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2019年9月のブログ記事一覧-ひろば 川崎高津公法研究室別室

ひろば 川崎かわさき高津たかつ公法こうほう研究けんきゅうしつ別室べっしつ

川崎かわさきから、徒然つれづれなるままに。 行政ぎょうせいほう租税そぜいほう財政ざいせいほう政治せいじ経済けいざい鉄道てつどうなどをろんじ、ジャズ、クラシック、まちあるきをあいする。

日高本線ひだかほんせん鵡川むかわえき様似さまにえき廃止はいし決着けっちゃく

2019ねん09がつ30にち 0000ふん00びょう | 社会しゃかい経済けいざい

 このブログではJR北海道ほっかいどう問題もんだいなんげてきました。直近ちょっきんでは2019ねんがつにち1158ふん30びょうづけの「JR北海道ほっかいどう路線ろせんのこるのは……」です。その記事きじにおいてしるした10路線ろせん13区間くかん再掲さいけいしておきます。

 

 1.札沼線さっしょうせん北海道ほっかいどう医療大いりょうだいがく新十津川しんとつかわ(79にん/4おくえん)⇐2020ねんがつにち廃止はいし予定よてい

 2.石勝線せきしょうせんしん夕張ゆうばり夕張ゆうばり夕張ゆうばり支線しせん)(118にん/2おくえん)⇐当時とうじすで廃止はいし合意ごういみ。2019ねんがつにち廃止はいし

 3.根室本線ねむろほんせん富良野ふらの新得しんとく(152にん/10おくえん

 4.留萌るもい本線ほんせん深川ふかがわ留萌るもい(183にん/7おくえん)⇐同線どうせん留萌るもい増毛ましけは2016ねん12月5にち廃止はいし

 5.にちだか本線ほんせん苫小牧とまこまい鵡川むかわ(298にん/4おくえん

 6.にちだか本線ほんせん鵡川むかわ様似さまに(298にん/11おくえん)⇐長期ちょうき運休うんきゅうちゅう

 7.宗谷本線そうやほんせん名寄なよせ稚内わっかない(403にん/25おくえん

 8.根室本線ねむろほんせん釧路くしろ根室ねむろ通称つうしょう花咲線はなさきせん」)(449にん/11おくえん

 9.根室本線ねむろほんせん滝川たきかわ富良野ふらの(488にん/12おくえん

 10.室蘭本線むろらんほんせん沼ノ端ぬまのはた岩見沢いわみざわ(500にん/11おくえん

 11.釧網本線せんもうほんせんひがし釧路くしろ網走あばしり全線ぜんせん)(513にん/16おくえん

 12.石北本線せきほくほんせんしん旭川あさひかわ網走あばしり全線ぜんせん)(1141にん/36おくえん

 13.富良野線ふらのせん富良野ふらの旭川あさひかわ全線ぜんせん)(1477にん/10おくえん

 

 このうち、JR北海道ほっかいどうがバス路線ろせんへの転換てんかん方針ほうしんとしてしめしているのは、うえの4、6および9です。4と9については、JR北海道ほっかいどう沿線えんせん自治体じちたいとの協議きょうぎがまだつづいているようですが、6については10がつにも決着けっちゃくしそうです。今月こんげつ25にち朝日新聞社あさひしんぶんしゃが「岐路きろ線路せんろ鵡川むかわ様似さまに、バス転換てんかん容認ようにん」(https://www.asahi.com/articles/CMTW1909250100004.html)としてほうじていましたので、ここでもげておくこととします。

 日高本線ひだかほんせんは、室蘭本線むろらんほんせんとの乗換のりかええきである苫小牧とまこまいえきから様似さまにえきまでの路線ろせんで、140キロメートルをえます。このうち、鵡川むかわえき様似さまにえきの116.0キロメートルは、2015ねんがつ高波たかなみ被害ひがいから現在げんざいいたるまで不通ふつうとなっています。時々ときどき写真しゃしん被害ひがい状況じょうきょう紹介しょうかいされていますが、線路せんろおおきくげられたうえ地面じめんからがっていたりするような状況じょうきょうで、路盤ろばんくずされたようになっていることから、復旧ふっきゅうにはかなりの時間じかん費用ひよう必要ひつようとなることが明白めいはくでした。かり復旧ふっきゅうするとしても、所々しょしょうみのそばをとお路線ろせんであるだけに、ふたた罹災りさいする可能かのうせいひくくないでしょう。人口じんこうすくなく、鉄道てつどう路線ろせん接続せつぞくするえき起点きてん苫小牧とまこまいえきしかないという路線ろせんですので、投資とうし効果こうかのぞむことができないともえます。

 2016ねん12月、JR北海道ほっかいどう鵡川むかわえき様似さまにえきについてバス路線ろせんへの転換てんかん沿線えんせん自治体じちたいの7まち提案ていあんします。7まちとは、苫小牧とまこまい様似さまに方向ほうこうじゅんに、日高ひだかまち平取びらとりまち新冠にいかっぷまちしんひだかまち浦河うらかわまち様似さまにまちおよびえりもまちの7まちです。厳密げんみつえば、平取びらとりまちおよびえりもまちには日高本線ひだかほんせんかよっていないのですが、平取びらとりまちはむかわまち日高ひだかまち隣接りんせつしており、かつては沙流さる鉄道てつどうとの接続せつぞくえきであった富川とみかわえきおよび日高ひだか門別もんべつえき(いずれも日高ひだかまち所在しょざい)にちかいこと、えりもまち様似さまにまち隣接りんせつしており、様似さまにえき発着はっちゃくするジェイ・アール北海道ほっかいどうバスかちせんかよっていることなどから、沿線えんせん自治体じちたいふくまれているものとかんがえられます。一方いっぽう、むかわまちはいっていません。汐見しおみえきがむかわまち所在しょざいするとはいえ、苫小牧とまこまい鵡川むかわについては現在げんざいのところバス路線ろせん転換てんかん提案ていあんされていないためでしょう。

 これまで7まちちょうによる協議きょうぎかえされてきました。今月こんげつ24にちにも臨時りんじ町長ちょうちょう会議かいぎひらかれましたが、かくまち立場たちばことなり、多数決たすうけつでJR北海道ほっかいどう提案ていあんれる方針ほうしん決定けっていしたようです。

 日高本線ひだかほんせん廃止はいしれるとしたのは、平取ひらとり町長ちょうちょう新冠にいかっぷまちまちしんひだか町長ちょうちょう様似さまに町長ちょうちょうおよびえりも町長ちょうちょうです。これにたいし、浦河うらかわ町長ちょうちょうぜん区間くかん復旧ふっきゅうを、日高ひだか町長ちょうちょう鵡川むかわえき日高ひだか門別もんべつえきのみの復旧ふっきゅうを、それぞれ主張しゅちょうしました。

 まち事情じじょうはそれぞれでしょうから、見解けんかいかれるのも当然とうぜんです。しかし、休止きゅうしから4ねん以上いじょう経過けいかしており、復旧ふっきゅう見込みこみがっていない、というよりは復旧ふっきゅう可能かのうせいいちじるしくひくくなった状況じょうきょうでは、鵡川むかわえき様似さまにえきぜん区間くかん運行うんこう再開さいかい現実げんじつてきでないともえます。また、鵡川むかわえき日高ひだか門別もんべつえき区間くかんのみの復旧ふっきゅうについても、費用ひようたい効果こうか観点かんてんからは疑問ぎもんせられるかもしれません。

 ともあれ、今後こんごかくまち議会ぎかい協議きょうぎされることとなるでしょう。最終さいしゅう決定けっていは10がつ中旬ちゅうじゅんおこなわれる町長ちょうちょう会議かいぎにおいておこなわれるとのことです。廃止はいしということになれば、今年ことしの4がつ廃止はいしされた石勝線せきしょうせん夕張ゆうばり支線しせんしん夕張ゆうばりえき夕張ゆうばりえき)、2020ねんがつ廃止はいしされる札沼線さっしょうせん北海道ほっかいどう医療いりょう大学だいがくえき新十津川しんとつかわえきつづき、3番目ばんめとなります。

 さて、鵡川むかわえき様似さまにえき区間くかん廃止はいしされると、日高本線ひだかほんせん苫小牧とまこまいえき鵡川むかわえき区間くかんのみとなります。30キロメートルほどしかなく、すでに1980年代ねんだい特定とくてい地方ちほう交通こうつうせん廃止はいしによって富内線とみうちせんという支線しせんうしなっている日高本線ひだかほんせんは、その本線ほんせんというにますますあたいしない路線ろせんとなります(もっとも、国鉄こくてつ時代じだいことなり、JRグループには本線ほんせんという名称めいしょうあたいしない路線ろせんおおく、そのためもあるのかどうか、JR四国しこくは●●本線ほんせんという呼称こしょうをやめています)。苫小牧とまこまいえき鵡川むかわえきも10路線ろせん13区間くかんはいっていますし、輸送ゆそう密度みつどひくいので、とりあえずは存続そんぞくするとしても、早晩そうばん協議きょうぎ対象たいしょうになるものとおもわれます。

 もうひとつ、鵡川むかわえき様似さまにえき区間くかん廃止はいしされると、国鉄こくてつバス時代じだいからの歴史れきしゆうするジェイ・アール北海道ほっかいどうバスかちせん存在そんざい意義いぎわれるようながします。

 ジェイ・アール北海道ほっかいどうバスのサイトによると、にちかちせんは、おおまかにしるせば上野うえのふかし様似さまにえき様似さまに営業えいぎょうしょおよび様似さまに営業えいぎょうしょ様似さまにえき〜えりも〜広尾ひろおという路線ろせんです(高速こうそくバスもありますが、ここでは除外じょがいしておきます)。元々もともと鉄道てつどう敷設ふせつほう別表べっぴょう133ごうにあげられていた(鉄道てつどう建設けんせつ予定よていせん一部いちぶでした。だい133ごうのうち、苫小牧とまこまいえき様似さまにえき日高本線ひだかほんせんで、広尾ひろおえき帯広おびひろえき広尾線ひろおせんですが、広尾線ひろおせんだい特定とくてい地方ちほう交通こうつうせんとして廃止はいしされています。

 鉄道てつどう路線ろせん鵡川むかわえき様似さまにえき廃止はいしされると、このままではJRグループとして孤立こりつしたバス路線ろせんになりかねません。

 鵡川むかわえき様似さまにえきのバス転換てんかんということからすれば、にちかちせん鉄道てつどう路線ろせんわりとすることもかんがえられます。ジェイ・アール北海道ほっかいどうバス深名線しんめいせんのような役割やくわりになわせるわけです。ただ、鵡川むかわえきから様似さまにえきまでは100キロメートルをえますし、高速こうそくバスであればともあれ、路線ろせんバスとしてこれだけの距離きょりはしらせる意味いみがあるかどうかはうたがわしいでしょう。

 そこで、より現実げんじつてき方法ほうほうとしては、にちかちせん範囲はんいはそのままにしたうえで、現在げんざい代行だいこうバスを正式せいしきのバス路線ろせんにすることがあげられます。運行うんこう形態けいたいも、現在げんざい代行だいこうバスが基本きほんとなるでしょう。鵡川むかわえき静内しずないえき静内しずないえき様似さまにえき系統けいとうかれますが、距離きょりなどからかんがえれば妥当だとうでしょう。にちかちせんれてもよし、日高線ひだかせんなどとしてべつ路線ろせんにしてもよし、ということで、ジェイ・アール北海道ほっかいどうバスの路線ろせんとして位置いちづけるのがよいとおもわれます(正式せいしき路線ろせんとしてれられるかどうかはわかりませんが)。

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だい租税そぜいほう基礎きそ理論りろん  だい04かい課税かぜい要件ようけん

2019ねん09がつ29にち 0000ふん00びょう | 租税そぜいほう講義こうぎノート〔だいはん

 課税かぜい要件ようけん(Steuertatbestand)は租税そぜい要件ようけんなどともいい、租税そぜい債権さいけん債務さいむ関係かんけい成立せいりつまたは消滅しょうめつさせるために法律ほうりつ(または条例じょうれい)によりさだめられる要件ようけんす。

 詳細しょうさいは、新井あらい隆一りゅういち租税そぜいほう基礎きそ理論りろん』〔だいさんはん〕(1997ねん日本にっぽん評論ひょうろんしゃ)44ぺーじ参照さんしょう。また、北野きたの弘久ひろひさへん現代げんだい税法ぜいほう事典じてん』〔だいはん〕(1992ねん中央経済社ちゅうおうけいざいしゃ)30ぺーじ北野きたの弘久ひろひさ担当たんとう]も参考さんこうになる。

 課税かぜい要件ようけん明確めいかくにされることにより、はじめて私人しじん納税のうぜい義務ぎむ具体ぐたいてきさだまることとなる。ここで概観がいかんしておく。

 清永きよながけい税法ぜいほう』〔新装しんそうばん〕(2013ねんミネルみねるァ書房ぁしょぼう)65ぺーじは、課税かぜい要件ようけんとして納税のうぜい義務ぎむしゃ課税かぜい物件ぶっけん帰属きぞく課税かぜい標準ひょうじゅんおよび税率ぜいりついつつをあげる。しかし、理解りかいふかめるためには以下いかしめななつが必要ひつようである。

 (1)課税かぜい主体しゅたい

 課税かぜいけんしゃともいい、租税そぜい債権さいけんしゃともいう。くに地方ちほう公共こうきょう団体だんたい都道府県とどうふけん市町村しちょうそんおよび特別とくべつ)のことである。課税かぜいけん行使こうしのうち、内容ないよう定立ていりつ立法りっぽうけん該当がいとうし、執行しっこう行政ぎょうせいけん該当がいとうすることとなる。

 もっとも、課税かぜい主体しゅたいについてはとくにあげる必要ひつようがない場合ばあいおおい。清永きよながけい教授きょうじゅは、「理論りろんてきには、課税かぜい徴収ちょうしゅうけんしゃたるくにまた地方ちほう公共こうきょう団体だんたい存在そんざい納税のうぜい義務ぎむ成立せいりつ要件ようけんひとつにふくめられるべきであろう。しかし、これらの存在そんざい当然とうぜんのこととして一般いっぱん前提ぜんていされているのであるから、納税のうぜい義務ぎむ成立せいりつ要件ようけんとしての課税かぜい要件ようけん問題もんだいとするときは、このてんのぞいてかんがえて差支さしつかえない」とべる清永きよなが前掲ぜんけいしょ68ぺーじ。しかし、課税かぜい主体しゅたい存在そんざいしなければ、納税のうぜい義務ぎむ発生はっせいするはずもない。

 なお、徴収ちょうしゅうさいしては、法律ほうりつまたは条例じょうれいにより、一定いってい範囲はんい私人しじん委任いにんされることもある。所得しょとくぜいなどにおける源泉げんせん徴収ちょうしゅう地方ちほうぜいにおける特別とくべつ徴収ちょうしゅう該当がいとうする。

 (2)納税のうぜい義務ぎむしゃ

 納税のうぜい義務ぎむしゃとは、租税そぜい法律ほうりつ関係かんけいにおいて租税そぜい債務さいむ負担ふたんするものをいう。

 財政ざいせいがくにおいて、納税のうぜい義務ぎむしゃ租税そぜい主体しゅたい一種いっしゅとされる。

 れいとして、神野かみの直彦なおひこ財政ざいせいがく』〔改訂かいていばん〕(2007ねん有斐閣ゆうひかく)166ぺーじ 。なお、租税そぜい主体しゅたい課税かぜい主体しゅたいとを混同こんどうしないよう、注意ちゅういようする。

 租税そぜい主体しゅたいには、納税のうぜい義務ぎむしゃほか担税たんぜいしゃという概念がいねんふくまれる。担税たんぜいしゃは、経済けいざい活動かつどうにおいて実際じっさい租税そぜい負担ふたんするもののことである

 おな租税そぜい主体しゅたいという上位じょうい概念がいねんふくまれるとはえ、納税のうぜい義務ぎむしゃ担税たんぜいしゃとは、明確めいかく区別くべつする必要ひつようがあるだいいちに、納税のうぜい義務ぎむしゃは、法律ほうりつじょう概念がいねんであり、法律ほうりつによって租税そぜい負担ふたんし、申告しんこくなどをおこなものとされているのであって、実際じっさい租税そぜい負担ふたんするかかとはべつ次元じげん事柄ことがらである。だいに、納税のうぜい義務ぎむしゃ担税たんぜいしゃは、税目ぜいもくによって同一どういつである場合ばあいことなる場合ばあいとがあり、とくに、直接ちょくせつぜい間接かんせつぜいとを区別くべつする基準きじゅんにもなる

 直接ちょくせつぜい間接かんせつぜいとの区別くべつについては「だい租税そぜいほう基礎きそ理論りろん だい02かい租税そぜい分類ぶんるい」においてべた。

 所得しょとくぜいなどの場合ばあいは、担税たんぜいしゃ同時どうじ納税のうぜい義務ぎむしゃでもある。これにたいし、消費しょうひぜい酒税しゅぜいなどの間接かんせつ消費しょうひぜい場合ばあい担税たんぜいしゃ消費しょうひしゃであるのにたいし、納税のうぜい義務ぎむしゃ事業じぎょうしゃ製造せいぞうしゃである。

 自然人しぜんじんおよび法人ほうじん納税のうぜい義務ぎむなどの各種かくしゅ義務ぎむにな主体しゅたいとされていることはあきらかである。民法みんぽうその法律ほうりつによって法人ほうじんかくみとめられるからである。これにたいし、権利けんり能力のうりょくのない社団しゃだん財団ざいだんは、法人ほうじんかくみとめられないのであるから納税のうぜい義務ぎむしゃともなりえないとかんがえることもできるが、それでは租税そぜい負担ふたん公正こうせいすることができないため、租税そぜいほうにおいては、権利けんり能力のうりょくのない社団しゃだん財団ざいだん (「人格じんかくのない社団しゃだんとう」という表現ひょうげんもちいられる)についても法人ほうじんとみなされる場合ばあいおおい。

