停車場・施設・接続路線
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天理線(てんりせん)は、奈良県大和郡山市の平端駅から奈良県天理市の天理駅までを結ぶ近畿日本鉄道(近鉄)の鉄道路線。
ICカードPiTaPa・ICOCA・Suicaなど全国相互利用乗車カードが使用できる。また、以前はスルッとKANSAI対応カードおよびJスルーカードにも対応していた。
当項目では、かつて奈良県生駒郡斑鳩町の近畿日本法隆寺駅から平端駅を結んでいた法隆寺線(ほうりゅうじせん)についても扱う。
全線が、大阪統括部(旧 上本町営業局)の管轄である。
線内折り返し列車のほか、橿原線・京都線直通の急行・普通も運転されている。急行・普通とも線内は各駅に停車する。
昼間時は1時間あたり橿原線直通普通列車が1本、線内折り返し列車が2本の合計3本が運転されている。普通列車は従来大和西大寺駅までの運行であったものが、2012年3月20日のダイヤ変更より時刻表上も一部列車が京都駅に直通するようになった(それまでも大和西大寺駅で列車番号を変更し、実質直通列車となっている例もあった)。
かつては奈良線直通の定期列車が朝夕を中心に運行されており、1970年までは上本町駅、1972年までは近鉄難波駅直通の準急が設定されていた(天理線内は各駅停車)。ただ、駅や時刻表では案内がなされていないだけで、実際には後述の『臨時列車』の節にもある通り、現在でも大和西大寺駅発着の中には種別変更はするものの奈良線と直通する定期列車も毎日僅かながら運行されている。
日中のおおよその運行パターン
種別\駅名
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西大寺
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…
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平端
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…
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天理
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運行範囲
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普通
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1本
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2-3本
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天理教祭典日(毎月26日)ないし本部行事開催日には、2021年7月3日ダイヤ変更時点では京都駅発着の臨時特急、大阪難波駅または京都駅、大和西大寺駅発着の臨時急行、平端駅発着の臨時普通が運行される[3]。
またこれらとは別に、朝の五十鈴川発と、五十鈴川行き及び名張行きの臨時列車が運行されており、名古屋線各駅とは名阪乙特急と連絡するこの臨時列車の利用を推奨している。この3本は建前上は団体専用列車扱いのため一般客の乗車はできないことになっているが、帰参者であれば利用可能としている[4]。停車駅は以下の通りである。
- 五十鈴川駅発着:宇治山田駅、伊勢市駅、宮町駅、明星駅、松阪駅、伊勢中川駅、榊原温泉口駅、大和八木駅(五十鈴川駅発のみ停車。名阪乙特急から連絡)
- 名張行き:大和八木駅(名阪乙特急に連絡)、榛原駅
- いずれも天理線内は無停車だが、平端駅では方向転換のため運転停車は行う。また、五十鈴川駅発着列車は特急停車駅でない宮町駅、明星駅にも停車する。
2020年3月14日ダイヤ変更前までは近鉄名古屋駅発着の臨時特急(近鉄のウェブサイトには掲載されず[5]、建前上は団体専用列車扱い。大和八木駅 - 近鉄名古屋駅間は名阪乙特急に併結)もあった[6][7]。また、阪神本線神戸三宮駅発着の臨時急行(天理行きは平日のみ[注釈 1]、天理発は土曜・休日のみ[注釈 2])が運行されることがあったが[8]、2021年7月3日ダイヤ変更後は定期列車となっている(天理行きは平日、天理発は土曜・休日のみ。いずれも運転形態は臨時列車時代を踏襲し、時刻表上は大和西大寺駅 - 天理駅間の定期急行列車として設定される)[9]。
