地球 ちきゅう の座標 ざひょう 近傍 きんぼう の微分 びぶん 可能 かのう でないアトラス。アトラスが微分 びぶん 可能 かのう でないとき微積分 びせきぶん の結果 けっか は座標 ざひょう 近傍 きんぼう 間 あいだ で両立 りょうりつ 可能 かのう とは限 かぎ らない。北回帰線 きたかいきせん は真 ま ん中 なか の座標 ざひょう 近傍 きんぼう では滑 なめ らかな曲線 きょくせん であるが、一方 いっぽう 左 ひだり の座標 ざひょう 近傍 きんぼう では鋭 するど い角 かく を持 も つ。可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい の概念 がいねん は座標 ざひょう 近傍 きんぼう の間 あいだ の変換 へんかん をする関数 かんすう が微分 びぶん 可能 かのう であることを要求 ようきゅう することによって多様 たよう 体 たい の概念 がいねん を洗練 せんれん する。
数学 すうがく において、可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい (かびぶんたようたい、英 えい : differentiable manifold )、あるいは微分 びぶん 可能 かのう 多様 たよう 体 たい (びぶんかのうたようたい)は、局所 きょくしょ 的 てき に十分 じゅうぶん 線型 せんけい 空間 くうかん に似 に ており微積分 びせきぶん ができるような多様 たよう 体 たい である。任意 にんい の多様 たよう 体 たい は、チャート (座標 ざひょう 近傍 きんぼう 、局所 きょくしょ 座標 ざひょう )の集 あつ まり、アトラス(座標 ざひょう 近傍 きんぼう 系 けい 、局所 きょくしょ 座標 ざひょう 系 けい )、によって記述 きじゅつ することができる。各 かく 座標 ざひょう 近傍 きんぼう は微積分 びせきぶん の通常 つうじょう のルールが適用 てきよう する線型 せんけい 空間 くうかん の中 なか にあるから、各々 おのおの のチャートの中 なか で考 かんが えるときには微積分 びせきぶん 学 がく のアイデアを適用 てきよう できる。チャートが適切 てきせつ に両立 りょうりつ 可能 かのう であれば(すなわち1つのチャートから別 べつ のチャートへの変換 へんかん が微分 びぶん 可能 かのう であれば)、1つのチャートでなされた計算 けいさん は任意 にんい の他 ほか の微分 びぶん 可能 かのう なチャートにおいても有効 ゆうこう である。
フォーマルに言 い えば、可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい は大域 たいいき 的 てき に定義 ていぎ された可 か 微分 びぶん 構造 こうぞう (英語 えいご 版 ばん ) を持 も つ位相 いそう 多様 たよう 体 たい である。任意 にんい の位相 いそう 多様 たよう 体 たい にはアトラスの同相 どうしょう 写像 しゃぞう と線型 せんけい 空間 くうかん 上 じょう の標準 ひょうじゅん 的 てき な微分 びぶん 構造 こうぞう を用 もち いて局所 きょくしょ 的 てき に微分 びぶん 構造 こうぞう を与 あた えることができる。同相 どうしょう 写像 しゃぞう によって誘導 ゆうどう された局所 きょくしょ 座標 ざひょう 系 けい 上 じょう の大域 たいいき 的 てき な微分 びぶん 構造 こうぞう を誘導 ゆうどう するためには、アトラスのチャートの共通 きょうつう 部分 ぶぶん 上 じょう での合成 ごうせい が対応 たいおう する線型 せんけい 空間 くうかん 上 じょう の微分 びぶん 可能 かのう な関数 かんすう でなければならない。い換 いか えると、チャートの定義 ていぎ 域 いき が重 かさ なっているところでは、各 かく チャートによって定義 ていぎ された座標 ざひょう はアトラスのすべてのチャートによって定義 ていぎ された座標 ざひょう に関 かん して微分 びぶん 可能 かのう であることが要求 ようきゅう される。様々 さまざま なチャートによって定義 ていぎ された座標 ざひょう を互 たが いに結 むす びつける写像 しゃぞう を変換 へんかん 関数 かんすう (transition map/遷移 せんい 写像 しゃぞう /座標 ざひょう 変換 へんかん ) と呼 よ ぶ。
微分 びぶん 可能 かのう 性 せい は文脈 ぶんみゃく によって連続 れんぞく 微分 びぶん 可能 かのう 、k 回 かい 微分 びぶん 可能 かのう 、滑 なめ らか 、正則 せいそく といった異 こと なる意味 いみ を持 も つ。さらに、抽象 ちゅうしょう 的 てき な空間 くうかん にそのような可 か 微分 びぶん 構造 こうぞう を誘導 ゆうどう できることによって微分 びぶん 可能 かのう 性 せい の定義 ていぎ を大域 たいいき 的 てき な座標 ざひょう 系 けい なしの空間 くうかん に拡張 かくちょう することができる。微分 びぶん 構造 こうぞう によって大域 たいいき 的 てき に微分 びぶん 可能 かのう な接 せっ 空間 くうかん 、微分 びぶん 可能 かのう な関数 かんすう 、微分 びぶん 可能 かのう なテンソル場 じょう やベクトル場 じょう を定義 ていぎ することができる。可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい は物理 ぶつり においても非常 ひじょう に重要 じゅうよう である。特別 とくべつ な種類 しゅるい の可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい は古典 こてん 力学 りきがく 、一般 いっぱん 相対 そうたい 論 ろん 、ヤン・ミルズ理論 りろん といった物理 ぶつり 理論 りろん の基礎 きそ をなす。可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい に対 たい して微積分 びせきぶん を展開 てんかい することが可能 かのう である。これによってexterior calculus (外 そと 微分 びぶん 法 ほう /外 そと 微分 びぶん 学 がく )のような数学 すうがく 的 てき 機構 きこう が導 みちび かれる。可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい 上 じょう の微積分 びせきぶん の研究 けんきゅう は微分 びぶん 幾何 きか 学 がく と呼 よ ばれる。
はっきりした分野 ぶんや としての微分 びぶん 幾何 きか 学 がく の出現 しゅつげん は一般 いっぱん にカール・フリードリヒ・ガウス とベルンハルト・リーマン によるものとされている。リーマンはゲッティンゲン大学 だいがく の有名 ゆうめい な教授 きょうじゅ 就任 しゅうにん 講演 こうえん [ 1] で初 はじ めて多様 たよう 体 たい を記述 きじゅつ した。彼 かれ は多様 たよう 体 たい のアイデアを与 あた えられた対象 たいしょう を新 あたら しい方向 ほうこう に変 か える直観 ちょっかん 的 てき な過程 かてい によって動機付 どうきず け、続 つづ くフォーマルな発展 はってん において座標 ざひょう 系 けい とチャートの役割 やくわり を先見 せんけん の明 あかり を持 も って記述 きじゅつ した:
Having constructed the notion of a manifoldness of n dimensions, and found that its true character consists in the property that the determination of position in it may be reduced to n determinations of magnitude, ... – B. Riemann
ジェームズ・クラーク・マクスウェル [ 2] のような物理 ぶつり 学者 がくしゃ と数学 すうがく 者 しゃ グレゴリオ・リッチ=クルバストロ (Gregorio Ricci-Curbastro) とトゥーリオ・レヴィ=チヴィタ (Tullio Levi-Civita)[ 3] の仕事 しごと はテンソル解析 かいせき の発展 はってん と内在 ないざい 的 てき な幾何 きか 学 がく 的 てき 性質 せいしつ を座標 ざひょう 変換 へんかん で不変 ふへん な性質 せいしつ と同一 どういつ 視 し する共 きょう 変性 へんせい (en:general covariance )の概念 がいねん に導 みちび いた。これらのアイデアはアインシュタイン の一般 いっぱん 相対性理論 そうたいせいりろん とその根本 こんぽん にある等価 とうか 原理 げんり に重要 じゅうよう な応用 おうよう を見 み つけた。2次元 じげん 多様 たよう 体 たい の現代 げんだい 的 てき な定義 ていぎ はヘルマン・ワイル (Hermann Weyl) によってリーマン面 めん に関 かん する 1913 年 ねん の本 ほん において与 あた えられた[ 4] 。アトラス のことばによる多様 たよう 体 たい の広 ひろ く受 う け入 い れられている一般 いっぱん 的 てき な定義 ていぎ はハスラー・ホイットニー による[ 5] 。
位相 いそう 多様 たよう 体 たい とは、チャート と呼 よ ばれる同相 どうしょう 写像 しゃぞう の集 あつ まりアトラス によって線型 せんけい 空間 くうかん に局所 きょくしょ 的 てき に同相 どうしょう な第 だい 二 に 可算 かさん ハウスドルフ 空間 くうかん である。1 つのチャートの、別 べつ のチャートの逆 ぎゃく 写像 しゃぞう との合成 ごうせい は、変換 へんかん 関数 かんすう と呼 よ ばれる関数 かんすう であり、線型 せんけい 空間 くうかん の開 ひらき 部分 ぶぶん 集合 しゅうごう から線型 せんけい 空間 くうかん の別 べつ の開 ひらき 部分 ぶぶん 集合 しゅうごう の上 うえ への同相 どうしょう 写像 しゃぞう を定義 ていぎ する。これによって「空間 くうかん の断片 だんぺん を貼 は り合 あ わせて多様 たよう 体 たい を作 つく る」という概念 がいねん が定義 ていぎ される――作 つく られた多様 たよう 体 たい はまたどのように貼 は り合 あ わせられたかのデータも持 も っている。しかしながら、異 こと なるアトラス(貼 は り合 あ わせ)から「同 おな じ」多様 たよう 体 たい が作 つく られるかもしれない。多様 たよう 体 たい は好 この みのアトラスで来 こ ない。そして、したがって、位相 いそう 多様 たよう 体 たい はアトラスの同値 どうち 類 るい とともに上 うえ のような空間 くうかん と定義 ていぎ される。アトラスの同値 どうち 性 せい は以下 いか で定義 ていぎ する。
