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かく交換こうかん飛車ひしゃ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
将棋しょうぎ > 将棋しょうぎ戦法せんぽう > 飛車ひしゃ > かく交換こうかん飛車ひしゃ

かく交換こうかん飛車ひしゃ(かくこうかんふりびしゃ)とは将棋しょうぎ戦法せんぽうで、飛車ひしゃそくかくみちめず、あるいは飛車ひしゃがわからかく交換こうかんおこなった状態じょうたいこまみをする戦法せんぽうである[1]

概要がいよう[編集へんしゅう]

伝統でんとうてきかくどうめる飛車ひしゃけの戦法せんぽうであり、かく交換こうかんけるものという意識いしきがあった[1][2]

しかし、きょ飛車ひしゃ穴熊あなぐま台頭たいとうにより、飛車ひしゃ勝率しょうりつ低下ていかしていった。その藤井ふじいシステム出現しゅつげんによって一時いちじ飛車ひしゃかえしたものの、きょ飛車ひしゃがわ対策たいさくすすんでいった。そんななかゴキゲンちゅう飛車ひしゃ登場とうじょうし、ちゅう飛車ひしゃかぎらず飛車ひしゃがわかくどうめずにめるというあたらしい感覚かんかくまれた[2]。その飛車ひしゃみずかさい序盤じょばんにもかかわらずかく交換こうかんをする作戦さくせんまれている[1]

鈴木すずき大介だいすけ (2009) によれば、飛車ひしゃ戦法せんぽううものは2まいこまさばく(交換こうかんなどによってこま使つかいやすくする、または役目やくめまっとうさせるとおこなった意味いみ)こと最低限さいていげん目標もくひょうであるが、かく交換こうかん飛車ひしゃみずかかく交換こうかんすることにより、序盤じょばん早々そうそうにこの目的もくてきなかばを達成たっせいできると意味いみがあるという[* 1][3]。また、かく交換こうかん、しかも後手ごてがわからのかく交換こうかんは、後手ごてであるうえにさらに1そんをするため旧来きゅうらい感覚かんかくではありない作戦さくせんであったが、一手いってそんかくわり戦法せんぽう流行りゅうこうによって棋士きしたちが序盤じょばんの1そんはそれほどたいしたそんではないと体感たいかんするようになったことが、本戦ほんせんほうみとめられた理由りゆうであったようだという[3]。またかくどうめずに3三角さんかくがるは2009ねんからて15ねんほどまえ、つまり1994ねんあたりからられていた。このはそのかく交換こうかん飛車ひしゃむすびついたという[4]

鈴木すずき前掲ぜんけいしょによれば、この戦法せんぽう要点ようてんは、基本きほんてき後手ごてばん戦法せんぽうであること[3]飛車ひしゃがわほう手詰てづまりにおちいりにくいこと[3]、2すじ飛車ひしゃかい飛車ひしゃのかたちがこのましいこと[3]ひだりかねたまからはなれるかたちになるがそれでもなおきょ飛車ひしゃよりたままもりはかたいこと[3]序盤じょばんねらいがわかりやすいこと[3]、およびきょ飛車ひしゃがわ穴熊あなぐまがこみにくくなること[3]などである。なお鈴木すずきは、2009ねん時点じてんでは旧来きゅうらいかくどうめる飛車ひしゃは、プロ棋士きし界隈かいわいにおいては「めっきりってしまった」としている[3]

かく交換こうかん飛車ひしゃれい[編集へんしゅう]

石田いしだりゅうさんあいだ飛車ひしゃ[編集へんしゅう]

石田いしだりゅうのうち、はや石田いしだ升田ますだしきしん石田いしだりゅうなど。

かく交換こうかんがたちゅう飛車ひしゃ[編集へんしゅう]

ごま かく
987654321 
こうかつら   きむ かつらこういち
   きむ おう  
 ぎんぎん さん
      よん
       
  ぎん     ろく
かつら なな
  きむ  ぎんたま はち
こう    きむ かつらこうきゅう
ごま なし
987654321 
こうかつらぎんきむおうきむぎんかつらこういち
      かく 
   さん
       よん
        
       ろく
かく なな
        はち
こうかつらぎんきむたまきむぎんかつらこうきゅう
ごま なし
987654321 
こうかつら きむおうきむぎんかつらこういち
  ぎん   かく 
   さん
       よん
        
       ろく
かく なな
   ぎんたま   はち
こうかつら きむ きむぎんかつらこうきゅう
ごま かく
987654321 
こうかつら きむ きむ かつらこういち
  ぎん おう ぎん 
   さん
       よん
        
       ろく
  なな
 ぎん   たま  はち
こうかつら きむ きむぎんかつらこうきゅう

ちゅう飛車ひしゃ先手せんてとして、1-aのようにかく交換こうかん、▲6ろくぎん-▲7ななかつら-▲7はちきんかたちにしてたたかなか飛車ひしゃ。このかまえならば原始げんしちゅう飛車ひしゃよりも反撃はんげきされにくく、ツノぎんがたちがってきょ飛車ひしゃがわかく交換こうかんからの△3~△3よんかくなどのすじがない。

ちゅう飛車ひしゃがわねらいは5からの交換こうかんひだりぎんを7配置はいちしての8すじ逆襲ぎゃくしゅうなどがある。たとえば1-aからきょ飛車ひしゃがわが△8ろくどうどうならば、▲5きゅう~▲7ぎん~▲8など。1-aへのすすかたは、1-bから1-cのように 6はちぎんかまえて後手ごてがわから交換こうかんさせて(先手せんては▲8八角はっかく~▲7ななかくとしているので、後手ごてからかく交換こうかんしてもそんにはならない)ぎんを7なな~6ろくっていくかたや、1-dのようにちゅう飛車ひしゃがわから2そんかく交換こうかんするかたとある。相手あいてからかく交換こうかんさせるなか飛車ひしゃ阪口さかぐちさとる愛用あいようしているなか飛車ひしゃで「ワンパクりゅうちゅう飛車ひしゃ」ともばれ、『週刊しゅうかん将棋しょうぎ』においても2006ねん6がつから10がつにかけて連載れんさいされていた。かくすじとおしたまま5すじらず▲7ななかくから▲6はちぎんがり、かくどうけておいて、きょ飛車ひしゃかく交換こうかんにくれば▲どうぎんとなると、通常つうじょうかく交換こうかんがたちゅう飛車ひしゃよりもいちとくになっている。そのあと陣形じんけいを▲6ろくぎん~7ななかつら~7はちきんから▲7ぎん~8きゅうぎんがるまえかく交換こうかんには▲どうかつらとし、そのあと5すじ交換こうかんしてから▲5きゅう~6ろく~6ななぎん~7はちきんとツノぎんかたちから▲8きゅうと8すじ展開てんかいして、逆襲ぎゃくしゅうするねらいがある。

1-cでは△7ななかくなりに▲どうかつらとしてヒラメにして方法ほうほうもある(1-aのかたちでもひだりきんを7はちではなく5きゅううごかせばヒラメにもなる)。

また1-dのように▲8はちぎんとしておけば、5交換こうかんができる(△4よんかくかない)。1-dのようにちゅう飛車ひしゃがわが7ななかくげてから、ちゅう飛車ひしゃがわからはやめにかく交換こうかんするかたは、前田まえだ祐司ゆうじ愛用あいようしていたので「前田まえだりゅう」というけられている。以下いか5交換こうかんし、後手ごてが△5よんたなければ、先手せんて安易あんい飛車ひしゃかずに5にいて、8のぶっつけや、△7さんかつらには▲7かつらあたまめのふくみをみせ、作戦さくせんはばひろがる。

ごま
987654321 
こうかつら きむおうきむ かつらこういち
      かく 
 ぎん  さん
    ぎん  よん
  ぎん     
        ろく
かく なな
    たま   はち
こうかつら きむ きむぎんかつらこうきゅう
ごま ぎん
987654321 
こうかつらかくきむ きむ かつらこういち
  ぎん  おうかく 
 ぎん  さん
      よん
       
