寄宿舎きしゅくしゃ

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寄宿舎きしゅくしゃ(きしゅくしゃ)は、企業きぎょう学校がっこうなどが設置せっちする、労働ろうどうしゃまたは学生がくせい生徒せいと児童じどうなどが共同きょうどう生活せいかつをするための施設しせつである[1]

目的もくてき[編集へんしゅう]

企業きぎょうにおける寄宿舎きしゅくしゃ[編集へんしゅう]

企業きぎょうにおける寄宿舎きしゅくしゃは、労働ろうどうしゃ居住きょじゅうのためにもうけられる。

たとえば、スイス初期しょき紡績ぼうせき企業きぎょうであるハルト会社かいしゃ(1802ねん設立せつりつ)は紡績ぼうせき工場こうじょう隣接りんせつして農場のうじょう教会きょうかい寄宿舎きしゅくしゃ学校がっこう設置せっちしている[2]

学校がっこうなどにおける寄宿舎きしゅくしゃ[編集へんしゅう]

学校がっこうにおける寄宿舎きしゅくしゃは、学校がっこうとの通学つうがく距離きょりながい、交通こうつう不便ふべんという地理ちりてき理由りゆうほかに、重度じゅうどまたは重複じゅうふく障害しょうがいっている場合ばあいなどで、毎日まいにち通学つうがく困難こんなん場合ばあい生徒せいと児童じどうのために学校がっこう附属ふぞくして設置せっちされることがある。

また、欧米おうべい中心ちゅうしんボーディングスクール寄宿きしゅく学校がっこう)とばれる学校がっこうがある。

産業さんぎょう革命かくめい初期しょき企業きぎょうでは多数たすう児童じどう雇用こようしていたため、先述せんじゅつのスイスの紡績ぼうせき企業きぎょうであるハルト会社かいしゃでも紡績ぼうせき工場こうじょう隣接りんせつして寄宿舎きしゅくしゃもうけ、学校がっこう教会きょうかい併設へいせつし、教師きょうしとして専属せんぞく牧師ぼくしいていた[2]

同化どうか政策せいさくすすめるための寄宿舎きしゅくしゃ[編集へんしゅう]

日本にっぽんほう制度せいどじょう寄宿舎きしゅくしゃ[編集へんしゅう]

労働ろうどう法規ほうきにおける寄宿舎きしゅくしゃ[編集へんしゅう]

かつて紡績ぼうせき工場こうじょう製糸せいし工場こうじょう女工じょこう寄宿舎きしゅくしゃ付属ふぞくしていた。これは女工じょこう福利ふくり厚生こうせいのためではなく、女工じょこうには前借まえがりがあるから逃亡とうぼうしないようにしたということと、早朝そうちょうから就業しゅうぎょうさせたということからであった。過酷かこく待遇たいぐうが、女工じょこうあいなどで問題もんだいとなり、また風紀ふうきじょうかぐわしからざることもあり、政府せいふは、1927ねん昭和しょうわ2ねん)4がつ6にち内務省ないむしょうれいだい26ごう工場こうじょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃ規則きそく発布はっぷした[3]が、これには罰則ばっそくがなかったため、実効じっこうとぼしかった。一方いっぽう同年どうねん6がつには、東洋とうようモスリン女工じょこう労働ろうどう争議そうぎつうじて、外出がいしゅつする自由じゆうはじめて会社かいしゃがわみとめさせる事例じれいられている[4]

こうした歴史れきしけ、1947ねん昭和しょうわ22ねん施行しこう労働ろうどう基準きじゅんほうでは、使用しようしゃ労働ろうどうしゃ提供ていきょうするその事業じぎょう附属ふぞくする寄宿舎きしゅくしゃについては、そのだい10しょうだい94じょうだい96じょうの3)およ事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃ規程きてい昭和しょうわ22ねん労働省ろうどうしょうれいだい7ごう)・建設けんせつぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃ規程きてい昭和しょうわ42ねん労働省ろうどうしょうれいだい27ごう)によって規制きせいしている[5]

