中ちゅう飛車ひしゃ

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9	8	7	6	5	4	3	2	1
									一いち
									二に
									三さん
									四よん
									五ご
		歩ふ	歩ふ	歩ふ				歩ふ	六ろく
歩ふ	歩ふ	角かく	銀ぎん		歩ふ	歩ふ	歩ふ		七なな
		金きむ		飛ひ		銀ぎん	玉たま		八はち
香こう	桂かつら				金きむ		桂かつら	香こう	九きゅう

中ちゅう飛車ひしゃの駒こま組ぐみの例れい

中ちゅう飛車ひしゃ（なかびしゃ、英えい: Central Rook）は、将棋しょうぎの戦法せんぽうの一ひとつである。振ふり飛車ひしゃ戦法せんぽうに分類ぶんるいされる。先手せんてであっても後手ごてであっても、飛車ひしゃを5筋すじ（中央ちゅうおうの列れつ、初期しょき状態じょうたいで玉将ぎょくしょうがいる列れつ）に振ふる。

概要がいよう

名称めいしょうの由来ゆらいは、飛車ひしゃを盤面ばんめん中央ちゅうおうの5筋すじに振ふるところからである。初心者しょしんしゃが初はじめて指さす戦法せんぽうとして古来こらい有名ゆうめいであり、また歴史れきしの深ふかい戦法せんぽうである。現存げんそん最古さいこの将棋しょうぎの図面ずめんである松まつ平家ひらか忠ただしの「家いえ忠ちゅう日記にっき」でも中ちゅう飛車ひしゃは採用さいようされており、「中ちゅう飛車ひしゃは玉たまの頭あたまに尻しりを乗のせ」という古いにしえ川柳せんりゅうがあるほどである。元々もともとは初心者しょしんしゃの戦法せんぽうであったため「下手へたの中なか飛車ひしゃ」の異名いみょうがあり軽視けいしされてきたが、戦後せんご松田まつだ茂行しげゆきのツノ銀ぎん中ちゅう飛車ひしゃの創案そうあんによりプロ棋戦きせんにも登場とうじょうするような戦法せんぽうへと発展はってんした。

かつては振ふり飛車ひしゃといえば、中ちゅう飛車ひしゃ＜四よん間あいだ飛車ひしゃ＜三さん間あいだ飛車ひしゃ＜向むかい飛車ひしゃの順じゅんで攻撃こうげきの要素ようそが強つよくなるとされ、中ちゅう飛車ひしゃは守備しゅびに重おもきをおいた戦法せんぽうとされていた。実際じっさい、ツノ銀ぎん中ちゅう飛車ひしゃは千日手せんにちても辞じさないほど守勢しゅせいの戦法せんぽうである。しかしゴキゲン中ちゅう飛車ひしゃが登場とうじょうし、より攻撃こうげきに重点じゅうてんをおく戦法せんぽうが知しられて爆発ばくはつ的てきに研究けんきゅうが進すすんだ（プロ・アマ問とわず、攻せめる戦法せんぽうは守まもる戦法せんぽうよりも研究けんきゅうが進すすむ傾向けいこうがある）。なお、角行かっこう・桂馬けいまなどを有効ゆうこうに使用しようできる戦法せんぽうなので破壊はかい力りょくが高たかく、相手あいても中ちゅう飛車ひしゃで対抗たいこうすると総力そうりょく戦せんとなることが多おおい。

中ちゅう飛車ひしゃ全体ぜんたいの特徴とくちょうとして、飛車ひしゃを5八はち（後手ごては5二に）に振ふるので左ひだり金きんの活用かつようが難むずかしく、専もっぱら左側ひだりがわを守まもることが多おおい。ほとんどの場合ばあいで囲がこいに左ひだり金きんを利用りようしにくく、囲がこいが片かた美濃みの囲がこいなどになり固かたくならないために敵てきの飛車ひしゃを自陣じじんへ入いれると致命傷ちめいしょうになることが多おおい。そのため、自陣じじんを効率こうりつよく守まもるバランス感覚かんかくが必要ひつようであるとされる（平目ひらめのように、相手あいてが自陣じじん左側ひだりがわに侵入しんにゅうしてきても対応たいおう可能かのうな戦法せんぽうもある）。

相あい振ふり飛車ひしゃにおいては、お互たがいに玉たまを右側みぎがわに囲かこった場合ばあいに飛車ひしゃの筋すじが相手あいて玉だまよりも比較的ひかくてき遠とおくなり、自陣じじんは左ひだり金きんの活用かつようが難むずかしい上うえに相手あいてと比くらべて飛車ひしゃと玉たまが接近せっきんした形かたちとなってしまう欠点けってんがある。そのため他たの振ふり飛車ひしゃと比くらべて採用さいようが少すくなく、逆ぎゃくに三さん間あいだ飛車ひしゃは中ちゅう飛車ひしゃに対たいする有力ゆうりょくな対策たいさくとされた。しかし2000年代ねんだい末まつごろに、中ちゅう飛車ひしゃにしたうえで玉たまを居きょ飛車ひしゃ穴熊あなぐまのように左側ひだりがわへ囲かこう中ちゅう飛車ひしゃ左ひだり穴熊あなぐまがアマチュアの間あいだで考案こうあんされた。2010年代ねんだい初はじめごろにはアマチュアや奨励しょうれい会員かいいんの間あいだで流行りゅうこうが始はじまり、2014年ねん現在げんざいではプロの対局たいきょくにもしばしば見みられるようになっている。

