ハンマーム

ハンマーム

ハンマーム（アラビア語ご: حمّام‎, hammām）は、トルコやアゼルバイジャン、アラブ諸国しょこく・イランなどの中東ちゅうとう全域ぜんいき、アフガニスタン、中央ちゅうおうアジア諸国しょこく、東ひがしアジア諸国しょこくに広ひろく見みられる伝統でんとう的てきな公衆こうしゅう浴場よくじょうのことである。 語源ごげんは「温あたためる」「熱ねっする」を意味いみするアラビア語ごの動詞どうし「ハンマ」に由来ゆらいする。トルコ語ごでは「ハマム (もしくはハマーム、hamam)」という。

美的びてきな外観がいかんと排水はいすい・熱ねつ効率こうりつが計算けいさんされた内部ないぶの構造こうぞうは建築けんちく学がくの視点してんから高たかく評価ひょうかされている。

概要がいよう

ハンマームは保温ほおんなどを目的もくてきとして半地はんじ下かに建たてられ、採光さいこう・換気かんきのための窓まどは設もうけられていない。乾燥かんそう帯たいに位置いちする浴場よくじょうで使用しようされる水みずは、ファラジ・カナートなどの給水きゅうすい路ろや井戸水いどみずから供給きょうきゅうされている。浴場よくじょうを温あたためるかまどの燃料ねんりょうは木材もくざいのほか、乾燥かんそうさせた人畜じんちくの糞くそが使用しようされる。かまどの火ひは料理りょうりの火種ひだねにも使つかわれ、灰はいは肥料ひりょうやセメント・モルタルの原料げんりょうとして再さい利用りようされる。

ハンマームの基本きほん的てきな構造こうぞうは、入いり口くちに番台ばんだいがあり、内部ないぶに脱衣だつい所しょと浴室よくしつがある。客きゃくは貴重きちょう品ひんをハンマームの親方おやかたに預あづけて脱ぬいだ衣服いふくをまとめ、腰布こしぬのを付つけて入浴にゅうよく用ようのサンダルに履はき替かえ、浴室よくしつに向むかう。閉店へいてん前まえに必かならず清掃せいそうを行おこなう、ハンマーム内ないの水盤すいばんで洗濯せんたくを行おこなってはならないといった衛生えいせい面めんに関かんして厳きびしい規則きそくがあり、入浴にゅうよくのマナーとして腰布こしぬのを纏まとうことが義務付ぎむづけられている。しかし、これらの規則きそくやマナーが必かならず守まもられていたとは限かぎらなかった。時代じだいに関係かんけいなく庶民しょみんの女性じょせいは何なにも纏まとわずに入浴にゅうよくするのが通例つうれいとなっている。

浴室よくしつはふつう蒸むし風呂ぶろで、浴槽よくそうからのぼった蒸気じょうきで汗あせを出だし、あかすり師し（日本にっぽんでいう「三助さんすけ」に相当そうとうする）によるあかすりやマッサージ、剃そ毛けのサービスを受うける。アッバース朝あさ時代じだいの記録きろくには、シロップとレモン汁じるを煮詰につめて作つくった脱毛だつもう剤ざいが使つかわれていたことが記録きろくされている。中世ちゅうせいには散髪さんぱつ、髭ひげ剃すり、瀉血しゃけつといった床屋とこやの仕事しごとも行おこなうあかすり師しが存在そんざいしていた。あかすり師しは、男性だんせい客きゃくに対たいしては男性だんせい、女性じょせい客きゃくに対たいしては女性じょせいがあてられる。ハンマームで行おこなわれるマッサージは手荒てあらではあるが、快適かいてきだと言いわれる。洗面せんめん台だいで体からだを流ながし、入浴にゅうよくを終おえた客きゃくは脱衣だつい所しょで一服いっぷくし、親方おやかたに入浴にゅうよく料りょうを、あかすり師しにはチップを支払しはらって外そとに出でる。「夜よるのハンマームにはジン（精霊せいれい、妖怪ようかい、魔ま人じん）が出没しゅつぼつする」という俗信ぞくしんがあり、営業えいぎょう時間じかんを朝あさから日没にちぼつの間あいだに限かぎる浴場よくじょうも存在そんざいする。

