築山殿ちくやまどの

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つきやまどの

築山殿ちくやまどの
生誕せいたん 天文てんもん8年ねん（1539年ねん）から天文てんもん11年ねんにかけて出生しゅっしょうか諸説しょせつあり[1]
死没しぼつ 天正てんしょう7年ねん8月がつ29日にち（1579年ねん9月19日にち）
別名べつめい 築山つきやま御前ごぜん、駿河するが御前ごぜん、瀬名せな姫ひめ
配偶はいぐう者しゃ 徳川とくがわ家康いえやす
子供こども 松平まつだいら信康のぶやす、亀かめ姫ひめ
親おや 父ちち∶関口せきぐち氏し純じゅん[2][3]
母はは∶関口せきぐち夫人ふじん（今川いまがわ義元よしもとの妹いもうと？、または井伊いい直ただし平ひら長女ちょうじょ）
親戚しんせき 兄弟きょうだい∶正せい長ちょう、道みち秀しゅう、
姉妹しまい∶大谷おおや元秀もとひで室しつ、築山殿ちくやまどの、北条ほうじょう氏規うじのり室しつ？
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築山殿ちくやまどの（つきやまどの、天文てんもん11年ねん（1542年ねん）? - 天正てんしょう7年ねん8月がつ29日にち（1579年ねん9月19日にち））は、戦国せんごく時代じだいから安土あづち桃山ももやま時代じだいにかけての女性じょせい。

概要がいよう[編集へんしゅう]

徳川とくがわ家康いえやすの正室せいしつ。築山殿ちくやまどのの実名じつめいは不明ふめいである[4]。テレビドラマや小説しょうせつなど現代げんだいの創作そうさくでは瀬名せなの名ながあてられるが、当時とうじの史料しりょうはもちろん、江戸えど時代じだい前期ぜんきに成立せいりつした史料しりょうにも瀬名せなの名なはみられない[5]。江戸えど時代じだい中期ちゅうきの元もと文ぶん5年ねん（1740年ねん）成立せいりつの『武徳ぶとく編へん年ねん集成しゅうせい』巻まき三さんに、「関口せきぐち或あるいは瀬名せなとも称しょうす」と記載きさいされている[5]。(父親ちちおやの関口せきぐち親ちかし永ひさしは今川いまがわ一門いちもんの瀬名せな氏しの出身しゅっしん。) 一般いっぱん的てきには築山殿ちくやまどの、築山つきやま御前ごぜん（つきやまごぜん）、または駿河するが御前ごぜん（するがごぜん）ともいわれる[6]。「築山つきやま」の由来ゆらいは岡崎おかざき市しの地名ちめいである[7]。具体ぐたい的てきな場所ばしょは『岡崎おかざき東泉ひがしいずみ記き』という史料しりょうに記載きさいされており[8]、岡崎おかざき城じょうの北東ほくとう約やく1キロほどに位置いちする、岡崎おかざき市し久右衛門きゅうえもん町まちであったとされる。このことから築山殿ちくやまどのは同地どうちに独立どくりつした屋敷やしきを構かまえ、居住きょじゅうしたとみることができる[9]。

父ちちは関口せきぐち親ちかし永ひさし[4]（氏し純じゅんとも[2][3]）。母ははは今川いまがわ義元よしもとの伯母おばとも妹いもうとともいわれているが、近年きんねんは井伊いい直ただし平たいらの娘むすめである説せつがある。今川いまがわ義元よしもとの妹いもうとであれば、築山殿ちくやまどのは、義元よしもとの姪めいとなる。[6]。夫おっとの徳川とくがわ家康いえやすよりも2歳さいくらい年上としうえ、低ひくくみても同どう年齢ねんれいくらいと推測すいそくされている[10]。

母ははは『井伊いい年譜ねんぷ』や『系図けいず纂要』『井い家か粗そ覧らん』の系図けいずによると井伊いい直ただし平たいらの娘むすめで、先さきに今川いまがわ義元よしもとの側室そくしつとなり、後のちにその養やしなえ妹いもうととして親おや永ひさしに嫁かしたという[11]。その場合ばあいだと井伊いい直盛なおもりとはいとこ、井伊いい直ただし虎とらは従したがえ姪めいに当あたる。

