セレンディピティ ダイアリー

イタリアの自動車じどうしゃメーカー「フェラーリ」の創業そうぎょう者しゃ、エンツォ・フェラーリの半生はんせいを描えがいた伝記でんきドラマです。

フェラーリ　(Ferrari)　2023

最近さいきん映画えいがはほとんど配信はいしんで見みていたので、ちゃんと映画えいが館かんに足あしを運はこんで新作しんさく映画えいがを見みたのはほんとうに久ひさしぶりです。過去かこ記事きじをチェックしたら、なんと2023年ねん10月がつに見みた「グランツーリスモ」以来いらい、9か月げつぶりでした。

車くるまを題材だいざいにした映画えいがが好すきなのと、本ほん作さくは大好だいすきなアダム・ドライバーがフェラーリを演えんじ、ペネロペ・クルス、シェイリーン・ウッドリーが出演しゅつえんするというので、楽たのしみにしていました。

アダム・ドライバーが演えんじるのは「ハウス・オブ・グッチ」に続つづいて、イタリアの創業そうぎょう者しゃ一族いちぞく。グッチ家かのおっとりとした御曹司おんぞうし役やくがとても気きに入いっていたのですが、本ほん作さくでは終始しゅうし不機嫌ふきげんな、冷酷れいこくな創業そうぎょう者しゃを演えんじています。

妻つま（ペネロペ・クルス）、愛人あいじん（ウッドリー）の苦悩くのうに寄より添そうことをせず、ひょっとしたら会社かいしゃの経営けいえいすら興味きょうみなく、頭あたまの中なかにあるのは、最高さいこうの車くるまを作つくって、レースで自分じぶんのチームが優勝ゆうしょうすることばかり。

チームのレーサーが事故じこで亡なくなっても、公道こうどうを走はしるレースで事故じこを起おこして何人なんにんもの死傷ししょう者しゃを出だしても、死しを悼いたむより、どうやってこの難局なんきょくを乗のり越こえるか腐心ふしんしている（ように見みえました）。

ものすごい天才てんさいだけれど、人ひとの心しんを持もたない人物じんぶつ、という印象いんしょうを受うけました。

特とくに私わたしは妻つまラウラに同情どうじょうしました。エンツォの妻つまとして、そしてビジネスのパートナーとして夫おっとを支ささえてきたラウラでしたが、後継あとつぎ息子むすこのディーノを病気びょうきで亡なくして以来いらい、夫おっとの心しんは愛人あいじんへと移うつります。

フェラーリが危機ききに立たった時とき、ラウラがその気きになれば、自分じぶんの取とり分ぶんを得えて、フェラーリ家かを去さることもできたと思おもいますが、彼女かのじょは自分じぶんの財産ざいさんを会社かいしゃ再建さいけんのために捧ささげるのです。

ラウラは、エンツォ以上いじょうに会社かいしゃを愛あいし、存続そんぞくの危機ききを救すくったのだと思おもいます。一方いっぽう、彼女かのじょがそのためにエンツォに切きり出だした条件じょうけんに、彼女かのじょの悲痛ひつうな思おもいがひしひしと伝つたわってきました。

ちょっぴりネガティブな感想かんそうになってしまいましたが、映画えいがはおもしろかった！　とりわけ本ほん作さくの華はなというべき、レースのシーンの臨場りんじょう感かんがすばらしかったです。

イタリアの公道こうどうを走はしる「ミッレミリア」というレースでは、イタリアの雄大ゆうだいな山岳さんがく地方ちほうや、素朴そぼくな田舎いなかの村むら々を走はしるのですが、こんな美うつくしい風景ふうけいの中なかをドライヴして旅たびしてみたい！と思おもいました。

車くるま好すきの夫おっとから、フェラーリにはエンツォの早さ逝した息子むすこディーノの名前なまえを冠かんした名車めいしゃがあると聞ききました。エンツォは彼かれらしい方法ほうほうで、息子むすこの生いきた証あかしを残のこしたのですね。

【参考さんこう】知しっておきたいフェラーリ・ディーノの逸話いつわ

2000年代ねんだいに一世いっせいを風靡ふうびした世界せかい初はつのスマートフォンBlackBerry (ブラックベリー) の栄枯盛衰えいこせいすいを描えがいた、実話じつわをもとにした作品さくひんです。

