無理矢理むりやり矢倉やぐら

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△持もち駒ごま　なし

9	8	7	6	5	4	3	2	1
香こう	桂かつら	銀ぎん	金きむ	王おう	金きむ		桂かつら	香こう	一いち
	飛ひ								二に
歩ふ	歩ふ	歩ふ	歩ふ	歩ふ		銀ぎん	歩ふ	歩ふ	三さん
					歩ふ	歩ふ			四よん
									五ご
		歩ふ					歩ふ		六ろく
歩ふ	歩ふ		歩ふ	歩ふ	歩ふ	歩ふ		歩ふ	七なな
	角かく				銀ぎん		飛ひ		八はち
香こう	桂かつら	銀ぎん	金きむ	玉たま	金きむ		桂かつら	香こう	九きゅう

図ず　△3三さん銀ぎんまで
▲持もち駒ごま　なし

無理矢理むりやり矢倉やぐら（むりやりやぐら）とは将棋しょうぎの戦法せんぽうの一ひとつ。ウソ矢倉やぐら（-やぐら）とも呼よばれる。主おもに指さし手てが相手あいて居きょ飛車ひしゃ党とうに対たいして後手ごてが角かく換がわりや飛車ひしゃ先さき交換こうかん型がた相しょう掛かかり戦せんなどを避さけて、矢倉やくら将棋しょうぎに持もち込こむのに用もちいられる。

古ふるくは二流にりゅうの戦法せんぽうというイメージがあったが(「ウソ矢倉やぐら」や「無理矢理むりやり矢倉やぐら」という言葉ことばはこのなごり)、80年代ねんだい以降いこう再さい評価ひょうかされた。

概要がいよう

将棋しょうぎの相あい矢倉やぐらでは初手しょてから▲7六ろく歩ほ、△8四よん歩ほ、▲6八はち銀ぎん、△3四よん歩ほ、と進すすむのが一般いっぱん的てきな出でだしであるが、それ以外いがいにも相あい矢倉やぐらになる定跡じょうせきが存在そんざいし、それらを総称そうしょうして無理矢理むりやり矢倉やぐらと呼よぶ。相手あいての相あい掛かかりや角かく換がわりなどの注文ちゅうもんを避さけなくても矢倉やくら囲がこい自体じたいは組くむことができるが、駒こま組ぐみの制約せいやく（角かく換がわりなら自陣じじんへの打うち込こみを警戒けいかい）や素直すなおに組くんでも相手あいての戦術せんじゅつに対たいして不利ふりになるケースも多おおく、主導しゅどう権けんを得えるために通常つうじょうと異ことなる手順てじゅんの組くみ方かたが行おこなわれる。

後手ごて番ばんが目指めざす場合ばあいのケースで、例たとえば先手せんてが相あい掛かかりを目指めざして初手しょて▲2六ろく歩ほとしてきた場合ばあいに後手ごて△3四よん歩ほとしてそれを避さけ、以下いか▲7六ろく歩ほ、△4四よん歩ほ～△3二に銀ぎん～△3三さん銀ぎんを目指めざす、また、▲7六ろく歩ほ△3四よん歩ほ▲2六ろく歩ほ△4四よん歩ほで、前述ぜんじゅつのコースをたどる指さし方かた、以下いか▲4八はち銀ぎんには、△4二に銀ぎん～△3三さん銀ぎん～△3二に金きんで矢倉やぐらに組くむ。また早はやめに先手せんてが▲2五ご歩ほと進すすめた場合ばあい△3三角さんかくと上あがりつつも△4四よん歩ほ～△3二に銀ぎん～△4二に角かく～△3三さん銀ぎんと、後手ごてが矢倉やぐらにする手順てじゅんなどがある（第だい1-a図ず)。

