引揚者しゃ

引揚者しゃ（ひきあげしゃ）とは、1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）8月がつ15日にちに日本にっぽんが大だい東亜とうあ戦争せんそう（太平洋戦争たいへいようせんそうおよび日にち中ちゅう戦争せんそう）で連合れんごう国こくに降伏ごうぶくしたことを受うけ、日本にっぽんの外地がいち^{[注釈ちゅうしゃく 1]}・占領せんりょう地ち^{[注釈ちゅうしゃく 2]}または内地ないちのソ連それん軍ぐん被ひ占領せんりょう地ち^{[注釈ちゅうしゃく 3]}に居住きょじゅうないし移住いじゅうしていた民間みんかんの日本人にっぽんじんのうち、日本にっぽんの本土ほんど（内地ないち）へ帰還きかん（引ひき揚あげ）した者ものを指さす^[1]^{[注釈ちゅうしゃく 4]}。「引揚者しゃ」に該当がいとうする者ものの範囲はんいは引揚者しゃ給付きゅうふ金きん等とう支給しきゅう法ほう（第だい2条じょう第だい1項こう）や引揚者しゃ等とうに対たいする特別とくべつ交付こうふ金きんの支給しきゅうに関かんする法律ほうりつ（第だい2条じょう第だい1項こう）によって規定きていされ、「引揚者しゃ」に認定にんていされた者ものはこれら法律ほうりつに基もとづく給付きゅうふ行政ぎょうせいの対象たいしょうとされた。

敗戦はいせん時点じてんで海外かいがいに在住ざいじゅうする日本人にっぽんじんは軍人ぐんじん・民間みんかん人じんの総計そうけいで660万まん人にん以上いじょうに上のぼり、引揚ひきあげした日本人にっぽんじんは1946年ねん末まつまでに500万まん人にんにのぼった。だが、残留ざんりゅう日本人にっぽんじんの詳細しょうさいな数かずや実態じったいについては現在げんざいも不明ふめいである^[2]。

米べい軍ぐん占領せんりょう下か地域ちいき

大竹おおたけ引揚援護えんご局きょく

GHQ/SCAPのダグラス・マッカーサー総そう司令しれい官かんは人道的じんどうてき立場たちばから引ひき揚あげを早期そうきに終了しゅうりょうさせるつもりでおり、GHQ指令しれいで厚生省こうせいしょうが引揚援護えんご庁ちょうを設置せっちし、行政ぎょうせい事務じむを行おこなった。1945年ねん 11月24日にち、厚生省こうせいしょうは佐世保させぼ、博多はかた、鹿児島かごしま、唐津からつ、仙崎せんざき、宇品うじな、舞鶴まいづる、田辺たなべ、名古屋なごや、浦賀うらが、函館はこだての11カ所かしょに地方ちほう引揚援護えんご局きょくを設置せっちするよう告示こくじした^[2]。東南とうなんアジア、台湾たいわん、中国ちゅうごく、朝鮮半島ちょうせんはんとう南部なんぶ（北緯ほくい38度ど線せん以南いなん）などからの引ひき揚あげは、ソ連それん軍ぐん占領せんりょう下か地域ちいきの満まん洲しゅう・朝鮮ちょうせん北部ほくぶ(北緯ほくい38度ど線せん以北いほく)などと比較ひかくするとスムーズであり、1946年ねんには9割わり以上いじょう達成たっせいされた。また在外ざいがい父兄ふけい救出きゅうしゅつ学生がくせい同盟どうめいは朝鮮ちょうせんに渡航とこうし、金きむ日成いるそんに直訴じきそした。

1948年ねんには引揚者しゃ団体だんたい全国ぜんこく連合れんごう会かいが発足ほっそくした。引揚者しゃや復員ふくいん者しゃの就労しゅうろうのために戦後せんご開拓かいたく事業じぎょうがなされた。

持込もちこめ制限せいげん

GHQは外地がいちからの内地ないちへの資産しさん持もち込こみによるインフレーションを懸念けねんし、引揚者しゃが持もち込こんだ通貨つうか、証券しょうけん類るいの多おおくを税関ぜいかんなどで預託よたくさせる持込もちこめ制限せいげん措置そちを行おこなった。税関ぜいかんは1953年ねんより預託よたく品ひんの返還へんかんを行おこなっているが、50年ねん以上いじょう経たった現在げんざいでも持もち主ぬしが現あらわれない現金げんきん、証券しょうけん類るいが保管ほかんされている。