        ろく
  なな
     たま   はち
こうかつら きむ きむぎんかつらこうきゅう
ごま 2
987654321 
こうかつら    ぎんかつらこういち
  ぎんきむおう かく 
  きむ さん
       よん
   ぎん   
        ろく
かく  なな
    たま   はち
こうかつら きむ きむぎんかつらこうきゅう

なお、1-cでかく交換こうかん拒否きょひする△4よんには、▲5ななぎんに△5さんぎんなら以下いか、▲6ろくぎん△5▲5△4ぎん(△どうは▲どうから▲8)▲5よんどうぎん▲5△4さんぎん▲3はちたま△3きん▲2はちたま△4いちたま▲3はちぎんいちきょく。 ▲5ななぎんに△4ぎんなら以下いか、▲6ろくぎん△4さんぎん▲5△5さんぎん▲5よんどうぎんひだり▲6ぎんとなり(1-e)、△5には▲5よんぎんどうぎん▲5かくどうぎんどう△4たま▲5よん△7一角いっかく▲5さんぎん△3たま▲6ぎん1-f)など。 ▲5ななぎんに△5きんみぎなら以下いか、▲5どう▲6ろくぎん△4きんひだり▲5ぎん△4さんきん▲4ろくとし、△4たまなら▲4どう▲4よん1-g)など。

ゴキゲンちゅう飛車ひしゃ[編集へんしゅう]

とくに丸山まるやまワクチンになれば、必然ひつぜんてきかく交換こうかん飛車ひしゃ様相ようそうとなるが、丸山まるやまワクチンは展開てんかいはしっかりこまみしてからたたか比較的ひかくてきおだやかな将棋しょうぎとなるため、乱戦らんせんのような展開てんかいがいやな場合ばあい安心あんしんかんのある作戦さくせんである。

ごま かく
987654321 
こうかつらぎんきむ きむ かつらこういち
  おう   ぎん 
   さん
      よん
        
      ろく
    なな
  ぎんたま    はち
こうかつら きむ きむぎんかつらこうきゅう
ごま なし
987654321 
こうかつら きむ きむ かつらこういち
 おうぎん     
  ぎんさん
   かく  よん
        
     ろく
   ぎん なな
  ぎん     はち
こうかつらたまきむ きむ かつらこうきゅう

丸山まるやまワクチンにたいしてはゴキゲンちゅう飛車ひしゃがわはどちらかというと1-iのようにかい飛車ひしゃてんじての飛車ひしゃさき逆襲ぎゃくしゅう目指めざ展開てんかいなどが志向しこうされた。そしてつねに1ったのちの△4よんかくから△2よんどう△2ろくや△3きんからの△2よんどうどうなどがある。きょ飛車ひしゃがわ初期しょきのころはゴキゲンちゅう飛車ひしゃがわたまが7移動いどう(▲6かくすじしている)したのちの△5をにたいする▲4ななぎん用意ようい必要ひつようかんがえて6はちたまよりさきみぎぎんを4はちうごかしていた。実際じっさいには▲6ろくかっている、△5かれても、▲6ななぎんであり、△8はちかくには▲7ななかくどうすみしげるどうたまである。こうしてひだり美濃みのからみぎきんうごかさずに▲6ろくがたにするのが従来じゅうらいよくされた。

かい飛車ひしゃてんじたさいの▲5さんかくに△4よんかくへのそなえを、また6きゅうかね飛車ひしゃさき逆襲ぎゃくしゅうそなえを用意よういしている。従来じゅうらいは △2に▲4ななぎん△2よんどうどうぎん ▲3ろく △2ぎん に▲3はちきんなどとしていたが以下いか△2ななどう △2ろくぎん ▲2はち △4きゅうかくとなると、▲6ろくわざわいして、△7ろくかくなり場所ばしょ出来できてしまっていた。したがってきょ飛車ひしゃがわも▲3はちぎんがたにして、△2 ▲4ろく △2よんどうどうぎん進行しんこうに、▲6ななかくや▲5ろくかく用意よういするかたになる。

その後図こうと1-iのようにさきに△4四角よつかどとする菅井すがい竜也たつや新手あらてなどもあり、きょ飛車ひしゃがわべつ展開てんかい志向しこうすることになる。

ごま かく
987654321 
こうかつら きむ きむ かつらこういち
 おうぎん     
   ぎんさん
     よん
        
      ろく
    なな
  ぎん きむぎん  はち
こうかつらたまきむ   かつらこうきゅう
ごま なし
987654321 
こう   きむ かつらこういち
 おうきむ      
 ぎんかつら ぎんさん
    よん
        
     ろく
 かつらぎん  なな
 たまぎん きむ   はち
こう  きむ   かつらこうきゅう
ごま なし
987654321 
こうかつら    かつらこういち
 おうきむ   きむ  
 ぎん  ぎんさん
かく   よん
        
    ろく
   ぎん  なな
 たまぎん きむ   はち
こう  きむ   かつらこうきゅう

ゴキゲンちゅう飛車ひしゃがわはこの1-jのように△8よんいてぎんかんむりんで模様もようくしていくかたもある。以下いか進行しんこうれいとして1-k のように飛車ひしゃがダイヤモンド美濃みのむなどがあるが、1-k の▲7ななかつらでは後手ごてから△4かく真部まなべりゅうからつぎの△9こう~△9いちからのはしめが非常ひじょうけづらいため、1-kの▲7ななかつらではさきに▲8ろくされている。これにはその飛車ひしゃがわみぎかつらねずにし、▲8ろくたいし△6四角よつかどとするなどがしめされ、そこできょ飛車ひしゃがわみぎぎんを4なな待機たいきして▲8ろく-8ななぎんさきぎんかんむりかたしめすと、ゴキゲンちゅう飛車ひしゃがわひだりぎんを4よんから5はや展開てんかいして5ろくかせにかかるなどの攻防こうぼうしょうじている。

ごま なし
987654321 
こうかつら きむ きむ かつらこういち
 おうぎん     
  ぎんさん
      よん
       
       ろく
  ぎん なな
  たま     はち
こうかつら きむ   かつらこうきゅう
ごま なし
987654321 
こうかつら きむ   かつらこういち
 おう  きむ   
 ぎん ぎんさん
     よん
       
ぎん     ろく
   きむ なな
  たま     はち
こうかつら きむ   かつらこうきゅう

きょ飛車ひしゃがわはこのほかには1-mから1-nのようにたまあたま位取くらいどりにもっていくかたもある。

ひらめ戦法せんぽう[編集へんしゅう]

かく交換こうかんがたツノぎんちゅう飛車ひしゃ[編集へんしゅう]

ごま なし
987654321 
こうかつら   きむ かつらこういち
  ぎんきむぎんおうかく 
     さん
     よん
       
       ろく
かくぎん なな
  きむ  ぎんたま はち
こうかつら   きむ かつらこうきゅう
ごま 2
987654321 
こうかつら   きむ かつらこういち
  ぎんきむぎんおうかく 
     さん
       よん
      
        ろく
かくぎん なな
  きむ   ぎんたま はち
こうかつら   きむ かつらこうきゅう

ツノぎんちゅう飛車ひしゃではだい2-a 先手せんてじんのようなひだりきんがたではきょ飛車ひしゃがわ陣形じんけいによって▲6といったすみ交換こうかんいど仕掛しかけが成立せいりつする。△7ななかくしげるどうかつら△6以下いか▲5から△どうどうで、場合ばあいによっては6~8飛車ひしゃさばねらい。▲6にこれを△どうとしても以下いか▲5でこれも△どうであると▲どうとして(だい2-b )、すできょ飛車ひしゃがわ歓迎かんげいできない局面きょくめんとなっている。だい2-b から△どうかくは▲どうかくきょ飛車ひしゃがわ不利ふりとなるので、たとえば△7さんかつらとしたらそこで先手せんては▲5なりとし、△どうかね(△7ななかくしげるどうかつら△5きんもある)は▲2かくしげるどうたま▲4一角いっかく~▲3きん、といった攻撃こうげきしょうじる。これは松下まつしたつとむはじめてしたじゅんであり、後手ごてきょ飛車ひしゃがわで△5さんぎんみぎがたでも△5さんぎんひだりがたでも△7よんいてあれば同様どうよう仕掛しかけがしょうじる。

