elmo囲がこい

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9	8	7	6	5	4	3	2	1
									一いち
									二に
									三さん
									四よん
									五ご
		歩ふ		歩ふ					六ろく
歩ふ	歩ふ		歩ふ	銀ぎん					七なな
	角かく	玉たま	銀ぎん						八はち
香こう	桂かつら	金きむ		金きむ					九きゅう

elmo囲がこいの一いち例れい

elmo囲がこい（エルモがこい）とは、将棋しょうぎの囲がこいの一ひとつである。対抗たいこう形がたにおける居きょ飛車ひしゃ側がわの玉たま形がたとして用もちいられる囲がこいで、コンピュータ将棋しょうぎソフトのelmoが対たい振ふり飛車ひしゃでの居きょ飛車ひしゃ側がわの囲がこいとして多おおく採用さいようしたことからこの呼称こしょうが定着ていちゃくするようになった。

概要がいよう

将棋しょうぎプログラム・elmoによる採用さいようをきっかけに定着ていちゃくした囲がこいで、対抗たいこう形がたにおける居きょ飛車ひしゃ側がわの新あらたな囲がこい方かたとして注目ちゅうもくを集あつめた。居きょ飛車ひしゃ側がわは7八はち玉たま・6八はち銀ぎん・7九きゅう金きん型がたに陣形じんけいを組くみ、機きを見みて右みぎ金きんを多おおくの場合ばあいは5八はちではなく5九きゅうに寄よせることで、金銀きんぎん3枚まいが連結れんけつした連携れんけいの良よい布陣ふじんが構築こうちくされる。

elmo（エルモ）は2017年ねんの世界せかいコンピュータ将棋しょうぎ選手権せんしゅけんで優勝ゆうしょうし、さらにフリーで公開こうかいされたことで多おおくの棋士きしが研究けんきゅうに取とり入いれるようになった将棋しょうぎソフトである。2020年ねん4月がつ1日にちには、第だい47回かい将棋しょうぎ大賞たいしょうにて升田ますだ幸三こうぞう賞しょうに選えらばれた。コンピュータ将棋しょうぎソフトが受賞じゅしょうするのは初はつである。

エルモ囲がこい急戦きゅうせんは、主おもに角かく道どうを止とめた振ふり飛車ひしゃに対たいして多おおく使つかわれる。それまであまり使つかわれていなかった玉たまの囲かこい方かたをエルモが好このみ、それが優秀ゆうしゅうということで注目ちゅうもくされた。

下図したずが三さん間あいだ飛車ひしゃに対たいして用もちいられる局面きょくめんのひとつである。エルモ囲がこいの骨子こっしはこの▲7九きゅう金きんと寄よった手てで、玉たまの下したに金かねがいる形かたちは安定あんてい感かんがある。従来じゅうらいの囲がこいは▲6九きゅう金きんをそのままにして4九きゅうの金かねを5八はちに上あがることが多おおかったが、中央ちゅうおうが手厚てあつい半面はんめん、将来しょうらい的てきに△9九きゅう角かく成なりと馬うまを作つくられるようになった時ときや、8七ななの地点ちてんを狙ねらわれた時ときに、玉たまが一気いっきに危険きけんになってしまっていた。それに比くらべるとエルモ囲がこいは8八はちをカバーしているだけでなく、6九きゅうからの逃走とうそうルートもあるため玉たまが広ひろく、簡素かんそながら見みた目め以上いじょうに耐久たいきゅう力りょくのある囲がこいになっている。4九きゅうの金かねはそのままか、展開てんかいによって▲5九きゅう金きんや▲5八はち金きんで固かためていく。▲5九きゅう金きんと寄よった形かたちは従来じゅうらい見みない格好かっこうであったが、金銀きんぎんの連結れんけつが良よく意外いがいに堅かたい。

持もち駒ごま　なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1   香こう 桂かつら   金きむ       桂かつら 香こう 一いち   王おう 銀ぎん   金きむ   飛ひ     二に   歩ふ 歩ふ 歩ふ   銀ぎん 角かく 歩ふ 歩ふ 三さん 歩ふ       歩ふ 歩ふ 歩ふ     四よん             歩ふ 歩ふ   五ご 歩ふ   歩ふ   歩ふ 銀ぎん       六ろく   歩ふ   歩ふ   歩ふ     歩ふ 七なな   角かく 玉たま 銀ぎん       飛ひ   八はち 香こう 桂かつら 金きむ     金きむ   桂かつら 香こう 九きゅう 持もち駒ごま　なし ▲図ずは3五ご歩ほまで 図ず1　elmo囲がこい急戦きゅうせんの例れい1

