
オリオン3がた宇宙うちゅう
地球ちきゅう軌道きどうじょう宇宙うちゅうステーション往還おうかん利用りようされるスペースプレーンつばさはばは60mほどで、映画えいがばんでは菱形ひしがたつばさ尾翼びよくだが、小説しょうせつばんでは後退こうたいつばさつとされている。映画えいがばんでは描写びょうしゃされていないが、機体きたい本体ほんたいである上段じょうだんとブースターである下段げだんふたつの部位ぶいから構成こうせいされており、下段げだん上昇じょうしょうちゅうはなされて自動的じどうてき発射はっしゃ基地きち帰投きとうする(映画えいがばんでは上段じょうだんのみ登場とうじょう)。また、げにはケネディ宇宙うちゅうセンター設置せっちされた、多重たじゅうレールを発射はっしゃ軌条きじょう使用しようされている。
乗客じょうきゃく定員ていいんは20めいで、さら操縦そうじゅうふく操縦そうじゅうスチュワーデス1めい搭乗とうじょうする。なお、宇宙うちゅう空間くうかんでは機内きない重力じゅうりょくとなるが、乗員じょういんからだ固定こてい方法ほうほう映画えいがばん小説しょうせつばんことなり、映画えいがばんではグリップシューズ[ちゅう 3]が、小説しょうせつばんではくつそこがカーペットとうように細工ざいくされたベルクロ・スリッパがもちいられている。
映画えいがばんではパンアメリカン航空こうくうによって運行うんこうされており[ちゅう 4]機体きたいにロゴマークがえがかれているほか操縦そうじゅうせきのコンソールにはIBMのロゴマークが見受みうけられる。また、小説しょうせつばんでは同種どうしゅ機体きたいとして、チトフ5がたスペースプレーンという機体きたい登場とうじょうしている。
宇宙うちゅうステーション5
地球ちきゅう - 月間げっかん中継ちゅうけいてんとして使用しようされている宇宙うちゅうステーション。上記じょうき名称めいしょう映画えいがばんのもので、小説しょうせつばんでは「宇宙うちゅうステーション1ごう」となっている。直径ちょっけい300mのリングがふたわさった形状けいじょうをしており、じく部分ぶぶんにドッキング・アームをゆうする開口かいこうゆうしている。リングいち分間ふんかんいちかいころがし、遠心えんしんりょくによる人工じんこう重力じゅうりょくしている。なお、宇宙うちゅうがステーションない進入しんにゅうするさい映画えいがばんでは宇宙うちゅうがわがステーションの回転かいてん姿勢しせいをシンクロさせているが、小説しょうせつばんではじく部分ぶぶんがリングとはぎゃく方向ほうこう回転かいてんし、相対そうたいてき回転かいてんしている。また、映画えいがばんではいまだ建造けんぞう途中とちゅうでリングのひとつは部分ぶぶんてき骨組ほねぐみがしである。
宇宙うちゅうステーション内部ないぶはいさいには声紋せいもん識別しきべつ装置そうちそなえた検問けんもんこう通過つうかする。なお、この検問けんもんこうはアメリカ管区かんく、ロシア管区かんく日本にっぽん管区かんくなどにかれているが、これはじゅん行政ぎょうせいてき区分くぶんでありステーション内部ないぶにこのよう区分くわけはい。
リングのえんには旅客りょかくラウンジがあり、ソファ、しょうテーブル、公衆こうしゅうテレビ電話でんわレストラン郵便ゆうびんきょく理髪りはつてんドラッグストア映画えいがかんみやげもの売店ばいてんなどがもうけられているほか映画えいがばんではヒルトンホテルAT&Tハワード・ジョンソンズなどといった実在じつざい企業きぎょうがブースを出店しゅってんしている。
アリエス1Bがたがつシャトル
宇宙うちゅうステーションと月面げつめん往還おうかんもちいられる宇宙船うちゅうせん。「宇宙うちゅう荷馬にうま」という渾名あだなつ。船体せんたい球形きゅうけいをしており、着陸ちゃくりく上面うわつらになる部位ぶい操縦そうじゅうせきを、下面かめんに4ほん着陸ちゃくりくようショック・アブソーバーそなえている。
船内せんないには座席ざせき円形えんけい配置はいちされた定員ていいん30めい旅客りょかくセクションや重力じゅうりょくトイレがあり、乗客じょうきゃく乗員じょういんはオリオン3がた同様どうように、映画えいがばんではグリップシューズ、小説しょうせつばんではベルクロ・スリッパを着用ちゃくようしている。また、小説しょうせつばんにはトイレの描写びょうしゃがあり、遠心えんしんりょく地球ちきゅうの1/4ほど人工じんこう重力じゅうりょく発生はっせいさせてからようすようになっている。
ロケット・バス
月面げつめんじょうでの移動いどう使用しようされている小型こがた宇宙船うちゅうせん映画えいがばんのみの登場とうじょう形状けいじょうはそのとおりバスに類似るいじしている。乗員じょういんすうめい程度ていどで、船体せんたい下部かぶに6のスラスターと3着陸ちゃくりくあしを、船体せんたいりょうわきにエアロックをゆうしている。
小説しょうせつばんでの同様どうようのシーンでは、8のフレックス車輪しゃりん大型おおがた月面げつめんしゃ登場とうじょうしている。こちらの乗員じょういんは20めい移動いどう研究所けんきゅうじょてき性格せいかくち、緊急きんきゅうには4下部かぶロケットをもちいて跳躍ちょうやくすることも可能かのう
ディスカバリー2ごう
調査ちょうさえた船員せんいんたち帰還きかんさせるふね、5ねん到着とうちゃく予定よていだった。