△持もち駒ごま　なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1   香こう 桂かつら 銀ぎん   王おう 金きむ   桂かつら 香こう 一いち   飛ひ       角かく 銀ぎん     二に 歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ 金きむ   歩ふ 歩ふ 三さん           歩ふ 歩ふ     四よん               歩ふ   五ご     歩ふ   歩ふ         六ろく 歩ふ 歩ふ   歩ふ   歩ふ 歩ふ   歩ふ 七なな   角かく 玉たま   金きむ 銀ぎん   飛ひ   八はち 香こう 桂かつら 銀ぎん 金きむ       桂かつら 香こう 九きゅう 第だい1-a図ずは△4二に角かくまで ▲持もち駒ごま　なし

△持もち駒ごま　なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1   香こう 桂かつら 銀ぎん 金きむ 王おう 金きむ 銀ぎん 桂かつら 香こう 一いち   飛ひ               二に 歩ふ   歩ふ 歩ふ 歩ふ   角かく 歩ふ 歩ふ 三さん   歩ふ       歩ふ 歩ふ     四よん               歩ふ   五ご     歩ふ             六ろく 歩ふ 歩ふ   歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ   歩ふ 七なな   角かく       銀ぎん   飛ひ   八はち 香こう 桂かつら 銀ぎん 金きむ 玉たま 金きむ   桂かつら 香こう 九きゅう 第だい1-b図ずは△8四よん飛ひまで ▲持もち駒ごま　なし

△持もち駒ごま　なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1   香こう 桂かつら 銀ぎん 金きむ 王おう 金きむ 銀ぎん 桂かつら 香こう 一いち   飛ひ           角かく   二に 歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ     歩ふ 歩ふ 三さん           歩ふ 歩ふ     四よん                   五ご     歩ふ         歩ふ   六ろく 歩ふ 歩ふ   歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ   歩ふ 七なな   角かく       銀ぎん   飛ひ   八はち 香こう 桂かつら 銀ぎん 金きむ 玉たま 金きむ   桂かつら 香こう 九きゅう 第だい1-c図ずは▲4八はち銀ぎんまで ▲持もち駒ごま　なし

この戦法せんぽうを実践じっせんし、実戦じっせん譜ふを掲載けいさいしている序盤じょばんのエジソンこと田中たなか寅彦とらひこ著ちょ『超ちょう過激かげき！トラトラ新しん戦法せんぽう』（日本にっぽん将棋しょうぎ連盟れんめい、1999年ねん）では、△4四よん歩ほに▲2五ご歩ほと突つかれた場合ばあいに矢倉やぐらへ組くむ順じゅんとして、まずは、3三角さんかくと2筋すじを受うける。そして▲4八はち銀ぎんに△3二に銀ぎんなどから飛車ひしゃを振ふる順じゅんが普通ふつうにみられるが、無理矢理むりやり矢倉やぐらはここで△8四よん歩ほと居い飛車ひしゃを明示めいじする（第だい1-b図ず)。以下いか▲7八はち銀ぎん△8五ご歩ほ▲7七なな銀ぎんに△2二に銀ぎんと上あがれば、▲5六ろく歩ほに△4二に角かく▲7九きゅう角かく△3三さん銀ぎんが間まに合あい、先手せんてに2筋すじを交換こうかんされずに矢倉やぐらへ組くむことができる。先手せんてに▲2五ご歩ほを突つかれ、3三角さんかく型がたにされてもなお、矢倉やぐらに組くみたい後手ごての手順てじゅんである。

第だい1-c図ずは新手あらて一生いっしょうの升田ますだ幸三こうぞう対たい田中たなか寅彦とらひこが当時とうじ四よん段だんのときの一いち戦せんで、1977年ねん12月28日にちの王位おうい戦せん。このときは△4二に銀ぎん▲6八はち玉たま△8四よん歩ほ▲7八はち玉たま△5四よん歩ほ▲6八はち銀ぎん△3二に金きん▲7七なな銀ぎんの順じゅんで相あい矢倉やぐらに誘導ゆうどうしている。