ブラックベリー　(BlackBerry)　2023

楽たのしみにしていた本ほん作さくが、Netflixで配信はいしんされることになったので、早速さっそく見みてみました。

BlackBerryは私わたしがニューヨークにいた2000年代ねんだいに人気にんきを博はくした携帯けいたい端末たんまつ。当時とうじはまだまだ携帯けいたい電話でんわが主流しゅりゅうでしたが「テキストを送おくることができる」のが画期的かっきてきで、新あたらしもの好すきたちの間あいだで話題わだいを集あつめていました。

たしか、オバマ大統領だいとうりょうが選挙せんきょ戦せんの時ときにBlackBerryを愛用あいようしていたのがきっかけで、人気にんきに火ひがついたとも記憶きおくしています。

BlackBerryという名前なまえがかわいいし、小ちいさなキーボードがついた携帯けいたい端末たんまつは、ガジェットの魅力みりょくにあふれていました。

余談よだんですが、その後ご帰国きこくした日本にっぽんでは、ドコモの携帯けいたい電話でんわにiモードが標準ひょうじゅん装備そうびされていて、周まわりの人ひとたちがメッセージを送おくり合あっている姿すがたに衝撃しょうげきを受うけました。

携帯けいたい電話でんわに代かわってBlackBerryという新あたらしい機器ききが生うまれた北米ほくべいに対たいして、日本にっぽんでは携帯けいたい電話でんわ自体じたいにメッセンジャの機能きのうを加くわえて、メールを送おくる、簡易かんい的てきなHPが見みられる、と独自どくじの進化しんかを遂とげていたのです。（それは後のちに、ガラパゴス携帯けいたいと揶揄やゆされることになりますが）

そして、BlackBerryも、iモードも、2007年ねんにiPhoneが登場とうじょうするや、瞬またたく間まにユーザを失うしない、市場いちばから姿すがたを消けすこととなったのでした。

このような携帯けいたい電話でんわの変遷へんせんを、身近みぢかなところで見みてきたので、BlackBerryの栄枯盛衰えいこせいすいを描えがいた本ほん作さくは、私わたしには懐なつかしく、大おおいに楽たのしめました。

本ほん作さくを見みて痛感つうかんしたのは、どれほどすばらしいイノヴェーションであっても、具現ぐげん化かする術じゅつがなければビジネスにはならない、ということ。

マイクもダグも、会社かいしゃを立たち上あげた頃ころは、ほんとうに生いき生いきとして楽たのしそうだったのに、会社かいしゃが大おおきくなるにつれ、自分じぶんの手ての届とどかない存在そんざいになってしまったのが、なんとも皮肉ひにくで気きの毒どくでした。

息子むすこが用事ようじで帰省きせいしていたのですが、ちょうどお誕生たんじょう日びが近ちかかったこともあり「どこか行いきたいところある？　食たべたいものはある？」と聞きいたところ、お寿司すしが食たべたいというので、都立とりつ大学だいがくにある「すし独楽こま」さんを予約よやくしました。

壁かべがガラス張がらすばりで（といっても内側うちがわにシェードがついている）お寿司すし屋やさんには珍めずらしい外観がいかんですが、奥おくまった白木しらきの引ひき戸どから中なかに入はいると、きりりと清潔せいけつ感かんのある、シンプルモダンな和風わふうの佇たたずまいがすてきでした。

玄関げんかんの横よこには大だい鉢はちに季き節ぶしの百ひゃく合ごうの花はながふんだんに生いけられ、こじんまりとしたお店みせながら、板前いたまえさんだけで５人にんほどいらして、てきぱきと働はたらいている様子ようすが好このましく感かんじました。

お料理りょうりのコースは事前じぜん予約よやくが必要ひつようとのことで、私わたしたちはお料理りょうりの予約よやくはしていなかったので、お寿司すしに先さき附ふ、お吸すい物もののつくおまかせのコースをいただくことにしました。

お寿司すしのおまかせコースも３種類しゅるいあり、私わたしは10貫かん、夫おっとは12貫かん、息子むすこは15貫かんのコースにして、その他たお料理りょうりやお寿司すしも追加ついかしていただきました。それぞれ貫ぬき数すうが違ちがいますが、ペースが揃そろうようににぎってくださるのはさすがでした。

