TOS-1

ТОС-1
TOS-1 ブラチーノ
ТОС-1; TOS-1 ブラチーノ
	「Army -2020」展てんでの重じゅう火炎かえん放射ほうしゃシステム
種類しゅるい	多連装たれんそうロケットランチャー
原はら開発かいはつ国こく	ソビエト連邦れんぽう
運用うんよう史し
配備はいび先さき	ソビエト連邦れんぽう軍ぐん; ロシア連邦れんぽう軍ぐん
関連かんれん戦争せんそう・紛争ふんそう	アフガニスタン紛争ふんそう (1978年ねん-1989年ねん); 第だい二に次じチェチェン紛争ふんそう; イラク内戦ないせん; ナゴルノ・カラバフ紛争ふんそう（2016年ねん）; 2022年ねんロシアのウクライナ侵攻しんこう
開発かいはつ史し
開発かいはつ者しゃ	Omsk Transmash Design Bureau
諸しょ元もと
重量じゅうりょう	45.3 t
全長ぜんちょう	9.5m
全幅ぜんぷく	3.6m
全ぜん高こう	2.22m
要員よういん数すう	3名めい
口径こうけい	220 mm
発射はっしゃ速度そくど	30発はつ/15秒びょう
有効ゆうこう射程しゃてい	500mから3,500m(TOS-1)
エンジン	V-84MS ディーゼルエンジン
行動こうどう距離きょり	550 km
速度そくど	60 km/h
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TOS-1「ブラチーノ」（ロシア語ご: ТОС-1 - тяжёлая огнемётная система、重じゅう火力かりょく投射とうしゃシステム）は、サーモバリック爆薬ばくやく弾頭だんとうロケット弾だんを運用うんようするために、T-72 戦車せんしゃの車体しゃたいに220mmロケット弾だん発射はっしゃ器きを装着そうちゃくした多連装たれんそうロケットランチャーである。

概要がいよう

オリジナルのTOS-1は、搭載とうさいしている30発はつの220mmサーモバリック弾頭だんとうロケット弾だんを15秒びょうで撃うち尽つくすだけの連射れんしゃ性能せいのうを持もっており、射程しゃていは最小さいしょうで500m、最大さいだいでも3,500mと比較的ひかくてき近距離きんきょりである。ソビエト連邦れんぽうの崩壊ほうかい後ごのロシア連邦れんぽう軍ぐんでも、チェチェン紛争ふんそうでも使用しようされている。TOS-1では破砕はさい弾頭だんとうなどの、そのほかの各種かくしゅ弾頭だんとうのロケット弾だんは使用しようされない。このため現在げんざい唯一ゆいいつの火炎かえん放射ほうしゃ戦車せんしゃと扱あつかわれることがある。

TOS-1は、軽量けいりょう級きゅうの防御ぼうぎょが施ほどこされた車輌しゃりょう・輸送ゆそう車しゃや、防御ぼうぎょ物ぶつの内部ないぶ、または開あけた地形ちけいにいる兵員へいいんを撃破げきはするために設計せっけいされている。最初さいしょの実戦じっせんテストは1988年ねんから1989年ねんに行おこなわれ、場所ばしょはアフガン紛争ふんそう中ちゅうのPanjshir峡谷きょうこくである。TOS-1が最初さいしょに一般いっぱん公開こうかいされたのは1999年ねんのオムスクにおいてであった。

TOS-1はロシア連邦れんぽう軍ぐんの砲兵ほうへい部隊ぶたいで使用しようされてはいないが、NBC防御ぼうぎょ部隊ぶたい（ロシア語ご: войска радиационной, химической и биологической защиты (РХБЗ)）で見みることができる^[1]。

開発かいはつ

1979年ねんより始はじまったソ連それんのアフガニスタン侵攻しんこうにて、ソ連それん軍ぐんは自陣じじんから比較的ひかくてき近距離きんきょりのムジャーヒディーンを掃討そうとうするためにサーモバリック弾頭だんとうを運用うんようする多連装たれんそうロケット砲ほうを必要ひつようとしていた。そこで、ソ連それん軍ぐんはT-72戦車せんしゃの車体しゃたいに二人ふたり乗のりの砲塔ほうとうを構成こうせいし、これに220mm30連装れんそうロケット発射はっしゃ器きを搭載とうさいしたTOS-1を開発かいはつした。

オリジナルの車輌しゃりょうであるOb.634、またTOS-1は30本ほんの砲身ほうしんを備そなえ、Ob.634BまたはTOS-1Aは24本ほんの砲身ほうしんを備そなえている。

焼しょう夷えびす剤ざいとしてサーモバリック爆薬ばくやくを弾頭だんとうに充填じゅうてんしたロケット、これらを放はなつための重量じゅうりょう級きゅう短距離たんきょりMRSという概念がいねんは、1970年代ねんだい後半こうはんに生うまれた。戦闘せんとうシステムを構成こうせいする戦闘せんとう車輌しゃりょう、ロケット、および弾薬だんやく補給ほきゅう車しゃは、1980年代ねんだいの早期そうき、オムスクに所在しょざいするKBTMにより開発かいはつされ、TOS-1と命名めいめいされた。この車輌しゃりょうは長年ながねんにわたり秘密ひみつ兵器へいきのままとされていた。