キャスト

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役名やくめい 俳優はいゆう 日本語にほんご吹替
テレビ朝日てれびあさひはん
追加ついか録音ろくおん部分ぶぶん[2]
デヴィッド・ボーマン船長せんちょう キア・デュリア[ちゅう 5] ほり勝之かつゆきゆう
フランク・プール ゲイリー・ロックウッド 小川おがわ真司しんじ
ヘイウッド・R・フロイド博士はかせ ウィリアム・シルベスター 小林こばやし昭二しょうじ
大場おおば真人まさと
アンドレイ・スミスロフ レナード・ロシター英語えいごばん 坂口さかぐちかおるさだ
ラルフ・ハルバーセン ロバート・ビーティ英語えいごばん 大木おおき民夫たみお
ミラー ケヴィン・スコット(クレジットなし) ばんおさむ
HAL 9000こえ ダグラス・レイン 金内かなうち吉男よしお
木下きのした浩之ひろゆき
つきるもの(ヒトザル) ダニエル・リクター
エレナ マーガレット・タイザック英語えいごばん
ビル・マイケルズ ショーン・サリヴァン英語えいごばん
作戦さくせん管制かんせいかんこえ フランク・ミラー
月面げつめんシャトル船長せんちょう エド・ビショップ
プールのちち アラン・ギフォード英語えいごばん
プールのはは アン・ギリス英語えいごばん
アン(フロイドのむすめ ビビアン・キューブリック英語えいごばん[ちゅう 6](クレジットなし)
(スタントマン) ビル・ウェストン(クレジットなし)
不明ふめい
その
木下きのした秀雄ひでお
山内やまうち雅人まさと
松下まつした達夫たつお
瀬能せのう礼子あやこ
遠藤えんどう由香里ゆかり
近藤こんどう高子たかこ
横尾よこおまり
上山うえやま則子のりこ
坂井さかい志満しま
大滝おおたき進矢しんや
世古せこまる
久保田くぼた健介けんすけ
日本語にほんごばんスタッフ
演出えんしゅつ 佐藤さとう敏夫としお
佐藤さとう敏夫としお
翻訳ほんやく 木原きはらたけし字幕じまく 飯嶋いいじまえいあきら
効果こうか PAG
調整ちょうせい 前田まえだひとししん
制作せいさく 東北新社とうほくしんしゃ
ACクリエイト
解説かいせつ 淀川よどがわ長治ながはる
初回しょかい放送ほうそう 1981ねん10月25にち
日曜にちよう洋画ようが劇場げきじょう
21:00-23:44
  • 当時とうじ日曜にちよう洋画ようが劇場げきじょう』で解説かいせつつとめていた淀川よどがわ長治ながはるは、放送ほうそうされたバージョンがキューブリック自身じしんがテレビ放送ほうそうようさい編集へんしゅうし「これ以上いじょういじっては(編集へんしゅうしては)いけない」という指示しじしたものであるというむね説明せつめいしている。なおくわえて淀川よどがわは「完璧かんぺきなノーカット」とべているが、実際じっさいにはフロイド博士はかせ最初さいしょにミラーをつけて「ああ、たな」とうシーンなど、こまかくカットされている箇所かしょ存在そんざいしている。
      • 2016ねん12月29にちWOWOW放送ほうそうされるさいほん放送ほうそうにカットされたいち箇所かしょさい放送ほうそうにカットされたさん箇所かしょについて音声おんせい追加ついか録音ろくおんしたもの放送ほうそうされた。そのさい故人こじん声優せいゆう担当たんとうしていた箇所かしょべつ声優せいゆう代役だいやくつとめている[2]
      • 2018ねん11月21にち発売はつばいのHDリマスターばんBDには、上記じょうきのWOWOWで放送ほうそうされた追加ついか録音ろくおんばん収録しゅうろく

スタッフ

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作品さくひん解説かいせつ

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1964ねん公開こうかいされた「Dr.StrangeLove」(邦題ほうだい博士はかせ異常いじょう愛情あいじょう)でこう評価ひょうかたキューブリックは「宇宙うちゅうじん東京とうきょうげんわる」(1956ねん)に触発しょくはつされ[3]科学かがくノンフィクションをあさり、さらに意欲いよくてきな”かたぐさになるような良質りょうしつ空想くうそう科学かがく映画えいが作品さくひん”の構想こうそうっていた。アーサー・C・クラークとたがいのあたまなか知識ちしきをやりりし、ファーストコンタクトを題材だいざいとした映画えいが制作せいさく小説しょうせつけん脚本きゃくほん)の並行へいこう作業さぎょうというかたちはなしまり、クラークはホテル・チェルシー1008ごうしつにて執筆しっぴつりかかる。

撮影さつえい1965ねん12月30にち開始かいしし、イギリスのMGM-British Studios(ボアハムウッド)を中心ちゅうしん拠点きょてんにしてすすめられた。よく1966ねん5がつまでに俳優はいゆう演技えんぎシーンをえたが、SFXシーンの完成かんせいまでさらに1ねんはん以上いじょうついやした。製作せいさく予定よていの600まんドルをおおきく超過ちょうかし1050まんドルにたっした。

映画えいがは70mmシネラマ規格きかく制作せいさくされた。キューブリックは映像えいぞう表現ひょうげんにシネラマスクリーンでの上映じょうえい効果こうか最大限さいだいげんねらっている。視覚しかく効果こうかでは「Dr~」でB-52の特撮とくさつ担当たんとうしたウォーリー・ビーバーズのほか、ダグラス・トランブル、コン・ペダースン、トム・ハワードなどしょう人数にんずうしかクレジットされていないが、実際じっさいには巨大きょだいなプロジェクトであり、視覚しかく効果こうかデザインのうえ科学かがく考証こうしょうおおくの科学かがくしゃ研究けんきゅうしゃ参加さんかしているうえ撮影さつえいでも10ねんてイギリスで特撮とくさつチームをひきいることになるブライアン・ジョンソン(『エイリアン』12)、ゾラン・ペリシック(『スーパーマン』)、マット合成ごうせい担当たんとうしたリチャード・ユリシッチをふくむデザイナー、撮影さつえい現像げんぞう合成ごうせい、アニメーションのスペシャリストが多数たすう参加さんかしている。

ディスカバリーごう乗員じょういんたちべる宇宙うちゅうしょくは、NASA実際じっさい開発かいはつしてほんさくのために提供ていきょうしたものである。またほんさく登場とうじょうするコンピュータの設定せってい画面がめんはIBMが全面ぜんめん協力きょうりょくしており、当初とうしょ随所ずいしょ同社どうしゃのロゴがあしらわれていたとされる。ただ制作せいさくちゅうに「コンピュータが人間にんげん殺害さつがいする」というストーリーであることが判明はんめいしたため難色なんしょくしめした同社どうしゃ制作せいさく途中とちゅうからき、ロゴもすべて除去じょきょされた[ちゅう 8]という通説つうせつ有名ゆうめいになっている[ちゅう 9]。アリエス1Bがた計器けいきばんおよびディスカバリーごう乗員じょういん着用ちゃくようする宇宙うちゅうふく左腕さわんコンソールにのこされたIBMロゴが確認かくにんできる。

当初とうしょキューブリックは美術びじゅつ担当たんとうとして漫画まんが手塚てづか治虫おさむ協力きょうりょくあおいだが、当時とうじ手塚てづか連載れんさい漫画まんがほかに、連続れんぞくテレビアニメの制作せいさく原稿げんこう多数たすうかかえ、日本にっぽん国外こくがいでの映画えいが制作せいさくたずさわることは物理ぶつりてき不可能ふかのうであったため、オファーをことわった。「200めいもの人間にんげんわせなければならないので」云々うんぬん主旨しゅし返信へんしんおくると、キューブリックは「家族かぞくが200にんもいるのか?!」と驚嘆きょうたんしたという[4]手紙てがみ自体じたい紛失ふんしつしてしまったが、封筒ふうとう写真しゃしん手塚てづかのエッセイほん掲載けいさいされている。

脚本きゃくほん

[編集へんしゅう]

キューブリックが、「クズとなされない最初さいしょのSF映画えいが」であり、「宇宙うちゅうにおけるヒトの位置いちえが映画えいが」を企画きかくをたてた1964ねんに、当初とうしょアーサー・C・クラークの『幼年ようねんおわ』の映画えいが構想こうそうしたが、すでに映画えいがけん他社たしゃにより取得しゅとくされていた[5]