中ちゅう飛車ひしゃの種別しゅべつ

原始げんし中ちゅう飛車ひしゃ

別名べつめいを「下手へたの中なか飛車ひしゃ」と呼よび、角かく道どうを止とめてただ攻せめまくるだけの戦法せんぽう。定跡じょうせきとして相手あいて側がわの受うけが確立かくりつしているので、プロ棋戦きせんはおろかアマでも高段こうだん者しゃの対局たいきょくではまず見みられない。

ツノ銀ぎん中ちゅう飛車ひしゃ

昭和中しょうわなか期きに松田まつだ茂しげる役やくなどにより指さされはじめ、大山おおやま康晴やすはるなども採用さいようした戦法せんぽう。バランスの良よい構かまえで急戦きゅうせん策さくに強つよいが、玉たまが薄うすく居きょ飛車ひしゃ穴熊あなぐまなど持久じきゅう戦せん策さくの隆盛りゅうせいにより衰退すいたいした。

風車かざぐるま

伊藤いとう果はて創案そうあん。ツノ銀ぎん中ちゅう飛車ひしゃに近ちかい駒こま組ぐみで、飛車ひしゃを一番いちばん手前てまえの段だんに引ひく。

ゴキゲン中ちゅう飛車ひしゃ

近藤こんどう正和まさかず考案こうあん。角かく道どうを止とめない振ふり飛車ひしゃの一ひとつであり、従来じゅうらいの中なか飛車ひしゃに比くらべて積極せっきょく的てきに攻勢こうせいをとることが出来できる。後手ごて番ばんで多用たようされる戦法せんぽうであるが、先手せんて番ばんでも応用おうようできる。

5筋すじ位取くらいどり中ちゅう飛車ひしゃ

序盤じょばん早々そうそうに5筋すじの位いを取とる戦法せんぽう。陣形じんけいが伸のび伸のびして作戦さくせん勝がちしやすい。

5五ご龍りゅう中ちゅう飛車ひしゃ（端はし角かく中ちゅう飛車ひしゃ）

やや特異とくいな戦法せんぽうで、5筋すじ位取くらいどり中ちゅう飛車ひしゃに組くみ、角かくを端はしに上あげてにらみを利きかせるのが趣向しゅこうである。創案そうあん者しゃは漫画まんが家かのつのだじろう。王位おうい戦せんで深浦ふかうら康やすし市しが羽生はぶ善治よしはるに対たいして採用さいようしたことがある。

カニカニ銀ぎん

創始そうし者しゃは児玉こだま孝一こういち。急戦きゅうせん矢倉やぐらの一種いっしゅで、銀将ぎんしょうを前線ぜんせんに送おくり出だし、矢倉やぐらを組くむ過程かていで相手あいての対応たいおうによって中ちゅう飛車ひしゃに振ふる（振ふらない場合ばあいもある）。中ちゅう飛車ひしゃに振ふる場合ばあいは5五ご龍りゅう中ちゅう飛車ひしゃと同様どうよう、攻撃こうげきに端はし角かくの含ふくみを持もっている。あちらと異ことなり、原則げんそく的てきに居い玉だまのまま戦たたかうのが特色とくしょく。

矢倉やくら中ちゅう飛車ひしゃ

急戦きゅうせん矢倉やぐらの一種いっしゅ。主おもに後手ごて番ばんが相あい矢倉やぐら模様もようから中ちゅう飛車ひしゃに振ふり直なおす作戦さくせんで、先手せんてが矢倉やくら囲がこいを完成かんせいさせる▲7七なな銀ぎんを優先ゆうせんした場合ばあいに生しょうじた中央ちゅうおうの薄うすさを突つくのが狙ねらいの作戦さくせんである。

平目ひらめ

角かく道どうを止とめない振ふり飛車ひしゃの一ひとつであり、囲がこいにおいて左ひだり金きんを飛車ひしゃの下した（玉たまの初期しょき位置いち）に移動いどうするのが特徴とくちょう。本来ほんらいは「香こう落おち上手じょうずの戦法せんぽう」として知しられる。

中ちゅう飛車ひしゃ左ひだり穴熊あなぐま

中ちゅう飛車ひしゃであるが、居きょ飛車ひしゃのように玉たまを左側ひだりがわに穴熊あなぐまに囲かこう戦法せんぽう。主おもに相あい振ふり飛車ひしゃ戦せんで用もちいられる。

矢倉やぐら流りゅう中ちゅう飛車ひしゃ

矢倉やくら規ただし広ひろ考案こうあん。矢倉やくら中ちゅう飛車ひしゃとは全まったく異ことなる戦法せんぽう。

英すぐるちゃん流りゅう中ちゅう飛車ひしゃ

山口やまぐち英夫ひでお考案こうあん。5筋すじの歩ふを突つかないまま中ちゅう飛車ひしゃに振ふる。

銀ぎん多た伝つて

「二に枚まい落おち下手へたの戦法せんぽう」の代表だいひょう格かく。4筋すじの位いを取とって上手じょうず陣じんを圧迫あっぱくし、5筋すじから攻せめていく。

中原なかはら飛車ひしゃ

中原なかはら誠まこと考案こうあん。相あい掛かかりの後のち、中原なかはら囲がこいに組くみ、5六ろく飛ひと振ふる。

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