ホルムアルデヒド の対称 たいしょう 要素 ようそ 。C2 は2回 かい 回転 かいてん 軸 じく である。σ しぐま v およびσ しぐま v ' は2つの等価 とうか でない鏡 かがみ 映 うつ 面 めん である。
化学 かがく における分子 ぶんし の対称 たいしょう 性 せい (ぶんしのたいしょうせい、英 えい : molecular symmetry )は、分子 ぶんし に存在 そんざい する対称 たいしょう 性 せい およびその対称 たいしょう 性 せい に応 おう じた分子 ぶんし の分類 ぶんるい を述 の べる。分子 ぶんし 対称 たいしょう 性 せい は化学 かがく における基本 きほん 概念 がいねん であり、双極 そうきょく 子 こ モーメント や許容 きょよう 分光 ぶんこう 遷移 せんい (ラポルテの規則 きそく といった選択 せんたく 則 そく に基 もと づく)といった分子 ぶんし の化学 かがく 的 てき 性質 せいしつ の多 おお くを予測 よそく あるいは説明 せつめい することができる。多 おお くの大学 だいがく レベルの物理 ぶつり 化学 かがく や量子 りょうし 化学 かがく 、無機 むき 化学 かがく の教科書 きょうかしょ は、対称 たいしょう 性 せい のために一章 いっしょう を割 さ いている[1] [2] [3] [4] [5] 。
分子 ぶんし の対称 たいしょう 性 せい の研究 けんきゅう には様々 さまざま な枠組 わくぐ みが存在 そんざい するが、群論 ぐんろん が主要 しゅよう な枠組 わくぐ みである。この枠組 わくぐ みは、ヒュッケル法 ほう 、配 はい 位 い 子 こ 場 じょう 理論 りろん 、ウッドワード・ホフマン則 のり といった応用 おうよう に伴 ともな って分子 ぶんし 軌道 きどう の対称 たいしょう 性 せい の研究 けんきゅう にも有用 ゆうよう である。大 だい 規模 きぼ な系 けい では、固体 こたい 材料 ざいりょう の結晶 けっしょう 学 がく 的 てき 対称 たいしょう 性 せい を説明 せつめい するために結晶 けっしょう 系 けい が枠組 わくぐ みとして使用 しよう されている。
分子 ぶんし 対称 たいしょう 性 せい を実質 じっしつ 的 てき に評価 ひょうか するためには、X線 せん 結晶 けっしょう 構造 こうぞう 解析 かいせき や様々 さまざま な分光 ぶんこう 学 がく 的 てき 手法 しゅほう (例 たと えば金属 きんぞく カルボニル の赤 あか 外 がい 分光 ぶんこう 法 ほう )など多 おお くの技術 ぎじゅつ が存在 そんざい する。
分子 ぶんし の対称 たいしょう 性 せい の研究 けんきゅう は、数学 すうがく で使 つか われる群論 ぐんろん の適応 てきおう である。
キラリティー と対称 たいしょう 性 せい との間 あいだ の関係 かんけい の例 れい
回転 かいてん 軸 じく (Cn )
回 かい 映 うつ 要素 ようそ (S n )
キラル S n なし
アキラル 鏡面 きょうめん S 1 = σ しぐま
アキラル 反転 はんてん 中心 ちゅうしん S 2 = i
C 1
C 2
分子 ぶんし の対称 たいしょう 性 せい は5種類 しゅるい の対称 たいしょう 要素 ようそ (英語 えいご 版 ばん ) によって表 あらわ すことができる。
対称 たいしょう 軸 じく :
360
∘
n
{\displaystyle {\tfrac {360^{\circ }}{n}}}
周 まわ りを回転 かいてん させると元 もと の分子 ぶんし と区別 くべつ が付 つ かない分子 ぶんし を生 しょう じる軸 じく 。n -回 かい 回転 かいてん 軸 じく とも呼 よ ばれ、Cn と略 りゃく される。例 たと えば、水 みず はC2 、アンモニア はC3 である。分子 ぶんし は一 ひと つ以上 いじょう の対称 たいしょう 軸 じく を持 も つことができる、最 もっと も高 たか いn を持 も つ軸 じく は主軸 しゅじく と呼 よ ばれ、慣習 かんしゅう 的 てき に直交 ちょっこう 座標 ざひょう 系 けい におけるz軸 じく に割 わ り当 あ てられる。