 ただし、租税そぜいほうにおいてみなし規定きてい存在そんざいしない場合ばあいであっても、権利けんり能力のうりょくなき社団しゃだん財団ざいだん納税のうぜい義務ぎむなどの義務ぎむうべきであるとほぐされることがある。たとえば、労働ろうどうしゃ音楽おんがく協会きょうかい労音ろうおん)について、東京とうきょうだかばん昭和しょうわ47ねん6がつ28にちぎょうさいれいしゅう23かん6・7ごう426ぺーじなどは、きゅう入場にゅうじょうぜい納税のうぜい義務ぎむしゃであるという趣旨しゅしべている。おなじような趣旨しゅし判決はんけつおおい。

 なお、所得しょとくぜいにおける源泉げんせん徴収ちょうしゅう義務ぎむ有価ゆうか証券しょうけん取引とりひきぜい住民じゅうみんぜい、ゴルフじょう利用りようぜい特別とくべつ地方ちほう消費しょうひぜいなどにおける特別とくべつ徴収ちょうしゅう義務ぎむ場合ばあいには、納税のうぜい義務ぎむしゃみずか負担ふたんをなすのではなく、納税のうぜい義務ぎむしゃから租税そぜい徴収ちょうしゅうしたうえくに地方ちほう公共こうきょう団体だんたい納付のうふする義務ぎむもの存在そんざいする(地方ちほう税法ぜいほうだいじょうだいこうだい10ごうは「特別とくべつ徴収ちょうしゅう義務ぎむしゃ」という)。このようなもの納税のうぜい義務ぎむしゃではなく、徴収ちょうしゅう納付のうふ義務ぎむうにぎないが、国税こくぜい通則つうそくほうだいじょうだいごうおよび国税こくぜい徴収ちょうしゅうほうだいじょうだいごうは、徴収ちょうしゅう納付のうふ義務ぎむものふくめて納税のうぜいしゃとしており、納税のうぜい義務ぎむしゃ共通きょうつうあつかいをすることがある。

 徴収ちょうしゅう納付のうふ義務ぎむしゃ納付のうふ義務ぎむおこたったときには、国税こくぜい通則つうそくほうだい36じょうだい37じょうだい40じょう国税こくぜい徴収ちょうしゅうほうだい47じょうなどにより、滞納たいのう処分しょぶんける。また、国税こくぜい通則つうそくほうだい67じょうだい68じょうだいこうにより、加算かさんぜいされる。さらに、所得しょとく税法ぜいほうだい240じょうによって刑罰けいばつされることもある。これらは、納税のうぜい義務ぎむしゃ場合ばあいとあまりわらないこととなる。

 納税のうぜい義務ぎむしゃは、直接ちょくせつぜい間接かんせつぜいとの相違そうい住所じゅうしょまたは居所きょしょ所在しょざい課税かぜい物件ぶっけん源泉げんせん所在地しょざいち、などによっていくつかの種類しゅるいかれる。ここでは、金子かねこひろし教授きょうじゅ論説ろんせつしたがい、概説がいせつこころみる(ただし、連帯れんたい納税のうぜい義務ぎむしゃだい納税のうぜい義務ぎむしゃ、そして税理士ぜいりしについての解説かいせつ省略しょうりゃくする)。

 直接ちょくせつぜいについては、制限せいげん納税のうぜい義務ぎむしゃ制限せいげん納税のうぜい義務ぎむしゃとにけうる。

 制限せいげん納税のうぜい義務ぎむしゃは、日本にっぽん住所じゅうしょまたは居所きょしょゆうし、日本にっぽん課税かぜいけんふくものをいう。課税かぜい物件ぶっけん源泉げんせん国内こくないにあるか国外こくがいにあるかをわない。したがって、制限せいげん納税のうぜい義務ぎむしゃ帰属きぞくする課税かぜい物件ぶっけんすべてについて納税のうぜい義務ぎむ存在そんざいすることとなる。所得しょとく税法ぜいほうにいう居住きょじゅうしゃだいじょうだいこうだいごうだいごうだいじょうだいこうだいじょうだいこうだいごうだいごう)、法人ほうじん税法ぜいほうにいう内国ないこく法人ほうじんだいじょうだいごうだいじょうだいこうだいじょうただし、だいじょうだいこうにより、公共こうきょう法人ほうじん納税のうぜい義務ぎむわない)が該当がいとうする。

 これにたいし、制限せいげん納税のうぜい義務ぎむしゃは、日本にっぽん財産ざいさん事業じぎょうゆうするが住所じゅうしょまたは居所きょしょゆうしないものをいう。したがって、財産ざいさん事業じぎょうゆうする範囲はんいないにおいて、いいかえれば国内こくない源泉げんせんのある課税かぜい物件ぶっけんについてのみ納税のうぜい義務ぎむ存在そんざいすることとなる。所得しょとく税法ぜいほうにいう居住きょじゅうしゃだいじょうだいこうだいごうだいじょうだいこうだいじょうだいこうだいごう)、法人ほうじん税法ぜいほうにいう外国がいこく法人ほうじんだいじょうだいごうだいじょうだいこうだいじょうだい10じょう)が該当がいとうする。

 間接かんせつぜいについては、正規せいき納税のうぜい義務ぎむしゃ拡張かくちょうてき納税のうぜい義務ぎむしゃとにけうる。正規せいき納税のうぜい義務ぎむしゃとは、課税かぜい物件ぶっけん流通りゅうつう消費しょうひ通常つうじょうおこなわれる過程かていにおいて、国内こくないにおいて製造せいぞうされ移出いしゅつされる課税かぜい物件ぶっけんについては、消費しょうひぜい場合ばあい事業じぎょうしゃ酒税しゅぜいほうなどの場合ばあい製造せいぞうしゃ保税ほぜい地域ちいきからられる課税かぜい物件ぶっけんについては引取ひきとしゃ該当がいとうする。これにたいし、拡張かくちょうてき納税のうぜい義務ぎむしゃとは、通常つうじょう過程かていないで流通りゅうつうし、あるいは消費しょうひされる課税かぜい物件ぶっけんについて、製造せいぞうしゃまたは引取ひきとしゃ以外いがいものであるがそれらとみなされて納税のうぜい義務ぎむしゃとされるものをいう(酒税しゅぜいほうだいじょうなど)。

 保税ほぜい地域ちいきは、関税かんぜいほうだい29じょう規定きていされる。外国がいこく貨物かもつき、または、外国がいこく貨物かもつ加工かこう製造せいぞう展示てんじなどをすることができるものとして、財務ざいむ大臣だいじん指定していし、または税関ぜいかんちょう許可きょかしたものをいう。該当がいとうするものとして、保税ほぜい倉庫そうこ指定してい保税ほぜい地域ちいき保税ほぜい上屋うわや保税ほぜい工場こうじょう保税ほぜい展示てんじじょうがある。以上いじょうは、園部そのべ逸夫いつお大森おおもりまさし輔編『しん行政ぎょうせいほう辞典じてん』(1999ねん、ぎょうせい)997ぺーじによる。

 (3)課税かぜい物件ぶっけん(Steuerobjekt)

 課税かぜい対象たいしょう課税かぜい客体かくたいともいう。課税かぜい対象たいしょうとなるもの行為こういまたは事実じじつをいう。所得しょとくぜいなどにおける所得しょとく事業じぎょうぜいにおける個人こじんまたは法人ほうじん事業じぎょう収益しゅうえき固定こてい資産しさんぜいなどにおける土地とち固定こてい資産しさんなど特定とくてい財産ざいさん消費しょうひぜいなどにおける課税かぜい資産しさん譲渡じょうと外国がいこく貨物かもつり、酒税しゅぜいなどにおける酒類しゅるいなどの消費しょうひ物件ぶっけん、ゴルフじょう利用りようぜいなどにおける消費しょうひ行為こうい、などが課税かぜい物件ぶっけんれいである。

 (4)課税かぜい標準ひょうじゅん

 課税かぜい標準ひょうじゅんとは、課税かぜい物件ぶっけん数量すうりょうてき確定かくていするための基準きじゅんであり、所有しょゆう収益しゅうえきなどの存在そんざいおよび内容ないよう確認かくにんもとづき、価格かかく金額きんがく数量すうりょう品質ひんしつにより表現ひょうげんされるたとえば、所得しょとくぜい場合ばあいは「そう所得しょとく金額きんがく」などであり(所得しょとく税法ぜいほうだい22じょうだいこう)、消費しょうひぜい場合ばあいは「課税かぜい資産しさん譲渡じょうととう対価たいかがく」である(消費しょうひ税法ぜいほうだい28じょうだいこう)。

 (5)税率ぜいりつ

 税額ぜいがく計算けいさんするため、課税かぜい標準ひょうじゅんたいして適用てきようされる比率ひりつのことである。課税かぜい標準ひょうじゅん金額きんがく価額かがくによりさだめられている場合ばあいれい所得しょとくぜい消費しょうひぜい)には、税率ぜいりつ百分率ひゃくぶんりつなどによってさだめられる。これにたいし、課税かぜい標準ひょうじゅん数量すうりょうによりさだめられる場合ばあいれい酒税しゅぜい、たばこぜい軽油けいゆ引取ひきとぜい)には、課税かぜい標準ひょうじゅんいち単位たんいについて一定いってい金額きんがくとしてさだめられる。

 また、課税かぜい標準ひょうじゅん金額きんがく価額かがくによりさだめられている場合ばあいには、比例ひれい税率ぜいりつ累進税るいしんぜいりつのいずれかが採用さいようされることとなる。

 比例ひれい税率ぜいりつは、y=axのaとして表現ひょうげんされるように、税率ぜいりつつね一定いってい割合わりあいであるものであり、固定こてい資産しさんぜい消費しょうひぜいなどで採用さいようされる。納税のうぜい義務ぎむしゃ担税たんぜいりょく直接的ちょくせつてき考慮こうりょしない場合ばあいであり、応益おうえき負担ふたん原則げんそくむすびつきやすい。

 これにたいし、累進税るいしんぜいりつは、金額きんがく価額かがく増加ぞうかともなって税率ぜいりつ上昇じょうしょうするようにさだめられるものであり、所得しょとくぜい相続そうぞくぜいなどで採用さいようされる。納税のうぜい義務ぎむしゃ担税たんぜいりょく直接的ちょくせつてき考慮こうりょする場合ばあいであり、おうのう負担ふたん原則げんそくむすびつきやすい。

 そして、累進税るいしんぜいりつ単純たんじゅん累進税るいしんぜいりつ超過ちょうか累進税るいしんぜいりつとにけられる。単純たんじゅん累進税るいしんぜいりつは、課税かぜい標準ひょうじゅんおおきくなると単純たんじゅん全体ぜんたいたいしてたか税率ぜいりつ適用てきようされるというものであるが、これではかえって不公平ふこうへいしょうじやすいため、課税かぜい標準ひょうじゅん段階だんかい区分くぶんしたうえ段階だんかいごとに逓次ていじたか税率ぜいりつ適用てきようする超過ちょうか累進るいしん課税かぜい採用さいようする。

 なお、地方ちほう税法ぜいほうにおいては、標準ひょうじゅん税率ぜいりつおよび制限せいげん税率ぜいりつという用語ようご存在そんざいする。

 標準ひょうじゅん税率ぜいりつは、地方ちほう税法ぜいほうだいじょうだいこうだいごうさだめられるものであり、地方ちほう公共こうきょう団体だんたいにとっての目安めやす基準きじゅん)となる税率ぜいりつのことである。総務そうむ大臣だいじん普通ふつう地方ちほう交付こうふぜいがくさだめるさいに、基礎きそ財政ざいせい収入しゅうにゅうがく算定さんてい基礎きそとしてもちいる。

 地方ちほう税法ぜいほうにいう標準ひょうじゅん税率ぜいりつは、消費しょうひ課税かぜいにおける標準ひょうじゅん税率ぜいりつとは意味いみことなるので注意ちゅういされたい。消費しょうひ課税かぜい場合ばあい標準ひょうじゅん税率ぜいりつほか軽減けいげん税率ぜいりつ、ゼロ税率ぜいりつ割増わりまし税率ぜいりつ非課税ひかぜい課税かぜい課税かぜい除外じょがい)などとの対比たいひもちいられる。すなわち、消費しょうひ課税かぜいにおける標準ひょうじゅん税率ぜいりつとは、法律ほうりつにおいて原則げんそくてき適用てきようされるものとして規定きていされる税率ぜいりつである。

 一方いっぽう制限せいげん税率ぜいりつは、地方ちほう税法ぜいほうさだめられた上限じょうげん以下いか税率ぜいりつにより課税かぜいしなければならないものをいう。

 また、地方ちほう税法ぜいほうには登場とうじょうしない用語ようごであるが、税率ぜいりつ一定いっていである場合ばあい一定いってい税率ぜいりつといい、税率ぜいりつ地方ちほう公共こうきょう団体だんたい裁量さいりょうまかされている場合ばあい任意にんい税率ぜいりつという。地方ちほう税法ぜいほうにおいて任意にんい税率ぜいりつ規定きていされる租税そぜいには、課税かぜいするかかも裁量さいりょうゆだねられるものがおおい。

 ▲注意ちゅういしなければならないのが、実効じっこう税率ぜいりつという用語ようごである。これは多義たぎてきもちいられており、文脈ぶんみゃくによる見極みきわめを必要ひつようとするものである。

 だいいち意味いみとして、納税のうぜい義務ぎむしゃ様々さまざま税制ぜいせい優遇ゆうぐう措置そちなどが適用てきようされなかったと仮定かていした場合ばあい所得しょとくなどの課税かぜい標準ひょうじゅんたいする実質じっしつてきぜい負担ふたん割合わりあいすことがある石村いしむら耕治こうじへん税金ぜいきんのすべてがわかる現代げんだい税法ぜいほう入門にゅうもんじゅく』〔だいはん〕(2018ねん清文せいぶんしゃ)37ぺーじ石村いしむら耕治こうじ阿部あべ徳幸のりゆき担当たんとう]〉

  だい意味いみとして、法人ほうじんたいする実効じっこう税率ぜいりつ意味いみもちいられる。この場合ばあいには、

  〔法人ほうじん税率ぜいりつ×(1+住民じゅうみん税率ぜいりつ)+事業じぎょう税率ぜいりつ〕÷(1+事業じぎょう税率ぜいりつ)=実効じっこう税率ぜいりつ

という計算けいさんしきられる税率ぜいりつである〈石村いしむらへん前掲ぜんけいしょ37ぺーじ石村いしむら阿部あべ]〉。

 だいさん意味いみとして、名目めいもく税率ぜいりつまたは表面ひょうめん税率ぜいりつたいする概念がいねんとしてもちいられる。すなわち、法人ほうじんぜい表面ひょうめん税率ぜいりつが40%であるとして、各種かくしゅ控除こうじょとうがなされた結果けっか実際じっさいには30%しか課税かぜいされないという場合ばあいに、実効じっこう税率ぜいりつという言葉ことばもちいられることがある)代田しろたじゅん日本にっぽん国債こくさい膨張ぼうちょう崩壊ほうかい』(2017ねんぶん眞堂しんどう)21ぺーじだいいち意味いみとはまったぎゃくであることに注意ちゅういされたい。

 (6)租税そぜい所属しょぞく関係かんけい

 納税のうぜい義務ぎむしゃが、特定とくてい租税そぜいにつき、いずれの課税かぜいけんしゃたいして納税のうぜい義務ぎむうかにかんする事柄ことがらである。すなわち、租税そぜい所属しょぞく関係かんけいとは、納税のうぜい義務ぎむしゃ課税かぜい主体しゅたいとの関係かんけい説明せつめいしうる事項じこうである。

 (7)租税そぜい帰属きぞく関係かんけい

 課税かぜい物件ぶっけん納税のうぜい義務ぎむしゃ帰属きぞくする関係かんけいのことである。清永きよながけい教授きょうじゅは「帰属きぞく関係かんけいは、かく租税そぜいおうじて種々しゅじゅ仕方しかた形成けいせいされることになる」として、「たとえば、所得しょとくぜい法人ほうじんぜいにおいては納税のうぜい義務ぎむしゃ課税かぜい物件ぶっけんたる所得しょとくを『取得しゅとくする』ことにより、相続そうぞくぜい贈与ぞうよぜいにおいては相続そうぞく財産ざいさんとうを『取得しゅとくする』ことにより、印紙いんしぜいにおいては課税かぜい文書ぶんしょを『作成さくせいする』ことにより、それぞれ納税のうぜい義務ぎむしゃ課税かぜい物件ぶっけんとの関係かんけい形成けいせいされることになる」と説明せつめいする清永きよなが前掲ぜんけいしょ70ぺーじ

 このように、租税そぜい帰属きぞく関係かんけい法律ほうりつによってしめされているのであるが、具体ぐたいてき事例じれいにおいては、租税そぜい帰属きぞく関係かんけい問題もんだいとなることがおおい。また、所得しょとくぜいおよび法人ほうじんぜいかんする実質じっしつ所得しょとくしゃ課税かぜい原則げんそくは、租税そぜい帰属きぞく関係かんけいから問題もんだいである。

 