ILO115ごう勧告かんこく(1961ねん労働ろうどうしゃ住宅じゅうたく勧告かんこく)では、やむをない事情じじょうのある場合ばあいのぞき、使用しようしゃがその労働ろうどうしゃ直接ちょくせつ住宅じゅうたく提供ていきょうするのでなく、おおやけ機関きかん提供ていきょうすることがのぞましいとしている[6]

寄宿舎きしゅくしゃ生活せいかつ自治じち[編集へんしゅう]

だい94じょう寄宿舎きしゅくしゃ生活せいかつ自治じち

  1. 使用しようしゃは、事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃ寄宿きしゅくする労働ろうどうしゃ私生活しせいかつ自由じゆうおかしてはならない。
  2. 使用しようしゃは、寮長りょうちょう室長しつちょうその寄宿舎きしゅくしゃ生活せいかつ自治じち必要ひつよう役員やくいん選任せんにん干渉かんしょうしてはならない。

寄宿舎きしゅくしゃ生活せいかつ労働ろうどう関係かんけいとは別個べっこ私生活しせいかつであり、これに使用しようしゃ干渉かんしょうすることは私生活しせいかつ自由じゆうおかすものであって、本条ほんじょう運用うんようにあたってはこの趣旨しゅしによらなければならない(昭和しょうわ22ねん9がつ13にちはつもと17ごう)。「寄宿舎きしゅくしゃ」とは、常態じょうたいとして相当そうとう人数にんずう労働ろうどうしゃ宿泊しゅくはくし、共同きょうどう生活せいかつ実態じったいそなえるものをいう。「事業じぎょう附属ふぞくする」とは、事業じぎょう経営けいえい必要ひつようじょうその一部いちぶとしてもうけられているような事業じぎょうとの関連かんれんをもつことをいう。このふたつの条件じょうけんたすものが、事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃとして労働ろうどう基準きじゅんほうだい10しょう適用てきようける(昭和しょうわ23ねん3がつ30にちもとはつ508ごう)。社宅しゃたく住込すみこめ福利ふくり厚生こうせい施設しせつとしてもうけられているアパートしき寄宿舎きしゅくしゃは、「事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃ」にふくまれない。

  • 事業じぎょう附属ふぞくせい」については、「宿泊しゅくはくしている労働ろうどうしゃについて、労務ろうむ管理かんりじょう共同きょうどう生活せいかつ要請ようせいされているかか」「事業じぎょう場内じょうないまたはその付近ふきんにあるかか」といった基準きじゅんから総合そうごうてき判断はんだんされる。事業じぎょうとの関連かんれんつよ場合ばあいには寄宿舎きしゅくしゃとしてみとめようとする趣旨しゅしかんがえられる(判例はんれいとして、日之出ひので商店しょうてん事件じけん札幌さっぽろだかばん昭和しょうわ34ねん10がつ13にち)。もっとも学説がくせつおおくは、事業じぎょうとの関連かんれんがわずかでもあれば「事業じぎょう附属ふぞくせい」が肯定こうていされるとする[7]

1こう規定きていけて、事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃ規程きていだい4じょう具体ぐたいてきさだめる。これらは、寄宿舎きしゅくしゃ寄宿きしゅくする労働ろうどうしゃ私生活しせいかつ自由じゆうおか行為こうい例示れいじであり、労働ろうどうしゃ私生活しせいかつ自由じゆうおか行為こういがこの3つにとどまるものでないことは勿論もちろんである(昭和しょうわ30ねん2がつ25にちもとはつ104ごう[8]建設けんせつぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃ規程きていだい5じょうにもどう趣旨しゅし規定きていがある。1こう違反いはんたいする罰則ばっそくもうけられていないが、どうこう違反いはん公序良俗こうじょりょうぞく違反いはんとして無効むこうになるとかんがえられる。