変換 へんかん 関数 かんすう にどれだけの微分 びぶん 可能 かのう 性 せい を要求 ようきゅう するかに従 したが って可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい の異 こと なるタイプがある。以下 いか はいくつかの一般 いっぱん 的 てき な例 れい である。
可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい (differentiable manifold) とは、変換 へんかん 関数 かんすう がすべて微分 びぶん 可能 かのう なアトラスの同値 どうち 類 るい を伴 ともな った位相 いそう 多様 たよう 体 たい である。より広 ひろ いことばでは、C k 級 きゅう 多様 たよう 体 たい (C k -manifold) は変換 へんかん 関数 かんすう がすべて k 回 かい 連続 れんぞく 微分 びぶん 可能 かのう なアトラスを持 も つ位相 いそう 多様 たよう 体 たい である。
滑 なめ らかな多様 たよう 体 たい (smooth manifold) あるいは C ∞ 級 きゅう 多様 たよう 体 たい (C ∞ -manifold) とは、すべての変換 へんかん 関数 かんすう が滑 なめ らかな可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい である。つまり、すべての階数 かいすう の微分 びぶん が存在 そんざい する。なので滑 なめ らかな多様 たよう 体 たい はすべての k に対 たい して Ck 級 きゅう 多様 たよう 体 たい である。そのようなアトラスの同値 どうち 類 るい は滑 なめ らかな構造 こうぞう (英語 えいご 版 ばん ) と呼 よ ばれる。
解析 かいせき 的 てき 多様 たよう 体 たい (analytic manifold) あるいは C ω おめが 級 きゅう 多様 たよう 体 たい (C ω おめが -manifold) とは、各 かく 変換 へんかん 関数 かんすう が解析 かいせき 的 てき という追加 ついか の条件 じょうけん を持 も った滑 なめ らかな多様 たよう 体 たい である。つまり、各 かく 変換 へんかん 関数 かんすう のテイラー展開 てんかい がある開 ひらき 球 だま 上 じょう 絶対 ぜったい 収束 しゅうそく しその関数 かんすう に等 ひと しい。
複素 ふくそ 多様 たよう 体 たい (complex manifold) は複素数 ふくそすう 体 たい 上 うえ のユークリッド空間 くうかん をモデルにしすべての変換 へんかん 関数 かんすう が正則 せいそく な位相 いそう 空間 くうかん である。
Ck アトラス の有意義 ゆういぎ な概念 がいねん はあるが、C 0 (連続 れんぞく 写像 しゃぞう : 位相 いそう 多様 たよう 体 たい )と C ∞ (滑 なめ らかな写像 しゃぞう : 滑 なめ らかな多様 たよう 体 たい )より他 た に Ck 多様 たよう 体 たい の異 こと なる概念 がいねん は存在 そんざい しない、なぜならば k > 0 のすべての Ck 構造 こうぞう に対 たい して、Ck 同値 どうち な C ∞ 構造 こうぞう が一意的 いちいてき に存在 そんざい する(すべての Ck 構造 こうぞう は C ∞ 構造 こうぞう に一意的 いちいてき に滑 なめ らかにできる )からである。これはホイットニー (Whitney) の結果 けっか である[ 5] 。実 じつ は、すべての Ck 構造 こうぞう は C ω おめが 構造 こうぞう に一意的 いちいてき に滑 なめ らか化 か できる。さらに、1つの C ∞ アトラスに同値 どうち な 2 つの Ck アトラスは Ck アトラスとして同値 どうち なので、2 つの相 そう 異 こと なる Ck アトラスは衝突 しょうとつ しない。詳細 しょうさい は Differential structure: Existence and uniqueness theorems を参照 さんしょう 。したがって「可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい 」と「滑 なめ らかな多様 たよう 体 たい 」という用語 ようご を入 い れ替 か え可能 かのう な同義語 どうぎご として使 つか う。これは異 こと なる k に対 たい して意味 いみ のある違 ちが いのある Ck 写像 しゃぞう とは非常 ひじょう に対照 たいしょう 的 てき である。例 たと えば、ナッシュの埋 う め込 こ み定理 ていり は任意 にんい の多様 たよう 体 たい はユークリッド空間 くうかん R N に等 とう 長 ちょう 埋 う め込 こ みできると述 の べている。ここで N は、任意 にんい の 1 ≤ k ≤ ∞ に対 たい して十分 じゅうぶん 大 おお きい N が存在 そんざい するのであるが、N は k に依存 いぞん する。
一方 いっぽう 、複素 ふくそ 多様 たよう 体 たい は著 いちじる しい制限 せいげん を受 う けている。例 れい として、周 しゅう の定理 ていり は任意 にんい の射影 しゃえい 複素 ふくそ 多様 たよう 体 たい は実 じつ は射影 しゃえい 代数 だいすう 多様 たよう 体 たい であると述 の べている。代数 だいすう 的 てき な構造 こうぞう を持 も っているのである。
X
{\displaystyle X}
U
α あるふぁ
{\displaystyle U_{\alpha }}
U
β べーた
{\displaystyle U_{\beta }}
φ ふぁい
α あるふぁ
{\displaystyle \varphi _{\alpha }}
φ ふぁい
β べーた
{\displaystyle \varphi _{\beta }}
φ ふぁい
α あるふぁ
β べーた
{\displaystyle \varphi _{\alpha \beta }}
φ ふぁい
β べーた
α あるふぁ
{\displaystyle \varphi _{\beta \alpha }}
R
n
{\displaystyle \mathbf {R} ^{n}}
R
n
{\displaystyle \mathbf {R} ^{n}}
位相 いそう 空間 くうかん X 上 うえ のアトラス はチャート と呼 よ ばれる対 たい の集 あつ まり {(U α あるふぁ ,φ ふぁい α あるふぁ )} である、ここで U α あるふぁ は X を覆 おお う開 ひらけ 集合 しゅうごう であり、各 かく 添 そ え字 じ α あるふぁ に対 たい して
φ ふぁい
α あるふぁ
:
U
α あるふぁ
→
R
n
{\displaystyle \varphi _{\alpha }\colon U_{\alpha }\to {\mathbf {R} }^{n}}
は U α あるふぁ から n 次元 じげん 実 じつ 空間 くうかん の開 ひらき 部分 ぶぶん 集合 しゅうごう への同相 どうしょう 写像 しゃぞう である。アトラスの変換 へんかん 関数 かんすう (transition map) は関数 かんすう
φ ふぁい
α あるふぁ
β べーた
=
φ ふぁい
β べーた
∘
φ ふぁい
α あるふぁ
−
1
|
φ ふぁい
α あるふぁ
(
U
α あるふぁ
∩
U
β べーた
)
:
φ ふぁい
α あるふぁ
(
U
α あるふぁ
∩
U
β べーた
)
→
φ ふぁい
β べーた
(
U
α あるふぁ
∩
U
β べーた
)
{\displaystyle \varphi _{\alpha \beta }=\varphi _{\beta }\circ \varphi _{\alpha }^{-1}|_{\varphi _{\alpha }(U_{\alpha }\cap U_{\beta })}\colon \varphi _{\alpha }(U_{\alpha }\cap U_{\beta })\to \varphi _{\beta }(U_{\alpha }\cap U_{\beta })}
である。
すべての位相 いそう 多様 たよう 体 たい はアトラスを持 も つ。Ck アトラスは変換 へんかん 関数 かんすう が Ck 級 きゅう のアトラスである。位相 いそう 多様 たよう 体 たい は C 0 アトラスを持 も ち、一般 いっぱん に Ck 級 きゅう 多様 たよう 体 たい は Ck 級 きゅう アトラスを持 も つ。連続 れんぞく アトラスとは C 0 アトラスであり、滑 なめ らかなアトラスは C ∞ アトラスであり、解析 かいせき 的 てき アトラスは C ω おめが アトラスである。アトラスが少 すく なくとも C 1 であれば、微分 びぶん 構造 こうぞう (differential structure) あるいは可 か 微分 びぶん 構造 こうぞう (differentiable structure) とも呼 よ ばれる。正則 せいそく アトラス (holomorphic atlas) は台 だい となるユークリッド空間 くうかん が複素数 ふくそすう 体 たい 上 じょう 定義 ていぎ されていて変換 へんかん 関数 かんすう が双 そう 正則 せいそく なアトラスである。
異 こと なるアトラスが本質 ほんしつ 的 てき に同 おな じ多様 たよう 体 たい を生 しょう じることがある。円 えん を2つの座標 ざひょう チャートによって写 うつ すことができるが、これらのチャートの定義 ていぎ 域 いき をわずかに変 か えると同 おな じ多様 たよう 体 たい に対 たい する異 こと なるアトラスが得 え られる。これらの異 こと なるアトラスはより大 おお きいアトラスに統合 とうごう することができる。そのような統合 とうごう されたアトラスの変換 へんかん 関数 かんすう が構成 こうせい 成分 せいぶん のアトラスの変換 へんかん 関数 かんすう ほど滑 なめ らかでないということが起 お こり得 え る。Ck アトラスを Ck アトラスを構成 こうせい するために統合 とうごう できれば、両立 りょうりつ できる (compatible) という。アトラスの両立 りょうりつ 可能 かのう 性 せい は同値 どうち 関係 かんけい である。ある同値 どうち 類 るい のすべてのアトラスを統合 とうごう することによって極大 きょくだい アトラス (maximal atlas) を構成 こうせい できる。各 かく Ck アトラスはある一意的 いちいてき な極大 きょくだい Ck アトラスに属 ぞく する。
