史ふみ天てん安やす

史ふみ天てん安やす（してんあん、承うけたまわ安やす4年ねん（1199年ねん）- 憲けん宗むね5年ねん5月5日にち（1255年ねん 6月がつ10日とおか））は、モンゴル帝国ていこくに仕つかえた漢人かんど軍閥ぐんばつの一人ひとりである。字じは全ちょん甫はじめ。析津府ふ永えい清きよし県けんの出身しゅっしん。曾祖父そうそふは史ふみ倫りん。祖父そふは史ふみ成なり珪。父ちちは史ふみ秉直。兄あにに史ふみ天てん倪、弟おとうとに史ふみ天てん沢さわがいる。子こは史ふみ枢くるるら。

概要がいよう[編集へんしゅう]

史ふみ天てん安やすの祖先そせんはかつて唐から朝あさに仕つかえ大官たいかんを輩出はいしゅつしていたが、唐とうの滅亡めつぼう後ご衰退すいたいして中央ちゅうおう政界せいかいから離はなれ、農村のうそんの名家めいかとなった家系かけいであった。金きむ末すえ、モンゴル軍ぐんの侵攻しんこうを受うけて華北かほくが混乱こんらんすると、史家しかの当主とうしゅたる史し秉直は一族いちぞくのみならず里さと中ちゅうの住民じゅうみん数すう千せん人にんを率ひきいて興隆こうりゅう里さとを出立しゅったつし、陥落かんらくしたばかりの涿州に駐屯ちゅうとんするムカリに投降とうこうを申もうし出でた。ムカリは史家しかの投降とうこうを歓迎かんげいし史し秉直を配下はいかの軍団ぐんだんに加くわえようとしたが、史ふみ秉直は老母ろうぼの世話せわを見みなければならないことを理由りゆうにこれを辞退じたいし、代かわりに史ふみ天てん倪・史し天てん安やす・史し天てん沢さわら自みずからの息子むすこたちを推薦すいせんした。ムカリは史ふみ秉直の申もうし出でを受うけ入いれ、史ふみ天てん安やすはトルカク（質しつ子こ）という扱あつかいでムカリの配下はいかウヤルの下したに配属はいぞくされた^[1]^[2]^[3]。

1217年ねん（丁ちょう丑うし）、張ちょう致が義よし州しゅう・錦にしき州しゅうを拠点きょてんにモンゴルに対たいして叛旗はんきを翻ひるがえすと、ムカリはウヤル^[4]を中心ちゅうしんとする史ふみ天てん安やす・史し枢くるる^[5]・史ふみ天てん祥さち^[6]・移うつり剌捏児じ^[7]・王おう珣ら遼りょう西にし地方ちほうの軍団ぐんだんを招集しょうしゅうして進軍しんぐんし張ちょう致を討伐とうばつしたが、諸しょ将しょうの中なかでも最もっとも功こうが多おおかったのが史し天てん安やすであったという^[8]。

1219年ねん（己おのれ卯う）にはムカリに従したがって関せき右みぎ（陝西せんせい地方ちほう）に侵攻しんこうし、鄜州で「鉄てつ槍やり」の称しょうで知しられる張ちょう資し禄ろくを討うち取とったことで史し天てん安やすの威い望もちは鳴なり響ひびいた^[9]。その後ご、一度いちどモンゴルに降おりながら再ふたたび寝返ねがえった武たけ仙せんが史し天てん倪を殺害さつがいすると、史ふみ天てん安やすは史ふみ天てん沢さわらとともにこれを討うって西山にしやまに敗走はいそうさせた^[10]。1229年ねん（己おのれ丑うし）、武たけ仙せんを討うって兄あにの仇かたきを討うった史ふみ天てん安やすは、それまでの功績こうせきにより行くだり北京ぺきん元帥げんすい府ふ事ごととされた^[11]^[12]^[13]^[14]。

