村落そんらく

ベナンの人里ひとざと離はなれた村むら

村落そんらく（そんらく、英語えいご: village, hamlet）とは、人口じんこうや家屋かおくの密度みつどが小ちいさい集落しゅうらくを指さす学術がくじゅつ用語ようご。一般いっぱん的てきには農村のうそんなどの呼称こしょうが用もちいられることが多おおい。対義語たいぎごは都市とし。

地理ちり学がく的てき概念がいねんである集落しゅうらくに対たいして、村落そんらくは、人間にんげん関係かんけいの社会しゃかい的てき・文化ぶんか的てきな統合とうごう状態じょうたいに基もとづく社会しゃかい学がく的てき概念がいねんである。広義こうぎでは地縁ちえん集団しゅうだんにも含ふくまれるが、村落そんらくは、地縁ちえん集団しゅうだんに比くらべて、人間にんげん関係かんけいの社会しゃかい的てき、文化ぶんか的てきな自律じりつ的てき統合とうごう単位たんいでなければならず、政治せいじ的てきな単位たんいとして形成けいせいされている地域ちいき社会しゃかいの一種いっしゅとして位置いちづけられる。

分類ぶんるい

行政ぎょうせい的てきな区分くぶんと形態けいたい的てきな区分くぶんで、英語えいごまたは文化ぶんか人類じんるい学がくでは、villageとhamletとして区分くぶんする。hamletが、自然しぜんに形成けいせいされた本来ほんらいの村落そんらくを指さす。

産業さんぎょう別べつ分類ぶんるい

農村のうそん

住民じゅうみんが主しゅとして農業のうぎょうに従事じゅうじしている村落そんらく。日本にっぽんの村落そんらくの大半たいはんが農村のうそんである。柳田やなぎだ國男くにおによれば、日本にっぽんの農村のうそんの3分ぶんの2から4分ぶんの3は室町むろまち時代ときよから始はじまったものとされ、網野あみの善彦よしひこもこれを支持しじしている。なお現在げんざい日本にっぽんの農業のうぎょう人口じんこうは2%以下いかである。

漁村ぎょそん

住民じゅうみんが主しゅとして漁業ぎょぎょうに従事じゅうじしている村落そんらく。日本にっぽんでは、大半たいはんが漁業ぎょぎょうの他ほかに農業のうぎょうも行おこなう半農半漁はんのうはんぎょ村むらであり、漁業ぎょぎょうだけを行おこなう純じゅん漁村ぎょそんは少すくない。

山村さんそん

山間さんかんにある村落そんらく。山村さんそん振興しんこう法ほうでは「林野りんや面積めんせきの占しめる比率ひりつが高たかく、交通こうつう条件じょうけん及および経済けいざい的てき、文化ぶんか的てき諸しょ条件じょうけんに恵めぐまれず、産業さんぎょうの開発かいはつの程度ていどが低ひくく、かつ、住民じゅうみんの生活せいかつ文化ぶんか水準すいじゅんが劣おとっている山間さんかん地ちその他たの地域ちいきで政令せいれいで定さだめる要件ようけんに該当がいとうするもの」と定義ていぎされている（山村さんそん振興しんこう法ほう2条じょう）。住民じゅうみんは林業りんぎょうと農業のうぎょうに従事じゅうじしている事ことが多おおい。農村のうそんと併あわせて農のう山村さんそんという。

例れい：戸隠とがくし、春野はるの、上宝かみたから、荘川しょうかわ、十津川とつかわ、本宮もとみや、板井原いたいばら、箱根はこね、六ろく合ごう。

行政ぎょうせい文書ぶんしょ等とうで一括いっかつして表現ひょうげんする場合ばあいは「農のう山やま漁村ぎょそん」と呼よぶ。

列れつ村むら（ドイツ）

散ち村むら（砺波となみ平野へいや）
国土こくど交通省こうつうしょう 国土こくど地理ちり院いん 地図ちず・空中くうちゅう写真しゃしん閲覧えつらんサービスの空中くうちゅう写真しゃしんを基もとに作成さくせい

形状けいじょう別べつ分類ぶんるい

集あつまり村むら

家屋かおくが数すう十じゅう軒けんから数すう百ひゃく軒けん集あつまっている村落そんらく。以下いかのような種類しゅるいがある。（詳くわしくは集あつまり村むらを参照さんしょう。）

1. 塊かたまり村むら
   • 家屋かおくが不規則ふきそくに塊状かいじょうに分布ぶんぷしている集落しゅうらく。西南せいなん日本にっぽんでよく見みられる。
2. 列れつ村むら
   • 家屋かおくが自然しぜん堤防ていぼうや山麓さんろくの湧水わきみず線せんに沿そって、列れつ状じょうに分布ぶんぷしている村落そんらく。
   • 例れい：三さん依よ、栄さかえ村むら、井川いかわ、水窪みさくぼ。
3. 路みち村むら
   • 家屋かおくが道路どうろに沿そって列れつ状じょうに分布ぶんぷしている村落そんらく。開拓かいたく地ちなどに見みられる。農業のうぎょう主体しゅたいである。
   • 例れい：泰阜やすおか、里美さとみ。
4. 街まち村むら
   • 家屋かおくや商店しょうてんが、道路どうろに沿そって列れつ状じょうに分布ぶんぷしている村落そんらく。路みち村むらよりも道路どうろへの依存いぞん度どが高たかく、商業しょうぎょう主体しゅたいである。後ごの時代じだいに地方ちほう都市としの地位ちいを得えた街まち村むらもある。
   • 例れい：矢祭やまつり、広野ひろの。
5. 円えん村むら・環たまき村むら
   • 中央ちゅうおうの円形えんけい・楕円だえん形がたの広場ひろばを取とり囲かこんで、家屋かおくが環状かんじょうに分布ぶんぷしている村落そんらく。ヨーロッパの中世ちゅうせいの開拓かいたく集落しゅうらくでよく見みられる。

散ち村むら ・ 散ち居村いむら

家屋かおくが一いち軒けんずつ分散ぶんさんしている村落そんらく。北陸ほくりく地方ちほうの砺波となみ平野へいや、山陰さんいんの出雲平野いずもへいや、北海道ほっかいどうの屯田とんでん兵へいの開拓かいたく地ち、アメリカやカナダのタウンシップ制せいによる村落そんらくが知しられている。成立せいりつの背景はいけいはそれ違ちがうが、政策せいさくによって成立せいりつした所ところが多おおい。

関連かんれん書籍しょせき

• 矢嶋やじま仁吉にきち『集落しゅうらく調査ちょうさ法ほう』1958年ねん初版しょはん

参考さんこう文献ぶんけん

• 矢嶋やじま仁吉にきち『集落しゅうらく地理ちり学がく』古今ここん書院しょいん、1956年ねん11月5日にち、394pp.
• 山本やまもと正三しょうさん・奥野おくの隆史たかし・石井いしい英也ひでや・手塚てづか 章あきら『人文じんぶん地理ちり学がく辞典じてん』1997年ねん10月がつ5日にち 、525pp. ISBN 4-254-16336-3

関連かんれん項目こうもく

• 集落しゅうらく
• 市町村しちょうそん
• 村落そんらく地理ちり学がく
• 惣そう村むら
• 過疎かそ
• 村立そんりつて - 村むらを立たてること、いろいろな理由りゆうで分村ぶんそんすること。