沖縄おきなわ

アメリカ軍ぐんの軍政ぐんせい下かに置おかれた沖縄おきなわへの正式せいしきな引ひき揚あげ事業じぎょうは本土ほんどよりも後おくれて1946年ねんに開始かいしされたが、それ以前いぜんに民間みんかん船せんによる密航みっこうで自力じりき帰国きこくした者ものが多おおい。1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）11月1日にち、台湾たいわん疎開そかいから沖縄おきなわ行いきの引ひき揚あげ船せんが遭難そうなんして約やく100人にんが死亡しぼうする栄丸さかえまる遭難そうなん事件じけんが発生はっせいした。

ソ連それん軍ぐん占領せんりょう下か地域ちいき

1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）8月がつ9日にちから樺太からふと、満まん洲しゅう、朝鮮半島ちょうせんはんとうへのソ連それん侵攻しんこうがはじまり、1945年ねん 8月がつ15日にちのポツダム宣言せんげん受諾じゅだくにより日本にっぽん軍ぐんが武装ぶそう解除かいじょした終戦しゅうせんの日ひ以後いごもソ連それん軍ぐんは進攻しんこうを続つづけた。

樺太からふと

日本にっぽんのポツダム宣言せんげん受諾じゅだく後ごも樺太からふとでは戦闘せんとうが続つづき、樺太からふと庁ちょうは高齢こうれい者しゃ・年少ねんしょう者しゃを優先ゆうせんして日本にっぽん本土ほんどに引揚させていた。8月がつ22日にちに樺太からふとからの引揚船せん小笠原おがさわら丸まる、第だい二に号ごう新興しんこう丸まる、泰東丸たいとうまるなどが北海道ほっかいどう留萌るもい沖おきで国籍こくせき不明ふめいの潜水せんすい艦かんに攻撃こうげきされ沈没ちんぼつ、1700名めい以上いじょうが死亡しぼうする三船みふね殉難じゅんなん事件じけんが発生はっせいした。国籍こくせき不明ふめいの潜水せんすい艦かんはのちにソ連それん軍ぐんのL-19、L-12でほぼ間違まちがいないことが判明はんめいしている。なおソ連それん軍ぐんの潜水せんすい艦かんのうちL-19も原因げんいん不明ふめいだが沈没ちんぼつしている。

満まん洲しゅう、朝鮮ちょうせん北部ほくぶ

祖国そこく（内地ないち）を目前もくぜんに斃れた引揚者しゃの葬儀そうぎ

満まん洲しゅうや朝鮮半島ちょうせんはんとうの北緯ほくい38度ど線せん以北いほくなどソ連それん軍ぐん占領せんりょう下したの地域ちいきでは引ひき揚あげが遅おくれ、満まん洲しゅうからの引揚は、ソ連それんから中華民国ちゅうかみんこくの占領せんりょう下かになってから行おこなわれた。日本にっぽんから多数たすうの入植にゅうしょく者しゃが送おくられていた満まん洲しゅうにおいては混乱こんらんの中なか帰国きこくの途とに着ついた開拓かいたく者しゃらの旅路たびじは現地げんち住民じゅうみんらの敵意てきいにさらされたり、困難こんなんを極きわめ、食糧しょくりょう事情じじょうや衛生えいせい面めん、治安ちあんの著いちじるしい悪化あっか、また、1945年ねん中ちゅうは日本にっぽん本土ほんどでの食糧しょくりょう不足ふそくを懸念けねんする日本にっぽん政府せいふの意向いこうや1946年ねん半なかばからは中国ちゅうごく国共こっきょう内戦ないせんの激化げきか等とうもあって、帰国きこくに到いたらなかった者ものや祖国そこくの土どを踏ふむことなく力尽ちからつきた者ものも多数たすういる。