近年きんねんでは、関口せきぐち親ちかし永ひさしと今川いまがわ氏しとの婚姻こんいん関係かんけいそのものの存在そんざいを否定ひていする説せつ（親おや永ながの実兄じっけいである瀬名せな氏し俊しゅんが義元よしもとの姉あねを妻つまにしたのを誤認ごにんしたとする[12]）もあるが、そもそも関口せきぐち氏し自体じたいが御ご一家いっか衆しゅと呼よばれる今川いまがわ氏し一門いちもんと位置いちづけられる家柄いえがらであった。家康いえやす（当時とうじは松平まつだいら元信もとのぶ・その後ご松平まつだいら元康もとやすに改名かいめい）が今川いまがわ氏し一門いちもんである関口せきぐち氏しの娘むすめ婿むこになるということは、今川いまがわ氏し一門いちもんに准じゅんじる地位ちいが与あたえられたことを意味いみしていた[13]。

生涯しょうがい[編集へんしゅう]

結婚けっこん・出産しゅっさん[編集へんしゅう]

天文てんもん8年ねんから天文てんもん11年ねんかけて出生しゅっしょうした可能かのう性せいが高たかいとされる[1]。 弘治こうじ3年ねん（1557年ねん）正月しょうがつ15日にち、今川いまがわ家かの人質ひとじちとして駿府すんぷにいた松平まつだいら元信もとのぶ（後ごの徳川とくがわ家康いえやす）と16歳さいの時とき、結婚けっこんする[4]。永えい禄ろく2年ねん（1559年ねん）に松平まつだいら信康のぶやすを、同どう3年ねん（1560年ねん）に亀かめ姫ひめを産うむ。

転機てんき[編集へんしゅう]

永えい禄ろく3年ねん（1560年ねん）5月19日にちの桶おけ狭間はざまの戦たたかいにて、伯父おじの今川いまがわ義元よしもとが討うたれ、元康もとやす（元信もとのぶから改名かいめい。のちの家康いえやす）は岡崎おかざきに帰還きかんすることとなった。永えい禄ろく5年ねん（1562年ねん）3月がつ、父ちちの親おや永ひさしは娘むすめ婿むこである家康いえやす（元康もとやすから改名かいめい）が織田おだ信長のぶながと同盟どうめいを結むすんだ事ことで今川いまがわ氏真うじざねの怒いかりを買かい、正室せいしつと共ともに自害じがいした。築山殿ちくやまどのは、石川いしかわ数すう正ただしが駿河するがに来きて今川いまがわ氏真うじざねを説得せっとくし､鵜殿うどの氏し長ちょう・鵜殿うどの氏し次じと築山殿ちくやまどの母子ぼしとの人質ひとじち交換こうかんをすることで、駿府すんぷの今川いまがわ館かんから子供こどもたちと共ともに家康いえやすの根拠地こんきょちである岡崎おかざきに移うつった[14]。しかし、岡崎おかざき城内きうちではなく城しろ外がいの現在げんざいの西岸せいがん寺てら辺あたりにあった寺院じいんに居住きょじゅうしたことや、『家いえ忠ちゅう日記にっき』における築山殿ちくやまどのを示しめす敬称けいしょうが正室せいしつを表あらわす「御前ごぜんさま」ではなく、「信康のぶやす御ご母ははさま」であることなどから、今川いまがわとの手切てぎれにあたって離縁りえんされたとも見みられている[15]。

永えい禄ろく10年ねん（1567年ねん）、息子むすこの信康のぶやすと織田おだ信長のぶながの長女ちょうじょ・徳とく姫ひめ（五徳ごとく）が9歳さい同士どうしで結婚けっこんする[16]。元もと亀かめ元年がんねん（1570年ねん）に信康のぶやすが嫡子ちゃくしとして岡崎おかざき城じょうに移うつされた際さいに、嫡子ちゃくし生母せいぼとして岡崎おかざき城じょうに入はいることとなる[15]。

対立たいりつ・最期さいご[編集へんしゅう]

家康いえやすは遠江とおとうみ浜松はままつに移うつったが、築山殿ちくやまどのは後継あとつぎの信康のぶやすとともに岡崎おかざきにとどまった。

天正てんしょう2年ねん（1574年ねん）家康いえやすの側室そくしつ長ちょう勝かち院いんが次男じなん結城ゆうき秀康ひでやすを出産しゅっさんするが、築山殿ちくやまどのは家康いえやすの子供こどもを妊娠にんしんすることを認みとめていないため長ちょう勝かち院いんを城内じょうないから退去たいきょさせている。正妻せいさいは、別べつ妻つまや妾わらわとして承知しょうちするかの権限けんげんを持もっていた[17]。別べつ妻つま・妾わらわの存在そんざいとその子供こどもの出産しゅっさんが、正妻せいさいの管理かんり下かに置おかれていたこと、そこにおける正妻せいさいの絶対ぜったい的てきな権限けんげんの存在そんざいを認識にんしきすることができる[18]。