 ▲だいはんにおける履歴りれき:2019ねんがつ29にち掲載けいさい

 ▲だいはんにおける履歴りれき:「02 課税かぜい要件ようけん」として、2011ねんがつ15にち掲載けいさい

             2011ねんがつ21にち修正しゅうせい

             2012ねんがつにち修正しゅうせい

             2013ねんがつ29にち修正しゅうせい

             2013ねんがつにち修正しゅうせい

             2017ねん11月8にちてい

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だい租税そぜいほう基礎きそ理論りろん  だい03かい租税そぜい法学ほうがく理論りろんじょう体系たいけい

2019ねん09がつ28にち 0000ふん00びょう | 租税そぜいほう講義こうぎノート〔だいはん

 論者ろんしゃによって内容ないよう順番じゅんばんことなることもおおいが、租税そぜい法学ほうがく理論りろんじょう体系たいけいは、おおむね、つぎのようになっている。なお、おおくの教科書きょうかしょにおいては、とくにシャウプ勧告かんこく焦点しょうてんて、近代きんだい国家こっかになってからの日本にっぽん租税そぜい歴史れきしあつかうのであるが、この講義こうぎにおいては省略しょうりゃくし、のち必要ひつよう部分ぶぶんについて若干じゃっかんれるにめる。

 元々もともと租税そぜいほう行政ぎょうせいほう各論かくろんにおいてあつかわれた分野ぶんやであり、租税そぜい法学ほうがくとして独立どくりつしてはいるが現在げんざいでも行政ぎょうせいほういち分野ぶんやであることにわりがないため、体系たいけいについては行政ぎょうせい法学ほうがく共通きょうつうする部分ぶぶんおおい。

 

 1.租税そぜいほう基本きほん原則げんそく

 租税そぜい意義いぎ租税そぜい法律ほうりつ主義しゅぎ租税そぜいほう解釈かいしゃく課税かぜいじょう原則げんそくなど、租税そぜいほう全体ぜんたい共通きょうつうする原則げんそくあつかう。租税そぜいほう総則そうそく、または租税そぜいほう基礎きそ理論りろんともわれる。この部分ぶぶんのみにかんする解説かいせつしょもあるほどで、理論りろんてき難題なんだいすくなくない。

 

 2.租税そぜい実体じったいほう

 所得しょとく税法ぜいほう法人ほうじん税法ぜいほう消費しょうひ税法ぜいほうなどの個別こべつ租税そぜいほうについて、課税かぜい要件ようけんなどをあつかう。おおくの体系たいけいしょ租税そぜい実体じったいほう膨大ぼうだいぺーじすうて、租税そぜいほう中心ちゅうしんてき存在そんざいとなっているとともに、一般いっぱん国民こくみんにとってももっと関心かんしんたか分野ぶんやであろう。個別こべつ租税そぜい実体じったいほうかんする概説がいせつしょなどもおお出版しゅっぱんされている。

 

 3.租税そぜい手続てつづきほう

 根本こんぽんてきには、行政ぎょうせい法学ほうがくにおける行政ぎょうせい手続てつづきほうおなじものである。納税のうぜい義務ぎむ成立せいりつしてから具体ぐたいてき租税そぜい納付のうふされるまでの手続てつづきである。たとえば、申告しんこく納税のうぜいは、納税のうぜい義務ぎむしゃおさめるべき税額ぜいがく納税のうぜい義務ぎむしゃみずからが確定かくていし、申告しんこくして納付のうふするが、場合ばあいによっては税務署ぜいむしょみとめられず、納税のうぜい義務ぎむしゃ修正しゅうせい申告しんこくをするか、税務署ぜいむしょ更正こうせい処分しょぶんおこなう。滞納たいのう処分しょぶんいた場合ばあいもある。こうした一連いちれん過程かていあつかう。

 見方みかたによっては、租税そぜい処罰しょばつほう租税そぜい争訟そうしょうほう租税そぜい手続てつづきほうはいるのであるが、これらは事後じご手続てつづきであるため、租税そぜい手続てつづきほうとはべつあつかわれる。このてん行政ぎょうせい手続てつづきほうおなじである。ただし、租税そぜい手続てつづきについては行政ぎょうせい手続てつづきほう適用てきようされず、国税こくぜい通則つうそくほう国税こくぜい徴収ちょうしゅうほうなどが適用てきようされる場合ばあいおおい。

 

 4.租税そぜい争訟そうしょうほう

 行政ぎょうせい法学ほうがくにおける行政ぎょうせい争訟そうしょうほう根本こんぽんてきにはおなじである。更正こうせい処分しょぶん滞納たいのう処分しょぶんなどをけた納税のうぜい義務ぎむしゃ救済きゅうさいけるための手続てつづきあつかう。租税そぜいほう場合ばあいは、行政ぎょうせい不服ふふく審査しんさまえおけ主義しゅぎ採用さいようされ、しかも行政ぎょうせい不服ふふく審査しんさほうではなく、国税こくぜい通則つうそくほう規定きてい適用てきようされる。そのため、税務署ぜいむしょちょうたいする異議いぎ申立もうしたてて、国税こくぜい不服ふふく審判しんぱんしょへの審査しんさ請求せいきゅうてから、裁判所さいばんしょ訴訟そしょう提起ていきすることとなる。なお、租税そぜい訴訟そしょうかんする特別とくべつほう存在そんざいしないので、行政ぎょうせい事件じけん訴訟そしょうほうなどが適用てきようされる。

 

 5.租税そぜい処罰しょばつほう罰則ばっそくほう

 行政ぎょうせい法学ほうがくにおける行政ぎょうせい刑法けいほう根本こんぽんてきにはおなじである。個々ここ租税そぜい確定かくてい徴収ちょうしゅう納付のうふ直接的ちょくせつてき関連かんれんする犯罪はんざいと、それにたいする制裁せいさい刑罰けいばつなどの処罰しょばつ)をあつかう。

 中心ちゅうしんとなるのは脱税だつぜいはんである。これは、つぎのように細分さいぶんされる。

 逋脱はん狭義きょうぎ脱税だつぜいはん):納税のうぜい義務ぎむしゃまたは徴収ちょうしゅう納付のうふ義務ぎむしゃが、いつわりその不正ふせい手段しゅだんにより、租税そぜいまぬかれ、またはその還付かんぷけたことを構成こうせい要件ようけんとする犯罪はんざいである。帳簿ちょうぼ書類しょるいへの虚偽きょぎ記入きにゅうじゅう帳簿ちょうぼ作成さくせいなどの手段しゅだんによることがおおいが、単純たんじゅん申告しんこく過少かしょう申告しんこくであっても逋脱はん該当がいとうする場合ばあいがありうる。課税かぜい主体しゅたい租税そぜい債権さいけん直接的ちょくせつてき侵害しんがいする犯罪はんざい位置いちづけられる。

 間接かんせつ脱税だつぜいはん外国がいこく貨物かもつ密輸入みつゆにゅう酒類しゅるい密造みつぞうなど、一般いっぱんてき法律ほうりつにより禁止きんしされている行為こういおこなった場合ばあい該当がいとうする。

 納付のうふはん徴収ちょうしゅう納付のうふ義務ぎむしゃが、徴収ちょうしゅう納付のうふすべき租税そぜい納付のうふしない、という事実じじつ構成こうせい要件ようけんとするものである。

 滞納たいのう処分しょぶんだっはん滞納たいのう処分しょぶん執行しっこうまぬかれる目的もくてきにより、財産ざいさん隠蔽いんぺい損壊そんかい、その租税そぜい債権さいけんしゃ利益りえきがいする行為こうい該当がいとうする。

 脱税だつぜいはんとはべつに、租税そぜい危害きがいはん概念がいねん存在そんざいする。これは、課税かぜい主体しゅたい租税そぜい債権さいけん直接的ちょくせつてき侵害しんがいするものではないが、租税そぜい確定かくていけん租税そぜい徴収ちょうしゅうけん行使こうしさまたげるためにばってきであるとされる行為こうい犯罪はんざいとするものであり、おもなものはつぎとおりである。

 虚偽きょぎ申告しんこくはん文字通もじどおり、納税のうぜい申告しんこくしょ虚偽きょぎ記載きさいをすることが構成こうせい要件ようけんとされる犯罪はんざいである。

 単純たんじゅん申告しんこくはん正当せいとう理由りゆうがないにもかかわらず、納税のうぜい申告しんこくしょ提出ていしゅつ期限きげんない提出ていしゅつしないことが構成こうせい要件ようけんとされる犯罪はんざいである。ただし、いつわりその不正ふせい行為こういむすびついている場合ばあいには、単純たんじゅん申告しんこくはんではなく、逋脱はんとされる。

 徴収ちょうしゅうはん源泉げんせん徴収ちょうしゅうなどの徴収ちょうしゅう納付のうふ義務ぎむしゃが、納税のうぜい義務ぎむしゃから徴収ちょうしゅうすべき租税そぜい徴収ちょうしゅうしない場合ばあいをいう。

 検査けんさ拒否きょひはん:これは、つぎのような行為こうい構成こうせい要件ようけんとする犯罪はんざいである。

 ①税務ぜいむ職員しょくいんおこな質問しつもんたいして答弁とうべんをしない、

 ②税務ぜいむ職員しょくいんおこな質問しつもんたいしていつわりの答弁とうべんをする、

 ③税務ぜいむ職員しょくいんおこな検査けんさ拒否きょひする、

 ④税務ぜいむ職員しょくいんおこな検査けんささまたげる、

 ⑤税務ぜいむ職員しょくいんおこな検査けんさ忌避きひする、

 ⑥質問しつもん検査けんささいいつわりの記載きさいがなされた帳簿ちょうぼ書類しょるい提出ていしゅつする。

 

 ▲だいはんにおける履歴りれき:2019ねんがつ28にち掲載けいさい

 ▲だいはんにおける履歴りれき:「だい租税そぜいほう基礎きそ理論りろん だい01かい租税そぜいとはいかなるものか」を参照さんしょうほん記事きじは、だいはんにおける「01 租税そぜい租税そぜいほう」の一部いちぶ分離ぶんり独立どくりつさせたものである。

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だい租税そぜいほう基礎きそ理論りろん  だい02かい租税そぜい分類ぶんるい

2019ねん09がつ27にち 0000ふん00びょう | 租税そぜいほう講義こうぎノート〔だいはん

 日本にっぽん実定法じっていほうさだめる租税そぜいには様々さまざまなものが存在そんざいする。これらは、勿論もちろん無秩序むちつじょに、あるいは相互そうご無関係むかんけい存在そんざいするのではなく、一定いってい体系たいけいせいゆうする。ここで、租税そぜい分類ぶんるいなどを概観がいかんする。

 

 1.国税こくぜい地方ちほうぜい

 国税こくぜいとは、くに租税そぜい主体しゅたいとして賦課ふか徴収ちょうしゅうする租税そぜいのことである。所得しょとくぜい法人ほうじんぜい消費しょうひぜい相続そうぞくぜい贈与ぞうよぜい酒税しゅぜい関税かんぜいなどが該当がいとうする。国税こくぜい場合ばあいは、単一たんいつ法典ほうてんではなく、国税こくぜい通則つうそくほう国税こくぜい徴収ちょうしゅうほうなどの一般いっぱんてき法典ほうてんと、所得しょとく税法ぜいほう法人ほうじん税法ぜいほうなど、個別こべつ法典ほうてんにより規律きりつされる。これはドイツにならった方式ほうしきである。

 一般いっぱんほうとはがたいが、所得しょとく税法ぜいほう法人ほうじん税法ぜいほうなどの個別こべつ法典ほうてん規定きていされる原則げんそくを、様々さまざま政策せいさくのために修正しゅうせいする特別とくべつ措置そちをまとめた法律ほうりつがある。租税そぜい特別とくべつ措置そちほうである。この法律ほうりつさだめられる特別とくべつ措置そちは、おも非課税ひかぜい租税そぜい負担ふたん軽減けいげんのためのものであり、一般いっぱんてき特別とくべつ措置そちというとこのたねのものをすが、租税そぜい負担ふたん加重かじゅうする特別とくべつ措置そち存在そんざいする。また、たんなる租税そぜい負担ふたん加重かじゅうとは意味いみことにするが、国際こくさいてき租税そぜい回避かいひ防止ぼうしするための規定きていとして、租税そぜい特別とくべつ措置そちほうだい40じょうの4およびどうだい66じょうの6がある。これらも租税そぜい軽減けいげんするための特別とくべつ措置そちではない。なお、租税そぜい特別とくべつ措置そち租税そぜい特別とくべつ措置そちほうさだめられるのが一般いっぱんてきであるが、所得しょとく税法ぜいほう法人ほうじん税法ぜいほうなどの一般いっぱんほう規定きていされることもおおい。

 地方ちほうぜいは、普通ふつう地方ちほう公共こうきょう団体だんたいおよび特別とくべつ租税そぜい主体しゅたいとして賦課ふか徴収ちょうしゅうする租税そぜいのことであり、さらに都道府県とどうふけんぜい地方ちほう税法ぜいほうでは道府県どうふけんぜいという)と市町村しちょうそんぜいとにかれる。個人こじん住民じゅうみんぜい法人ほうじん住民じゅうみんぜい個人こじん事業じぎょうぜい法人ほうじん事業じぎょうぜい固定こてい資産しさんぜい都市とし計画けいかくぜい地方ちほう消費しょうひぜいなどが該当がいとうする。地方ちほうぜい場合ばあいは、国税こくぜいことなり、租税そぜい手続てつづきふくめて地方ちほう税法ぜいほうという単一たんいつ法典ほうてんにより規律きりつされる。これはアメリカやフランスとおな形式けいしきである。

 日本にっぽんにおいては、国税こくぜいのほうが全体ぜんたいめる収入しゅうにゅう割合わりあいおおく、また、主要しゅよう税源ぜいげん国税こくぜいのほうに配分はいぶんされている。このため、実際じっさい事務じむりょうなどは地方ちほう公共こうきょう団体だんたい全体ぜんたいのほうがおおいにもかかわらず、租税そぜい収入しゅうにゅうくにのほうがおおいという問題もんだいがある。

 なお、「だい租税そぜいほう基礎きそ理論りろん だい01かい租税そぜいとはいかなるものであるか」にべたように地方ちほう交付こうふぜいおよび地方ちほう譲与じょうよぜい存在そんざいする。

 地方ちほう交付こうふぜいは、国税こくぜいのうち、所得しょとくぜい法人ほうじんぜい酒税しゅぜいおよび消費しょうひぜいのそれぞれ一定いってい割合わりあい、ならびに地方ちほう法人ほうじんぜいがくを、くに地方自治体ちほうじちたい交付こうふするものである(地方ちほう交付こうふ税法ぜいほうだいじょうだいごう)。したがって、地方ちほう交付こうふぜいという名称めいしょうではあるが、くにから地方ちほう公共こうきょう団体だんたいへの交付こうふきんであって、租税そぜいではない。詳細しょうさいについては地方ちほう交付こうふ税法ぜいほう参照さんしょうされたい。

 また、地方ちほう譲与じょうよぜいは、国税こくぜいではあるが、その収入しゅうにゅう一定いってい割合わりあい地方自治体ちほうじちたい譲与じょうよするものであり、その目的もくてき法律ほうりつさだめられているものである。ここでは、れいとして特別とくべつ法人ほうじん事業じぎょう譲与じょうよぜいおよび森林しんりん環境かんきょう譲与じょうよぜいをあげておく。

 

 2.ない国税こくぜい関税かんぜい

 関税かんぜいは、国税こくぜいのうち、外国がいこくからの輸入ゆにゅう貨物かもつされるものである。これ以外いがいうち国税こくぜいである。内国ないこくぜい関税かんぜいとでは、あつか行政ぎょうせい組織そしきことなる。内国ないこくぜいあつかうのは国税庁こくぜいちょう国税局こくぜいきょく税務署ぜいむしょであり、関税かんぜいあつかうのは税関ぜいかんである。また、関税かんぜいについては、関税かんぜいほうおよび関税かんぜい定率ていりつほう、さらに国際こくさい条約じょうやく適用てきようされており、原則げんそくとして、国税こくぜい通則つうそくほう国税こくぜい徴収ちょうしゅうほう適用てきよう排除はいじょされる。

 

 3.直接ちょくせつぜい間接かんせつぜい

 伝統でんとうてき学説がくせつによると、直接ちょくせつぜい間接かんせつぜいは、それぞれ、つぎのように定義ていぎされてきた。

 まず、直接ちょくせつぜいとは、納税のうぜい義務ぎむしゃ担税たんぜいしゃ同一どういつであることを立法りっぽうしゃ予定よていする租税そぜいをいう。これに該当がいとうするとされるのが所得しょとくぜい法人ほうじんぜい相続そうぞくぜい固定こてい資産しさんぜいなどである。

 これにたいし、間接かんせつぜいとは、納税のうぜい義務ぎむしゃ担税たんぜいしゃとがことなり、納税のうぜい義務ぎむしゃ租税そぜい負担ふたんべつもの担税たんぜいしゃ)に転嫁てんかすることを立法りっぽうしゃ予定よていする租税そぜいをいう。これに該当がいとうするとされるのが消費しょうひぜい地方ちほう消費しょうひぜい酒税しゅぜい、たばこぜい揮発きはつぜい関税かんぜいなどである。

 上記じょうきのような定義ていぎについて、木下きのした和夫かずお教授きょうじゅは「一般いっぱんてきにはわかりやすいが、厳密げんみつ定義ていぎしていくときには非常ひじょうにあいまいな区分くぶんになってしまうという性格せいかくっている」とべる木下きのした和夫かずお租税そぜい構造こうぞう理論りろん課題かだい木下きのした和夫かずお編著へんちょ租税そぜい構造こうぞう理論りろん課題かだい(21世紀せいきささえる税制ぜいせい論理ろんりだいかん)』〔改訂かいていばん〕(2011ねん税務ぜいむ経理けいり協会きょうかい)7ぺーじ