事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃ規程きていだい4じょう

使用しようしゃは、つぎ各号かくごうかかげる行為こういとう寄宿舎きしゅくしゃ寄宿きしゅくする労働ろうどうしゃ私生活しせいかつ自由じゆうおか行為こういをしてはならない。
  1. 外出がいしゅつまた外泊がいはくについて使用しようしゃ承認しょうにんけさせること。
  2. 教育きょういく娯楽ごらくその行事ぎょうじ参加さんか強制きょうせいすること。
  3. 共同きょうどう利益りえきがいする場所ばしょおよ時間じかんのぞき、面会めんかい自由じゆう制限せいげんすること。

2こうの「役員やくいん選任せんにん干渉かんしょうしてはならない」とは、役員やくいん選任せんにんかんする一切いっさい事項じこう干渉かんしょうしてはならない趣旨しゅしである(昭和しょうわ23ねん5がつ1にちもとおさむ1317ごう)。したがって、自治じち組織そしきたい役員やくいん構成こうせい員数いんずう選出せんしゅつ方法ほうほうとうかんして使用しようしゃあん作成さくせいして寄宿きしゅく労働ろうどうしゃ自由じゆう承認しょうにんもとめることや、これにより決定けっていした事項じこう寄宿舎きしゅくしゃ規則きそく記載きさいすることは、違法いほうとなる。寄宿舎きしゅくしゃないにおける共同きょうどう生活せいかつ秩序ちつじょ維持いじは、当該とうがい寄宿舎きしゅくしゃ居住きょじゅうする労働ろうどうしゃ自治じち自律じりつまかせるべきものである(旭化成あさひかせい事件じけん宮崎みやざき延岡のべおかささえばん昭和しょうわ38ねん4がつ10日とおか)。

  • 寄宿舎きしゅくしゃ管理人かんりにん寮母りょうぼいても私生活しせいかつ自治じちおかさないかぎ本条ほんじょう抵触ていしょくしない(昭和しょうわ22ねん9がつ13にちはつもと17ごう)。なお寄宿舎きしゅくしゃ寄宿きしゅくする労働ろうどうしゃかんする事項じこうについて、使用しようしゃのために事務じむ処理しょりするもの舎監しゃかん世話せわがかりとう名称めいしょうわない)は、たとえ寄宿舎きしゅくしゃいれしゃしていても本条ほんじょうでいう自治じち主体しゅたいとしての「労働ろうどうしゃ」ではないから、寄宿舎きしゅくしゃ自治じち必要ひつよう役員やくいんとなることはできない(昭和しょうわ23ねん6がつ3にちもとおさむ1844ごう)。寄宿舎きしゅくしゃ自治じちのみに専任せんにんする寮長りょうちょうたいして賃金ちんぎん支払しはらうかかは当事とうじしゃ自由じゆうである(昭和しょうわ23ねん6がつ16にちもとおさむ1933ごう)。

寄宿舎きしゅくしゃ生活せいかつ秩序ちつじょ[編集へんしゅう]

だい95じょう寄宿舎きしゅくしゃ生活せいかつ秩序ちつじょ

  1. 事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃ労働ろうどうしゃ寄宿きしゅくさせる使用しようしゃは、ひだり事項じこうについて寄宿舎きしゅくしゃ規則きそく作成さくせいし、行政ぎょうせい官庁かんちょうとどなければならない。これを変更へんこうした場合ばあいにおいても同様どうようである。
    1.起床きしょう就寝しゅうしん外出がいしゅつおよ外泊がいはくかんする事項じこう
    2.行事ぎょうじかんする事項じこう
    3.食事しょくじかんする事項じこう
    4.安全あんぜんおよ衛生えいせいかんする事項じこう
    5.建設けんせつぶつおよ設備せつび管理かんりかんする事項じこう
  2. 使用しようしゃは、前項ぜんこうだい1ごう乃至ないしだい4ごう事項じこうかんする規定きてい作成さくせいまた変更へんこうについては、寄宿舎きしゅくしゃ寄宿きしゅくする労働ろうどうしゃ過半数かはんすう代表だいひょうするもの同意どういなければならない。
  3. 使用しようしゃは、だい1こう規定きていにより届出とどけでをなすについて、前項ぜんこう同意どうい証明しょうめいする書面しょめん添附てんぷしなければならない。
  4. 使用しようしゃおよ寄宿舎きしゅくしゃ寄宿きしゅくする労働ろうどうしゃは、寄宿舎きしゅくしゃ規則きそく遵守じゅんしゅしなければならない。