脱衣だつい所しょで体からだを休やすめる客きゃくは近ちかくの店みせから取とり寄よせたコーヒーや茶ちゃ、水みずタバコなどを味あじわい、あるいは果物くだものを食たべたり、他たの客きゃくとの会話かいわを楽たのしんだ。ハンマームはコーヒーハウスのように長時間ちょうじかんくつろぎながら楽たのしむ交際こうさい、娯楽ごらくの場ばとして庶民しょみんに愛あいされてきた。現代げんだいのアラブ世界せかいの小説しょうせつ・映画えいがにも、ハンマームを舞台ぶたいとした場面ばめんが登場とうじょうする。

歴史れきし

ローマの浴場よくじょう文化ぶんかの継承けいしょう

8世紀せいき初頭しょとうに建造けんぞうされたクサイル・アムラに、既すでに浴場よくじょうは設もうけられていた。

イスラム世界せかいの公衆こうしゅう浴場よくじょうの建設けんせつは、正統せいとうカリフ時代じだいの征服せいふく運動うんどうと並行へいこうして行おこなわれたとされる。

中東ちゅうとう・イスラーム世界せかいは、かつてのロろーマ帝国まていこくの東ひがし南部なんぶを征服せいふくした際さいに、ローマ人じんの浴場よくじょう文化ぶんかを引ひき継つぎ発展はってんさせたと考かんがえられている。イスラーム社会しゃかいで最初さいしょ期きの浴場よくじょうとして知しられるのは、8世紀せいき頃ころに作つくられたウマイヤ朝あさ時代じだいのものに遡さかのぼる。預言よげん者しゃムハンマドは浴場よくじょうを利用りようしなかったようであるが、4代目だいめカリフ・アリーは浴場よくじょうで身体しんたいを洗あらっていたと伝つたえられている。ハディースは浴場よくじょうに対たいして否定ひてい的てきな立場たちばを取とっていると考かんがえられているが、常つねに心しんとともに身体しんたいを清潔せいけつに保たもつことを重おもんじるイスラムの教おしえに浴場よくじょうの目的もくてきが合致がっちするために、公衆こうしゅう浴場よくじょうが一般いっぱんに急速きゅうそくに普及ふきゅうしていった側面そくめんもある。

また、ハンマームはローマ世界せかいから、浴場よくじょうに壁画へきがを飾かざる伝統でんとうも受うけ継ついだ。偶像ぐうぞう崇拝すうはいを禁きんじるイスラームの教義きょうぎからイスラーム法学ほうがく者しゃは浴場よくじょうの壁画へきがに否定ひてい的てきな見解けんかいを示しめし、イスラーム国家こっかの中なかにはウマイヤ朝あさのウマル2世せいのように壁画へきがの破壊はかいを命めいじた君主くんしゅもいた。しかし、ハンマームに壁画へきがを飾かざる習慣しゅうかんは後ごの時代じだいまで残のこり、良質りょうしつな浴場よくじょうを構成こうせいする条件じょうけんの1つに美うつくしい壁画へきがを数かぞえる意見いけんもある。

ハンマームの普及ふきゅう

イスラーム世界せかいの都市としでは、ハンマームはモスク、神学校しんがっこう（マドラサ）に次ついで重要じゅうようなものだと考かんがえられている。かつては各かく街まち区くに必かならずモスクや市場いちば（スーク、バザール）とともにハンマームが存在そんざいし、多おおくのハンマームがワクフ（寄進きしん財産ざいさん）として維持いじ建設けんせつされてきた。ハンマームの数かずの推移すいいはその都市としの盛衰せいすいを反映はんえいし、都市とし人口じんこうと発展はってんの度合どあいを推定すいていする根拠こんきょともなる。それらの公衆こうしゅう浴場よくじょうとは別べつに、国家こっかの君主くんしゅ・有力ゆうりょく者しゃは宮殿きゅうでんや自宅じたくに私的してきな浴場よくじょう・浴室よくしつを建設けんせつした。

トルコのハマムにはイスラームの習慣しゅうかんに合あわされたビザンティン建築けんちくの技術ぎじゅつが導入どうにゅうされ、建築けんちく技術ぎじゅつは早期そうきに発達はったつした。17世紀せいき半なかばのイスタンブールには14,838のハマムが存在そんざいし、うち302が公衆こうしゅう浴場よくじょう、残のこりの14,536が宮廷きゅうていと富裕ふゆう層そうが所有しょゆうする浴場よくじょうだった。