擬 なずらえ 群 ぐん の概念 がいねん [ 6] は様々 さまざま な異 こと なる構造 こうぞう を統一 とういつ 的 てき な方法 ほうほう で多様 たよう 体 たい に定義 ていぎ できるようにするためにアトラスの柔軟 じゅうなん な一般 いっぱん 化 か を提供 ていきょう する。擬 なずらえ 群 ぐん (pseudogroup) は位相 いそう 空間 くうかん S 集合 しゅうごう Γ がんま からなる。Γ がんま は S の開 ひらき 部分 ぶぶん 集合 しゅうごう から S の他 ほか の開 ひらき 部分 ぶぶん 集合 しゅうごう への同相 どうしょう 写像 しゃぞう で以下 いか を満 み たすものからなる
f ∈ Γ がんま で U が f の定義 ていぎ 域 いき の開 ひらき 部分 ぶぶん 集合 しゅうごう であれば、制限 せいげん f |U も Γ がんま に入 はい る。
f が S の開 ひらき 部分 ぶぶん 集合 しゅうごう の合併 がっぺい
∪
i
U
i
{\displaystyle \cup _{i}\,U_{i}}
から S の開 ひらき 部分 ぶぶん 集合 しゅうごう への同相 どうしょう 写像 しゃぞう であれば、すべての i に対 たい して
f
|
U
i
∈
Γ がんま
{\displaystyle f|_{U_{i}}\in \Gamma }
であれば f ∈ Γ がんま となる。
すべての開 ひらき 集合 しゅうごう U ⊂ S に対 たい して、U の恒等 こうとう 変換 へんかん は Γ がんま に入 はい る。
f ∈ Γ がんま であれば、f −1 ∈ Γ がんま である。
Γ がんま の 2 つの元 もと の合成 ごうせい は Γ がんま の元 もと である。
最後 さいご の3つの条件 じょうけん は群 ぐん の定義 ていぎ と類似 るいじ している。関数 かんすう は S 上 うえ 大域 たいいき 的 てき に定義 ていぎ されていないから Γ がんま が群 ぐん であるとは限 かぎ らないことに注意 ちゅうい しよう。例 たと えば、R n 上 うえ のすべての局所 きょくしょ 的 てき な Ck 級 きゅう 微分 びぶん 同相 どうしょう 写像 しゃぞう からなる集 あつ まりは擬 なずらえ 群 ぐん をなす。C n の開 ひらき 集合 しゅうごう の間 あいだ のすべての双 そう 正則 せいそく 写像 しゃぞう は擬 なずらえ 群 ぐん をなす。さらなる例 れい : R n の向 む きを保 たも つ写像 しゃぞう 、シンプレクティック同相 どうしょう 写像 しゃぞう 、メビウス変換 へんかん 、アフィン変換 へんかん 、など。したがって多種 たしゅ 多様 たよう な関数 かんすう のクラスが擬 なずらえ 群 ぐん をなす。
Ui ⊂ M から位相 いそう 空間 くうかん S の開 ひらき 部分 ぶぶん 集合 しゅうごう への同相 どうしょう 写像 しゃぞう φ ふぁい i のアトラス (Ui , φ ふぁい i ) が擬 なずらえ 群 ぐん Γ がんま と両立 りょうりつ 可能 かのう (compatible) であるとは、変換 へんかん 関数 かんすう φ ふぁい j o φ ふぁい i −1 : φ ふぁい i (Ui ∩ Uj ) → φ ふぁい j (Ui ∩ Uj ) がすべて Γ がんま に入 はい っていることをいう。
すると可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい は R n 上 うえ の C k 級 きゅう 関数 かんすう の擬 なずらえ 群 ぐん と両立 りょうりつ 可能 かのう なアトラスである。複素 ふくそ 多様 たよう 体 たい は C n の開 ひらき 集合 しゅうごう 上 じょう の双 そう 正則 せいそく 写像 しゃぞう と両立 りょうりつ 可能 かのう なアトラスである。などなど。したがって擬 なずらえ 群 ぐん は微分 びぶん 幾何 きか 学 がく や位相 いそう 幾何 きか 学 がく に重要 じゅうよう な多様 たよう 体 たい の多 おお くの構造 こうぞう を記述 きじゅつ する1つだけの枠組 わくぐ みを提供 ていきょう する。
多様 たよう 体 たい に Ck 構造 こうぞう を与 あた える別 べつ のアプローチを使 つか うことが便利 べんり なことがある。ここで k は 1, 2, ..., ∞, あるいは実 じつ 解析 かいせき 的 てき 多様 たよう 体 たい に対 たい して ω おめが , である。座標 ざひょう チャートを考 かんが える代 か わりに、多様 たよう 体 たい 自身 じしん の上 うえ に定義 ていぎ された関数 かんすう から始 はじ めることができる。M の構造 こうぞう 層 そう 、C k と表記 ひょうき する、は、各 かく 開 ひらけ 集合 しゅうごう U ⊂ M に対 たい して連続 れんぞく 関数 かんすう U → R の代数 だいすう C k (U ) を定義 ていぎ する関 せき 手 しゅ の一種 いっしゅ である。構造 こうぞう 層 そう C k が n 次元 じげん C k 級 きゅう 多様 たよう 体 たい の構造 こうぞう を M に与 あた えるとは、任意 にんい の p ∈ M に対 たい して、p の近傍 きんぼう U と n 個 こ の関数 かんすう x 1 , ..., x n ∈ C k (U ) が存在 そんざい して、写像 しゃぞう f = (x 1 , ..., xn ): U → R n が R n の開 ひらき 集合 しゅうごう の上 うえ への同相 どうしょう 写像 しゃぞう で、C k |U が R n 上 うえ の k 回 かい 連続 れんぞく 微分 びぶん 可能 かのう な関数 かんすう の層 そう の引 ひ き戻 もど し(英語 えいご 版 ばん ) となることをいう[ 7] 。
とくに、この後者 こうしゃ の条件 じょうけん が意味 いみ するのは、V に対 たい して任意 にんい の関数 かんすう h ∈ C k (V ) は h (x ) = H (x 1 (x ),...,x n (x )), ただし H は f (V )(R n の開 ひらき 集合 しゅうごう )上 じょう の k 回 かい 微分 びぶん 可能 かのう な関数 かんすう 、と一意的 いちいてき に書 か けるということである。したがって、層 そう 論 ろん 的 てき な視点 してん は、可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい 上 じょう の関数 かんすう は局所 きょくしょ 座標 ざひょう において R n 上 うえ の微分 びぶん 可能 かのう な関数 かんすう として表現 ひょうげん でき、a fortiori にこれは多様 たよう 体 たい 上 じょう の微分 びぶん 構造 こうぞう を特徴 とくちょう づけるのに十分 じゅうぶん であるということである。
可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい を定義 ていぎ する同様 どうよう だがより技術 ぎじゅつ 的 てき なアプローチは環 たまき 付 つ き空間 くうかん の概念 がいねん を用 もち いて定式 ていしき 化 か できる。このアプローチは代数 だいすう 幾何 きか 学 がく のスキーム の理論 りろん に強 つよ く影響 えいきょう を受 う けているが、微分 びぶん 可能 かのう な関数 かんすう の芽 め の局所 きょくしょ 環 たまき を用 もち いる。これは複素 ふくそ 多様 たよう 体 たい の文脈 ぶんみゃく で特 とく にポピュラーである。
R n 上 うえ の基本 きほん 的 てき な構造 こうぞう 層 そう を記述 きじゅつ することから始 はじ める。U が R n の開 ひらき 集合 しゅうごう のとき、
O (U ) = C k (U , R )
を U 上 うえ のすべての実 じつ 数値 すうち k 回 かい 連続 れんぞく 微分 びぶん 可能 かのう な関数 かんすう からなるとしよう。U が変化 へんか すると、これは R n 上 うえ の環 たまき の層 そう を決定 けってい する。p ∈ R n に対 たい する茎 くき O p は p の近 ちか くの関数 かんすう の芽 め からなり、R 上 うえ の代数 だいすう である。とくに、これは一意的 いちいてき な極大 きょくだい イデアル が p で消 き える関数 かんすう からなる局所 きょくしょ 環 たまき である。対 たい (R n , O ) は局所 きょくしょ 環 たまき 付 つ き空間 くうかん の例 れい である:各 かく 茎 くき が局所 きょくしょ 環 たまき である層 そう を伴 ともな った位相 いそう 空間 くうかん である。
(Ck 級 きゅう の)微分 びぶん 可能 かのう 多様 たよう 体 たい は対 たい (M , O M ) からなる。ここで M は第 だい 二 に 可算 かさん ハウスドルフ 空間 くうかん であり、O M は M 上 うえ 定義 ていぎ された局所 きょくしょ R -代数 だいすう の層 そう であって、局所 きょくしょ 環 たまき 付 つ き空間 くうかん (M , O M ) が (R n , O ) に局所 きょくしょ 同型 どうけい なものである。このようにして、可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい は R n をモデルとしたスキームと考 かんが えることができる。これが意味 いみ するのは[ 8] 、各 かく 点 てん p ∈ M に対 たい して、p の近傍 きんぼう U と関数 かんすう の対 たい (f , f # ) で次 つぎ のようなものが存在 そんざい するということである:
f : U → f (U ) ⊂ R n は R n の開 ひらき 集合 しゅうごう の上 うえ への同相 どうしょう
f # : O |f (U ) → f * (O M |U ) は層 そう の同型 どうけい
f # の局所 きょくしょ 化 か は局所 きょくしょ 環 たまき の同型 どうけい
f # f(p) : O f (p ) → O M , p .