1232年ねん（壬みずのえ辰たつ）、群盗ぐんとうを討伐とうばつして尽ことごとくその巣窟そうくつを平定へいていした^[15]。1234年ねん（甲きのえ午うま）に宣せん権けんの職しょくを拝はいし、1246年ねん（丙午ひのえうま）には新帝しんていグユク・カンに入いれ観かんし牝馬ひんば100匹ひき・黄金おうごん50両りょう・白狐びゃっこ裘1を与あたえられた^[16]^[17]。

1254年ねん（甲きのえ寅とら）、病やまいにより史し天てん安やすは先さきに帰還きかんし、1255年ねん（乙おつ卯う）5月がつ5日にちに57歳さいにして亡なくなった^[18]^[19]。史し天てん安やすの墓はかは獲え鹿しか県けんの東ひがし8里さとにある馬うま村むら郷きょうの東ひがしにあり、墓はかに建たてられた神道しんとう碑ひに史ふみ天てん安やすの事蹟じせきを伝つたえている^[20]。

なお、娘むすめ婿むこの崔ちぇ徳いさお彰あきらは大だい寧やすし路ろ富とみ庶県北韓ほっかん里さとの出身しゅっしんで、その父ちちの崔ちぇ祥さちは史ふみ氏し一族いちぞくに仕つかえて管かん軍ぐん千せん戸こになった人物じんぶつであった^[21]。

真ま定じょう史し氏し[編集へんしゅう]