その経緯けいいもあり、キューブリックは共同きょうどうでの物語ものがたりづくり、科学かがく考証こうしょう共同きょうどう脚本きゃくほんなどをクラークに依頼いらいをした[6]当初とうしょ、キューブリックはラジオドラマ『太陽たいようめんかげ』をもとにした地球ちきゅう侵略しんりゃくぶつ提案ていあんしていたが、クラークが、人類じんるい進化しんかえがき、宇宙うちゅうへの進出しんしゅつほしじんとのコンタクトでその進化しんかがクライマックスにたっする物語ものがたり提案ていあんした[7]

クラークはすでに、宇宙うちゅうじん人類じんるいのファーストコンタクトをえがいた小説しょうせつ前哨ぜんしょう』を1948ねん発表はっぴょうハヤカワ文庫ぶんこ同名どうめい短編たんぺんしゅうなどに収録しゅうろく)のほか地球ちきゅうへの遠征えんせいとうほか4へん短編たんぺん小説しょうせつ下敷したじきにしてプロットをげて執筆しっぴつした。のちにクラークが発表はっぴょうした『うしなわれた宇宙うちゅうたび2001』によると、キューブリックとクラークがアイデアをい、ずはクラークが「小説しょうせつ」としてアイデアをまとめあげ、そのキューブリックが脚本きゃくほん執筆しっぴつしている。

題名だいめい仮題かだいとして『太陽系たいようけいはこうしてられた』から『宇宙うちゅう』、『ほし々へのトンネル』、『ほしからのおくもの』、『ほしのかなたへのたび』とかわり、最終さいしゅうてきに『オデュッセイア』との共通きょうつうてんもありキューブリックの決断けつだん現在げんざい題名だいめいわった[8]

撮影さつえい技術ぎじゅつ

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オープニングなどではモンタージュ駆使くしされた[よう出典しゅってん]カメラマン出身しゅっしん撮影さつえい技術ぎじゅつけたキューブリックは、SFX撮影さつえいスタッフとともに「フロントプロジェクション」や「スリットスキャン(スリットしに被写体ひしゃたいを、シャッターがひらいた状態じょうたい撮影さつえいする技術ぎじゅつ)」といったあらたな撮影さつえい方法ほうほう考案こうあんした[よう出典しゅってん]

宇宙うちゅう空間くうかんでは大気たいき存在そんざいせず、とおくの物体ぶったい鮮明せんめいえることから、カメラのレンズを極限きょくげんまでしぼみ、それによって不足ふそくした光量ひかりりょうおぎなうために1フレームに4びょう以上いじょうちょう低速ていそく撮影さつえい使用しようされている。

作中さくちゅう宇宙船うちゅうせんのコンソールとう各所かくしょワイヤーフレームによる3次元じげんコンピュータグラフィックスふう映像えいぞうまれているが、それらはすべ実物じつぶつのコンピュータグラフィックスではなく、計算尺けいさんじゃく計算けいさんして手作業てさぎょうえがいたアニメーションや、針金はりがねつくったワイヤーフレームふう立体りったいモデルを撮影さつえいした映像えいぞうなどがもちいられている(Sketchpadなど、まだ実物じつぶつのコンピュータグラフィックスは研究けんきゅうしつ時代じだいであった)。

キューブリックは飛行機ひこうき恐怖症きょうふしょうのためさるじんたちのシーンをアフリカでは撮影さつえいできず、撮影さつえいはんをアフリカにおくってだい面積めんせきスチル写真しゃしん撮影さつえいし、スタジオでフロント・プロジェクションを使つかった合成ごうせいおこなっている。スターゲートの映像えいぞうなかには色彩しきさい加工かこうされたモニュメント・バレーそらつまみ映像えいぞうふくまれており、アメリカでおこなわれるプレミアのため、キューブリックはアメリカにかうふねなか編集へんしゅう作業さぎょうおこなった。

フロント・プロジェクションの導入どうにゅうはまだ一般いっぱんてきではなかったが、1963ねん邦画ほうが『マタンゴ』(監督かんとく:本多ほんだいの四郎しろう)でも採用さいようしている。キューブリックは完璧かんぺきもとめるため、3Mしゃとも協力きょうりょくして効果こうかてき鮮明せんめい撮影さつえいおこなった。先進せんしんてきみであったが、画像がぞうるとそら部分ぶぶん刷毛はけったようなあとえている。

画像がぞう合成ごうせい簡略かんりゃくはかったため、どの宇宙船うちゅうせん宇宙うちゅうかぶ地球ちきゅうつき木星もくせい画面がめんない滅多めった横切よこぎらない。

ほん映画えいが登場とうじょうする地球ちきゅう姿すがた実際じっさいより青白あおじろくなっている。これは撮影さつえい当時とうじ大気圏たいきけんがいからの地球ちきゅう姿すがたったカラー写真しゃしんが1954ねん10がつ5にちにエアロビーRTV-N-10bにより撮影さつえいされた高度こうど257kmからの117まいモザイク写真しゃしんと1965ねん3がつ18にちにボスホート2ごう地球ちきゅう衛星えいせい軌道きどうから撮影さつえいしたものしか存在そんざいしなかったからである(はつ地球ちきゅうぜんたま写真しゃしんはジョンズ・ホプキンス大学だいがく応用おうよう物理ぶつり研究所けんきゅうじょのDODGEにより1967ねん9がつ20日はつか撮影さつえいされ同年どうねん11がつ10日とおか発表はっぴょうされたがこの写真しゃしん映画えいが制作せいさくにはわなかった)。ほん映画えいが登場とうじょうした地球ちきゅういろはボスホート2ごう撮影さつえいした地球ちきゅういろとよくている。

小説しょうせつばんでは土星どせいだが特撮とくさつ土星どせい制作せいさくするもののキューブリックが納得なっとくできる基準きじゅんたなかったためほんさくでは木星もくせい設定せってい変更へんこうされた。

ほんさく使用しようされた宇宙船うちゅうせん模型もけい作品さくひんへの流用りゅうようふせぐため、キューブリックの指示しじ図面ずめんふくめて廃棄はいき処分しょぶんされたことから資料しりょうすくなく、舞台ぶたいとなるディスカバリーごうでも撮影さつえい使つかわれた模型もけい全長ぜんちょうが57フィートと54フィートのせつがあり、左側ひだりがわめん資料しりょう存在そんざいしないなど不明ふめいてんおおい。2018ねん10がつ25にちには海洋かいようどう研究けんきゅうしょ写真しゃしんなどからディテールを補完ほかんした1/10スケールモデルの受注じゅちゅう生産せいさん開始かいししたさいには54フィートせつ採用さいようした[9]。なお『2010ねん』の撮影さつえいたっては『2001ねん』の映像えいぞう参考さんこうやく100mと設定せっていされた模型もけい新規しんき作成さくせいされた。現存げんそんするのはアリエス1Bがたがつシャトルのみであり、アメリカ映画えいが芸術げいじゅつアカデミーが所有しょゆうしている。