まずは冷酒ひやざけ「北海ほっかい鬼おにころし」で乾杯かんぱい。先さき附ふは、ほっけの南蛮なんばん漬づけです。季き節ぶしのトマトを使つかったソースで、カリフラワー等とうの野菜やさいも入はいっていて、ラタトゥイユにも似にています。きりりと冷つめたく、夏なつらしく、おしゃれな一品いっぴんでした。

本日ほんじつおすすめの、マツカワガレイ。お寿司すしはすべてお味あじがついているので、おしょうゆにつけずにそのままいただきます。こちらは塩しおでいただきました。

鯵あじ。しょうがとあさつきでさわやかに。夏なつらしいお味あじです。

帆ほ立りつ、そして大だいトロ。

ミル貝かい。この辺あたりで、カツオのたたきをいただきました。（写真しゃしんなし）

イカ。イカのお寿司すしは自分じぶんではあまり進すすんでいただかないですが、これは柔やわらかくて甘あまみがあってとてもおいしかった。息子むすこが感動かんどうしていました。どのお寿司すしも隠かくし包丁ほうちょうの入いれ方かたが絶妙ぜつみょうなのだと思おもいます。

鯛たい。日本酒にほんしゅがなくなったので、次つぎは 鶴づる齢よわい (カクレイ) というお酒さけをいただきました。米こめどころ新潟にいがた県けん魚沼うおぬまのお酒さけです。

ボタン海老えび。

マグロ。

雲丹うに。

卵焼たまごやき。関東かんとうにしては甘あまみ控ひかえめの優やさしいお味あじの卵焼たまごやきでした。

この他ほか、息子むすこの巻物まきものをひとついただいたのですが、なんとおからの海苔のり巻まきとのことでした。初はじめていただきましたが、すごくおいしかったです。

梅干うめぼしと紫蘇じそのお吸すい物もの。すっきりと上品じょうひんな味あじわいでした。

こちらのお店みせのお寿司すしは、ほっそり、きゅっとして小ちいさめですが、量りょうとしては十分じゅうぶんすぎるほどで大だい満足まんぞく。堪能たんのうしました。

Netflixオリジナルのドラマシリーズ (全ぜん6話わ)。ベネディクト・カンバーバッチ主演しゅえんのサイコサスペンスです。

エリック　(Eric)　2024

80年代ねんだいのNYで9歳さいの少年しょうねんが失踪しっそう。刑事けいじが粘ねばり強づよく事件じけんを追おう一方いっぽうで、息子むすこを何なにとしても見みつけ出だしたい父親ちちおやもまた、自身じしんの内うちなる闇やみと向むき合あいながら独自どくじに動うごき始はじめる。（Netflix公式こうしきページ）

ドラマは長ながく見み続つづけるのが苦手にがてですが、これはカンバーバッチ主演しゅえんというのに惹ひかれて見みました。期待きたい通どおりにすごくおもしろかった！　１話わ60分ふんの全ぜん６話わで、気軽きがるに見みれるのがよかったです。

本ほん作さくの舞台ぶたいは、治安ちあんが最悪さいあくだった80年代ねんだいのニューヨーク。私わたしが初はじめてニューヨークを訪おとずれたのは90年代ねんだいに入はいってからですが、それまでは地下鉄ちかてつは落書らくがきだらけ、犯罪はんざい率りつが高たかく、世よにも恐おそろしい都市としというイメージがありました。

1994年ねんにジュリアーニ氏しがニューヨーク市長しちょうに就任しゅうにんしてから、治安ちあんが劇的げきてきに改善かいぜんし、大おおきな成果せいかを上あげたと聞きいています。

ヴィンセント（カンバーバッチ）は、人形にんぎょう劇げきの天才てんさいクリエイターで（セサミストリートがモデルと思おもわれる）Good Day Sunshineという自身じしんの番組ばんぐみを持もっています。

才能さいのう豊ゆたかなヴィンセントですが、社会しゃかい性せいに欠かけ、自分じぶんの世界せかいにしか興味きょうみを示しめさず、人ひととの関係かんけいをうまく築きずけない。実家じっかはニューヨークの不動産ふどうさん王おうで、経済けいざい的てきには何なに不自由ふじゆうなく育そだったものの、両親りょうしんとの関係かんけいは決けっして良好りょうこうとはいえません。