だい106じょう法令ほうれいとう周知しゅうち義務ぎむ

  1. りゃく
  2. 使用しようしゃは、労働ろうどう基準きじゅんほうおよ労働ろうどう基準きじゅんほうもとづいてはっする命令めいれいのうち、寄宿舎きしゅくしゃかんする規定きていおよ寄宿舎きしゅくしゃ規則きそくを、寄宿舎きしゅくしゃ見易みやす場所ばしょ掲示けいじし、またそなけるとう方法ほうほうによって、寄宿舎きしゅくしゃ寄宿きしゅくする労働ろうどうしゃ周知しゅうちさせなければならない。

使用しようしゃ寄宿舎きしゅくしゃ規則きそく作成さくせい義務ぎむし、さらに過半数かはんすう代表だいひょう同意どういることおよび行政ぎょうせい官庁かんちょう所轄しょかつ労働ろうどう基準きじゅん監督かんとくしょちょう以下いかおなじ)への届出とどけでしたものである。

だい1こうの1~4の事項じこうについては、寄宿舎きしゅくしゃ生活せいかつちゅう労働ろうどう関係かんけい要請ようせいたすために規制きせいされるべき部分ぶぶんであり、したがって寄宿きしゅく労働ろうどうしゃ使用しようしゃとの共管きょうかん事項じこうとして、これが規定きてい作成さくせい変更へんこうについて寄宿きしゅく労働ろうどうしゃ過半数かはんすう同意どうい必要ひつようとしたものである(昭和しょうわ23ねん3がつ30にちもとはつ508ごう)。食費しょくひ部屋へやだい寝具しんぐ損料そんりょう労働ろうどうしゃ負担ふたんさせる場合ばあいには、これらの労働ろうどう条件じょうけんかんする事項じこうについて就業しゅうぎょう規則きそく記載きさいしなければならない[9]

労働ろうどうしゃ過半数かはんすう代表だいひょうするもの同意どういなければならない」のは、その作成さくせいまたは変更へんこうをなす場合ばあいであって、寄宿舎きしゅくしゃ規則きそく作成さくせいとき寄宿きしゅく労働ろうどうしゃ過半数かはんすう同意どういていれば、その寄宿きしゅく労働ろうどうしゃわって作成さくせい当時とうじ労働ろうどうしゃ過半数かはんすうわっていても、あらためて寄宿きしゅく労働ろうどうしゃ同意どうい必要ひつようはない(昭和しょうわ28ねん2がつ27にちもとおさむ806ごう)。つまり、同意どうい規則きそく成立せいりつ要件ようけんであり存続そんぞく要件ようけんではないとされる。

寄宿舎きしゅくしゃ生活せいかつ自治じち建前たてまえからいえば、寄宿舎きしゅくしゃ規則きそく本来ほんらい労働ろうどうしゃ作成さくせいするのがのぞましいが、法制ほうせい定時ていじ労働ろうどうしゃ自治じち経験けいけんとぼしく、当該とうがい労働ろうどうしゃでは寄宿舎きしゅくしゃでの共同きょうどう生活せいかついとなじょうでの秩序ちつじょ自立じりつてき形成けいせいすることがむずかしいと立法りっぽうしゃ判断はんだんしたことにより、使用しようしゃ規則きそく作成さくせい義務ぎむしたとされる[10]

寄宿舎きしゅくしゃ設備せつびおよ安全あんぜん衛生えいせい[編集へんしゅう]

