グリコーゲン合成ごうせい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

グリコーゲン合成ごうせい(グリコーゲンごうせい、えい: glycogenesis)は、グリコーゲンくさりグルコース分子ぶんし付加ふかしていく過程かていである。この過程かていこう血糖けっとうのときに放出ほうしゅつされるインスリンによって活性かっせいされる。

グリコーゲンの合成ごうせい分解ぶんかいべつ経路けいろであることがかったのはマッカードルびょうという遺伝いでんてきグリコーゲン貯蔵ちょぞうびょうがあったからである。この遺伝いでんびょう患者かんじゃグリコーゲンホスホリラーゼ異常いじょうによってグリコーゲンを分解ぶんかいすることができないが、グリコーゲン合成ごうせい正常せいじょうおこなわれていた。こういうことから分解ぶんかい合成ごうせいべつ経路けいろであることが判明はんめいした。

反応はんのう工程こうてい[編集へんしゅう]

生理せいりてきリンさん濃度のうどでは、グルコース-1-リンさん(G1P)からグリコーゲンを合成ごうせいするのはねつ力学りきがくてき不可能ふかのうである。この反応はんのう可能かのうにするのが、UTPからUDP-グルコース合成ごうせいするはつエルゴン反応はんのうで、1957ねんルイ・ルロワール発見はっけんした。

グリコーゲン合成ごうせいかかわる酵素こうそは、グルコース-1-リンさんウリジリルトランスフェラーゼ(UDPグルコースピロホスホリラーゼ)とグリコーゲンシンターゼ、グリコーゲンぶんえだ酵素こうその3酵素こうそである。

グルコース-1-リンさんウリジリルトランスフェラーゼ[編集へんしゅう]

グルコース-1-リンさんウリジリルトランスフェラーゼは、UTPとG1PからUDP-グルコースを合成ごうせいする酵素こうそで、副産物ふくさんぶつリンさんあたえる。リンさん無機むきピロホスファターゼ即座そくざ加水かすい分解ぶんかいされて2分子ぶんしリンさんとなる。UDP-グルコースが合成ごうせいされる過程かていΔでるたGやく0[kJ/mol]であるが、リンさん加水かすい分解ぶんかいΔでるたG は-33.5[kJ/mol]であるため合計ごうけいするとはつエルゴン過程かていとなる。

グリコーゲンシンターゼ[編集へんしゅう]

グリコーゲンシンターゼはグリコーゲンを伸長しんちょうする酵素こうそで、UDP-グルコースのグリコシルもとがUDPからはずしてオキソニウムちゅうあいだたいつくり、グリコーゲンの還元かんげんまつはしグルコースざんもとのC4-OHがそれをもとめかく攻撃こうげきしてαあるふぁ(1→4)結合けつごうができる。酵素こうそ反応はんのうΔでるたG は-13.4[kJ/mol]である。

グリコーゲンぶんえだ酵素こうそ[編集へんしゅう]

グリコーゲンを枝分えだわかれにするのは、1,4-αあるふぁ-グルカンぶんえだ酵素こうそである。グルカンくさりが11ざんもと以上いじょうになるとこの酵素こうそは、その還元かんげんまつはしからやく7ざんもとり、おなじまたはべつのグルカンくさりのC6-OHにうつす。このとき、あたらしいえだ直前ちょくぜんえだから4ざんもと以上いじょうはなれた場所ばしょにできる。ねつ力学りきがくてきには、αあるふぁ(1→4)結合けつごう加水かすい分解ぶんかいΔでるたG =-15.5[kJ/mol]、αあるふぁ(1→6)結合けつごう加水かすい分解ぶんかいΔでるたG =-7.1[kJ/mol]であり、αあるふぁ(1→4)結合けつごうってαあるふぁ(1→6)結合けつごうをつなぐのははつエルゴン過程かていとなる。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]