大学だいがく教員きょういんの妻つまとの関係かんけいは冷ひえ切きっていて、妻つまは福祉ふくし活動かつどうをしている元もと教おしえ子ごと交際こうさい中ちゅう。ヴィンセントは、息子むすこエドガーのことを愛あいしてはいますが、これまで彼かれと真剣しんけんに向むき合あってきたとは言いえません。

ある朝あさ、ヴィンセントが妻つまと盛大せいだいに喧嘩けんかしている間あいだに、エドガーは家いえを出でて一人ひとりで学校がっこうに向むかいます。しかしそのまま、彼かれは忽然こつぜんと消きえてしまいます...。

カンバーバッチが演えんじるヴィンセントは、「イミテーション・ゲーム」のチューリングや、「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のフィルに通つうじる、エキセントリックな天才てんさいという役やくどころです。

カンバーバッチはこういう役やくがほんとうによく似合にあうし、魅力みりょく的てきだなーと思おもいます。ネタバレ厳禁げんきんのミステリーものなので、ストーリーには触ふれずにおきますが、ヒューマンドラマとしてもおもしろかった！　とても気きに入いりました。

背景はいけいとしてさりげなく描えがかれている80年代ねんだいのニューヨークカルチャーも楽たのしい。懐なつかしかったのは、ローラ・ブラニガンの「グロリア」^^

Laura Branigan - Gloria (Official Music Video)

お勧すすめの作品さくひんです。

梅雨つゆは来きたのか、来こないのか。そんな話はなしはさておいて。
作家さっかの平野ひらの啓一郎けいいちろうさんのファンで、メールレターに登録とうろくしているのですが、昨日きのうメールでうれしいお知しらせが届とどきました。

平野ひらの啓一郎けいいちろうの最新さいしん長篇ちょうへんを原作げんさくとした映画えいが『本心ほんしん』が、11月8日にちより公開こうかいされます！

映画えいが「本心ほんしん」公式こうしきサイト

ちなみに私わたしは原作げんさくを読よんでいて、ブログに感想かんそうを書かき残のこしています。

本心ほんしん　(2021-09-01)

哲学てつがく的てきな要素ようそや、格差かくさなどの社会しゃかい問題もんだいがさりげなく取とり入いれられていますが、エンタメ性せいもあってすごくおもしろかったので、きっと映画えいが化かされるだろうなーと楽たのしみにしていました。

近きん未来みらいが舞台ぶたいではありますが、描えがかれているのは普遍ふへん的てきな人間にんげんの心しんの物語ものがたりである、と私わたしは感かんじました。

昨日きのうは気きになるキャストも発表はっぴょうされました。
主人公しゅじんこうの朔ついたち也に池いけ松まつ壮たけし亮あきらさん。三好みよしに三吉みよし彩花あやかさん。イフィーに仲野なかの太ふとし賀がさん。朔ついたち也の母親ははおや役やくに田中たなか裕子ゆうこさん。監督かんとくは石井いしい裕也ゆうやさん。

平野ひらのさん原作げんさくの映画えいがは前作ぜんさくの「ある男おとこ」がとてもよかったので、今回こんかいも期待きたいしていますが、バーチャルの世界せかいはどんな映像えいぞうになるのか、一抹いちまつの不安ふあんもよぎります。
とはいえ、やっぱり楽たのしみです！

Netflixオリジナルのサイコスリラーです。

Fair Play フェアプレー　(Fair Play)　2023

競争きょうそうの過酷かこくなヘッジファンドの同僚どうりょうである若わかいカップル。ある日ひ、片方かたがたが思おもいがけず昇進しょうしんしたことで、婚約こんやくしたばかりのふたりの関係かんけいは次第しだいに険悪けんあくになっていく。（Netflix公式こうしきページ）

紹介しょうかい映像えいぞうを見みて、ひと目めでおもしろそう！と見みてみました。働はたらく女性じょせいを題材だいざいにした映画えいがが好すきということもありますが、心理しんり描写びょうしゃがみごとで、今年ことし見みた映画えいがの中なかで一番いちばん引ひき込こまれ、ガツンときた作品さくひんです。

