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クワオアー

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
クワオアー 🝾
50000 Quaoar
ハッブル宇宙望遠鏡による撮影。
かり符号ふごう別名べつめい 2002 LM60
分類ぶんるい 太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたい
軌道きどう種類しゅるい エッジワース・
カイパーベルト

キュビワノぞく
発見はっけん
発見はっけん 2002ねん6月4にち
発見はっけんしゃ C. A. トルヒージョ
M. E. ブラウン
軌道きどう要素ようそ性質せいしつ
もと:2019ねん4がつ27にち (JD 2458600.5)[1]
軌道きどうちょう半径はんけい (a) 43.6907122 au[1]
近日きんじつてん距離きょり (q) 41.9624948 au[1]
遠日点えんじつてん距離きょり (Q) 45.419 au[1]
はなれしんりつ (e) 0.0395557[1]
公転こうてん周期しゅうき (P) 288.78 とし[2]
平均へいきん軌道きどう速度そくど 4.52 km/s
軌道きどう傾斜けいしゃかく (i) 7.98813 [1]
近日きんじつてん引数ひきすう (ωおめが) 146.43067 [1]
のぼり交点こうてんけい (Ωおめが) 188.83699 [1]
平均へいきんきんてんかく (M) 300.68579 [1]
前回ぜんかい近日きんじつてん通過つうか 1787ねんごろ
次回じかい近日きんじつてん通過つうか 2066ねん11月25にち[1]
衛星えいせいかず 1
物理ぶつりてき性質せいしつ
直径ちょっけい 890 ± 70 km[3]
1,110 ± 5 km掩蔽えんぺい観測かんそくより)[4]
1,074 ± 38 km[5]
質量しつりょう (1.6 ± 0.3)×1021 kg[3]
平均へいきん密度みつど 4.2 ± 1.3 g/cm3[3]
表面ひょうめん重力じゅうりょく 0.276 - 0.376 m/s3
脱出だっしゅつ速度そくど 0.523 - 0.712 km/s
自転じてん周期しゅうき (8.840 ± 0.008)[2]
or 17.6788 あいだ
絶対ぜったい等級とうきゅう (H) 2.4[1]
アルベド反射はんしゃのう 0.069 - 0.128
or 0.077 - 0.140
表面ひょうめん温度おんど ~43 K
いろ指数しすう (B-R) 1.58 ± 0.01
いろ指数しすう (B-V) 0.94 ± 0.01
いろ指数しすう (V-R) 0.64 ± 0.01
いろ指数しすう (V-I) 1.28 ± 0.02
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クワオアー[6]またはクワーオワー[7][8] (50000 Quaoar) は、将来しょうらいてきじゅん惑星わくせい冥王星めいおうせいがた天体てんたい)に分類ぶんるいされる可能かのうせいがある太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたいひとつ。エッジワース・カイパーベルト位置いちし、太陽たいようからおよそ60おくキロメートル(43.7au)のほぼえんちか軌道きどうを、やく290ねん周期しゅうき公転こうてんしている。

概要がいよう

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2002ねん6月4にちカリフォルニア工科こうか大学だいがく天文学てんもんがくしゃチャドウィック・トルヒージョマイケル・ブラウンによって、カリフォルニアしゅうパサデナパロマー天文台てんもんだいにあるサミュエル・オシン望遠鏡ぼうえんきょう撮影さつえいされた画像がぞうから発見はっけんされた。この発見はっけんは2002ねん10月7にちアメリカ天文てんもん学会がっかい年会ねんかい発表はっぴょうされた。その調査ちょうさで、もっとふる画像がぞうとしてはパロマー天文台てんもんだい1954ねん5月25にち撮影さつえいされた写真しゃしん乾板かんぱんにこの天体てんたいうつっていたことが判明はんめいした。

クワオアーは発見はっけん当時とうじ直径ちょっけいやく1,200kmと推定すいていされ、冥王星めいおうせい以降いこう発見はっけんされた最大さいだい天体てんたいであり、またそれまでにられていた小惑星しょうわくせいなか最大さいだいのものだった。のちセドナエリスにそのわたした。ただしそのセドナの直径ちょっけい下方かほう修正しゅうせいされており、クワオアーよりちいさい可能かのうせいがある。

2019ねん6がつ東京大学とうきょうだいがく木曽きそ観測かんそくしょ口径こうけい105cmシュミット望遠鏡ぼうえんきょう搭載とうさいされたちょうこう視野しや高速こうそくカメラ「トモエゴゼン」をもちいた掩蔽えんぺいこう感度かんど動画どうが観測かんそくによって、クワオアーに大気たいきがほとんど存在そんざいしないことが判明はんめいした[7][9][10]