だい96じょう寄宿舎きしゅくしゃ設備せつびおよ安全あんぜん衛生えいせい

  1. 使用しようしゃは、事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃについて、換気かんき採光さいこう照明しょうめい保温ほおん防湿ぼうしつ清潔せいけつ避難ひなん定員ていいん収容しゅうよう就寝しゅうしん必要ひつよう措置そちその労働ろうどうしゃ健康けんこう風紀ふうきおよ生命せいめい保持ほじ必要ひつよう措置そちこうじなければならない。
  2. 使用しようしゃ前項ぜんこう規定きていによつてこうずべき措置そち基準きじゅんは、厚生こうせい労働ろうどう省令しょうれいさだめる。

寄宿きしゅく労働ろうどうしゃ安全あんぜん衛生えいせい保持ほじするために、使用しようしゃ必要ひつよう措置そちこうずることを義務付ぎむづけるものである。具体ぐたいてき内容ないよう厚生こうせい労働ろうどう省令しょうれい事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃ規程きてい)でさだめる。おもなものは以下いかとおり。

  • 事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃ規程きていだい7じょう
    だい一種いっしゅ寄宿舎きしゅくしゃ労働ろうどうしゃを6ヶ月かげつ以上いじょう期間きかん寄宿きしゅくさせる寄宿舎きしゅくしゃ)を設置せっちする場合ばあいには、つぎ各号かくごういち該当がいとうする場所ばしょけなければならない。
    1. 爆発ばくはつせいもの火薬かやくるいふくむ。)、発火はっかせいもの酸化さんかせいもの引火いんかせいもの可燃かねんせいガスまた多量たりょうえきもえせいものあつかい、また貯蔵ちょぞうする場所ばしょ附近ふきん
    2. かま使用しようする作業場さぎょうば附近ふきん
    3. ガス、蒸気じょうきまた粉塵ふんじん発散はっさんして衛生えいせいじょう有害ゆうがい作業場さぎょうば附近ふきん
    4. 騒音そうおんまた振動しんどういちじるしい場所ばしょ
    5. 雪崩なだれまた土砂どしゃ崩壊ほうかいのおそれのある場所ばしょ
    6. 湿潤しつじゅん場所ばしょまた出水しゅっすい浸水しんすいのおそれのある場所ばしょ
    7. 伝染でんせんびょう患者かんじゃ収容しゅうようする建物たてものおよ病原びょうげんたいによって汚染おせんのおそれいちじるしいものをあつか場所ばしょ附近ふきん
    4~6については、だいしゅ寄宿舎きしゅくしゃ労働ろうどうしゃを6ヶ月かげつ未満みまん期間きかん寄宿きしゅくさせる寄宿舎きしゅくしゃ)についても同様どうようである(規程きていだい38じょう)。
    附近ふきん」とは、社会しゃかい通念つうねんじょう危険きけんせいまた有害ゆうがいせいおよ地域ちいきをいう。7.の「建物たてものまたは「場所ばしょ」とは、普通ふつう病院びょういん検査けんさしつごときものはふくまず、伝染でんせん病院びょういん隔離かくり病舎びょうしゃ塵芥じんかい処理しょりとうをいう(昭和しょうわ23ねん3がつ30にちもとはつ508ごう昭和しょうわ33ねん2がつ13にちもとはつ90ごう)。
  • 事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃ規程きていだい8じょう
    だい一種いっしゅ寄宿舎きしゅくしゃにおいては、男性だんせい女性じょせいとを同一どういつのむねの建物たてもの収容しゅうようしてはならない。ただし、完全かんぜん区画くかくもうけ、かつ、出入口でいりぐちべつにした場合ばあいには、このかぎりでない。
    完全かんぜん区画くかく」とはかべいたしきりとうをいう(昭和しょうわ23ねん3がつ30にちもとはつ508ごう昭和しょうわ33ねん2がつ13にちもとはつ90ごう)。
  • 事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃ規程きていだい21じょう
    だい一種いっしゅ寄宿舎きしゅくしゃにおいては、就眠しゅうみん時間じかんことにするくみ以上いじょう労働ろうどうしゃ同一どういつ寝室しんしつ寄宿きしゅくさせてはならない。ただし、交替こうたいさい睡眠すいみんさまたげないよう適当てきとう方法ほうほうこうじた場合ばあいには、このかぎりでない。