エミリー (フィービー・ディネバー) とルーク (オールデン・エアエンライク) はニューヨークのヘッジファンドに勤つとめる同僚どうりょうで、周囲しゅういには秘密ひみつにしていますが実じつは恋人こいびと同士どうし。

婚約こんやくしたばかりで、仕事しごともプライベートも充実じゅうじつし、まさに順風じゅんぷう満まん帆ほの２人ふたりでしたが、エミリーが昇進しょうしんしてルークの上司じょうしとなったことから、２人ふたりの関係かんけいが徐々じょじょに崩くずれ始はじめます。

エミリーの昇進しょうしんは同僚どうりょうの男性だんせいたちの嫉妬しっとの対象たいしょうとなり、彼女かのじょは女性じょせいの武器ぶきを使つかって昇進しょうしんしたのだと陰口かげぐちをたたかれます。

しかしそれはまったくの濡ぬれ衣ぎぬ。エミリーは恵めぐまれぬ境遇きょうぐうから奨学しょうがく金きんを得えて名門めいもん大学だいがくを卒業そつぎょうした苦労くろう人じんで、CEOのキャンベル (エディ・マーサン) は、エミリーの努力どりょくと実力じつりょくを認みとめ、彼女かのじょをマネージャに抜擢ばってきしたのです。

実際じっさい、鋭するどい分析ぶんせきとリスクをともなう大おおきな決断けつだんで、アナリストとしての実力じつりょくをめきめきと発揮はっきしていくエミリーは、見みていて惚ほれ惚ぼれするほどですが、ルークにとってはおもしろくないこと、この上うえない。

これまではエミリーにとって最大さいだいの理解りかい者しゃだったはずのルークですが、おそらく無意識むいしきに、男性だんせいである自分じぶんの方ほうが、彼女かのじょより評価ひょうかされるはずだと思おもっていたのでしょうね。

もともとルークは親おやのコネで日ひの当あたる道みちを歩あるいてきたわけですが、実力じつりょくで生いきてきたエミリーと差さをつけられ、彼女かのじょに対たいして劣等れっとう感かんと嫉妬しっとを抱いだきます。

エミリーが女性じょせいの武器ぶきを使つかって昇進しょうしんしたと思おもい込こむことで、自分じぶんのプライドを必死ひっしに守まもろうとするルークが哀あわれでした。

狂気きょうきと狂気きょうきがぶつかるエンディングは、少々しょうしょうやりすぎ？と思おもいつつ、ほろ苦にがさも覚おぼえました。ルークはきっとまた得意とくいのコネで新あらたな居場所いばしょを得えるでしょう。でもエミリーは、これからも自分じぶんの力ちからで人生じんせいを切きり開ひらいていくのでしょうね。

愛あいし合あっていた２人ふたりが、昔むかしながらの価値かち観かんによって修復しゅうふく不可能ふかのうなまでに引ひき裂さかれてしまったこと。今いまの時代じだいにおいても、男女だんじょの意識いしきを変かえることの難むずかしさをひしひしと感かんじました。

Netflixで見みた、サスペンスの旧作きゅうさく3作品さくひんです。

ザ・バンク 堕おちた巨きょ像ぞう　(The International)　2009

ルクセンブルクに本部ほんぶを置おく国際こくさいメガバンクIBBCの違法いほう行為こういを暴あばくため、インターポールの捜査そうさ官かんルイ（クライヴ・オーウェン）とニューヨークの検事けんじ補ほエレノア（ナオミ・ワッツ）が奮闘ふんとうします。

巨きょ悪あくに立たち向むかう社会しゃかい派は作品さくひんが好すき、そしてナオミ・ワッツが好すきなので、大おおいに楽たのしめました。かつて実在じつざいした銀行ぎんこうBCCIがモデルとあって、リアリティたっぷりで引ひき込こまれました。ナオミ・ワッツも変かわらず美うつくしかった。

真相しんそうを探さぐるために近ちかづいた鍵かぎを握にぎる人物じんぶつが、次々つぎつぎと不審ふしんな死しを遂とげる前半ぜんはんは、映画えいがを見みた後のちも、しばらく思おもい出だすたびに心臓しんぞうがバクバクするほどの恐怖きょうふを味あじわいました。

