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エチレンオキシド - Wikipedia

エチレンオキシド (えい: ethylene oxide) は、有機ゆうき化合かごうぶつ一種いっしゅで、さんいんたまき構造こうぞう環状かんじょうエーテルである。

エチレンオキシド
識別しきべつ情報じょうほう
略称りゃくしょう EO, EtO
CAS登録とうろく番号ばんごう 75-21-8 チェック
PubChem 6354
ChemSpider 6114 チェック
UNII JJH7GNN18P チェック
EC番号ばんごう 200-849-9
KEGG D03474 チェック
MeSH Ethylene+Oxide
ChEBI
RTECS番号ばんごう KX2450000
特性とくせい
化学かがくしき C2H4O
モル質量しつりょう 44.05 g mol−1
外観がいかん 無色むしょく気体きたい
密度みつど 0.887 g/mL (7 °C)
融点ゆうてん

−111.3 °C, 162 K, -168 °F

沸点ふってん

10.7 °C, 284 K, 51 °F

みずへの溶解ようかい
屈折くっせつりつ (nD) 1.3597 (7 °C)
ねつ化学かがく
標準ひょうじゅん生成せいせいねつ ΔでるたfHo −52.6 kJ mol−1
標準ひょうじゅんモルエントロピー So 243 J mol−1 K−1
危険きけんせい
GHSピクトグラム 可燃性急性毒性(高毒性)急性毒性(低毒性)経口・吸飲による有害性
GHSシグナルワード 危険きけん(DANGER)
Hフレーズ H220, H315, H319, H331, H335, H340, H350
Pフレーズ P201, P202, P210, P261, P264, P271, P280, P281, P302+352, P304+340, P305+351+338, P308+313, P311, P312 [1]
おも危険きけんせい 発癌はつがんせい物質ぶっしつ
NFPA 704
4
3
3
引火いんかてん −20 °C
爆発ばくはつ限界げんかい 3 to 100%
関連かんれんする物質ぶっしつ
関連かんれんする複素ふくそたまきしき化合かごうぶつ アジリジン
エチレンスルフィド
ボリラン
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・つねあつ (100 kPa) におけるものである。
専用せんようコンテナによるエチレンオキシド(液化えきか酸化さんかエチレン)の輸送ゆそう

概要がいよう

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分子ぶんししき C2H4O、分子ぶんしりょう 44.05 のもっと単純たんじゅんエポキシドである。別名べつめいとして、エポキシエタン (epoxyethane)、オキシラン (oxirane)、オキサシクロプロパン (oxacyclopropane)、酸化さんかエチレンエチレンオキサイド (ethylene oxide) ともばれ、EOと略称りゃくしょうされる。IUPAC命名めいめいほうでは、1,2-エポキシエタン (1,2-epoxyethane) がもっと一般いっぱんてき

単体たんたいは、エーテルさま臭気しゅうきゆうする無色むしょく気体きたいである。

洗剤せんざいポリエステル繊維せんいなど身近みぢかなものに使つかわれるエチレングリコールエタノールアミンなどの誘導ゆうどうひん製造せいぞうする。

また、加熱かねつ殺菌さっきんにより変形へんけい可能かのうせいのあるプラスチックをもちいた医療いりょうよう器具きぐ製造せいぞうにおいて、最終さいしゅう工程こうてい滅菌めっきんガスとしてもちいられる。(ディスポーザブルの注射ちゅうしゃ注射ちゅうしゃはりなど)

性質せいしつ

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みず有機ゆうき溶媒ようばいのいずれにもよくける。立体りったいてきなひずみエネルギーにより、とくもとめかくざいたいして反応はんのうせいたかい。有機ゆうき物質ぶっしつ合成ごうせいするときのちゅうあいだたいとしてもちいられる。また、医療いりょう機器きき精密せいみつ機械きかい滅菌めっきんするためにもちいられる。猛毒もうどく常温じょうおん大気たいきあつした空気くうきちゅうでの爆発ばくはつ範囲はんいは3.0 – 100 %である。つまり、空気くうきがなくとも火花ひばな静電気せいでんきなどによって爆発ばくはつする、分解ぶんかい爆発ばくはつせいゆうする。 作業さぎょう環境かんきょうにおける管理かんり濃度のうどは1ppmである。2012ねん10がつ1にち施行しこう改正かいせい女性じょせい労働ろうどう基準きじゅん規則きそく[2]対象たいしょう物質ぶっしつとなる。

合成ごうせい

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工業こうぎょうてきには、ぎんを担持させたアルミナ触媒しょくばいのもと、1 – 3 MPa、200 – 300 °Cエチレン酸素さんそとを作用さようさせて合成ごうせいされる。 酸化さんかエチレンの 2016年度ねんど日本にっぽん国内こくない生産せいさんりょうは 867,367 t工業こうぎょう消費しょうひりょうは 585,077 t である[3]

エチレンオキシドを最初さいしょ合成ごうせいしたアドルフ・ヴュルツは、2-クロロエタノールと塩基えんきもちいた(分子ぶんしないウィリアムソン合成ごうせい)。 エチレン過酸化水素かさんかすいそ、あるいはさんとの反応はんのうによってもつくることができる。

反応はんのう

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エチレンオキシドにさん触媒しょくばいとしてみず反応はんのうさせるとエチレングリコール (HOCH2CH2OH) がられる。この反応はんのうみずりょうらせば、ポリエチレングリコール (PEG) が生成せいせいする。さらに、みずのない条件じょうけんさん作用さようさせるとカチオン重合じゅうごうによりポリエチレンオキシド (PEO) となる。

また、グリニャール試薬しやく (RMgX) と反応はんのうさせると加水かすい分解ぶんかいだいいちきゅうアルコール (RCH2CH2OH) となる。3いんたまきひらきたまきによりひずみエネルギーが解放かいほうされるため、このほかにもさまざまなもとめかくざいたいするヒドロキシエチルざいとして反応はんのうせいしめす。 アセタール樹脂じゅしエピクロロヒドリンゴムなどの原料げんりょうとして利用りようされる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ https://webwiser.nlm.nih.gov/substance?substanceId=52&identifier=Ethylene%20Oxide&identifierType=name&menuItemId=184&catId=242
  2. ^ 女性じょせい労働ろうどう基準きじゅん規則きそく
  3. ^ 経済けいざい産業さんぎょうしょう生産せいさん動態どうたい統計とうけい年報ねんぽう 化学かがく工業こうぎょう統計とうけいへん

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 野村のむら正勝まさかつ鈴鹿すずか輝男てるお へん、「最新さいしん工業こうぎょう化学かがく講談社こうだんしゃ、2004.