イスラム式しきの浴場よくじょうは中東ちゅうとう以外いがいにインド、マグリブ、アンダルシア地方ちほうにも建設けんせつされ、その址しが残のこる。マリーン朝あさ、ナスル朝あさ時代じだいにマグリブに建設けんせつされたハンマームの遺構いこうは現代げんだいに残のこり、エジプトのアイユーブ朝あさが建設けんせつしたハンマームとの共通きょうつう点てんも指摘してきされる。デリー、ハイデラバード、ボーパールでは、16世紀せいき初頭しょとうにムガル帝国ていこくによって建設けんせつされたハンマームが現在げんざいも営業えいぎょうを続つづけている。

近代きんだい以降いこう

20世紀せいき以降いこうに都市としのインフラストラクチャーが整備せいびされるとともに、ハンマームは数かずを減へらしていった。中東ちゅうとうでも個人こじん宅たくへ浴室よくしつが普及ふきゅうしたために多おおくのハンマームが廃すたれ、カイロやダマスカスのような大都市だいとしで営業えいぎょうを続つづけているものがまばらに見みられるほどでしかない。それでも、都会とかいでの庶民しょみんの社交しゃこうの場ばとして活用かつようされているハンマームも存在そんざいする。トルコではハマムが観光かんこう施設しせつとして外国がいこく人じん観光かんこう客きゃくの関心かんしんを集あつめており、イスタンブールなどの歴史れきし的てき都市としではいくつかのハンマームが観光かんこう客きゃく向むけに営業えいぎょうしている。

男女だんじょの区分くぶん

入浴にゅうよく客きゃくの性別せいべつの区分くぶんとしては、男女だんじょ別々べつべつの浴場よくじょうを建設けんせつするか、性別せいべつごとに時間じかん帯たいや曜日ようびを分わけて営業えいぎょうすることで対応たいおうしている。女性じょせい用ようのハンマームでは、浴場よくじょう内ないで行おこなわれるあかすり、マッサージは全すべてが女性じょせいの係かかりによって行おこなわれる。13世紀せいきにルーム・セルジューク朝あさのもとで建設けんせつされたハンマームには、日本にっぽんの銭湯せんとうと同様どうように一ひとつの浴場よくじょうが男おとこ湯ゆと女おんな湯ゆに分わけられているものも存在そんざいしていた。また、女性じょせいを親族しんぞく以外いがいの男性だんせいの視線しせんから隠かくすイスラームの習慣しゅうかんのため、女性じょせい用ようの浴場よくじょうの入いり口くちは外そとから目めにつきにくい場所ばしょに設もうけられている。

歴史れきし的てきには、特とくに男性だんせい社会しゃかいから隔離かくりされ、自由じゆうに外出がいしゅつすることを制限せいげんされてきた女性じょせいたちにとっては、素顔すがおをさらして集つどうことができ、女性じょせい同士どうしでくつろいで会話かいわを楽たのしむことのできるハンマームは貴重きちょうな社交しゃこうと情報じょうほう収集しゅうしゅうの場ばだった。母親ははおやが息子むすこに相応ふさわしい嫁よめを探さがすというような実用じつよう的てきな機能きのうや、結婚式けっこんしき前まえの女性じょせいが親族しんぞくの女性じょせいに囲かこまれて身みづくろいしたりする儀礼ぎれい的てきな機能きのうも有ゆうしていた。女おんな湯ゆは概がいして騒さわがしい場所ばしょと考かんがえられており、イランやレバノンでは女じょ湯ゆのうるささを揶揄やゆした慣用かんよう句くが用もちいられている。

中東ちゅうとうの都市としを訪おとずれた西欧せいおうの旅行りょこう者しゃたちの書かき残のこした記録きろくには、富裕ふゆうな階層かいそうから庶民しょみんに至いたるまで様々さまざまな出自しゅつじの女性じょせいたちが、ベールで顔かおを隠かくしてハンマームに赴おもむく様ようがしばしば奇異きいと驚おどろきの目めをもって描写びょうしゃされている。

イランのギャルマーベ

イランでは、一般いっぱん的てきに公衆こうしゅう浴場よくじょうを指さす言葉ことばとして「ギャルマーベ」（熱あつい水みず）という言葉ことばが使用しようされており、「ハンマーム」は個人こじんの住居じゅうきょに付随ふずいする浴室よくしつを指さして使つかわれることが多おおい。11世紀せいきにズィヤール朝あさの君主くんしゅカイ＝カーウースが著あらわした教訓きょうくん書しょ『カーブースの書しょ』には、すでに入浴にゅうよくの作法さほうが記しるされていた。ズィヤール朝あさ以降いこうのペルシア文学ぶんがく作品さくひん、イランを訪問ほうもんした外国がいこく人じんの旅行りょこう記きにも、たびたびギャルマーベが登場とうじょうした。