 直接ちょくせつぜい間接かんせつぜいとの区別くべつは、一般いっぱんてき転嫁てんか有無うむ基準きじゅんにするものとして説明せつめいされてきた。直接ちょくせつぜい間接かんせつぜいのそれぞれについて上記じょうきのように理解りかいするならば、転嫁てんか基準きじゅんにせざるをえない。しかし、実際じっさいには、直接ちょくせつぜいであるから転嫁てんかがなされない、あるいは、間接かんせつぜいであるからかなら転嫁てんかがなされる、ということにはならない。市場いちばにおいては、当事とうじしゃちから関係かんけいなどにより、転嫁てんか有無うむ決定けっていされるから、間接かんせつぜいであっても租税そぜい負担ふたん転嫁てんかされないという場合ばあい存在そんざいするのである。これにたいし、法人ほうじんぜい直接ちょくせつぜいであり、納税のうぜい義務ぎむしゃ担税たんぜいしゃ同一どういつであるとされるが、実際じっさいには、法人ほうじん取引とりひき活動かつどうなどをなすさいに、法人ほうじんぜい負担ふたんぶん価格かかく上乗うわのせし、相手方あいてがた実際じっさい負担ふたん転嫁てんかするという現象げんしょう存在そんざいする。

 木下きのした和夫かずお教授きょうじゅは、つぎのようにべる。

 「転嫁てんかおおきさの程度ていどによっては、たとえば消費しょうひぜいにおいて完全かんぜん転嫁てんかされれば間接かんせつぜいになるが、消費しょうひぜい市場いちば状況じょうきょうによってまった転嫁てんかされないときには直接ちょくせつぜい(つまり事業じぎょうしゃ課税かぜい)になってしまうことになる。あるいは、所得しょとくぜいれいにとってみても、雇用こようしゃ所得しょとくぜいのほとんどが源泉げんせん徴収ちょうしゅう方法ほうほうによって勤務きんむさき事業じぎょうぬし納税のうぜいするが、そのぜい負担ふたん雇用こようしゃうというのであれば、個人こじん所得しょとくぜいだい部分ぶぶん直接ちょくせつぜいではなくて間接かんせつぜいなのか、ということになる。直間ちょっかん比率ひりつは、あいまいな定義ていぎもとづく租税そぜい分類ぶんるい基準きじゅんであるために、厳密げんみつ議論ぎろんをする場合ばあいには混乱こんらんをひきおこすことになる。/現代げんだいでは、このような状況じょうきょうをふまえて、直接ちょくせつぜい間接かんせつぜい分類ぶんるい基準きじゅんはむしろ形式けいしきてきかつ直観ちょっかんてきなものであり、課税かぜい当局とうきょく行政ぎょうせいじょう分類ぶんるいとしてもちいられているにすぎないというべきであろう。」木下きのした前掲ぜんけいしょぺーじ。/は原文げんぶん改行かいぎょう箇所かしょ。〉

 金子かねこひろし教授きょうじゅは、直接ちょくせつぜいとされる固定こてい資産しさんぜいれいにとり、固定こてい資産しさん所有しょゆうしゃ固定こてい資産しさんぜいぶん地代じだい家賃やちんふくめて借地しゃくちじん借家しゃくやじん転嫁てんかするという現象げんしょう、すなわち、固定こてい資産しさんぜい実質じっしつてき負担ふたん所有しょゆうしゃではなく、借地しゃくちじん借家しゃくやじんがなすという現象げんしょう存在そんざいすることを指摘してきし、「最近さいきんでは、むしろ、所得しょとく財産ざいさんなど担税たんぜいりょく租税そぜい負担ふたんする能力のうりょくのこと)の直接ちょくせつ標識ひょうしきかんがえられるものを対象たいしょうとしてされる租税そぜい直接ちょくせつぜいび、消費しょうひ取引とりひきなど担税たんぜいりょく間接かんせつてき推定すいていさせる事実じじつ対象たいしょうとしてされる租税そぜい間接かんせつぜいぶことがおおい」とべる金子かねこひろし租税そぜいほう』〔だいじゅうさんはん〕(2019ねん弘文こうぶんどう)16ぺーじ

 固定こてい資産しさんぜい都市とし計画けいかくぜいされている市町村しちょうそんにおいては都市とし計画けいかくぜいふくめて)の転嫁てんかについてしるすならば、固定こてい資産しさん所有しょゆうしゃ借地しゃくちじん借家しゃくやじん税額ぜいがくすくなくともその一部いちぶ)を転嫁てんかしなければ、固定こてい資産しさん維持いじがたいという場合ばあいすくなくないであろう。同様どうようのことは不動産ふどうさん所得しょとくぜいについても指摘してきしうるので、そのかぎりにおいて所得しょとくぜい転嫁てんかされうることになる。もっとも、固定こてい資産しさんぜい不動産ふどうさん所得しょとくぜい場合ばあい固定こてい資産しさん所有しょゆうしゃ転嫁てんか意識いしきがあるかかについては、議論ぎろん余地よちもあろう。それに、転嫁てんか云々うんぬんをいいだすならば、譲渡じょうと所得しょとくぜいなどについてもみとめざるをえないのではなかろうか。

 また、神野かみの直彦なおひこ教授きょうじゅは「直接ちょくせつぜい間接かんせつぜいは、租税そぜい負担ふたん転嫁てんか有無うむ基準きじゅんとした分類ぶんるいだとかんがえてよい」としつつ神野かみの直彦なおひこ財政ざいせいがく』〔改訂かいていばん〕(2007ねん有斐閣ゆうひかく)149ぺーじ実際じっさい転嫁てんか有無うむ判断はんだんすることがむずかしいという事実じじつ指摘してきする。そのうえで「法人ほうじんぜい転嫁てんかされていることを実証じっしょうする研究けんきゅう続々ぞくぞくあらわれている」としていくつかの研究けんきゅう紹介しょうかいし、「法人ほうじんぜい転嫁てんか肯定こうていする議論ぎろんが、常識じょうしきになっているといってもよい」、「シュタインがいうように、転嫁てんか不可知論ふかちろん領域りょういきぞくするといったほうがよいかもしれない」、「転嫁てんか有無うむ分類ぶんるい基準きじゅんとする直接ちょくせつぜい間接かんせつぜい区別くべつは、きわめて曖昧あいまい租税そぜい分類ぶんるい基準きじゅんとなる。そのため直接ちょくせつぜい間接かんせつぜい区別くべつは、実際じっさい転嫁てんか有無うむでなく、立法りっぽうじょう規定きていゆだねられるようになっている。つまり、法律ほうりつじょう納税のうぜいしゃ負担ふたんすることを予定よていしている租税そぜい直接ちょくせつぜいであり、納税のうぜいしゃ負担ふたんしないで、取引とりひき相手あいて負担ふたんすることを予定よていしている租税そぜい間接かんせつぜい、と理解りかいされている」とべる神野かみの前掲ぜんけいしょ177ぺーじ結果けっかてきに、わたし説明せつめいおな趣旨しゅしである〉

 以上いじょうことなる説明せつめいをなすのが吉田よしだひろし教授きょうじゅである。吉田よしだ教授きょうじゅは、納税のうぜい義務ぎむしゃ担税たんぜいしゃとの異同いどうによる直接ちょくせつぜい間接かんせつぜいとの区別くべつについて「これではサラリーマンの給与きゅうよからの源泉げんせん徴収ちょうしゅうによる所得しょとくぜい直接ちょくせつぜい説明せつめいすることができない」として「最近さいきん説明せつめいでは直接ちょくせつぜいは『ぜい負担ふたんしゃ個別こべつ事情じじょう考慮こうりょできるぜい』、間接かんせつぜいは『ぜい負担ふたんしゃ個別こべつ事情じじょう考慮こうりょできないぜい』とも説明せつめいされている」とべるはたみのりするどはやし正義まさよし吉田よしだひろし財政ざいせいがくをつかむ』(2008ねん有斐閣ゆうひかく)204ぺーじ源泉げんせん徴収ちょうしゅうによる所得しょとくぜいについては、木下きのした教授きょうじゅも「雇用こようしゃ所得しょとくぜいのほとんどが源泉げんせん徴収ちょうしゅう方法ほうほうによって勤務きんむさき事業じぎょうぬし納税のうぜいするが、そのぜい負担ふたん雇用こようしゃうというのであれば、個人こじん所得しょとくぜいだい部分ぶぶん直接ちょくせつぜいではなくて間接かんせつぜいなのか、ということになる」と指摘してきする(木下きのした前掲ぜんけいぺーじ)〉。また、鈴木すずきすすむさとし教授きょうじゅは「直接ちょくせつぜい個人こじん経済けいざいてき事情じじょう反映はんえいさせることが可能かのうぜいであるのにたいし、間接かんせつぜい記名きめい課税かぜいベースにたいして課税かぜいおこなわれるというてん重要じゅうようである」とべる麻生あそう良文よしふみ小黒おぐろ一正かずまさ鈴木すずきすすむさとし財政ざいせいがく15こう』(2017ねんしんしゃ)89ぺーじ鈴木すずきすすむさとし担当たんとう]〉表現ひょうげんことなるが、のちしめ北野きたの博士はかせ説明せつめい同旨どうしである、とかんがえてよいであろう。

 租税そぜい負担ふたん転嫁てんか可能かのうせいは、財政ざいせいがく観点かんてんった場合ばあい議論ぎろんであるとうべきである。勿論もちろん法律ほうりつがくにおいても、立法りっぽう政策せいさくなどを考慮こうりょれるならば、転嫁てんか可能かのうせい有無うむ重要じゅうようであるが、法律ほうりつがく観点かんてんった場合ばあいには、租税そぜい法律ほうりつ関係かんけい着目ちゃくもくすべきであろう。北野きたの弘久ひろひさ 博士はかせは「直接ちょくせつぜい場合ばあいには、税法ぜいほうじょう納税のうぜい義務ぎむしゃ担税たんぜいしゃとが一致いっちすることが予定よていされているために、ほんとうの納税のうぜいしゃである担税たんぜいしゃ租税そぜい法律ほうりつ関係かんけい当事とうじしゃとしての法的ほうてき地位ちい取得しゅとくすることが予定よていされている。ぎゃくに、間接かんせつぜい場合ばあいには、ほんとうの納税のうぜいしゃである担税たんぜいしゃは、租税そぜい法律ほうりつ関係かんけい当事とうじしゃとしての法的ほうてき地位ちいあたえられず、ほう形式けいしきてきにも租税そぜい法律ほうりつ関係かんけいから排除はいじょされることが予定よていされていることを意味いみする」とべる北野きたの弘久ひろひさへん現代げんだい税法ぜいほう講義こうぎ』〔ていばん〕(2009ねん法律文化社ほうりつぶんかしゃ)7ぺーじ北野きたの弘久ひろひさ担当たんとう]〉

 (4)人税じんぜい物税ぶつぜい

 人税じんぜいとは主体しゅたいぜいともいい、おも人的じんてき側面そくめん着目ちゃくもくしてされるものであり、所得しょとくぜい相続そうぞくぜいなどが該当がいとうする。これにたいし、物税ぶつぜいとは客体かくたいぜいともいい、おも物的ぶってき側面そくめん着目ちゃくもくしてされるものであり、消費しょうひぜい固定こてい資産しさんぜいなどが該当がいとうする。

 (5)収得しゅうとくぜい財産ざいさんぜい消費しょうひぜい流通りゅうつうぜい

 これは、担税たんぜいりょく標識ひょうしきおよび課税かぜい物件ぶっけん相違そうい基準きじゅんとした区別くべつである。

 収得しゅうとくぜいは、収入しゅうにゅう着目ちゃくもくしてされる租税そぜいであり、直接的ちょくせつてき所得しょとく対象たいしょうとする所得しょとくぜい法人ほうじんぜい住民じゅうみんぜいなどもふくまれる)と、ひと所有しょゆうする生産せいさん手段しゅだんからられる収益しゅうえき対象たいしょうとする収益しゅうえきぜい事業じぎょうぜい鉱産こうさんぜいなど)とにかれる。なお、相続そうぞくぜいおよび贈与ぞうよぜいは、所得しょとくぜい補完ほかんぜいとしてかんがえるならば収得しゅうとくぜいであるが、つぎ説明せつめいする資産しさん課税かぜい財産ざいさんぜい)ととらえるせつ存在そんざいする。

 北野きたのへん前掲ぜんけいしょは、所得しょとくぜいのうち、譲渡じょうと所得しょとくおよび山林さんりん所得しょとくを「所得しょとく課税かぜいほう」の項目こうもくにおいてではなく、「資産しさん課税かぜいほう」の項目こうもくにおいてあつかう。

 財産ざいさんぜいは、財産ざいさん所有しょゆう着目ちゃくもくしてされる租税そぜいであり、ひと財産ざいさん全体ぜんたい純資産じゅんしさん対象たいしょうとする一般いっぱん財産ざいさんぜいと、特定とくてい種類しゅるい財産ざいさん対象たいしょうとする個別こべつ財産ざいさんぜいとにかれる。日本にっぽんにおいては、かつて、一般いっぱん財産ざいさんぜいとして富裕ふゆうぜい存在そんざいしたが、すで廃止はいしされている。相続そうぞくぜいおよび贈与ぞうよぜいは、財産ざいさんぜいとすれば一般いっぱん財産ざいさんぜいふくまれることとなる。これにたいし、個別こべつ財産ざいさんぜいには、地価ちかぜい固定こてい資産しさんぜい自動車じどうしゃぜいなどがあり、重要じゅうよう地位ちいめている。

 金子かねこ前掲ぜんけいしょ17ぺーじは、一般いっぱん財産ざいさんぜいれいとして、1946(昭和しょうわ21)ねん導入どうにゅうされた財産ざいさんぜいと1950(昭和しょうわ25)ねん導入どうにゅうされた富裕ふゆうぜいをあげる。

 消費しょうひぜいは、物品ぶっぴんやサービスを購入こうにゅうし、消費しょうひすることに着目ちゃくもくしてされる租税そぜいである。ゴルフじょう利用りようぜい入湯にゅうとうぜいのように、消費しょうひ行為こういそのものにされるのが直接ちょくせつ消費しょうひぜいであり、製造せいぞう業者ぎょうしゃ小売こうりじんにより納付のうふされた租税そぜい販売はんばい価格かかくふくめられて消費しょうひしゃなどに転嫁てんかされることが予定よていされるものが間接かんせつ消費しょうひぜいである。れいとして、消費しょうひぜい酒税しゅぜい、たばこぜいなどをあげうる。

 さらに、間接かんせつ消費しょうひぜいは、課税かぜい対象たいしょうおうじて個別こべつ消費しょうひぜい一般いっぱん消費しょうひぜいとにかれ、課税かぜい段階だんかいおうじてたん段階だんかい消費しょうひぜい段階だんかい消費しょうひぜいかれる。このため、理念りねんてきにはたん段階だんかい個別こべつ消費しょうひぜい段階だんかい個別こべつ消費しょうひぜいたん段階だんかい一般いっぱん消費しょうひぜい段階だんかい一般いっぱん消費しょうひぜいよんしゅ存在そんざいしうることとなるが、日本にっぽん税制ぜいせいには、現在げんざい段階だんかい個別こべつ消費しょうひぜいたん段階だんかい一般いっぱん消費しょうひぜい存在そんざいしない。

 個別こべつ消費しょうひぜいは、課税かぜい対象たいしょう特定とくてい物品ぶっぴんまたはサービスに限定げんていされるというものであり、酒税しゅぜい、たばこぜいなどが該当がいとうする。これにたいし、一般いっぱん消費しょうひぜいは、課税かぜい対象たいしょう原則げんそくとしてすべての物品ぶっぴんおよびサービスであるというもの、すなわち、課税かぜい対象たいしょう原則げんそくとして限定げんていされないものをいう。消費しょうひぜいおよび地方ちほう消費しょうひぜい該当がいとうする。

 また、たん段階だんかい消費しょうひぜいは、ひとつの取引とりひき段階だんかいのみで課税かぜいおこなうものであり、酒税しゅぜい、たばこぜいなどが該当がいとうする。これにたいし、段階だんかい消費しょうひぜいとは、複数ふくすう取引とりひき段階だんかい課税かぜいおこなうものであり、消費しょうひぜいおよび地方ちほう消費しょうひぜい該当がいとうする。

 流通りゅうつうぜいは、権利けんり取得しゅとく移転いてんなど、取引とりひきかんする様々さまざま事実じじつ行為こうい法律ほうりつ行為こうい対象たいしょうとしてされる租税そぜいである。登録とうろく免許めんきょぜい印紙いんしぜい不動産ふどうさん取得しゅとくぜいなどが該当がいとうする。

 (6)普通ふつうぜい目的もくてきぜい

 普通ふつうぜいとは、収入しゅうにゅう使途しと特定とくてい経費けいひてることを予定よていせずにされる租税そぜいである近代きんだい立憲りっけん国家こっかにおいては普通ふつうぜい原則げんそくとされている。これはノン・アフェクタシオンの原則げんそくわれるものであり、財政ざいせいほうだい14じょう会計かいけいほうだいじょうおよび地方ちほう自治じちほうだい210じょうにいう総計そうけい予算よさん主義しゅぎ要請ようせいでもある。

 これにたいし、目的もくてきぜいとは、当初とうしょから収入しゅうにゅう使途しと特定とくてい経費けいひてることを予定よていしてされる租税そぜいである法律ほうりつによって支出ししゅつ目的もくてき規定きていされているため、例外れいがいとしてあつかわれる。