天正てんしょう3年ねん（1575年ねん）、信康のぶやすの家臣かしん大岡おおおか弥四郎やしろうらが武田たけだ勝頼かつよりに内通ないつうして謀反むほんを企たくらんだことが発覚はっかくし処刑しょけいされる事件じけんが起おきたが、『岡崎おかざき東泉ひがしいずみ記き』『石川いしかわ正ただし西にし聞見集しゅう』によれば築山殿ちくやまどのもこの謀反むほん計画けいかくに加担かたんしていたという。当時とうじ、甲斐かい国こくの口寄くちよせ巫女ふじょが岡崎おかざき領りょうに大勢おおぜい来きており、それにつけ込こんで勝頼かつせが巫女ふじょを懐柔かいじゅうして築山殿ちくやまどのに取とり入いらせ、徳とく姫ひめを勝頼かつせの味方みかたにすれば築山殿ちくやまどのを勝頼かつせの妻つまとし信康のぶやすを勝頼かつせの嫡男ちゃくなんにして天下てんかを譲ゆずり受うけるという託宣たくせんを巫女ふじょに述のべさせた。さらに築山殿ちくやまどのの屋敷やしきに出入でいりしていた西にし慶けいという唐人とうじん医いをこの談合だんごうに巻まき込こみ、弥四郎やしろうらを大将たいしょう分ぶんとして勝頼かつせから所領しょりょうを与あたえる判はん物ぶつが出だされたとしている。

徳とく姫ひめは天正てんしょう4年ねん（1576年ねん）には登久とく姫ひめを、天正てんしょう5年ねん（1577年ねん）には熊くま姫ひめを産うんだ。しかし、いつまでたっても息子むすこを産うまないため、心配しんぱいした築山殿ちくやまどのは、元もと武田たけだ家かの家臣かしんで後のちに徳川とくがわ家かの家臣かしんとなっていた浅原あさはら昌あきら時ときの娘むすめおよび日向ひなた時じ昌あきらの娘むすめなど部屋へや子こをしていた女性じょせいを、信康のぶやすの側室そくしつに迎むかえさせた（『系図けいず纂要』）。

天正てんしょう7年ねん（1579年ねん）、徳とく姫ひめは、築山殿ちくやまどのが徳とく姫ひめに関かんする讒言ざんげんを信康のぶやすにしたこと、築山殿ちくやまどのと唐人とうじん医師いし・減げん敬けいとの密通みっつうがあったこと、武田たけだ家かとの内通ないつうがあったことなど、12か条じょうからなる訴状そじょうを信長のぶながに送おくり、これにより信長のぶながが家康いえやすに信康のぶやすの処刑しょけいを命めいじたとされる。家康いえやすの上意じょういにより妻つまの処分しょぶんが伝つたえられ、築山殿ちくやまどのは8月がつ29日にちに岡崎おかざきから二俣ふたまた城しろへ護送ごそう中ちゅう、遠江とおとうみ国こく敷じき知ち郡ぐんの佐鳴湖さなるこに近ちかい小藪こやぶ村むら（浜松はままつ市し中央ちゅうおう区く富塚とみつか）で徳川とくがわ家かの将来しょうらいを危惧きぐした岡本おかもと時じ仲なかと野中のなか重政しげまさによって自害じがいをせまられ、自害じがいを拒こばんだ事ことから独断どくだんによって首くびを刎ね殺害さつがいされた。検使けんし役やくは石川いしかわ義よし房ぼうが務つとめて首くびは安土あづち城じょうの信長のぶながの元もとに届とどけられた[19]。信康のぶやすは9月15日にちに二俣ふたまた城しろで自害じがいした（『三河みかわ物語ものがたり』）。

遺体いたいは浜松はままつ市し中央ちゅうおう区く広沢ひろさわの高松たかまつ山さん西にし来らい禅ぜん院いんに葬ほうむられた[19]。首くび塚づかが岡崎おかざき市しの祐ゆう傳でん寺てら、後のちに天保てんぽう年間ねんかんの頃ころ八はち柱はしら神社じんじゃに移うつされた。法名ほうみょうは西にし来院らいいん殿でん政せい岩がん秀しゅう貞さだ大姉だいし[19]。

