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定石じょうせき

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囲碁いごで)定石じょうせき、(将棋しょうぎで)定跡じょうせき(じょうせき)とは、むかしから研究けんきゅうされてきて最善さいぜんとされる、きまったかた[1]一連いちれん)。

囲碁いご将棋しょうぎだけにかぎらず、アブストラクトゲーム全般ぜんぱんひろ存在そんざいする概念がいねん用語ようごであり、いしもちいる囲碁いごオセロ連珠れんじゅなどでは「定石じょうせき」と「いし」という漢字かんじもちい、こまもちいる将棋しょうぎ、チェスなどでは「定跡じょうせき」と「あと」という漢字かんじもちいられる。チェスでは「オープニング」とあらわす。また、中国ちゅうごくでは、「定式ていしき」という。

一般いっぱん用語ようごとしても「セオリー」という意味いみ転用てんようされており、この場合ばあい定石じょうせき」と表記ひょうきする。

囲碁いご定石じょうせき[編集へんしゅう]

囲碁いごにおける定石じょうせきとは、おも碁盤ごばんすみにおけるワンセットの応酬おうしゅうのことをし、布石ふせき重要じゅうよう一部いちぶす。「定石じょうせき」という場合ばあい双方そうほう最善さいぜんくし、互角ごかくとなることが基本きほんである(これを囲碁いご用語ようごで「互角ごかくのワカレ」という)。あくまでも「部分ぶぶんてき」に互角ごかくであり、部分ぶぶんはいせき次第しだいでは、定石じょうせきどおりにってもわる結果けっかになることがある。

初級しょきゅうしゃでも使つかいこなせるすう程度ていど簡明かんめい定石じょうせきおおいが、長手ながてじゅん変化へんかおお難解なんかい定石じょうせき存在そんざいする。前者ぜんしゃとしてはツケノビ定石じょうせきツケヒキ定石じょうせきなど、後者こうしゃとしては、むらせい妖刀ようとうだいはす定石じょうせきナダレ定石じょうせきなどが有名ゆうめいである。

定石じょうせきまな意義いぎ[編集へんしゅう]

定石じょうせきまなぶのは、つめ棋譜きふならべや実戦じっせんならんで囲碁いご上達じょうたつ基本きほんとされている。ただしたんなるまる暗記あんきではなく、その一手いっていち意味いみかんがえながら定石じょうせきまなぶことが重要じゅうようである。定石じょうせき一手いっていちは、それ自体じたい手筋てすじ応酬おうしゅうであり、これをまなぶことでさまざまな場面ばめん応用おうよう手法しゅほうかたちにつけることができる。

一手いっていち意味いみ理解りかいせず、ただまる暗記あんきするだけでは、途中とちゅう定石じょうせきはずされてわる結果けっかまねくこともある。「定石じょうせきおぼえてよわくなり」とは、こうしたことを揶揄やゆした川柳せんりゅうである。

定石じょうせきれい[編集へんしゅう]

ほし代表だいひょうてき定石じょうせきれいしろ1のカカリたいくろ2としょうゲイマにけ、しろ3のスベリくろ4のさんけ、しろ5のヒラキまでが定石じょうせきとされる。黒白くろしろ双方そうほうともひとまず安定あんていきゅうめをけないため、ここまで一段落いちだんらくかうことになる。

ただし前述ぜんじゅつのように、周囲しゅうい状況じょうきょうことなれば、部分ぶぶんてき定石じょうせきであってもかならずしも互角ごかくとはならない。くろ下辺かへん重視じゅうししたければくろ4のでaへのハサミやbへのツケなどのかんがえられる。しろもこれをきらえば、しろ3でたんしろ5の位置いちや、下辺かへんほしへヒラくなどもある。

定石じょうせき変化へんか[編集へんしゅう]

定石じょうせき不変ふへんのものではなく、プロ・アマチュアの棋士きしたちによって研究けんきゅうつづけられており、改変かいへん創造そうぞう棄却ききゃく見直みなおしがつねおこなわれている。あたらしいされたことで評価ひょうか一変いっぺんし、すたれてしまった定石じょうせきおおい。

定石じょうせきにも流行りゅうこうがあり、時代じだいによっておおきく変化へんかする。人工じんこう知能ちのう登場とうじょう以降いこうは、その着手ちゃくしゅ人間にんげん棋士きしれ、ひろ使つかわれるようになっている。たとえばうえげた定石じょうせきは、20世紀せいきにはプロの対局たいきょくにも頻出ひんしゅつする基本きほん定石じょうせきであったが、21世紀せいきからはあらたな手法しゅほう開発かいはつたれることがった。人工じんこう知能ちのう出現しゅつげんは、下図したずのようにしろ3から5とツケバネする有力ゆうりょくされるようになり、aへのスベリは激減げきげんしている。

参考さんこう図書としょ[編集へんしゅう]