音楽おんがく

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それまでのSF映画えいがでは未来みらいてきイメージの電子でんし音楽おんがくなどがもちいられることがおおかったが、とう作品さくひん映画えいがばんでは、ぜんへんにわたってクラシック音楽おんがく名高なだか楽曲がっきょく数多かずおおもちいられている。

音楽おんがく選定せんていするのにあたり監督かんとくはスタッフにたいしていろいろなジャンルのレコードをあつめさせたが、そのとき指示しじとしては「ミュジーク・コンクレートのようなゴミはいらない」との指示しじしている[10]

ジェルジ・リゲティには一切いっさい映画えいがについての説明せつめい承諾しょうだくもないまま、かれきょくを4きょく採用さいようした。リゲティが印税いんぜいったのは、1990ねんころになってからだという。

なお、(1)メインタイトル、(2)「人類じんるい夜明よあけ」、(3)ラストと合計ごうけい3かい使つかわれている『ツァラトゥストラはかくかたりき』の演奏えんそうヘルベルト・フォン・カラヤン指揮しきウィーン・フィルハーモニー管弦楽かんげんがくだんデッカ・レコード録音ろくおんばんだが、デッカ(1968ねん当時とうじ日本にっぽん国内こくないではロンドン・レーベル)が演奏えんそうしゃめいさないことを許諾きょだく条件じょうけんとしたので、映画えいがのエンド・クレジットでは曲名きょくめいしか表示ひょうじされていない。

終盤しゅうばんボーマン船長せんちょう年齢ねんれいかさねていくシーンでは、BGMに『南極なんきょく交響曲こうきょうきょく』を使用しようしたバージョンもつくられた。

入場にゅうじょうきょく」および休憩きゅうけい間奏かんそうきょく」の『アトモスフェール』、「退場たいじょうきょく」の『うつくしくあおきドナウ』は、映像えいぞうソフトでは1989ねん発売はつばいクライテリオンはんLD-BOX[11]まではカットが慣例かんれいしており、休憩きゅうけいのクレジット自体じたい初期しょき映像えいぞうソフトではカットされていた。

使用しようされた音楽おんがく

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  • 上映じょうえいまえの「入場にゅうじょうきょく」および休憩きゅうけいの「間奏かんそうきょく」(リヴァイヴァルではくろあじのまま映写えいしゃ)にはジェルジ・リゲティの『アトモスフェール』。
  • メイン・タイトルにはリヒャルト・シュトラウス交響こうきょうツァラトゥストラはかくかたりき』の導入どうにゅう
  • ヒトザルたちがモノリスに遭遇そうぐうする場面ばめんでのリゲティの『ソプラノ、メゾ・ソプラノ、2つの混声こんせい合唱がっしょう管弦楽かんげんがくのためのレクイエム』。
  • ヒトザルがほね武器ぶきにすることに目覚めざめるシーンでは、ふたたびリヒャルト・シュトラウスの『ツァラトゥストラはかくかたりき』導入どうにゅう
  • シャトルと宇宙うちゅうステーションとのドッキング場面ばめんヨハン・シュトラウス2せい円舞曲えんぶきょくうつくしくあおきドナウ』。
  • アリエス1Bがたつきかう場面ばめんふたたびヨハン・シュトラウス2せいうつくしくあおきドナウ』。
  • 月面げつめんをムーンバスが低空ていくう飛行ひこうする場面ばめんでのリゲティの『ルクス・エテルナ永遠えいえんひかりを)』。
  • フロイド博士はかせらが発掘はっくつされたモノリスを場面ばめんでは、ふたたびリゲティの『レクイエム』。
  • ディスカバリーごう木星もくせいかう途上とじょうでのアラム・ハチャトゥリアンの『ガヤネー』(ガイーヌ)から「アダージョ」。
  • BBCのニュースのオープニングとして使つかわれたのはシドニー・トーチの『オフ・ビート・ムーズ』。
  • HAL9000が乗員じょういん会話かいわを読唇したところで休憩きゅうけいはいり、リゲティの『アトモスフェール』がふたたながれる。
  • 意識いしきがうすれつつあるHAL9000が「デイジー・ベル」(作詞さくし作曲さっきょくハリー・ダクレ、1892ねん)をうたう(1961ねんベル研究所けんきゅうじょのチームが電子でんし計算けいさんでの音声おんせい合成ごうせいによる歌唱かしょう世界せかいはじめて実演じつえんしたときのきょくが「デイジー・ベル」であったことにちなむ。そのデモをクラークも見学けんがくしていた。)。
  • 木星もくせいちか空間くうかんをモノリスが浮遊ふゆうしている場面ばめんでは、みたび、リゲティの『レクイエム』。
  • 木星もくせい空間くうかんからのめくるめく次元じげんへの突入とつにゅうにはリゲティの『アトモスフェール』。
  • ボーマン船長せんちょう到着とうちゃくしたしろ部屋へやではリゲティの『アヴァンテュール』など。
  • ラストのスターチャイルドが地球ちきゅう見下みおろす場面ばめんでは、みたび、リヒャルト・シュトラウスの『ツァラトゥストラはかくかたりき』導入どうにゅう
  • エンド・クレジットおよびそのの「退場たいじょうきょく」にはヨハン・シュトラウス2せいの『うつくしくあおきドナウ』。

使用しようとなった音楽おんがく

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キューブリックは当初とうしょ自分じぶん監督かんとく作品さくひんスパルタカス』の音楽おんがくがけたアレックス・ノース作曲さっきょく依頼いらいし、前半ぜんはん部分ぶぶんまで完成かんせいしたスコアの録音ろくおんまで完了かんりょうしていた(この最中さいちゅうにノースは過労かろうたおれてしまった)。しかしそれ以降いこう一切いっさい連絡れんらくもないままノースの音楽おんがくぼつにし、リヒャルト・シュトラウスなどの音楽おんがくえてしまう。ノースがそのことをったのは、試写ししゃかい会場かいじょうであった。ノースはこれに激怒げきどし、訴訟そしょう寸前すんぜんにまでいたった。ノースの死後しご友人ゆうじんジェリー・ゴールドスミスぼつになったかれ音楽おんがく録音ろくおん[12]し、1993ねん10がつ12にちヴァレーズ・サラバンド・レコーズから『Alex North's 2001 』(VSD-5400)としてCD発売はつばいした[ちゅう 10]日本にっぽんでも『2001ねん〜デストロイド・ヴァージョン〜』(1993ねん12月1にち発売はつばい、サウンドトラック・リスナーズ・コミュニケーションズ(SLC)、SLCS-5021)のタイトルで発売はつばいされている。

さらに、1968ねん録音ろくおんされたアレックス・ノースのオリジナル・スコアのマスターテープが発掘はっくつされ、2007ねん1がつ26にちIntrada Records より『Music for 2001: A Space Odyssey (The Original Score by Alex North) 』としてCDされ[13]、3000セット限定げんてい発売はつばいされた。

[ちゅう 11]