築山殿ちくやまどの殺害さつがいの謎なぞ[編集へんしゅう]

「松平まつだいら信康のぶやす#信康のぶやす自刃じじん事件じけんについて」も参照さんしょう

だが、この通説つうせつには疑問ぎもん点てんも多おおく、桑田くわた忠ただし親おやは「確たしかな文献ぶんけんには、築山殿ちくやまどのが武田たけだと内通ないつうしたとか、唐人とうじんの減げん敬けいと密通みっつうしたとか、信康のぶやすを共犯きょうはんにしたとかいうような記事きじは全まったく見みあたらない。これは彼女かのじょが冤罪えんざいであった証拠しょうこと考かんがえられる。」としたうえで、処刑しょけいに際さいして正当せいとうな理由りゆうが見みつからなかったから、作つくりあげられた理由りゆうとし、家康いえやすが築山殿ちくやまどのを暗殺あんさつしたのは、「信康のぶやすの死しを知しった彼女かのじょが狂乱きょうらんして事ことを起おこすのを未然みぜんに防ふせぐためだった」とする[19]。また「母子ぼしがそろって嫁よめであり妻つまである徳とく姫ひめと起おこした諍いさかいそのものを家康いえやすが問題もんだい視しした。ぬきさしならないところまで発展はってんさせてしまったことに対たいする責任せきにんを、明確めいかくにさせたかった。」とする指摘してきもある[20]。

近年きんねんでは築山殿ちくやまどのの殺害さつがいと信康のぶやすの切腹せっぷくは、家康いえやす・信康のぶやす父子ふしの対立たいりつが原因げんいんとする説せつも出だされている[21][22][23]。結婚けっこん当初とうしょ良好りょうこうであった信康のぶやす夫婦ふうふの仲なかは、2人ふたりの姫ひめをもうけた後のちに不和ふわとなっていたとみられ、当時とうじの書状しょじょうや日記にっきからみる日程にっていや行動こうどうから、家康いえやすが2人ふたりの仲なかの修復しゅうふくを試こころみたとの推測すいそくや、この頃ころ、鷹狩たかがりとして岡崎おかざきまできていた信長のぶながも、娘むすめ夫婦ふうふの不和ふわに対たいし働はたらきかけがあったとの考察こうさつもあり[15]、信康のぶやすの家臣かしん団だんが、信康のぶやすをかつぎ家康いえやすに叛意はんいを抱いだくもの・信康のぶやすに添そっているが家康いえやすに対たいしても忠実ちゅうじつであるもの・器量きりょうを危あやぶみ信康のぶやすに反感はんかんを抱いだくものなどに割われていたことが混乱こんらんと粛清しゅくせいに向むかったとする説せつもある[15]。また『安土あづち日記にっき』（『信長のぶなが公こう記き』諸しょ本ほんの中なかで最もっとも古こ態たいをとどめ信憑しんぴょう性せいも高たかいもの）や『当代とうだい記き』では信康のぶやす処断しょだんの理由りゆうは「逆心ぎゃくしん（＝謀反むほん）」であり、信長のぶながは「信康のぶやすを殺ころせ」とは言いわず徳川とくがわ家かの内情ないじょうを酌くんで「家康いえやすの思おもい通どおりにせよ」と答こたえているため、家康いえやすと信康のぶやすの間あいだに問題もんだいが起おこり家康いえやすの方ほうから酒井さかい忠次ただつぐを遣つかわし嫁よめの父ちちである信長のぶながに相談そうだんしたと読よみ取とれる[23]。一いち次じ史料しりょうである天正てんしょう7年ねん（1579年ねん）8月がつ8日にち堀ほり秀政ひでまさ宛あて書状しょじょうにおいても、家康いえやすは「今度こんど左衛門尉さえもんのじょう（忠次ただつぐ）をもって申もうし上あげ候こう処しょ、種々しゅじゅ御ご懇ねんごろ之の儀ぎ、其その段だんお取とりなし故ゆえに候こう。忝かたじけなき意い存そんに候こう。よって三郎さぶろう（信康のぶやす）不ふ覚悟かくごに付ついて、去さる四よん日にち岡崎おかざきを追おい出だし申もうし候こう。猶なお其その趣おもむき小栗ささぐり大六だいろく・成瀬なるせ藤ふじ八はち（国次くにつぐ）申もうし入はいるべきに候こう。恐々きょうきょう謹言きんげん」としている[24]。

