たがいにもと (整数せいすうろん)

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ふたつの整数せいすう a, bたがいにもと(たがいにそ、えい: coprime, relatively prime, prime to[1])であるとは、a, bともせい整数せいすう1 のみであることをいう。このことは a, b最大公約数さいだいこうやくすう gcd(a, b)1 であることと同値どうちである。a, bたがいにであることを、記号きごうa bあらわすこともある[2]。なお、「たがいにもと」を意味いみする英単語えいたんごには coprimedisjoint があるが、coprime整数せいすうについて「たがいにもと」「共通きょうつうてんたない」という意味いみ使用しようされる。

概要がいよう[編集へんしゅう]

たとえば、310ともせい整数せいすう1 だけなので、これらはたがいにである。ぎゃくに、36とも3れるので、これらはたがいにではない。もうすこおおきいかずだと、7291000ともせい整数せいすう1 だけなので、これらはたがいにである。ぎゃくに、7291296392781よっつでれるので、このふたつはたがいにではない。おなじく、10001296 も、248みっつでれるので、このふたつもたがいにではない。

たがいにであることの判定はんてい素因数そいんすう分解ぶんかいもちいておこなうこともできるが、ふたつの整数せいすうのうちすくなくとも一方いっぽう巨大きょだいである場合ばあいなど一般いっぱんには困難こんなんである。素因数そいんすう分解ぶんかいによって公約こうやくすう調しらべる方法ほうほうよりも、ユークリッドの互除ほうによって最大公約数さいだいこうやくすう調しらべる方法ほうほうのほうがはるかはやい。

せい整数せいすう nたがいにもととなる(1 から nあいだの)整数せいすう個数こすうは、オイラー関数かんすう φふぁい(n) によってあたえられる。

みっつの整数せいすう a, b, cたがいにもとであるとは、gcd(a, b, c) = 1つことをいう。また、gcd(a, b)gcd(b, c)gcd(c, a) がすべて 1ひとしいとき、a, b, cたいごとにもとえい: pairwise coprime)またはどのふたつもたがいにもとであるという。一般いっぱんに、たがいにであるからといってたいごとにであるとはかぎらない  (れいa = 6, b = 15, c = 10)。一般いっぱんn 整数せいすうについても同様どうよう定義ていぎされる。

性質せいしつ[編集へんしゅう]

  • 0たがいにもととなる整数せいすう1−1 だけであり、また任意にんい整数せいすうたがいにもととなる整数せいすう1−1 だけである。
  • ことなるふたつの素数そすうたがいにであり、連続れんぞくするふたつの整数せいすうたがいにである。
  • 2 以上いじょう整数せいすうは、その(自身じしんふくむ)倍数ばいすう2 以上いじょう約数やくすうたがいにでない。
  • ab1ab2 がそれぞれたがいにならば、ab1b2たがいにである。

以下いかは、整数せいすう a, bたがいにであることと同値どうち条件じょうけんである。

たがいにであるかくりつ[編集へんしゅう]

整数せいすうなかから任意にんいえらんだ2つのかず abたがいにであるかくりつを、ナイーブには、以下いかのようにもとめることができる。

abたがいにもととは、任意にんい素数そすう pたいして、abすくなくとも一方いっぽうp倍数ばいすうでないこと、といいかえる。

p固定こていしたとき、この事象じしょうは、a, b がともに p倍数ばいすうである事象じしょう事象じしょうである。

ap倍数ばいすうであるかくりつ1/p である。(b についても同様どうよう

かく pたいして、これらの試行しこう独立どくりつだから、もとめるかくりつは、

[3]

ここで、ζぜーたリーマンのゼータ関数かんすうあらわす。ζぜーた(2)レオンハルト・オイラーによってもとめられた。一般いっぱんに、任意にんいえらんだ k 整数せいすうたがいにであるかくりつ1/ζぜーた(k)あらわされる。

たがいに整数せいすうくみ生成せいせい[編集へんしゅう]

このアルゴリズムによるたがいにくみ生成せいせい順番じゅんばん最初さいしょのノード (2, 1)あか、そのみっつのノードをだいだい、さらにそのノードを黄色おうしょくしめし、それ以降いこう虹色にじいろじゅんいろもちいてしめした。

すべてのたがいにせい整数せいすうくみ (m, n)(ただし m > n)は、ふたつのたがいにもと完全かんぜんさん分木ぶんぎ英語えいごばんもちいてならべることができる。片方かたがた(2, 1) からはじまり偶数ぐうすう奇数きすうおよび奇数きすう偶数ぐうすうくみ[4]、もう片方かたがた(3, 1) からはじまり奇数きすう奇数きすうくみ[5]生成せいせいする。このときノード (m, n) から生成せいせいされるみっつのノードはそれぞれのようにあらわされる。

  1. (2mn, m)
  2. (2m + n, m)
  3. (m + 2n, n)

以上いじょうにより生成せいせいされるくみつねたがいにであり、すべてのくみ重複じゅうふくなく網羅もうらされる。

実用じつよう応用おうよう[編集へんしゅう]

  • 固定こていギア自転車じてんしゃ理想りそうてきなスキッドポイントの設計せっけい - 固定こていギアの自転車じてんしゃのチェーンリングとコグのすうが「たがいにもと」であると、スキッドポイントとばれるタイヤが摩耗まもうするてんはコグのすうおなじになる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • Baker, Alan (1984). A Concise Introduction to the Theory of Numbers. Cambridge University Press. ISBN 0-521-28654-9 
  • Graham, R. L.; Knuth, D. E.; Patashnik, O. (1989), Concrete Mathematics, Addison-Wesley 
  • Saunders, Robert & Randall, Trevor (July 1994), "The family tree of the Pythagorean triplets revisited", Mathematical Gazette, 78: 190–193, doi:10.2307/3618576
  • Mitchell, Douglas W. (July 2001), “An alternative characterisation of all primitive Pythagorean triples”, Mathematical Gazette 85: 273–275, doi:10.2307/3622017 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]