朝鮮半島ちょうせんはんとうの北緯ほくい38度ど線せん以北いほくにいた日本人にっぽんじんは、引揚事業じぎょうの費用ひよう負担ふたんをソ連それんのどの省しょうが負おうのか責任せきにんの先送さきおくりの間あいだに栄養失調えいようしっちょうや飢うえや病気びょうきで約やく5万まん人にん以上いじょうが死亡しぼうした。また、米べいソ冷戦れいせんの顕在けんざい化かのあおりで北緯ほくい38度ど線せんで交通こうつうが封鎖ふうさされるといったこともあった。しかし、20万まん人にんが自力じりきで北緯ほくい38度ど線せんを越こえ釜山ぷさん経由けいゆで日本にっぽんへ帰国きこくした。

日本人にっぽんじん住民じゅうみんへの略奪りゃくだつ・強姦ごうかん・虐殺ぎゃくさつ行為こうい

「麻山まやま事件じけん」、「小山こやま克かつ事件じけん」、「葛根かずらね廟びょう事件じけん」、「牡丹ぼたん江こう事件じけん」、「敦あつし化か事件じけん」、および「乙女おとめの碑いしぶみ」も参照さんしょう

ソ連それん軍ぐん占領せんりょう下かの地域ちいきでは、ソ連それん兵へいや中国共産党ちゅうごくきょうさんとう軍ぐん、朝鮮ちょうせん人民じんみん義勇軍ぎゆうぐんや朝鮮ちょうせん保安ほあん隊たい、および暴徒ぼうと化かした現地げんち在住ざいじゅうの満州まんしゅう人じん、漢人かんど、朝鮮ちょうせん人じんによる日本人にっぽんじん住民じゅうみんへの暴虐ぼうぎゃく行為こういや拉致らちがあった。

元もと衆議院しゅうぎいん議員ぎいんの米田よねだ建三けんぞうは、雑誌ざっし『正論せいろん』で婦女子ふじょしの強姦ごうかんは有史ゆうし以来いらい、戦争せんそうには付つき物ものとされるも、先さきの大戦たいせんでの満まん洲しゅう・朝鮮ちょうせんにおける日本人にっぽんじん婦女子ふじょしの強姦ごうかんは度どを越こして凄すさまじいものであったと主張しゅちょう。朝鮮ちょうせん人じん・朝鮮ちょうせん保安ほあん隊たいのレイプは残虐ざんぎゃくを極きわめ、強姦ごうかん・婦人ふじんの要求ようきゅうは「報むくい」として甘受かんじゅできる被害ひがいとはとうてい言いえるものではなく、ベルリン等とうドイツ全土ぜんどでは200万まん人にんのドイツ女性じょせいがレイプされたと推定すいていされるが、朝鮮ちょうせん人じん、朝鮮ちょうせん人じんの保安ほあん隊たいに犯おかされる様ようはベルリン同様どうようと述のべている^[3]。

ここまで日本人にっぽんじんが憎にくまれたのは、日本人にっぽんじんが単たんに事実じじつ上じょうの占領せんりょう者しゃであったというだけでなく、満州まんしゅう進攻しんこう以来いらいの多おおくの一般いっぱん住民じゅうみんも巻添まきぞえにした過酷かこくなゲリラ討伐とうばつ、労務者ろうむしゃ狩かりと多おおくの死亡しぼう者しゃを出だしたタコ部屋へや労働ろうどう、日本人にっぽんじん開拓かいたく団だんのための不当ふとうな廉価れんかでの現地げんち住民じゅうみん土地とちの取上とりあげ、日本にっぽん軍ぐんの麻薬まやく売買ばいばいによる収入しゅうにゅう体制たいせいの構築こうちく、一部いちぶに伝つたえられる日本人にっぽんじん軍人ぐんじん・武装ぶそう開拓かいたく団だん員いんらによる現地げんち住民じゅうみんらに対たいする強姦ごうかん・略奪りゃくだつ行為こうい、太平洋戦争たいへいようせんそうの戦況せんきょう悪化あっかにより物資ぶっしとりわけ繊維せんい・衣類いるい等とうが不足ふそくし貧困ひんこん層そうは衣服いふくすら購入こうにゅうできなくなったこと等とうが挙あげられる。