さらに信康のぶやすの非道ひどうな行おこないや徳とく姫ひめとの不仲ふなか、築山殿ちくやまどのと家康いえやすの不和ふわを事実じじつと見みたうえで、大岡おおおか弥四郎やしろう事件じけんとの関連かんれんで起おこった事件じけんだとする説せつも出だされている。大岡おおおか弥四郎やしろう事件じけんの頃ころは武田たけだ氏しが徳川とくがわ氏しに対たいして軍事ぐんじ的てきに優勢ゆうせいであり、『岡崎おかざき東泉ひがしいずみ記き』『石川いしかわ正ただし西にし聞見記き』にあるように武田たけだ氏しとの和睦わぼくを主張しゅちょうする岡崎おかざき家臣かしん団だんが信康のぶやすを擁ようして武田たけだ氏しに寝返ねがえろうとし、築山殿ちくやまどのも中心ちゅうしん人物じんぶつとしてそれに深ふかく関係かんけいしていた。大岡おおおか弥四郎やしろう事件じけんは徳川とくがわ家中かちゅうの動揺どうようを抑おさえるために最小限さいしょうげんの処分しょぶんで終おわったため、その後ごも築山殿ちくやまどの・信康のぶやすや岡崎おかざき家臣かしん団だんは武田たけだ氏しに通謀つうぼうし続つづけていたとする見解けんかいである[25]。また信康のぶやす事件じけんにおいて処分しょぶんされた岡崎おかざき家臣かしん団だんがいないことから、家康いえやすも大岡おおおか弥四郎やしろう事件じけんの後のちは岡崎おかざき家臣かしん団だんの武田たけだ氏しへの通謀つうぼうを相当そうとうに警戒けいかいして善後ぜんご策さくを講こうじたはずで、その後ごも武田たけだ氏しに通謀つうぼうし続つづけていたのは築山殿ちくやまどのだとする見解けんかい[26]や、大岡おおおか弥四郎やしろう事件じけんは最小限さいしょうげんの処分しょぶんで終おわったが天正てんしょう6年ねん（1578年ねん）正月しょうがつになって徳とく姫ひめによる父ちち信長のぶながへの書状しょじょうで過去かこの築山殿ちくやまどの・信康のぶやすの武田たけだ氏しへの通謀つうぼうが発覚はっかくしたとする見解けんかい[27][28]、また徳とく姫ひめの書状しょじょうで武田たけだ氏しへの通謀つうぼうが発覚はっかくした後のちに築山殿ちくやまどの・信康のぶやすが三河そうご衆しゅへの多数たすう派は工作こうさくを行おこない、武田たけだ氏しに支援しえんを求もとめてクーデターを決行けっこうしようとしていたとする見解けんかい[29]などもある。なお築山殿ちくやまどのの最期さいごについて最もっとも同どう時代じだいに近ちかい『石川いしかわ正ただし西にし聞見記き』では移送いそう中ちゅうに自害じがいとしていることから、家康いえやすは処刑しょけいや自害じがいではなく終生しゅうせい幽閉ゆうへいとする意向いこうだったが築山殿ちくやまどのはそのような恥辱ちじょくに耐たえられず自害じがいしたとする見解けんかいもある[27][28]。

侍女じじょ[編集へんしゅう]

河井かわい某ぼうの娘むすめは野中のなか重政しげまさ、岡本おかもと時じ仲なからとともに浜松はままつ城じょうへ向むかう際さいに同行どうこうし、築山殿ちくやまどの殺害さつがい後ご佐鳴湖さなるこで入水じゅすいし後ごを追おった。また、彼女かのじょは家康いえやすの政治せいじ経済けいざいの上位じょうい幕僚ばくりょう・伊奈いな忠ただし基もとの娘むすめとも伝つたわり、その場合ばあい殉死じゅんしが一家いっかに与あたえる不利ふりを乗のり越こえ築山殿ちくやまどのの殺害さつがいに殉じゅんじたと考かんがえられる[30][31]。

後世こうせい成立せいりつ史料しりょうにおける評価ひょうか[編集へんしゅう]

関連かんれん作品さくひん[編集へんしゅう]