名称めいしょう

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この天体てんたい名称めいしょうは、「海王星かいおうせいよりも十分じゅうぶんとおく、太陽系たいようけい寿命じゅみょうどう程度ていど十分じゅうぶんながあいだ安定あんてい軌道きどう天体てんたいには創世そうせい神話しんわ関連かんれんした名前なまえける」という国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう規則きそく[11]したがい、ロサンゼルス周辺しゅうへんアメリカ先住民せんじゅうみんであるトングヴァぞくつたわる神話しんわの、うたおどりでかみ々と生物せいぶつつくった創世そうせいしんクワオワーちなんで名付なづけられた。

組成そせい

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クワオアーの平均へいきん密度みつどは 4.2 ± 1.3 g/cm3で、太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたいとしては有意ゆうい高密度こうみつど天体てんたいかんがえられている。これはクワオアーは岩石がんせきこおり混合こんごうぶつからなる一般いっぱんてき外縁がいえん天体てんたいことなりごおりをほとんどふくんでいないことをしめしている[3][12]アルベドは0.1程度ていどとかなりひくいと推定すいていされているが、これは表面ひょうめんからこおりうしなわれていること意味いみする。ニュー・ホライズンズ計画けいかくによって2015ねん探査たんさ冥王星めいおうせいおとずれ、つづけていくつかの外縁がいえん天体てんたい探査たんさおこなわれたのちには、これらの事実じじつかんしてはるかにおおくの知識ちしきられるはずである。

2004ねんにクワオアーの表面ひょうめんみず結晶けっしょう存在そんざい確認かくにんされ、研究けんきゅうしゃおどろかせた。これは最近さいきん1000まんねん以内いない表面ひょうめん温度おんどが-160℃ (110K) 以上いじょう上昇じょうしょうしたことをしめしている。どのような原因げんいんで-220℃ (55K) というクワオアーの元々もともと温度おんど上昇じょうしょうしたのかについていくつかの推測すいそくおこなわれている。しょう天体てんたい衝突しょうとつによって温度おんどがったというせつとなえる研究けんきゅうしゃもいるが、もっと議論ぎろんされたせつではクワオアーの中心ちゅうしんかくふくまれる放射ほうしゃせい元素げんそ崩壊ほうかいねつによってこおり火山かざん現象げんしょうきているのではないかと推定すいていしている[13]

分類ぶんるい経緯けいい

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クワオアーの発見はっけんによって、冥王星めいおうせい惑星わくせい分類ぶんるいする根拠こんきょはややよわくなった。当時とうじすで天文学てんもんがくしゃたちはクワオアー程度ていどおおきさを外縁がいえん天体てんたいが10ほどは存在そんざいするかもしれないとかんがえていたため、冥王星めいおうせいくわえてクワオアーやそれらの天体てんたい惑星わくせいふくめるように惑星わくせい定義ていぎ変更へんこうする必要ひつようてくる可能かのうせいしょうじたのである。

クワオアーはある意味いみでは冥王星めいおうせいよりも惑星わくせいらしいとえる。クワオアーの公転こうてん軌道きどう半径はんけい40auをややえるえんちかいもので、冥王星めいおうせいのようなはなれしんりつおおきな楕円だえん軌道きどうではない。また、海王星かいおうせい同様どうようにクワオアーの軌道きどう冥王星めいおうせい近日きんじつてん遠日点えんじつてんあいだにある。よってある時期じきには冥王星めいおうせいはクワオアーよりも太陽たいようちかく、ある時期じきにはクワオアーよりもとおくなる。

クワオアーにつづきさらにおおきな(90377) セドナ発見はっけんされ、冥王星めいおうせいよりも直径ちょっけいおおきな (136199) エリス発見はっけんされるにおよんで惑星わくせい定義ていぎ見直みなおしをせまられることとなった。結局けっきょく2006ねん8がつ24にち国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう総会そうかい惑星わくせい定義ていぎ採択さいたくされた結果けっか冥王星めいおうせいなど3つの天体てんたいじゅん惑星わくせい (dwarf planet) に分類ぶんるいされることになった。さらに、今後こんご観測かんそくによってじゅん惑星わくせいみとめられるかもしれない天体てんたいとしてクワオワーなど10すうがリストアップされた。

衛星えいせい

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クワオアーとウェイウォットとたまき

ハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうで2006ねん2がつ14にち撮影さつえいされた画像がぞうから、マイケル・ブラウンとT.-A. Suerの分析ぶんせきにより衛星えいせい発見はっけんされたことが、2007ねん2がつ22にちづけ国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう回報かいほう (IAUC) 8812ごう報告ほうこくされた。この衛星えいせいにはS/2006 (50000) 1というかり符号ふごうけられたのち、2009ねんウェイウォット ((50000) Quaoar I Weywot) と名付なづけられた。このはトングヴァぞく神話しんわでクワオアーによってつくられたかみいちはしら由来ゆらいする。

たまき

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クワオアーのまわりに存在そんざいするたまき衛星えいせいウェイウォットの想像そうぞう