難解なんかいとされるラストシーンの解釈かいしゃく

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ボーマン船長せんちょうたびのストーリーの結末けつまつをどうするのか、ラストシーンは脚本きゃくほん草稿そうこう段階だんかいで、アーサー・C・クラークによって『ボーマンがほし宇宙船うちゅうせんかたわらにっている』や『しんじられないほど優美ゆうびなヒューマノイドと出会であ旅立たびだっていく』など複数ふくすうのパターンが監督かんとくのキューブリックに提案ていあんされたが、いずれもキューブリックの納得なっとくのいくものではなく、いくつものアイデアが却下きゃっかされた。 『なんかいなおし、なんかいまったか、かぞえることもできない。かなりんでいる』と当時とうじ状況じょうきょう著書ちょしょうしなわれた宇宙うちゅうたび 2001』のなかでクラークはいている。最終さいしゅうてきには『ボーマンが子供こども逆行ぎゃっこうし、結末けつまつではあかんぼうとなって軌道きどうじょうかぶ』というアイデアが採用さいようされることに帰着きちゃくした。 クラークの小説しょうせつ『2001ねん 宇宙うちゅうたび』では結末けつまつは『モノリスから、人間にんげんふくおおくの種族しゅぞく誕生たんじょうしたのだ』となっている。これはつまり、「究極きゅうきょく進化しんかした地球ちきゅうがい生命せいめいたいの“遺物いぶつ”であるモノリスにより、人間にんげん太古たいこむかしより進化しんかをしてきたが、今度こんど人間にんげんが(ボーマン船長せんちょうが)肉体にくたいはなれて精神せいしんのみの生命せいめいたいへとさらなる進化しんかをする。宇宙うちゅうにいるおおくの種族しゅぞくがそうして進化しんかをしてきたように、人類じんるいもようやくその仲間入なかまいりをし、宇宙うちゅう一部いちぶになったのだ。それが地球ちきゅうがい生命せいめいたい目的もくてきだった」という結末けつまつであり、それを「宇宙うちゅう空間くうかん胎児たいじ姿すがた浮遊ふゆうする」というビジュアルで表現ひょうげんしたものであった。 そののボーマンの“エネルギー生命せいめいたい”としてのストーリーは、続編ぞくへん小説しょうせつ『2010ねん 宇宙うちゅうたび』、『2061ねん 宇宙うちゅうたび』、『3001ねん 終局しゅうきょくへのたび』へとつづく。ちなみに、モノリスの主人しゅじんである地球ちきゅうがい生命せいめいたいは、『3001ねん 終局しゅうきょくへのたび』では、すうひゃく光年こうねん彼方かなた存在そんざいするとしている。 当初とうしょクラークは、難解なんかいなストーリーの内容ないよう観客かんきゃくへの理解りかいうながすために、映画えいが全編ぜんぺんにわたって説明せつめいようのナレーションを多数たすうげており、脚本きゃくほんにはナレーションが記載きさいされているが、映画えいがではそれらはまった使つかわれることはなかった。「言葉ことば説明せつめいをしてしまうと、せっかくの未知みち世界せかいとの遭遇そうぐうが、陳腐ちんぷなものになってしまうから」とキューブリックは判断はんだんしたのだ。しかし、ラストシーンをふくめ、それでも、映像えいぞうだけでこの本来ほんらいのストーリーを解釈かいしゃくするには、説明せつめい不足ふそくかんいなめない。映画えいが以外いがい資料しりょう参照さんしょうして、はじめて物語ものがたり起承転結きしょうてんけつ理解りかいできる[よう出典しゅってん]

公開こうかい

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当初とうしょ予定よてい1966ねんから1ねん4かげつおくれ、アポロ11ごう月面げつめん着陸ちゃくりくたす前年ぜんねん1968ねん公開こうかいされた。ワールドプレミアは1968ねん4がつ2にちワシントンD.C.アップタウン劇場げきじょうおこなわれた。アメリカでの一般いっぱん公開こうかいは1968ねん4がつ6にちイギリスでの公開こうかいは1968ねん5がつ15にちだった。度々たびたびさい公開こうかいされており、2014ねん11月イギリスでのさい公開こうかいにあたってはアルフォンソ・キュアロンクリストファー・ノーランによる賛辞さんじ予告編よこくへんまれている。

日本にっぽんでの公開こうかい

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日本にっぽんにおいては、テアトル東京とうきょう名古屋なごや中日ちゅうにちシネラマ劇場げきじょう大阪おおさかのOS劇場げきじょう封切ふうぎられた。

前夜祭ぜんやさい1968ねん4がつ10日とおか 18:00からテアトル東京とうきょうで、特別とくべつ有料ゆうりょう試写ししゃかい銘打めいうって前夜祭ぜんやさいおもむきで公開こうかいされたのが最初さいしょである。

封切ふうきり》1968ねん4がつ11にちからが正規せいき一般いっぱん公開こうかいである(~9がつ18にちまで)。テアトル東京とうきょうでの上映じょうえい時間じかんは、【平日へいじつ休日きゅうじつども】12:20/15:40/19:00。

凱旋がいせん興行こうぎょうさらに、年末ねんまつ各紙かくしベスト・テンのこう評価ひょうかけ、よくはる(1969ねん3がつ1にち~4がつ4にち)、「凱旋がいせん興行こうぎょう」と銘打めいうってテアトル東京とうきょうさい上映じょうえいされた。上映じょうえい時間じかんは、【つき】13:00/16:00/19:00。【にちしゅく】10:00/13:00/16:00/19:00。

《2ばんかん東京とうきょうでは、「凱旋がいせん興行こうぎょう」のあと、1969ねん5がつ25にちから東宝とうほう洋画ようがけいTYチェーン(しろけい)の9かんで、『よごれた7にん』との併映へいえいで2本立ほんだ公開こうかいされた。

そのはつ公開こうかいから10ねん1978ねんふたたびロードショー上映じょうえいされ、おりからのSFブームをフォローアップするかたちとなった。作品さくひん設定せっていねんである2001ねんにも「しん世紀せいき特別とくべつばん」としてノーカットばん公開こうかいされている。このヴァージョンでは、本来ほんらい35mmフィルムでアナモフィック・レンズを使用しようして再現さいげんされるスコープサイズのアスペクトの1:2.35とせず、35㎜フィルムの上映じょうえいで70mmのオリジナルと同一どういつのアスペクト1:2.20を再現さいげんしている。

2018ねん10がつ、6〜7、11〜14にち国立こくりつ映画えいがアーカイブで70mmニュープリントフィルムでのどうさく特別とくべつ上映じょうえいおこなわれた[14]。10月19にちから週間しゅうかん限定げんていで70mmフィルムからリマスタされたものIMAXデジタル・シアター・システムそなえた映画えいがかん公開こうかいされた[15]

参照さんしょう】『2001ねん宇宙うちゅうたび』の日本にっぽんでの上映じょうえい実績じっせきのまとめ https://kubrick.blog.jp/archives/52256322.html