  • 定石じょうせきだい事典じてん じょうした日本棋院にほんきいん
  • 鈴木すずき為次郎ためじろう囲碁いごだい辞典じてん』(ぜん6さつまことぶんどう新光しんこうしゃ
  • 呉清源ごせいげん現代げんだい定石じょうせき活用かつよう辞典じてん』(ぜんさんかんまことぶんどう新光しんこうしゃ
  • 石田いしだ芳夫よしお基本きほん定石じょうせき事典じてん うえした日本棋院にほんきいん
  • 高尾たかおしん新版しんぱん 基本きほん定石じょうせき事典じてん うえした日本棋院にほんきいん
  • 山部やまべ俊郎としお監修かんしゅう現代げんだい定石じょうせき事典じてん平凡社へいぼんしゃ
  • 小林こばやし光一こういち囲碁いご定石じょうせき事典じてんすじかたちつよくなる』学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ
  • しんはやわかり互先たがいせん定石じょうせきしょう事典じてん』『しんはやわかりぼし定石じょうせきしょう事典じてん日本棋院にほんきいん
  • 大竹おおたけ英雄ひでお定石じょうせき選択せんたく碁盤ごばんおおきく使つかう (有段者ゆうだんしゃシリーズ) 』土屋つちや書店しょてん

オセロの定石じょうせき[編集へんしゅう]

対局たいきょくにおいて、互角ごかくとなるとかんがえられているかた手順てじゅん動物どうぶつ名前なまえけられているものがおおいが、動物どうぶつ以外いがいかたち見立みたてて名前なまえけられたもの、考案こうあんしゃ愛用あいようしゃかんされているものもある。互角ごかくでなくても、定石じょうせきばれるものもおおい。

連珠れんじゅ定石じょうせき[編集へんしゅう]

将棋しょうぎ定跡じょうせき[編集へんしゅう]

序盤じょばん定跡じょうせきされており、選択せんたくによって、先手せんて有利ゆうり後手ごて有利ゆうりなどの変化へんかしょうじる。戦法せんぽうによっては終盤しゅうばんまで定跡じょうせきされていることもある。これらは日々ひび専門せんもん実戦じっせんによって変化へんかしている。

江戸えど時代じだいからの傾向けいこうで、定跡じょうせき書籍しょせき/棋書たとえば『将棋しょうぎどく稽古けいこ』(1758ねんたかられき8ねん)では、こまよう戦術せんじゅつ平手ひらてではたい飛車ひしゃかい飛車ひしゃよんあいだ飛車ひしゃ)など、戦法せんぽう定跡じょうせきりで紹介しょうかいされており、これらの戦法せんぽう手段しゅだん現代げんだいまでもがれている。

チェスの定跡じょうせき[編集へんしゅう]

チェスの序盤じょばんにおける定跡じょうせきとくオープニングばれ、シシリアン・ディフェンスなど固有こゆうめいによる分類ぶんるいほかECOコードばれる分類ぶんるい記号きごうひろ使つかわれている。

チェスの場合ばあい終盤しゅうばんけてこますくなくなっていくため、終盤しゅうばんについてもつねかたち局面きょくめん研究けんきゅうされており、これも定跡じょうせきということができる。とくのここますうりょうキングをふくめて7以下いか局面きょくめんについては、コンピュータ解析かいせきによってすべて最善さいぜん手順てじゅんもとめられ、データベースされている。

チェッカーの定跡じょうせき[編集へんしゅう]

チェッカーにおいては定跡じょうせきからつらなる組合くみあわせはすべ調しらくされ、先後せんごたがいに最善さいぜんしゅすとけにわるとの結論けつろんがでている。

コンピュータチェス、コンピュータ将棋しょうぎなどが定跡じょうせきデータ[編集へんしゅう]

コンピュータチェスコンピュータ将棋しょうぎなどのアプリケーションソフトウェアは、定跡じょうせきデータベースとしてもっていて、序盤じょばんでは定跡じょうせきどおりにしていく。その目的もくてきは2つある。

  • 序盤じょばんでの消費しょうひ時間じかんすくなくする。
  • 序盤じょばんでのミスを回避かいひする。

データベースに記憶きおくされている定跡じょうせき(のながさ)にはかぎりがある。中盤ちゅうばんはいって定跡じょうせき末端まったんまで到達とうたつしてしまうと、それ以降いこうプログラム計算けいさんによるになり、コンピュータのプログラム本来ほんらい強弱きょうじゃく発揮はっきされる。

上記じょうき状況じょうきょうは、コンピュータ囲碁いごコンピュータオセロなどでも同様どうようである。

ただしチェスにおいては前述ぜんじゅつのとおり終盤しゅうばんについても定跡じょうせきがあり、とくこますうすくない局面きょくめんについてはほぼ網羅もうらてき研究けんきゅうしつくしたデータベース(「テーブルベース」とばれる)が構築こうちくされている。コンピュータチェスでもこの終盤しゅうばんデータベースを利用りようすることでわずかな消費しょうひ時間じかん完璧かんぺきなプレイをくだりなえるものがおおい。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 大辞泉だいじせん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]