 しかし、最近さいきんでは、支出ししゅつ目的もくてき限定げんていというめん着目ちゃくもくし、目的もくてきぜい応益おうえき原則げんそくすることが強調きょうちょうされ、さい評価ひょうか機運きうんられる。また、地方ちほう分権ぶんけんともな課税かぜい自主権じしゅけん強化きょうか一環いっかんとして、法定ほうていがい目的もくてきぜい活用かつようれいえている。

 たしかに、目的もくてきぜいにより、税収ぜいしゅう使途しと明確めいかく期待きたいできる部分ぶぶんがあることは否定ひていできないのであるが、つぎしめすような問題もんだいがあり、法定ほうていがい普通ふつうぜいふくめて懸念けねんいだかざるをえない。

 だいいちに、目的もくてきぜい多用たようするならば「財政ざいせい統一とういつてき運営うんえい困難こんなんに」し金子かねこ前掲ぜんけいしょ20ぺーじ財政ざいせい硬直こうちょくまねきやすくなる。特定とくてい財源ざいげんについても同様どうようのことを指摘してきしうる。

 金子かねこ前掲ぜんけいしょ20ぺーじ拙稿せっこう地方ちほう目的もくてきぜい法的ほうてき課題かだい」『地方ちほうぜい法的ほうてき課題かだいにちぜいけん論集ろんしゅう46ごう)』(2001ねん日本にっぽん税務ぜいむ研究けんきゅうセンター)284ぺーじ。なお、碓井うすい光明こうめいようせつ地方ちほうぜいのしくみとほう』(2001ねん学陽書房がくようしょぼう)37ぺーじ伊川いがわ前掲ぜんけい35ぺーじ参照さんしょう

 だいに、議会ぎかい予算よさん審議しんぎけん議決ぎけつけん範囲はんいせばめ、結局けっきょく国民こくみん主権しゅけん地方ちほう自治じちにおける団体だんたい自治じち住民じゅうみん自治じち原則げんそくはんする結果けっかにつながりかねない。

 拙稿せっこう前掲ぜんけいぜいけん論集ろんしゅう46ごう285ぺーじ。なお、碓井うすい前掲ぜんけいしょ38ぺーじ宮入みやいり編著へんちょ前掲ぜんけいしょ31ぺーじ松井まつい吉三きちぞう担当たんとう]、同書どうしょ134ぺーじ松井まつい]も参照さんしょう

 だいさんに、本来ほんらい地方ちほうぜい住民じゅうみん生活せいかつ基盤きばん整備せいびという目的もくてきゆうするはずであるが、だいいち地方ちほう分権ぶんけん改革かいかくによる法定ほうていがい普通ふつうぜい法定ほうていがい目的もくてきぜい制定せいてい動向どうこうはこの目的もくてきことなる方向ほうこうすすんでおり、結局けっきょく課税かぜいしやすいところに課税かぜいするという傾向けいこう見受みうけられる。東京とうきょう宿泊しゅくはくぜいはその典型てんけいであり、東京とうきょう居住きょじゅうし、都内とない宿泊しゅくはく施設しせつ利用りようする住民じゅうみんはもとより、課税かぜい団体だんたいである地方ちほう公共こうきょう団体だんたい域外いきがい居住きょじゅうする住民じゅうみん企業きぎょうなど、参政さんせいけんがなく、当該とうがい地方ちほう公共こうきょう団体だんたい住民じゅうみんぜい納税のうぜい義務ぎむしゃでもないもの宿泊しゅくはくぜい納税のうぜい義務ぎむしゃとしている※。地方ちほう自治じちほうだい10じょうだいこう規定きていされる負担ふたんぶんにん原則げんそくから逸脱いつだつしていることはいなめず、だいてん同様どうよう国民こくみん主権しゅけん民主みんしゅ主義しゅぎ観点かんてんからは問題もんだいとせざるをえないし、租税そぜい体系たいけいゆがみをしょうじさせる危険きけんせいたかいことも否定ひていできない※※。

 ※「ホテルとう」は、東京とうきょう宿泊しゅくはくぜい条例じょうれいだいじょうだいこうにより、特別とくべつ徴収ちょうしゅう義務ぎむしゃとされる。なお、ここにいう「ホテルとう」は、どうだいじょうにおいて「旅館りょかん業法ぎょうほう昭和しょうわ23ねん法律ほうりつだい138ごうだいじょうだいこう許可きょかけておこなどうほうだいじょうだいこうまただいこう営業えいぎょうかか施設しせつ」と定義ていぎされる。

 ※※東京とうきょう市町村しちょうそん自治じち調査ちょうさかい課税かぜい自主権じしゅけん法定ほうていがいぜい調査ちょうさ研究けんきゅう報告ほうこくしょ』(2004ねんがつ)178ぺーじ。これは、大分おおいた大学だいがく教育きょういく福祉ふくし科学かがく助教授じょきょうじゅであったわたしへのインタビューをまとめた記事きじである。同書どうしょ179ぺーじには増田ますだ英敏ひでとし教授きょうじゅへのインタビューをまとめた記事きじ掲載けいさいされているので、参照さんしょうされたい。

 

 ▲だいはんにおける履歴りれき:2019ねんがつ27にち掲載けいさい

 ▲だいはんにおける履歴りれき:「だい租税そぜいほう基礎きそ理論りろん だいかい租税そぜいとはいかなるものか」を参照さんしょうほん記事きじは、だいはんにおける「01 租税そぜい租税そぜいほう」の一部いちぶ分離ぶんり独立どくりつさせたものである。

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おしらせです(2019ねんがつ26にち

2019ねん09がつ26にち 1445ふん10びょう | ほん雑誌ざっし

 管理人かんりにん権限けんげん利用りようして、おしらせです。

 日本にっぽん評論ひょうろんしゃから『しん判例はんれい解説かいせつWatch』25ごう刊行かんこうされました。

 このなかに、わたしの「だい納税のうぜい義務ぎむしゃたいする告知こくち処分しょぶん法人ほうじんかく否認ひにん法理ほうり」が掲載けいさいされています。

 一読いちどくをいただければさいわいです。

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だい租税そぜいほう基礎きそ理論りろん  だい01かい租税そぜいとはいかなるものか

2019ねん09がつ26にち 0600ふん00びょう | 租税そぜいほう講義こうぎノート〔だいはん

 1.一生いっしょう、そればかりかんでからも関係かんけいしてくる租税そぜい

 「かごから墓場はかばまで」(from the cradle to the grave)という言葉ことばがある。元々もともとはイギリスの「ベバレッジ報告ほうこく」(1942ねん)に登場とうじょうした言葉ことばであるとも、イギリスの労働党ろうどうとうとなえたものであるともいい、社会しゃかい保障ほしょう制度せいど充実じゅうじつ表現ひょうげんする言葉ことばである。

 しかし、視点してんえるとじつ租税そぜいについてもおなじようなことがえる。我々われわれがこの現代げんだい社会しゃかいきているかぎり、ごくわずかな例外れいがいのぞけば、租税そぜいまったかかわりのない生活せいかつおくることはできない。たとえば道路どうろあるくのであれ、自動車じどうしゃ運転うんてんするのであれ、列車れっしゃふね飛行機ひこうきるのであれ、租税そぜい無関係むかんけいではいられない。個人こじん事業じぎょういとなむのであれ、会社かいしゃなどにやとわれて勤労きんろうをするのであれ、株式かぶしきなどに投資とうしするのであれ、いかなる生活せいかつおくるにせよ、所得しょとくぜい住民じゅうみんぜいなどとまった無縁むえんであるということはかんがえにくい。預貯金よちょきん口座こうざっていれば、預貯金よちょきん利子りし所得しょとくぜいがかかる。実際じっさいには利子りしから所得しょとくぜい天引てんびきされ(これを源泉げんせん徴収ちょうしゅうなどという)、のこりが口座こうざはいわけであるが、このことひとつをとっても、我々われわれ租税そぜい無縁むえん生活せいかつおくっているわけではないことがわかるであろう。

 しかも、個人こじんんだらそれでおしまい、というわけにもいかない。文字通もじどおりの意味いみなにぶつのこす(のこす)ことなくものはいない。遺体いたいふくめて、個人こじんかならなにかをのこす(のこす)。のこした(のこした)ものがどれだけの経済けいざいてき価値かちつかということは、べつ問題もんだいである。そればかりか、のこした(のこした)もののなか借金しゃっきんなどの債務さいむがあるかもしれない。いや、じつは、日本にっぽんにおいて生活せいかつするひとは、借金しゃっきんはなくとも、なんらかのかたち債務さいむのこしてぬのである。租税そぜいはその代表だいひょうであり、故人こじん後始末あとしまつというかたちで、遺族いぞくじゅん確定かくてい申告しんこくなどをおこなわなければならない。だれかがくなれば、相続そうぞくまたは遺贈いぞうということになって、遺族いぞくなどが相続そうぞくぜい納税のうぜい義務ぎむうことにもなる。

 〈初回しょかいにいきなりだの債務さいむだの墓場はかばだのとくらはなしもうわけございません。いいわけをしておきますと、法律ほうりつがくたずさわれば、私生活しせいかつはともあれ、なんらかのかたちでこういうことにかかわらざるをえないのです。わたし大分大学おおいただいがく教育きょういく学部がくぶ教育きょういく福祉ふくし科学かがく法律ほうりつがく概論がいろんという講義こうぎ担当たんとうしていたときに、すくなからぬ学生がくせいからはなし内容ないようくらいとか物騒ぶっそうだとかという苦情くじょう(?)をせられたのですが、仕方しかたのないことなのです。〉

 現在げんざい日本にっぽんには、所得しょとくぜい法人ほうじんぜい消費しょうひぜい相続そうぞくぜい贈与ぞうよぜい固定こてい資産しさんぜいなど、おおくの種類しゅるい租税そぜい、わかりやすい言葉ことばえらべば税金ぜいきんがある。かいにおいてべるが、日本にっぽん租税そぜい大別たいべつして国税こくぜい地方ちほうぜいかれ、くに都道府県とどうふけん市町村しちょうそん特別とくべつ課税かぜい主体しゅたいとして租税そぜい徴収ちょうしゅうする。

 

 2.日本国にっぽんこく憲法けんぽうにも法律ほうりつにも租税そぜい定義ていぎはない

 ところで、みなさんは租税そぜいとは一体いったいなにであろうとかんがえたことがあるであろうか。

 所得しょとく税法ぜいほう法人ほうじん税法ぜいほうなどの法律ほうりつさだめられたものである、という簡単かんたんこたえもある。しかし、これは「法律ほうりつ税金ぜいきんであるとめたから税金ぜいきんである」とっているにぎず、こたえらしいこたえにはなっていない。我々われわれは、租税そぜい税金ぜいきんという言葉ことばみみにして、漠然ばくぜんとしてはいてもなにかのイメージをおもかべるであろう。租税そぜいというからには、たとえば電車でんしゃ路線ろせんバスの運賃うんちんとはちがうものであるということはわかる。

 所得しょとく税法ぜいほう法人ほうじん税法ぜいほう、さらには国税こくぜい通則つうそくほうなどの法律ほうりつがあるのであるから、法律ほうりつに「租税そぜいとはぞや」ということくらいはかれているだろう、とおおもいのほうもおられるであろう。まして、日本国にっぽんこく憲法けんぽうがあるではないか。日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい30じょうには納税のうぜい義務ぎむさだめられている。憲法けんぽうさだめる国民こくみんさんだい義務ぎむひとつとして、高等こうとう学校がっこう政治せいじ経済けいざい教科書きょうかしょにもかれている。このようにかんがえるほうもおられるにちがいない。

 それでは、日本国にっぽんこく憲法けんぽうなおしてみよう。たしかに、だい30じょう納税のうぜい義務ぎむ規定きていされている。そして、だい84じょうおよびだい30じょう租税そぜい法律ほうりつ主義しゅぎ規定きていされている。租税そぜいという言葉ことばだい84じょう登場とうじょうする。しかし、だい30じょうだい84じょうのいずれにも、租税そぜい定義ていぎしめされていない。

 租税そぜい法律ほうりつ主義しゅぎについてはかいにおいてげるが、憲法けんぽうがくにおける通説つうせつてき見解けんかいは、租税そぜい法律ほうりつ主義しゅぎ根拠こんきょとしてだい84じょうのみをあげるようである。しかし、租税そぜい法学ほうがくにおいては、租税そぜい法律ほうりつ主義しゅぎ根拠こんきょかんして見解けんかいかれており、だい84じょうおよびだい30じょう根拠こんきょとする見解けんかいおおい。租税そぜい法律ほうりつ主義しゅぎは、たん国家こっか財政ざいせい運営上うんえいじょう原則げんそくまらないものである、とほぐされるべきである。したがって、だい84じょうだい30じょう双方そうほう根拠こんきょとする見解けんかいのほうが妥当だとうであろう。このてんについては、拙稿せっこう租税そぜい法律ほうりつ主義しゅぎ射程しゃてい距離きょり(1)―旭川あさひかわ国民こくみん保険ほけん条例じょうれい訴訟そしょうだい法廷ほうてい判決はんけつ検討けんとう中心ちゅうしんに―」税務ぜいむ弘報こうほう54かん12ごう(2006ねんがつごう)129ぺーじちゅう1、どう租税そぜい特別とくべつ措置そちほう附則ふそく27じょうによるどうほう31じょう遡及そきゅう適用てきよう違憲いけん無効むこう判断はんだんされた事例じれい速報そくほう判例はんれい解説かいせつ編集へんしゅう委員いいんかいへん速報そくほう判例はんれい解説かいせつ』(法学ほうがくセミナー増刊ぞうかん)3ごう(2008ねん)288ぺーじ参照さんしょう

 このことは、法律ほうりつなどについても同様どうようであり、租税そぜいほうとされる法律ほうりつのいずれを参照さんしょうしても、租税そぜい定義ていぎはなされていない。

 一方いっぽう租税そぜい法学ほうがく財政ざいせいがくなどの教科書きょうかしょ参照さんしょうすると、たいてい、租税そぜい定義ていぎかんする記述きじゅつがある。もっとも、定義ていぎづけはそれほど容易よういなことではない。そればかりか、定義ていぎ実用じつようせいうたが見解けんかい存在そんざいする。おそらく、「あまり実益じつえきがないから」、あるいは「難解なんかい記述きじゅつとなるから」ということもできる。 たしかに、谷口たにぐち勢津せいづおっと教授きょうじゅ指摘してきするように「個々ここ税目ぜいもくについては、その意義いぎおよび内容ないよう法律ほうりつ条例じょうれいさだめられる」から「租税そぜい定義ていぎをめぐって、法律ほうりつ条例じょうれい解釈かいしゃくじょう問題もんだいしょうじることはない」谷口たにぐち勢津せいづおっと税法ぜいほう基本きほん講義こうぎ』〔だいはん〕(2018ねん弘文こうぶんどう)8ぺーじ。しかし、実際じっさいには、租税そぜいかぎらず、我々われわれ国家こっか地方ちほう公共こうきょう団体だんたいおさめる(支払しはらう)金銭きんせんなどの債務さいむおおいし、租税そぜいいながらそれ以外いがいのもの、たとえば負担ふたんきん区別くべつがたいものも存在そんざいする。また、租税そぜいとはことなるはずの社会しゃかい保険ほけんりょうなどについても、租税そぜい同様どうよう問題もんだいしょうじる場合ばあい存在そんざいする。たとえば、わたしふくめ、おおくの給料きゅうりょうとり誤字ごじではない)が給料きゅうりょうは、あらかじめ、租税そぜい社会しゃかい保険ほけんりょう天引てんびきされたものである。

 そこで、このかいにおいては、租税そぜいとはいかなるものであり、租税そぜいほうとはいかなるものであるのか、ということについてはなしすすめていく。

 なお、以下いかにおける租税そぜい法的ほうてき定義ていぎなどについて、ほぼおな趣旨しゅし拙稿せっこう前掲ぜんけい税務ぜいむ弘報こうほう論文ろんぶん135ぺーじにおいてもべている。

 

 3.租税そぜい法的ほうてき法律ほうりつ学的がくてき定義ていぎ

 すでべたように、日本にっぽんにおいては、租税そぜいについての法的ほうてき定義ていぎがなされていない。

 もっとも、国税こくぜい通則つうそくほうだいじょうだいごうおよび国税こくぜい徴収ちょうしゅうほうだいじょうだいごうは「国税こくぜい」を「くにするぜいのうち関税かんぜい、とんぜいおよ特別とくべつとんぜい以外いがいのものをいう」と定義ていぎし、国税こくぜい徴収ちょうしゅうほうだいじょうだいごうは「地方ちほうぜい」を「地方ちほう税法ぜいほう昭和しょうわ25ねん法律ほうりつだい226ごうだいじょうだいこうだい14ごう用語ようご)に規定きていする地方ちほう団体だんたい徴収ちょうしゅうきん特別とくべつおよ全部ぜんぶ事務じむ組合くみあいのこれに相当そうとうする徴収ちょうしゅうきんふくむ。)をいう」と定義ていぎする。これらは、国税こくぜい通則つうそくほう国税こくぜい徴収ちょうしゅうほうのそれぞれの適用てきよう必要ひつよう範囲はんいめるための定義ていぎであり、租税そぜいそのものの定義ていぎでないことはあきらかである。

 しかし、 公租こうそ公課こうかとして、国家こっか(および地方ちほう公共こうきょう団体だんたい)が国民こくみんから徴収ちょうしゅうする財貨ざいか金銭きんせんなど)は、租税そぜいばかりでなく、負担ふたんきん手数料てすうりょうなどの形式けいしきをとる場合ばあいもある。したがって、ある程度ていど租税そぜいのメルクマールをあきらかにしておく必要ひつようがある。

