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エンドゲーム・スタディ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

エンドゲームスタディあるいはたんスタディとは、一種いっしゅ問題もんだいとして提示ていじされるつくものの(つまり実戦じっせんからられたのではなく創作そうさくされた)チェス局面きょくめんで、一方いっぽう通常つうじょうしろ)が他方たほうのいかなるたいしてもつ(またはける)手順てじゅん解答かいとうとしてもとめるものをう。なお、エンドゲームスタディはエチュードばれることもある。

概要がいよう[編集へんしゅう]

エンドゲームスタディは、つくられた局面きょくめんでありしゅ具体ぐたいてき課題かだいあたえるというてんでは、たとえば「あらゆる防御ぼうぎょたいしてくろを2でメイトせよ」という解答かいとう条件じょうけんしめチェス・プロブレムともている。しかし、プロブレムがきわめて人工じんこうてきえる局面きょくめんであることがおおいのにたいして、スタディは実戦じっせん対局たいきょく出現しゅつげんしそうな局面きょくめんしめすことがおおい。

スタディにもすぐれたスタディ(完全かんぜんさく)の条件じょうけんがあり、プロブレムとおなじようにかい唯一ゆいいつでなくてはならない。しろちまたはけを実現じつげんするじょうで、正解せいかい手順てじゅんにおけるしろはどの分岐ぶんきてんでも唯一ゆいいつでなければならないと主張しゅちょうするものもいるが、些細ささい限定げんてい手順てじゅん(たとえば、ナイトのうごきがb1-c3-b5とb1-a3-b5のどちらでもいいような場合ばあい)を不問ふもんにするものもいる。

スタディの分類ぶんるいにはさまざまな方法ほうほうこころみられてきた。一般いっぱんてきもちいられている分類ぶんるいコードとしてGBRコードがある。

歴史れきし[編集へんしゅう]

スタディは、現代げんだいのルールのチェスよりもむかしから存在そんざいしていた。シャトランジのスタディは9世紀せいき稿本こうほんられるし、ルイス・ラミレス・ルセナペドロ・ダミアーノ15世紀せいき後半こうはん16世紀せいき前半ぜんはん)などによる現代げんだいチェスの初期しょき稿こうにもスタディがふくまれている。しかしこれらのスタディには、局面きょくめん実戦じっせんちかづけるために、実際じっさい解答かいとうには無関係むかんけいかざこまふくむものがおおい(現代げんだいのスタディではけっしてふくまれない)。これらの局面きょくめんは、さまざまな名前なまえばれていた。たとえばダミアーノは「subtelties」とんでいた。これをはじめて「スタディ」のんだのは、ヨセフ・クリングベルンハルト・ホルヴィッツ1851ねん出版しゅっぱんした『Chess Studies』とおもわれる。同書どうしょ現代げんだいのエンドゲームスタディの嚆矢こうしなされることがある。スタディという形式けいしきは19世紀せいき後半こうはん芸術げいじゅつへと昇華しょうかしていったとかんがえられており、このてんではとくに、A. A. トロイツキー、アンリ・リンクといったさくきょく(composer)が重要じゅうようである。

トロイツキー、リンク、ゲンリフ・カスパリアンなどほとんどのさくきょくは、スタディの作品さくひんでのみ有名ゆうめいであり、実戦じっせんのプレイヤーとしてはあまり有名ゆうめいでない。しかしエマーヌエール・ラスカーリカルド・レチヤン・ティマンのように、実戦じっせんさくきょく両方りょうほう有名ゆうめいものもいる。

例題れいだい[編集へんしゅう]

Richard Réti
Ostrauer Morgenzeitung, Dec. 4th 1921
abcdefgh
8
h8 white king
a6 black king
c6 white pawn
h5 black pawn
8
77
66
55
44
33
22
11
abcdefgh
しろさき

みぎにあるはリカルド・レチによるスタディであり、きわめて有名ゆうめいなスタディのひとつである。しろさきけ。一見いっけんしたところ、不可能ふかのうのようにえる。しろキングくろポーンたんってもれないし(たとえば、1. Kh7 h4 2. Kh6 h3)、しろのポーンを昇格しょうかくさせようとしてもすぐられてしまう(1. c7 Kb7)からである(こまりが K たい K+Q ではけ)。

しかし、キングが2つの方向ほうこううご可能かのうせいをうまく利用りようする(つまりくろのポーン、しろのポーンの両方りょうほうちかづくようにすすむ)ことで、しろけにめる。解答かいとうは 1. Kg7! h4 (1. ... Kb6 としても 2. Kf6! h4 3. Ke5! でおなじ)2. Kf6! Kb6 (2. ... h3 なら 3. Ke6 でしろのポーンが昇格しょうかくでき、こまりが K+Q たい K+Q のためけ) 3.Ke5! ...である。ここで 3. ... Kxc6 とすると 4. Kf4 でくろのポーンはられることが確定かくていし、け。また 3. ... h3 4. Kd6 ならしろのポーンが昇格しょうかくできる。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • Irving Chernev, 200 Brilliant Endgames,ISBN 0-486-43211-4 - 国内こくないでも入手にゅうしゅしやすいほん
  • John Beasley and Timothy Whitworth, Endgame Magic (Batsford, 1996) ISBN 0805047271- スタディの手引てびきとなるほん
  • Flemish miniatures. 123 chess endgame studies, composed, compiled and published by Ignace Vandecasteele, Julien Vandiest and Roger Missiaen, 1998, ARVES ‘book of the year’ 1997, ISBN 90-901161-2-5 - フレミッシュ・エンドゲーム・コミュニティの3にんによるスタディ。
  • 360 Brilliant and Instructive End Games, by A. A. Troitzky, 1968, Dover Pubns. ISBN 0-486-21959-3 - トロイツキーによる360もんのスタディと2のナイトたい1個いっこのポーンの解析かいせき
  • A. J. Roycroft, Test Tube Chess (Faber, 1972),ISBN 978-0811717342 - スタディの概観がいかんしめす。433もん例題れいだいき。入手にゅうしゅ困難こんなん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]