この抽象 ちゅうしょう 的 てき な枠組 わくぐ みで可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい を研究 けんきゅう する重要 じゅうよう な動機 どうき 付 づ けがいくつかある。まず、モデル空間 くうかん が R n である必要 ひつよう 性 せい の a priori な理由 りゆう はない。例 たと えば(とくに代数 だいすう 幾何 きか 学 がく において)これを正則 せいそく 関数 かんすう の層 そう (したがって複素 ふくそ 解析 かいせき 幾何 きか の空間 くうかん に辿 たど り着 つ く)あるいは多項式 たこうしき の層 そう (したがって複素 ふくそ 代数 だいすう 幾何 きか において興味 きょうみ の持 も たれる空間 くうかん に到達 とうたつ する)を伴 ともな った複素数 ふくそすう の空間 くうかん C n にとることができる。おおまかには、このコンセプトはスキームの任意 にんい の適切 てきせつ な概念 がいねん に適合 てきごう できる(トポス 論 ろん を参照 さんしょう )。第 だい 二 に に、座標 ざひょう は構成 こうせい にもはや明示 めいじ 的 てき に必要 ひつよう でない。座標 ざひょう 系 けい の類似 るいじ 物 ぶつ は対 たい (f , f # ) であるが、これらは(チャートやアトラスのように)議論 ぎろん の中心 ちゅうしん にあるのではなく単 たん に局所 きょくしょ 同型 どうけい のアイデアを定 さだ めているだけである。第 だい 三 さん に、層 そう O M は明 あき らかに関数 かんすう の層 そう では全 まった くない。むしろ、(局所 きょくしょ 環 たまき の極大 きょくだい イデアルによる商 しょう による)構成 こうせい の結果 けっか として関数 かんすう の層 そう としてそれが出現 しゅつげん する。したがってそれは構造 こうぞう のより原始 げんし 的 てき な定義 ていぎ である(綜合 そうごう 微分 びぶん 幾何 きか 学 がく (英語 えいご 版 ばん ) の項 こう を参照 さんしょう )。
このアプローチの最後 さいご の利点 りてん は微分 びぶん 幾何 きか と位相 いそう 幾何 きか の研究 けんきゅう の基本 きほん 的 てき な対象 たいしょう の多 おお くの自然 しぜん な直接的 ちょくせつてき 記述 きじゅつ ができることである。
n 次元 じげん 可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい M 上 うえ の実 じつ 数値 すうち 関数 かんすう f が点 てん p ∈ M において微分 びぶん 可能 かのう (differentiable) であるとは、p のまわりで定義 ていぎ された任意 にんい の1つの座標 ざひょう チャートにおいて微分 びぶん 可能 かのう であることをいう。より正確 せいかく に言 い えば、(U , φ ふぁい ) がチャートで U を p を含 ふく む M の 開 ひらき 集合 しゅうごう で φ ふぁい : U → R n をチャートを定義 ていぎ している写像 しゃぞう とすると、f が微分 びぶん 可能 かのう であることと
f
∘
ϕ
−
1
:
ϕ
(
U
)
⊂
R
n
→
R
{\displaystyle f\circ \phi ^{-1}\colon \phi (U)\subset {\mathbf {R} }^{n}\to {\mathbf {R} }}
が φ ふぁい (p ) において微分 びぶん 可能 かのう であることが同値 どうち である。一般 いっぱん に利用 りよう 可能 かのう なチャートはたくさんあるが、微分 びぶん 可能 かのう 性 せい の定義 ていぎ は p でのチャートの取 と り方 かた に依 よ らない。チェーンルール をチャート間 あいだ の変換 へんかん 関数 かんすう に適用 てきよう すると f が p での任意 にんい の特定 とくてい のチャートで微分 びぶん 可能 かのう であれば p でのすべてのチャートで微分 びぶん 可能 かのう であることが従 したが う。類似 るいじ の考察 こうさつ を Ck 級 きゅう 関数 かんすう 、滑 なめ らかな関数 かんすう 、解析 かいせき 的 てき 関数 かんすう 、の定義 ていぎ に使 つか える。
可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい 上 じょう の関数 かんすう の微分 びぶん を定義 ていぎ する様々 さまざま な方法 ほうほう があるが、最 もっと も基本 きほん 的 てき なのは方向 ほうこう 微分 びぶん である。方向 ほうこう 微分 びぶん の定義 ていぎ は多様 たよう 体 たい がベクトル を定義 ていぎ する適切 てきせつ なアフィン 構造 こうぞう を欠 か いているという事実 じじつ によって複雑 ふくざつ である。したがって方向 ほうこう 微分 びぶん はベクトルの代 か わりに多様 たよう 体内 たいない の曲線 きょくせん を見 み る。
m 次元 じげん 可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい M 上 うえ の実 じつ 数値 すうち 関数 かんすう f が与 あた えられると、M の点 てん p における f の方向 ほうこう 微分 びぶん は以下 いか のように定義 ていぎ される。γ がんま (t ) を M 内 うち の曲線 きょくせん で γ がんま (0) = p で、任意 にんい の1つのチャートのとの合成 ごうせい が R m 内 うち の微分 びぶん 可能 かのう な曲線 きょくせん であるという意味 いみ で微分 びぶん 可能 かのう なものとする。すると γ がんま に沿 そ った p での f の方向 ほうこう 微分 びぶん (directional derivative) は
d
d
t
f
(
γ がんま
(
t
)
)
|
t
=
0
{\displaystyle \left.{\frac {d}{dt}}f(\gamma (t))\right|_{t=0}}
である。γ がんま 1 と γ がんま 2 が2つの曲線 きょくせん で γ がんま 1 (0) = γ がんま 2 (0) = p であり任意 にんい の座標 ざひょう チャート φ ふぁい において
d
d
t
ϕ
∘
γ がんま
1
(
t
)
|
t
=
0
=
d
d
t
ϕ
∘
γ がんま
2
(
t
)
|
t
=
0
{\displaystyle \left.{\frac {d}{dt}}\phi \circ \gamma _{1}(t)\right|_{t=0}=\left.{\frac {d}{dt}}\phi \circ \gamma _{2}(t)\right|_{t=0}}
であるとすると、チェーンルールによって、f の p での γ がんま 1 に沿 そ った方向 ほうこう 微分 びぶん と γ がんま 2 に沿 そ った方向 ほうこう 微分 びぶん は同 おな じである。これは方向 ほうこう 微分 びぶん は p での曲線 きょくせん の接 せっ ベクトル のみに依存 いぞん することを意味 いみ する。したがって可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい の場合 ばあい に適合 てきごう した方向 ほうこう 微分 びぶん のより抽象 ちゅうしょう 的 てき な定義 ていぎ はアフィン空間 くうかん における方向 ほうこう 微分 びぶん の直感 ちょっかん 的 てき な性質 せいしつ を究極 きゅうきょく 的 てき に捉 とら えている。
p ∈ M での接 せっ ベクトル は γ がんま (0) = p なる微分 びぶん 可能 かのう 曲線 きょくせん γ がんま を、曲線 きょくせん の間 あいだ に定 さだ まる接 せっ する (一 いち 次 じ の接触 せっしょく を持 も つ)という同値 どうち 関係 かんけい で割 わ った、同値 どうち 類 るい である。したがってすべての座標 ざひょう チャート φ ふぁい において
γ がんま
1
≡
γ がんま
2
⟺
d
d
t
ϕ
∘
γ がんま
1
(
t
)
|
t
=
0
=
d
d
t
ϕ
∘
γ がんま
2
(
t
)
|
t
=
0
{\displaystyle \gamma _{1}\equiv \gamma _{2}\iff \left.{\frac {d}{dt}}\phi \circ \gamma _{1}(t)\right|_{t=0}=\left.{\frac {d}{dt}}\phi \circ \gamma _{2}(t)\right|_{t=0}}
である。したがって同値 どうち 類 るい は p において定 さだ められた速度 そくど ベクトル を持 も つような p を通 とお る曲線 きょくせん たちである。p におけるすべての接 せっ ベクトルの集 あつ まりはベクトル空間 くうかん をなす。これが p における M の接 せっ 空間 くうかん Tp M である。
X が p での接 せっ ベクトルであり、f が p の近 ちか くで定義 ていぎ された微分 びぶん 可能 かのう な関数 かんすう であれば、X を定義 ていぎ する同値 どうち 類 るい の任意 にんい の曲線 きょくせん に沿 そ って f を微分 びぶん することは X に沿 そ った well-defined な方向 ほうこう 微分 びぶん を与 あた える:
X
f
(
p
)
:=
d
d
t
f
(
γ がんま
(
t
)
)
|
t
=
0
.
{\displaystyle Xf(p):=\left.{\frac {d}{dt}}f(\gamma (t))\right|_{t=0}.}
再 ふたた び、チェーンルールによってこれは同値 どうち 類 るい からの γ がんま の選 えら び方 かた に依 よ らないことが示 しめ せる、なぜならば p において互 たが いに一 いち 次 じ の接触 せっしょく を持 も つ任意 にんい の曲線 きょくせん は同 おな じ方向 ほうこう 微分 びぶん を生 う み出 だ すからである。
関数 かんすう f を固定 こてい すると、写像 しゃぞう
X
↦
X
f
(
p
)
{\displaystyle X\mapsto Xf(p)}
は接 せっ 空間 くうかん 上 じょう の線型 せんけい 汎 ひろし 関数 かんすう である。この線型 せんけい 汎 ひろし 関数 かんすう はしばしば df (p ) と表記 ひょうき され、f の p での微分 びぶん (differential) と呼 よ ばれる:
d
f
(
p
)
:
T
p
M
→
R
.
{\displaystyle df(p)\colon T_{p}M\to {\mathbf {R} }.}
可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい 上 じょう の微分 びぶん 可能 かのう な関数 かんすう の層 そう のトポロジカルな特色 とくしょく の1つは1の分割 ぶんかつ を持 も つことである。これは一般 いっぱん には1の分割 ぶんかつ を持 も つことができない(解析 かいせき 的 てき 構造 こうぞう や正則 せいそく 構造 こうぞう のような)より強 つよ い構造 こうぞう から多様 たよう 体 たい 上 じょう の可 か 微分 びぶん 構造 こうぞう を区別 くべつ する。
M を Ck 級 きゅう 多様 たよう 体 たい 、ただし 0 ≤ k ≤ ∞, とする。{U α あるふぁ } を M の開 ひらき 被覆 ひふく とする。このとき被覆 ひふく {U α あるふぁ } に従属 じゅうぞく する1の分割 ぶんかつ (partition of unity) とは以下 いか の条件 じょうけん を満 み たす M 上 うえ の実 じつ 数値 すうち Ck 級 きゅう 関数 かんすう φ ふぁい i の集 あつ まりである:
∑
i
ϕ
i
(
x
)
=
1.