高祖こうそ某ぼう

史ふみ倫りん
（季き）

佚名
（叔）

佚名
（仲なか）

佚名
（伯はく）

史ふみ成なり珪

佚名

史ふみ進しん道どう

史ふみ秉直

史ふみ懐ふところ徳とく

佚名

史ふみ天てん沢さわ

史ふみ天てん安やす

史ふみ天てん倪

史ふみ天てん祥さち

史ふみ天てん瑞みず

史ふみ格かく

史ふみ枢くるる

史ふみ楫かじ

史ふみ権けん

史ふみ燿

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

^ 池内いけうち1980B,50頁ぺーじ
^ 池内いけうち1980A,490頁ぺーじ
^ 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「歳とし癸みずのと酉とり、木き華はな里さと太たい師し擁よう貔虎南下なんか、天地てんち為ため震動しんどう。公おおやけ与あずか昆こん季き合あい謀はかりごと曰、是ぜ不可ふか以人力りょく抗こう、廼拉耄ほけ稚やや詣まい轅ながえ門もん請命。太たい師し亮あきら其衷、留とめ公こう隷北京師けいし烏がらす野の児じ帳ちょう下か、属ぞく藁わら韃列牙きば校こう」
^ 『元もと史し』巻まき120列伝れつでん7吾われ也而伝でん,「十じゅう一いち年ねん、張ちょう致以錦にしき州しゅう叛、又また攻おさむ破やぶ之これ。木き華はな黎はじむ大喜だいぎ、以馬十じゅう匹ひき・甲かぶと五ご事こと賞しょう其功」
^ 『元もと史し』巻まき147列伝れつでん34史し枢くるる伝でん,「枢くるる字じ子こ明あかり。……丁ちょう丑うし、従したがえ討錦州しゅう叛人張ちょう致、平之ひらの」
^ 『元もと史し』巻まき147列伝れつでん34史し天てん祥さち伝でん,「張ちょう致盗拠よりどころ錦にしき州しゅう、従したがえ木き華はな黎はじむ討平之の」
^ 『元もと史し』巻まき149列伝れつでん36移うつり剌捏児じ伝でん,「乙おつ亥い……及錦州しゅう賊ぞく張ちょう致兵勢ぜい方かた熾おき、且盗名号みょうごう、木き華はな黎はじむ命いのち捏こね児じ与あずか大将たいしょう烏がらす也児・雕斡児じ合ごう兵へい討之。致拒戦せん、捏こね児じ出で奇き兵へい掩撃、斬き致。木き華はな黎はじむ第だい功こう以聞、遷龍虎とら衛まもる上じょう将軍しょうぐん・兵馬へいば都と提つつみ控ひかえ元帥げんすい」
^ 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「丁ちょう丑うし、叛人張ちょう智さとし盗ぬすめ拠よりどころ義よし・錦にしき、淫いん名めい慝号、挺てい蕩とろけ遼りょう雪ゆき、太ふとし師し出で甲かぶと撲なぐ討、公おおやけ之の功こう為ため多た」
^ 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「己おのれ卯う、太ふとし師し略りゃく関せき右みぎ、惟おもんみ公有こうゆう不戦ふせん、戦たたかえ無む不ふ捷とし。鄜梟将はた張ちょう資し禄ろく、素もと有ゆう鉄てつ槍やり之の称たたえ、公おおやけ与あずか合ごう関せき生せい獲え之これ。由よし是ぜ、威い望もち赫然、為ため諸しょ軍ぐん冠かんむり」
^ 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「初はつ恒つね山やま公武こうぶ仙せん、為ため金城きんじょう守もり。真ま定てい既すんで内ない附ふ、太ふとし師承ししょう制せい、拜はい公こう兄けい為ため都と帥そち、以鎮之の。仙せん忌き其材武たけ、潜せん包つつみ禍か心こころ、卒そつ為所しどころ叛。已やめ而公聞其季き令れい経略けいりゃく、公おおやけ興きょう師し致討、亦また率りつ衆しゅ赴援、遂とげ復ふく取と正せい定じょう、仙せん奔西山さん」
^ 池内いけうち1980B,52頁ぺーじ
^ 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「己おのれ丑うし、仙せん再さい振ふ、連れん肆抄掠かすめ、公おおやけ糾兵襲撃しゅうげき、破やぶ平之ひらの。録ろく功こう行ゆき北京ぺきん元もと師もろ府ふ事ごと、仍撫治ち正せい定府じょうふ一道いちどう」
^ 『元もと史し』巻まき147列伝れつでん34史し天てん倪伝,「枢くるる字じ子こ明あかり。父ちち天てん安やす、字じ全ちょん甫はじめ、秉直仲子なかご也。歳とし癸みずのと酉とり、従したがえ秉直降くだ。太たい師し木き華はな黎はじむ以其兄けい天てん倪為万まん戸こ、而質天てん安やす軍ぐん中ちゅう。丁ちょう丑うし、従したがえ討錦州しゅう叛人張ちょう致、平之ひらの。己おのれ卯う、従したがえ略りゃく地ち関せき右みぎ、生なま擒とりこ鄜州驍将ぎょうしょう張ちょう資し禄ろく号ごう張ちょう鉄てつ槍やり者しゃ。乙おつ酉とり、武たけ仙せん殺ころせ天てん倪於真ま定じょう、天てん安やす率りつ衆しゅ來会らいかい天てん沢さわ、併力攻おさむ仙せん、敗走はいそう之の。以功授行北京ぺきん元帥げんすい府ふ事ごと、撫なで治ち真ま定じょう」