 租税そぜい法的ほうてき定義ていぎおこなったれいとして有名ゆうめいなものは、1919ねん制定せいていされたドイツ(ヴァイマール共和きょうわこく)のReichsabgabenordnung(一般いっぱんてきにライヒ租税そぜい通則つうそくほうやくす。直訳ちょくやくではライヒ公課こうかほうとなる) である。どうほうだいじょうだいこうは、「租税そぜいとは、特別とくべつ給付きゅうふたいする反対はんたい給付きゅうふではなく、給付きゅうふ義務ぎむにつき法律ほうりつさだめる要件ようけん該当がいとうするすべてのものたいし、収入しゅうにゅう目的もくてきをもって公法こうほうじょう団体だんたいするいちかいかぎりまた継続けいぞくてき金銭きんせん給付きゅうふをいう。関税かんぜいはこれに該当がいとうするが、行政ぎょうせい行為こうい特別とくべつ請求せいきゅうすることにたいする手数料てすうりょうおよ負担ふたんきん受益じゅえきしゃ負担ふたん)は、これに該当がいとうしない」と規定きていするわけは、田中たなか二郎じろう租税そぜいほう』〔だいさんはん〕(1990ねん有斐閣ゆうひかく)1ぺーじによる〉

 また、1977ねん制定せいていされたドイツ(連邦れんぽう共和きょうわこく)の租税そぜい通則つうそくほう公課こうかほう。Abgabenordnung)だいじょうだいこうは、「租税そぜいとは、特別とくべつ給付きゅうふたいする反対はんたい給付きゅうふではなく、法律ほうりつ給付きゅうふ義務ぎむについてさだめる要件ようけん該当がいとうするものたいし、公法こうほうじょう団体だんたいによって収入しゅうにゅうるためにのみされる金銭きんせん給付きゅうふをいう。収入しゅうにゅうることは付随ふずいてき目的もくてきたりうる 」と規定きていする〈この条文じょうぶんわけは、わたし自身じしんによるものである〉

 日本にっぽんにおいては、上記じょうき定義ていぎ(とくにライヒ租税そぜい通則つうそくほうだいじょうだいこう)をもととして、法律ほうりつがくなどにおいて様々さまざま定義ていぎがなされている。若干じゃっかんれいをあげておく。

 「租税そぜいとは、くにまた地方ちほう公共こうきょう団体だんたいが、その課税かぜいけんもとづき、特定とくてい給付きゅうふたいする反対はんたい給付きゅうふとしてではなく、これらの団体だんたい経費けいひてるための財力ざいりょく調達ちょうたつ目的もくてきをもって、法律ほうりつさだめる課税かぜい要件ようけん該当がいとうするすべてのものたいし、一般いっぱんてき標準ひょうじゅんにより、均等きんとう賦課ふかする金銭きんせん給付きゅうふである」田中たなか前掲ぜんけいしょぺーじ

 「くに(または地方ちほう公共こうきょう団体だんたい)が、くに主権しゅけんふくするものから、公的こうてき一般いっぱんてき収入しゅうにゅう目的もくてきをもって、法律ほうりつ(または条例じょうれい)にさだめる要件ようけん充足じゅうそくする事実じじつがあり、金銭きんせんてき給付きゅうふ義務ぎむ確定かくていするときに、強制きょうせいてきに、収納しゅうのうする金銭きんせんてき給付きゅうふである」新井あらい隆一りゅういち租税そぜいほう基礎きそ理論りろん』〔だいさんはん〕(1997ねん日本にっぽん評論ひょうろんしゃ)2ぺーじ

 「国家こっかが、特別とくべつ給付きゅうふたいする反対はんたい給付きゅうふとしてではなく、公共こうきょうサービスを提供ていきょうするための資金しきん調達ちょうたつする目的もくてきで、法律ほうりつさだめにもとづいてわたしにんする金銭きんせん給付きゅうふである」金子かねこひろし租税そぜいほう』〔だいじゅうさんはん〕(2019ねん弘文こうぶんどう)9ぺーじ

 以上いじょう学説がくせつによる定義ていぎであるが、最高さいこう裁判所さいばんしょ判決はんけつ理由りゆうにおいて租税そぜい定義ていぎべている。まず、大嶋おおしま訴訟そしょうとして有名ゆうめい最大さいだいばん昭和しょうわ60ねんがつ27にちみんしゅう39かんごう247ぺーじは「租税そぜいは、国家こっかが、その課税かぜいけんもとづき、特別とくべつ給付きゅうふたいする反対はんたい給付きゅうふとしてでなく、その経費けいひてるための資金しきん調達ちょうたつする目的もくてきをもつて、一定いってい要件ようけん該当がいとうするすべてのものする金銭きんせん給付きゅうふである」とべる。これは、上記じょうきしょ定義ていぎおな趣旨しゅしかんがえてよいであろう。

 また、旭川あさひかわ国民こくみん健康けんこう保険ほけん条例じょうれい訴訟そしょうとして有名ゆうめい最大さいだいばん平成へいせい18ねんがつにちみんしゅう60かんごう587ぺーじも「くにまた地方ちほう公共こうきょう団体だんたいが、課税かぜいけんもとづき、その経費けいひてるための資金しきん調達ちょうたつする目的もくてきをもって、特別とくべつ給付きゅうふたいする反対はんたい給付きゅうふとしてでなく、一定いってい要件ようけん該当がいとうするすべてのものたいしてする金銭きんせん給付きゅうふは、その形式けいしきのいかんにかかわらず、憲法けんぽう84じょう規定きていする租税そぜいたるというべきである」とべる。これも、上記じょうきしょ定義ていぎおな趣旨しゅしかんがえてよい。

 

 4.租税そぜいのメルクマール

 さきかかげたしょ定義ていぎには、一定いってい共通きょうつうする内容ないようふくまれている。しかし、統一とういつてき定義ていぎがなされているわけではない。

 もっとも、これは日本にっぽんだけの現象げんしょうではない。租税そぜい定義ていぎ実定法じっていほうにおいてしめすドイツのれいは、むしろ、世界せかいてきにもめずらしいほうである。おそらく、憲法けんぽうじょう争点そうてんとなりうることをふくめ、実益じつえきてんなどを考慮こうりょしたのであろう。そして、日本にっぽんにおいては、ドイツとはぎゃくに、租税そぜい法的ほうてき定義ていぎすることには実益じつえきがないというかんがかたのほうが一般いっぱんてきであるかもしれない。

 たしかに、通常つうじょう場合ばあいは、さきしめした谷口たにぐち教授きょうじゅ指摘してきにあるように、法律ほうりつによって国税こくぜいおよび地方ちほうぜいとされているものを租税そぜいとする形式けいしきてき思考しこうほう簡便かんべんでもあるし、それで事足ことたりることがおおい。

 また、北野きたの弘久ひろひさ博士はかせは、租税そぜい定義ていぎについて根本こんぽんてき疑義ぎぎべる。北野きたの博士はかせは、租税そぜいについて「ほう認識にんしきろんのレベル」における定義ていぎと「ほう実践じっせんろんのレベル」における定義ていぎとが区別くべつされる必要ひつようがあるむね指摘してきし、そのうえで、「従来じゅうらい租税そぜい概念がいねんは、明治めいじ憲法けんぽうのもとでのそれを、日本国にっぽんこく憲法けんぽうのもとにおいても批判ひはんてき踏襲とうしゅうしてきたものであ」り、「明治めいじ憲法けんぽうのもとでとおなじレベルで日本国にっぽんこく憲法けんぽうのもとでのぜい財政ざいせいかんするほう概念がいねん法理ほうりろん構築こうちくすることは学問がくもんてきには誤謬ごびゅうである」と批判ひはんする北野きたの弘久ひろひさ黒川くろかわ功補こうすけてい)『税法ぜいほうがく原論げんろん』〔だいはん〕(2016ねん、勁草書房しょぼう)18ぺーじ、20ぺーじ北野きたの弘久ひろひさへん現代げんだい税法ぜいほう講義こうぎ』〔ていばん〕(2009ねん法律文化社ほうりつぶんかしゃ)4ぺーじ北野きたの弘久ひろひさ担当たんとう]も参照さんしょう

 甲斐かい素直すなお教授きょうじゅも、さきしめした田中たなか二郎じろう博士はかせによる定義ていぎ引用いんようしつつ「これが税法ぜいほうがく対象たいしょうとなる租税そぜい定義ていぎべているに」まり、憲法けんぽうだい84じょうと「まったくむすびつきをもっていない」と批判ひはんする〈甲斐かい素直すなお租税そぜい法律ほうりつ主義しゅぎにおける租税そぜい概念がいねん外延がいえんについて」日本にっぽん法学ほうがく60かんごう(1994ねん)132ぺーじ。なお、どう論文ろんぶんでは憲法けんぽうがく学説がくせつについても批判ひはん展開てんかいされている〉。

 これまでの租税そぜい法学ほうがく憲法けんぽうがくなどにおける租税そぜい定義ていぎに、不十分ふじゅうぶんてんがあることは否定ひていできない。とくに、租税そぜい法学ほうがく憲法けんぽうがくとのあいだには、けっしてみじかくない距離きょりがある拙稿せっこう前掲ぜんけい税務ぜいむ弘報こうほう論文ろんぶん137ぺーじ拙稿せっこう日本国にっぽんこく憲法けんぽうにおける『租税そぜい』の概念がいねん租税そぜい法律ほうりつ主義しゅぎとの関連かんれんについての試論しろん税制ぜいせい研究けんきゅう56ごう(2009ねん)137ぺーじ参照さんしょう。このため、さらに検討けんとうかさねる必要ひつようせいたかい。ただ、形式けいしきてき思考しこうほうによっては、租税そぜいとそれ以外いがい公課こうかとを上手うま区別くべつできないこともあるし、租税そぜい法律ほうりつ主義しゅぎ射程しゃてい距離きょり画定かくていするさいなどには困難こんなんしょうじる。

 わたしは、実定法じっていほうにおいて租税そぜい定義ていぎする実益じつえきはあるものとかんがえる。とりわけ、憲法けんぽうにおいて定義ていぎしめ必要ひつようせいはあるとかんがえる。このてん関連かんれんして、税理士ぜいりし山本やまもと守之もりゆきが、国税こくぜい徴収ちょうしゅうほうだいじょうにおける定義ていぎを「定義ていぎ実益じつえきだけをかんがえて規定きていしているれいである」としたうえで、憲法けんぽうだい84じょう租税そぜい法律ほうりつ主義しゅぎ根拠こんきょ規定きていとなっているために「実定法じっていほうにおいて租税そぜい定義ていぎする必要ひつようはあるようにおもわれる」とべており、参考さんこうになる山本やまもと守之もりゆき租税そぜいほう基礎きそ理論りろん』〔新版しんぱん〕(2008ねん税務ぜいむ経理けいり協会きょうかい)4ぺーじ。  

 すでしめしたしょ定義ていぎには、若干じゃっかん差異さいがあるようにりうる。これは、のちべる租税そぜいかん、さらにうならば国家こっかかん相違そういによるとかんがえられる部分ぶぶんもあるが、おおくは表現ひょうげんじょう問題もんだいである。これらの定義ていぎ共通きょうつうする部分ぶぶん見出みいだせば、租税そぜいのメルクマールをあきらかにすることができよう。  租税そぜいのメルクマールについては、つぎのように整理せいりすることができる。

 この整理せいりは、おも佐藤さとうすすむ伊東いとう弘文ひろふみ入門にゅうもん租税そぜいろん』〔改訂かいていばん〕(1994ねん三嶺書房みつみねしょぼう)1ぺーじによる。また、より一般いっぱんてきに、肥後ひご和夫かずおへん財政ざいせいがくようろん』〔だいはん〕(1993ねん有斐閣ゆうひかく)115ぺーじ西村にしむらきの三郎さぶろう担当たんとう]、片桐かたぎり正俊まさとしへん財政ざいせいがく転換期てんかんき日本にっぽん財政ざいせい―』(1997ねん東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ)209ぺーじ長沼ながぬま進一しんいち担当たんとう]、吉田よしだ克己かつみ現代げんだい租税そぜいろん展開てんかい』(2005ねん八千代やちよ出版しゅっぱん)9ぺーじ宮入みやいり興一こういち編著へんちょ現代げんだい日本にっぽん租税そぜいろん』(2006ねん税務ぜいむ経理けいり協会きょうかい)1ぺーじ松井まつい吉三きちぞう担当たんとう]、神野かみの直彦なおひこ財政ざいせいがく』〔改訂かいていばん〕(2007ねん有斐閣ゆうひかく)149ぺーじ星野ほしのいずみ­=小野島おのじましんへん現代げんだい財政ざいせいろん』(2007ねん学陽書房がくようしょぼう)55ぺーじ小野島おのじましん担当たんとう]、室山むろやま義正よしまさ財政ざいせいがく』(2008ねんミネルみねるァ書房ぁしょぼう)205ぺーじ参照さんしょう。なお、拙稿せっこう前掲ぜんけい税務ぜいむ弘報こうほう論文ろんぶん135ぺーじ参照さんしょう

 (1)強制きょうせいせい

 租税そぜいは、根本こんぽんてき公権力こうけんりょく背景はいけいとした強制きょうせいせいそなえる、とされる。しかし、これだけでは手数料てすうりょう負担ふたんきん区別くべつがたい。

 (2)無償むしょうせい

 ここにいう無償むしょうせいとは、なんらかの対価たいかとしての性格せいかく、または反対はんたい給付きゅうふとしての性格せいかくみとめられないことをいう

 手数料てすうりょうは、国家こっかなどによるなんらかの特定とくてい給付きゅうふたいする反対はんたい給付きゅうふである。たとえば、公園こうえん入園にゅうえんりょうなどをかんがえればよいただし、地方ちほう自治じちほうだい231じょうの3だいこう地方ちほう税法ぜいほうだい67じょうどうだい72じょうの67などに規定きていされる督促とくそく手数料てすうりょう注意ちゅういする必要ひつようがある〉。また、負担ふたんきんは、たとえば宅地たくち開発かいはつのように、開発かいはつなどによって利益りえき手数料てすうりょう場合ばあいよりも、より一般いっぱんてき利益りえき―をけるものたいし、その利益りえき着目ちゃくもくしてされるものである。したがって、手数料てすうりょうおよび負担ふたんきん場合ばあいには無償むしょうせいみとめられないことになる〈このてんをとくに強調きょうちょうするのが、神野かみの前掲ぜんけいしょ164ぺーじである〉

 これにたいし、租税そぜいには無償むしょうせいみとめられる。たとえば、所得しょとくぜい申告しんこく期限きげんまでにおこない、法律ほうりつさだめられたとおりに申告しんこくをしても、それによって選挙せんきょけん行使こうし特典とくてんみとめられる、などというようなことはない。青色あおいろ申告しんこくについては若干じゃっかん優遇ゆうぐう措置そちみとめられるが、これは政策せいさくてきなものであるし、国政こくせい全般ぜんぱんについてなんらかの反対はんたい給付きゅうふられるわけでもないし、そもそもくにからのなんらかのサーヴィスにたいする直接的ちょくせつてき対価たいかという意味いみゆうするわけでもない。

 しかし、無償むしょうせいについても問題もんだいがある。前掲ぜんけい最大さいだいばん平成へいせい18ねんがつにちおよびぜん掲最ばん平成へいせい18ねんがつ28にち根本こんぽんてき難点なんてんは、かような部分ぶぶんにあるのかもしれない拙稿せっこう前掲ぜんけい税制ぜいせい研究けんきゅう56ごう139ぺーじ

 だいいちてんは、すでしめした北野きたの教授きょうじゅ根本こんぽんてき疑義ぎぎかかわる。大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうだい62じょうは、だいこうにおいて「しん租税そぜいシ及税りつ変更へんこうスルハ法律ほうりつヲ以テこれていムヘシ」としつつ、だいこうにおいて「ただし報償ほうしょうぞくスル行政ぎょうせいじょう手数料てすうりょう及其ノほか収納しゅうのうきん前項ぜんこうかぎりざいラス」とさだめていた。このような規定きていであれば、無償むしょうせい当然とうぜんのこととして承認しょうにんされるであろう。しかし、日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい84じょうには大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうだい62じょうだいこうのような明文めいぶん存在そんざいしない。したがって、日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい84じょうは、無償むしょうせいゆうする公課こうかのみを租税そぜいあつかうものとすべきせつ根拠こんきょにならないのではなかろうか。

 だいてんは、反対はんたい給付きゅうふまたは対価たいかせい意味いみないし範囲はんい明確めいかくせいであり、無償むしょうせい意味いみとの関連かんれんにおいて無視むししえない問題もんだいである。ここでは、たとえば目的もくてきぜいかんがえてみるとよい。

