ベル 206

ベル 206A ジェットレンジャー

用途ようと：多目的たもくてき汎用はんようヘリコプター
製造せいぞう者しゃ：ベル・ヘリコプター
運用うんよう者しゃ：採用さいよう国こく
生産せいさん数すう：7,300機き以上いじょう
生産せいさん開始かいし：1967年ねん

ベル 206（Bell 206）は、メインローターとテイルローターのブレードが2枚まいのガスタービン・ヘリコプター。

開発かいはつ

1961年ねん、アメリカ陸軍りくぐんはLOH（Light Observation Helicopter）の提案ていあん（RFP）を提出ていしゅつし、ベルはほかの12メーカーとともに競争きょうそうに参加さんかした。陸軍りくぐんは最終さいしゅう的てきにベル、フェアチャイルド・ヒラー、ヒューズ・エアクラフトの3社しゃに絞しぼり、試験しけんと評価ひょうかのため、各社かくしゃ5機きの試作しさく機き製作せいさくを命めいじた。そして、ベル社しゃのモデル 206は陸軍りくぐんによってYHO-4Aの名称めいしょうを与あたえられた。

1962年ねんに陸軍りくぐんは長期間ちょうきかんの試験しけんおよび評価ひょうかを終おえ、出力しゅつりょく不足ふそくなどの理由りゆうでYHO-4Aは採用さいようされなかった。その後ご、ベル社しゃはモデル 206をマーケットに出でそうとしたが、売うれ行ゆきは芳かんばしくなかった。調査ちょうさの結果けっか、顧客こきゃくの大だい部分ぶぶんはボディの形状けいじょうに不満ふまんがあることを示しめしたため、より流線型りゅうせんけいで美的びてきな機体きたいへと設計せっけいし直なおした。前ぜん席せき2つと後こう席せき3つの5シートで、これをモデル 206A ジェットレンジャーとして再ふたたび販売はんばいしたところ、商業しょうぎょう的てきな成功せいこうを収おさめた。

業績ぎょうせき

モデル 206Aは1967年ねんに民間みんかん市場いちばへと参入さんにゅうした。その後ごもモデル 206の改良かいりょうは続つづけられ、より出力しゅつりょくの高たかいエンジンに換かわ装そうしたモデル 206B ジェットレンジャー II（Model 206B JetRanger II）が1971年ねんに登場とうじょうした。また、1974年ねんには座席ざせきを7席せきに増ふやすため機体きたいを延長えんちょうしたモデル 206L ロングレンジャー（Model 206L LongRanger）が初はつ飛行ひこうを行おこなった。それとは別べつにモデル 206Bの後継こうけいにテイルローターを改良かいりょうしたモデル 206B-3 ジェットレンジャー III（Model 206B-3 JetRanger III）が1977年ねんに登場とうじょうしている。しかしながら、いずれも基本きほん的てきな機体きたいのラインはモデル 206Aから変化へんかさせていない。

ヒューズのOH-6 カイユースを採用さいようしたアメリカ陸軍りくぐんであったが、ヒューズ社しゃに陸軍りくぐんの調達ちょうたつ規模きぼに見合みあう生産せいさん能力のうりょくが無ない事ことなどから調達ちょうたつを中断ちゅうだんして再ふたたび競争きょうそうを行おこなった。その結果けっか、1968年ねんにモデル 206AをOH-58 カイオワとして採用さいようしたため、モデル 206は当初とうしょの目的もくてきをも達成たっせいすることができた。ベトナム戦争せんそうで、OH-58は観測かんそくヘリコプターとしてだけでなく、輸送ゆそうヘリコプターとしても運用うんようされた。また、アメリカ陸軍りくぐんはモデル 206B-3をヘリコプター訓練くんれん生せい向むけのTH-67 クリーク（TH-67 Creek）として発注はっちゅうし、アメリカ海軍かいぐんとアメリカ海兵かいへい隊たいもTH-57 シーレンジャー（TH-57 Sea Ranger）としてモデル 206B-3を採用さいようした。このほかに、スリランカ内戦ないせんでは、スリランカ空軍くうぐんのモデル 206が現地げんちでガンポッドおよびロケットランチャーを装備そうびし、武装ぶそうヘリコプターとして運用うんようされた。