^ 『元もと史し』巻まき147列伝れつでん34史し天てん倪伝,「枢くるる字じ子こ明あかり。父ちち天てん安やす、字じ全ちょん甫はじめ、秉直仲子なかご也。歳とし癸みずのと酉とり、従したがえ秉直降くだ。太たい師し木き華はな黎はじむ以其兄けい天てん倪為万まん戸こ、而質天てん安やす軍ぐん中ちゅう。丁ちょう丑うし、従したがえ討錦州しゅう叛人張ちょう致、平之ひらの。己おのれ卯う、従したがえ略りゃく地ち関せき右みぎ、生なま擒とりこ鄜州驍将ぎょうしょう張ちょう資し禄ろく号ごう張ちょう鉄てつ槍やり者しゃ。乙おつ酉とり、武たけ仙せん殺ころせ天てん倪於真ま定じょう、天てん安やす率りつ衆しゅ来会らいかい天てん沢さわ、併力攻おさむ仙せん、敗走はいそう之の。以功授行北京ぺきん元帥げんすい府ふ事ごと、撫なで治ち真ま定じょう」
^ 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「壬みずのえ辰たつ、六ろく師し変へん伐き、公おおやけ復ふく以謀勇いさみ従したがえ、及還、群盗ぐんとう盤ばん詰つめ獷驁不服ふふく、公おおやけ審しん形勢けいせい布ぬの方略ほうりゃく以捕、三さん数すう年間ねんかん、尽つき抜其窟くつ穴あな無な遺のこ種たね」
^ 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「甲きのえ午うま、擢拜宣せん権けん之の職しょく、仍錫金きん符ふ。丙午ひのえうま、入にゅう覲眷偶弥涯、以牝馬ば百ひゃく匹ひき・黄金おうごん五ご十じゅう両りょう・白狐びゃっこ裘一、賜たまもの之の」
^ 『元もと史し』巻まき147列伝れつでん34史し天てん倪伝,「庚かのえ寅とら、宋そう聚兵邢之西山にしやま、声こえ言げん為ため仙せん援、遣や其徒趙ちょう和行かずゆき間あいだ城じょう中ちゅう、誣倅副ふく李り甲かぶと・劉りゅう清きよし嘗輸款為内応ないおう、守将しゅしょう械両人じん送おく府ふ、大だい帥そち趣おもむき命いのち戮之、天てん安やす揣知其詐、請自鞫之、果はて得とく其情、遂とげ斬き和わ以徇。壬みずのえ辰たつ、従したがえ伐き金かね。師し還かえ、討劇盜ぬすめ梁りょう満みつる・蘇そ傑すぐる等とう、悉平之の。甲かぶと午うま、宣せん權けん真ま定じょう等とう路ろ万まん戸こ、賜金しきん符ふ。丙午ひのえうま、入にゅう覲、賜たまもの黄金おうごん五ご十じゅう両りょう・白狐びゃっこ裘一・牝馬ひんば百ひゃく。乙おつ卯う卒そつ」
^ 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「甲きのえ寅とら、詔みことのり群ぐん后きさき畢会、公おおやけ祇命北上ほくじょう、行くだり膺晋寵ちょう舒宿疾やまし先せん帰き。越こし明年あきとし、夏なつ五ご月がつ五ご日にち薨於正せい寝ね、春秋しゅんじゅう五ご十じゅう有ゆう七なな」
^ 『元もと史し』巻まき147列伝れつでん34史し天てん倪伝,「庚かのえ寅とら、宋そう聚兵邢之西山にしやま、声こえ言げん為ため仙せん援、遣や其徒趙ちょう和行かずゆき間あいだ城じょう中ちゅう、誣倅副ふく李り甲かぶと・劉りゅう清きよし嘗輸款為内応ないおう、守将しゅしょう械両人じん送おく府ふ、大だい帥そち趣おもむき命いのち戮之、天てん安やす揣知其詐、請自鞫之、果はて得とく其情、遂とげ斬き和わ以徇。壬みずのえ辰たつ、従したがえ伐き金かね。師し還かえ、討劇盗ぬすめ梁りょう満みつる・蘇そ傑すぐる等とう、悉平之の。甲かぶと午うま、宣せん権けん真ま定じょう等とう路ろ万まん戸こ、賜金しきん符ふ。丙午ひのえうま、入にゅう覲、賜たまもの黄金おうごん五ご十じゅう両りょう・白狐びゃっこ裘一・牝馬ひんば百ひゃく。乙おつ卯う卒そつ」
^ 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「元もと史し天てん安やす墓はか、在ざい県けん東ひがし八はち里さと馬うま村むら郷之ごうの東ひがし。府ふ志こころざし、楽らく城じょう李り冶撰、神道しんとう碑ひ記き。公おおやけ諱いみな天てん安やす、字じ全ちょん甫はじめ、燕つばめ之の永えい清人きよひと。天てん委い穎抜好学こうがく通どおり経けい方かた求もとめ售有司し属ぞく口口くちぐち板ばん蕩とろけ弗どる克かつ進すすむ」
^ 池内いけうち1980A,495頁ぺーじ