だい2-c は、1975ねん先手せんて大内おおうちのべかいvs.後手ごて中原なかはらまこと名人めいじんせん局面きょくめんで、先手せんてちゅう飛車ひしゃがわがツノぎん陣形じんけいからかく交換こうかんいどみ、▲6いたところ。ちゅう飛車ひしゃがわかく交換こうかんをしてから、いちれいとして▲6ろくかく自陣じじんかくから▲5きゅう~▲8きゅう~▲8ろく~▲8よんなどの飛車ひしゃさき逆襲ぎゃくしゅうや▲4ろくかくなどから7すじへの攻撃こうげきねらいがある。だい2-c からの実戦じっせん進行しんこう以下いかどうすみしげるどうかつら△4よんぎん▲5きゅう△7さんかつら▲4ろく飛車ひしゃがわが△8ろくどうどう飛車ひしゃさき交換こうかんしてくるが、以下いか▲7△8よん▲9かく△8いち▲7よんだい2-d )となってみると、先手せんて仕掛しかけが見事みごと成功せいこうしている。

また、▲7はちきんがたなか飛車ひしゃだい2-e のようにかくからのかく交換こうかんもあるが、これにも対応たいおう可能かのう。これは1982ねん棋聖きせいせん5ばん勝負しょうぶだい3きょく先手せんてもり雞二 vs.後手ごて二上ふたかみ達也たつや局面きょくめんで、だい2-f のような展開てんかいんでちゅう飛車ひしゃ快勝かいしょうしている。

ごま なし
987654321 
こうかつら     かつらこういち
  ぎんきむきむおうかく 
  ぎん  さん
     よん
       
      ろく
かくぎん  なな
  きむ  ぎんたま はち
こうかつら   きむ かつらこうきゅう
ごま すみあゆみ
987654321 
こう     かつらこういち
   ぎんきむきむおう  
 かつら   さん
   ぎん よん
かく       
      ろく
 かつらぎん   なな
  きむ   ぎんたま はち
こう   きむ かつらこうきゅう
ごま なし
987654321 
こうかつら   きむかくかつらこういち
  ぎんきむ おう  
    さん
   ぎん  よん
         
    ろく
かくぎん  なな
  きむ   ぎんたま はち
こうかつら  きむ かつらこうきゅう
ごま すみあゆみ
987654321 
こう      かつらこういち
   きむきむおう  
  かつらぎん ぎん  さん
  よん
        
  ろく
 かつらぎん ぎんかつら  なな
  きむ  きむたま  はち
こう      こうきゅう

なお、ちゅう飛車ひしゃがわ先手せんて▲7ななかつら-7はちきんがた後手ごて△3さんかつら-3きんがた)は、飛車ひしゃ先手せんて▲5きゅう~8きゅう後手ごて△5いち~2いち)に展開てんかいきょ飛車ひしゃがわが△7さんかつら(▲3ななかつら)がければつねにどこかのタイミングで△2(▲8)をひだりかつらり、飛車ひしゃさき逆襲ぎゃくしゅうしていくすじしょうじている。

かく交換こうかんよんあいだ飛車ひしゃ[編集へんしゅう]

さびがたな戦法せんぽうそうあゆみよんあいだ飛車ひしゃ[編集へんしゅう]

ごま なし
987654321 
こうかつら   きむぎんかつらこういち
   きむ おう  
  ぎんかくさん
      よん
       
       ろく
かく ぎんなな
  ぎん きむたま  はち
こうかつら きむ   かつらこうきゅう
ごま かく
987654321 
こうかつら   きむぎんかつらこういち
   きむ  おう 
  ぎん さん
      よん
       
  ぎん    ろく
かつら  なな
  ぎん きむたま  はち
こう  きむ   かつらこうきゅう

さびがたなよんあいだ飛車ひしゃとは、だい3-a のような陣形じんけいんで、かく交換こうかんからみぎぎんめに使つかっていく飛車ひしゃだい3-b だい3-a からきょ飛車ひしゃがわかく交換こうかんおうじてすこすすんだ局面きょくめん。こののちよんあいだ飛車ひしゃがわねらいは4ろくまたは2はち自陣じじんかくっての▲7からのめなどである。だい3-a にもどってきょ飛車ひしゃがわかく交換こうかんけて△4よん場合ばあいでも▲6ろくぎんとして▲5や▲7などからよんあいだ飛車ひしゃがわ飛車ひしゃさき突破とっぱ出足であし通常つうじょう美濃みのがこいからのものよりはや攻撃こうげき態勢たいせいきずがっている。 だい3-c がそのいちれいで、きょ飛車ひしゃ穴熊あなぐまむためかく交換こうかん拒否きょひしてきた場合ばあい、▲6なな~▲6八角はっかく~▲4ろくかく~▲2八角はっかくこまぐみすることができる。また相手あいて陣形じんけい穴熊あなぐまならば、▲4ろくかくかして▲3ろく~▲3ななかつら~▲1~▲1はちこう~▲6きゅうから▲1きゅう地下鉄ちかてつ飛車ひしゃ可能かのう

ごま なし
987654321 
こうかつら   きむぎんかつらおういち
   きむ   こう
  ぎん かくさん
     よん
       
  ぎんかく   ろく
  なな
  ぎん  きむたま  はち
こうかつら きむ   かつらこうきゅう

このかまえは天野あまの宗歩そうほがこのようなよんあいだ飛車ひしゃした棋譜きふがあることから「そうあゆみよんあいだ飛車ひしゃ」ともばれている。さびがたなというネーミングの由来ゆらいは、この戦法せんぽう掲載けいさいしている升田ますだ幸三こうぞう実力じつりょくせいだいよんだい名人めいじんちょ升田ますだ将棋しょうぎ指南しなんシリーズ 6 よんあいだ飛車ひしゃ指南しなん』には「由来ゆらいはどうかわからんが、本戦ほんせんほうは、『さびがたな』という名前なまえがついておるそうだ。全体ぜんたいてき印象いんしょうからびたかたなでゴシゴシるようなところがあるのでこうなったのであろう。」と記載きさいされている。


4(6)ポン[編集へんしゅう]

ごま なし
987654321 
こうかつら   きむぎんかつらこういち
   きむ おうかく 
   ぎん  さん
    よん
       
     ろく
 かく   なな
  ぎんきむ ぎんたま はち
こうかつら   きむ かつらこうきゅう
ごま かく
987654321 
こうかつら   きむぎんかつらこういち
   きむ おう  
   ぎん  さん
    よん
       
     ろく
かくぎん   なな
   きむ ぎんたま はち
こうかつら   きむ かつらこうきゅう

4(6)ポンはおもかくどうめるノーマルよんあいだ飛車ひしゃで、△3ぎん-△5さん(▲7はちぎん-▲5なながたでの場合ばあいきょ飛車ひしゃがわぼうぎん鷺ノ宮さぎのみやなどの急戦きゅうせんふくみの戦型せんけいさいに、その対策たいさくとして飛車ひしゃがわから△4(▲6)とかく交換こうかん仕掛しかけるかただい4-aはそのいちれいで、このように▲7はちぎん-▲5なながたであれば、きょ飛車ひしゃがわからのすみしげるどうぎん場合ばあいによってはどうかつらも)とすれば、急戦きゅうせんさい弱点じゃくてんであるすみあたま攻撃こうげきからの飛車ひしゃさき突破とっぱなどの懸念けねん材料ざいりょう解消かいしょうされるというもの。また5すじいていなければ、▲7きゅうかく(△3一角いっかく)などの反撃はんげきしょうじない。飛車ひしゃがわとすると、かくごまにして自陣じじんからの遠見とおみかく局面きょくめんをリードするねらいと、きょ飛車ひしゃがわかく盤上ばんじょうからすことで、急戦きゅうせん緩和かんわするねらいもある。そして通常つうじょうかく交換こうかんがたよんあいだ飛車ひしゃくらべると、よんあいだ飛車ひしゃ飛車ひしゃさき先手せんてなら6すじ後手ごてなら4すじ)のくらいびてそれだけ敵陣てきじんせまることになる。きょ飛車ひしゃがわかく交換こうかん拒否きょひすれば、先手せんてよんあいだ飛車ひしゃがわは▲6ななぎん~6ろくぎん銀将ぎんしょう進出しんしゅつでき、▲5ろく~5と、よんあいだ飛車ひしゃがわ飛車ひしゃさき突破とっぱ目指めざかたができる。ぎゃく飛車ひしゃがわとすると、くらい反撃はんげき目標もくひょうになることになる。

