ビート (植物しょくぶつ)

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ビート
分類ぶんるいAPG III
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ Angiosperms
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうそう子葉しようるい Eudicots
: ナデシコ Caryophyllales
: ヒユ Amaranthaceae
: Betoideae
ぞく : フダンソウぞく Beta
たね : ビート B. vulgaris
学名がくめい
Beta vulgaris
英名えいめい
beet

ビート英語えいご: beet)は、ヒユ植物しょくぶつである(いまは Betoideae ふくまれる)[1][2][3][4][5]ヨーロッパ原産げんさんで、地中海ちちゅうかい沿岸えんがん栽培さいばいされたといわれる[6]当初とうしょ薬用やくようとして利用りようされた植物しょくぶつであったが、食用しょくようされるようになったのは2 - 3世紀せいきごろである[6]。ビート(ビーツ)のケルトの bette (あか)に由来ゆらいする[6]

ビートには多数たすう栽培さいばい品種ひんしゅがあり、さいフダンソウ砂糖さとう生産せいさん使つかわれるテンサイ別名べつめい:サトウダイコン)、そして飼料しりょう作物さくもつである(マンゲルワーゼル)、根菜こんさいテーブルビート別名べつめい:ガーデンビート)はビーツとよばれる。3つの亜種あしゅ一般いっぱんてきみとめられている。すべての栽培さいばい品種ひんしゅBeta vulgaris subsp vulgaris分類ぶんるいされる。Beta vulgaris subsp. maritima一般いっぱんてきにシービートとしてられており、これらの野生やせい祖先そせんで、地中海ちちゅうかい、ヨーロッパの大西洋たいせいようがん近東きんとう、そしてインドいたところつかっている。ふた野生やせい亜種あしゅである Beta vulgaris subsp. adanensisギリシアからシリアまでの場所ばしょ発見はっけんされる。

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

黄色きいろくきフダンソウ紫色むらさきいろケールともに)

ビートの様々さまざま野生やせいしゅ栽培さいばい品種ひんしゅ分類ぶんるいには、なが複雑ふくざつ歴史れきしがある。『Mansfeld's Encyclopedia of Agricultural and Horticultural Crops』はレツヘルトの1993ねんのビートのあつかいにしたがっており、ちょくふくれた主脈しゅみゃくのためにそだてられる栽培さいばい品種ひんしゅについて、ビートのふしつぎ分類ぶんるいみとめている[7]

  • B. v. ssp. vulgaris convar. ciclaフダンソウ) - フダンソウのグループは紀元前きげんぜん2千年紀せんねんきさかのぼなが歴史れきしつ。最初さいしょ栽培さいばい形態けいたい地中海ちちゅうかい栽培さいばいされていたとしんじられていたが、中東ちゅうとうインド最後さいご中国ちゅうごくに850ねんまでにもたらされた。これらはくすりもちいられる植物しょくぶつとして古代こだいギリシア中世ちゅうせいヨーロッパでもちいられた。ホウレンソウ伝来でんらいにしたがってヨーロッパでの人気にんき下落げらくした。
    • B. v. ssp. v. convar. cicla. var. cicla(スピナッチビート) – このたねのためにひろ栽培さいばいされており、通常つうじょうホウレンソウのように料理りょうりされる。世界中せかいじゅうおおくの食料しょくりょうひんてんつけることができる。
    • B. v. ssp. v. convar. cicla. var. flavescens(スイスチャード)- フダンソウのふと肉質にくしつ主脈しゅみゃくをもつ。主脈しゅみゃく両方りょうほう野菜やさいとしてもちいられ、しばしばべつさらけられる。いろのついた主脈しゅみゃくのために装飾そうしょくようそだてられる栽培さいばい品種ひんしゅもある。ふとくされた主脈しゅみゃくはスピナッチビートから変異へんいによりしょうじたとかんがえられている。
  • B. v. ssp. vulgaris convar. vulgaris(チューブロスビート)– このグループは、よりもむしろ、ふとくされた塊茎かいけいのためにそだてられるすべてのビートをふくむ。
    • B. v. ssp. v. convar. vulgaris var. crassa(マンゲルワーゼル)- このたね塊茎かいけい飼料しりょう作物さくもつとしての利用りようのために18世紀せいき開発かいはつされた。
    • B. v. ssp. v. convar. vulgaris var. altissimaテンサイ)- テンサイはそのたかいスクロース濃度のうどのために主要しゅよう商用しょうよう作物さくもつであり、スクロースは砂糖さとう生産せいさんのために抽出ちゅうしゅつされる。1747ねんにビートの砂糖さとうふくまれることが発見はっけんされたあと、18世紀せいき後半こうはんのドイツで開発かいはつされた。
    • B. v. ssp. v. convar. vulgaris var. vulgarisテーブルビート)-ビートという言葉ことばもっと一般いっぱんてき連想れんそうされるあか根菜こんさいである。ボルシチ主要しゅよう成分せいぶんとなり、ひがしヨーロッパでとく人気にんきである。