第だい2図ずは先手せんて番ばんのケースであるが、▲7六ろく歩ほに相手あいて居きょ飛車ひしゃ党とうが△3四よん歩ほとして、横よこ歩ふ取とりの展開てんかいを目指めざしてきた場合ばあい、3手て目めに▲5八はち金きんとして、△8四よん歩ほに角かく交換こうかんを避さける▲6六ろく歩ほとし、以下いか△8五ご歩ほに▲7七なな角かく～▲6七なな金きん～▲７八はち銀ぎん～▲6八角はっかく～▲７七なな銀ぎんというルートで矢倉やぐら戦せんを目指めざす。

△持もち駒ごま　なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1   香こう 桂かつら 銀ぎん 金きむ 王おう 金きむ 銀ぎん 桂かつら 香こう 一いち   飛ひ           角かく   二に 歩ふ   歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ   歩ふ 歩ふ 三さん             歩ふ     四よん   歩ふ               五ご     歩ふ 歩ふ           六ろく 歩ふ 歩ふ 角かく   歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ 七なな         金きむ     飛ひ   八はち 香こう 桂かつら 銀ぎん 金きむ 玉たま   銀ぎん 桂かつら 香こう 九きゅう 第だい2図ずは▲7七なな角かくまで ▲持もち駒ごま　なし

△持もち駒ごま　歩ふ 9 8 7 6 5 4 3 2 1   香こう 桂かつら 銀ぎん 金きむ 王おう 金きむ   桂かつら 香こう 一いち   飛ひ         銀ぎん 角かく   二に 歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ     歩ふ 歩ふ 三さん           歩ふ 歩ふ     四よん               歩ふ   五ご     歩ふ             六ろく 歩ふ 歩ふ   歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ   歩ふ 七なな   角かく           飛ひ   八はち 香こう 桂かつら 銀ぎん 金きむ 玉たま 金きむ 銀ぎん 桂かつら 香こう 九きゅう 第だい3図ずは△3二に銀ぎんまで ▲持もち駒ごま　なし

△持もち駒ごま　なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1   香こう 桂かつら 銀ぎん 金きむ 王おう 金きむ   桂かつら 香こう 一いち   飛ひ         銀ぎん     二に 歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ   角かく   歩ふ 三さん           歩ふ 歩ふ 飛ひ   四よん                   五ご     歩ふ             六ろく 歩ふ 歩ふ   歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ   歩ふ 七なな   角かく               八はち 香こう 桂かつら 銀ぎん 金きむ 玉たま 金きむ 銀ぎん 桂かつら 香こう 九きゅう 第だい4図ずは△7七なな角かくまで ▲持もち駒ごま　歩ふ

『史上しじょう最強さいきょう！ワセダ将棋しょうぎ』（講談社こうだんしゃ、1982年ねん）では、後手ごての正ただしい矢倉やぐらの組くみ方かたとして、2手て目めを△3四よん歩ほとする上記じょうきの指さし方かたを推奨すいしょうしている。これは2手て目めを△8四よん歩ほとすると、先手せんてになんでも好すきな戦たたかいにもっていかれてしまうからとしている。 本来ほんらい、後手ごてが矢倉やぐら志向しこうなら2手て目め△8四よん歩ほだが、それだと先手せんてが▲2六ろく歩ほの時ときに相あい掛かかりや角かく換がわりになってしまう。角かく道どうを止とめて振ふり飛車ひしゃを装よそおい、それで実じつは矢倉やぐらを狙ねらうのでこの名ながついた。

先手せんての早はやくの▲2五ご歩ほには、（急戦きゅうせん）向むかい飛車ひしゃで嫌いやがらせをすると、次回じかいからは▲2五ご歩ほと突つきにくくなるとしているほかに、第だい3図ずのように△3二に銀ぎんとして、▲2四よん歩ほ△同どう歩ふ▲同どう飛ひに△3三角さんかくとし（第だい4図ず）▲3四よん飛ひならば△4三さん銀ぎん▲3六ろく飛ひ△2二に飛ひとして反撃はんげきする、▲2八はち飛ひならば△2四よん歩ほから、居きょ飛車ひしゃ銀ぎん冠かんむりにしてしまう指さし方かたを推奨すいしょうしている。この順じゅんの類似るいじの戦術せんじゅつに都みやこ成しげる流りゅうがある。

