セレンディピティ ダイアリー

「ゼロ・グラビティ」(Gravity) のアルフォンソ・キュアロン監督かんとくによる、1970年代ねんだいのメキシコシティを舞台ぶたいにした半はん自伝じでん的てきヒューマンドラマ。ヴェネツィア国際こくさい映画えいが祭さい・金きむ獅子しし賞しょうほか、ゴールデングローブ賞しょう、アカデミー賞しょうで外国がいこく語ご映画えいが賞しょうを受賞じゅしょうしました。

ROMA ローマ　(Roma)

劇場げきじょう公開こうかいではなく、映像えいぞうストリーミングサービスの Netflix でのみ配信はいしん、ということでも話題わだいになっていた本ほん作さく。既すでにヨーロッパの映画えいが賞しょうで高たかい評価ひょうかを得えていましたが、アカデミー賞しょうでは (劇場げきじょう公開こうかい作品さくひんではないので) 対象たいしょうとすべきか、議論ぎろんをよびました。スピルバーグ監督かんとくの意見いけんに対たいする Netflix の回答かいとうも興味深きょうみぶかかったです。

というわけで、映画えいがは見みたいけれど、そのために Netflix に入会にゅうかいするのもな～と躊躇ちゅうちょしていたところ、イオンシネマで限定げんてい公開こうかいされると知しり、横浜よこはまの港北こうほくニュータウンまで遠征えんせいしてきました。その後ご、拡大かくだい上映じょうえいすることが決きまったようです。(映画えいが.com)

とにかく映像えいぞうがすばらしい作品さくひんなので、できれば劇場げきじょうの大おおきなスクリーンで見みることをお勧すすめしたいです。モノクロ映画えいがですが、最新さいしんの技術ぎじゅつで撮影さつえいされているので解像度かいぞうどが高たかく、細部さいぶにわたって色いろのグラデーションがきれいでした。

前置まえおきが長ながくなりました。^^;　

ほとんど予備よび知識ちしきなく見み始はじめましたが、オープニングから意表いひょうを突つかれました。タイルの上うえをざ～っと水みずが流ながれ、ブラシで床ゆかをこする音おとが聞きこえる...というシーンがしばらく続つづきます。この穏おだやかな数すう分間ふんかんで、ぐっと映画えいがの世界せかいに引ひき込こまれました。やがてそこは、市街地しがいちにある家いえのガレージで、メイドさんが掃除そうじをしているのだとわかります。

彼女かのじょの名前なまえはクレオ。メキシコシティのコロニア・ローマという地区ちくにある家いえで、ソフィア夫婦ふうふと４人にんの子こどもたち、ソフィアの母はは、２人ふたりのメイドがいっしょに暮くらしています。物語ものがたりはクレオの目めを通つうじて展開てんかいしていきますが、見みているうちに、おそらく子こどもたちのうちの一人ひとりが監督かんとくで、これはきっと監督かんとくの自伝じでん的てきな物語ものがたりなのだろうな...と気きが付つきました。

70年代ねんだいのメキシコシティを舞台ぶたいに、モノクロのノスタルジーあふれる映像えいぞうで、何気なにげない日常にちじょうが描えがかれます。インテリの夫婦ふうふと元気げんきでのびのびとした子こどもたち。クレオは家事かじや子こどもたちの世話せわに明あけ暮くれますが、家族かぞくの信頼しんらいは厚あつく、子こどもたちもクレオのことが大好だいすきです。

平和へいわで穏おだやかな日々ひびの中なかで、クレオはお腹なかに小ちいさな命いのちが宿やどっていることに気きがつきます。ボーイフレンドのフェルミンに打うち明あけるも逃にげられ、くびになることを恐おそれて、雇やとい主ぬしのソフィアにもなかなか相談そうだんできずにいましたが、ソフィアはクレオの妊娠にんしんを心しんから喜よろこび、彼女かのじょの事情じじょうを受うけ入いれるのでした。

詳細しょうさいについては映画えいがに委ゆだねますが、無口むくちで健気けなげなクレオがとても愛あいおしく感かんじられました。若わかくして望のぞまない妊娠にんしんで、子こどもを受うけ入いれる心しんの準備じゅんびも整ととのわない中なか、どれほど不安ふあんな気持きもちでいたことか。彼女かのじょの中なかには、不幸ふこうな結果けっかに安堵あんどする気持きもちと、そんな自分じぶんを責せめる気持きもちとが葛藤かっとうしていたのだと思おもいます。

そうしたすべてが、浜辺はまべでのあの一言ひとことに込こめられていた、と感かんじました。そしてそんなクレオを、やはり一言ひとことで丸まるごと受うけ入いれるソフィアの深ふかい愛あいにも心こころ打うたれました。ソフィアはソフィアで、つらい思おもいを乗のり越こえようとしているところでしたが...。

この作品さくひんでは、男おとこたちが人ひとでなしでだらしなく、女性じょせいたちが美うつくしくたくましい。女性じょせい賛歌さんかの作品さくひんだと思おもいました。監督かんとくを育そだててくれた、母親ははおやとメイドさんに感謝かんしゃをささげる作品さくひんでもあるのでしょうね。

おもしろかったのが、ソフィアの夫おっとへのいら立だちを車くるまの運転うんてんで表現ひょうげんしていたこと。ガレージにぎりぎりぴったり駐車ちゅうしゃすることに無上むじょうの喜よろこびを見出みいだす夫おっとと、そのことがストレスになっていた妻つま。自分じぶんに合あう車くるまを手てに入いれたソフィアは、さばさばとしてうれしそうでした。