反響はんきょう評価ひょうか

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公開こうかい当時とうじ台詞せりふ説明せつめい極力きょくりょくはぶき、視覚しかく表現ひょうげん観客かんきゃく意識いしきうったえるという作風さくふうきわめて斬新ざんしんであった。映像えいぞうのクオリティーや「人類じんるい進化しんか地球ちきゅうがい生命せいめい関係かんけい」という哲学てつがくてきなテーマを賞賛しょうさんするこえ一方いっぽう抽象ちゅうしょうてき内容ないよう非常ひじょう難解なんかい結末けつまつ批判ひはんする意見いけんもあり、賛否さんぴうずこった。それでも、公開こうかい当時とうじの1968ねんにおける年間ねんかん世界せかい興行こうぎょう収入しゅうにゅうで1記録きろく現代げんだいでは映画えいがにおけるSF映画えいが古典こてんとして認識にんしきされており、日本にっぽん文部もんぶ科学かがくしょうが「特選とくせん」に指定していしている、唯一ゆいいつのSF映画えいがとしてもられている。

ロンドンで撮影さつえいちゅうのクーブリックをかけたときかれがガジェットに興味きょうみっている姿すがたつよ印象いんしょうのこった。完成かんせい作品さくひん鑑賞かんしょうしたとき人間にんげんてき肉付にくづけの欠如けつじょおどろくばかりだった。クーブリックは確固かっこたる意思いしをもってして『Dr ~』でられた性格せいかく描写びょうしゃ台詞せりふをバッサリててしまったらしく、ぼくには物足ものたりなくかんじた。科学かがくしゃにはガジェットなどはめずらしくもいもので、それよりもぼくはキア・ダレイの演技えんぎたかったなあ。

映画えいが鑑賞かんしょうにクラークの小説しょうせつんだが、これが知的ちてきにも満足まんぞくのいく内容ないようはじめたらまらない。映画えいがなかでは抽象ちゅうしょうてきえがかれている場面ばめんが…とりわけ発端ほったん結末けつまつ納得なっとくできる説明せつめい小説しょうせつにあった。

ぼくのようにディズニーの『ファンタジア』をてひっくりかえった世代せだいには小説しょうせつをおすすめしたい。 — フリーマン・ダイソン

作家さっか レイ・ブラッドベリほんさく試写ししゃのち映像えいぞうめながらも「クラークはクーブリックにレイプされたんだ」とひょうした。このブラッドベリによるひょうひとづてにいたクラークは「それはちがう、レイプされたのはおたがさまだったんだよ」とコメントをのこしている。

はつ公開こうかいとしれ、1968ねん12月、アポロ8ごう史上しじょうはじめて有人ゆうじんつき裏側うらがわまわって帰還きかんしたが、そのとき撮影さつえいされた月面げつめんみの地球ちきゅう写真しゃしんほんさくのそれにそっくりで、あらためてほんさく特撮とくさつのクオリティがしめされた。また、そのアポロ8ごう船長せんちょうフランク・ボーマンで、ほんさく登場とうじょう人物じんぶつのふたり、フランク・プールとデヴィッド・ボーマンを合成ごうせいしたような名前なまえであることが、偶然ぐうぜんとはいえ話題わだいになった。[ちゅう 12]

デビッド・ボウイわかえがいた映画えいがスターダスト』の冒頭ぼうとうでは、ほんさくのスター・ゲイト突入とつにゅうからしろ部屋へやへの到着とうちゃくまでを、ゆめなかのシーンとしてパロディしている。

公開こうかいからオールタイムでほん作品さくひんたか評価ひょうかされつづけている。1991ねんにはアメリカ国立こくりつフィルム登録とうろく簿永久えいきゅう保存ほぞん登録とうろくされた。

ランキング

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映画えいが史上しじょうのベスト・ランキング、オールタイム・ベストなどでは、かならずとっていいほどランクインしている。

以下いか日本にっぽんでのランキング

  • 1980ねん:「外国がいこく映画えいが史上しじょうベストテン(キネマ旬報きねまじゅんぽう戦後せんご復刊ふっかん800ごう記念きねん)」(キネマ旬報きねまじゅんぽう12がつ下旬げじゅんごう発表はっぴょうだい2
  • 1988ねん:「だいアンケートによる洋画ようがベスト150」(文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう発表はっぴょうだい7
  • 1989ねん:「外国がいこく映画えいが史上しじょうベストテン(キネしゅん戦後せんご復刊ふっかん1000ごう記念きねん)」(キネしゅん発表はっぴょうだい1
  • 1995ねん:「オールタイムベストテン・世界せかい映画えいがへん」(キネしゅん発表はっぴょう
    • プロフェッショナル選出せんしゅつ だい3(1は『七人しちにんさむらい』なので洋画ようがではだい2
    • 読者どくしゃ選出せんしゅつ だい1
  • 1999ねん:「映画えいがじんえらぶオールタイムベスト100・外国がいこく映画えいがへん(キネしゅん創刊そうかん80周年しゅうねん記念きねん)」(キネしゅん発表はっぴょうだい2
  • 2009ねん:「映画えいがじんえらぶオールタイムベスト100・外国がいこく映画えいがへん(キネしゅん創刊そうかん90周年しゅうねん記念きねん)」(キネしゅん発表はっぴょうだい7

受賞じゅしょう

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ほんさくは1968ねんアカデミーしょう特殊とくしゅ視覚しかく効果こうかしょう受賞じゅしょう、また1969ねんヒューゴーしょう受賞じゅしょうした。

小説しょうせつばん

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小説しょうせつばん原作げんさくとしてさきかれたものであると勘違かんちがいされることがおおいが小説しょうせつ映画えいが公開こうかいのち発表はっぴょうされている。クラーク自身じしん配給はいきゅうまえ出版しゅっぱん目指めざしていたが3ぶんの2をえた時点じてん最終さいしゅうしょう執筆しっぴつ遅々ちちとなったとされる、その小説しょうせつにはクラーク独自どくじ解釈かいしゃくがかなりれられていることからも、小説しょうせつばん映画えいがばん明確めいかく区別くべつする必要ひつようがある。

HAL 9000の反乱はんらん要因よういんやラストの展開てんかいも、小説しょうせつばん論理ろんりてき説明せつめいづけられているのにたいし、映画えいがばんなぞめいた展開てんかいとなっている。これは当初とうしょ映画えいが冒頭ぼうとう科学かがくしゃらが人類じんるい進化しんかなど作中さくちゅう話題わだいかんしてかたるインタビュー映像えいぞう予定よていされ、また全編ぜんぺんわたりストーリーを解説かいせつするナレーションをれる予定よていであったものが、過剰かじょう説明せつめい映画えいがからマジックをうばうことをおそれたキューブリックが、インタビューもナレーションもすべて削除さくじょしてしまったため、なん説明せつめいもない映像えいぞう映画えいが全編ぜんぺんにわたりつづくことになったからである。

ヒトザルとモノリスの遭遇そうぐう小説しょうせつでは300まんねんまえという設定せっていだが、映画えいがでは400まんねんまえとされているなど、こまかなてん相違そういおおい。小説しょうせつではディスカバリーごうには放熱ほうねつばん(「放射ほうしゃつばさ」)、それもかなりおおきなものがいている設定せっていになっているが[16]映画えいがのディスカバリーごうにはいていない。ある解説かいせつ[17]によれば、宇宙うちゅうなのに(空気くうき前提ぜんていとした)つばさなんて、とおもわれるのをおそれて、映画えいがばんではけていないのだという。