田中たなか寅彦とらひこの前掲ぜんけい書しょでも、後手ごて番ばんの場合ばあいはある程度ていど相手あいてに追随ついずいするのがプロ間あいだの了解りょうかいのような風潮ふうちょうよりも、自分じぶんの土俵どひょうで指さすのかモット―とし、銀ぎん冠かんむりや超ちょう急戦きゅうせん向むかい飛車ひしゃでの反撃はんげきを推奨すいしょうしている。実戦じっせん譜ふでは相手あいての指さし方かた戦型せんけいは早はやい段階だんかいでの△4四よん歩ほを咎とがめるべく、4手て角かく腰掛こしかけ銀ぎんがなどが多おおく指さされている。

『イメージと読よみの将棋しょうぎ観かん』（2008年ねん、日本にっぽん将棋しょうぎ連盟れんめい）では先手せんてをもって第だい3図ずの▲2五ご歩ほは早はやめに決きめるかどうかについて、6名めいの棋士きしはこの▲2五ご歩ほを決きめずに矢倉やぐらに持もち込こまれるのを嫌きらっており、また、相手あいてが居きょ飛車ひしゃ党とうであれば▲2五ご歩ほと早はやめにきめ、相手あいてが振ふり飛車ひしゃ党とうであればきめにこないとしている。回答かいとう者しゃの谷川たにがわ浩司こうじと羽生はぶ善治よしはるはお互たがいの対戦たいせんでは、羽生はぶ先手せんてでは12局きょく中ちゅうすべてきめており、谷川たにがわ先手せんてでは18局きょく中ちゅうで16局きょく決きめ、残のこりの2局きょくでは▲4八はち銀ぎんとして、2局きょくとも矢倉やぐら戦せんとなっている。谷川たにがわはさらに相手あいてが居きょ飛車ひしゃ振ふり飛車ひしゃ両方りょうほうの可能かのう性せいがある場合ばあいは、向むかい飛車ひしゃに来きたられてもよいなら早はやめにつく、矢倉やぐら戦せんでよいなら突つかないなど、そのときの気分きぶんで決きめているという。

2007年ねんでの統計とうけいでこうした局面きょくめんが347局きょくあり先手せんてが▲2五ご歩ほ△3三角さんかくをきめた対局たいきょくは132局きょくあり（うち先手せんての89勝しょう）、▲4八はち銀ぎんとしたのが214局きょくあるという（うち先手せんての125勝しょう）ことで、棋士きし全体ぜんたいでは保留ほりゅうのほうが多おおい。

△持もち駒ごま　なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1   香こう 桂かつら 銀ぎん   王おう     桂かつら 香こう 一いち   飛ひ         金きむ 銀ぎん   二に 歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ 金きむ 角かく 歩ふ 歩ふ 三さん           歩ふ 歩ふ     四よん               歩ふ   五ご     歩ふ   歩ふ         六ろく 歩ふ 歩ふ   歩ふ   歩ふ 歩ふ   歩ふ 七なな     銀ぎん     銀ぎん   飛ひ   八はち 香こう 桂かつら 角かく 金きむ 玉たま 金きむ   桂かつら 香こう 九きゅう 第だい5図ず　△2二に銀ぎんまで ▲持もち駒ごま　なし

△持もち駒ごま　角すみ歩あゆみ 9 8 7 6 5 4 3 2 1   香こう 桂かつら 銀ぎん     王おう   桂かつら 香こう 一いち   飛ひ         金きむ 銀ぎん   二に 歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ 歩ふ 金きむ     歩ふ 三さん           歩ふ 歩ふ 飛ひ   四よん                   五ご     歩ふ   歩ふ         六ろく 歩ふ 歩ふ   歩ふ   歩ふ 歩ふ   歩ふ 七なな     銀ぎん     銀ぎん       八はち 香こう 桂かつら   金きむ 玉たま 金きむ   桂かつら 香こう 九きゅう 第だい6図ず　▲2四よん飛ひまで ▲持もち駒ごま　角すみ歩あゆみ