モデル 206Aは先進せんしん的てきなデザインが人気にんきを呼よび、建設けんせつや採掘さいくつの現場げんばへ向むかうビジネスマンの移動いどう手段しゅだんとしても使用しようされた。現在げんざいでもニュースと交通こうつう速報そくほうに使つかうため、メディアが使用しようしている。その人気にんきはアメリカに留とまらず、イタリアのアグスタ社しゃでもライセンス生産せいさんされ、世界中せかいじゅうで幅広はばひろく運用うんようされている。観音開かんのんびらきのダブルドアを持もつモデル 206Lは貨物かもつの搬入はんにゅうが容易よういになり、エンジンの出力しゅつりょく向上こうじょうと併あわせて大型おおがた貨物かもつの輸送ゆそうができる。それは、担架たんかごと機内きないに収容しゅうようできることを意味いみし、空そらの救急きゅうきゅう車しゃの発祥はっしょうとなった。飛行ひこう計画けいかくでは、ICAOから与あたえられたB06の認識にんしき記号きごうを使用しようする。日本にっぽんでも警視庁けいしちょうや都道府県とどうふけん警察けいさつ航空こうくう隊たい、海上保安庁かいじょうほあんちょう（2019年ねん退役たいえき）が採用さいようしたほか、農薬のうやく散布さんぷや物資ぶっし輸送ゆそう、送電そうでん線せんパトロールなどで幅広はばひろく使用しようされている。

イタリアでは、ベル社しゃのヘリコプターをライセンス生産せいさんしていたアグスタ社しゃがAB206として製造せいぞうし、本家ほんけのベル 206同様どうように各国かっこくに輸出ゆしゅつされている。

スロベニア独立どくりつ戦争せんそうやクロアチア独立どくりつ戦争せんそうでは、旧きゅうユーゴスラビア連邦れんぽうの地方ちほう警察けいさつ部隊ぶたいに採用さいようされていたAB206が航空こうくう戦力せんりょく（航空こうくう輸送ゆそう能力のうりょく）に乏とぼしい独立どくりつ勢力せいりょく側がわに接収せっしゅうされ、連絡れんらく・輸送ゆそう（武器ぶきの密輸入みつゆにゅうを含ふくむ）・観測かんそくなど多方面たほうめんに活用かつようされた。

なお、使用しよう国こくの1つであるイランにおいては、同機どうきをリバース・エンジニアリングして国産こくさん化かしたPanha Shabaviz 2061が存在そんざいしている。また、これをベースとして、装甲そうこうと固定こてい機銃きじゅうを装備そうびした単座たんざの観測かんそく・軽けい攻撃こうげきヘリコプター HESA Shahed 278も開発かいはつされている。