ソ連それん兵へいは規律きりつが緩ゆるく、占領せんりょう地ちで強姦ごうかん・殺傷さっしょう・略奪りゃくだつ行為こういを繰くり返かえしたため、戦後せんごの日本にっぽんにおいて対たいソ感情かんじょうを悪化あっかさせる一因いちいんとなった。朝鮮ちょうせん人じんも朝鮮半島ちょうせんはんとうでソ連それん兵へいと同様どうようの行為こういをおこなったと言いわれており^[4]、妊娠にんしんした引揚者しゃの女性じょせいを治療ちりょうした二日ふつか市し保養ほよう所しょの記録きろくでは、相手あいての男性だんせいは朝鮮ちょうせん人じん28人にん、ソ連それん人じん8人にん、中国人ちゅうごくじん6人にん、アメリカ人じん3人にん、台湾たいわん人じん・フィリピン人じん各かく1人ひとりとなっている（ただし、これらは”不法ふほう妊娠にんしん"とされていて、当時とうじの不法ふほう妊娠にんしんは広ひろく婚こん外子そとこ全すべてを含ふくむものであり、全すべてが強姦ごうかんとは限かぎらない。また、根ねこそぎ動員どういん等とうで夫おっとと離はなれていた女性じょせいらが引揚中ちゅうに同行どうこうの日本人にっぽんじん男性だんせいと事実じじつ婚こん状態じょうたいになった場合ばあいにはそれを隠かくさねばならなかったというケースも多おおいとみられる。）^[5]。夫おっとの前まえでソ連それん兵へいにレイプされ、青酸せいさんカリで自殺じさつした婦人ふじんもいた^[6]。興南こうなんの日本人にっぽんじん収容しゅうよう所しょではソ連それん兵へいが「マダム、ダワイ！（女おんなを出しゅっせ）」とわめき、女性じょせいを発見はっけんすると暴行ぼうこうした^[6]。日本人にっぽんじん女性じょせいは暴行ぼうこうされないように短髪たんぱつにしたり男装だんそうや顔かおに墨すみを塗ぬった^[6]。また一部いちぶの満蒙まもう開拓かいたく団だんでは、未婚みこん女性じょせいらを性せい接待せったい係がかりとしてソ連それん兵へいに差さし出だすことで、ソ連それんへの庇護ひごを求もとめた^[7]^[8]^[9]。

また、中国共産党ちゅうごくきょうさんとう軍ぐんと朝鮮ちょうせん人民じんみん義勇軍ぎゆうぐんは在留ざいりゅう日本人にっぽんじんに資産しさん接収せっしゅうや強制きょうせい的てきな労務ろうむ奉仕ほうしを課かしたため、国民党こくみんとうと結むすんで資産しさん保全ほぜんを図はかろうとする者ものもいて、1946年ねん 2月がつ3日にちの通つう化か事件じけんのような蜂起ほうきとその後ごの日本人にっぽんじん虐殺ぎゃくさつなどが起おきた。引揚列車れっしゃに乗車じょうしゃ後ご、乗のり込こんできた中国共産党ちゅうごくきょうさんとう軍ぐんによって拉致らちされた婦女子ふじょしもいた^[10]。

シベリア抑留よくりゅう

ソ連それん占領せんりょう地ちからの引ひき揚あげの遅おくれは、ソ連それんが日本人にっぽんじん捕虜ほりょをシベリア開発かいはつに利用りようしようとしていたこと、満まん洲しゅう地区ちくが国共こっきょう内戦ないせんで政情せいじょう不安定ふあんていだったということ、などが影響えいきょうしたと見みられている。関東軍かんとうぐんの軍人ぐんじんとともに民間みんかん人じんの一部いちぶもシベリア抑留よくりゅうの対象たいしょうとなり、強制きょうせい労働ろうどうに従事じゅうじさせられた。

在ざい満みつる朝鮮ちょうせん人じんの引揚ひきあげ

1945年ねん6月がつ時点じてんで在ざい満みつる朝鮮ちょうせん人じん人口じんこうは2,163,115人にんとされ、また実際じっさいには230万まん人にんいたともいわれる^[11]。終戦しゅうせん後ご、在ざい満みつる朝鮮ちょうせん人じんは引ひき揚あげを開始かいしし、1946年ねんまで714,842人にんが、1947年ねんまでには80万まん人にん以上いじょうが朝鮮ちょうせんへ帰還きかんした^[11]。