無理むりやり矢倉やぐらに持もち込こむ側がわとしては、角かく交換こうかんや飛車ひしゃ先さき交換こうかんをさせず矢倉やぐら戦せんに持もち込こみたいため、相手方あいてがたの反はん撃げきとしては速はやい△4四よん歩ほ（▲6六ろく歩ほ）の咎とがめと、こちら側がわの角かく道どうが通かよっていることから急戦きゅうせん矢倉やぐらを仕掛しかける等とうがあるが、▲2五ご歩ほ△3三角さんかくを早はやくに決きめた先手せんての場合ばあいであれば、▲4八はち銀ぎんよりも▲5六ろく歩ほを早はやくに突つき、▲7八はち銀ぎん～▲3一角いっかくから飛車ひしゃ先さき交換こうかんと角かく交換こうかんをする指さし方かたを目指めざす。

無理むりやり矢倉やぐら側がわは、速はやい▲5六ろく歩ほ（△5四よん歩ほ）を見みせた場合ばあい、超ちょう急戦きゅうせんの向むかい飛車ひしゃで対抗たいこうする手段しゅだんの他ほかに、第だい5図ずの後手ごて陣形じんけいのように菊水きくすい矢倉やぐらから盛もり上あげていく手段しゅだんもある。交換こうかんする側がわは第だい6図ずの局面きょくめんであると後手ごてから△2三さん銀ぎんからの盛もり上あげの他ほかに△8八はち角かくから▲7七なな角かく△9九きゅう角かく成しげる▲同どう角かく△2四よん香こうとして飛車ひしゃを殺ころしていく指さし方かたもある。これには▲同どう飛ひ成なり△同どう銀ぎんで、▲3八はち金きんから▲4六ろく歩ほ～▲4五ご歩ほの攻せめが生しょうじるが、▲3八はち金きんであると△3五ご歩ほ～3四よん銀ぎん～3三さん金きんと厚あつく指さす手段しゅだんがある。よって先手せんても▲2八はち香こうとし、以下いか△2四よん歩ほなら▲3六ろく歩ほとしておいてから▲6六ろく角かく～5七なな角かくとする手てがある。ただし早はやくに9筋すじの端歩はしふの付つき合あいがあるならば前述ぜんじゅつの手順てじゅん中ちゅう先手せんての▲3六ろく歩ほの時ときに△9五ご歩ほが生しょうじる。

なおこの順じゅんを避さけるには飛車ひしゃ先さき交換こうかんの前まえに▲7七なな銀ぎんとしてから仕掛しかける。後手ごて△4二に角かくならばそこで▲2四よん歩ほ△同どう歩ふ▲同どう角かくとすれば△4二に角かくが無駄むだになるので△3三さん桂かつらもしくは▲2四よん歩ほ△同どう歩ふとせず△2三さん銀ぎん型がたにする指さし方かたが選択せんたくされる。

無理むりやり矢倉やぐら側がわは相手あいてが早はやくに飛車ひしゃ先さきを決きめた場合ばあいの△3三さん角かく（▲7七なな角かく）について、速はやい△4四よん歩ほ（▲6六ろく歩ほ）を守まもりつつ引びき角かくにする必要ひつようがあるため、相手あいての角かく道どうをけん制せいする意味いみで無理むりやり矢倉やぐら側がわも早はやくに飛車ひしゃ先さきを進すすめ、角かく道どうを止とめさせる（それ以外いがいなら無理むりやり矢倉やぐら側がわも飛車ひしゃ先さきが交換こうかんできる）指さし方かたもある。

この他ほか、無理むりやり矢倉やぐら側がわは向むかい飛車ひしゃではなくとも他たの振ふり飛車ひしゃにしてしまう指さし方かた、雁木がんぎ囲がこいに持もち込こむ指さし方かた、相手方あいてがたも飛車ひしゃ先さきを保留ほりゅうして陽動ようどう振ふり飛車ひしゃにする指さし方かたもある。いずれも一いち局きょく。

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