ごま かく
987654321 
こうかつら     かつらこういち
    きむおう  
  ぎんぎんきむ  さん
   よん
       
   ろく
ぎん  きむかつらぎん なな
     きむたまこうはち
こうかつら       きゅう

よんあいだ飛車ひしゃがわねらいのいちれいとして、だい4-bのようなはしかくちがある。だい4-b以降いこうは▲6ろくぎん~7ななかつらんでの飛車ひしゃさき突破とっぱなどがある。▲9ななかくに△9は▲どうどうこうに▲5三角みすみしげるどうかね▲9こうまいえがある。このためきょ飛車ひしゃがわ対策たいさくれいとしては5さんや3いちにあるかくしつこまになっているぎん、をかくすじからがしつつ△9からかくへの攻撃こうげき仕掛しかけるなどである。飛車ひしゃぼうぎん銀将ぎんしょうが8よん先手せんてなら2ろく)にさいよんあいだ飛車ひしゃがわも7ななぎんを6ろくすすめ、その▲7ななかくちから▲5どうどうぎんから▲6よんと、6かして6すじ(4すじ)のぼうぎん突破とっぱ目指めざかたもある。一方いっぽうきょ飛車ひしゃがわからのねらいとしては、いちれいとして飛車ひしゃいたさいの、たとえばきょ飛車ひしゃ後手ごてとして△7さんかつら~△6かつらどうに△7はちかくち(8ななみと8きゅうかつらり)などがある。

なおはしかくがた応用おうようとして、かく交換こうかんではなく、きょ飛車ひしゃがわ飛車ひしゃさきばしてきたさいかくではなくぎんがって飛車ひしゃさきまもり、かくを9ろく~9ななかく(1よん~1さんかく)とのぞくようにするかたがある。

その飛車ひしゃがわねらいとしては、かく交換こうかんをしてきょ飛車ひしゃがわ漠然ばくぜんとしたこまぐみをするとはしよわくなるため、だい4-a から△7ななかくしげるどうぎん△4よん▲4ななきん△4ぎんじょうに▲3ろくきんとして、△3さんかつら▲2ろくきん△2よん▲1△2▲1ろく△1どうかねというはしめや、だい4-cのように▲1はちこうから6きゅう~1きゅう~1はしめを敢行かんこうするなどの作戦さくせんがある。地下鉄ちかてつ飛車ひしゃ参照さんしょう

立石たていしりゅうよんあいだ飛車ひしゃ[編集へんしゅう]

レグスペ[編集へんしゅう]

ダイレクトかい飛車ひしゃ[編集へんしゅう]

阪田さかたりゅうかい飛車ひしゃ[編集へんしゅう]

7はちきんがたかい飛車ひしゃ[編集へんしゅう]

ごま なし
987654321 
こうかつら   きむぎんかつら いち
   きむ  おうこう
  ぎんかくさん
      よん
       
       ろく
 かくぎん なな
 きむ   ぎんたま はち
こうかつら   きむ かつらこうきゅう
ごま なし
987654321 
こうかつら   きむぎんかつら いち
   きむ  おうこう
  ぎんかくさん
     よん
        
      ろく
 かくぎん なな
  きむ   ぎんたま はち
こうかつら   きむ かつらこうきゅう

攻撃こうげきてきな7はちきんがたかい飛車ひしゃも、おなじ7はちきんがた飛車ひしゃである上記じょうきかく交換こうかんがたツノぎんちゅう飛車ひしゃのように、飛車ひしゃさき飛車ひしゃがわから交換こうかんしてからの▲6常套じょうとう手段しゅだんとしてされている。では△1こう穴熊あなぐま明示めいじをみてから▲6しているが(穴熊あなぐま途中とちゅうでのほう効果こうかおおきい)、類似るいじ戦型せんけいでもおこなわれる。かい飛車ひしゃがわねらいは△7ななかくなりに▲どうかつらとしてからの▲8など。後手ごてきょ飛車ひしゃがわがこれをふせいで△7さんかつらならば▲7(~▲7ろくぎん)でかつらあたまねらうことができる。これに△8よんではちゅう飛車ひしゃだい2-d同様どうよう自体じたいこる。

この局面きょくめんではきょ飛車ひしゃがわ穴熊あなぐま場合ばあいなので、△4よんかく交換こうかんけることがおおいが、その場合ばあいは▲5~▲5ろくぎん活用かつようや▲6ろくかくもしくは6八角はっかく~7ななかつらとしてひだりかつら活用かつようはかることができる。

だい5-a場合ばあいは▲6に△8ろくもある。これはつぎに△7ななかくしげるどうかつら△7きゅうかくねらいがあり、▲8ろくには今度こんどは△どうどうかく△9きゅうかくなりなどをみている。先手せんてはほかに▲8ろくえて▲3三角みすみしげるどうかつら▲6ろくかくもあり、以下いか△8ななしげるどうかね△7きゅうかくには▲8よん△8八角やすみしげるどうかね以下いか、▲8さんかくからうまをつくるなどのかんがえられる。

だい5-b場合ばあいは△7ななかくしげるどうかつら△1いちたま進行しんこう以下いか▲6ろくかくから8よんかく~8~6ろくかく~8よんとしていくねらいがある。

かくどうオープンかい飛車ひしゃ[編集へんしゅう]

升田ますだりゅうかい飛車ひしゃ[編集へんしゅう]

ごま なし
987654321 
こうかつらぎんきむおうきむぎんかつらこういち
      かく 
   さん
       よん
        
       ろく
かく なな
  ぎん     はち
こうかつら きむたまきむぎんかつらこうきゅう
ごま なし
987654321 
こうかつらぎんきむおうきむ かつらこういち
     ぎん  
かくさん
        よん
        
        ろく
  なな
 かく   ぎん  はち
こうかつらぎんきむたまきむ かつらこうきゅう

升田ますだりゅうかい飛車ひしゃとは、升田ますだ幸三こうぞう実力じつりょくせいだいよんだい名人めいじん考案こうあんした積極せっきょくてきかい飛車ひしゃ基本きほんてき先手せんてばん専用せんよう作戦さくせんで、なおかつ初手しょて▲7ろく後手ごてが2に△8よんいてきた場合ばあいのみ発動はつどう

後手ごて場合ばあいには先手せんて初手しょて▲2ろく△3よん▲2△3さんかく▲7ろく△2に▲4はちぎん△4ぎんなどとなる場合ばあいもしくはしたの4△3さんかく戦法せんぽうで、5かく交換こうかんをしてこない場合ばあい発動はつどうだい6-b)。

3には▲5ろく。このでは▲7ななかく~▲8はちもあるが、後手ごてきょ飛車ひしゃが8よんがためていると8すじ争点そうてんがなくなり、これではべつ戦法せんぽうになるので、先手せんてとしては相手あいての8びてからかい飛車ひしゃるため、この間合まあいをはかる。以下いか△8▲7ななかく△5よん▲8はちで、かい飛車ひしゃになる。

以下いか、△3よんかくどうける実戦じっせんれいとしておおい。これは2002ねん1がつ11にちだい15竜王りゅうおうせんくみ ランキングせん 1回戦かいせん鈴木すずき大介だいすけたいしまあきらせんで、後手ごてきょ飛車ひしゃがわしまが3よんえて△6ぎんとしたが、以下いか▲8ろくどうどうかく△8▲7ななかくで△6よんとし、先手せんて▲4はちたま後手ごて△4たまとしたため、▲6ろくかくられて苦戦くせんしたからである。しまあきら自著じちょしまノート 飛車ひしゃへん』で紹介しょうかいしており、「鈴木すずきスペシャル」と名付なづけている。6ろくかくねらいは▲8よんから8ねらい。△6には▲7かくで4たまかくすじはいり、以下いか△3たまには▲8よんから3一角いっかくなり~8さんぎんがあり、後手ごて以降いこう△3よんとすると、つねに▲2かくなりから▲8よん(△どうは▲6ろくかく)があるためかくどうけられない。△4たまえてじゅんには▲5から5はち展開てんかいがある。