のちにクラークが執筆しっぴつした『2010ねん宇宙うちゅうたび』はパラレルワールドとされ、ストーリーのおおくの部分ぶぶん続編ぞくへんかたちりながら、おも舞台ぶたい木星もくせい周辺しゅうへんとなっており、そこだけは映画えいがばん同一どういつになっている。「宇宙うちゅうたび」シリーズは、さらに『2061ねん宇宙うちゅうたび』『3001ねん終局しゅうきょくへのたび』と、けい4さく執筆しっぴつされており、シリーズ作品さくひんすべての作中さくちゅう設定せってい前作ぜんさくまでのおおくの部分ぶぶん踏襲とうしゅうしてはいるが、基本きほんてきにはパラレルワールドであるとあとがきやまえがきでれられている。

小説しょうせつばん映画えいが製作せいさく並行へいこうしてすすめられたが、その過程かていおおくの草稿そうこうずにわった。のちにクラークは、それらをまとめて編纂へんさんし『うしなわれた宇宙うちゅうたび2001』として出版しゅっぱんした。そこでは、たとえば、「HAL9000は最初さいしょひとがたロボットとして構想こうそうされた」とか、「なぜボーマンが結末けつまつあかんぼうになるのか、(中略ちゅうりゃく)これは成長せいちょう段階だんかいにおけるかれ自己じこイメージなのだ」といった興味深きょうみぶか記述きじゅつられる。

邦訳ほうやく

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  • 『S-Fマガジン 1968ねん9がつごう 臨時りんじ増刊ぞうかん』「宇宙うちゅうのオデッセイ2001」伊藤いとう典夫のりおやくだい:フロイド博士はかせ月面げつめんTMA-1視察しさつのみ)
  • 宇宙うちゅうのオデッセイ2001』(1968ねん10がつ15にち初版しょはん発行はっこう伊藤いとう典夫のりおわけ、ハヤカワ・ノヴェルズ)
  • 2001ねん宇宙うちゅうたび』(1977ねん伊藤いとう典夫のりおわけ、ハヤカワ文庫ぶんこSF)
  • 決定けっていばん 2001ねん宇宙うちゅうたび』(1993ねん伊藤いとう典夫のりおわけ、ハヤカワ文庫ぶんこSF、クラークのしん序文じょぶん収録しゅうろく

サウンドトラックばん

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LP
EP
  • MGMレコード(日本にっぽんグラモフォン SKM-1081)
    上記じょうきLPからの抜粋ばっすいで、「ステレット33」としょうする17cm/33.3rpmのコンパクトばん。『ツァラトゥストラはかくかたりき』、『レクイエム』、『うつくしくあおきドナウ』の3きょくだけだが、『ツァラトゥストラはかくかたりき』は最初さいしょ最後さいごに2かい収録しゅうろくされている。
CD
  • ポリドール(POCP-2017、1991ねん5がつ1にち発売はつばい
    上記じょうき30cmLPのCD。ほぼどう内容ないようであり、『ツァラトゥストラはかくかたりき』は、ベーム/ベルリン・フィルばん収録しゅうろくされている。
  • 東芝とうしばEMI(TOCP-65139、1999ねん1がつ27にち発売はつばい
    カラヤン指揮しきウィーン・フィルハーモニー管弦楽かんげんがくだん演奏えんそうの『ツァラトゥストラはかくかたりき』がはつ収録しゅうろくされている。しかし、英文えいぶんのトラック・リストには Vienna Philharmonic Orchestra とある[18]にもかかわらず、日本語にほんごのライナーノートでは「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽かんげんがくだん」とあやまって記載きさいされている[19][ちゅう 13]映画えいがサウンドトラックからられたHAL 9000こえなども収録しゅうろくされている。

備考びこう

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  • スタンリー・キューブリックは、存命ぞんめいちゅうしん世紀せいきむかえることはかなわず、1999ねん3月7にち死去しきょ
  • 宇宙うちゅうステーションでの声紋せいもん識別しきべつ装置そうち操作そうさたくをよくると、言語げんご選択肢せんたくしに「JAPANESE」がある。
  • 月面げつめんでモノリスのまえあるくシーンでは、宇宙うちゅうふくのヘルメットに手持てもちカメラをかまえるキューブリックの姿すがたうつんでいる。
  • 自作じさくで65mmフィルムを使つかつづけるクリストファー・ノーランとホイテ・ヴァン・ホイテマ製作せいさく50周年しゅうねんとなる2018ねんほんさくの4K修復しゅうふく監修かんしゅうした。数々かずかず修繕しゅうぜんけながらソフトもちいられてたアーカイヴようフィルムではなく、オリジナル・ネガまでさかのぼったニュープリントで、デジタル補正ほせい一切いっさい使用しようせず、初演しょえん同様どうようの6ch音声おんせい前奏ぜんそうきょく、インターミッション、終演しゅうえん音楽おんがくまで再現さいげんされたこのバージョンをノーランは"Unrestored(修復しゅうふく)Version"とぶ。初演しょえん体験たいけん再現さいげんにこだわったこの70mmニュープリントは2018ねん5がつ12にちカンヌ映画えいがさいはつ上映じょうえいされ、欧米おうべい巡回じゅんかいしたのち、日本にっぽんでは2018ねん10がつ6にちから14にちまで国内こくない唯一ゆいいつ70mmフィルムの上映じょうえい可能かのう国立こくりつ映画えいがアーカイブにて6日間にちかん[ちゅう 15]ぜん12かい上映じょうえいおこなわれた[20][21]
  • また、2018ねんにはIMAXはん製作せいさくされ、同年どうねん10がつ19にちから11月1にちまで日本にっぽんでの上映じょうえいおこなわれる[22]
  • 2018ねん11月21にちにはUltra HD Blu-ray発売はつばいされた[23][24]。また同年どうねん12月1にちには、70mmフィルムにもとづく8K完全かんぜんばん同日どうじつ開局かいきょくNHK BS8Kスーパーハイビジョン)で放送ほうそうされた[25]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ ほねから直結ちょっけつされたのが、パンアメリカン航空こうくう(PAN AM)のマークをつけた宇宙船うちゅうせん勘違かんちがいされることがあるが、パンナム便びん最初さいしょ宇宙船うちゅうせんのちてくるので、ほね直接ちょくせつつながってはいない。
  2. ^ 続編ぞくへん映画えいが2010ねん冒頭ぼうとうによると、つきのモノリス発見はっけん1999ねん、ディスカバリーごうない出来事できごと2001ねん出来事できごととされている。
  3. ^ 日本語にほんご字幕じまくでは「吸盤きゅうばんくつ」と翻訳ほんやくされているほか、「磁力じりょくくつ」とされている場合ばあいもある。
  4. ^ 現実げんじつ世界せかいでは2001ねん以前いぜんの1991ねん破産はさんしている。
  5. ^ 公開こうかい当時とうじは「ケア・ダレー」と表記ひょうきされていた。※どこで?
  6. ^ キューブリック監督かんとくむすめ
  7. ^ 公開こうかい当時とうじは「カブリック」の表記ひょうきだった。のちに「クブリック」となり、さら現在げんざいの「キューブリック」にいた。
  8. ^ それでもディスカバリーごう食事しょくじシーンでうつるタブレットPC"Tele Pad"にはIBMのロゴがのこっている
  9. ^ 結果けっかてきに2001ねんまえ同社どうしゃなんらかのによって、社名しゃめい変更へんこう倒産とうさんした場合ばあい途端とたん時代遅じだいおくれの作品さくひんというリスクをけられた。
  10. ^ おなじく1993ねん発売はつばい冒頭ぼうとうきょく「ファンファーレ」を収録しゅうろくしたエリック・カンゼル指揮しきシンシナティ・ポップス・オーケストラによるテラーク・レーベルのアルバム「ハリウッド・グレイテスト・ヒッツ Vol.II(CD-80319,1992ねん12月録音ろくおん)」の解説かいせつではノースの未亡人みぼうじんからゆずけたスコアを演奏えんそうもちいたという記述きじゅつがある。
  11. ^ なお、ノースがほんさくのためにいたスコアは1968ねんの『栄光えいこう』、1974ねんの"Shanks"、1981ねんの『ドラゴンスレイヤー』に部分ぶぶんてきながら転用てんようされた。この3さくはいずれもアカデミー作曲さっきょくしょうにノミネートされている。
  12. ^ フランク・ボーマン(Frank Borman)とデヴィッド・ボーマン(David Bowman)では若干じゃっかんスペルがことなる。
  13. ^ カラヤンの『ツァラトゥストラはかくかたりき』セッション録音ろくおんは3しゅあり、ベルリン・フィルばんはいずれも映画えいが公開こうかいよりのちである。(1) ウィーン・フィル(えいデッカ・レコード、1959ねん3がつ(32'45"))、(2) ベルリン・フィル(ドイツ・グラモフォン、1973ねん1がつ・3月(34'54"))(3) ベルリン・フィル(ドイツ・グラモフォン、1983ねん9がつ(35'57"))
  14. ^ a b 日本語にほんごのライナーノートでは「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽かんげんがくだん」と誤記ごきされている。
  15. ^ 10月8にちから11にちまでをのぞ