植物しょくぶつがくてき特徴とくちょう[編集へんしゅう]

ビートは草本そうほん二年生植物にねんせいしょくぶつまたはまれ多年生たねんせい植物しょくぶつで、1メートル (m) から2 mのたかさにそだち、おおくきをもつ。そのはハートがた野生やせいのものでは5 - 20センチメートル (cm) のながさである。栽培さいばい品種ひんしゅでは、しばしばこれよりおおきい。はな密集みっしゅうしたなかつくられる。それぞれのはなはとてもちいさく、直径ちょっけいは3 - 5ミリメートル (mm) 、緑色みどりいろまたはあかあじがかっていて、5まい花弁はなびら風媒花ふうばいかである。果実かじつかたしょうけんはてかたまりである。

一般いっぱんてきにはふかあか紫色むらさきいろであるが、ゴールデンイエローであったり、赤色あかいろ白色はくしょくしまをもつ品種ひんしゅもある[8]

ビートはチョウおおくのたね幼虫ようちゅうしょくそうとなる植物しょくぶつである。

利用りよう[編集へんしゅう]

食物しょくもつ[編集へんしゅう]

包装ほうそうされた、調理ちょうりみのテーブルビート

スピナッチビートの葉菜類ようさいるいとしてべられる。テーブルビートの若葉わかばおなじようにもちいられることがある。スイスチャードの主脈しゅみゃくはゆでてべられる一方いっぽうはスピナッチビートのようにべられる。

アフリカの一部いちぶでは通常つうじょう全体ぜんたい主脈しゅみゃくとともに1つのさら用意よういされる[9]。インドでも同様どうようべられることがある。

わか植物しょくぶつくき簡単かんたんされ、野菜やさいとしてべられる。いたくきいたられ、タロイモあじをもつ。

通常つうじょう、テーブルビートのふか赤色あかいろ肥厚ひこうしたは、くかでるかふかすなど加熱かねつ調理ちょうりされた状態じょうたいされるか、サラダ野菜やさいのようにつめたい状態じょうたいされる。けられもする。せいのビートはサラダにくわえられる。商業しょうぎょう生産せいさんだい部分ぶぶんは、でられるかげんきんされたビート、もしくは漬物つけもの加工かこうされる。ひがしヨーロッパでは、ボルシチのようなビートのスープはポピュラーな食事しょくじである。黄色おうしょくのテーブルビートは、家庭かていでの消費しょうひのためにとてもちいさい規模きぼそだてられている[9]

ビートの消費しょうひによりピンク尿にょうをおこすひともいる。

ユダヤじん伝統でんとうてきローシュ・ハッシャーナー新年しんねん)にビートをべる。アラムでビートを意味いみする סלקא は"remove"や"depart"のような発音はつおんである。「てきがいなくなりますように」といういのりとともべられる[10]

栄養えいよう[編集へんしゅう]

ビート、せい
100 gあたりの栄養えいよう
エネルギー 180 kJ (43 kcal)
9.56 g
糖類とうるい 6.76 g
食物しょくもつ繊維せんい 2.8 g
0.17 g
1.61 g
ビタミン
ビタミンA相当そうとうりょう
(0%)
2 µg
(0%)
20 µg
チアミン (B1)
(3%)
0.031 mg
リボフラビン (B2)
(3%)
0.04 mg
ナイアシン (B3)
(2%)
0.334 mg
パントテンさん (B5)
(3%)
0.155 mg
ビタミンB6
(5%)
0.067 mg
葉酸ようさん (B9)
(27%)
109 µg
ビタミンC
(6%)
4.9 mg
ミネラル
ナトリウム
(5%)
78 mg
カリウム
(7%)
325 mg
カルシウム
(2%)
16 mg
マグネシウム
(6%)
23 mg
リン
(6%)
40 mg
鉄分てつぶん
(6%)
0.8 mg
亜鉛あえん
(4%)
0.35 mg
マンガン
(16%)
0.329 mg
成分せいぶん
水分すいぶん 87.58g

%はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける
成人せいじん栄養えいよう摂取せっしゅ目標もくひょう (RDI割合わりあい
出典しゅってん: USDA栄養えいようデータベース英語えいご

ビートはカロリーがひくく(100gあたりやく45kcalコレステロールをもたず、微少びしょうりょう脂肪しぼうをもつ。栄養えいようはビートのビタミンミネラル、そして独特どくとく植物しょくぶつ由来ゆらいこう酸化さんかざい由来ゆらいする。

植物しょくぶつ由来ゆらい化合かごうぶつであるグリシンベタインにみられる。ベタイン冠動脈かんどうみゃくせいこころ疾患しっかん発作ほっさ末梢まっしょう血管けっかん疾患しっかんのリスクをげる。せいのビートには葉酸ようさんおおい。葉酸ようさんは、細胞さいぼうないDNA合成ごうせい不可欠ふかけつである。ビタミンC少量しょうりょうみられる。

ナイアシン(ビタミンB3)、パントテンさん(ビタミンB5)、ピリドキシン(ビタミンB6)をふくビタミンBぐんと、鉄分てつぶんマンガンどうマグネシウムカリウムといったミネラル供給きょうきゅうし、心拍しんぱくすうげ、細胞さいぼう代謝たいしゃ調整ちょうせいする。

テーブルビートはビタミンCカロテノイド体内たいないビタミンA変化へんかする)、フラボノイドふくんでいる[11]

医学いがく[編集へんしゅう]

ビートのおおくの種類しゅるい病気びょうきあつかうために民間みんかん医療いりょうもちいられてきた[9]古代こだいローマじんは、病気びょうきなかでの発熱はつねつ便秘べんぴ治療ちりょうにテーブルビートをもちいた。古代こだいローマの料理りょうりしょアピキウス』は、瀉下やくとしてあたえられるスープについて5つのレシピせるが、そのうち3つはビートのおももちいる[12]ヒポクラテスきずしばるためのビートの利用りようとなえた。ローマの時代じだいから、テーブルビートのジュースは媚薬びやくかんがえられていた。中世ちゅうせいから、テーブルビートは多様たよう状況じょうきょうとく消化しょうか血液けつえきかんするものの処理しょりもちいられた。バルトロメオ・プラティーナは、ガーリックブレスの影響えいきょう無効むこうするために、テーブルビートをニンニク一緒いっしょべることを推奨すいしょうした[13][よう説明せつめい]

あかいビートのふくまれるベタニン色素しきそ分子ぶんし酸化さんかストレスから保護ほごするかもしれないと提唱ていしょうされており、ヨーロッパではすう世紀せいきあいだ、この目的もくてきもちいられてきた[14]

すべてのビートはシュウさんふくむ。テーブルビートとスイスチャードは、ともに尿にょう結石けっせき形成けいせいにかかわるシュウさんおお食品しょくひんだとかんがえられている。

利用りよう[編集へんしゅう]

おおきく、あかるくいろのついたをもつ栽培さいばい品種ひんしゅは、鑑賞かんしょう目的もくてき栽培さいばいされる[9]

栽培さいばい[編集へんしゅう]

ステレオグラム
左側ひだりがわ
右側みぎがわ
並列へいれつ視野しや()
うちはす視野しや()
ビートのたね
テーブルビートとしてられるビートのたば

ビートは飼料しりょう(マンゲルワーゼル)や砂糖さとうテンサイ)を生産せいさんするため、もしくは葉菜類ようさいるいフダンソウスイスチャード)や根菜こんさいテーブルビート)として栽培さいばいされる。