モスクやマドラセと同様どうように、ギャルマーベにもペルシャ式しきの建築けんちく様式ようしき独特どくとくのアーチとドームが見みられ、壁面へきめんがタイルで装飾そうしょくされている。（サファヴィー建築けんちくも参照さんしょう）上下水道じょうげすいどうと都市としガスの整備せいびが進すすむ現在げんざいのイランでは多おおくの個人こじんの住居じゅうきょに浴室よくしつが設置せっちされ、テヘランなどの都市としからギャルマーベの姿すがたは消きえつつある。

近代きんだい以前いぜんのイランの公衆こうしゅう浴場よくじょうはエジプトやトルコなどの他た地域ちいきと異ことなり、浴槽よくそう（ハズィーネ）の衛生えいせい状態じょうたいが極きわめて悪わるかった。17世紀せいき後半こうはんにサファヴィー朝あさを訪おとずれたフランス人じん商人しょうにんジャン・シャルダンはイスファハーンの汚染おせんされた浴槽よくそうについて書かきし、近きん現代げんだいのイランの文学ぶんがく作品さくひんやエッセイにも汚よごれた浴槽よくそうについての言及げんきゅうが見みられる。衛生えいせい面めんでの問題もんだいからギャルマーベから浴槽よくそうは撤去てっきょされ、一般いっぱん的てきなギャルマーベは脱衣だつい室しつと蒸むし風呂ぶろの二に部屋へやで構成こうせいされている。ギャルマーベとは別べつに「オルキーデ」（ラン）という公衆こうしゅう浴場よくじょうが経営けいえいされており、サウナのほかに冷水れいすいプール、ジャグジー、シャワー室しつ、バーベル、屋外おくがいの温水おんすいプールが併設へいせつされている。

西欧せいおうでのイメージ

アングルの『トルコ風呂とるこぶろ』

17世紀せいきのロンドンには、すでに「ハンマーム」の名前なまえを冠かんした浴場よくじょうが建たてられていた。18世紀せいき末すえまでにロンドンに30ほどの「トルコ」式しき浴場よくじょうが建たてられたが、その多おおくで売春ばいしゅんのサービスが行おこなわれていたと考かんがえられており、この種たねの「トルコ風呂とるこぶろ」が「ハンマーム」に対たいする歪いがんだ偏見へんけんを植うえ付つけた。19世紀せいきの画家がかドミニク・アングルはメアリー・ウォートレー・モンタギュー夫人ふじんが残のこした女性じょせい用ようのハンマームの見聞けんぶん録ろくに触発しょくはつされ、ヨーロッパ人じんの男性だんせいが抱いだくイメージと欲望よくぼうが反映はんえいされた『トルコ風呂とるこぶろ』を描えがいた。

一方いっぽうで、19世紀せいき末まつのヨーロッパには健全けんぜんなイスラーム風ふうの浴場よくじょうも登場とうじょうする。1867年ねんのパリ万国博覧会ばんこくはくらんかい、1873年ねんのウィーン万国博覧会ばんこくはくらんかいでは、オスマン帝国ていこくの会場かいじょうにトルコ風ふうの浴場よくじょうが設置せっちされた。

日本にっぽんにおける「トルコ風呂とるこぶろ」

「トルコ風呂とるこぶろ (性せい風俗ふうぞく)」も参照さんしょう

アメリカで「ターキッシュ・バス（Turkish Bath）」と呼よばれていた施設しせつが、日本にっぽんでは「トルコ風呂とるこぶろ」と訳やくされて紹介しょうかいされた。

日本にっぽんで初はじめてハンマームに触ふれたのは幕末ばくまつから明治めいじ時代じだいにかけてヨーロッパを訪問ほうもんした使節しせつ団だんや留学生りゅうがくせいであり、彼かれらは道中どうちゅうでエジプトやイスタンブールのハンマームを利用りようした。横浜よこはま鎖くさり港みなと談判だんぱん使節しせつ団だんに随行ずいこうした岩松いわまつ太郎たろう、海外かいがい視察しさつ中ちゅうにイスタンブールに立たち寄よった谷たに干城かんじょうらが、ハンマームの体験たいけん記きを書かき残のこした。1908年ねんに高輪たかなわの岩崎いわさき弥之助やのすけ別宅べったく（現在げんざいの開東かいとう閣かく）に脱衣だつい所しょ・冷ひや浴室よくしつ・温浴おんよく室しつ・熱ねつ浴室よくしつを備そなえた本格ほんかく的てきな「トルコ風呂とるこぶろ」が建たてられたが、ハンマームが日本にっぽんに根付ねつくには至いたらなかった。