派生はせい型がた

ベル 206B-3 ジェットレンジャー III

ベル 206L ロングレンジャー

OH-58D カイオワ・ウォリア

民間みんかん

ベル 206

ベル 206A ジェットレンジャー

アグスタ・ベル 206A ジェットレンジャー

ベル 206A-1

アグスタ・ベル 206A-1

ベル 206B ジェットレンジャー II

アグスタ・ベル 206B ジェットレンジャー II

ベル 206B-2

ベル 206B-3 ジェットレンジャー III

ベル 206L ロングレンジャー

アグスタ・ベル 206L ロングレンジャー

ベル 206L-1 ロングレンジャー II

アグスタ・ベル 206B-1

ベル 206L-1+ ロングレンジャー

ベル 206L-3 ロングレンジャー III

アグスタ・ベル 206B-3

ベル 206L-3+ ロングレンジャー
ベル 206L-4 ロングレンジャー IV
ベル 206LT ツインレンジャー
ベル 407
ベル 417

軍用ぐんよう
OH-58 カイオワ
206L テキサスレンジャー
TH-57A シーレンジャー
TH-57B
TH-57C
TH-57D
TH-67 クリーク

運用うんよう者しゃ

アルバニア
- アルバニア空軍くうぐん - 2023年ねん時点じてんで、2機きのベル206C（AB206C）を保有ほゆうしている^[1]。
オーストラリア
オーストリア
バングラデシュ
ブラジル
ブルガリア
ブルネイ
カメルーン
カナダ
チリ
コロンビア
コートジボワール
クロアチア
キプロス
エクアドル
エチオピア
フィンランド
ギリシャ
グアテマラ
ガイアナ
インドネシア
イラン
イスラエル
イタリア
ジャマイカ

2機き^[2]

クウェート
リビア
マルタ
メキシコ
モロッコ
ミャンマー
オマーン
- オマーン空軍くうぐん - 2023年ねん時点じてんで、3機きのベル206（AB206）を保有ほゆうしている^[3]。
パキスタン
ペルー
フィリピン
中華民国ちゅうかみんこく（台湾たいわん）
サウジアラビア
セルビア
スロベニア
韓国かんこく
スペイン
スリランカ
南みなみアフリカ共和きょうわ国こく
スウェーデン
タンザニア
タイ
トルコ
ウガンダ
アラブ首長しゅちょう国こく連邦れんぽう
イギリス
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
ベネズエラ
イエメン

仕様しよう（ベル 206L-4）

出典しゅってん: ベル・ヘリコプター (2012年ねん1月がつ). “Bell 206L4 Product Specifications” (PDF) (英語えいご). 2013年ねん8月がつ23日にち閲覧えつらん。

諸しょ元もと

乗員じょういん: 1名めい
定員ていいん: 4名めい
ペイロード: 926kg（機内きない搭載とうさい）, 907kg（機外きがい懸かか吊つるし）
全長ぜんちょう: 12.9m （42.4ft）
全高ぜんこう: 3.32m （10.9ft）
ローター直径ちょっけい: 11.28m （37ft）
空虚くうきょ重量じゅうりょう: 1,092kg
最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょう: 2,018kg（機内きない搭載とうさい）, 2,064kg（機外きがい懸かか吊つるし）
動力どうりょく: アリソン 250-C30P ターボシャフト、最大さいだい連続れんぞく：470 kW (630 hp) × 1

性能せいのう

巡航じゅんこう速度そくど: 226km/h/122kn=M0.18（高度こうど1,524m, ISA+20℃, 離陸りりく重量じゅうりょう1,633kg）
航続こうぞく距離きょり: 708km/382nmi（高度こうど1,524m, ISA+20℃, 離陸りりく重量じゅうりょう1,633kg）
実用じつよう上昇じょうしょう限度げんど: 6,096+m （20,000+ft）

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使用しようされている単位たんいの解説かいせつはウィキプロジェクト航空こうくう/物理ぶつり単位たんいをご覧らんください。

