畢叔賢けん

畢叔賢（ひつしゅくけん、承うけたまわ安やす5年ねん（1200年ねん）- 憲けん宗むね4年ねん12月27日にち（1255年ねん 2月がつ5日にち））は、金かね朝あさ末期まっきからモンゴル帝国ていこく初期しょきにかけて活躍かつやくした人物じんぶつ。叔賢は字じ。

『元もと史し』には立たて伝つてされていないが『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめいにその事蹟じせきが記しるされ、『新元しんもと史し』には濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめいを元もとにした列伝れつでんが記しるされている。

概要がいよう[編集へんしゅう]

畢叔賢けんは代々だいだい農業のうぎょうを営いとなむ家いえの出だしであったが、モンゴル帝国ていこくの金かね朝あさ侵攻しんこうが始はじまると僅わずか11歳さいにして親戚しんせきに従したがって避難ひなんし、済すみ南みなみの章あきら丘おかに移住いじゅうした。この頃ころ済すみ南みなみ総そう管かんであった成なり江えは移住いじゅうしてきた畢叔賢けんの器量きりょうを見出みいだし、自みずからの養子ようしとした。また成なり江えの上官じょうかんである蕭しょう国こく公おおやけ侯ほう摯にも気きに入いられ、読書どくしょにも親したしむ優秀ゆうしゅうな人物じんぶつに育そだった^[1]。

1218年ねん（戊つちのえ寅とら）、南みなみ宋そう軍ぐんが漣さざなみ水すい方面ほうめんに進出しんしゅつすると畢叔賢けんは成なり江えとともに宣撫せんぶ使しの田た琢みがくと合流ごうりゅうして南みなみ宋そう軍ぐんを撃退げきたいし、この時ときの功績こうせきにより昭信あきのぶ校こう尉じょうとされた。この頃ころ、山東さんとう地方ちほうで自立じりつしていた李り全あきらは南みなみ宋そう軍ぐんの北きた伐きに協力きょうりょくすることで勢力せいりょくを拡大かくだいし、益えき都とを中心ちゅうしんとする山東さんとう地方ちほう一帯いったいを支配しはいした^[2]。畢叔賢けんもまた李り全あきらの支配しはい下かに入はいり、畢叔賢けんは帳とばり前ぜん都と統すべ、後のちに統制とうせいの地位ちいを授さづけられた^[3]。

1226年ねん（丙へい戌いぬ）よりタイスン率ひきいるモンゴル軍ぐんが益えき都との攻囲こういを開始かいしすると、李り全あきらは徹底てってい抗戦こうせんを選えらんだが、1年ねん後ごの1227年ねん（丁ちょう亥い）4月がつには城内じょうないの食糧しょくりょうはほとんど尽つきてしまった^[4]。そこで畢叔賢けんは城しろが陥落かんらくすれば城内きうちは掠奪りゃくだつを受うけるが降伏ごうぶくすれば城しろ民みんの命いのちは救すくわれる、数すう十じゅう万まんの民みんの命いのちを守まもるためにモンゴルに屈くっしましょうと説得せっとくしたことにより、李り全あきらはタイスンの上官じょうかんに当あたる太ふとし師しボオルへの投降とうこうを決意けついしたという。果はたしてボオルは李り全あきらを誅殺ちゅうさつすべしという意見いけんを却下きゃっかして李り全あきらを助命じょめいしたばかりか投降とうこう前まえの勢力せいりょくをほとんどそのまま保証ほしょうし城しろ民みんも殺ころされることがなかったため、畢叔賢けんの進言しんげんした通とおりとなった^[5]。

モンゴルへの投降とうこう後ご、太ふとし師しボオルの命いのちによって畢叔賢けんは成なり江えとともに西方せいほうに移うつって山東さんとう地方ちほう西部せいぶの東平とうへいを拠点きょてんとする厳いむ実みのるに仕つかえるようになった^[6]。妖人の李り仏子ぶっしなる者ものが捕つかまった時とき、厳いむ実みのるはその扇動せんどうを受うけていた者もの達たちも殺ころそうとしたが、畢叔賢けんは説得せっとくしてこれをやめさせた^[7]^[8]。その後ご、鄒平・斉ひとし河かわ両りょう県けんの県令けんれいとされた^[9]。