本ほん作さくのクライマックスとなるのは、ニューヨークのグッゲンハイム美術館びじゅつかんでの銃撃じゅうげき戦せん。いったいどうやって撮影さつえいしたの?　美術びじゅつ品ひんはすべて差替さしかえたのかしら？　と余計よけいな心配しんぱいをしながら見みていましたが、後ごから、映画えいがのために美術館びじゅつかんごとレプリカを作つくったと知しって驚おどろきました。

巨きょ悪あくに立たち向むかうことの限界げんかいを感かんじ、やりきれない気持きもちを覚おぼえる結末けつまつではあるのですが、それもまた現実げんじつ。ただ、モデルとなったBCCIは1991年ねんに経営けいえい破綻はたんしたと知しって、ちょっぴり溜飲りゅういんを下さげました。

コラテラル　(Collateral)　2004

トム・クルーズが冷酷れいこくな殺人鬼さつじんきを演えんじる異色いしょくサスペンスです。

ヴィンセント（トム・クルーズ）は、ロサンゼルス空港くうこうから偶然ぐうぜん乗のったタクシーの運転うんてん手しゅマックス（ジェイミー・フォックス）の運転うんてん技術ぎじゅつと時間じかんの読よみの正確せいかくさを買かい、一いち晩ばん雇やとうことを申もうし出でます。

報酬ほうしゅう（それにしても600ドルは安やすすぎる！）につられてつい引ひき受うけたマックスでしたが、それは一いち晩ばんで5人にんの標的ひょうてきの元もとを訪おとずれるというものでした。マックスは不本意ふほんいにも、ヴィンセントの犯罪はんざいの片棒かたぼうをかつぐことになってしまいます。

トム・クルーズが登場とうじょうしたとたん、ヴィンセントはきっと悪あくの組織そしきに立たち向むかうヒーローなんだ、と勝手かってに思おもってしまった私わたし。しかし、いつまでたっても身勝手みがってで横柄おうへいな殺人鬼さつじんきのままで、私わたしの中なかで謎なぞが深ふかまるばかりでした。

終盤しゅうばん、ロサンゼルスの地下鉄ちかてつで繰くり広ひろげられる逃亡とうぼう劇げきは、最高さいこうにスリリングでおもしろかった！　でもやっぱりトムにはヒーローの方ほうが似合にあいますね。

セルラー　(Cellular)　2004

キム・ベイシンガー主演しゅえんのクライム・アクション。ジェイソン・ステイサムが悪役あくやくのリーダーを演えんじています。

ある朝あさ突然とつぜん、自宅じたくから誘拐ゆうかいされた科学かがく教師きょうしのジェシカ（キム・ベイシンガー）。監禁かんきん場所ばしょで、壊こわれた電話でんわの回線かいせんをつないで通信つうしんを試こころみると、ある青年せいねんライアン（クリス・エヴァンス）の携帯けいたい電話でんわにつながります。

ふだんは軽薄けいはくで浮うわついているライアンですが、電話でんわで話はなしているうちにジェシカの緊急きんきゅう事態じたいがほんとうであることを確信かくしんし、彼女かのじょとその家族かぞくを助たすけるために奮闘ふんとうします。

2004年ねんといえば、まだスマートフォンが世よに出でる前まえで、携帯けいたい電話でんわ全盛期ぜんせいき。どこにでも持もち運はこびができて、写真しゃしんや動画どうがも撮影さつえいできて、呼よび出だし音おんで相手あいての注意ちゅういを引ひいて...。

携帯けいたい電話でんわの利便りべん性せいや多た機能きのうがさまざまな場面ばめんでさりげなくアピールされているのが、今いまとなっては微笑ほほえましい。^^　映画えいがはその時代じだいのテクノロジーを記録きろくするメディアでもあると実感じっかんしました。

これまで大おおきな事件じけんに関かかわったことがなかったであろうベテランのムーニー巡査じゅんさが、最後さいごに大だい活躍かつやくしたのにもほっこりしました。

5月16日にち、東京とうきょうオペラシティ コンサートホールにヴァイオリニスト、ヒラリー・ハーンさんのコンサートに行いってまいりました。

ヒラリー・ハーン & アンドレアス・ヘフリガー　デュオ・リサイタル2024

会場かいじょうは初台はつだいの東京とうきょうオペラシティ コンサートホールです。石造いしづくりの円形えんけい広場ひろばは、写真しゃしんには写うつっていませんが、座すわれるように石いしの階段かいだんが設しつらえられ、古代こだいイタリアの円形えんけい劇場げきじょうを思おもわせる雰囲気ふんいきです。