持もち駒ごま　なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1   香こう 桂かつら   金きむ       桂かつら 香こう 一いち   王おう 銀ぎん   金きむ   飛ひ     二に   歩ふ 歩ふ 歩ふ   銀ぎん 角かく 歩ふ 歩ふ 三さん 歩ふ       歩ふ 歩ふ 歩ふ     四よん           歩ふ   歩ふ   五ご 歩ふ   歩ふ   歩ふ   歩ふ     六ろく   歩ふ   歩ふ 銀ぎん       歩ふ 七なな   角かく 玉たま 銀ぎん       飛ひ   八はち 香こう 桂かつら 金きむ     金きむ   桂かつら 香こう 九きゅう 持もち駒ごま　なし ▲図ずは4五ご歩ほまで 図ず2　elmo囲がこい急戦きゅうせんの例れい2

右みぎの金かねを攻せめに繰くり出だす4六ろく金きん戦法せんぽうや棒ぼう金きん戦法せんぽうで昭和しょうわの時代じだいにもこの7九きゅう金きんの囲がこいは指さされていた。ただし金かね2枚まいで囲かこえない状況じょうきょうでコンパクトな囲がこいを求もとめたもので、現代げんだいのエルモ囲がこい急戦きゅうせんとはやや趣おもむきが違ちがう。

一いち例れいに、図ず1は△5三さん歩ほ-4二に銀ぎん型がた三さん間あいだ飛車ひしゃから△5四よん歩ほ▲4六ろく銀ぎん△4三さん銀ぎん▲3五ご歩ほと進すすむ。三さん間あいだ飛車ひしゃに対たいして3筋すじを攻せめるのは少すこし率りつが悪わるそうであるが、従来じゅうらいの急戦きゅうせんと比くらべて玉たまが堅かたいので、攻せめになればペースをつかむことができる。仕掛しかけとしては4六銀左戦法対四間飛車の急戦きゅうせんに近ちかいが、どこかで後手ごての飛車ひしゃ先さきが直通ちょくつうしても、金かねを4九きゅうに置おいたままなら、成なり込こみを気きにしなくてよいのが強つよみとなっている。図ずから△3五ご同どう歩ふ▲同どう銀ぎんと銀ぎんが進すすめれば先手せんて十分じゅうぶんである。棒ぼう銀ぎん系けいの攻せめは銀ぎんが五ご段だん目めに進出しんしゅつできればさばくめどが立たつので指させるのである。以降いこうは△4二に角かくが一いち例れいで、先手せんては▲3八はち飛ひのような展開てんかいで戦たたかうことが予想よそうされる。

別べつの仕掛しかけもある。図ず2のように△4三さん銀ぎんと上あがった場合ばあいは、▲4六ろく歩ほで角かく交換こうかんを目指めざしにいく。序盤じょばんの駆かけ引ひきで、後手ごてが早はやめに△4三さん銀ぎんを上あがった場合ばあいなどにも有力ゆうりょくである。以下いか△5四よん歩ほ▲4五ご歩ほとぶつけていく。△4五ご同どう歩ふなら▲3三角みすみ成しげる△同どう桂かつら▲2四よん歩ほ△同どう歩ふ▲同どう飛ひで、飛車ひしゃ先さきの突破とっぱに成功せいこうする。△4二に銀ぎん型がたに対たいして▲4六ろく歩ほから▲4五ご歩ほと攻せめても▲3三さん角かく成なりに△同どう銀ぎんがあるため、△4三さん銀ぎん型がたのみに有効ゆうこうな攻せめ筋すじである。図ず2では△4二に飛ひと歩ふのぶつかった筋すじに飛車ひしゃを振ふることになり、先手せんては▲3七なな桂かつらで攻せめに厚あつみを加くわえる手てや、▲5九きゅう金きんと寄よって飛車ひしゃのにらみをかわしておくかなどもある。こちらの仕掛しかけは四よん間あいだ飛車ひしゃ対たい4五ご歩ほ早はや仕掛しかけに近ちかい。

このようにエルモ囲がこい急戦きゅうせんは、相手あいての出方でかた次第しだいで仕掛しかけのパターンも変かわっていく。まだ出で始はじめたばかりで定跡じょうせきも整備せいびされておらず、これからの数すう年ねんでどんどん進化しんかしていくとみられる。

参考さんこう文献ぶんけん

• 2019年ねん4月がつ11日にち初版しょはん発売はつばい 村田むらた顕あらわ弘ひろし著ちょ「対たい振ふり飛車ひしゃの大だい革命かくめい エルモ囲がこい急戦きゅうせん」（マイナビ将棋しょうぎBOOKS)

外部がいぶリンク

• エルモ囲がこい 日本にっぽん将棋しょうぎ連盟れんめい - 将棋しょうぎコラム