なお△3よん以下いか▲2かくしげるどうぎん▲5さんかくは、△5ななかくかえしがあり、乱戦らんせんたたかいとなる。従来じゅうらい後手ごて△8よんかくなりのあと▲6はちぎんから5ななぎんひだりぎん活用かつようしていたが、後手ごてにも△7よんうまから5すじがあるため、前述ぜんじゅつしまノート 飛車ひしゃへん』では▲5はち~5という紹介しょうかいされており、しまはこれを「やまびこ飛車ひしゃ」と名付なづけている。

△3よんには▲6はちぎんで、基本きほんになる。

ごま なし
987654321 
こうかつら   きむぎんかつらおういち
       こう
 ぎんきむかくさん
      よん
        
   ぎん  ろく
かく  なな
      ぎんこうはち
こうかつら きむ  きむかつらたまきゅう

基本きほんから△6ぎん▲4はちたま△4たまは、▲8ろく後手ごての△4たまがた反応はんのうしたおなじみの仕掛しかけで、以下いか△8ろくどうると▲どうかく~▲3一角いっかくなりで、飛車ひしゃきがしょうじるし、らずであると▲8から飛車ひしゃさき逆襲ぎゃくしゅう可能かのう。このため、▲8ろくでは△7ななかくしげるどうぎん△8ろくどうとするが、以下いかどうぎんに△4よんかく▲7ななかくどうすみしげるどうかつらが、このかい飛車ひしゃねらい。以下いか△7であると、▲どうならば△8ななどう△7ろくかく▲8はち△6ななかくしげる▲4ろくかく△8ななどう△7ろくうま▲8かくしげる△8ななうま▲8きゅう△6きゅううまどう△8はち▲4はちぎん△8ろくなりなどの進行しんこう予想よそうされるが、△7には▲6ろくかくもあり、以下いか△7ろく▲1一角いっかくなり△7ななしげるどううま△5ななかつら▲5きゅうきんひだり△4きゅうかつらしげるどうかねなどの進行しんこう予想よそうされる。

したがって基本きほんから後手ごては△6よんや△5さんぎんとしてから△4たまもしくはたんに△4たまとする。たんに△4たま場合ばあいには以下いか▲8ろく、▲2かくなり、▲4はちたまなどが有力ゆうりょくである。

▲8ろくさきほどと同様どうようねらいで、以下いか△8ろくどうると▲どうかく△3たまに▲8さんたたいて以下いか△8さんどうは▲3一角いっかくなりから飛車ひしゃもとき、いきおいで△8八角やすみしげる▲8なり飛車ひしゃうと以下いか△8どうぎんは▲8~▲3一角いっかくなり今度こんどうまかれてしまうので△6ぎんとかわすが、▲8△9きゅううま▲9いちと△8はち▲7ななかつら先手せんてこまとく約束やくそくされる。また△5も▲7ななかくで△どうかくりは▲どうぎんで、ねらどおりの展開てんかいである。したがって▲8ろくには△どうとせずに△7ななかくしげるどうぎん△8ろくどうぎん△7よん▲8などが進行しんこういちれい。『イメージとみの将棋しょうぎかん』(日本にっぽん将棋しょうぎ連盟れんめい、2008ねん)によるとこの仕掛しかけはプロ棋士きし6めいのうち先手せんてがあるとしたのは谷川たにがわ浩司こうじだけで、の5めい先手せんてのその展開てんかいはあまり面白おもしろくないという。升田ますだ幸三こうぞうした当初とうしょからこうしたたんに△4たまはあったが、現在げんざいそのさきのめてかんがえられてからは▲8ろくからの仕掛しかけは無理むり棋士きしおおいとし、平成へいせい以降いこう公式こうしきせんで100きょくされていてもおおくの将棋しょうぎでは先手せんては▲4はちたまとしていることがられる。ただし▲8ろくはそのうち19きょくあり、先手せんての6しょう12はい1千日手せんにちてという結果けっかであった。一方いっぽう、▲2かくなりは△3たまられるまえかくえて後手ごてかべぎん強要きょうようする手段しゅだんであり、△どうぎん以下いか▲7かくと▲4はちたまとがある。▲7かくで△5たま強要きょうようされる。これをきらって△6よんかくわせるのは▲6ろくかく△3たま▲5ななぎん△6ぎん▲4ろくぎん△5さんぎん▲5先手せんてぎん活用かつようく。

▲4はちたまには△6ぎん▲3はちたま△3たま▲4はちぎん(▲7ななぎんがったときの△5ななかくみをす)△5さんぎん▲7ななぎん△6よんぎん(6ぎんさぶりで、ぎゃく先棒さきぼうぎんをけんせい)▲8ろくどうどうぎん△3さんかく▲7ななかく△6ぎん▲8ぎん△7ななかくしげるどうかつら△7ろくぎん▲8さんで、△7ななぎんなり▲8なりは、飛車ひしゃわたすと後手ごてかべぎんひびく。したがって△8さんどう▲8よんぎん△8▲8さんぎんなり△4▲7はちきんという進行しんこう予想よそうされる。

▲4はちたまはあくまできょ飛車ひしゃがわからかく交換こうかんさせるかたで、後手ごてが△6ぎんならば▲8ろく上記じょうきおな展開てんかい。 ▲4はちたま△3たま▲3はちたま△6ぎん▲2はちたま△5さんぎん▲3はちぎんと、きょ飛車ひしゃがわからかく交換こうかんするとやはり飛車ひしゃさきからぎゃくぼうぎん逆襲ぎゃくしゅうされるので、えないですすめることがおおい。

手順てじゅんちゅう▲3はちたまのところで▲2かくしげるどうたま▲5さんかくみは以下いか△4ぎん▲7かくなり(▲2ろくかくなりは△4よんかく)△8よんかくどううまうまされる。以下いかどう▲6ろくかく王手おうて飛車ひしゃであるが、△4よんかくかえしがある。最初さいしょの▲2かくなりのとき後手ごては△どうたまるのは、△どうぎんであると▲5さんかく△6ぎん▲2ろくかくしげる△4よんかくどううまどう▲5で△どうには▲6かくすじがある。

このかたちでは佐藤さとう康光やすみつ採用さいようしている力戦りきせんかい飛車ひしゃ穴熊あなぐまられる。これはだい6-cしめきょ飛車ひしゃから△7ななかくなりかく交換こうかんしてきた場合ばあいの▲どうぎんとして、て▲8ろくどうどうぎんと8すじ逆襲ぎゃくしゅうするすじねらいとしながら、升田ますだしきつねかくすじ敵陣てきじんにらんでいるかたちになるのをかして、従来じゅうらい飛車ひしゃちがかくどうとおすための▲6ろく~6の2省略しょうりゃくしている格好かっこうとなる。これを利用りようし、相手あいてきょ飛車ひしゃ穴熊あなぐま場合ばあいに▲3ろく~▲4ろくぎん~▲3はちからそで飛車ひしゃ速攻そっこう仕掛しかけることができる。そしてひだりきんも5きゅうから4きゅうというじゅんける、というもの。後手ごて対策たいさくとしては羽生はぶ善治よしはるがこの戦型せんけいしめした後手ごてかまえであるひら矢倉やぐら+4すじ位取くらいどりがあり、△6かく筋違すじちがかくから4なな~3はちをにらむラインをかして△4ろくどう△3八角やすみしげるどうかね△4ななといったすじしめされている。△3はちかくなりかくりをふせぐために▲4はちきんがた示唆しさされているがその場合ばあいでは今度こんどは△4ろくどう△4ななきむたりになることになる。

大野おおのりゅうかい飛車ひしゃ[編集へんしゅう]

佐藤さとう ごま かく
987654321 
こうかつらぎんきむおうきむぎんかつらこういち
        
  さん
       よん
         
       ろく
  なな
 ぎん   ぎん  はち
こうかつら きむたまきむ かつらこうきゅう
佐藤さとう ごま かく
987654321 
こうかつら     かつらこういち
  おうきむ ぎんきむ  
ぎん  さん
     よん
        