{\displaystyle \sum _{i}\phi _{i}(x)=1.\,}
(φ ふぁい i の台 だい の局所 きょくしょ 有限 ゆうげん 性 せい によってこの最後 さいご の条件 じょうけん は実 じつ は各 かく 点 てん で有限 ゆうげん 和 やわ であることに注意 ちゅうい 。)
Ck 級 きゅう 多様 たよう 体 たい M のすべての開 ひらき 被覆 ひふく は Ck 級 きゅう の 1 の分割 ぶんかつ を持 も つ。これによって R n 上 うえ の Ck 級 きゅう 関数 かんすう のトポロジーからの構成 こうせい を可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい の圏 けん に持 も ち越 こ すことができる。とくに、ある特定 とくてい の座標 ざひょう アトラスに従属 じゅうぞく する 1 の分割 ぶんかつ を選 えら び R n の各 かく チャートでの積分 せきぶん を実行 じっこう することによって積分 せきぶん を議論 ぎろん することが可能 かのう である。したがって 1 の分割 ぶんかつ によって考 かんが えるべき他 ほか の種類 しゅるい の関数 かんすう 空間 くうかん ができる。例 たと えば、Lp 空間 くうかん 、ソボレフ空間 くうかん 、積分 せきぶん を要求 ようきゅう する他 ほか の種類 しゅるい の空間 くうかん 。
多様 たよう 体 たい 間 あいだ の写像 しゃぞう の微分 びぶん 可能 かのう 性 せい [ 編集 へんしゅう ]
M と N を次元 じげん がそれぞれ m と n の可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい とし、f を M から N への写像 しゃぞう とする。可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい は位相 いそう 空間 くうかん であるから f が連続 れんぞく であるとはどういう意味 いみ かを知 し っている。しかし k ≥ 1 に対 たい して「f は Ck (M , N ) である」とはどういう意味 いみ であろうか?f がユークリッド空間 くうかん の間 あいだ の関数 かんすう のときにはそれがどういう意味 いみ か知 し っているので、 f を M のチャートと N のチャートと合成 ごうせい してユークリッド空間 くうかん から M へ行 い き N へ行 い きユークリッド空間 くうかん へ行 い く写像 しゃぞう を得 え ると、その写像 しゃぞう が Ck (R m , R n ) であるということの意味 いみ を知 し っている。「f は Ck (M , N ) である」ということを f のチャートとのすべてのそのような合成 ごうせい が Ck (R m , R n ) であるいうことだと定義 ていぎ する。再 ふたた びチェーンルールにより微分 びぶん 可能 かのう 性 せい のアイデアが M と N のアトラスのどのチャートが選 えら ばれたかに依 よ らないことが保証 ほしょう される。しかしながら、微分 びぶん そのものの定義 ていぎ はより微妙 びみょう である。M あるいは N がそれ自身 じしん 既 すで にユークリッド空間 くうかん であれば、それをユークリッド空間 くうかん に写 うつ すチャートは必要 ひつよう ない。
Ck 級 きゅう 多様 たよう 体 たい M に対 たい し、多様 たよう 体 たい 上 じょう の実 じつ 数値 すうち Ck 級 きゅう 関数 かんすう 全体 ぜんたい の集合 しゅうごう は点 てん ごとの和 わ と積 せき によって多元 たげん 環 たまき をなし、スカラー場代 ばだい 数 すう (algebra of scalar fields ) あるいは単 たん に the algebra of scalars と呼 よ ばれる。この多元 たげん 環 たまき は乗法 じょうほう 単位 たんい 元 もと として定数 ていすう 関数 かんすう 1 を持 も ち、代数 だいすう 幾何 きか 学 がく における正則 せいそく 関数 かんすう の環 たまき の微分 びぶん 可能 かのう な類似 るいじ 物 ぶつ である。
多様 たよう 体 たい をその algebra of scalars から再 さい 構成 こうせい することができる。まずは集合 しゅうごう として、しかし位相 いそう 空間 くうかん としても。これはバナッハ・ストーンの定理 ていり (英語 えいご 版 ばん ) の応用 おうよう であり、よりフォーマルにはC* -環 たまき のスペクトル (英語 えいご 版 ばん ) として知 し られている。まず、M の点 てん と多元 たげん 環 たまき 準 じゅん 同型 どうけい φ ふぁい : Ck (M ) → R の間 あいだ には1対 たい 1の対応 たいおう がある。準 じゅん 同型 どうけい φ ふぁい は Ck (M ) の余 よ 次元 じげん 1 のイデアル(すなわち φ ふぁい の核 かく )と対応 たいおう する。これは極大 きょくだい イデアルでなければならない。逆 ぎゃく に、この多元 たげん 環 たまき のすべての極大 きょくだい イデアルはある1点 てん で消 き える関数 かんすう のイデアルであり、これは Ck (M ) の MSpec が M を点 てん 集合 しゅうごう として修復 しゅうふく すること、実 じつ は M を位相 いそう 空間 くうかん として修復 しゅうふく するのであるが、を証明 しょうめい している。
様々 さまざま な幾何 きか 学 がく 的 てき 構造 こうぞう を algebra of scalars のことばで代数 だいすう 的 てき に定義 ていぎ することができ、これらの定義 ていぎ はしばしば代数 だいすう 幾何 きか 学 がく (環 たまき を幾何 きか 学 がく 的 てき に解釈 かいしゃく して)や作用素 さようそ 論 ろん (バナッハ空間 くうかん を幾何 きか 学 がく 的 てき に解釈 かいしゃく して)に一般 いっぱん 化 か する。例 たと えば、M の接 せっ 束 たば は M 上 うえ の滑 なめ らかな関数 かんすう の多元 たげん 環 たまき の微分 びぶん として定義 ていぎ できる。
多様 たよう 体 たい のこの「代数 だいすう 化 か 」(algebraization) (幾何 きか 学 がく 的 てき な対象 たいしょう を多元 たげん 環 たまき に置 お き換 か えること)はC* -環 たまき の概念 がいねん を導 みちび き――可 か 換 かわ C* -環 たまき はバナッハ・ストーンによってちょうど多様 たよう 体 たい の ring of scalars であり――非 ひ 可 か 換 かわ C* -環 たまき を多様 たよう 体 たい の非 ひ 可 か 換 かわ の一般 いっぱん 化 か と考 かんが えることができる。これは非 ひ 可 か 換 かわ 幾何 きか 学 がく の分野 ぶんや の基礎 きそ である。
この
節 ふし の
加筆 かひつ が
望 のぞ まれています。
(2008年 ねん 6月 がつ )
ある点 てん の接 せっ 空間 くうかん はその点 てん におけるあらゆる方向 ほうこう 微分 びぶん からなり、多様 たよう 体 たい と同 おな じ次元 じげん n を持 も つ。その点 てん に局所 きょくしょ 的 てき な(非特異 ひとくい )座標 ざひょう xk の集合 しゅうごう に対 たい して、座標 ざひょう 微分 びぶん
∂
k
=
∂
∂
x
k
{\displaystyle \partial _{k}={\frac {\partial }{\partial x_{k}}}}
は一般 いっぱん にその接 せっ 空間 くうかん の基底 きてい を定義 ていぎ する。すべての点 てん における接 せっ 空間 くうかん の集 あつ まりに多様 たよう 体 たい の構造 こうぞう を入 い れることができ、接 せっ 束 たば (tangent bundle) と呼 よ ばれ、次元 じげん は 2n である。接 せっ 束 たば は接 せっ ベクトル が住 す んでいるところで、それ自身 じしん 可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい である。ラグランジアン は接 せっ 束 たば 上 じょう の関数 かんすう である。接 せっ 束 たば を R (実数 じっすう 直線 ちょくせん )から M への 1-jet (英語 えいご 版 ばん ) の束 たば として定義 ていぎ することもできる。
U α あるふぁ × R n , ただし U α あるふぁ は M のアトラスのチャートの1つを表 あらわ す、に基 もと づいたチャートからなる接 せっ 束 たば のアトラスを構成 こうせい できる。これらの新 あたら しいチャートの各々 おのおの はチャート U α あるふぁ の接 せっ 束 たば である。このアトラスの変換 へんかん 関数 かんすう はもとの多様 たよう 体 たい 上 じょう の変換 へんかん 関数 かんすう から定義 ていぎ され、もとの微分 びぶん 可能 かのう 性 せい のクラスを保 たも つ。
ベクトル空間 くうかん の双対 そうつい 空間 くうかん はベクトル空間 くうかん 上 じょう の実 じつ 数値 すうち 線型 せんけい 写像 しゃぞう の集合 しゅうごう である。ある点 てん での余 よ 接 せっ 空間 くうかん はその点 てん での接 せっ 空間 くうかん の双対 そうつい であり、余 よ 接 せっ 束 たば はすべての余 よ 接 せっ 空間 くうかん の集 あつ まりである。
接 せっ 束 たば と同様 どうよう 余 あまり 接 せっ 束 たば は再 ふたた び可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい である。ハミルトニアン は余 よ 接 せっ 束 たば 上 じょう のスカラーである。余 よ 接 せっ 束 たば の全 ぜん 空間 くうかん はシンプレクティック多様 たよう 体 たい の構造 こうぞう を持 も つ。余 よ 接 せっ ベクトルを「余 よ ベクトル 」(covector) と呼 よ ぶことがある。余 よ 接 せっ 束 たば を M から R への関数 かんすう の 1-jet の束 たば として定義 ていぎ することもできる。