大晦日から元旦にかけて行われる終夜運転(2020年は実施せず)は、現在では線内折り返しの普通をおおむね30分間隔(橿原線の終夜運転列車との連絡が多い)で運行する形態となっている。時刻については近鉄の公式ホームページでも公表されている。
2022年4月1日には天理線電化100周年を記念して大阪上本町発天理行き臨時急行が1本運転された[10]。
橿原線との直通列車が多いため、奈良線・京都線と同じく西大寺検車区の車両が運行されている。
京都市営地下鉄烏丸線対応の3200系、3220系などの6両単独編成も使用される[注釈 3]。
急行列車は6両編成(一部列車は4両)。普通列車は大半が4両編成であるが、早朝深夜には奈良線系統唯一の存在である2両編成も1往復設定されているほか、線内折り返し列車には6両編成も存在する。特に天理教祭礼時の臨時ダイヤではその割合が増加するが、列車自体は大和西大寺発着で大和西大寺 - 平端間を回送列車として運行されるものもある。
天理軽便鉄道が軌間762 mmで新法隆寺駅(後の近畿日本法隆寺駅) - 天理駅間を1915年(大正4年)に開業させたのが始まり。新法隆寺駅は国有鉄道関西本線法隆寺駅の近くにあり、同線と連絡して大阪方面と天理を結んでいた[11]。
1921年(大正10年)、天理軽便鉄道の買収が橿原へ向かう新線(畝傍線、後の近鉄橿原線)への免許条件となっていたため、大阪電気軌道(大軌)によって買収され、この際に天理線の名が付けられる。大阪方面から天理への乗客が、行きは天理軽便鉄道を利用しても帰りは桜井線・関西本線を使用して奈良に寄る者が多かったことから乗客数が余り伸びず、また1920年(大正9年)に政府からの補助金が打ち切りとなったことから、天理軽便鉄道としてもこの買収は望む話であり、自ら買収を要請している。そして、翌1922年(大正11年)に平端駅 - 天理駅間の電化と標準軌への改軌が行われ、大軌畝傍線が平端駅まで開通すると同時に、上本町駅 - 天理駅間に直通列車が走るようになった。
一方で、天理線の電化・改軌の際に新法隆寺駅 - 平端駅間は法隆寺線として分離され、最後まで軌間762 mmの非電化路線のまま、1945年(昭和20年)に休止後、廃止された[11]。
- 全駅奈良県内に所在。
- 急行・普通列車ともに天理線内は各駅に停車。
- 天理教の祭事が行われる時の臨時特急に関しては、近鉄特急を参照。
- 起終点の平端駅、天理駅以外の途中駅は全て無人駅。
- 1952年(昭和27年)4月1日廃止。
- 駅名、接続路線、所在地は廃止時のもの。
- 日本国有鉄道は現在の西日本旅客鉄道。
- 安堵村は現在の安堵町。
- ^ 定期列車の快速急行大和西大寺行きの一部車両を大和西大寺駅で切り離し、引き続き臨時急行天理行きとして延長運転。
- ^ 天理駅から大和西大寺駅までは臨時急行として運転、大和西大寺駅で近鉄奈良始発の快速急行神戸三宮行き定期列車と併結し神戸三宮駅まで運転していた。かつては天理発の編成は通常ダイヤにおける大和西大寺駅 - 尼崎駅間の増結編成を営業列車に割り当てていたため、「神戸三宮行き」と案内しながら天理発の編成は尼崎止まりであったが、阪神本線内の8両対応が完了した末期は通常ダイヤの8両編成を近鉄奈良始発4両・天理始発4両に分割(近鉄奈良駅 - 大和西大寺駅間は通常より減車)して運転するように変更され、これにより天理発の編成も神戸三宮駅まで乗り入れるようになった。
- ^ 保安装置上は対応している烏丸線の車両の京都市交通局10系電車も走行可能であるが、当線に乗り入れたことはない。
- ^ “ご乗降確認システム フェアシステムK”. 近畿日本鉄道. 2023年11月24日閲覧。
- 『まるごと近鉄ぶらり沿線の旅』(著者・編者 徳田耕一、出版・発行 河出書房新社 2005年) ISBN 4309224393
- カラーブックス『日本の私鉄 近鉄1』(著者・編者 諸河久・杉谷広規、出版・発行 保育社 1998年) ISBN 458650904X
- カラーブックス『日本の私鉄 近鉄2』(著者・編者 諸河久・山辺誠、出版・発行 保育社 1998年) ISBN 4586509058
- 『近鉄時刻表』各号(著者・編者 近畿日本鉄道、出版・発行 同左)
- 『鉄道ピクトリアル'03年1月号増刊 特集:近畿日本鉄道』(著者・編者 電気車研究会 出版・発行 同左)
- 今尾恵介『日本鉄道旅行地図帳 8号 関西1』新潮社、2008年 ISBN 978-4-10-790026-5
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*印は特急列車運行線区、◇印は区間によっては軌道・第2種鉄道事業(奈良生駒高速鉄道が第3種) |