監督かんとくじょう行政ぎょうせい措置そち[編集へんしゅう]

だい96じょうの2(監督かんとくじょう行政ぎょうせい措置そち

  1. 使用しようしゃは、常時じょうじ10にん以上いじょう労働ろうどうしゃ就業しゅうぎょうさせる事業じぎょう厚生こうせい労働ろうどう省令しょうれいさだめる危険きけん事業じぎょうまた衛生えいせいじょう有害ゆうがい事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃ設置せっちし、移転いてんし、また変更へんこうしようとする場合ばあいにおいては、前条ぜんじょう規定きていもとづいてはっする厚生こうせい労働ろうどう省令しょうれいさだめる危害きがい防止ぼうしとうかんする基準きじゅんしたがさだめた計画けいかくを、工事こうじ着手ちゃくしゅ14にちまえまでに、行政ぎょうせい官庁かんちょうとどなければならない。
  2. 行政ぎょうせい官庁かんちょうは、労働ろうどうしゃ安全あんぜんおよ衛生えいせい必要ひつようであるとみとめる場合ばあいにおいては、工事こうじ着手ちゃくしゅめ、また計画けいかく変更へんこうめいずることができる。

だい96じょうの3

  1. 労働ろうどうしゃ就業しゅうぎょうさせる事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃが、安全あんぜんおよ衛生えいせいかんさだめられた基準きじゅんはんする場合ばあいにおいては、行政ぎょうせい官庁かんちょうは、使用しようしゃたいして、その全部ぜんぶまた一部いちぶ使用しよう停止ていし変更へんこうその必要ひつよう事項じこうめいずることができる。
  2. 前項ぜんこう場合ばあいにおいて行政ぎょうせい官庁かんちょうは、使用しようしゃめいじた事項じこうについて必要ひつよう事項じこう労働ろうどうしゃめいずることができる。

だい103じょう

労働ろうどうしゃ就業しゅうぎょうさせる事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃが、安全あんぜんおよ衛生えいせいかんしてさだめられた基準きじゅんはんし、労働ろうどうしゃ急迫きゅうはくした危険きけんがある場合ばあいにおいては、労働ろうどう基準きじゅん監督かんとくかんは、だい96じょうの3の規定きていによる行政ぎょうせい官庁かんちょう権限けんげん即時そくじおこなうことができる。

だい96じょうの2は安全あんぜん衛生えいせい基準きじゅん違反いはん寄宿舎きしゅくしゃたい事前じぜん規制きせいおこなおうとするのにたいし、だい96じょうの3はすで建設けんせつされている寄宿舎きしゅくしゃ安全あんぜん衛生えいせいかんする違反いはんがある場合ばあい必要ひつよう措置そちめいずる権限けんげん行政ぎょうせい官庁かんちょうあたえたものである。「厚生こうせい労働ろうどう省令しょうれいさだめる危険きけん事業じぎょうまた衛生えいせいじょう有害ゆうがい事業じぎょう」は、つぎかかげる事業じぎょうとする(施行しこう規則きそくだい50じょうの2)。

  1. 使用しようする原動機げんどうきていかく出力しゅつりょく合計ごうけいが2.2キロワット以上いじょうであるほう別表べっぴょうだいいちだいいちごうからだいさんごうまでにかかげる事業じぎょう
  2. つぎかかげる業務ぎょうむ使用しようする原動機げんどうきていかく出力しゅつりょく合計ごうけいが1.5キロワット以上いじょうである事業じぎょう
    • プレス機械きかいまたシヤーによる加工かこう業務ぎょうむ
    • 金属きんぞく切削せっさくまた乾燥かんそう研磨けんま業務ぎょうむ
    • 木材もくざい切削せっさく加工かこう業務ぎょうむ
    • せい綿めん打綿うちわたあさのりゆうかい起毛きもうまたはん業務ぎょうむ
  3. しゅとしてつぎかかげる業務ぎょうむおこなう事業じぎょう
  4. その厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじん指定していするもの