対称 たいしょう 面 めん : 鏡 かがみ 映 うつ で与 あた えられる鏡 かがみ 像 ぞう が元 もと の分子 ぶんし と同一 どういつ となる面 めん 。鏡面 きょうめん とも呼 よ ばれ、σ しぐま と略 りゃく される。水 みず には対称 たいしょう 面 めん が2つある。1つは分子 ぶんし 平面 へいめん それ自身 じしん であり、もう一 ひと つは分子 ぶんし 平面 へいめん に対 たい して垂直 すいちょく な面 めん である。主軸 しゅじく に対 たい して平行 へいこう な(主軸 しゅじく を含 ふく む)対称 たいしょう 面 めん はvertical (σ しぐま v )、主軸 しゅじく に対 たい して垂直 すいちょく な対称 たいしょう 面 めん はhorizonal (σ しぐま h )と呼 よ ばれる。対称 たいしょう 面 めん にはもう一 いち 種類 しゅるい 存在 そんざい する。もし、vertical 対称 たいしょう 面 めん が主軸 しゅじく に対 たい して垂直 すいちょく な2本 ほん の2回 かい 回転 かいてん 軸 じく の間 あいだ でさらに角 かく を二 に 等分 とうぶん する場合 ばあい 、この面 めん はdihedral (σ しぐま d )と呼 よ ばれる。対称 たいしょう 面 めん は直交 ちょっこう 座標 ざひょう 系 けい における方向 ほうこう (例 たと えば (xz) あるいは (yz) など)でも分類 ぶんるい することができる。
対称 たいしょう 中心 ちゅうしん あるいは反転 はんてん 中心 ちゅうしん : i と略 りゃく される。ある中心 ちゅうしん から正 せい 反対 はんたい の等 ひと しい距離 きょり に同一 どういつ の原子 げんし が存在 そんざい する時 とき 、分子 ぶんし は対称 たいしょう 中心 ちゅうしん を持 も つ。中心 ちゅうしん は原子 げんし の場合 ばあい もあるしそうでない場合 ばあい もある。例 たと えば四 よん フッ化 か キセノン はXe 原子 げんし が反転 はんてん 中心 ちゅうしん であり、ベンゼン (C6 H6 ) は環 たまき の中心 ちゅうしん が反転 はんてん 中心 ちゅうしん である。
回 かい 映 うつ 軸 じく :
360
∘
n
{\displaystyle {\tfrac {360^{\circ }}{n}}}
周 まわ りを回転 かいてん させた後 のち に軸 じく に対 たい して垂直 すいちょく な面 めん での鏡 かがみ 映 うつ によって分子 ぶんし が変化 へんか しない軸 じく 。n 回 かい 回 かい 映 うつ 軸 じく とも呼 よ ばれ、Sn と略 りゃく される。例 たと えば、正 せい 四 よん 面体 めんてい 型 がた の四 よん フッ化 か ケイ素 けいそ は3つのS4 軸 じく を持 も ち、エタン のねじれ型 がた 配 はい 座 ざ は1つのS6 軸 じく を持 も つ。
恒等 こうとう : 単一 たんいつ 性 せい を意味 いみ するドイツ語 ご Einheit からEと略 りゃく される。この対称 たいしょう 要素 ようそ は単 たん に無 む 変化 へんか からなり、全 すべ ての分子 ぶんし がこの要素 ようそ を持 も つ。この要素 ようそ は物理 ぶつり 的 てき に取 と るに足 た りないものに見 み えるが、その考慮 こうりょ は群論 ぐんろん 機構 きこう が適切 てきせつ に働 はたら くために必須 ひっす である。
平面 へいめん 四角形 しかっけい 構造 こうぞう を持 も つXeF4 は1つのC4 軸 じく とC4 に直交 ちょっこう した4つのC2 軸 じく を持 も つ。これらの5つの軸 じく とC4 と平行 へいこう な鏡面 きょうめん が分子 ぶんし のD4h 対称 たいしょう 群 ぐん を定義 ていぎ する。