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

池内いけうち功いさお「史ふみ氏し一族いちぞくとモンゴルの金かね国こく経略けいりゃく」『中嶋なかじま先生せんせい古稀こき記念きねん論集ろんしゅう　上巻じょうかん』汲戸書院しょいん、1980年ねん（池内いけうち1980A）
池内いけうち功いさお「モンゴルの金かね国こく経略けいりゃくと漢かん人世じんせい候こうの成立せいりつ-2-」『四国学院大学しこくがくいんだいがく論集ろんしゅう』46号ごう、1980年ねん（池内いけうち1980B）
『元もと史し』巻まき147列伝れつでん34史し天てん倪伝
『新元しんもと史し』巻まき138列伝れつでん35史し天てん安やす伝でん

[1] 池内いけうち1980B,50頁ぺーじ

[2] 池内いけうち1980A,490頁ぺーじ

[3] 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「歳とし癸みずのと酉とり、木き華はな里さと太たい師し擁よう貔虎南下なんか、天地てんち為ため震動しんどう。公おおやけ与あずか昆こん季き合あい謀はかりごと曰、是ぜ不可ふか以人力りょく抗こう、廼拉耄ほけ稚やや詣まい轅ながえ門もん請命。太たい師し亮あきら其衷、留とめ公こう隷北京師けいし烏がらす野の児じ帳ちょう下か、属ぞく藁わら韃列牙きば校こう」

[4] 『元もと史し』巻まき120列伝れつでん7吾われ也而伝でん,「十じゅう一いち年ねん、張ちょう致以錦にしき州しゅう叛、又また攻おさむ破やぶ之これ。木き華はな黎はじむ大喜だいぎ、以馬十じゅう匹ひき・甲かぶと五ご事こと賞しょう其功」

[5] 『元もと史し』巻まき147列伝れつでん34史し枢くるる伝でん,「枢くるる字じ子こ明あかり。……丁ちょう丑うし、従したがえ討錦州しゅう叛人張ちょう致、平之ひらの」

[6] 『元もと史し』巻まき147列伝れつでん34史し天てん祥さち伝でん,「張ちょう致盗拠よりどころ錦にしき州しゅう、従したがえ木き華はな黎はじむ討平之の」

[7] 『元もと史し』巻まき149列伝れつでん36移うつり剌捏児じ伝でん,「乙おつ亥い……及錦州しゅう賊ぞく張ちょう致兵勢ぜい方かた熾おき、且盗名号みょうごう、木き華はな黎はじむ命いのち捏こね児じ与あずか大将たいしょう烏がらす也児・雕斡児じ合ごう兵へい討之。致拒戦せん、捏こね児じ出で奇き兵へい掩撃、斬き致。木き華はな黎はじむ第だい功こう以聞、遷龍虎とら衛まもる上じょう将軍しょうぐん・兵馬へいば都と提つつみ控ひかえ元帥げんすい」

[8] 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「丁ちょう丑うし、叛人張ちょう智さとし盗ぬすめ拠よりどころ義よし・錦にしき、淫いん名めい慝号、挺てい蕩とろけ遼りょう雪ゆき、太ふとし師し出で甲かぶと撲なぐ討、公おおやけ之の功こう為ため多た」