そういえば、以前いぜんオペラシティの新しん国立こくりつ劇場げきじょうで、シチリアオペラの「カヴァレリア・ルスティカーナ」を見みたことを思おもい出だしました。

木目もくめを生いかした美うつくしいコンサートホール。モダンなデザインのパイプオルガンがすてきです。天井てんじょうには採光さいこう窓まどがあり、マチネの時ときは自然しぜん光こうの中なかで音楽おんがくが楽たのしめるのでしょうか。

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ヒラリー・ハーンは、クラシック音楽おんがく界かいの第だい一線いっせんで活躍かつやくするドイツ系けいアメリカ人じんのヴァイオリニスト。かつて住すんでいたヴァージニア出身しゅっしんということもあり、親近しんきん感かんを覚おぼえていました。この日ひのプログラムは

ブラームス：ヴァイオリン・ソナタ 第だい1番ばん Op.78 「雨あめの歌うた」
ブラームス：ヴァイオリン・ソナタ 第だい2番ばん イ長調いちょうちょう Op.100
ブラームス：ヴァイオリン・ソナタ 第だい3番ばん ニ短調たんちょう Op.108

ブラームスが作曲さっきょくしたヴァイオリン・ソナタ全ぜん3曲きょくです。ハーンは、チラシの写真しゃしんでは若手わかての新鋭しんえいヴァイオリニストといった感かんじに見みえますが、実際じっさいにはグレイヘアの落おち着ついた雰囲気ふんいきで、円熟味えんじゅくみを増ました柔やわらかくまろやかな音楽おんがくといった印象いんしょうを受うけました。

アンコールは、ハーン自みずから日本語にほんごでご紹介しょうかい。アメリカの作曲さっきょく家かウィリアム・グラント・スティルの「マザー＆チャイルド」という曲きょくでした。初はじめて名前なまえを聞きく作曲さっきょく家か、初はじめて聴きく曲きょくでしたが、ハーンの演奏えんそうには母親ははおやの限かぎりない優やさしさと愛情あいじょうが感かんじられ、心しんを打うたれました。

後ごからスティルは黒人こくじんの作曲さっきょく家かであると知しりましたが、当時とうじ多おおくの苦難くなんを強しいられていたであろう黒人こくじんの作曲さっきょく家かが、こんなにも愛あいにあふれる曲きょくを作つくったことに感銘かんめいを受うけました。

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コンサートの後のちに、先さきほどの円形えんけい広場ひろばに面めんしたブリティッシュパブで、ビールと軽食けいしょくをいただきました。写真しゃしんを撮とるのを忘わすれましたが、お店みせの雰囲気ふんいきもよかったし、ビールもおいしかった！　でもふだん飲のみ慣なれていないので、帰かえりはふらふらになりました。^^;

招待しょうたい券けんを持もっている友人ゆうじんが誘さそってくれて、いっしょに世田谷せたがや区く上野毛かみのげにある五島ごしま美術館びじゅつかんに行いってきました。

[館かん蔵ぞう]　近代きんだいの日本にっぽん画展がてん（6月がつ16日にちまで開催かいさい）

五島ごしま美術館びじゅつかんは、東急とうきゅう電鉄でんてつの創業そうぎょう者しゃである五島ごしま慶太けいた氏しが、事業じぎょうのかたわら自みずから蒐集しゅうしゅうしてきた古文書こもんじょや日本にっぽん画がなどの貴重きちょうな美術びじゅつ品ひんの数々かずかずを収蔵しゅうぞう、公開こうかいしている美術館びじゅつかんです。以前いぜんから訪おとずれたいと思おもっていたので、思おもいがけないうれしい機会きかいとなりました。

そして本展ほんてんのテーマは、私わたしの好すきな近代きんだい日本にっぽん画が。館かん蔵ぞうの近代きんだい日本にっぽん画がコレクションから、花鳥かちょう画がを中心ちゅうしんとした約やく40点てんを鑑賞かんしょうしました。この他ほか、古文書こもんじょ、古記こき録ろく、墨すみ・硯すずりなど、貴重きちょうな歴史れきし資料しりょうも見みることができました。