5つの対称 たいしょう 要素 ようそ は5種類 しゅるい の対称 たいしょう 操作 そうさ と関連 かんれん している。これらはしばしば(常 つね にではないが)各 かく 要素 ようそ とキャレット によって区別 くべつ される。ゆえに、Ĉn は軸 じく を中心 ちゅうしん とした分子 ぶんし の回転 かいてん であり、Êは恒等 こうとう 操作 そうさ である。対称 たいしょう 要素 ようそ は、2つ以上 いじょう の関連 かんれん した対称 たいしょう 操作 そうさ を持 も つことができる。例 たと えば四角形 しかっけい 分子 ぶんし である四 よん フッ化 か キセノン (XeF4 )は、逆 ぎゃく 向 む きの2つのĈ4 回転 かいてん (90°)および1つのĈ2 回転 かいてん (180°)と関連 かんれん している。C1 (1回 かい 回転 かいてん 対称 たいしょう )はE(恒等 こうとう )と、S1 (1回 かい 回 かい 映 うつ )はσ しぐま (鏡 かがみ 映 うつ )と、S2 (2回 かい 回 かい 映 うつ )はi (反転 はんてん 中心 ちゅうしん )と等価 とうか であるため、全 すべ ての対称 たいしょう 操作 そうさ は回転 かいてん 操作 そうさ あるいは回 かい 映 うつ 操作 そうさ として分類 ぶんるい することができる。
点 てん 群 ぐん は数学 すうがく 的 てき な「群 ぐん 」を形成 けいせい する一連 いちれん の対称 たいしょう 操作 そうさ である。点 てん 群 ぐん では少 すく なくとも一 ひと つの「点 てん 」が群 ぐん の全 すべ ての操作 そうさ の下 した で固定 こてい されている。結晶 けっしょう 点 てん 群 ぐん は三 さん 次元 じげん における並進 へいしん 対称 たいしょう (英語 えいご 版 ばん ) と互換 ごかん 性 せい がある点 てん 群 ぐん である。合 あ わせて32の結晶 けっしょう 点 てん 群 ぐん があり、そのうち30は化学 かがく に関連 かんれん している。これらの分類 ぶんるい はシェーンフリース記号 きごう に基 もと づいている。
以下 いか の場合 ばあい 、一連 いちれん の対称 たいしょう 操作 そうさ は操作 そうさ の適用 てきよう である作用素 さようそ を持 も つ群 ぐん を形成 けいせい する。
2つの操作 そうさ の連続 れんぞく した適用 てきよう (合成 ごうせい 、composition )の結果 けっか もまた同 おな じ群 ぐん に属 ぞく する(閉包性 へいほうせい )。
操作 そうさ の適用 てきよう が結合 けつごう 的 てき である: A(BC) = (AB)C。
群 ぐん が、群 ぐん の全 すべ ての操作 そうさ AについてAE = EA = Aとなる恒等 こうとう 操作 そうさ を含 ふく んでいる。
群 ぐん における全 すべ ての操作 そうさ Aについて、群 ぐん 内 ない に逆 ぎゃく 元 もと A−1 が存在 そんざい する: AA−1 = A−1 A = E。
群 ぐん の位 い 数 すう は、群 ぐん の対称 たいしょう 操作 そうさ の数 かず である。
例 たと えば、水 みず 分子 ぶんし の点 てん 群 ぐん はC2v であり、対称 たいしょう 操作 そうさ のE、C2 、σ しぐま v 、σ しぐま v 'からなる。ゆえに位 い 数 すう は4である。それぞれの操作 そうさ は自身 じしん の逆 ぎゃく 元 もと である。閉包性 へいほうせい の例 れい としては、C2 回転 かいてん とそれに続 つづ くσ しぐま v 鏡 かがみ 映 うつ はσ しぐま v 'のように見 み える:σ しぐま v *C2 = σ しぐま v '(操作 そうさ Aとそれに続 つづ くBによってCが作 つく られることをBA = Cと書 か く)。