1233年ねん（癸巳きし）、厳いむ実みのるの命いのちにより畢叔賢けんは姓せいを成なりから畢に戻もどした。この頃ころ、畢叔賢けんの両親りょうしんは既すでに章あきら丘おかで病没びょうぼつしており、これを機きに魯城の東ひがしに新あらたに畢家の墓はかが建たてられた^[10]。1240年ねん（庚かのえ子こ）には臨清県令けんれいとされ、1246年ねん（丙午ひのえうま）には懐ふところ遠大えんだい将軍しょうぐんの官位かんいと濮州刺史ししの職しょくを授さづけられた^[11]。1254年ねん（甲きのえ寅とら）には本ほん路ろ課税かぜい所しょ長官ちょうかんとされたが、同年どうねん12月がつ27日にち（1255年ねん2月がつ5日にち）に自宅じたくにで55歳さいで亡なくなった^[12]。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

^ 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「侯ほう諱いみな某ぼう、叔賢其字也。大父おおぶ・某ぼう父ちち某ぼう皆みな以農為ため業ぎょう。貞祐ていゆう之の乱みだれ、侯ほう年みのる甫はじめ十じゅう一いち、従したがえ其親避兵、至いたり済ずみ南みなみ之の章あきら丘おか、猝為游ゆう騎き所しょ馳はせ、因いん逃難散ち走はし。済すみ南みなみ総そう管かん成なり侯こう江こう得とく侯こう草間くさま、愛あい其風骨こつ不ふ凡、子こ養やしなえ之これ。時とき宰相さいしょう蕭しょう国こく侯こう公おおやけ摯行尚書しょうしょ省しょう事ごと於東おひがし平たいら、成なり侯こう隷焉、侯ほう因いん被ひ蕭しょう公こう指ゆび使し。少しょう長ちょう知とも読書どくしょ、且習於省寺てら衣冠いかん文物ぶんぶつ之の盛もり、故こ能のう自じ樹立じゅりつ如成人じん」
^ 池内いけうち1977,39頁ぺーじ
^ 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「興きょう定てい戊つちのえ寅とら、宋そう軍ぐん出で漣さざなみ水すい、益えき都と宣撫せんぶ使し田た公こう琢みがく会かい兵へい進撃しんげき、侯ほう従したがえ成なり侯こう而東、以功補ほ昭信あきのぶ校こう尉じょう、遥はるか授章じゅしょう丘おか尉じょう。田た公知こうち侯こう姓名せいめい、署しょ軍ぐん中ちゅう都みやこ統みつる。張ちょう林りん反はん、山東さんとう土ど崩くずれ、宋そう保たもつ寧やすし節度せつど李り全あきら入にゅう拠よりどころ益えき都と、用よう為ため帳ちょう前ぜん都みやこ統みつる。換かわ承うけたまわ信郎のぶお、遷統制せい」
^ 池内いけうち1977,41頁ぺーじ
^ 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「丁ちょう亥い、国くに兵へい囲かこえ益えき都と、城中じょうちゅう食尽しょくじん、保ほ寧やすし計けい無む所出しょしゅつ、閉戸将はた自じ経けい。侯ほう排はい戸ど直前ちょくぜん曰『公おおやけ死し城じょう即そく破やぶ、大兵だいひょう一いち縦たて、城中じょうちゅう無む噍類矣。太たい師し日び望もち公こう降くだ、公おおやけ降くだ必不死し、何なに惜屈一身而不為数十万生聚之地乎』。保ほ寧やすし悔悟かいご、随したがえ詣まい軍ぐん前まえ、太ふとし師し受其降、悉以全ぜん境さかい付づけ之の、而不戮一いち人にん、竟如侯こう所しょ料りょう者しゃ」