Blood Turnip(ブロード・ターニップ)はかつて、テーブルビートのにわよう品種ひんしゅ共通きょうつう名前なまえだった。Bastian's Blood Turnip、Dewing's Early Blood Turnip、Edmand Blood Turnip、そして Will's Improved Blood Turnip などをしていた[15]

いくつかのテーブルビートの栽培さいばい品種ひんしゅがもっているのようなあじは、ゲオスミンという成分せいぶん由来ゆらいする。ビートそれ自身じしんがゲオスミンを生成せいせいするのか、植物しょくぶつたい共生きょうせいする土壌どじょう微生物びせいぶつにより生産せいさんされるのかについて、研究けんきゅうしゃはまだこたえをせていない[16]繁殖はんしょく計画けいかくにより、ゲオスミンがすくなく、消費しょうひしゃにとってよりこのましいあじ栽培さいばい品種ひんしゅ生産せいさんできる[17]

ビートは現代げんだい作物さくもつなかで、栽培さいばいもっとホウ素ほうそおお必要ひつようとするもののうちのひとつであり、依存いぞんはおそらくなみ飛沫しぶきにさらされつづけたことへの進化しんかてき応答おうとうとしてもたらされたのだろう。商業しょうぎょう農場のうじょうでは、1ヘクタールあたり60トンを収穫しゅうかくするには、1ヘクタールあたり600gのホウ素ほうそ成長せいちょう必要ひつようとなる。ホウ素ほうそ不足ふそく分裂ぶんれつ組織そしき新芽しんめおとろえさせ、やがてこころくさやまいみちびく。

赤色あかいろ紫色むらさきいろ着色ちゃくしょく[編集へんしゅう]

ことなるいろのテーブルビート

テーブルビートのあかむらさきいろベタレイン色素しきそ種類しゅるいによるものであり、あかキャベツのようなほかのほとんどのあか植物しょくぶつちがい、アントシアニン色素しきそふくまない。ことなるベタレイン色素しきそ構造こうぞうわることがあり、ポピュラーなふか赤色あかいろくわえて、黄色おうしょくいろといったテーブルビートの特徴とくちょうてきいろをもたらす。ビートにふくまれるベタレインにはベタニンイソベタニンプロベタニンネオベタニンがある(あかからむらさき色素しきそはまとめてベタシアニンとしてられる)。ビートにふくまれるほか色素しきそにはインジカキサンチン、ブルガキサンチンがある(黄色おうしょくからオレンジしょく色素しきそはベタキサンチンとしてられる)。インジカキサンチンはサラセミアたいする強力きょうりょく保護ほごてきこう酸化さんかざいであり、αあるふぁ-トコフェロール(ビタミンE)の分解ぶんかい阻害そがいするとみられている[よう出典しゅってん]

ビートのふくまれるベータシアニンは、それを分解ぶんかいできないひとあか尿にょうこすことがある[18]

顔料がんりょう細胞さいぼうえきふくまれている。テーブルビートの細胞さいぼうきわめて不安定ふあんていで、られたり、ねっせられたり、空気くうき日光にっこうにさらされたりするとながる。これがあかいテーブルビートが紫色むらさきいろみをのこ理由りゆうである。しかしながら、料理りょうりのとき、表皮ひょうひけたままにすることで、細胞さいぼう整合せいごうせいたも流出りゅうしゅつおさえることができる。

歴史れきし[編集へんしゅう]

栽培さいばい品種ひんしゅ野生やせい祖先そせんであるシービート (Beta vulgaris subsp. maritima)

現代げんだい栽培さいばいされているビートの祖先そせんであるシービートは、地中海ちちゅうかい沿岸えんがんでよくそだっている。テーブルビートはテーベにあるエジプトだい3王朝おうちょうサッカラのピラミッドでされてきた。そして、栽培さいばいされていたのか野生やせいかは正確せいかくにわかっていないが、4つのテーブルビートの炭化物たんかぶつオランダアールツワウトにあるしん石器せっき時代じだい遺跡いせきつかった。Zohary と Hopf は、テーブルビートは「言語げんごてきにもよく確認かくにんされている」と特筆とくひつしている。かれらは、ビートについてのもっとはや記述きじゅつ紀元前きげんぜん8世紀せいきメソポタミアにさかのぼると言及げんきゅうしている[19]ギリシア逍遥しょうよう学派がくはテオプラストスのちに、ビートを大根だいこんていると記述きじゅつする。一方いっぽうアリストテレスもまたビートについて記述きじゅつしている[19][20]確認かくにんできるアリストテレステオプラストスによってかれた現存げんそん資料しりょうによれば、ビートの歴史れきしのほとんどについて、おおたねしゅとしてそだてられていたが、ホウレンソウがもたらされるにしたがってその人気にんきおおきく下落げらくしたということが示唆しさされている。古代こだいローマじんは、ビートは重要じゅうよう健康けんこう食品しょくひんであり媚薬びやくであるとかんがえていた[8]