アンモニア 分子 ぶんし はピラミッド型 がた であり、3回 かい 回転 かいてん 軸 じく および互 たが いに120°の角度 かくど にある3つの鏡面 きょうめん を含 ふく んでいる。それぞれの鏡面 きょうめん はN-H結合 けつごう を含 ふく んでおり、この結合 けつごう と反対 はんたい 側 がわ のH-N-H結合 けつごう 角度 かくど を二 に 等分 とうぶん する。ゆえに、アンモニア分子 ぶんし は位 くらい 数 すう 6のC3v 点 てん 群 ぐん に属 ぞく する: 単位 たんい 元 もと E、2つの回転 かいてん 操作 そうさ C3 およびC3 2 、3つの鏡 かがみ 映 うつ 操作 そうさ σ しぐま v 、σ しぐま v '、σ しぐま v "。
一般 いっぱん 的 てき な点 てん 群 ぐん [ 編集 へんしゅう ]
以下 いか の表 ひょう は代表 だいひょう 的 てき な分子 ぶんし の点 てん 群 ぐん のリストを含 ふく んでいる。構造 こうぞう の説明 せつめい は原子 げんし 価 か 殻 から 電子 でんし 対 たい 反発 はんぱつ 則 そく (VSEPR則 そく )に基 もと づいた分子 ぶんし の一般 いっぱん 的 てき な形状 けいじょう である。
対称 たいしょう 操作 そうさ は様々 さまざま な方法 ほうほう で表現 ひょうげん できる。便利 べんり な表現 ひょうげん は行列 ぎょうれつ によるものである。直交 ちょっこう 座標 ざひょう 系 けい における点 てん を表現 ひょうげん するいずれのベクトルにおいても、左 ひだり からかけると対称 たいしょう 操作 そうさ によって変換 へんかん された点 てん の新 あたら しい位置 いち を与 あた える。操作 そうさ の構成 こうせい は行列 ぎょうれつ の乗算 じょうざん と対応 たいおう する。例 たと えば、C2v では以下 いか のようになる。
[
−
1
0
0
0
−
1
0
0
0
1
]
⏟
C
2
×
[
1
0
0
0
−
1
0
0
0
1
]
⏟
σ しぐま
v
=
[
−
1
0
0
0
1
0
0
0
1
]
⏟
σ しぐま
v
′
{\displaystyle \underbrace {\begin{bmatrix}-1&0&0\\0&-1&0\\0&0&1\\\end{bmatrix}} _{C_{2}}\times \underbrace {\begin{bmatrix}1&0&0\\0&-1&0\\0&0&1\\\end{bmatrix}} _{\sigma _{v}}=\underbrace {\begin{bmatrix}-1&0&0\\0&1&0\\0&0&1\\\end{bmatrix}} _{\sigma '_{v}}}
無数 むすう のこういった表現 ひょうげん が存在 そんざい するが、群 ぐん の既 すんで 約 やく 表現 ひょうげん が一般 いっぱん 的 てき に使用 しよう され、その他 た 全 すべ ての群 ぐん の表現 ひょうげん は既 すんで 約 やく 表現 ひょうげん の線形 せんけい 結合 けつごう で表 あら わすことができる。
それぞれの点 てん 群 ぐん について、指標 しひょう 表 ひょう はその対称 たいしょう 操作 そうさ および既 すんで 約 やく 表現 ひょうげん の情報 じょうほう を要約 ようやく する。既 すんで 約 やく 表現 ひょうげん の個数 こすう と対称 たいしょう 操作 そうさ の共役 きょうやく 類 るい の個数 こすう は常 つね に等 ひと しいので、表 ひょう は正方形 せいほうけい である。
表 おもて 自身 じしん は、特定 とくてい の対称 たいしょう 操作 そうさ を適用 てきよう した時 とき どのように特定 とくてい の既 すんで 約 やく 表現 ひょうげん が変換 へんかん されるかを表現 ひょうげん した指標 しひょう で構成 こうせい されている。分子 ぶんし 自身 じしん に作用 さよう する分子 ぶんし の点 てん 群 ぐん におけるどの対称 たいしょう 操作 そうさ も分子 ぶんし を変化 へんか させない。しかし、ベクトル あるいは軌道 きどう といった一般 いっぱん 実体 じったい にはこれはあてはまらない。ベクトルは符号 ふごう あるいは方向 ほうこう 性 せい が変化 へんか し、軌道 きどう は種類 しゅるい が変化 へんか する。単純 たんじゅん な点 てん 群 ぐん では、値 ね は1あるいは−1である。1は(ベクトルあるいは軌道 きどう の)符号 ふごう あるいは位相 いそう が対称 たいしょう 操作 そうさ によって変化 へんか しないことを意味 いみ し(対称 たいしょう )、−1は符号 ふごう が変化 へんか することを示 しめ す(非対称 ひたいしょう )。
