ISO-2022-JP

ISO-2022-JPは、インターネット上うえ（特とくに電子でんしメール）などで使つかわれる日本にっぽんの文字もじ用ようの文字もじ符号ふごう化か方式ほうしき。ISO/IEC 2022のエスケープシーケンスを利用りようして文字もじ集合しゅうごうを切きり替かえる7ビットのコードであることを特徴とくちょうとする (アナウンス機能きのうのエスケープシーケンスは省略しょうりゃくされる)。俗ぞくに「JISコード」と呼よばれることもある。

概要がいよう

日本語にほんご表記ひょうきへの利用りようが想定そうていされている文字もじコードであり、日本語にほんごの利用りようされるネットワークにおいて、日本にっぽんの規格きかくを応用おうようしたものである。また文字もじ集合しゅうごうとしては、日本語にほんごで用もちいられる漢字かんじ、ひらがな、カタカナはもちろん、ラテン文字もじ、ギリシア文字もじ、キリル文字もじなども含ふくんでおり、学術がくじゅつや産業さんぎょうの分野ぶんやでの利用りようも考慮こうりょしたものとなっている。規格きかく名めいに、ISOの日本語にほんごの言語げんごコードであるjaではなく、国くに・地域ちいき名めいコードのJPが示しめされているゆえんである。

文字もじ集合しゅうごうとしてJIS X 0211のC0集合しゅうごう（制御せいぎょ文字もじ）、JIS X 0201のラテン文字もじ集合しゅうごう、ISO 646の国際こくさい基準きじゅん版ばん図形ずけい文字もじ、JIS X 0208の1978年ねん版はん (JIS C 6226-1978) と1983年ねんおよび1990年ねん版はんが利用りようできる。JIS X 0201の片仮名かたかな文字もじ集合しゅうごうは利用りようできない。1986年ねん以降いこう、日本にっぽんの電子でんしメールで用もちいられてきたJUNETコードを、村井むらい純じゅん、Mark CrispinおよびErik van der Poelが1993年ねんにRFC化かしたもの (RFC 1468)。後のちにJIS X 0208:1997の附属ふぞく書しょ2としてJISに規定きていされた。MIMEにおける文字もじ符号ふごう化か方式ほうしきの識別しきべつ用ようの名前なまえとしてIANAに登録とうろくされている。

なお、符号ふごう化かの仕様しようについてはISO/IEC 2022#ISO-2022-JPも参照さんしょう。

類似るいじの符号ふごう化か方式ほうしき

「ISO-2022-JP」に類似るいじした符号ふごう化か方式ほうしきとして以下いかのようなものがある。なお、一部いちぶは MIME で用もちいる文字もじ符号ふごう化か方式ほうしきとして IANA が登録とうろくしている。

ISO-2022-JP-1

RFC 2237。ISO-2022-JPを拡張かくちょうし、ISO-2022-JPの文字もじ集合しゅうごうに加くわえ、JIS X 0212を利用りようできるようにしたもの。

ISO-2022-JP-2

RFC 1554。ISO-2022-JPを拡張かくちょうし、ISO-2022-JPの文字もじ集合しゅうごうに加くわえ、JIS X 0212、KS X 1001、GB 2312、ISO 8859-1、ISO 8859-7を利用りようできるようにしたもの。

ISO-2022-JP-3

JIS X 0213:2000の附属ふぞく書しょ2に記述きじゅつされる符号ふごう化か表現ひょうげんで、ISO-2022-JPの漢字かんじ集合しゅうごうをJIS X 0213に変かえるなどしたもの。IANA登録とうろく簿ぼへの登録とうろくが提案ていあんされたが、RFC 2278（当時とうじ。RFC 2978により廃止はいしされた）の手続てつづきに従したがっていない（いっぺんに複数ふくすうの文字もじコードを登録とうろくする手続てつづきは存在そんざいしないのに6つ同時どうじに申請しんせいされている）などの理由りゆうにより却下きゃっかされた。

ISO-2022-JP-2004

JIS X 0213:2004の附属ふぞく書しょ2に記述きじゅつされる符号ふごう化か表現ひょうげん。ISO-2022-JP-3の漢字かんじをJIS X 0213:2004に改あらためたもの。IANA登録とうろく簿ぼへの登録とうろくはまだされていない。