ローマじんユダヤじん文字もじ情報じょうほうげんは、紀元前きげんぜん1世紀せいき地中海ちちゅうかい盆地ぼんちでは、栽培さいばいされるビートはフダンソウやスピナッチビートのようにおお形態けいたいのものに代表だいひょうされていたということを示唆しさしている[19]。Zohary と Hopf は、テーブルビートの栽培さいばい品種ひんしゅそだてられていたということも非常ひじょうにありうると主張しゅちょうしており、ローマのレシピはこれを裏付うらづけている[19][20]英語えいごやドイツ情報じょうほうげんは、テーブルビートが中世ちゅうせいヨーロッパ一般いっぱん栽培さいばいされていたことをしめしている[20]

テンサイ[編集へんしゅう]

現代げんだいテンサイ18世紀せいき中期ちゅうきシレジアさかのぼる。シレジアではプロイセンおうが、砂糖さとう抽出ちゅうしゅつ工程こうてい目指めざ実験じっけんたい補助ほじょきんによる支援しえんをしていた[20][21]。1747ねんアンドレアス・マルクグラフはテーブルビートから砂糖さとう分離ぶんりし、1.3%から1.6%の濃度のうどであることをつけた[7]かれはまた、砂糖さとうサトウキビから抽出ちゅうしゅつするのとおなじように、ビートから抽出ちゅうしゅつすることができることを実証じっしょうした[21]かれ生徒せいとであるフランツ・カール・アシャールは23しゅのマンゲルワーゼルの砂糖さとう含有がんゆうりょう評価ひょうかし、ザクセン=アンハルトしゅうの、現在げんざいのハルバーシュタットから地方ちほう品種ひんしゅえらんだ。モーリッツ・バロン・フォン・コッピーとその息子むすこはさらに、しろ円錐えんすいがた塊茎かいけいつこのたねえらんだ[7]。その選択せんたくぶつは 'Weiße Schlesische Zuckerrübe' という名前なまえで、シレジアのしろいテンサイという意味いみであり、やく6%の砂糖さとう含有がんゆうりょうほこ[7][20]。この選択せんたくぶつすべての現代げんだいのテンサイの先祖せんぞである[7]

1801ねん王宮おうきゅう法令ほうれいにより、テーブルビートから砂糖さとう抽出ちゅうしゅつする最初さいしょ工場こうじょうがシレジアの Kunern(現在げんざいポーランドコナリ)にひらかれた。シレジアのテンサイはすぐに、ナポレオンとく植物しょくぶつについてまなぶための学校がっこうひらいていたフランスにもたらされた。かれはまた、28,000ヘクタールをあらたなテンサイの栽培さいばい使つかうようめいじた[20]。これはナポレオン戦争せんそうなかのイギリスのサトウキビの封鎖ふうさたいする反応はんのうであり、最終さいしゅうてきにはヨーロッパでのテンサイ産業さんぎょう急速きゅうそく発展はってん刺激しげきした[20][21]。1840ねんまでに世界せかい砂糖さとうの5%はテンサイ由来ゆらいとなり、1880ねんまでにその数字すうじは10ばいの50%をえた[20]。テンサイは1830ねん以降いこうきたアメリカにもたらされ、1879ねんカリフォルニアしゅうアルヴァラードの農場のうじょう最初さいしょ商業しょうぎょう生産せいさんはじまった[7][21]。テンサイはドイツじん移民いみんにより1850ねんごろにチリにもたらされた[7]