[9] 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「己おのれ卯う、太ふとし師し略りゃく関せき右みぎ、惟おもんみ公有こうゆう不戦ふせん、戦たたかえ無む不ふ捷とし。鄜梟将はた張ちょう資し禄ろく、素もと有ゆう鉄てつ槍やり之の称たたえ、公おおやけ与あずか合ごう関せき生せい獲え之これ。由よし是ぜ、威い望もち赫然、為ため諸しょ軍ぐん冠かんむり」

[10] 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「初はつ恒つね山やま公武こうぶ仙せん、為ため金城きんじょう守もり。真ま定てい既すんで内ない附ふ、太ふとし師承ししょう制せい、拜はい公こう兄けい為ため都と帥そち、以鎮之の。仙せん忌き其材武たけ、潜せん包つつみ禍か心こころ、卒そつ為所しどころ叛。已やめ而公聞其季き令れい経略けいりゃく、公おおやけ興きょう師し致討、亦また率りつ衆しゅ赴援、遂とげ復ふく取と正せい定じょう、仙せん奔西山さん」

[11] 池内いけうち1980B,52頁ぺーじ

[12] 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「己おのれ丑うし、仙せん再さい振ふ、連れん肆抄掠かすめ、公おおやけ糾兵襲撃しゅうげき、破やぶ平之ひらの。録ろく功こう行ゆき北京ぺきん元もと師もろ府ふ事ごと、仍撫治ち正せい定府じょうふ一道いちどう」

[13] 『元もと史し』巻まき147列伝れつでん34史し天てん倪伝,「枢くるる字じ子こ明あかり。父ちち天てん安やす、字じ全ちょん甫はじめ、秉直仲子なかご也。歳とし癸みずのと酉とり、従したがえ秉直降くだ。太たい師し木き華はな黎はじむ以其兄けい天てん倪為万まん戸こ、而質天てん安やす軍ぐん中ちゅう。丁ちょう丑うし、従したがえ討錦州しゅう叛人張ちょう致、平之ひらの。己おのれ卯う、従したがえ略りゃく地ち関せき右みぎ、生なま擒とりこ鄜州驍将ぎょうしょう張ちょう資し禄ろく号ごう張ちょう鉄てつ槍やり者しゃ。乙おつ酉とり、武たけ仙せん殺ころせ天てん倪於真ま定じょう、天てん安やす率りつ衆しゅ來会らいかい天てん沢さわ、併力攻おさむ仙せん、敗走はいそう之の。以功授行北京ぺきん元帥げんすい府ふ事ごと、撫なで治ち真ま定じょう」

[14] 『元もと史し』巻まき147列伝れつでん34史し天てん倪伝,「枢くるる字じ子こ明あかり。父ちち天てん安やす、字じ全ちょん甫はじめ、秉直仲子なかご也。歳とし癸みずのと酉とり、従したがえ秉直降くだ。太たい師し木き華はな黎はじむ以其兄けい天てん倪為万まん戸こ、而質天てん安やす軍ぐん中ちゅう。丁ちょう丑うし、従したがえ討錦州しゅう叛人張ちょう致、平之ひらの。己おのれ卯う、従したがえ略りゃく地ち関せき右みぎ、生なま擒とりこ鄜州驍将ぎょうしょう張ちょう資し禄ろく号ごう張ちょう鉄てつ槍やり者しゃ。乙おつ酉とり、武たけ仙せん殺ころせ天てん倪於真ま定じょう、天てん安やす率りつ衆しゅ来会らいかい天てん沢さわ、併力攻おさむ仙せん、敗走はいそう之の。以功授行北京ぺきん元帥げんすい府ふ事ごと、撫なで治ち真ま定じょう」

[15] 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「壬みずのえ辰たつ、六ろく師し変へん伐き、公おおやけ復ふく以謀勇いさみ従したがえ、及還、群盗ぐんとう盤ばん詰つめ獷驁不服ふふく、公おおやけ審しん形勢けいせい布ぬの方略ほうりゃく以捕、三さん数すう年間ねんかん、尽つき抜其窟くつ穴あな無な遺のこ種たね」