 本来ほんらい目的もくてきぜい行政ぎょうせいがわ利益りえき提供ていきょうたいする反対はんたい給付きゅうふとして位置いちづけられるものではない。しかし、実際じっさいには受益じゅえきしゃ負担ふたんろんてき(または原因げんいんしゃ負担ふたんてき)な観点かんてんから、なんらかの対価たいかせいゆうするものとかんがえられることがすくなくないようである〈消費しょうひぜい福祉ふくし目的もくてきぜい議論ぎろんはその典型てんけいであろう〉。そうであるならば、反対はんたい給付きゅうふないし対価たいかせいは、手数料てすうりょうのように直接的ちょくせつてき租税そぜい負担ふたんとの対応たいおう必要ひつようとしないことになる増田ますだ英敏ひでとし『リーガルマインド租税そぜいほう』〔だいはん〕(2013ねん成文せいぶんどう)227ぺーじは「租税そぜい対価たいかせい直接的ちょくせつてき対応たいおう関係かんけいがないという意味いみもちいられている」と指摘してきする〉。しかし、これでは租税そぜいたる目的もくてきぜいとその公課こうかとの区別くべつ曖昧あいまいになり、「なんらかの行政ぎょうせい目的もくてき存在そんざいする場合ばあいに、強制きょうせいてき徴収ちょうしゅうする必要ひつようがあればぜいり、柔軟じゅうなん対応たいおうをすべき場合ばあい負担ふたんきん分担ぶんたんきんといった形式けいしき選択せんたくするとの便宜べんぎてき運用うんようおこなわれてきた」と評価ひょうかされるのもやむをえない伊川いがわ正樹まさき地方ちほう目的もくてきぜい今後こんご可能かのうせい―『本来ほんらいてき目的もくてきぜい』の提言ていげん基礎きそとして―」日本にっぽん租税そぜい理論りろん学会がっかいへん地方ちほう自治じちぜい財政ざいせい制度せいど租税そぜい理論りろん研究けんきゅう叢書そうしょ16)』(2006ねん法律文化社ほうりつぶんかしゃ)37ぺーじ実際じっさいに、自動車じどうしゃ取得しゅとくぜいにゅうりょうぜい水利すいり益税えきぜいなどのように、負担ふたんきんとの区別くべつがつきにくいものもあるし、都市とし計画けいかくぜいのように曖昧あいまい性格せいかくゆうするものもある。

 なお、ヴァーグナー(Adolf Wagner)は租税そぜいに「一般いっぱんてき報償ほうしょうせい」をみとめたが、ノイマルク(Fritz Neumark)により批判ひはんされた。

 (3)道具どうぐてき性格せいかく

 租税そぜいは、だいいちてき国家こっか資金しきん調達ちょうたつ目的もくてきとするものである。かつてはこれがメルクマールとして強調きょうちょうされていた。国家こっか自身じしん財貨ざいかなどを場合ばあいおおいからである。

 しかし、国家こっか租税そぜい徴収ちょうしゅうしつつも、その徴収ちょうしゅうがく第三者だいさんしゃ譲渡じょうとすることもある。その代表だいひょうれいとして、地方ちほう譲与じょうよぜい地方ちほう交付こうふぜい補助ほじょきんをあげることができる。

 また、経済けいざい政策せいさく景気けいき政策せいさくなどの手段しゅだんもちいられることもある。前掲ぜんけい最大さいだいばん昭和しょうわ60ねんがつ27にち指摘してきするように、租税そぜいには所得しょとくさい分配ぶんぱい資源しげん適正てきせい配分はいぶん景気けいき調整ちょうせいなどの機能きのうがあることもみとめられる〈この趣旨しゅしは、さいはん平成へいせいねん12月25にちみんしゅう46かんごう2829ぺーじ酒類しゅるい販売はんばい免許めんきょせい訴訟そしょう)において引用いんようされている〉。さきにあげた地方ちほう譲与じょうよぜい地方ちほう交付こうふぜい補助ほじょきんなどは、このような機能きのうになうものとしてとらえられるであろう。また、最近さいきんでは自動車じどうしゃ取得しゅとくぜいなどにおいて、環境かんきょう政策せいさく一環いっかんとしてもちいられることがある。

 (4)一連いちれん租税そぜい調達ちょうたつ過程かていにおける課税かぜい一方いっぽうてき性格せいかく

 これは、徴税ちょうぜい手続てつづきなどにおける権力けんりょくてき要素ようそなどをす。  現在げんざい通説つうせつ租税そぜい私人しじん法定ほうてい債務さいむであるとかんがえる。わたしもこのせつ支持しじするのであるが、これは税額ぜいがく税率ぜいりつ法定ほうていされているという実体じったい法的ほうてき観点かんてん着目ちゃくもくしたものであり、租税そぜい徴収ちょうしゅうという手続てつづき法的ほうてき観点かんてんからすれば、申告しんこく納税のうぜいという方法ほうほうおおくの租税そぜいにおいてられているものの、更正こうせい推計すいけい課税かぜい、さらに税務ぜいむ調査ちょうさなど、権力けんりょくてき側面そくめんつよいこともいなめない。

 (5)法律ほうりつ根拠こんきょ

 近代きんだい立憲りっけん主義しゅぎにおいて、私有しゆう財産ざいさん不可侵ふかしん重要じゅうよう原則げんそくである。この原則げんそく現代げんだい立憲りっけん主義しゅぎにおいて若干じゃっかん修正しゅうせいけたが、日本国にっぽんこく憲法けんぽうは、私有しゆう財産ざいさん制度せいど存在そんざい前提ぜんていとし、私有しゆう財産ざいさん保護ほご規定きていする。しかし、租税そぜいは、上述じょうじゅつのように、国民こくみんから強制きょうせいてきに、直接的ちょくせつてき反対はんたい給付きゅうふともなうことなく徴収ちょうしゅうされるものである。したがって、課税かぜいけん行使こうしは、国民こくみん財産ざいさんけんたいする一方いっぽうてき侵害しんがいにあたる。そのために、恣意しいてき課税かぜいけん発動はつどうがなされてはならない。

 また、本来ほんらいならば租税そぜいこそが国家こっか資金しきん調達ちょうたつ最終さいしゅう手段しゅだんでなければならないが、近年きんねん公債こうさい依存いぞんする傾向けいこうおおきい。日本にっぽん代表だいひょうてきであり、先進せんしんこくなかでも最悪さいあく水準すいじゅんである。

 ただし、ここで注意ちゅういしなければならないことがある。

 上記じょうきにおける租税そぜい定義ていぎ租税そぜい法学ほうがくあるいは財政ざいせいがくにおけるものであり、行政ぎょうせい観点かんてんからのものともいうる。租税そぜい手数料てすうりょう負担ふたんきんなどは、それぞれ根拠こんきょ法規ほうきことにするし、取扱とりあつかいことなる。しかし、日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい84じょうにおける「租税そぜい」の意義いぎについては、べつかんがえなければならない。このてんは、租税そぜいほう講義こうぎというより、むしろ憲法けんぽう財政ざいせいほう講義こうぎにおいてあつかうべきものであるため、ここではくわしくげないこととする。

 拙稿せっこう前掲ぜんけい税務ぜいむ弘報こうほう54かん12ごう137ぺーじどう拙稿せっこう前掲ぜんけい税制ぜいせい研究けんきゅう56ごう136ぺーじ参照さんしょう

 

 ▲だい3はんにおける履歴りれき:2019ねんがつ26にち掲載けいさい

 ▲だいはんにおける履歴りれき:2011ねんがつ15にち掲載けいさい

            2011ねんがつ21にち修正しゅうせい

            2011ねんがつ22にちてい

            2011ねんがつ31にち修正しゅうせい

            2011ねんがつにち修正しゅうせい

            2012ねんがつにち修正しゅうせい

            2013ねんがつ29にち修正しゅうせい

            2013ねんがつにち修正しゅうせい

            2014ねんがつにち修正しゅうせい

            2018ねんがつ24にちてい

            2018ねんがつ23にち修正しゅうせい

            2019ねんがつ26にち掲載けいさい

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だいかい 行政ぎょうせいほうまなさい注意ちゅうい事項じこう

2019ねん09がつ25にち 1200ふん00びょう | 行政ぎょうせいほう講義こうぎノート〔だいはん

 「行政ぎょうせいほう講義こうぎノート〔だいはん〕への前口上まえこうじょう」(2019ねんがつ26にちふんびょうづけ)においても注意ちゅうい事項じこうしるしておきましたが、すこしばかり補充ほじゅうをしておきます。

 現在げんざいおおくの大学だいがく法学部ほうがくぶ(とくに法律ほうりつ学科がっか)においては、すくなくとも行政ぎょうせい作用さようほう総論そうろんあつか科目かもくたとえば「行政ぎょうせいほう1」というような名称めいしょう科目かもくを2年生ねんせいから履修りしゅうできるでしょう。

 あるいは、法学部ほうがくぶでも法律ほうりつ学科がっか以外いがい学科がっか法学部ほうがくぶ以外いがい学部がくぶたとえば経済学部けいざいがくぶでは3年生ねんせい以上いじょう科目かもくとされているかもしれません。その場合ばあいには1年間ねんかん行政ぎょうせい作用さようほう総論そうろん行政ぎょうせい組織そしきほう総論そうろん)、行政ぎょうせい救済きゅうさいほうまなぶことになるはずです。

 いずれにしても、行政ぎょうせいほうまなはじめるまえに、憲法けんぽう民法みんぽう総則そうそくなど)、刑法けいほう総論そうろん)をまなび、基礎きそ習得しゅうとくしておくべきである、とかんがえられているのです。

 行政ぎょうせいほうを「法律ほうりつ基礎きそ科目かもく」と位置いちづけている教科書きょうかしょもあります※。しかし、これは、おそらく現在げんざい司法しほう試験しけん行政ぎょうせいほう必修ひっしゅう科目かもくひとつとなっているためであって、実際じっさいには応用おうよう科目かもくとして位置いちづけられるべきです。実際じっさいに、行政ぎょうせいほうは、司法しほう試験しけん必修ひっしゅう科目かもくのうちで唯一ゆいいつ、いわゆる六法ろっぽうふくまれていません。そればかりか、行政ぎょうせいほうきゅう司法しほう試験しけん時代じだい選択せんたく科目かもくひとつとされた時期じきながく、選択せんたく科目かもくからはずされたことすらありました。

 ※原田はらだ大樹だいきれいかい行政ぎょうせいほう』(2013ねん東京とうきょう大学だいがく出版しゅっぱんかい)xivぺーじただし、おなぺーじをよくんでください。

 応用おうよう科目かもくしるしたのは、行政ぎょうせいほうまなんでいると、憲法けんぽう民法みんぽう刑法けいほう民事みんじ訴訟そしょうほうなどにかんする知識ちしき必要ひつようなこともすくなくないからです。たとえば、行政ぎょうせい作用さようほう総論そうろんまなぶ「法律ほうりつによる行政ぎょうせい原理げんり」や「行政ぎょうせい裁量さいりょう」は憲法けんぽうふか関係かんけいがあります。「法律ほうりつによる行政ぎょうせい原理げんり」は法治ほうち主義しゅぎ一環いっかんでもあるため、立憲りっけん主義しゅぎとも関係かんけいがあります。憲法けんぽうがくでもあつか租税そぜい法律ほうりつ主義しゅぎは「法律ほうりつによる行政ぎょうせい原理げんり」がもっと厳格げんかく適用てきようされるれいでもあるのです。また、とくに「行政ぎょうせい裁量さいりょう」についていうるのですが、行政ぎょうせい作用さようほう総論そうろん憲法けんぽう人権じんけんろん硬貨こうか裏表うらおもてのような関係かんけいにあるとえます)。「行政ぎょうせい行為こうい」や「行政ぎょうせい契約けいやく」は民法みんぽう総則そうそく登場とうじょうする法律ほうりつ行為こうい応用おうようともえます。「行政ぎょうせい調査ちょうさ」にいたっては刑事けいじ訴訟そしょうほう関係かんけいする部分ぶぶんふくまれています。また、行政ぎょうせい救済きゅうさいほう民事みんじ訴訟そしょうほう応用おうようです。

 しかし、2年生ねんせい段階だんかい刑事けいじ訴訟そしょうほう民事みんじ訴訟そしょうほう履修りしゅうできるという法学部ほうがくぶはほとんどないでしょう。どうすればよいのでしょうか。

 あれこれと手当てあてたり次第しだい勉強べんきょうしてもにつくわけではないので、まずは憲法けんぽう民法みんぽうおよび刑法けいほう復習ふくしゅうをしておきましょう。具体ぐたいてきには、つぎのようになります。

 憲法けんぽう人権じんけんろんいちとおまなんでおくのが理想りそうてきです。行政ぎょうせい作用さようほう総論そうろんまなんでいると、憲法けんぽう判例はんれいとされる判決はんけつおおくも登場とうじょうします。さきしるしたように、行政ぎょうせい作用さようほう総論そうろん人権じんけんろん硬貨こうか裏表うらおもてのような関係かんけいにあります。人権じんけんろん理解りかいしていないと、「行政ぎょうせい裁量さいりょう」、「行政ぎょうせい立法りっぽう」などおおくの部分ぶぶんについて理解りかいできないかもしれません。

 ただ、法学部ほうがくぶの1年生ねんせい履修りしゅうできる憲法けんぽう科目かもくなにまなぶかは、大学だいがくによってことなります。1年生ねんせい人権じんけんろんまなび、2年生ねんせい統治とうち機構きこうまなぶという科目かもく構成こうせいになっているほうがよいのですが、ぎゃくになっている場合ばあいには2年生ねんせい人権じんけんろん行政ぎょうせい作用さようほう総論そうろんとを同時どうじ並行へいこうまなぶことになります(憲法けんぽうがく教科書きょうかしょ自習じしゅうする必要ひつようもあります)。そうならざるをえないので、人権じんけんろんあつか科目かもく履修りしゅうしないということだけはけてください。

 民法みんぽう最低限さいていげんとして、総則そうそくいちとおまなえていることが必要ひつようでしょう。歴史れきしてき経緯けいいもあって、行政ぎょうせいほう理論りろんおおくは民法みんぽう理論りろん応用おうようとしてまれています。とくに「行政ぎょうせい行為こうい」は法律ほうりつ行為こうい応用おうようであり、ときには法律ほうりつ行為こういそのものという部分ぶぶん登場とうじょうします。法律ほうりつ行為こういかぎらず、ひと自然人しぜんじんおよび法人ほうじん)、もの時間じかん時効じこうなど)という要素ようそは、民法みんぽうであれ行政ぎょうせいほうであれ、非常ひじょう大事だいじ事柄ことがらです。

 また、債権さいけん総論そうろんある程度ていどまなんでおくことがのぞましいともえます。ただ、これは2年生ねんせい以上いじょうまなぶことでしょうから、同時どうじ並行へいこうということになります。

 刑法けいほう:やはり、総則そうそく、つまり、いわゆる刑法けいほう総論そうろんまなえていることが必要ひつようです。もっとも、刑法けいほう各論かくろんまなえている必要ひつようはないとかんがえてかまいません。

 このようにしるすと「まえもってやっておかなければならないことがおおいのか」と慨嘆がいたんされるほうもおられるかもしれません。しかし、うらわざのようなものがないわけではありません。行政ぎょうせいほうまなんだことを、憲法けんぽう民法みんぽう刑法けいほう民事みんじ訴訟そしょうほう刑事けいじ訴訟そしょうほうなどの学習がくしゅうかすのです。邪道じゃどうともえますし、方法ほうほうあやまると危険きけんですが、有効ゆうこう手段しゅだんであるとえます。

 ちなみに、わたしは、1年生ねんせい憲法けんぽう人権じんけんろん民法みんぽう総則そうそく科目かもく履修りしゅうしましたが、3年生ねんせい行政ぎょうせい作用さようほう総論そうろん科目かもく履修りしゅうし、1さつ基本きほんしょ徹底的てっていてきつぶしたことで、民法みんぽう総則そうそくのうちの法律ほうりつ行為こうい理解りかいすることができました。当時とうじ(1990ねんごろ)は、行政ぎょうせい作用さようほう総論そうろん科目かもくが3年生ねんせいに、行政ぎょうせい救済きゅうさいほう科目かもくが4年生ねんせい配当はいとうされていました。

 なお、法学部ほうがくぶ法律ほうりつ学科がっか)の学生がくせいであれば、3年生ねんせい以上いじょう民事みんじ訴訟そしょうほうおよび刑事けいじ訴訟そしょうほう科目かもく履修りしゅうすることになります。行政ぎょうせいほうでも行政ぎょうせい救済きゅうさいほう科目かもくは3年生ねんせい以上いじょう配当はいとうされているところがおおいでしょう。同時どうじ並行へいこう、または民事みんじ訴訟そしょうほうおよび刑事けいじ訴訟そしょうほう先行せんこうして履修りしゅうするとよいでしょう。

 最後さいごに。「行政ぎょうせいほう講義こうぎノート〔だいはん〕への前口上まえこうじょう」にしるしたように、この講義こうぎノートでは、法学部ほうがくぶ以外いがい学部がくぶ学生がくせい、さらには法律ほうりつがくまったれてこなかったというほう利用りようされることを念頭ねんとういています。

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甲種こうしゅ回送かいそう長津田ながつたえき逗子ずしえき) Q SEATしゃえられるまえ東急とうきゅう6000けいデハ6301+デハ6302(+DE10 1666)

2019ねん09がつ25にち 0000ふん00びょう | 写真しゃしん

 今年ことしから大井おおいまちせん田園都市線でんえんとしせん急行きゅうこう大井おおいまち長津田ながつた)で有料ゆうりょう座席ざせき指定していしゃサービス「Q SEAT(Qシート)」がはじまりました。7りょう編成へんせい急行きゅうこうの3号車ごうしゃ、オレンジしょく車体しゃたいがQ SEATの車両しゃりょうで、当初とうしょ今年ことし営業えいぎょう運転うんてん開始かいしした6020けいのみでしたが、6000けいにも導入どうにゅうされることとなり、6101Fのデハ6301と6102Fのデハ6302がQ SEATしゃえられました。

 たまたま、長津田ながつたえき(DT22、KD01)で、えられるまえのデハ6301とデハ6302がJR貨物かもつのディーゼル機関きかんしゃDE10 1666に連結れんけつされ、逗子ずしえきまで甲種こうしゅ回送かいそうされようとしているところ(おそらくは、さらに京浜急行けいひんきゅうこう逗子ずしせんとおって金沢かなざわ八景はっけいえきそばにある総合そうごう車両しゃりょう製作所せいさくしょ横浜よこはま事業じぎょうしょまで回送かいそう)をたので、撮影さつえいしておきました。