ISO-2022-JPと非ひ標準ひょうじゅん的てき拡張かくちょう使用しよう

「JISコード」（または「ISO-2022-JP」）というコード名めいの規定きてい下かでは、その仕様しよう通どおりの使用しようが求もとめられる。しかし、Windows OS上うえでは、実際じっさいにはCP932コード（マイクロソフトによるShift_JISを拡張かくちょうした亜種あしゅ。ISO-2022-JP規定きてい外がい文字もじが追加ついかされている。）による独自どくじ拡張かくちょう（の文字もじ）を断ことわりなく使つかうアプリケーションが多おおい。この例れいとしてInternet ExplorerやOutlook Expressがある。また、EmEditor、秀しゅう丸まるエディタやThunderbirdのようなマイクロソフト以外いがいのWindowsアプリケーションでも同様どうようの場合ばあいがある。この場合ばあい、ISO-2022-JPの範囲はんい外がいの文字もじを使つかってしまうと、異ことなる製品せいひん間あいだでは未定義みていぎ不明ふめい文字もじとして認識にんしきされるか、もしくは文字もじ化ばけを起おこす原因げんいんとなる。そのため、Windows用ようの電子でんしメールクライアントであっても独自どくじ拡張かくちょうの文字もじを使用しようすると警告けいこくを出だしたり、あえて使つかえないように制限せいげんしているものも存在そんざいする。さらにはISO-2022-JPの範囲はんい内ないであってもCP932は非ひ標準ひょうじゅん文字もじ（FULLWIDTH TILDE等とう）を持もつので文字もじ化ばけの原因げんいんになり得える。Javaはバージョン6以降いこうで、通常つうじょうのISO-2022-JP形式けいしきの実装じっそうのほか、「x-windows-iso2022jp」というコード名めいでマイクロソフトCP932ベースの拡張かくちょうISO-2022-JPに対応たいおうしている。

また、符号ふごう化か方式ほうしき名めいをISO-2022-JPとしているのに、文字もじ集合しゅうごうとしてはJIS X 0212（補助ほじょ漢字かんじ）やJIS X 0201の片仮名かたかな文字もじ集合しゅうごう（いわゆる半角はんかくカナ）をも符号ふごう化かしている例れいがあるが、ISO-2022-JPではこれらの文字もじを許容きょようしていない。これらの符号ふごう化かは独自どくじ拡張かくちょうの実装じっそうであり、中なかにはISO/IEC 2022の仕様しように準拠じゅんきょすらしていないものもある。従したがって受信じゅしん側がわの電子でんしメールクライアントがこれらの独自どくじ拡張かくちょうに対応たいおうしていない場合ばあい、その文字もじあるいはその文字もじを含ふくむ行くだり、時ときにはテキスト全体ぜんたいが文字もじ化ばけすることがある。

関連かんれん項目こうもく

• JIS漢字かんじコード
• 日本にっぽん産業さんぎょう規格きかく（情報処理じょうほうしょり）の一覧いちらん
• 国際こくさい標準ひょうじゅん化か機構きこうが定さだめる国際こくさい標準ひょうじゅん一覧いちらん (ISO 2000 から ISO 2999 まで)

参考さんこう資料しりょう

• J. Murai 他た (1993年ねん6月がつ). RFC 1468 Japanese Character Encoding for Internet Messages (『インターネットメッセージのための日本語にほんご文字もじ符号ふごう化か』). 
• M. Ohta 他た (1993年ねん12月がつ). RFC 1554 ISO-2022-JP-2: Multilingual Extension of ISO-2022-JP (『ISO-2022-JP-2: ISO-2022-JPの多た言語げんご拡張かくちょう』). 
• K. Tamaru 他た (1997年ねん11月). RFC 2237 Japanese Character Encoding for Internet Messages (『インターネットメッセージのための日本語にほんご文字もじ符号ふごう化か』). 
• 日本にっぽん規格きかく協会きょうかい (2000年ねん). JIS X 0213:2000 『7ビット及および8ビットの2バイト情報じょうほう交換こうかん用よう符号ふごう化か拡張かくちょう漢字かんじ集合しゅうごう』 (7-bit and 8-bit double byte coded extended Kanji sets for information interchange) 附属ふぞく書しょ2「ISO-2022-JP-3符号ふごう化か表現ひょうげん」. 
• 日本にっぽん規格きかく協会きょうかい (2004年ねん). JIS X 0213:2000/AMENDMENT 1:2004 『7ビット及および8ビットの2バイト情報じょうほう交換こうかん用よう符号ふごう化か拡張かくちょう漢字かんじ集合しゅうごう (追つい補ほ1)』 (7-bit and 8-bit double byte coded extended Kanji sets for information interchange (Amendment 1)) 附属ふぞく書しょ2「ISO-2022-JP-2004符号ふごう化か表現ひょうげん」.