  ぎん  ろく
  かく かつら なな
 ぎんたまきむ    はち
こうかつら   きむ  こうきゅう
佐藤さとう ごま かくかつらあゆみ4
987654321 
こう       うまいち
      きむ  
おう きむぎん さん
     よん
 かつらぎん    
 かつら     ろく
  こう   なな
 ぎんたまきむ    はち
こう    きむ かつらこうきゅう

大野おおの源一げんいちきゅうだん得意とくいとしていた戦法せんぽうで、相手あいてかく交換こうかんからうまつくらせてす。すると、こまかくぎん桂香けいかのうちのかくすで戦線せんせん離脱りだつとなってしまうので、すくなくとも相手あいてからの急戦きゅうせん速攻そっこうはなくなることになる。このため、きょ飛車ひしゃがわうまをつくったとくるため、きょ飛車ひしゃ穴熊あなぐまにすることがおおい。

初手しょてからのは▲7ろくで、△3よんに ▲5ろくとする。すると後手ごてきょ飛車ひしゃがわ必然ひつぜんてきに△8はちかくなりとして△5ななかく~2よんかくなりねらってくる。△8はちかくなり飛車ひしゃがわは▲どうり、以下いか△5ななかく▲6はちぎん△2よんかくなりとなるが、飛車ひしゃは▲5ななぎんがた~▲4ろくぎんがた飛車ひしゃ移行いこうする。

初手しょてからの▲7ろくに△8よんさいにも ▲5ろくとする。△3よんならば飛車ひしゃがわから▲2かくしげるどうぎん▲8はちでも、端歩はしふをついて様子ようすをみるのでもかまわない。また▲7ろくに△8よん▲5ろく△8▲7ななかく△3よんでも以下いか▲5ではなく▲8はちとすれば、大野おおのりゅう移行いこうできるが、かく交換こうかんしないまた相手あいてかくどうけてこない場合ばあいは、べつ戦法せんぽうになる。

佐藤さとう康光やすみつ類似るいじ手法しゅほうを2005ねん7がつ王位おういせん羽生はぶ善治よしはる相手あいて後手ごてばんで、一手いってそんかくわりの要領ようりょうで△8はちかくなり飛車ひしゃがわからかくえ、▲どうぎんに△2というかい飛車ひしゃ敢行かんこうしている(だい6-d)。このときは先手せんて▲2ろくがたでのかく交換こうかんなので、▲5さんかくからのうまづくりがかないことになっている。以下いか▲7ななかくのとき△1とし、▲2に△2ぎんとして、こののち飛車ひしゃさきらして、飛車ひしゃさき逆襲ぎゃくしゅうせてから、2ぎんを3さんから4し(だい6-e中央ちゅうおうでのたたかいになったが、結果けっか後手ごてたくみに先手せんてめをはじき、74快勝かいしょうだい6-f)している。

筋違すじちがかくかい飛車ひしゃ[編集へんしゅう]

(▲1ろくかく~3八角はっかくがた

ごま かく
987654321 
こうかつら きむ   かつらこういち
    おうきむ  
 ぎんぎんさん
        よん
        
      ろく
ぎん  なな
     かく  はち
こうかつら きむたまきむぎんかつらこうきゅう
ごま かく
987654321 
こうかつら     かつらこういち
    おうきむ  
 ぎん きむ さん
   ぎん   よん
       
     ぎん ろく
ぎん なな
     かくたま はち
こうかつら きむ きむ かつらこうきゅう

だい7-a筋違すじちがかくは3よんったのちかくを1ろくき、その▲2ろくて3はちかくいたもの。これは通常つうじょう筋違すじちがかくは3よんったのちかくを5ろくき、そこからかい飛車ひしゃにするのに▲4ろく~3はちかくというルートをたどるが、後手ごても△4よんぎんとし、▲8はち△5ぎん▲3はちかく△4ろくぎんとされると後手ごてめがはやくて8すじげきわないためである。以下いか△7きんならば▲6はちきん(すぐ▲8ろくどうどうぎんには△5かくがある)で、つぎに▲8ろくからのぼうぎんねらう。

一方いっぽうだい7-bこまぐみは▲6かく後手ごてじんが△5きんとして、△7ぎん~△7よん~△7さんぎんそなえた場合ばあい、このような持久じきゅうせんとなる。このあと4すじ攻撃こうげき目標もくひょうにするなど。これもいちきょく

(3▲7ななかくがた

こちらは3▲7ななかくでの筋違すじちがかくかい飛車ひしゃで、後手ごてばんの4△3さんかく戦法せんぽうの▲6はちたまさいにも使用しようできる。通常つうじょう筋違すじちがかくくらべ、先手せんては▲7ななかつら一手いっておおしていることになる。だい7-dだい7-cからすうすすめた局面きょくめん。ここから先手せんては▲8三角みすみしげるどう▲7ぎんだい7-e)があり、以下いか△8ならば▲8よんぎんから飛車ひしゃんでよい。だい7-fだい7-cから後手ごて△8よんめでこまぐみすすめているもので、これも飛車ひしゃがわ陣形じんけいかして▲8から飛車ひしゃ交換こうかんせまることができる。△どうどうに△8さん辛抱しんぼうしてもやはり▲8よんどう▲8さんどうぎん▲8三角みすみしげるどう▲7ぎんすじつねしょうじている。

ごま かく
987654321 
こうかつらぎん  きむ かつらこういち
   きむおうぎん  
  さん
        よん
         
   かく    ろく
かつらなな
        はち
こう ぎんきむたまきむぎんかつらこうきゅう
ごま かく
987654321 
こうかつら   きむ かつらこういち
   きむおうぎん  
ぎん さん
        よん
         
  かく    ろく
 かつらなな
  ぎん      はち
こう  きむたまきむぎんかつらこうきゅう
ごま かく
987654321 
こうかつら   きむ かつらこういち
    きむおうぎん  
 さん
        よん
  ぎん      
       ろく
 かつらなな
  ぎん      はち
こう  きむたまきむぎんかつらこうきゅう
ごま かく
987654321 
こうかつら   きむおうかつらこういち
 ぎん きむ ぎん  
  さん
        よん
        
   かく    ろく
 かつらなな
 ぎん      はち
こう  きむたまきむぎんかつらこうきゅう

4△3さんかく戦法せんぽう[編集へんしゅう]

ごま かく
987654321 
こうかつらぎんきむおうきむぎん こういち
        
かつらさん
        よん
         
       ろく
  なな
        はち
こうかつらぎんきむたまきむぎんかつらこうきゅう
ごま かく
987654321 
こうかつら きむ    こういち
 おうぎん   きむ 
ぎんかつらさん
       よん
        
      ろく
  ぎん なな
 たまぎん きむ   はち
こうかつら きむ   かつらこうきゅう
ごま かく
987654321 
こうかつらぎんきむ   こういち
  おう   きむ  
 かつらさん
    ぎん  よん
        
   ぎん  ろく
  かつら なな
  たま      はち
こうかつらぎんきむ きむ こうきゅう

後手ごてばんおこなわれる。おもにかい飛車ひしゃにする。

初手しょてからのは▲7ろく △3よん ▲2ろく △3さんかくで、ここから普通ふつうに▲4はちぎんなどと、▲3さんどうすみしげるとしていくとある。

普通ふつうに▲4はちぎんなら △2 ▲6はちたま △4ぎん ▲7はちたま △6たま▲2△7たま で、升田ますだしき合流ごうりゅう手順てじゅんちゅう△2に▲3三角みすみしげるどうかつら▲6かくりょうなりねらいには△4よんかく反撃はんげきがあり、こうりがからずに飛車ひしゃがしびれることになる。