^ 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「先さき相しょう崇たかし進しん以太師し命いのち召成侯こう、成なり侯こう従したがえ之の而西、自じ是ぜ奉公ほうこう周旋しゅうせん、戮力一いち心しん、不ふ間あいだ夙夜、公おおやけ信しん倚之如家人じん父子ふし、他た部ぶ曲きょく莫能比ひ也。凡略地ち于澶淵ふち、于淮楚すわえ、于徐亳、于帰徳とく、侯ほう無む不在ふざい、亦また皆みな以功遷。先さき相しょう資し剛つよし厳いむ、威い望もち素もと重じゅう、人ひと有ゆう往愬者しゃ、率りつ以不測ふそく為ため憂う。侯ほう曲きょく為ため営護、使つかい得とく自じ安やす。至いたり於決重刑じゅうけい、亦また時とき得え与あずか議ぎ、貰もらい貸かし未ひつじ減げん、前後ぜんご不ふ勝かち数すう。侯ほう不ふ自じ言げん、亦また無能むのう知者ちしゃ」
^ 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「妖人人じん李り仏子ぶっし之の獄ごく、詿誤万まん人にん、已やめ会かい諸しょ鎮兵守もり之の長ちょう清きよし、三日みっか不ふ与あずか食しょく、将はた尽つき誅之矣。侯ほう言げん之の先さき相しょう『愚民ぐみん自じ陥おちい於死、尚なお有可ゆか哀あい、其老幼ろうよう何なん罪ざい？垂死すいし之の命めいじ、恃公如父母ちちはは、一言ひとこと之の重おも、人ひと獲え更生こうせい之の賜たまもの、何なに忍にん坐視ざし而不救すくい乎？』先さき相しょう惻然感動かんどう、為之ためゆき別べつ白しろ故こ誤あやま、剖決生せい殺ころせ、力ちから所しょ不ふ及、且以金きん繒贖之の。故こ被ひ戮者不能ふのう什三さん四よん、侯ほう与あずか有力ゆうりょく焉」
^ 『新元しんもと史し』巻まき137列伝れつでん34畢叔賢けん伝でん,「妖人李り仏子ぶっし之の獄ごく、詿誤万まん人にん、実じつ欲よく尽つき誅之。叔賢諫曰「民みん自じ陥おちい於死已やめ可か哀あい、況きょう其老幼ろうよう。公おおやけ一言いちげん之の重おも、人ひと獲え更生こうせい。何なに忍にん坐視ざし而不救すくい乎？」実じつ惻然感動かんどう、別べつ白しろ詿誤、全ぜん活かつ甚衆、並なみ以金繒贖之の」
^ 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「事こと先さき相しょう首尾しゅび十じゅう五ご年ねん、行くだり台だい得え承うけたまわ制せい封ふう拝はい、自じ行軍こうぐん総領そうりょう、遥はるか授鄒平たいら・斉ひとし河かわ両りょう県令けんれい、裹翼総領そうりょう、提ひさげ領りょう本ほん路ろ僧そう道どう、累るい官かん宣せん武将ぶしょう軍ぐん」
^ 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「癸巳きし、先さき相しょう命いのち侯こう復ふく畢氏之の姓せい。時とき其父及妣王おう氏し乱らん後ご病没びょうぼつ於章丘おか。邑人以侯故こ収おさむ瘞之、至いたり是ぜ始はじめ備展省しょう之の礼れい、立たて新しん塋於魯城之の東原ひがしはら、追贈ついぞう如故事こじ」
^ 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「庚かのえ子こ、嗣相蒞事、以総府ふ都と提つつみ領りょう出で為ため臨清令れい。丙午ひのえうま、復ふく充たかし左ひだり総領そうりょう、遷懐遠大えんだい将軍しょうぐん、遥はるか授濮州しゅう刺史しし。求もとめ解かい軍ぐん職しょく、改あらため営屯都と総領そうりょう以便之の」
^ 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「甲きのえ寅とら、選せん充たかし本ほん路ろ課税かぜい所しょ長官ちょうかん。幹みき局きょく既すんで優ゆう、歴れき練ねり亦また久ひさ、不ふ事こと苛細、而曹務つとむ畢挙、時とき議ぎ称しょう焉。是ぜ歳とし十じゅう二に月がつ之の二に十じゅう七なな日にち不幸ふこう遇ぐう暴疾、卒そつ於崇仁じん坊ぼう之の私わたし第だい、得とく年ねん五ご十じゅう有ゆう五ご」