余 よ 接 せっ 空間 くうかん の元 もと を無限 むげん 小 しょう の変位 へんい と考 かんが えることができる。f が微分 びぶん 可能 かのう な関数 かんすう であれば、各 かく 点 てん p において余 よ 接 せっ ベクトル dfp を定義 ていぎ することができる。これは接 せっ ベクトル Xp を Xp に伴 ともな う f の微分 びぶん に送 おく る。しかしながら、すべての余 よ ベクトル場 じょう がこのように表現 ひょうげん できるわけではない。そのようにできるものを完全 かんぜん 微分 びぶん 形 がた と呼 よ ぶ。与 あた えられた局所 きょくしょ 座標 ざひょう xk の集合 しゅうごう に対 たい し、微分 びぶん dx k p は p における余 よ 接 せっ 空間 くうかん の基底 きてい を成 な す。
テンソル束 たば は接 せっ 束 たば と余 よ 接 せっ 束 たば のすべてのテンソル積 せき の直和 なおかず (英語 えいご 版 ばん ) である。テンソル束 たば の各 かく 元 もと はテンソル場 じょう であり、ベクトル場 じょう 上 じょう 、あるいは他 た のテンソル場 じょう 上 じょう 、多重 たじゅう 線型 せんけい 作用素 さようそ として作用 さよう することができる。
テンソル束 たば は可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい にはなれない、なぜならば無限 むげん 次元 じげん だからである。しかしながらスカラー関数 かんすう の環 たまき 上 じょう の多元 たげん 環 たまき ではある。各 かく テンソルはどれだけの接 せっ 因子 いんし と余 よ 接 せっ 因子 いんし をそれが持 も っているかを示 しめ すその階数 かいすう によって特徴 とくちょう づけられる。ときどきこれらの階数 かいすう は共 きょう 変 へん および反 はん 変 へん 階数 かいすう 、それぞれ接 せっ 階数 かいすう と余 よ 接 せっ 階数 かいすう を表 あらわ す、と呼 よ ばれることがある。
枠 わく (あるいはより正確 せいかく には接 せっ 枠 わく (tangent frame/接 せっ 標 しるべ 構))は特定 とくてい の接 せっ 空間 くうかん の順序 じゅんじょ 付 つ き基底 きてい である。同様 どうよう に、接 せっ 枠 わく は R n からこの接 せっ 空間 くうかん への線型 せんけい 同型 どうけい 写像 しゃぞう である。動 うご く接 せっ 枠 わく は定義 ていぎ 域 いき の各 かく 点 てん での基底 きてい を与 あた えるベクトル場 じょう の順序 じゅんじょ 付 つ きリストである。動 うご く枠 わく を枠 わく 束 たば F(M ) 、M 上 うえ のすべての枠 わく からなる集合 しゅうごう からなる GL(n , R ) 主 しゅ 束 たば 、の断面 だんめん と見 み なすこともできる。M 上 うえ のテンソル場 じょう を F(M ) 上 じょう の同 どう 変 へん (英語 えいご 版 ばん ) ベクトル値 ち 関数 かんすう と見 み なすことができるので、枠 わく 束 たば は有用 ゆうよう である。
十分 じゅうぶん 滑 なめ らかな多様 たよう 体 たい 上 じょう 様々 さまざま な種類 しゅるい のジェット束 たば を考 かんが えることができる。多様 たよう 体 たい の(1階 かい の)接 せっ 束 たば は多様 たよう 体 たい の曲線 きょくせん を一 いち 次 じ の接触 せっしょく なる同値 どうち 関係 かんけい で割 わ った集合 しゅうごう である。類似 るいじ 的 てき に、k -階 かい の接 せっ 束 たば は k -次 つぎ の接触 せっしょく 関係 かんけい で割 わ った曲線 きょくせん の集 あつ まりである。同様 どうよう に、余 よ 接 せっ 束 たば は多様 たよう 体 たい 上 じょう の関数 かんすう の 1-jet の束 たば であり、k -jet 束 たば はそれらの k -jet の束 たば である。ジェット束 たば の一般 いっぱん 的 てき なアイデアのこれらおよび他 た の例 れい は多様 たよう 体 たい 上 じょう の微分 びぶん 作用素 さようそ の研究 けんきゅう において重要 じゅうよう な役割 やくわり を果 は たす。
枠 わく の概念 がいねん も高次 こうじ ジェットの場合 ばあい に一般 いっぱん 化 か する。k 階 かい の枠 わく を R n から M への微分 びぶん 同相 どうしょう 写像 しゃぞう の k -jet と定義 ていぎ する[ 9] 。すべての k 階 かい の枠 わく の集 あつ まり Fk (M ) は M 上 うえ の主 あるじ Gk 束 たば である、ただし Gk はk -jet の群 ぐん (英語 えいご 版 ばん ) である、すなわち原点 げんてん を固定 こてい する R n の微分 びぶん 同相 どうしょう の k -jet からなる群 ぐん である。GL(n , R ) は自然 しぜん に G 1 , およびすべての k ≥ 2 に対 たい する Gk の部分 ぶぶん 群 ぐん に同型 どうけい であることに注意 ちゅうい する。とくに、F 2 (M ) の断面 だんめん は M 上 うえ の接続 せつぞく の枠 わく 成分 せいぶん を与 あた える。したがって、商 しょう 束 たば F 2 (M )/ GL(n , R ) は M 上 うえ の線型 せんけい 接続 せつぞく 全体 ぜんたい からなる束 たば である。
多 た 変数 へんすう の微分 びぶん 積分 せきぶん 学 がく のテクニックの多 おお くもまた、自然 しぜん な修正 しゅうせい を加 くわ えて 、可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい に適用 てきよう する。例 たと えば多様 たよう 体 たい の接 せっ ベクトルに沿 そ った微分 びぶん 可能 かのう 関数 かんすう の方向 ほうこう 微分 びぶん を定義 ていぎ でき、これは関数 かんすう の全 ぜん 微分 びぶん を一般 いっぱん 化 か する手段 しゅだん 、微分 びぶん 、に導 みちび く。微積分 びせきぶん 学 がく の観点 かんてん から、多様 たよう 体 たい 上 じょう の関数 かんすう の微分 びぶん は少 すく なくとも局所 きょくしょ 的 てき (英語 えいご 版 ばん ) にはユークリッド空間 くうかん 上 じょう 定義 ていぎ された関数 かんすう の通常 つうじょう の微分 びぶん と多 おお くは同 おな じように振 ふ る舞 ま う。例 たと えばそのような関数 かんすう に対 たい して陰 かげ 関数 かんすう 定理 ていり や逆 ぎゃく 関数 かんすう 定理 ていり のバージョンが存在 そんざい する。
しかしながら、ベクトル場 じょう (および一般 いっぱん にテンソル場 じょう )の微積分 びせきぶん においては重要 じゅうよう な違 ちが いがある。手短 てみじか に言 い えば、ベクトル場 じょう の方向 ほうこう 微分 びぶん は well-defined でなく、あるいは少 すく なくとも直截 ちょくせつ 的 てき な方法 ほうほう では定義 ていぎ されない。ベクトル場 じょう (やテンソル場 じょう )の微分 びぶん のいくつかの一般 いっぱん 化 か は確 たし かに存在 そんざい し、ユークリッド空間 くうかん での微分 びぶん のいくつかの形式 けいしき 的 てき な性質 せいしつ を捉 とら える。主 おも なものは:
リー微分 びぶん 、これは微分 びぶん 構造 こうぞう によって一意的 いちいてき に定義 ていぎ されるが、方向 ほうこう 微分 びぶん の通常 つうじょう の性質 せいしつ のいくつかは満 み たされない。
アフィン接続 せつぞく 、これは一意的 いちいてき には定義 ていぎ されないが、通常 つうじょう の方向 ほうこう 微分 びぶん の性質 せいしつ をより完全 かんぜん に一般 いっぱん 化 か する。アフィン接続 せつぞく は一意 いちい でないので、それは多様 たよう 体 たい 上 じょう 特定 とくてい されなければならない追加 ついか のデータである。
積分 せきぶん 法 ほう からのアイデアも可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい に持 も ちこされる。これらは外 そと 微分 びぶん 法 ほう と微分 びぶん 形式 けいしき のことばで自然 しぜん に表現 ひょうげん される。多 た 変数 へんすう の積分 せきぶん の基本 きほん 的 てき な定理 ていり — すなわちグリーンの定理 ていり 、発散 はっさん 定理 ていり 、ストークスの定理 ていり — は外 そと 微分 びぶん と部分 ぶぶん 多様 たよう 体 たい 上 うえ の積分 せきぶん を関連付 かんれんづ ける定理 ていり (これもストークスの定理 ていり と呼 よ ばれる)に一般 いっぱん 化 か する。
2つの多様 たよう 体 たい の間 あいだ の微分 びぶん 可能 かのう な関数 かんすう は部分 ぶぶん 多様 たよう 体 たい の適切 てきせつ な概念 がいねん や他 た の関連 かんれん する概念 がいねん を定式 ていしき 化 か するために必要 ひつよう である。f : M → N が m 次元 じげん の可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい M から n 次元 じげん の可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい N への微分 びぶん 可能 かのう な写像 しゃぞう であれば、f の微分 びぶん は写像 しゃぞう df : TM → TN である。これは Tf とも記 しる され、接写 せっしゃ 像 ぞう (tangent map) と呼 よ ばれる。M の各 かく 点 てん においてこれは一方 いっぽう の接 せっ 空間 くうかん から他方 たほう への線型 せんけい 変換 へんかん である:
d
f
(
p
)
:
T
p
M
→
T
f
(
p
)
N
.