終戦しゅうせん前まえに引揚ひきあげた朝鮮ちょうせん人じんもおり、その引揚ひきあげの理由りゆうについて国民党こくみんとうの袁常恩おんは「ある韓かん僑(朝鮮ちょうせん人じん)は一貫いっかんして悪わるい行為こういをして国人くにびと（中国人ちゅうごくじん）の報復ほうふくを恐おそれ、ある韓かん僑は資産しさんがかなりあって治安ちあんの未み回復かいふくを心配しんぱいし、ことに祖国そこくの光ひかり復ふくを憧憬どうけい」したためと述のべている^[11]。

土匪どひによる襲撃しゅうげき: 満まん洲しゅうの土匪どひは1945年ねん11月に国民党こくみんとう軍ぐんが同地どうちへ進出しんしゅつして以降いこう、1946年ねん5月がつにソ連それん軍ぐんが撤収てっしゅうするまで「朝鮮ちょうせん人じんは日本にっぽん鬼子おにごの共犯きょうはん」として虐殺ぎゃくさつを行おこなった^[11]。; 1945年ねん8月がつ22日にち、大連たいれん付近ふきんの村むらでは日本人にっぽんじんとともに朝鮮ちょうせん人じんも襲撃しゅうげきされ、1945年ねん11月には汪ひろし清しん県けん羅ら子こ溝みぞでも朝鮮ちょうせん人じんが虐殺ぎゃくさつされた^[11]。
国共こっきょう内戦ないせん: 国共こっきょう内戦ないせんが再開さいかいすると1946年ねん、長春ちょうしゅんを占領せんりょうした中国共産党ちゅうごくきょうさんとう東北とうほく局きょくおよび朝鮮ちょうせん人じん部隊ぶたい(東北とうほく民主みんしゅ連れん軍ぐん吉よし遼りょう軍ぐん区く第だい一いち旅団りょだん第だい一いち団だん、兵力へいりょく2000)と国民党こくみんとう軍ぐんが戦闘せんとう、中共ちゅうきょう軍ぐんは撤退てったいすると、1946年ねん5月がつ23日にちに長春ちょうしゅんで朝鮮ちょうせん人じん兵士へいしらが虐殺ぎゃくさつされた^[11]。; 1946年ねん5月がつにソ連それん軍ぐんが撤収てっしゅうを開始かいしすると、東ひがし安やす(現げん黒竜江こくりゅうこう省しょう密みつ山やま市し)の郭かく興きょう典てん土匪どひ部隊ぶたいは5月14日にち、東ひがし鮮、東明とうめい、東興とうこうの朝鮮ちょうせん人じん村むらを殲滅せんめつさせ、5月26日にちには東ひがし安城あきで「朝鮮ちょうせん人じんの種たねを無なくす」といいながら数すう百ひゃく人にんの朝鮮ちょうせん人じんが大量たいりょう虐殺ぎゃくさつされた^[11]。北きた満まん洲しゅうの牡丹ぼたん江こうの朝鮮ちょうせん人じん村むらオハリムでは朝鮮ちょうせん人じんは「二に等とう公民こうみん」として全滅ぜんめつさせられた^[11]。5月28日にちには吉林きつりん省しょうで国民党こくみんとう軍ぐんが「高こう麗人れいじんは皆みな共産党きょうさんとうで八はち路ろ軍ぐん」であるとして朝鮮ちょうせん人じんに強制きょうせい労働ろうどうを強しいたり婦女ふじょ暴行ぼうこうを行おこなった^[11]。; 1946年ねん12月に中共ちゅうきょう軍ぐんの周しゅう保たもつ中なかは「延のべ辺べ朝鮮ちょうせん民族みんぞく問題もんだい」という演説えんぜつで「中国人ちゅうごくじんは三さん等とう国民こくみんだったから、解放かいほう当時とうじ、一般いっぱん的てきに報復ほうふく心理しんりが存在そんざいした」と述のべた^[11]。
残留ざんりゅう朝鮮ちょうせん人じん: 中国共産党ちゅうごくきょうさんとうは1946年ねんから1948年ねんにかけて在ざい満みつる朝鮮ちょうせん人じんを満まん洲しゅうに定着ていちゃくさせるために帰農きのう運動うんどうを展開てんかいし、土地とち配分はいぶんなどを行おこない、残留ざんりゅうした朝鮮ちょうせん人じんも多おおく、また朝鮮ちょうせん人じん日本にっぽん兵へいとして出征しゅっせいしていた子この帰還きかんを待まつため残留ざんりゅうした朝鮮ちょうせん人じんもいた^[11]。1951年ねん時点じてんで中国ちゅうごく朝鮮ちょうせん族ぞくは1,068,839人にんとなった^[11]。
在ざい満みつる台湾たいわん人じん: また、満まん洲しゅう国こく政府せいふには多おおくの台湾たいわん人じんが官吏かんりとして採用さいようされていたため（新しん京きょう市長しちょうは台湾たいわん人じん）彼かれらの台湾たいわん引ひき揚あげも問題もんだいとなったが、そのことは日本にっぽんでは殆ほとんど語かたられていない。