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

『新元しんもと史し』巻まき137列伝れつでん34畢叔賢けん伝でん
『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい
池内いけうち功いさお「李り全あきら論ろん：南みなみ宋そう・金きむ・モンゴル交戦こうせん期きにおける一いち民衆みんしゅう叛乱はんらん指導しどう者しゃの軌跡きせき」『社会しゃかい文化ぶんか史学しがく』14号ごう、1977年ねん

[1] 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「侯ほう諱いみな某ぼう、叔賢其字也。大父おおぶ・某ぼう父ちち某ぼう皆みな以農為ため業ぎょう。貞祐ていゆう之の乱みだれ、侯ほう年みのる甫はじめ十じゅう一いち、従したがえ其親避兵、至いたり済ずみ南みなみ之の章あきら丘おか、猝為游ゆう騎き所しょ馳はせ、因いん逃難散ち走はし。済すみ南みなみ総そう管かん成なり侯こう江こう得とく侯こう草間くさま、愛あい其風骨こつ不ふ凡、子こ養やしなえ之これ。時とき宰相さいしょう蕭しょう国こく侯こう公おおやけ摯行尚書しょうしょ省しょう事ごと於東おひがし平たいら、成なり侯こう隷焉、侯ほう因いん被ひ蕭しょう公こう指ゆび使し。少しょう長ちょう知とも読書どくしょ、且習於省寺てら衣冠いかん文物ぶんぶつ之の盛もり、故こ能のう自じ樹立じゅりつ如成人じん」

[2] 池内いけうち1977,39頁ぺーじ

[3] 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「興きょう定てい戊つちのえ寅とら、宋そう軍ぐん出で漣さざなみ水すい、益えき都と宣撫せんぶ使し田た公こう琢みがく会かい兵へい進撃しんげき、侯ほう従したがえ成なり侯こう而東、以功補ほ昭信あきのぶ校こう尉じょう、遥はるか授章じゅしょう丘おか尉じょう。田た公知こうち侯こう姓名せいめい、署しょ軍ぐん中ちゅう都みやこ統みつる。張ちょう林りん反はん、山東さんとう土ど崩くずれ、宋そう保たもつ寧やすし節度せつど李り全あきら入にゅう拠よりどころ益えき都と、用よう為ため帳ちょう前ぜん都みやこ統みつる。換かわ承うけたまわ信郎のぶお、遷統制せい」

[4] 池内いけうち1977,41頁ぺーじ

[5] 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「丁ちょう亥い、国くに兵へい囲かこえ益えき都と、城中じょうちゅう食尽しょくじん、保ほ寧やすし計けい無む所出しょしゅつ、閉戸将はた自じ経けい。侯ほう排はい戸ど直前ちょくぜん曰『公おおやけ死し城じょう即そく破やぶ、大兵だいひょう一いち縦たて、城中じょうちゅう無む噍類矣。太たい師し日び望もち公こう降くだ、公おおやけ降くだ必不死し、何なに惜屈一身而不為数十万生聚之地乎』。保ほ寧やすし悔悟かいご、随したがえ詣まい軍ぐん前まえ、太ふとし師し受其降、悉以全ぜん境さかい付づけ之の、而不戮一いち人にん、竟如侯こう所しょ料りょう者しゃ」

[6] 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「先さき相しょう崇たかし進しん以太師し命いのち召成侯こう、成なり侯こう従したがえ之の而西、自じ是ぜ奉公ほうこう周旋しゅうせん、戮力一いち心しん、不ふ間あいだ夙夜、公おおやけ信しん倚之如家人じん父子ふし、他た部ぶ曲きょく莫能比ひ也。凡略地ち于澶淵ふち、于淮楚すわえ、于徐亳、于帰徳とく、侯ほう無む不在ふざい、亦また皆みな以功遷。先さき相しょう資し剛つよし厳いむ、威い望もち素もと重じゅう、人ひと有ゆう往愬者しゃ、率りつ以不測ふそく為ため憂う。侯ほう曲きょく為ため営護、使つかい得とく自じ安やす。至いたり於決重刑じゅうけい、亦また時とき得え与あずか議ぎ、貰もらい貸かし未ひつじ減げん、前後ぜんご不ふ勝かち数すう。侯ほう不ふ自じ言げん、亦また無能むのう知者ちしゃ」