一方いっぽうで▲3さんどうすみしげるは△3三角さんかくをとがめるにはこのいちで、△どうかつららせることにより飛車ひしゃかたちはやめさせている。これでだい7-aとなり、こののちきょ飛車ひしゃにより飛車ひしゃ出方でかたわる。だい8-a以下いか、▲2には△2。この△2に▲6かくは、△4かつら ▲8三角みすみしげる △5ななかつらなり。△4かつら先手せんてけると△3さんかくや△5かく。▲6はちきん△5かく▲7ななかつらけには、△3ななかつらしげる▲2ろく△4なな成桂せいけいどうかく △1きゅうかくしげる ▲8三角みすみしげる △8となる「おにころかい飛車ひしゃ」にされる。

だい8-a以下いか、▲9ろくは、たいゴキゲンちゅう飛車ひしゃ佐藤さとう新手あらて応用おうよう。△4かつら~△5かくのとき、▲9ななこう用意よういしている。また▲9ろく△4ぎん▲9なども有力ゆうりょくで、また▲2には△3きんや△4もある。

だい8-a以下いか、▲4はちぎんは、普通ふつうこまぐみとなる。

以下いかだい8-bだい8-cなどのれい合流ごうりゅうする。

だい8-bからは、△2かつら ~ △2よん ~ △1よん ▲1ろくれてから△1どう △1なな ▲2ろく△1こう ▲2どうから△2ろく~△4きゅうかく。▲2どうならば、△2よん▲2はち△2▲4はちきん△2ろく▲3はちきん△4きゅうかくなどのねらいがある。

だい8-cでは、△4~△6よんかくなどのねらい。

ほかだい8-a以下いかに▲6はちたまがあり、これには△2ならば▲6かく成立せいりつする。したがってこの場合ばあいは△3きんからの立石たていしりゅうちゅう飛車ひしゃ、△6かくからの筋違すじちがかくかい飛車ひしゃ、あるいはきょ飛車ひしゃへと変化へんかする。プロの公式こうしきせんでは▲6はちたまおおく、藤井ふじいたけし手堅てがたすなら先手せんては▲7はちきんすすめている。また藤井ふじい後手ごての3さんかつらがたまっていて作戦さくせんはばせまく、あまり自由じゆうがないとし、この局面きょくめん実戦じっせんである程度ていど調しらべがついているという。先手せんて相手あいて飛車ひしゃとうなら▲6はちたまきょ飛車ひしゃとうなら▲7はちきんなどであるが、飛車ひしゃとうでも▲6はちたまたいして△4よんかくからの乱戦らんせんんでくるので、やはりわるくならないなら▲7はちきん無難ぶなんであり、相手あいてが△4などと飛車ひしゃにしたら▲6はちたまから▲7ななたま~▲8はちたまかこうなどのもある。

平成へいせい以降いこう一時期いちじきにかなり頻繁ひんぱんされており、2007ねんまでに114きょくあらわれ、内容ないよう先手せんての63しょう44はい4千日手せんにちてとなっている。

平成へいせい6ねん棋聖きせいせん後手ごてばん羽生はぶ善治よしはるもちいてあい飛車ひしゃ勝負しょうぶとなったが、結局けっきょく終盤しゅうばん千日手せんにちてとなる。羽生はぶはこのほか平成へいせい20ねん佐藤さとう康光やすみつとのいちせんでも採用さいようし、このときは後手ごて羽生はぶは3さんかつらがたよんあいだ飛車ひしゃからかい飛車ひしゃ先手せんて佐藤さとうは7ハきん-6はちたまがたから7ななたま~8はちたま入城にゅうじょう使つかい、先手せんて勝利しょうりしている。

平成へいせい元年がんねん以降いこう20年間ねんかんで129きょくされて先手せんての74しょうであったが、平成へいせい20年度ねんどにはこの年度ねんどだけで136きょくされ、後手ごてが82しょう大幅おおはばはじめる。翌年よくねんは3がつまでに37きょくされて後手ごて21しょう16はいとなり、後手ごて有力ゆうりょく戦法せんぽうとなっていった。

なお、現在げんざいでは初手しょてからの▲7ろく △3よん ▲2ろく四手よつでは△3さんかくや△4よん、△8よん、△5よんほかには△3きん、△4、△9よん、などの出現しゅつげんしている。

初手しょて7はち(△3すみ交換こうかんがた[編集へんしゅう]

2△3参照さんしょうさんあいだ飛車ひしゃかくどうをオープンさせたかたについては従来じゅうらい初手しょて▲7ろく△3よん▲7はちであると当然とうぜんながら△8八角やすみしげるどうぎん△4かく反撃はんげきがあるので成立せいりつがしなかったが、初手しょてに▲7はちとしてさき飛車ひしゃ移動いどうさせ、▲6はちぎんまたは▲4はちたまめてからかくどうければ、△4かく反撃はんげきらわない、としたもので、かくどうけた(▲6ろくとしない)さんあいだ飛車ひしゃ実現じつげん初手しょて7はち門倉かどくらあきらふとししたことで門倉かどくら新手あらてばれる。

これであればあい飛車ひしゃにおいても、従来じゅうらいの▲7ろく△3よん▲6ろくあるいは▲7ろく△3よん▲7から後手ごてあい飛車ひしゃ志向しこうするならば前者ぜんしゃは△3後者こうしゃは△5よんで▲7はち前述ぜんじゅつの△4かく成立せいりつするので▲6ろく必要ひつようであったが、▲7はち△3よん▲6はちぎん△3▲7ろくならば、先手せんてかくどうめずにたたかうことができる。以下いか後手ごて△3には▲2かくしげるどうぎん▲3はちきん△5きんひだり▲8はちとして、先手せんて主導しゅどうけんにぎかたができる。

▲7はちに△8よん▲7ろく△8は▲7ななかく△3よん▲4はちたまで、△7ななかくなりとくれば どうかつらしんおにごろ合流ごうりゅうする[5]

ごま なし
987654321 
こうかつら きむおうきむぎんかつらこういち
  ぎん   かく 
  さん
        よん
       
         ろく
 なな
 かく   たま  はち
こうかつらぎんきむ きむぎんかつらこうきゅう
ごま なし
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こうかつら きむおうきむぎんかつらこういち
  ぎん   かく 
  さん
        よん
        
        ろく
なな
 かくきむ      はち
こうかつらぎん たまきむぎんかつらこうきゅう
ごま なし
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こうかつら きむおうきむぎんかつらこういち
      かく 
 ぎん さん
       よん
        
        ろく
 なな
 かく   ぎんたま はち
こうかつらぎんきむ きむ かつらこうきゅう

またはや石田いしだ後手ごて△3よんなら▲4はちたまとし、以下いか△8よん▲3はちたま△8▲7ろく△6ぎん▲7と(だい9-a)、▲3はちたまとすすめてからかくどうける手順てじゅんすすめれば、△4たま~△4かくらうことはなく石田いしだりゅう合流ごうりゅうできる。▲7はち後手ごて△8よん場合ばあいも▲7ろく△8に▲7ななとして8すじければ、▲7~▲7ろく実現じつげんできる。以下いか△3よんには▲7はちきんとし(だい9-b)、△7ななかくなりなら①▲どうかく△2ぎん▲1かくがある。後手ごてかく交換こうかん見送みおくり△6ぎんならば▲7△4たま▲7ろくとなれば、はや石田いしだむことができる(2△3先後せんごぎゃく同様どうよう手順てじゅん[6]。②△7ななかくなりにはむしろ▲どうかつら好手こうしゅで、つぎはなんでも▲6かつらねていちちょうがりとなる。対談たいだん瀬川せかわ晶司しょうじろくだん×今泉いまいずみ健司けんじよんだん「Bきゅう戦法せんぽうは こんなにたのし」(『将棋しょうぎ世界せかいSpecial 将棋しょうぎ戦法せんぽう事典じてん100+』(将棋しょうぎ世界せかい編集へんしゅうへん、マイナビ出版しゅっぱん所収しょしゅう)で今泉いまいずみ健司けんじ実際じっさいにこれをらったアマ強豪きょうごうたことがあるとし、瀬川せかわ晶司しょうじたしかに自分じぶんりそうだとし、▲7ななどうかつら先手せんてよしは面白おもしろいとしている。