2023ねん2がつ、クワオアーの周囲しゅういたまき存在そんざいすることが確認かくにんされたという研究けんきゅう結果けっか科学かがく雑誌ざっしネイチャーにて公表こうひょうされた。惑星わくせい以外いがい天体てんたいで、たまきつことが明確めいかく確認かくにんされたのは(10199) カリクロー(136108) ハウメアいで3れいである(彗星すいせい小惑星しょうわくせい遷移せんい天体てんたいとしてられるキロンたまき可能かのうせい指摘してきされている[14])。このたまき2018ねんから2021ねんにかけて発生はっせいしたクワオアーによる掩蔽えんぺい観測かんそくから発見はっけんされた。たまきはクワオアーから 4,148.4 ± 7.4 km はなれたところに存在そんざいしているとみられているが、これは惑星わくせいふくめたほか天体てんたいたまきとはことなり、はは天体てんたいロッシュ限界げんかいから2ばい以上いじょうはなれた距離きょり存在そんざいしているという特徴とくちょうがある[15]

画像がぞう

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d e f g h i j k クワオアー - 小惑星しょうわくせいセンター
  2. ^ a b 50000 Quaoar (2002 LM60)”. NASA/JPL. 2019ねん12月5にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c d Fraser, Wesley C.; Brown, Michael E. (2010). “Quaoar: A Rock in the Kuiper Belt”. The Astrophysical Journal 714 (2): 1547-1550. arXiv:1003.5911. Bibcode2010ApJ...714.1547F. doi:10.1088/0004-637X/714/2/1547. ISSN 0004-637X. 
  4. ^ Braga-Ribas, F. et al. (2013). “The Size, Shape, Albedo, Density, and Atmospheric Limit of Transneptunian Object (50000) Quaoar from Multi-chord Stellar Occultations”. The Astrophysical Journal 773 (1): 26. Bibcode2013ApJ...773...26B. doi:10.1088/0004-637X/773/1/26. ISSN 0004-637X. 
  5. ^ Fornasier, S. et al. (2013). “TNOs are Cool: A survey of the trans-Neptunian region”. Astronomy & Astrophysics 555: A15. arXiv:1305.0449. Bibcode2013A&A...555A..15F. doi:10.1051/0004-6361/201321329. ISSN 0004-6361. 
  6. ^ 天文学てんもんがくだい事典じてん編集へんしゅう委員いいんかい へん天文学てんもんがくだい事典じてん』(初版しょはんだい1はんじんしょかん、318ぺーじISBN 978-4-8052-0787-1 
  7. ^ a b じゅん惑星わくせい候補こうほクワーオワーによる恒星こうせいしょく動画どうが観測かんそく成功せいこう”. AstroArts (2019ねん12月3にち). 2019ねん12月5にち閲覧えつらん
  8. ^ ぜん世界せかい観測かんそく成果せいか ver.2” (Excel). 薩摩さつま川内せんだいせんだい宇宙うちゅうかん (2018ねん3がつ3にち). 2019ねん3がつ11にち閲覧えつらん
  9. ^ 東京大学とうきょうだいがく木曽きそ観測かんそくしょトモエゴゼンをもちいて太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたいクワオアーによる恒星こうせい掩蔽えんぺい(えんぺい)現象げんしょうこう感度かんど動画どうが観測かんそく成功せいこう”. 東京大学とうきょうだいがく大学院だいがくいん理学りがくけい研究けんきゅう附属ふぞく天文学てんもんがく教育きょういく研究けんきゅうセンター木曽きそ観測かんそくしょ (2019ねん11月27にち). 2019ねん12月3にち閲覧えつらん
  10. ^ Arimatsu, Ko et al. (2019). “New Constraint on the Atmosphere of (50000) Quaoar from a Stellar Occultation”. The Astrophysical Journal 158 (6): 236. arXiv:1910.09988. doi:10.3847/1538-3881/ab5058. ISSN 1538-3881. 
  11. ^ Minor Planet Name Guide”. IAU (2000ねん7がつ8にち). 2010ねん4がつ7にち閲覧えつらん
  12. ^ David Shiga (2010ねん4がつ7にち). “Is densest Kuiper belt object a wayward asteroid?”. New Scientist. http://www.newscientist.com/article/dn18739-is-densest-kuiper-belt-object-a-wayward-asteroid.html?DCMP=OTC-rss&nsref=space 2010ねん4がつ7にち閲覧えつらん 
  13. ^ Jewitt, David C.; Luu, Jane (2004). “Crystalline water ice on the Kuiper belt object (50000) Quaoar”. Nature 432 (7018): 731-733. doi:10.1038/nature03111. ISSN 0028-0836. 
  14. ^ “James Webb Space Telescope spies rings around centaur Chariklo”. アストロノミー. (2023ねん2がつ9にち). https://astronomy.com/news/2023/02/jwst-spies-chariklo-rings 2023ねん2がつ20日はつか閲覧えつらん 
  15. ^ Morgado, B. E.; Sicardy, B.; Braga-Ribas, F. et al. (2023). “A dense ring of the trans-Neptunian object Quaoar outside its Roche limit”. Nature 614: 239–243. doi:10.1038/s41586-022-05629-6. 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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