[7] 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「妖人人じん李り仏子ぶっし之の獄ごく、詿誤万まん人にん、已やめ会かい諸しょ鎮兵守もり之の長ちょう清きよし、三日みっか不ふ与あずか食しょく、将はた尽つき誅之矣。侯ほう言げん之の先さき相しょう『愚民ぐみん自じ陥おちい於死、尚なお有可ゆか哀あい、其老幼ろうよう何なん罪ざい？垂死すいし之の命めいじ、恃公如父母ちちはは、一言ひとこと之の重おも、人ひと獲え更生こうせい之の賜たまもの、何なに忍にん坐視ざし而不救すくい乎？』先さき相しょう惻然感動かんどう、為之ためゆき別べつ白しろ故こ誤あやま、剖決生せい殺ころせ、力ちから所しょ不ふ及、且以金きん繒贖之の。故こ被ひ戮者不能ふのう什三さん四よん、侯ほう与あずか有力ゆうりょく焉」

[8] 『新元しんもと史し』巻まき137列伝れつでん34畢叔賢けん伝でん,「妖人李り仏子ぶっし之の獄ごく、詿誤万まん人にん、実じつ欲よく尽つき誅之。叔賢諫曰「民みん自じ陥おちい於死已やめ可か哀あい、況きょう其老幼ろうよう。公おおやけ一言いちげん之の重おも、人ひと獲え更生こうせい。何なに忍にん坐視ざし而不救すくい乎？」実じつ惻然感動かんどう、別べつ白しろ詿誤、全ぜん活かつ甚衆、並なみ以金繒贖之の」

[9] 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「事こと先さき相しょう首尾しゅび十じゅう五ご年ねん、行くだり台だい得え承うけたまわ制せい封ふう拝はい、自じ行軍こうぐん総領そうりょう、遥はるか授鄒平たいら・斉ひとし河かわ両りょう県令けんれい、裹翼総領そうりょう、提ひさげ領りょう本ほん路ろ僧そう道どう、累るい官かん宣せん武将ぶしょう軍ぐん」

[10] 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「癸巳きし、先さき相しょう命いのち侯こう復ふく畢氏之の姓せい。時とき其父及妣王おう氏し乱らん後ご病没びょうぼつ於章丘おか。邑人以侯故こ収おさむ瘞之、至いたり是ぜ始はじめ備展省しょう之の礼れい、立たて新しん塋於魯城之の東原ひがしはら、追贈ついぞう如故事こじ」

[11] 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「庚かのえ子こ、嗣相蒞事、以総府ふ都と提つつみ領りょう出で為ため臨清令れい。丙午ひのえうま、復ふく充たかし左ひだり総領そうりょう、遷懐遠大えんだい将軍しょうぐん、遥はるか授濮州しゅう刺史しし。求もとめ解かい軍ぐん職しょく、改あらため営屯都と総領そうりょう以便之の」

[12] 『遺のこ山やま先生せんせい文集ぶんしゅう』巻まき30濮州刺史しし畢侯神道しんとう碑銘ひめい,「甲きのえ寅とら、選せん充たかし本ほん路ろ課税かぜい所しょ長官ちょうかん。幹みき局きょく既すんで優ゆう、歴れき練ねり亦また久ひさ、不ふ事こと苛細、而曹務つとむ畢挙、時とき議ぎ称しょう焉。是ぜ歳とし十じゅう二に月がつ之の二に十じゅう七なな日にち不幸ふこう遇ぐう暴疾、卒そつ於崇仁じん坊ぼう之の私わたし第だい、得とく年ねん五ご十じゅう有ゆう五ご」

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