アトゥム

アトゥム
ヒエログリフ表記ひょうき
信仰しんこうの中心地ちゅうしんち	ヘリオポリス
配偶はいぐう神しん	イウサアセトまたはネベトヘテペト
子供こども	シューとテフヌト

アトゥム（Atum）はエジプト神話しんわにおける創造そうぞうの神かみ。ヘリオポリス九きゅう柱はしら神しんに数かぞえられる。アトム（Atmu）、アテム（Atem）、トゥム（Tum）、テム（TemuもしくはTem）とも呼称こしょうされる。

概要がいよう

アトゥムは、原初げんしょの水みず「ヌン」より生うまれ、 他たの神かみ々を生うみ出だした存在そんざい。自慰じいによって大気たいきの神かみ・シューと、湿気しっけの女神めがみテフヌトを生うんだ。独力どくりょくで他たの神かみ々を生うみ出だしたため両性りょうせい具有ぐゆうの神かみとされる。 基本きほん的てきには人間にんげんの姿すがたをしており、二に重じゅう王冠おうかんを被こうむり、アンクとウァス杖つえを手てにした姿すがたで描えがかれる。

信仰しんこうと習合しゅうごう

アトゥムは、古代こだいエジプト人じんたちが最もっとも原初げんしょに近ちかい生物せいぶつとして認識にんしきしていた「蛇へび」の姿すがたをして誕生たんじょうした。蛇へびは、死しを運はこぶ忌いまわしく強力きょうりょくな力ちからを持もつ畏怖いふすべき存在そんざいであると同時どうじに脱皮だっぴによって無限むげんに死しと再生さいせいを繰くり返かえす、生命せいめいを象徴しょうちょうする存在そんざいでもあった。また、闇やみを払はらって世界せかいに光ひかりをもたらしたアトゥムは太陽たいよう信仰しんこうとも結むすびつき、太陽たいよう神しんラーと習合しゅうごうした結果けっか、「ラー・アトゥム」となり、中ちゅう王朝おうちょう時代じだいにアメンとラーが習合しゅうごうされるようになると、アトゥムとも同一どういつ視しされるようになった。

アトゥム信仰しんこうは、下しもエジプト第だい13ノモスの州都しゅうとヘリオポリスで起おこったとされる。その成立せいりつ年代ねんだいははっきりしないが、おそらくヘリオポリスが都市としとしての役割やくわりを果はたすようになった頃ころには、既すでに創造そうぞう神しんとして崇あがめられていた。他ほかにも上うえエジプト第だい2ノモスのエドフなど、ナイル川がわ西岸せいがんの都市としやナイル川がわ下流かりゅうのデルタ地帯ちたいのいくつかの都市としで信仰しんこうされていた。 ヘリオポリスには、太陽たいよう神しんであるアトゥムを象徴しょうちょうするベンベン石いしがあり信仰しんこうの対象たいしょうとなっていた。アトゥムは、この石いしの上うえに立たち世界せかいを照てらしたとされる。しかし後のちにこの石いしは、太陽たいよう神しんとして信仰しんこうされたラーやアメンを象徴しょうちょうすることになるなど、あらゆる太陽たいよう神しん信仰しんこうの根底こんていにあったもののアトゥム独自どくじの祭礼さいれいが行おこなわれることはなかった。

関連かんれん項目こうもく

• ヌン…アトゥムが誕生たんじょうした「原初げんしょの水みず」。
• ケプリ…習合しゅうごうした太陽たいよう神しん。
• ラー…習合しゅうごうした太陽たいよう神しん。
• アメン…アトゥムの神格しんかくを取とり込こんだ神かみ。
• シュー…アトゥムの子こにあたる大気たいきの神かみ。
• テフヌト…アトゥムの子こにあたる湿気しっけの神かみ。