現在げんざいもテンサイは砂糖さとう生産せいさんのためにひろ栽培さいばいされる商品しょうひん作物さくもつである。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ A synopsis of Chenopodiaceae subfam. Betoideae and notes on the taxonomy of Beta; USDA PLANTS”. Willdenowia. 2015ねん9がつ23にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2015ねん12月9にち閲覧えつらん
  2. ^ Spinach, Beet and Swiss Chard - Notes - HORT410 - Vegetable Crops - Department of Horticulture and Landscape Architecture - Purdue University”. Hort.purdue.edu. 2010ねん9がつ12にち閲覧えつらん
  3. ^ http://www.avrdc.org/pdf/seeds/beet.pdf
  4. ^ Sugar beet”. Agronomy.unl.edu. 2007ねん3がつ29にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2010ねん9がつ12にち閲覧えつらん
  5. ^ Integrative Biology 335: Systematics of Plants”. Life.illinois.edu. 2010ねん9がつ12にち閲覧えつらん
  6. ^ a b c 講談社こうだんしゃ へん『からだにやさしいしゅん食材しょくざい 野菜やさいほん講談社こうだんしゃ、2013ねん5がつ13にち、221ぺーじISBN 978-4-06-218342-0 
  7. ^ a b c d e f g Hanelt, Peter; Büttner, R.; Mansfeld, Rudolf; Kilian, Ruth (2001). Mansfeld's Encyclopedia of Agricultural and Horticultural Crops. Springer. pp. 235–241. ISBN 3-540-41017-1 
  8. ^ a b Zeldes, Leah A. (2011ねん8がつ3にち). “Eat this! Fresh beets, nature’s jewels for the table”. Dining Chicago. Chicago's Restaurant & Entertainment Guide, Inc.. 2012ねん8がつ3にち閲覧えつらん
  9. ^ a b c d Grubben, G.J.H. & Denton, O.A. (2004) Plant Resources of Tropical Africa 2. Vegetables. PROTA Foundation, Wageningen; Backhuys, Leiden; CTA, Wageningen.
  10. ^ Keritot 6a; Horiyot 12a; Rabbenu Nissim at the end of Rosh Hashana, citing the custom of Rav Hai Gaon; Abudraham; Shulchan Aruch OC 583:1
  11. ^ http://www.nutrition-and-you.com/beets.html
  12. ^ Apicius De Re Coquinaria 3.2.1, 3, 4
  13. ^ Platina De Honesta Voluptate et Valetudine, 3.14
  14. ^ Carmen Socaciu (2008). Food colorants: chemical and functional properties. Washington, DC: Taylor & Francis. pp. 169. ISBN 0-8493-9357-4 
  15. ^ Beets Varieties Archived 2008ねん9がつ30にち, at the Wayback Machine., from Heirloom Seedsmen, a website of the Baker Creek Heirloom Seed Company
  16. ^ Lu, G.; Lu G, Edwards; CG, Fellman; JK, Mattinson; DS, Navazio J. (February 2003). “Biosynthetic origin of geosmin in red beets (Beta vulgaris L.).”. Journal of Agricultural and Food Chemistry (American Chemical Society) 12 (51(4)): 1026–9. doi:10.1021/jf020905r. PMID 12568567. 
  17. ^ Stephen Nottingham (2004) (E-book). Beetroot. オリジナルの2009ねん3がつ21にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090321050332/http://ourworld.compuserve.com/homepages/stephen_nottingham/Beetroot.htm 
  18. ^ M.A. Eastwood; H. Nyhlin (1995). “Beeturia and colonic oxalic acid”. QJM: an International Journal of Medicine 88 (10): 711–7. PMID 7493168. http://qjmed.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/88/10/711. 
  19. ^ a b c d Hopf, Maria; Zohary, Daniel (2000). Domestication of plants in the old world: the origin and spread of cultivated plants in West Asia, Europe, and the Nile Valley. Oxford [Oxfordshire]: Oxford University Press. pp. 200. ISBN 0-19-850356-3 
  20. ^ a b c d e f g h Hill, G.; Langer, R. H. M. (1991). Agricultural plants. Cambridge, UK: Cambridge University Press. pp. 197–199. ISBN 0-521-40563-7 
  21. ^ a b c d Sugarbeet Archived 2009ねん1がつ20日はつか, at the Wayback Machine. from a University of California, Davis website

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]