{\displaystyle df(p)\colon T_{p}M\to T_{f(p)}N.}
f の p での階数 かいすう (rank) はこの線型 せんけい 変換 へんかん の階数 かいすう である。
通常 つうじょう 関数 かんすう のランクは点 てん ごとの性質 せいしつ である。しかしながら、関数 かんすう が最大 さいだい のランクを持 も てば、ランクは点 てん の近傍 きんぼう で定数 ていすう のままである。微分 びぶん 可能 かのう な関数 かんすう は"通常 つうじょう "最大 さいだい のランクを持 も つ。その正確 せいかく な意味 いみ はサード (Sard) の定理 ていり によって与 あた えられる。ある点 てん で最大 さいだい ランクの関数 かんすう ははめ込 こ み や沈 しず めこみ と呼 よ ばれる:
m ≤ n で、f : M → N が p ∈ M においてランク m を持 も てば、f は p でのはめ込 こ み (immersion) と呼 よ ばれる。f が M のすべての点 てん ではめ込 こ みであり像 ぞう の上 うえ への同相 どうしょう 写像 しゃぞう であれば、f は埋 う め込 こ み である。埋 う め込 こ みは M が N の部分 ぶぶん 多様 たよう 体 たい であるという概念 がいねん を定式 ていしき 化 か する。一般 いっぱん に、埋 う め込 こ みは自己 じこ 交叉 こうさ や他 た の局所 きょくしょ 的 てき でない位相 いそう 的 てき 特異 とくい 性 せい を持 も たないはめ込 こ みである。
m ≥ n で、f : M → N が p ∈ M でランク n を持 も てば、f は p での沈 しず めこみ (submersion) と呼 よ ばれる。陰 かげ 関数 かんすう の定理 ていり は f が p での沈 しず めこみであれば M は p の近 ちか くで局所 きょくしょ 的 てき に N と R m −n の積 せき であると述 の べている。正式 せいしき に言 い えば、f (p ) ∈ N の近傍 きんぼう における座標 ざひょう (y 1 , ..., yn ) と、p ∈ M の近傍 きんぼう において定義 ていぎ された m −n 個 こ の関数 かんすう x 1 , ..., x m −n であって
(
y
1
∘
f
,
…
,
y
n
∘
f
,
x
1
,
…
,
x
m
−
n
)
{\displaystyle (y_{1}\circ f,\dotsc ,y_{n}\circ f,x_{1},\dotsc ,x_{m-n})}
が p の近傍 きんぼう における M の局所 きょくしょ 座標 ざひょう 系 けい であるようなものが存在 そんざい する。沈 しず めこみはファイブレーション (英語 えいご 版 ばん ) とファイバー束 たば の理論 りろん の基礎 きそ をなす。
ソフス・リー (Sophus Lie) に因 ちな んだリー微分 びぶん は多様 たよう 体 たい M 上 うえ のテンソル場 じょう の多元 たげん 環 たまき 上 うえ の微分 びぶん (英語 えいご 版 ばん ) である。M 上 うえ のすべてのリー微分 びぶん からなるベクトル空間 くうかん は
[
A
,
B
]
:=
L
A
B
=
−
L
B
A
{\displaystyle [A,B]:={\mathcal {L}}_{A}B=-{\mathcal {L}}_{B}A}
で定義 ていぎ されるリーブラケット (英語 えいご 版 ばん ) に関 かん して無限 むげん 次元 じげん リー環 たまき をなす。
リー微分 びぶん は M 上 うえ のフロー(active (英語 えいご 版 ばん ) 微分 びぶん 同相 どうしょう 写像 しゃぞう )の無限 むげん 小 しょう 生成 せいせい 子 こ としてベクトル場 じょう によって表現 ひょうげん される。逆 ぎゃく にみると、M の微分 びぶん 同相 どうしょう の群 ぐん はリー群 ぐん 論 ろん の直接 ちょくせつ の類似 るいじ の方法 ほうほう でリー微分 びぶん の付随 ふずい するリー環 たまき の構造 こうぞう を持 も つ。
外 そと 微分 びぶん 法 ほう によって勾配 こうばい 、発散 はっさん 、回転 かいてん 作用素 さようそ の一般 いっぱん 化 か ができる。
各 かく 点 てん における微分 びぶん 形式 けいしき の束 たば はその点 てん における接 せっ 空間 くうかん 上 じょう のすべての反対称 はんたいしょう 多重 たじゅう 線型 せんけい 写像 しゃぞう からなる。それは自然 しぜん に多様 たよう 体 たい の次元 じげん 以下 いか の各 かく n に対 たい し n 形式 けいしき に分割 ぶんかつ される。n 形式 けいしき は n 変数 へんすう の形式 けいしき で、n 次 つぎ の形式 けいしき とも呼 よ ばれる。1 形式 けいしき は余 よ 接 せっ ベクトルであり、0 形式 けいしき は単 たん にスカラー関数 かんすう である。一般 いっぱん に、n 形式 けいしき は余 よ 接 せっ ランク n で接 せっ ランク 0 のテンソルである。しかしすべてのそのようなテンソルが形式 けいしき であるわけではない。形式 けいしき は反対称 はんたいしょう でなければならないからである。
外 そと 微分 びぶん と呼 よ ばれるスカラーから余 よ ベクトルへの写像 しゃぞう
d
:
C
(
M
)
→
T
∗
(
M
)
:
f
↦
d
f
{\displaystyle \mathrm {d} \colon {\mathcal {C}}(M)\to \mathrm {T} ^{*}(M):f\mapsto \mathrm {d} f}
であって
d
f
:
T
(
M
)
→
C
(
M
)
:
V
↦
V
(
f
)
{\displaystyle \mathrm {d} f\colon \mathrm {T} (M)\to {\mathcal {C}}(M):V\mapsto V(f)}
なるものが存在 そんざい する。
この写像 しゃぞう は上 うえ でのべたように余 よ ベクトルを無限 むげん 小 しょう 変位 へんい に関連 かんれん づける写像 しゃぞう である。いくつかの余 よ ベクトルはスカラー関数 かんすう の外 そと 微分 びぶん である。n 形式 けいしき から (n + 1) 形式 けいしき の上 うえ への写像 しゃぞう に一般 いっぱん 化 か することができる。この微分 びぶん を 2 回 かい 適用 てきよう すると 0 になる。微分 びぶん が 0 の形式 けいしき は閉形式 しき と呼 よ ばれ、それ自身 じしん 外 がい 微分 びぶん であるような形式 けいしき は完全 かんぜん 形式 けいしき と呼 よ ばれる。
ある点 てん での微分 びぶん 形式 けいしき の空間 くうかん は外積 がいせき 代数 だいすう の原型 げんけい 的 てき な例 れい である。したがって k 形式 けいしき と l 形式 けいしき を (k + l ) 形式 けいしき に写 うつ すウェッジ積 せき を持 も つ。外 そと 微分 びぶん はこの代数 だいすう に拡張 かくちょう し、積 せき の法則 ほうそく の1つのバージョンを満 み たす:
d
(
ω おめが
∧
η いーた
)
=
d
ω おめが
∧
η いーた
+
(
−
1
)
d
e
g
ω おめが
(
ω おめが
∧
d
η いーた
)
.
{\displaystyle \mathrm {d} (\omega \wedge \eta )=\mathrm {d} \omega \wedge \eta +(-1)^{{\rm {deg\,}}\omega }(\omega \wedge \mathrm {d} \eta ).}
微分 びぶん 形式 けいしき と外 そと 微分 びぶん から、多様 たよう 体 たい のド・ラームコホモロジー を定義 ていぎ することができる。n 次 じ コホモロジー群 ぐん は閉形式 しき 全体 ぜんたい を完全 かんぜん 形式 けいしき 全体 ぜんたい で割 わ った群 ぐん である。
1, 2, 3次元 じげん のすべての位相 いそう 多様 たよう 体 たい は(微分 びぶん 同相 どうしょう の違 ちが いを除 のぞ いて)一意的 いちいてき な微分 びぶん 構造 こうぞう を持 も つ。したがって位相 いそう 多様 たよう 体 たい と可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい の概念 がいねん は高 こう 次元 じげん でしか区別 くべつ がない。各 かく 高 こう 次元 じげん で滑 なめ らかな構造 こうぞう を持 も たない位相 いそう 多様 たよう 体 たい や複数 ふくすう の微分 びぶん 同相 どうしょう でない構造 こうぞう を持 も つ位相 いそう 多様 たよう 体 たい が存在 そんざい することが知 し られている。
滑 なめ らかにできない多様 たよう 体 たい の存在 そんざい は Kervaire (1960) によって証明 しょうめい され、Kervaire多様 たよう 体 たい (英語 えいご 版 ばん ) 参照 さんしょう 、後 のち にドナルドソンの定理 ていり の文脈 ぶんみゃく で説明 せつめい された(ヒルベルトの第 だい 五 ご 問題 もんだい (英語 えいご 版 ばん ) と比較 ひかく せよ)[ 10] ; 滑 なめ らかにできない多様 たよう 体 たい の良 よ い例 れい は E8 多様 たよう 体 たい (英語 えいご 版 ばん ) である。
複数 ふくすう の両立 りょうりつ 不能 ふのう な構造 こうぞう を持 も つ多様 たよう 体 たい の古典 こてん 的 てき な例 れい はジョン・ミルナー (John Milnor) のエキゾチック 7 次元 じげん 球面 きゅうめん (英語 えいご 版 ばん ) である[ 11] 。
境界 きょうかい を持 も たないすべての第 だい 二 に 可算 かさん 1 次元 じげん 多様 たよう 体 たい は R (実数 じっすう 直線 ちょくせん )と S (円周 えんしゅう )の高 こう 々可算 かさん 個 こ のコピーの非 ひ 交和に同相 どうしょう である。連結 れんけつ なのは R と S だけで、このうち S のみがコンパクトである。高 こう 次元 じげん では、分類 ぶんるい 理論 りろん は通常 つうじょう コンパクト連結 れんけつ 多様 たよう 体 たい のみを考 かんが える。
2次元 じげん 多様 たよう 体 たい の分類 ぶんるい は、曲面 きょくめん (英語 えいご 版 ばん ) を参照 さんしょう :とくにコンパクトで連結 れんけつ な向 む き付 つ けられた2次元 じげん 多様 たよう 体 たい は非負 ひふ 整数 せいすう である種 たね 数 すう によって分類 ぶんるい される。
3次元 じげん 多様 たよう 体 たい (英語 えいご 版 ばん ) の分類 ぶんるい は、原理 げんり 的 てき には 、3次元 じげん 多様 たよう 体 たい の幾何 きか 化 か と、モストウ (Mostow) の剛性 ごうせい 定理 ていり や双 そう 曲 きょく 群 ぐん の同型 どうけい 問題 もんだい に対 たい するセラ (Sela) のアルゴリズム[ 12] のような幾何 きか 化 か 可能 かのう 3 次元 じげん 多様 たよう 体 たい に対 たい する様々 さまざま な認知 にんち されている結果 けっか から従 したが う。