TOS-1は、兵員へいいん、装備そうび、建造けんぞう物ぶつおよび防御ぼうぎょされた構造こうぞう物ぶつと交戦こうせんするよう企図きとしたものである。この戦闘せんとう車輌しゃりょうは、歩兵ほへいや戦車せんしゃからの攻撃こうげき指示しじにより行動こうどうする。大だい口径こうけいで多た砲身ほうしんのロケット発射はっしゃ器きの装備そうび、また3,500m程度ていどの近距離きんきょり射程しゃていという理由りゆうから、高たかいレベルの防護ぼうご性能せいのうが必要ひつようとなり、これらからT-72主力しゅりょく戦車せんしゃの車体しゃたいの転用てんようという決断けつだんを促うながすこととなった。TZMと呼よばれる弾薬だんやく補給ほきゅう車しゃは、縦走じゅうそう能力のうりょくを持もつトラックであるKrAZ-255B（ロシア語ご版ばん、英語えいご版ばん）の車体しゃたいを用もちいて作つくられ、発射はっしゃ器きに装弾そうだん・抜弾するためのクレーンを搭載とうさいしている。

改良かいりょうされたTOS-1Aは2001年ねんに配備はいびされた。

設計せっけい

TOS-1Aの「Solntsepyok」システムは以下いかの部品ぶひんから構成こうせいされる^[2]^[3]。

「戦闘せんとう車輌しゃりょう」BM-1 (ロシア語ご: Боевая машина) (Ob.634B) はT-72Aの車体しゃたいを基もとにしており、これに24基きの非ひ誘導ゆうどう型がたサーモバリックロケット発射はっしゃ器きを搭載とうさいしている。全すべてのロケットは6秒びょうから12秒びょうで発射はっしゃすることができる。戦闘せんとう車輌しゃりょうは、弾道だんどうコンピューター、追尾ついび照準しょうじゅん器き、1D14レーザー測はか距儀からなる火器かき管制かんせい装置そうちを備そなえている。他たの標準ひょうじゅん装備そうびとしては車くるま長ちょう用ようにTKN-3A照準しょうじゅん器き、GPK-59ナビゲーション装置そうち、R-163-50U無線むせん通信つうしん装置そうち、R-174インターコム、4本ほんの砲身ほうしんを持もつ902G発煙はつえん弾だん発射はっしゃ器きが含ふくまれる。3名めいの乗員じょういんは1挺ていのAKS-74自動じどう小銃しょうじゅう、RPKS-74軽けい機関きかん銃じゅう、3基きのRPG-26擲弾筒てきだんとう、また10個このF1手榴弾しゅりゅうだんを持もつ。BM-1にはT-72Aと同様どうようのNBC防護ぼうご、消火しょうか装置そうち、観測かんそく機材きざいなどが装備そうびされた。なおイラクに輸出ゆしゅつされたタイプではT-90ベースの車体しゃたいが使用しようされている^[4]。

2輛の「弾薬だんやく補給ほきゅう車しゃ」TZM-T（ロシア語ご版ばん） (ロシア語ご: Транспортно-заряжающая машина) (Ob.563)には、10kNの出力しゅつりょくを持もつクレーンが装備そうびされた。またどちらの車輌しゃりょうも、BM-1の使用しようする2x12発はつの予備よびロケットと400リットルの燃料ねんりょうを運はこぶ。戦闘せんとう重量じゅうりょうは39tである。TZM-Tは3名めいの乗員じょういんを要ようし、2挺ていのAKS-74、1挺ていのRPKA-74、5基きのRPG-26、10個このF1手榴弾しゅりゅうだんで武装ぶそうしている。
NURSロケット一式いっしき。(ロシア語ご: Неуправляемый реактивный снаряд)MO.1.01.04およびMO.1.01.04Mと呼よばれるこれらのロケットは3.3mまたは3.7mの長ながさであり、各かくロケットの重量じゅうりょうは173kgから217kgである。TOS-1A用ようのオリジナルのロケットは2,700mの射程しゃていしか持もたないが、改善かいぜんされたものは射程しゃていが6,000mとなっている。

実戦じっせん使用しよう・配備はいび

アフガニスタン紛争ふんそう

TOS-1はアフガニスタン侵攻しんこうにおけるパンジシール（Panjshir）渓谷けいこくでの戦闘せんとうで初はじめて使用しようされた。ロシア連邦れんぽうになってからは、1999年ねんのグロズヌイの戦たたかい（英語えいご版ばん）に投入とうにゅうされている。

チェチェン紛争ふんそう

チェチェン紛争ふんそう（第だい一いち次じチェチェン紛争ふんそう(1994-1996)、第だい二に次じチェチェン紛争ふんそう(1999-2009))で使用しようされた^[5]

ロシア・チェチェン共和国ちぇちぇんきょうわこくで使用しようされた^[6]。

イラク・ISIL紛争ふんそう

2014年ねん 10月3日にち、イラクは過激かげき派は組織そしきISILに対たいする切きり札ふだとしてTOS-1Aを導入どうにゅうし^[7]、10月24日にち、ISILからのイラク・バービル県けん Jurf Al Nasr解放かいほう戦せんにてTOS-1Aは初陣ういじんを飾かざった^[8]。イラク軍ぐんは都市としベイジでISILに対たいして使用しようした^[9]

アゼルバイジャン

2016年ねん4月がつ4日にち、アゼルバイジャン陸軍りくぐんはTOS-1Aをナゴルノ・カラバフ国防こくぼう軍ぐんに対たいして投入とうにゅうした^[10]。

ロシア・ウクライナ紛争ふんそう

2015年ねん9月がつ、欧州おうしゅう安全あんぜん保障ほしょう協力きょうりょく機構きこう（OSCE）はウクライナ東部とうぶの反はん政府せいふ軍ぐん訓練くんれん地域ちいきにTOS-1が配置はいちされていることを報告ほうこくした^[11]。 2022年ねんロシアのウクライナ侵攻しんこうにおいて、2022年ねん 2月がつ26日にち、CNNがベルゴロド南方なんぽうで目撃もくげきした^[6]。