表現 ひょうげん は一連 いちれん の慣習 かんしゅう によって名前 なまえ が付 つ けられる。
A: 主軸 しゅじく の周 まわ りの回転 かいてん が対称 たいしょう
B: 主軸 しゅじく の周 まわ りの回転 かいてん が非対称 ひたいしょう
EおよびTはそれぞれ二 に 重 じゅう および三 さん 重 じゅう に縮退 しゅくたい した表現 ひょうげん である。
点 てん 群 ぐん が反転 はんてん 中心 ちゅうしん を持 も つ時 とき 、添字 そえじ gは符号 ふごう が反転 はんてん に関 かん して変化 へんか しないこと、添字 そえじ uは符号 ふごう が変化 へんか することを示 しめ す。
C∞v およびD∞h については、記号 きごう は角 かく 運動 うんどう 量 りょう の記述 きじゅつ から借用 しゃくよう されている(Σ しぐま 、Π ぱい 、Δ でるた )。
表 ひょう にはまた、デカルト座標 ざひょう 系 けい の基底 きてい ベクトル、それらやそれらの二 に 次 じ 関数 かんすう に関 かん する回転 かいてん が、群 ぐん の対称 たいしょう 操作 そうさ によってどのように変換 へんかん されるかという情報 じょうほう も記録 きろく されている。これらの表示 ひょうじ は慣例 かんれい 的 てき に表 ひょう の右側 みぎがわ に記載 きさい される。化学 かがく 的 てき に重要 じゅうよう な軌道 きどう (特 とく にpおよびd軌道 きどう )はこれらの実体 じったい と同 おな じ対称 たいしょう 性 せい を有 ゆう するため、この情報 じょうほう は有用 ゆうよう である。
C2v 対称 たいしょう 点 てん 群 ぐん の指標 しひょう 表 ひょう は以下 いか の通 とお りである。
C2v
E
C2
σ しぐま v (xz)
σ しぐま v '(yz)
A1
1
1
1
1
z
x 2 , y 2 , z 2
A2
1
1
−1
−1
Rz
xy
B1
1
−1
1
−1
x , Ry
xz
B2
1
−1
−1
1
y , Rx
yz
C2v 対称 たいしょう 性 せい を有 ゆう する水 みず (H2 O) の例 れい を考 かんが える。酸素 さんそ の2p x 軌道 きどう は分子 ぶんし の平面 へいめん に対 たい して垂直 すいちょく に向 む いており、C2 およびσ しぐま v '(yz) 操作 そうさ で符号 ふごう が変化 へんか するが、その他 た 2つの操作 そうさ では変化 へんか しない。ゆえに、この軌道 きどう の指標 しひょう 集合 しゅうごう は {1, −1, 1, −1} であり、B1 既 すんで 約 やく 表現 ひょうげん に対応 たいおう する。同様 どうよう に、2p z 軌道 きどう はA1 既 すんで 約 やく 表現 ひょうげん の対称 たいしょう 性 せい を、 2p y 軌道 きどう はB2 、3d xy 軌道 きどう はA2 を有 ゆう する。
歴史 れきし 的 てき 背景 はいけい [ 編集 へんしゅう ]