登場とうじょう作品さくひん

映画えいが

『ゴジラ2000 ミレニアム』: CCI所属しょぞく機きとしてベル 206Bが登場とうじょう。局長きょくちょうの片桐かたぎり光男みつおが搭乗とうじょうし、東海とうかい村むらへの現地げんち入いりと、北浦きたうらから飛とび立たった巨大きょだいUFO追尾ついびに使用しようされる。
『コマンドー』: アメリカ陸軍りくぐん所属しょぞく機きとしてベル 206B-3 ジェットレンジャーIIIが登場とうじょう。カービー将軍しょうぐんが、主人公しゅじんこうのジョン・メイトリックスが住すむ山小屋やまごやと、アリアス一味いちみのアジトがある小島こじまへ駆かけ付つける際さいに使用しようする。
『ゾンビ』: TV局きょくの報道ほうどうヘリコプターとしてベル206B ジェットレンジャーIIが登場とうじょう。主人公しゅじんこう一いち行ぎょうが混乱こんらんする都市としから脱出だっしゅつし郊外こうがいのショッピングモールに降おり立たつまで使用しようする。パイロットのロジャーは「フライボーイ（ヘリ坊ぼうや）」と綽名されている。
『ターミネーター2』: ロサンゼルス市警しけい所属しょぞく機きとしてベル 206B ジェットレンジャーIIが登場とうじょう。主人公しゅじんこうたちが襲撃しゅうげきしたサイバーダイン社しゃに通報つうほうを受うけて駆かけつけ、上空じょうくうから現場げんばを監視かんししていたが、これにT-1000が飛とび乗のってパイロットを降おろし奪取だっしゅすると、自みずからが操縦そうじゅうして主人公しゅじんこうたちの追撃ついげきに使用しようする。
『ランボー』: 主人公しゅじんこうのジョン・ランボーを追跡ついせきする保安ほあん官かんのヘリコプターとして、ベル 206B ジェットレンジャーIIが登場とうじょう。保安ほあん官かんの、1人ひとりであるガルトが、副ふく操縦そうじゅう士し席せきから身みを乗のり出だして狙撃そげきを行おこなう。
『リーサル・ウェポン2/炎ほのおの約束やくそく』: 駐ちゅうロサンゼルス南みなみアフリカ外交がいこう官かんが、カーチェイスの末すえに逮捕たいほされそうになった外交がいこう官かんのハンスをベル 206L ロングレンジャーで救出きゅうしゅつする。
『野性やせいの証明しょうめい』: 映画えいが版ばんにて陸上りくじょう自衛隊じえいたい所属しょぞく機きとして登場とうじょう。特殊とくしゅ工作こうさく隊たい隊長たいちょうの皆川みなかわ二に等とう陸りく佐たすくが、搭載とうさいしたM60機関きかん銃じゅうで主人公しゅじんこうの味あじ沢さわ岳たけし史しを攻撃こうげきする。なお現実げんじつの陸上りくじょう自衛隊じえいたいではベル 206は採用さいようされていない。
『遊星ゆうせいからの物体ぶったいX』: ノルウェーとアメリカの南極なんきょく観測かんそく隊たい所属しょぞく機きとして登場とうじょう。スキッドが両方りょうほうともフロートに変更へんこうされている。前日ぜんじつ談だんである『遊星ゆうせいからの物体ぶったいX ファーストコンタクト』にも、ノルウェー観測かんそく隊たいの機体きたいが登場とうじょうしている。

小説しょうせつ

『パニックY2K』: ロサンゼルス市警しけいの所属しょぞく機きが登場とうじょうするも、2000年ねん問題もんだいの影響えいきょうでエンジンを始動しどうさせることさえできず、飛行ひこうシーンはない。

脚注きゃくちゅう

^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 72. ISBN 978-1-032-50895-5
^ Jamaica Defence Force buying new helicopters, training aircraft
^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 347. ISBN 978-1-032-50895-5

外部がいぶリンク

Be ll Model 206B-3, www.bellhelicopter.textron.com （英語えいご）：公式こうしきページ
Bell Model 206L-4, www.bellhelicopter.textron.com （英語えいご）：公式こうしきページ
GlobalSecurity.org - Bell Model 206, www.globalsecurity.org （英語えいご）
GlobalSecurity.org - TH-57 Sea Ranger, www.globalsecurity.org （英語えいご）
Aircraft.co.za - Bell Model 206, www.aircraft.co.za （英語えいご）
Austrian Armed Forces Agusta Bell AB 206, www.doppeladler.com

（独語どくご）

[1] The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 72. ISBN 978-1-032-50895-5

[2] Jamaica Defence Force buying new helicopters, training aircraft

[3] The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語えいご). The Military Balance 2023. Routledge. p. 347. ISBN 978-1-032-50895-5

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