中国ちゅうごく国民党こくみんとう政権せいけんによる送還そうかん

詳細しょうさいは「葫にんにく芦あし島とう在留ざいりゅう日本人にっぽんじん大だい送還そうかん」を参照さんしょう

中国ちゅうごく国民党こくみんとうは1946年ねん5月がつから日本人にっぽんじん送還そうかんを開始かいしした。

1946年ねん12月には米べい軍ぐんと国民党こくみんとうによって在ざい満みつる朝鮮ちょうせん人じん2483人にんが南朝鮮みなみちょうせんに帰還きかんした^[11]。

中国ちゅうごくからの引揚ひきあげは1953年ねん3月23日にちに再開さいかいされ、「興安丸こうあんまる」「高砂たかさご丸まる」が3,968人にんを乗のせて舞鶴まいづるに入港にゅうこうした。

台湾たいわんからの引揚

詳細しょうさいは「台湾たいわんからの引ひき揚あげ」を参照さんしょう

終戦しゅうせん時じにおける在ざい台湾たいわん日本人にっぽんじんは、軍人ぐんじんが16万まん6000人にんあまりを含ふくめて48万まん8000人にんあまりであった。国民党こくみんとう政権せいけんは「台湾たいわん官かん兵へい善後ぜんご連絡れんらく部ぶ」を設もうけ、安藤あんどう総督そうとくが部長ぶちょう、須田すだ農みのり商務しょうむ局長きょくちょうが副ふく部長ぶちょうに任命にんめいされた。実際じっさいの業務ぎょうむは副ふく部長ぶちょうがあたった。引揚は軍人ぐんじんから始はじめられ1946年ねん2月がつに完了かんりょうした。一般人いっぱんじんについては、日本にっぽん国内こくないにおける食糧難しょくりょうなんをはじめとする混乱こんらんを恐おそれたこと、台湾たいわんの生活せいかつになじんでいること、台湾たいわん人じんからの報復ほうふくもなかったことから、約やく20万まん人にんが台湾たいわんにとどまることを希望きぼうした。しかし、国民党こくみんとう政権せいけんは、インフレ等とうの社会しゃかい問題もんだいの発生はっせいもあり、大量たいりょうの日本人にっぽんじんが台湾たいわんに残留ざんりゅうすることを望のぞまなかった。一般人いっぱんじんの引揚は1946年ねん4月がつ20日はつかに完了かんりょうした。引揚者しゃ一いち人にんあたり現金げんきん1000円えん、途中とちゅうの食糧しょくりょう、リュックサック2つ分ぶんの必需ひつじゅ品ひんの持もち出だしのみ許ゆるされた。台湾たいわんからの引揚者しゃは46万まん人にん弱じゃくであった。国民党こくみんとう政権せいけんが必要ひつようだとして2万まん2000人にん弱じゃくの技術ぎじゅつ者しゃや教師きょうしが「抑留よくりゅう者しゃ」として一時いちじ台湾たいわんに残のこされた^[12]。