[16] 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「甲きのえ午うま、擢拜宣せん権けん之の職しょく、仍錫金きん符ふ。丙午ひのえうま、入にゅう覲眷偶弥涯、以牝馬ば百ひゃく匹ひき・黄金おうごん五ご十じゅう両りょう・白狐びゃっこ裘一、賜たまもの之の」

[17] 『元もと史し』巻まき147列伝れつでん34史し天てん倪伝,「庚かのえ寅とら、宋そう聚兵邢之西山にしやま、声こえ言げん為ため仙せん援、遣や其徒趙ちょう和行かずゆき間あいだ城じょう中ちゅう、誣倅副ふく李り甲かぶと・劉りゅう清きよし嘗輸款為内応ないおう、守将しゅしょう械両人じん送おく府ふ、大だい帥そち趣おもむき命いのち戮之、天てん安やす揣知其詐、請自鞫之、果はて得とく其情、遂とげ斬き和わ以徇。壬みずのえ辰たつ、従したがえ伐き金かね。師し還かえ、討劇盜ぬすめ梁りょう満みつる・蘇そ傑すぐる等とう、悉平之の。甲かぶと午うま、宣せん權けん真ま定じょう等とう路ろ万まん戸こ、賜金しきん符ふ。丙午ひのえうま、入にゅう覲、賜たまもの黄金おうごん五ご十じゅう両りょう・白狐びゃっこ裘一・牝馬ひんば百ひゃく。乙おつ卯う卒そつ」

[18] 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「甲きのえ寅とら、詔みことのり群ぐん后きさき畢会、公おおやけ祇命北上ほくじょう、行くだり膺晋寵ちょう舒宿疾やまし先せん帰き。越こし明年あきとし、夏なつ五ご月がつ五ご日にち薨於正せい寝ね、春秋しゅんじゅう五ご十じゅう有ゆう七なな」

[19] 『元もと史し』巻まき147列伝れつでん34史し天てん倪伝,「庚かのえ寅とら、宋そう聚兵邢之西山にしやま、声こえ言げん為ため仙せん援、遣や其徒趙ちょう和行かずゆき間あいだ城じょう中ちゅう、誣倅副ふく李り甲かぶと・劉りゅう清きよし嘗輸款為内応ないおう、守将しゅしょう械両人じん送おく府ふ、大だい帥そち趣おもむき命いのち戮之、天てん安やす揣知其詐、請自鞫之、果はて得とく其情、遂とげ斬き和わ以徇。壬みずのえ辰たつ、従したがえ伐き金かね。師し還かえ、討劇盗ぬすめ梁りょう満みつる・蘇そ傑すぐる等とう、悉平之の。甲かぶと午うま、宣せん権けん真ま定じょう等とう路ろ万まん戸こ、賜金しきん符ふ。丙午ひのえうま、入にゅう覲、賜たまもの黄金おうごん五ご十じゅう両りょう・白狐びゃっこ裘一・牝馬ひんば百ひゃく。乙おつ卯う卒そつ」

[20] 『畿輔通どおり志こころざし』巻まき171古蹟こせき略りゃく陵墓りょうぼ7史し天てん安神あんしん道どう碑ひ,「元もと史し天てん安やす墓はか、在ざい県けん東ひがし八はち里さと馬うま村むら郷之ごうの東ひがし。府ふ志こころざし、楽らく城じょう李り冶撰、神道しんとう碑ひ記き。公おおやけ諱いみな天てん安やす、字じ全ちょん甫はじめ、燕つばめ之の永えい清人きよひと。天てん委い穎抜好学こうがく通どおり経けい方かた求もとめ售有司し属ぞく口口くちぐち板ばん蕩とろけ弗どる克かつ進すすむ」

[21] 池内いけうち1980A,495頁ぺーじ

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