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クロマトロン

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クロマトロン (Chromatron) は、スクリーン表面ひょうめんしずかでん偏向へんこう(後段こうだん偏向へんこう)をおこなうことによって1つの電子でんしビームだけでカラー表示ひょうじおこな方式ほうしきブラウン管ぶらうんかんである。[1]

概要がいよう

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1951ねんアーネスト・ローレンス中心ちゅうしんとするカリフォルニア大学だいがくバークレーこうクロマチック・ラボで発明はつめいされた。

クロマトロンのおおきな特徴とくちょうは、RGBかくいろ表示ひょうじするのにただひとつの電子でんしビームしかもちいないことと、いろ選別せんべつ機構きこうシャドーマスク使用しようせずに、極細ごくぼそ金属きんぞくせんんでつくられたカラースイッチンググリッドとばれるフィルターを使用しようしていることである。カラースイッチンググリッドはシャドウマスクのように単純たんじゅんにビームをマスクするのではなく、スクリーンのうらほどこされた導電性どうでんせいアルミコーティングとのあいだにかけた3000ボルト以上いじょうこう電圧でんあつでビームを偏向へんこうさせて特定とくていいろ蛍光けいこうたいにのみてる、いわゆるアクティブフィルタとなっていた。理論りろんじょうはマスクをもちいていないことから透過とうかりつ非常ひじょうたかく、当時とうじ一般いっぱんてきだったシャドーマスク方式ほうしきよりも輝度きどコントラスト大幅おおはばたかくすることが可能かのうで、画質がしつめん非常ひじょう有利ゆうりであった[1]が、開発かいはつこくであるアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおいてさえ、発明はつめいから10ねんってもかぎられた軍需ぐんじゅよう研究けんきゅうようにしか使つかわれていなかった。その理由りゆう以下いかのような欠点けってんによりこう解像度かいぞうど不可能ふかのうであったことによる。

  • カラースイッチンググリッドやローレンスかん電極でんきょく構造こうぞうからたい電圧でんあつきびしい制約せいやくがあり、電子でんしじゅう出力しゅつりょくげることができなかったため、単純たんじゅんだい画面がめんすると利点りてんであるはずの輝度きど発揮はっきされなかった。一般いっぱんてきなシャドーマスクのブラウン管ぶらうんかんくらべるとかん電圧でんあつは3ぶんの1程度ていどおさえなければならなかった。
  • かん出力しゅつりょくりないため、輝度きどげるためには画面がめん透過とうかりつげる要因よういんであるアルミコーティングをなるべくうすくするしかなかったが、これによりこう電圧でんあつによる吸引きゅういんりょく剥離はくりして回路かいろくようになり、しばしばショートをこした。
  • 微細びさい構造こうぞうをもつカラースイッチンググリッドが画面がめんのすぐうら配置はいちされており、民生みんせいよう機器ききもちいるには脆弱ぜいじゃくすぎ、歩留ぶどまりも非常ひじょうわるかった。
  • 頻繁ひんぱんこう電圧でんあつによる誘導ゆうどう障害しょうがい発生はっせいさせた。
  • 特性とくせいじょう蛍光けいこうたいけに電子でんしじゅうでの照射しょうしゃ利用りようするため生産せいさんせいひくく、量産りょうさんにはてきさなかった[1]

クロマチック・ラボは試作しさくテレビで上記じょうき問題もんだい直面ちょくめんした時点じてん早々そうそう開発かいはつから撤退てったいし、研究けんきゅういだパラマウント映画えいが同様どうよう開発かいはつ難渋なんじゅうした。ほかにもおおくの電機でんきメーカーがテレビに採用さいようしようとしたが、いずれも研究けんきゅうのみで撤退てったいした。本格ほんかくてきにこれをテレビに採用さいようしたのはソニーだけだが、クロマトロンの特性とくせいわるさはソニーのにもあまり、技術ぎじゅつしゃらのあいだでは「苦労くろうマトロン」と揶揄やゆされていたという[1]各所かくしょくわえた結果けっかソニーのクロマトロンテレビは電子でんしじゅうが3つにえるなど原型げんけいのクロマトロンとはまったことなるものとなっていたが、結局けっきょくソニーも大幅おおはば赤字あかじしてテレビへのクロマトロンの採用さいよう早々そうそうり、わりにていコスト・高性能こうせいのうトリニトロン開発かいはつすすんだ。

トリニトロンでは開口かいこう面積めんせきおおきいすだれじょうのアパーチャーグリルと、1つで3ほん電子でんしビームを水平すいへいいちれつ発射はっしゃすることができるだい口径こうけい電子でんしじゅう使用しようして高画質こうがしつこう輝度きど実現じつげんしており、蛍光けいこうたい焼付やきつけにシャドーマスクと同様どうよう方法ほうほうもちいることができるため生産せいさんせいかった。しばしばクロマトロンがトリニトロンの技術ぎじゅつてき基礎きそであるかのように説明せつめいされるが、実際じっさいには両者りょうしゃ動作どうさ原理げんりおおいにことなっている。クロマトロンが複雑ふくざつなカラースイッチンググリッドを必要ひつようとするのは1つしかない電子でんしビームを3しょく共有きょうゆうしているためであり、トリニトロンでは3しょくぶんそれぞれ別々べつべつ電子でんしビームをもちいるため、そのような複雑ふくざつ仕組しくみは必要ひつようではない。トリニトロンのアパーチャーグリルの役割やくわりは、むしろシャドーマスクのそれにちか単純たんじゅんなものである。

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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