出典しゅってん

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  1. ^ キネマ旬報きねまじゅんぽうベスト・テン85かいぜん 1924-2011』(キネマ旬報社きねまじゅんぽうしゃ、2012ねん)251ぺーじ
  2. ^ a b 2001ねん宇宙うちゅうたび[吹替補完ほかんばん”. 2016ねん10がつ28にち閲覧えつらん
  3. ^ Baxter, John (1997). Stanley Kubrick: A Biography. New York: Basic Books. p. 200. ISBN 0-7867-0485-3. https://archive.org/details/stanleykubrickbi00baxt/page/200 
  4. ^ 1988ねんキネマ旬報きねまじゅんぽうしゃかん『キューブリックき!』より。
  5. ^ マイケル・ベンソンちょ『2001 キューブリック クラーク』早川書房はやかわしょぼう P.73-74
  6. ^ マイケル・ベンソンちょ『2001 キューブリック クラーク』早川書房はやかわしょぼう P.78
  7. ^ マイケル・ベンソンちょ『2001 キューブリック クラーク』早川書房はやかわしょぼう P.80-89
  8. ^ マイケル・ベンソンちょ『2001 キューブリック クラーク』早川書房はやかわしょぼう P.111、115、133-134
  9. ^ 海洋かいようどうの「ディスカバリーごう」プロップ再現さいげんモデル、受注じゅちゅう受付うけつけ開始かいし - GAME Watch
  10. ^ 2001:キューブリック、クラーク ISBN 9784152098269
  11. ^ 2001: A Space Odyssey: Special Edition #60 (1968) (Uncut)”. LaserDisc Database. 2015ねん11月9にち閲覧えつらん
  12. ^ 指揮しき:ジェリー・ゴールドスミス、演奏えんそうナショナル・フィルハーモニー・オーケストラ
  13. ^ Music for 2001: A Space Odyssey (The Original Score by Alex North) - オールミュージック. 2015ねん11月9にち閲覧えつらん
  14. ^ シネマトゥデイの記事きじ[1]
  15. ^ ワーナー ブラザース ジャパンの公式こうしきサイト[2]
  16. ^ ハヤカワ文庫ぶんこSF旧版きゅうばん(SF243)17しょう p. 123より「その背後はいごながいすらりとしたVのは、原子げんし余剰よじょうねつ消散しょうさんさせる放射ほうしゃつばさ。(りゃく)最大さいだい推力すいりょく加速かそくしていたときにはサクランボウしょくかがやいていた巨大きょだい放射ほうしゃつばさも、いまではくろつめたい」、29しょう p. 191より「すうせん平方へいほうフィートの放射ほうしゃつばさ
  17. ^ 『S-Fマガジン』1980ねん10がつごうの「スタジオぬえのスターシップ・ライブラリー」、『スタジオぬえメカニックデザインブック』では p.177
  18. ^ 2001: A Space Odyssey - オールミュージック. 2015ねん11月9にち閲覧えつらん
  19. ^ 「2001ねん宇宙うちゅうたび」オリジナル・サウンドトラック (東芝とうしばEMI): 1999”. 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん. 2015ねん11月9にち閲覧えつらん
  20. ^ 製作せいさく50周年しゅうねん記念きねん 『2001ねん宇宙うちゅうたび』70mmばん特別とくべつ上映じょうえい | 国立こくりつ映画えいがアーカイブ”. www.nfaj.go.jp. 2018ねん9がつ3にち閲覧えつらん
  21. ^ 映写えいしゃ技師ぎし奮闘ふんとう拍手はくしゅこる!「2001ねん宇宙うちゅうたび」70ミリばん上映じょうえいがスタート”. 映画えいが.com. https://eiga.com/news/20181006/10/ 2018ねん10がつ19にち閲覧えつらん 
  22. ^ “「2001ねん宇宙うちゅうたび」70ミリばんぜんかい満席まんせき終了しゅうりょう 10月19にちからIMAX劇場げきじょう上映じょうえいスタート”. 映画えいが.com. https://eiga.com/news/20181017/18/ 2018ねん10がつ19にち閲覧えつらん 
  23. ^ https://www.nytimes.com/2018/05/11/movies/2001-a-space-odyssey-christopher-nolan-cannes.html
  24. ^ “「2001ねん宇宙うちゅうたび」がUHD BD。BDもリマスター。2週間しゅうかん限定げんていでIMAX上映じょうえいも”. AV Watch. https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1143979.html 2018ねん10がつ19にち閲覧えつらん 
  25. ^ 8K完全かんぜんばん 2001ねん宇宙うちゅうたび”. NHK. 2018ねん12月1にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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