ハンス・ベーテ は1929年 ねん の配 はい 位 い 子 こ 場 じょう 理論 りろん の研究 けんきゅう において点 てん 群 ぐん 操作 そうさ の指標 しひょう を使用 しよう し、ユージン・ウィグナー は原子 げんし 分光 ぶんこう 学 がく の選択 せんたく 則 そく を説明 せつめい するために群 ぐん 理論 りろん を使用 しよう した[6] 。初 はつ の指標 しひょう 表 ひょう はティサ・ラースロー によって振動 しんどう スペクトルと結 むす び付 つ けて編纂 へんさん された(1933年 ねん )。ロバート・マリケン は英語 えいご で初 はじ めて指標 しひょう 表 ひょう を発表 はっぴょう し(1933年 ねん )、E・ブライト・ウィルソン は固有 こゆう 振動 しんどう の対称 たいしょう 性 せい を予測 よそく するために1934年 ねん にそれらを使用 しよう した[7] 。32種類 しゅるい の結晶 けっしょう 点 てん 群 ぐん 一式 いっしき はRosenthalとMurphyによって1936年 ねん に発表 はっぴょう された[8] 。
非 ひ 剛体 ごうたい 分子 ぶんし [ 編集 へんしゅう ]
上 うえ で解説 かいせつ した対称 たいしょう 群 ぐん は、単一 たんいつ の平行 へいこう 構造 こうぞう に関 かん して小 ちい さな揺 ゆ れしか経験 けいけん せず、全 すべ ての対称 たいしょう 操作 そうさ が単純 たんじゅん な幾何 きか 操作 そうさ に対応 たいおう している「剛体 ごうたい 」分子 ぶんし を記述 きじゅつ するために有用 ゆうよう である。しかしながら、ロンゲ=ヒギンズ は複数 ふくすう の等価 とうか な構造 こうぞう を持 も つ非 ひ 剛体 ごうたい 分子 ぶんし について適 てき したより一般 いっぱん 的 てき な種類 しゅるい の対称 たいしょう 群 ぐん を提唱 ていしょう している[9] [10] 。これらの群 ぐん は「置換 ちかん -反転 はんてん 」群 ぐん と呼 よ ばれる。これは、対称 たいしょう 操作 そうさ が等価 とうか な核 かく のエネルギー的 てき に許容 きょよう な置換 ちかん あるいは重心 じゅうしん に関 かん する反転 はんてん 、あるいはそれら2つの組 く み合 あ わせであり得 え るためである。
例 たと えば、エタン (C2 H6 )は3つの等価 とうか なねじれ形 がた 配 はい 座 ざ を持 も つ。ある配 はい 座 ざ のもう一 ひと つの配 はい 座 ざ への変換 へんかん は、1つのメチル基 もと のもう一方 いっぽう のメチル基 もと に相対 そうたい 的 てき な「内部 ないぶ 回転 かいてん 」によって常温 じょうおん で起 お こる。これはC3 軸 じく に関 かん する全 ぜん 分子 ぶんし の回転 かいてん ではないが、1つのメチル基 もと の3つの同一 どういつ の水素 すいそ 原子 げんし の置換 ちかん として記述 きじゅつ することができる。上記 じょうき の表 ひょう で示 しめ されているようにそれぞれの配 はい 座 ざ はD3d 対称 たいしょう 性 せい を持 も つものの、内部 ないぶ 回転 かいてん 、関連 かんれん した量子 りょうし 状態 じょうたい およびエネルギー準 じゅん 位 い の記述 きじゅつ はより完全 かんぜん な置換 ちかん -反転 はんてん 群 ぐん を必要 ひつよう とする。
同様 どうよう に、アンモニア (NH3 )は2つの等価 とうか な三 さん 角錐 かくすい (C3v )配 はい 座 ざ を持 も ち、これらの配 はい 座 ざ は窒素 ちっそ 反転 はんてん として知 し られる過程 かてい によって相互 そうご 変換 へんかん する。NH3 は反転 はんてん 中心 ちゅうしん を持 も たないため、これは剛体 ごうたい 分子 ぶんし の対称 たいしょう 操作 そうさ に対 たい して用 もち いられている意味 いみ での反転 はんてん ではない。むしろ、この分子 ぶんし についてエネルギー的 てき に許容 きょよう される(窒素 ちっそ に近 ちか い)重心 じゅうしん に関 かん する全 ぜん 原子 げんし の鏡 かがみ 映 うつ である。再 ふたた び、置換 ちかん -反転 はんてん 群 ぐん が2つの構造 こうぞう の相互 そうご 作用 さよう を記述 きじゅつ するために用 もち いられる。