新作しんさく歌舞伎かぶき
小説しょうせつ
映画えいが
テレビドラマ
テレビアニメ
ゲーム

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
  1. ^ a b 黒田くろだ 2022, p. 40.
  2. ^ a b 黒田くろだ 2022, p. 20.
  3. ^ a b 黒田くろだ 2022, p. 30.
  4. ^ a b c 中村なかむら 1965, p. 91.
  5. ^ a b 黒田くろだ 2022, p. 14.
  6. ^ a b 中村なかむら 1965, p. 92.
  7. ^ 『徳川とくがわ家康いえやす』秋田あきた書店しょてん〈桑田くわた忠ただし親しん著作ちょさく集しゅう 第だい六ろく巻かん〉、1979年ねん、44頁ぺーじ。 
  8. ^ 柴しば裕之ひろゆき『徳川とくがわ家康いえやす』平凡社へいぼんしゃ、2017年ねん、228頁ぺーじ。 
  9. ^ 黒田くろだ 2022, p. 18.
  10. ^ 黒田くろだ 2022, p. 42.
  11. ^ 小和田こわだ哲男てつお『井伊いい直ただし虎とら：戦国せんごく井伊いい一族いちぞくと東国とうごく動乱どうらん史し』〈洋よう泉いずみ社しゃ新書しんしょ〉2016年ねん、78-80頁ぺーじ。 
  12. ^ 黒田くろだ基樹もとき『北条ほうじょう氏康うじやすの妻つま 瑞みず渓けい院いん』平凡社へいぼんしゃ〈中世ちゅうせいから近世きんせいへ〉、2017年ねん12月、33-34頁ぺーじ。ISBN 978-4-582-47736-8。 
  13. ^ 柴しば裕之ひろゆき 著ちょ「松平まつだいら元康もとやすとの関係かんけい」、黒田くろだ基樹もとき 編へん『今川いまがわ義元よしもと』戎えびす光ひかり祥さち出版しゅっぱん〈シリーズ・戦国せんごく大名だいみょうの新しん研究けんきゅう 第だい1巻かん〉、2019年ねん6月がつ。ISBN 978-4-86403-322-0。 
  14. ^ 中村なかむら 1965, p. 108.
  15. ^ a b c d 平野ひらの明夫あきお「松平まつだいら信康のぶやすはなぜ殺ころされたのか?」『歴史れきし人じん』第だい72号ごう、KKベストセラーズ、2016年ねん12月、102-107頁ぺーじ。 
  16. ^ 中村なかむら 1965, p. 112.
  17. ^ 黒田くろだ 2022, p. 144.
  18. ^ 黒田くろだ 2022, p. 147.
  19. ^ a b c d 桑田くわた忠ただし親おや「築山つきやま事件じけんの真相しんそう」『歴史れきしと人物じんぶつ』12巻かん13号ごう、1982年ねん。 
  20. ^ 宮本みやもと義己よしみ『徳川とくがわ家康いえやすの秘密ひみつ』KKベストセラーズ、1992年ねん、99-100頁ぺーじ。 
  21. ^ 典てん厩うまや五ご郎ろう『家康いえやす、封印ふういんされた過去かこ』PHP研究所けんきゅうじょ、1998年ねん。 
  22. ^ 盛本もりもと昌広まさひろ『松まつ平家ひらか忠ただし日記にっき』〈角川かどかわ選書せんしょ〉1999年ねん。 
  23. ^ a b 谷口たにぐち克広かつひろ『信長のぶながと消きえた家臣かしんたち』〈中公新書ちゅうこうしんしょ〉2007年ねん。 
  24. ^ 谷口たにぐち克広かつひろ『信長のぶながと家康いえやす』〈学研がっけん新書しんしょ〉、2012年ねん。
  25. ^ 柴しば裕之ひろゆき『徳川とくがわ家康いえやす』平凡社へいぼんしゃ、2017年ねん。
  26. ^ 本多ほんだ隆成たかなり『徳川とくがわ家康いえやすと武田たけだ氏し』吉川弘文館よしかわこうぶんかん 歴史れきし文化ぶんかライブラリー、2019年ねん。
  27. ^ a b 黒田くろだ 2022.
  28. ^ a b 黒田くろだ基樹もとき『徳川とくがわ家康いえやすの最新さいしん研究けんきゅう』朝日あさひ新書しんしょ、2023年ねん。
  29. ^ 平山ひらやま優ゆう『徳川とくがわ家康いえやすと武田たけだ勝頼かつより』幻冬舎げんとうしゃ新書しんしょ、2023年ねん
  30. ^ “築山殿ちくやまどのの生涯しょうがい”. 2022年ねん12月9日にち閲覧えつらん。
  31. ^ 中村なかむら 1978, p. 33.

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

  • 築山殿ちくやまどの - 刀剣とうけん・日本にっぽん刀がたなの専門せんもんサイト 刀剣とうけんワールド
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