建築けんちく消防しょうぼう税務ぜいむ法規ほうきにおける寄宿舎きしゅくしゃ[編集へんしゅう]

建築けんちく基準きじゅんほう昭和しょうわ25ねん法律ほうりつだい201ごう)、消防しょうぼうほう施行しこうれい昭和しょうわ36ねん政令せいれいだい37ごう)、固定こてい資産しさん評価ひょうか基準きじゅん昭和しょうわ38ねん自治省じちしょう告示こくじ)、減価げんか償却しょうきゃく資産しさん耐用たいよう年数ねんすうとうかんする省令しょうれい昭和しょうわ40ねん大蔵省おおくらしょうれいだい15ごう)などで、建築けんちくぶつ種類しゅるいとして「共同きょうどう住宅じゅうたく」「下宿げしゅく」などと並列へいれつして「寄宿舎きしゅくしゃ」という種類しゅるいしめされている。

これらの法規ほうき実務じつむ運用うんようにおいて、なにをもって寄宿舎きしゅくしゃ定義ていぎするのか、共同きょうどう住宅じゅうたく寄宿舎きしゅくしゃちがいはなにかといったてんについて明確めいかくしめされていないため、行政ぎょうせい部署ぶしょ担当たんとうしゃ主観しゅかんによるところもおおきい。

社会しゃかい通念つうねんてき認識にんしきとして実質じっしつてきおおくの行政ぎょうせい担当たんとうしゃ想定そうていしている定義ていぎは、「各戸かっこ独立どくりつ玄関げんかんがあり、それぞれの独立どくりつ空間くうかん厨房ちゅうぼう便所べんじょなどの生活せいかつ設備せつびがある形式けいしき」を共同きょうどう住宅じゅうたくとする、「玄関げんかん厨房ちゅうぼう便所べんじょなどは原則げんそくてき共用きょうようで、寝室しんしつだけがかく入居にゅうきょしゃよう用意よういされている形式けいしき」を寄宿舎きしゅくしゃとするものである。 この定義ていぎしたがってほう解釈かいしゃくされるかぎりにおいて、グループホーム寄宿舎きしゅくしゃということになる。建築けんちく消防しょうぼう法規ほうきじょう書類しょるい実際じっさいにそのように分類ぶんるいしている市町村しちょうそんおおい。2012ねん現在げんざい福島ふくしまけん土木どぼく建築けんちく指導しどうしている『戸建こだ住宅じゅうたく活用かつようする「グループホームとう」の建築けんちく基準きじゅんほうじょう取扱とりあつかい』で2かい以下いか面積めんせきが200m2まんのグループホームとうについては基本きほんてき一般いっぱん住宅じゅうたくとしてあつかうとしているのが唯一ゆいいつ例外れいがい

ただし、この定義ていぎはいかなる法規ほうき明記めいきされているものでもないことに注意ちゅういすべきである。

寄宿舎きしゅくしゃ発生はっせいしたおも事件じけん事故じこ[編集へんしゅう]

日本にっぽん[編集へんしゅう]

タイ[編集へんしゅう]

  • 2016ねん5がつ22にち - チェンライけん女子じょしこう寄宿舎きしゅくしゃ火事かじ就寝しゅうしんちゅうだった生徒せいとのうち17にん死亡しぼう、5にん負傷ふしょう[14]