非 ひ 剛体 ごうたい 分子 ぶんし の対称 たいしょう 性 せい への2つ目 め の似 に た手法 しゅほう はAltmannによるものである[11] [12] 。この手法 しゅほう では、対称 たいしょう 群 ぐん は「シュレーディンガー超 ちょう 群 ぐん 」と呼 よ ばれ、(1) 剛体 ごうたい 分子 ぶんし の幾何 きか 対称 たいしょう 操作 そうさ (回転 かいてん 、鏡 かがみ 映 うつ 、反転 はんてん )、(2) 「等 ひとし 力 りょく (isodynamic) 操作 そうさ 」という2種類 しゅるい の操作 そうさ (とそれらの組合 くみあわ せ)からなる。後者 こうしゃ は、単 たん 結合 けつごう に関 かん する回転 かいてん (エタン)あるいは分子 ぶんし の反転 はんてん (アンモニア)といった物理 ぶつり 学 がく 的 てき に合理 ごうり 的 てき な過程 かてい によって非 ひ 剛体 ごうたい 分子 ぶんし をエネルギー的 てき に等価 とうか な形 かたち へと入 い れる[12] 。
^ Quantum Chemistry , Third Edition John P. Lowe, Kirk Peterson ISBN 0-12-457551-X NCID BA73748998
^ Physical Chemistry: A Molecular Approach by Donald A. McQuarrie, John D. Simon ISBN 0-935702-99-7
^ The chemical bond 2nd Ed. J.N. Murrell, S.F.A. Kettle, J.M. Tedder ISBN 0-471-99577-0 NCID BA12971474
^ Physical Chemistry P. W. Atkins ISBN 0-7167-2871-0
^ G. L. Miessler and D. A. Tarr “Inorganic Chemistry” 3rd Ed, Pearson/Prentice Hall publisher, ISBN 0-13-035471-6 .
^ Group Theory and its application to the quantum mechanics of atomic spectra , E. P. Wigner, Academic Press Inc. (1959)
^ Correcting Two Long-Standing Errors in Point Group Symmetry Character Tables Randall B. Shirts J. Chem. Educ. 2007, 84, 1882. Abstract
^ Group Theory and the Vibrations of Polyatomic Molecules Jenny E. Rosenthal and G. M. Murphy Rev. Mod. Phys. 8, 317 - 346 (1936) doi :10.1103/RevModPhys.8.317
^ Longuet-Higgins, H.C. (1963). “The symmetry groups of non-rigid molecules”. Molecular Physics 6 (5): 445–460. doi :10.1080/00268976300100501 .
^ Fundamentals of Molecular Symmetry by Philip R. Bunker and Per Jensen (Institute of Physics Publishing 2005) ISBN 0-7503-0941-5
^ Altmann S.L. (1977) Induced Representations in Crystals and Molecules , Academic Press
^ a b Flurry, R.L. (1980) Symmetry Groups , Prentice-Hall, ISBN 0-13-880013-8 , pp.115-127