イスラム世界せかいの宮廷きゅうていに置おかれていたハレムに対たいする誤解ごかいと、ハンマームで行おこなわれる洗あらい体たいとマッサージのサービスが合あわさって、「トルコ風呂とるこぶろ」が個室こしつ付づけ特殊とくしゅ浴場よくじょうの通称つうしょうとして使用しようされるようになったと考かんがえられている。トルコ大使館たいしかんおよび在日ざいにちトルコ人じんの訴うったえかけによって、1984年ねんに業界ぎょうかい団体だんたいは「トルコ風呂とるこぶろ」の呼称こしょうを自主じしゅ的てきに廃止はいしし、ソープランドと名称めいしょうを変かえた。

ハンマームの一いち例れい

ダマスカスのヌールッディーン浴場よくじょう

「en:Category:Public baths in the Arab world」も参照さんしょう

ハセキ・ヒュッレム・スルタン・ハンマーム

イスタンブールのハンマーム。1556年ねんにミマール・スィナンによって建設けんせつされ、皇帝こうていスレイマン1世せいの寵ちょう妃ひハセキ・ヒュッレム・スルタンの名前なまえを冠かんする。

ガラタサライ・ハンマーム

イスタンブールに存在そんざいするハマームの中なかで、有名ゆうめいなものとして紹介しょうかいされる。

ヌールッディーン浴場よくじょう

ダマスカスに現存げんそんする最古さいこのハンマーム。1154年ねんから1171年ねんの間あいだにザンギー朝あさの君主くんしゅヌールッディーンによって建造けんぞうされ、数すう度どの改築かいちくを経へて現在げんざいに至いたる。

バーシャー浴場よくじょう

1780年ねんにアッコにて建設けんせつされる。1947年ねんに廃業はいぎょうし、1954年ねん以降いこうは市立しりつ博物館はくぶつかんとして運営うんえいされている。

岩崎いわさき弥之助やのすけ別宅べったくのトルコ風呂とるこぶろ

ジョサイア・コンドルによって設計せっけいされ、1908年ねんに完成かんせいした。

文化ぶんか

テラックと呼よばれるマッサージ師し

• ペシュテマル - ハンマームで使用しようするタオル
• nalın - 風呂ふろ回まわりで滑すべらないよう、床ゆか暖房だんぼうで火傷かしょうしないようにする履物はきもの。カブカブとも呼よばれる。
• 入浴にゅうよく場じょうスタッフ：男性だんせい側がわには、テラック（トルコ語ご：tellak）、もしくはケセジというマッサージ・垢あかすり師しがいる。女おんな湯ゆでは、natır という女性じょせいスタッフが対応たいおうする。
• モロッコでは、浴場よくじょうのかまどの熱ねつを料理りょうりにも使つかっている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 板垣いたがき雄三ゆうぞう監修かんしゅう『イスラーム世界せかいがよくわかるQ&A100』（亜紀あき書房しょぼう, 1998年ねん6月がつ）
• 清水しみず芳見よしみ「浴場よくじょう」『岩波いわなみイスラーム辞典じてん』収録しゅうろく（岩波書店いわなみしょてん, 2002年ねん2月がつ）
• 杉田すぎた英明ひであき『浴場よくじょうから見みたイスラーム文化ぶんか』（世界せかい史しリブレット18, 山川やまかわ出版しゅっぱん社しゃ, 1999年ねん4月がつ）
• 奴やつ田原たはら睦あつし明あきら「風呂ふろ」『新しんイスラム事典じてん』収録しゅうろく（平凡社へいぼんしゃ, 2002年ねん3月がつ）
• 八尾やお師し誠まこと編著へんちょ『銭湯せんとうへ行いこう・イスラム編へん お風呂ふろのルーツを求もとめて』（TOTO books, TOTO出版しゅっぱん, 1993年ねん3月がつ）

関連かんれん項目こうもく

• 古代こだいローマの公衆こうしゅう浴場よくじょう
• サウナ風呂ふろ
• グスル - イスラム教いすらむきょうの全身ぜんしん沐浴もくよく。ウドゥは手て・足あし・顔かおなどを洗あらう沐浴もくよく。