游ゆう鶴づる図ず　橋本はしもと雅邦がほう筆ひつ　明治めいじ29年ねん(1896)頃ごろ

鴨かも鷄にわとり図ず　川端かわばた玉章ぎょくしょう筆ひつ　明治めいじ時代じだい・20世紀せいき

啄木たくぼく　小杉こすぎ放ひ菴筆　昭和しょうわ時代じだい・20世紀せいき

葉はっぱが葉脈ようみゃくまで精密せいみつに描えがき込こまれていて、まるでボタニカルアートのようでした。

紅梅こうばい　山口やまぐち蓬春ほうしゅん筆ひつ　昭和しょうわ30(1955)年ねん

冨貴ふき盤ばん　川端かわばた龍子りゅうこ筆ひつ　昭和しょうわ21(1946)年ねん

今回こんかい、私わたしが一番いちばん気きに入いった作品さくひんです。大好だいすきな芍薬しゃくやくの花はなが大胆だいたんに描えがかれていて、西洋せいよう画がのような華はなやかさがありました。

館内かんないで作品さくひんを鑑賞かんしょうした後のちは、そのままお庭にわに出でられます。高低こうてい差さのある地形ちけいを生いかした広大こうだいな庭園ていえんには、古墳こふん、２ふたつのお茶ちゃ室しつ、菖蒲池あやめいけなどあり、変化へんかに富とんで散策さんさくが楽たのしめました。

皇太子こうたいし様さま（現げん天皇陛下てんのうへいかでしょうか）によるお手植てうえの松まつ

すぐ近ちかくに二に子し玉川たまがわの街まち。天気てんきがよいと遠とおくに富士山ふじさんが見みえるそうです。

赤門あかもんと、ユーモラスな表情ひょうじょうの石仏いしぼとけ。

庭園ていえんを出でると、二子ふたご玉川たまがわまでは歩あるいてすぐ。週末しゅうまつの二に子し玉川たまがわはファミリーで大だい賑にぎわいですが、ようやく中華ちゅうかのお店みせに空あきを見みつけて、ランチをいただきながらおしゃべりを楽たのしみました。

学芸がくげい大学だいがく高架こうか下かにこの春はる新あたらしく洋食ようしょく屋やさんがオープンしたのを見みつけて、洋食ようしょく好すきの夫おっとと早速さっそく訪おとずれたところ、とても気きに入いったので、GWに息子むすこが帰省きせいした際さいにいっしょに再訪さいほうしました。

お店みせの名前なまえは「洋食ようしょくムチュ」。食たべる時ときの音おとを表現ひょうげんしたオノマトペのようですが、語感ごかんがかわいい。洋食ようしょく屋やさんにしてはめずらしくガラス張がらすばりの開放かいほう的てきな空間くうかん。クラシックな食器しょっきや、カフェ風ふうのインテリアもすてきです。

シェフは男性だんせいの方ほうですが、キッチンで働はたらいている女性じょせいたちは調理ちょうり学校がっこうを卒業そつぎょうしたばかり？（あくまで私わたしの想像そうぞうです）若わかくて、きびきびと働はたらいていて、とても気持きもちがいい。洋食ようしょく屋やさんの定番ていばんのお料理りょうりはどれもおいしくて、すっかりファンになりました。

ランチセットについてくるスープとサラダ。サイドディッシュといえども、どちらも手てを抜ぬいていなくて、これだけで大だい満足まんぞくでした。サラダのガラス器きのレトロ感かんがすてきです。

ハンバーグ、エビフライ、コロッケ、チキン南蛮なんばんがのったスペシャルプレート。添そえられたナポリタンが泣なかせます。

ポークジンジャー。分厚ぶあついポークソテーにジンジャーソースがからみ、和風わふうのしょうが焼やきとはひと味あじ違ちがった逸品いっぴん。ごはんに合あうお味あじです。

私わたしは、メニューにのっていない限定げんていのオムライス タンシチュー添そえをいただきました。ごろごろお肉にくがのっていてボリュームたっぷり。牛ぎゅうタンは私わたしにはそれほどなじみのある食材しょくざいではないのですが、こういう食たべ方かたもあるんだーと発見はっけんでした。