だい9-cは、だい9-aから先手せんて飛車ひしゃがわかく交換こうかんから7ろくかまえず美濃みのがこいに、後手ごてきょ飛車ひしゃがわが6さんぎんがたかまえた局面きょくめんで、後手ごてが△8ろくとした局面きょくめん。このくと以下いかどうどうに▲2かくしげるどうぎん▲7ななかくといったノーガード戦法せんぽうかたみちびくことができる。ここから△8きゅうなりは▲2かくしげる△3さんかく▲2いちうま△1一角いっかくなり▲3ぎんで、△どうかねどううまに△4いちぎんは、▲2さんうまから△3さんかつらがある。先手せんて飛車ひしゃじん美濃みのがこいのつよじんになっているので、このかたち常套じょうとう手段しゅだんである△7ななこうなどといった後手ごてめよりも先手せんてあしはやい。したがってきょ飛車ひしゃがわは△8きゅうなりではなく△8とし、以下いか▲8さん△5or△3▲8はち△7きんと、きょ飛車ひしゃがわだけ持駒もちごまかくって局面きょくめんおさめることがおおいので、飛車ひしゃがわも△8ろくどうに▲2かくしげるどうぎんで▲7ななかくとせず▲8はちとぶつけるというおにろくりゅうドッカン飛車ひしゃやゴキゲンちゅう飛車ひしゃ田村たむらしきでお馴染なじみとなった手段しゅだんむこともある。以下いか△8なな飛車ひしゃがわは▲9はち△8はちかく▲7はちきん△3三角みすみしげる▲7ななかく△8▲8ろくとして、8ななりにく。

3さんきんがた飛車ひしゃ[編集へんしゅう]

菅井すがいりゅうかく交換こうかんさんあいだ飛車ひしゃ[編集へんしゅう]

ごま かく
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こうかつらぎんきむおう ぎんかつらこういち
        
きむさん
         よん
       
        ろく
  なな
 ぎん    ぎん はち
こうかつら きむたまきむ かつらこうきゅう
ごま かく
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こうかつら きむ   かつらこういち
 おうぎん     
 ぎん さん
    きむ  よん
      
      ろく
 ぎん ぎん なな
  たまきむ    はち
こうかつら   きむ かつらこうきゅう

阪田さかたりゅうかい飛車ひしゃだしから、さんあいだるのが菅井すがいりゅうかく交換こうかんさんあいだ飛車ひしゃである。飛車ひしゃのアイデアを数多かずおお菅井すがい竜也たつやかんされたさんあいだ飛車ひしゃで、初手しょてから▲7ろく△3よん▲2ろく△3きん▲2△3さんかくどうすみしげるどうかね▲6はちたま阪田さかたりゅうかい飛車ひしゃだしから△3る。

この△3さんきんがたかく交換こうかんさんあいだ飛車ひしゃ坂田さかた三吉さんきちのライバルであった関根せきね金次郎きんじろうしたこともある。

このかたは2017ねん8がつ29、30にちだい58王位おういせんばん勝負しょうぶだい5きょく先手せんて羽生はぶ善治よしはる王位おういたい後手ごて菅井すがい竜也たつや挑戦ちょうせんしゃあらわれた。菅井すがいにははつタイトルがかっていたいちきょくであったが、そのようなだい一番いちばん披露ひろうしたことも話題わだいとなった。緊張きんちょうのあまり飛車ひしゃ間違まちがえたかなどというジョークもしたほどであるが、この作戦さくせんきて、菅井すがい自身じしんはつのタイトルを獲得かくとくした。岡山おかやまけん出身しゅっしんのタイトル保持ほじしゃ森安もりやす秀光ひでみつきゅうだんが1983ねん棋聖きせい獲得かくとくして以来いらい34ねんぶりのことであるが、菅井すがいりゅうさんあいだ飛車ひしゃ原型げんけいしくも森安もりやすきゅうだん将棋しょうぎにある。だい10-aは1993ねん3がつ29にち王将おうしょうせんたい畠山はたけやま成幸しげゆきせんで、実戦じっせんは▲7ななぎん△6たま▲6はちたま△7たま▲7はちたま△8たま▲4ろく△7ぎん▲4ななぎん△4ぎん▲5はちきんみぎ△3よんきんすすんでいる。

だい10-bこまみがすすんだところ。△3って、△3よんきん前進ぜんしんする。以下いか△3さんかつらから2ってしまうのがねらいで、このかね活躍かつやくするかが勝敗しょうはいけることになる。飛車ひしゃは2から4すじ方面ほうめんで、きょ飛車ひしゃたまあたま方面ほうめんでポイントをねらたたかいとなる。

さいかわりゅうかい飛車ひしゃ[編集へんしゅう]

将棋しょうぎけいVTuberさいかわれいが開発かいはつしたことでられる、阪田さかたりゅうかい飛車ひしゃ金沢かなざわりゅうをミックスした雰囲気ふんいき後手ごてばんがたかい飛車ひしゃ戦法せんぽう

かくどうオープンな飛車ひしゃであるが、厳密げんみつにはかならずしもかく交換こうかん前提ぜんてい作戦さくせんとしている飛車ひしゃではない。ただし実戦じっせんではかく交換こうかんする場面ばめんしょうじる。

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ごま なし
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こうかつらぎんきむおうきむぎんかつらこういち
        
 さん
     かく  よん
        
         ろく
 なな
 かく      はち
こうかつらぎんきむたまきむぎんかつらこうきゅう
ごま なし
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こうかつらぎんきむおう ぎんかつらこういち
        
きむさん
     かく  よん
        
        ろく
  なな
 かく たま ぎん  はち
こうかつらぎんきむ きむ かつらこうきゅう

もとは先手せんてきょ飛車ひしゃとう後手ごて飛車ひしゃとうで、先手せんてから初手しょて▲2ろく△3よん▲2はやめに飛車ひしゃさきめて後手ごてに△3三角さんかく強要きょうようしてくる手順てじゅんらないということからされた模様もよう[7]以下いか▲2よんどうどうには△2のほか、いったん△3さんかつらとして飛車ひしゃらせてからの△2があるし、△3さんかつらでも△2とぶつけるじゅんや、△2~2がある。

もどってだい10-c以下いか▲7ろくには△3きん▲4はちぎん[* 2]△3さんきん~2となる。このため、△3きん~3三角さんかく相手あいてからのかく交換こうかんかくかわり)をうながす阪田さかたりゅうちがって、4よん地点ちてんにまでかく移動いどうすればかく交換こうかんされずとも△3きん~3さんきんがたむことができる戦法せんぽうとなっている。以下いかだい10-dとなれば、後手ごて飛車ひしゃがわじん攻撃こうげき態勢たいせいは△3-3よんきん-3さんかつらがたで、がこいは△7たま-6ぎん-5いちきん-4ぎんがたかまえる。

なお、先手せんて初手しょて▲7ろくでも以下いか△3よん▲2ろくに△4四角よつかどとするが、この手順てじゅん後手ごてばん金沢かなざわりゅうとなんらわらない。以下いか先手せんてが▲2ならば△3きんで、上記じょうき局面きょくめん合流ごうりゅうする。

棋戦きせんでは、2021ねん9がつ28にち朝日あさひオープンはいで、黒田くろだ尭之たかゆきほん戦法せんぽう使用しようした。なお黒田くろだ先手せんてばんでこの戦法せんぽう採用さいようしている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 具体ぐたいてきには、発想はっそうとしてはぎんさばくだけでいとされており、同時どうじ簡単かんたんはなしだとう。
  2. ^ 先手せんてからかく交換こうかんすると、そんになる。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c 先崎まっさき, 北尾きたお(2010), p.144-147.
  2. ^ a b 先崎まっさき, 北尾きたお(2010), p.8-11.
  3. ^ a b c d e f g h i 鈴木すずき (2009) pp.7-11
  4. ^ 鈴木すずき (2009) p.16
  5. ^ 門倉かどくらあきらふとし実戦じっせんコメント(「将棋しょうぎ世界せかい」2013ねん 10がつごう)。
  6. ^ 土佐とさ浩司こうじ解説かいせつコメント(※きょく感想かんそうより)日本にっぽん将棋しょうぎ連盟れんめい(2015ねん4がつ7にち)など
  7. ^ さいかわりゅうかい飛車ひしゃ極意ごくいpart1 ねらいと基本きほんかた - [note]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]