n > 3 に対 たい する n 次元 じげん 多様 たよう 体 たい の分類 ぶんるい はホモトピー同値 どうち の違 ちが いを除 のぞ いてでさえ不可能 ふかのう なことが知 し られている。任意 にんい の有限 ゆうげん 表示 ひょうじ 群 ぐん が与 あた えられると、その群 ぐん を基本 きほん 群 ぐん に持 も つ 4 次元 じげん 閉多様 さま 体 たい を構成 こうせい できる。有限 ゆうげん 表示 ひょうじ 群 ぐん の同型 どうけい 問題 もんだい を決定 けってい する アルゴリズムは存在 そんざい しないから、2つの4次元 じげん 多様 たよう 体 たい が同 おな じ基本 きほん 群 ぐん を持 も つかどうか決定 けってい するアルゴリズムは存在 そんざい しない。前 まえ に書 か かれた構成 こうせい が同相 どうしょう な4次元 じげん 多様 たよう 体 たい のクラスになることとそれらの群 ぐん が同型 どうけい であることは同値 どうち であるから、4次元 じげん 多様 たよう 体 たい の同相 どうしょう 問題 もんだい は決定 けってい 不能 ふのう である。さらに、自明 じめい 群 ぐん を認識 にんしき することさえ決定 けってい 不能 ふのう であるから、多様 たよう 体 たい が自明 じめい な基本 きほん 群 ぐん を持 も つかどうか、すなわち単 たん 連結 れんけつ かどうかを決定 けってい することさえ一般 いっぱん には可能 かのう でない。
単 たん 連結 れんけつ 4次元 じげん 多様 たよう 体 たい は交叉 こうさ 形式 けいしき とカービー・ジーベンマン不 ふ 変量 へんりょう (Kirby–Siebenmann invariant) を用 もち いてフリードマン (Michael Freedman) によって同相 どうしょう の違 ちが いを除 のぞ いて分類 ぶんるい されている。滑 なめ らかな4次元 じげん 多様 たよう 体 たい の理論 りろん は、R 4 上 うえ の異種 いしゅ 微分 びぶん 構造 こうぞう が示 しめ しているように、はるかに複雑 ふくざつ であることが知 し られている。
しかしながら、次元 じげん が 5 以上 いじょう の単 たん 連結 れんけつ な滑 なめ らかな多様 たよう 体 たい に対 たい しては状況 じょうきょう は扱 あつか いやすくなる。このときはh-コボルディズム論 ろん (英語 えいご 版 ばん ) を分類 ぶんるい をホモトピー同値 どうち の違 ちが いを除 のぞ いた分類 ぶんるい に還元 かんげん することに使 つか え、手術 しゅじゅつ 理論 りろん (英語 えいご 版 ばん ) が適用 てきよう できる[ 13] 。これは Dennis Barden によって単 たん 連結 れんけつ 5次元 じげん 多様 たよう 体 たい (英語 えいご 版 ばん ) の明示 めいじ 的 てき な分類 ぶんるい を提供 ていきょう するために実行 じっこう されてきた。
リーマン多様 たよう 体 たい とは接 せっ 空間 くうかん に微分 びぶん 可能 かのう なような内積 ないせき を入 い れた可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい である。内積 ないせき 構造 こうぞう はリーマン計量 けいりょう と呼 よ ばれる対称 たいしょう 2階 かい テンソルの形式 けいしき で与 あた えられる。この計量 けいりょう はベクトルと余 よ ベクトルを相互 そうご 変換 へんかん するために、そして階数 かいすう 4のリーマン曲 きょく 率 りつ テンソル を定義 ていぎ するために、使 つか うことができる。リーマン多様 たよう 体 たい には、長 なが さ、体積 たいせき 、角度 かくど の概念 がいねん がある。任意 にんい の可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい にはリーマン構造 こうぞう を与 あた えることができる。
擬 なずらえ リーマン多様 たよう 体 たい はリーマン多様 たよう 体 たい の変種 へんしゅ で、計量 けいりょう テンソル が(正 せい 定値 ていち とは対照 たいしょう 的 てき に)不 ふ 定値 ていち 符号 ふごう を持 も つことも許 ゆる したものである。符号 ふごう (3, 1) の擬 なずらえ リーマン多様 たよう 体 たい は一般 いっぱん 相対 そうたい 論 ろん において重要 じゅうよう である。すべての可 か 微分 びぶん 多様 たよう 体 たい に擬 なずらえ リーマン構造 こうぞう を与 あた えられるわけではない。位相 いそう 幾何 きか 学 がく 的 てき な制限 せいげん があるのである。
フィンスラー多様 たよう 体 たい はリーマン多様 たよう 体 たい の一般 いっぱん 化 か で、内積 ないせき をベクトルノルム に置 お き換 か えたものである。長 なが さは定義 ていぎ できるが、角度 かくど は定義 ていぎ できない。
シンプレクティック多様 たよう 体 たい とは閉 非 ひ 退化 たいか 2形式 けいしき を伴 ともな った多様 たよう 体 たい である。この条件 じょうけん からシンプレクティック多様 たよう 体 たい の次元 じげん は偶数 ぐうすう でなければならない。ハミルトン力学 りきがく において相 あい 空間 くうかん として生 しょう じる余 よ 接 せっ 束 たば は動機 どうき づけとなる例 れい であるが、多 おお くのコンパクト多様 たよう 体 たい もまたシンプレクティック構造 こうぞう を持 も つ。ユークリッド空間 くうかん に埋 う め込 こ まれた すべての向 む き付 づ け可能 かのう な曲面 きょくめん はシンプレクティック構造 こうぞう 、ユークリッド内積 ないせき に誘導 ゆうどう された各 かく 接 せっ 空間 くうかん 上 うえ の符号 ふごう 付 つ き面積 めんせき 形式 けいしき 、を持 も つ[ note 1] 。すべてのリーマン面 めん はそのような曲面 きょくめん の例 れい であり、したがって、実 じつ 多様 たよう 体 たい と考 かんが えてシンプレクティック多様 たよう 体 たい の例 れい である。
リー群 ぐん は C ∞ 多様 たよう 体 たい であって群 ぐん でもあり積 せき と逆 ぎゃく 元 もと を取 と る演算 えんざん が多様 たよう 体 たい の写像 しゃぞう として滑 なめ らかであるようなものである。これらの対象 たいしょう は対称 たいしょう 性 せい の記述 きじゅつ において自然 しぜん に生 しょう じる。
滑 なめ らかな写像 しゃぞう と滑 なめ らかな多様 たよう 体 たい の圏 けん は望 のぞ まれる性質 せいしつ をいくらか欠 か いており、人々 ひとびと はこれを修正 しゅうせい するために滑 なめ らかな多様 たよう 体 たい を一般 いっぱん 化 か しようとしてきた。微分 びぶん 空間 くうかん (英語 えいご 版 ばん ) は "plot" と呼 よ ばれるチャートの異 こと なる概念 がいねん を用 もち いる。他 た の試 こころ みに Frölicher space (英語 えいご 版 ばん ) や軌道 きどう 体 たい (英語 えいご 版 ばん ) (orbifold) がある。
修正 しゅうせい 可能 かのう 集合 しゅうごう (英語 えいご 版 ばん ) (rectifiable set) は区分 くぶん 的 てき に滑 なめ らかあるいは求 もとめ 長 ちょう 可能 かのう な曲線 きょくせん の概念 がいねん を高 こう 次元 じげん に一般 いっぱん 化 か する。しかしながら、修正 しゅうせい 可能 かのう 集合 しゅうごう は一般 いっぱん の多様 たよう 体 たい にない。
^ この形式 けいしき は明 あき らかに非 ひ 退化 たいか であり、その曲面 きょくめん に関 かん して top-dimensional であるから閉でなければならない。これは(シンプレクティック構造 こうぞう に対応 たいおう する)シンプレクティック群 ぐん と(向 む き付 づ け可能 かのう 構造 こうぞう に対応 たいおう する)特殊 とくしゅ 線型 せんけい 群 ぐん の間 あいだ のリー群 ぐん の例外 れいがい 的 てき な同型 どうけい (英語 えいご 版 ばん )
S
p
(
2
,
R
)
≅
S
L
(
2
,
R
)
{\displaystyle \mathrm {Sp} (2,\mathbb {R} )\cong \mathrm {SL} (2,\mathbb {R} )}
を反映 はんえい している。シンプレクティック構造 こうぞう は群 ぐん のこの同型 どうけい に加 くわ えてさらに可 か 積分 せきぶん 性 せい 条件 じょうけん を要求 ようきゅう することに注意 ちゅうい する。単 たん なるG-構造 こうぞう (英語 えいご 版 ばん ) ではないのである。
^ B. Riemann (1867).
^ マクスウェル自身 じしん はテンソルよりもむしろ四 よん 元 げん 数 すう で研究 けんきゅう したが、電磁気 でんじき 学 がく の彼 かれ の方程式 ほうていしき はテンソルのフォーマリズムの初期 しょき の例 れい として使 つか われた。次 つぎ を参照 さんしょう Dimitrienko, Yuriy I. (2002), Tensor Analysis and Nonlinear Tensor Functions , Springer, p. xi, ISBN 9781402010156 , https://books.google.com/books?id=7UMYToTiYDsC&pg=PR11 .
^ See G. Ricci (1888), G. Ricci and T. Levi-Civita (1901), T. Levi-Civita (1927).
^ See H. Weyl (1955).
^ a b H. Whitney (1936).
^ Kobayashi and Nomizu (1963), Volume 1.
^ この定義 ていぎ は MacLane and Moerdijk (1992) にある。同値 どうち な ad hoc な定義 ていぎ は、Sternberg (1964) Chapter II を参照 さんしょう 。
^ Hartshorne (1997)
^ See S. Kobayashi (1972).
^ S. Donaldson (1983).
^ J. Milnor (1956). これはエキゾチック球面 きゅうめん の最初 さいしょ の例 れい である。
^ Z. Sela (1995). しかしながら、3次元 じげん 多様 たよう 体 たい はすべてのコンパクト 3 次元 じげん 多様 たよう 体 たい の非 ひ 重複 じゅうふく リストを生成 せいせい する(実際 じっさい 的 てき でない)アルゴリズムが存在 そんざい するという意味 いみ で分類 ぶんるい されるだけである。
^ See A. Ranicki (2002).
Donaldson, Simon (1983). “An application of gauge theory to four-dimensional topology”. Journal of Differential Geometry 18 (2): 279–315.
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