 長津田ながつたえき番線ばんせん(JR横浜よこはません)と3番線ばんせん東急とうきゅう田園都市線でんえんとしせん)とのあいだにホームのない線路せんろがあります。そこにDE10 1666、デハ6302、デハ6301のじゅん連結れんけつされ、停車ていしゃしています。

ひさしぶりにDE10をました。

 デハ6302が連結れんけつされています。そのうしろがデハ6301です。

東急とうきゅうでは2代目だいめとなる6000けいは、大井おおいまちせん急行きゅうこうようとして2008ねんがつ運用うんよう開始かいししました。当初とうしょは6りょう編成へんせいで、一気いっきに6編成へんせい登場とうじょうしました。 

 2017ねん11月から2018ねんがつにかけて、ぜん編成へんせいが7りょうしました。そのさい新造しんぞうされたのがデハ6300がたで、これをけてサハ6300かたち→サハ6400かたち、デハ6400かたち→デハ6500かたち、デハ6500かたち→デハ6600かたち、クハ6600かたち→クハ6700かたちあらためばんされています。

大井おおいまちせん(そして直通ちょくつうさき田園都市線でんえんとしせん)では急行きゅうこう専用せんようであるため、九品仏くほんぶつえきでのドアカットのための装置そうちもうけられていません。

ステンレスの車体しゃたい側面そくめんあかたいというのは8090けい以来いらい伝統でんとうえますが、大井おおいまちせんのラインカラーであるオレンジしょくおびななめにはいっているところが斬新ざんしんでした。 

 デハ6300かたちは、製造せいぞうされてからまだ2ねんほどしかっていません。今回こんかいの2りょう随分ずいぶんみじかあいだ運用うんようで、2代目だいめ5000けいの6とびらしゃよりもみじかいのですが、一説いっせつにはこのまま廃車はいしゃ解体かいたいされるわけではない、とか。 

 6020けいも、当初とうしょからQ SEATしゃ連結れんけつしていたわけではありません。編成へんせいちゅうで3号車ごうしゃとなるデハ6320かたち普通ふつう車両しゃりょうでしたが、すぐにQ SEATしゃであるあたらしいデハ6320かたちえられました。当初とうしょのデハ6320かたちは2020けい転用てんようされています(あらためばんもされています)。

 わたしは、青葉台あおばだいまでくことがおおいのですが長津田ながつたまでくことはあまりないため、甲種こうしゅ回送かいそう様子ようすもほとんどたことがありません(記憶きおくかぎりでは今回こんかいはじめてです)。

どちらの車両しゃりょうであったかおぼえていませんが、甲種こうしゅ回送かいそうしめ証票しょうひょうられていました。

 長津田ながつたえきから逗子ずしえきまでの甲種こうしゅ回送かいそうですが、どのようなルートをとおるのでしょうか。単純たんじゅんに、長津田ながつたから中山なかやま経由けいゆして東神奈川ひがしかながわて、東海道とうかいどうせん根岸線ねぎしせんかをとおり……、というわけではなく、長津田ながつたから八王子はちおうじかい、中央ちゅうおう本線ほんせん南武線なんぶせん武蔵野線むさしのせん貨物かもつせん部分ぶぶん)を経由けいゆするようです。

このデハ6301とデハ6302が、今後こんご、どのようになるのか、になるところです。 

 

甲種こうしゅ回送かいそう長津田ながつたえき逗子ずしえき) 東急とうきゅう6000けいデハ6301+デハ6302(+DE10 1666) 

 

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長津田ながつたえき(DT22、KD01)にてTOQ iを

2019ねん09がつ24にち 0016ふん10びょう | 写真しゃしん

だいぶ時間じかん経過けいかしてしまいましたが、長津田ながつたえきで「TOQ i」こと7500けいかけ、撮影さつえいしたので、写真しゃしん掲載けいさいしておきます。

のぼがわのデハ7500です。そのには池上線いけがみせん東急とうきゅう多摩川線たまがわせん活躍かつやくする1000けい1500番台ばんだい1507F(3りょう編成へんせい)を連結れんけつしています。長津田ながつた検車けんしゃからてこようとしています。

 くだがわのデハ7550です。長津田ながつたえき番線ばんせんはいり、しばらく停車ていしゃしていました。その一旦いったんおくのほうへすすんでから7番線ばんせん(こどもの国線くにせんようホーム)にはいり、長津田ながつた車両しゃりょう工場こうじょうかいました。

 なお、今回こんかいはサヤ7590(軌道きどうけんはかくるま)を中間ちゅうかんはさんでいません。

 東急とうきゅう7500けいは2012ねん登場とうじょうした事業じぎょうようしゃ総合そうごうけんはかくるま)です。走行そうこうしながら架線かせん線路せんろ(サヤ7590を中間ちゅうかんはさ場合ばあい)をけんはかできる車両しゃりょうで、ATCを搭載とうさいしていない車両しゃりょう池上線いけがみせん東急とうきゅう多摩川線たまがわせん車両しゃりょうただし、7000けいのぞく)を中間ちゅうかんはさんで牽引けんいんしゃとしても活躍かつやくしています。

 TOQ iという愛称あいしょう公募こうぼによって決定けっていされたものです。事業じぎょうようしゃ愛称あいしょう公募こうぼするというのはめずらしいれいであるとおもわれます。また、先代せんだいのデヤ7200+デヤ7290は7200けいのデハ7200およびクハ7500(いずれもアルミせい車体しゃたい)から改造かいぞうされたものですが、7500けい新造しんぞうしゃです。

 

TOQ-i 東急とうきゅうデヤ7500+1000けい1500番台ばんだい1507F+デヤ7550(長津田ながつた検車けんしゃ長津田ながつたえき長津田ながつた車両しゃりょう工場こうじょう

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首都しゅとけんのJRせんでもワンマン運転うんてん区間くかん無人むじんえき拡大かくだい

2019ねん09がつ19にち 0000ふん00びょう | 社会しゃかい経済けいざい

 たまたま、gooニュースをていたら、読売新聞社よみうりしんぶんしゃ昨日きのう(2019ねんがつ18にち)の14ふんづけで「JRひがし首都しゅとけんでも『ワンマン運転うんてん拡大かくだい…7りょう以上いじょうも」としてほうじているのを(https://www.yomiuri.co.jp/economy/20190918-OYT1T50152/)でました。

 じつは、JR以外いがいであれば首都しゅとけんでもワンマン運転うんてんめずらしくありません。たとえば東京とうきょうメトロでは丸ノ内線まるのうちせん千代田ちよだせん綾瀬あやせ北綾瀬きたあやせのみ)、有楽町ゆうらくちょうせん和光わこう小竹向原こたけむかいはらのみ)、南北線なんぼくせんおよびふく都心としんせん実施じっしされており、東京とうきょう交通こうつうきょくでは荒川線あらかわせん三田みたせんおよび大江戸おおえどせん実施じっしされています。横浜よこはま市営しえい地下鉄ちかてつのブルーライン(1号線ごうせんおよび3号線ごうせん)とグリーンライン(4号線ごうせん)もワンマン運転うんてん実施じっし路線ろせんです。大手おおて私鉄してつですと、わたしにとってもっと身近みぢか東急とうきゅうでは目黒めぐろせん池上線いけがみせん東急とうきゅう多摩川たまがわせんおよびこどもの国線くにせん正式せいしきには横浜よこはま高速こうそく鉄道てつどう路線ろせん)で実施じっしされています(世田谷線せたがやせんはワンマン運転うんてん実施じっし路線ろせんえないのですが、運転うんてんと、車掌しゃしょう資格しかくのない案内あんないがかり乗務じょうむしますので、実質じっしつてきにはワンマン運転うんてんです)。関東かんとうかぎらず、大手おおて私鉄してつでワンマン運転うんてん一切いっさい実施じっししていないのは小田急おだきゅう相鉄そうてつ京急けいきゅうおよび京成けいせいのみです。東京とうきょう都内とないでは多摩たま都市としモノレールもワンマン運転うんてんおこなっていますし、大手おおてじゅん大手おおて中小ちゅうしょうわず、ワンマン運転うんてんひろられます。さらに、東京とうきょう交通こうつうきょく日暮里にっぽり舎人とねりライナーなど、無人むじん運転うんてん路線ろせんもあります。

 JR東日本ひがしにっぽんてんじますと、わたしがすぐにおもすのは南武線なんぶせん浜川崎支線はまかわさきしせん地元じもとでは浜川崎はまかわさきせんともっていました)です。尻手しって浜川崎はまかわさきを2りょう編成へんせい電車でんしゃ往復おうふくします。には八高線はちこうせん電化でんか区間くかん高麗川こまがわ倉賀野くらがの列車れっしゃ高崎たかさきえきまで運行うんこう)などがあります。首都しゅとけんかぎらず、同社どうしゃでは2りょう以下いか運行うんこうされる路線ろせんというのがワンマン運転うんてん実施じっし基準きじゅんになっているようです。上記じょうき読売新聞よみうりしんぶん記事きじでは、利用りようきゃく乗降じょうこう、ホームの安全あんぜん確認かくにんというてんで2りょう以下いか基準きじゅんとされているとのことです。

 しかし、人手ひとで不足ふそくによる合理ごうりのために、JR東日本ひがしにっぽんはワンマン運転うんてん実施じっし路線ろせん拡大かくだいする方針ほうしんしたようです。東京とうきょうメトロも合理ごうりなどのために丸ノ内線まるのうちせんなどのワンマン運転うんてんすすめましたが、おな合理ごうりでも理由りゆうことなるようです。

 わたし小学生しょうがくせいころ春日しゅんじつさんきゅう照代てるよ漫才まんざいをテレビでていたら、当時とうじ国鉄こくてつやバスなどの運賃うんちん値上ねあげをネタにして、運賃うんちん値上ねあげされるが車掌しゃしょうがいなくなる、つぎ値上ねあげしたら運転うんてんがいなくなるというようなものをやっていた、と記憶きおくしています。YouTubeでもられたはずです。それはともあれ、1987ねんのJRグループ発足ほっそく以後いご採用さいよう人員じんいん極力きょくりょくおさえてきたことが原因げんいんひとつであるという趣旨しゅしが、上記じょうき読売新聞よみうりしんぶん記事きじにはかれています。安全あんぜんめん保安ほあんめんなどでの技術ぎじゅつ継承けいしょうができなくなったことの原因げんいんともされていますが、人口じんこう減少げんしょうおおきな理由りゆうひとつです。

 JR東日本ひがしにっぽんでは、来年度らいねんど以降いこう、3りょうか4りょう編成へんせいでのワンマン運転うんてん実施じっしし、そして徐々じょじょちょう編成へんせいについても実施じっししていくとのことです。ただし、「首都しゅとけんでも横浜よこはま川崎かわさきむす鶴見つるみせん千葉ちばけん内房線うちぼうせん外房線そとぼうせんなどはワンマン可能かのうせいがある」という程度ていどのことしかかれていません。また、ホームドア設置せっち路線ろせんでもワンマン運転うんてん実施じっしされる可能かのうせいたかく、山手やまてせんなども対象たいしょうとなる可能かのうせいはあります。ちなみに、丸ノ内線まるのうちせん有楽町ゆうらくちょうせん南北線なんぼくせんふく都心としんせん三田みたせん大江戸おおえどせんといった地下鉄ちかてつ路線ろせんぜんえきにはホームドアが設置せっちされており、ATOも導入どうにゅうされており、ワンマン運転うんてん実施じっしされています。

 上記じょうき読売新聞よみうりしんぶん記事きじには「ワンマン拡大かくだい懸念けねんされるのが、災害さいがいやトラブル乗客じょうきゃく運行うんこう安全あんぜんだ」という記述きじゅつもあります。たしかに、ワンマン運転うんてんされるということは、運転うんてん車掌しゃしょう分担ぶんたんしていた仕事しごと運転うんてん集中しゅうちゅうするということを意味いみするので(勿論もちろん車掌しゃしょう業務ぎょうむ一部いちぶはなくなるでしょうが)、なんらかの事件じけん事故じこ発生はっせいした場合ばあいに、対処たいしょ時間じかんながくなり、運転うんてん再開さいかいまでの時間じかんながくなることはかんがえられます。

 ワンマン運転うんてんだけではありません。人手ひとで不足ふそくによる合理ごうりは、えきにもおよびます。ある意味いみではこちらのほうがおおきな問題もんだいともなりえます。

 首都しゅとけんでは、川崎かわさき川崎かわさきおよび横浜よこはま鶴見つるみはし鶴見つるみせん代表だいひょうてきです。国鉄こくてつ時代じだいの1971ねん鶴見つるみえきのぞぜんえき無人むじんされました。

 新聞しんぶんやブログなどでもおおきくげられたのが、大阪おおさか河内長野かわちながのにある、南海なんかい高野たかのせん美加みかだいえきです。どうえきは、2013ねんがつから無人むじんえきとなり、近隣きんりんのニュータウンに居住きょじゅうする利用りようきゃくなどによるおおきな反発はんぱつまねきました。

 南海なんかい無人むじんえきはかなりすすんでいるようですが、近鉄きんてつ名鉄めいてつなども無人むじんえき積極せっきょくてきです。計算けいさんしたりしたことはないのですが、大手おおて私鉄してつでの名鉄めいてつ無人むじんえき比率ひりつもっとたかいのではないでしょうか。なにしろ、豊明とよあけえきという、無人むじんえきでは最大さいだいおもわれるすうほこえきもあるのです。1番線ばんせんから6番線ばんせんまであれば、私鉄してつなら有人ゆうじんえきでしょう(もっとも、車庫しゃこちかいこともあってか、運転うんてん業務ぎょうむ担当たんとう従業じゅうぎょういんはいるそうです。無人むじんえきとされているのは、改札かいさつなどのえき業務ぎょうむ担当たんとうする従業じゅうぎょういん配置はいちされていないからでしょう)。

 無人むじんえきえていることには様々さまざま原因げんいんがあります。乗客じょうきゃくすくないことによる合理ごうりもあれば、人員じんいん不足ふそくによる合理ごうりもあるでしょう。上記じょうき読売新聞よみうりしんぶん記事きじによると、JRグループのぜん旅客りょかくえきのうち、無人むじんえきは2422あり、およそ54%となります(この無人むじんえき簡易かんい委託いたくえきはいるかかは不明ふめいです)。JR四国しこく無人むじんえきは208で、じつに80%にのぼります。また、JR北海道ほっかいどう無人むじんえきは306で、75%ほどです。

 えき無人むじん完全かんぜん無人むじん限定げんていされません。

 今年度こんねんどわたし中央大学ちゅうおうだいがく経済学部けいざいがくぶでの講義こうぎのために武蔵溝ノ口むさしみぞのくちえきから稲田堤いなだづつみえきまで、または立川たつかわえきまで南武線なんぶせん利用りようしています。その稲田堤いなだづつみえき改札かいさつこう付近ふきんには乗車じょうしゃえき証明しょうめいしょ発行はっこうかれています。無人むじんえきではないのですが、早朝そうちょう時間じかんたいには駅員えきいんがいません。南武線なんぶせんでは、ほかにも乗車じょうしゃえき証明しょうめいしょ発行はっこう設置せっちされているえきがあるようです(りてまで確認かくにんしていませんが)。

 都内とないでも、信濃しなのまち千駄ヶ谷せんだがや三河そうごとう南千住みなみせんじゅおよび尾久おぎゅう各駅かくえきでは、稲田堤いなだづつみえきおなじく、早朝そうちょう時間じかんたいには駅員えきいんがいないようです。東京とうきょうえき池袋いけぶくろえきでも一部いちぶ改札かいさつでは同様どうようであるとのことです。利用りよう客数きゃくすうすくない時間じかんたい中心ちゅうしんに、今後こんご一部いちぶ時間じかんたいについては駅員えきいんがいないというえきえてくることでしょう。自動じどう券売けんばい自動じどう改札かいさつでトラブルが発生はっせいした場合ばあいには、管理かんりえき稲田堤いなだづつみえき場合ばあい登戸のぶとえき管理かんりえき)に連絡れんらくし、遠隔えんかく操作そうさなどをしてもらうしかないわけです。

 また、有人ゆうじんえきでも、直営ちょくえいえき業務ぎょうむ委託いたくえき区別くべつがあります。たとえば、武蔵溝ノ口むさしみぞのくちえき直営ちょくえいえきですが、となり田山たやまえきまたは武蔵新城むさししんじょうえき業務ぎょうむ委託いたくえきであるとのことです。つまり、駅員えきいんとしての業務ぎょうむがJRグループの会社かいしゃ委託いたくされているわけです。JR九州きゅうしゅうなどでもたりまえのようにられましたが、おどろくのは秋葉原あきはばらえきもそうだとのことです。上記じょうき読売新聞よみうりしんぶん記事きじでは「さらに秋葉原あきはばらなど19えきではえき業務ぎょうむをグループ会社かいしゃ完全かんぜん委託いたくしており、駅長えきちょう管理かんりしょくふくめ、JR東日本ひがしにっぽん社員しゃいん1人ひとりもいない」としかかれていませんので、具体ぐたいてきにどこであるのか、どの程度ていど規模きぼの19えきなのかは明確めいかくにされていません。このような業務ぎょうむ委託いたくは、なんからとは明瞭めいりょうけませんが、この10ねん、20ねんという単位たんいすすめられてきたのでしょう。このところ、みどりの窓口まどぐち廃止はいしされるれいすくなくありませんが、業務ぎょうむ委託いたくとも無関係むかんけいではないでしょう。

 ワンマン運転うんてん拡大かくだいえきの、時間じかんたい限定げんていふく無人むじん進展しんてん全国ぜんこくてきにも長期ちょうきてきすすめられてきたのですが、首都しゅとけんでは急速きゅうそくすすみそうです。

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