ナイジェリア[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 寄宿舎きしゅくしゃ(きしゅくしゃ)とは? 意味いみ使つかかた - コトバンク
  2. ^ a b 黒澤くろさわ隆文たかふみこうライン地域ちいき産業さんぎょう革命かくめい近代きんだいスイスの経済けいざい構造こうぞうかぶとだい8691ごう、2001ねんdoi:10.11501/3182838NAID 5000002037282021ねん7がつ1にち閲覧えつらん 
  3. ^ 平井ひらい直樹なおき, 石田いしだ潤一郎じゅんいちろう, 池上いけがみしげるかん明治めいじ後期こうきから昭和しょうわ初期しょきにおける職工しょっこう寄宿舎きしゅくしゃかんする評価ひょうか:-宇野うの利右衛門りえもん著述ちょじゅつもとづく労働ろうどうしゃ居住きょじゅう施設しせつ歴史れきしてき考察こうさつ その1-」『日本にっぽん建築けんちく学会がっかい計画けいかくけいろん文集ぶんしゅうだい78かんだい689ごう日本にっぽん建築けんちく学会がっかい、2013ねん、1621-1630ぺーじdoi:10.3130/aija.78.1621ISSN 1340-4210NAID 130004895691 
  4. ^ 東洋とうようモスリンがはじめて外出がいしゅつ自由じゆうに『東京とうきょう朝日新聞あさひしんぶん昭和しょうわ2ねん6がつ15にち(『昭和しょうわニュース事典じてんだい1かん 昭和しょうわ元年がんねん-昭和しょうわ3ねん本編ほんぺんp318 昭和しょうわニュース事典じてん編纂へんさん委員いいんかい 毎日まいにちコミュニケーションズかん 1994ねん
  5. ^ 労働ろうどう基準きじゅんほう別表べっぴょうだいいちだい3ごうかかげる事業じぎょうであって事業じぎょう完了かんりょう時期じき予定よていされるものの附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃについては建設けんせつぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃ規程きていが、その事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃについては事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃ規程きてい適用てきようされる(事業じぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃ規程きていだい1じょう)。
  6. ^ 1961ねん労働ろうどうしゃ住宅じゅうたく勧告かんこくだい115ごう国際こくさい労働ろうどう機関きかん
  7. ^ しん基本きほんほうコメンタールだい2はん 労働ろうどう基準きじゅんほう労働ろうどう契約けいやくほう日本にっぽん評論ひょうろんしゃ p.288
  8. ^ 外部がいぶ講師こうしによる講演こうえんかい八幡やはた製鉄せいてつ事件じけん福岡ふくおかだかばん昭和しょうわ36ねん3がつ28にち)、寄宿舎きしゅくしゃないでの署名しょめい活動かつどう旭化成あさひかせい事件じけん宮崎みやざき延岡のべおかささえばん昭和しょうわ38ねん4がつ10日とおか)、労働ろうどう組合くみあい青年せいねん婦人ふじんによる会合かいごう東京厚生年金病院とうきょうこうせいねんきんびょういん事件じけん東京とうきょうばん昭和しょうわ41ねん9がつ20日はつか)は「私生活しせいかつ自由じゆう」にふくまれるとした。
  9. ^ 上述じょうじゅつ八幡やはた製鉄せいてつ事件じけんでは「共管きょうかん事項じこう」には施設しせつ物的ぶってき管理かんりけんのみならず秩序ちつじょ維持いじかんする人的じんてき管理かんりけんふくまれるむねべているが、学説がくせつはこの判決はんけつ批判ひはんてきである。
  10. ^ しん基本きほんほうコメンタールだい2はん 労働ろうどう基準きじゅんほう労働ろうどう契約けいやくほう日本にっぽん評論ひょうろんしゃ p.290~291
  11. ^ さん日間にちかんひゃくめい中毒ちゅうどく」『朝日新聞あさひしんぶん昭和しょうわ22ねん8がつ3にち
  12. ^ まもっていますか 建設けんせつぎょう附属ふぞく寄宿舎きしゅくしゃのルール”. 労務ろうむ安全あんぜん情報じょうほうセンター. 2020ねん7がつ20日はつか閲覧えつらん
  13. ^ 札幌さっぽろ寄宿舎きしゅくしゃ火災かさいについて”. 国土こくど交通こうつうしょう (2018ねん). 2020ねん7がつ20日はつか閲覧えつらん
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関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]