お世話せわになった方ほうへの小ちいさなお礼れいに、お菓子かしの空あき箱ばこを使つかってボックスフラワーを作つくりました。

きれいだなーと思おもってとっておいた、いただきものの焼しょう菓子かしの小しょう箱はこ。

箱はこの色いろに合あわせて、お花屋はなやさんで３束たばセットのサービスフラワーを購入こうにゅうしました。ペールオレンジの小ちいさいバラ、それより少すこし濃こいめ・少すこし大おおきめのオレンジ色しょくのバラ、アクセントカラーにピンクとパープルのチューリップをそれぞれ選えらびました。

先日せんじつ教おそわったやり方かたで、箱はこの中なかにアルミホイル、透明とうめいフィルム、水みずをたっぷり吸すわせたオアシスをセットします。

あとはバランスを見みながら自由じゆうに挿さしていきます。家いえにあるアイビーもところどころに入いれました。

角度かくどを変かえて見みるとこんな感かんじ。

箱はこの本体ほんたいとふたを重かさねると、ツートンカラーがきれいです。

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これはまた別べつの日ひ。ガーベラやバラなど、ピンクのお花はなを使つかった春はるらしいアレンジメントを教おそわりました。ユリが開ひらいたらもっと華はなやかになりそうです。細こまかいサクラコマチがなんとも愛あいらしい。

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限定げんてい販売はんばいのようですが、キリンからグランドキリンという新あたらしいクラフトビールのシリーズが出でていました。真まん中なかのIPA(インディア・ペールエール)は、以前いぜんベルギービールのイベントで知しったビールです。

インドがイギリスの植民しょくみん地ちだった18世紀せいき、イギリスからインドにビールを輸送ゆそうする際さいに、防腐ぼうふ剤ざい代かわりにホップの量りょうを増ふやしたのがそもそもの始はじまりだとか。ホップが濃厚のうこうでアルコール度数どすうがやや高たかいですが、苦味にがみとコクがあっておいしいです。

右みぎのホワイトエールは華はなやかさがあって、IPAよりはライトなお味あじ。左ひだりのJPLはまだ飲のんでいませんが楽たのしみです。

映画えいがのあと、麻布まふ十じゅう番ばんをぶらぶらと。裏通うらどおりにあるイタリアン、OSTERIA dieci (オステリア ディエチ) でお昼ひるをいただきました。

お店みせは入いり口くちからゆるやかな半はん地下ちかとなっていて、カーヴのような造つくり。テラコッタ色しょくのしっくいの壁かべに、太ふとい梁はりや石いしが埋うめ込こまれ、イタリアの町まちの食堂しょくどうを思おもわせる雰囲気ふんいきです。

こちらでは北きたイタリアで修業しゅぎょうされたシェフによる、イタリア北部ほくぶの郷土きょうど料理りょうりがいただけます。オステリアは食堂しょくどう、Dieciはイタリア語ごで数字すうじの十じゅうを意味いみし、麻布十番あざぶじゅうばんから名なづけられたそうです。

案内あんないされて席せきに着つくと、私わたしたちの他ほかに何なん組くみかお客きゃくさんがいましたが、みなさんわんちゃんといっしょに食事しょくじをしています。誰だれもがいっしょに食卓しょくたくを囲かこむというイタリアの風習ふうしゅうにならい、こちらのお店みせではわんちゃんOKにしているそうですが、日本にっぽんではそうしたお店みせが少すくないことから、遠とおくから訪たずねてくる方ほうもいらっしゃるそうです。

サラダと前菜ぜんさいの盛もり合あわせ。コッパ、プロシュート、ミラノサラミは、パリッとしたグリーンといっしょにいただきます。奥おくに見みえるのはオリーブ、カポナータ、そして珍めずらしいのがそら豆まめのムース(スフォルマート)。しっとりふわっとした食しょく感かんでした。

スパゲティ・カヴァリーニ。アサリとカラスミのスパゲティですが、どちらもふんだんに入はいっていて贅沢ぜいたくなお味あじでした。カラスミの塩気しおけがいいアクセントになっています。イタリアで直伝じきでんされた看板かんばんメニューとのことでした。

私わたしは本日ほんじつのパスタをいただきました。この日ひは、サルシッチャとトマトソースのペンネでした。ひと口くちにカットされたサルシッチャは、まるで小ちいさいミートボールといった感かんじ。ローズマリーが香かおります。自家製じかせいのフォカッチャも絶品ぜっぴんでした。

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帰かえりは例れいによって裏道うらみちを散策さんさくしましたが、あちらこちらで桜さくらが咲さいていました。

麻布十番あざぶじゅうばんで見みかけた桜さくら。時期じき的てきに彼岸桜ひがんざくらでしょうか。青あおい空そらにピンクが映はえてきれい。

元もと麻布まふで見みかけた桜さくら。こちらは小こぶりのお花はななので、おかめ桜さくらかな？　いよいよ春本しゅんぽん番ばんです。

クリント・イーストウッド監督かんとくの最新さいしん作さくは、ニューヨークタイムズの ”90歳さいの麻薬まやくの運はこび屋や” という記事きじに着想ちゃくそうを得えて作つくられたヒューマンドラマ。イーストウッド自みずから主演しゅえんを務つとめ、ブラッドリー・クーパーが共演きょうえんしています。

運はこび屋や　(The Mule)

90歳さいの園芸えんげい家かアール(クリント・イーストウッド)は長年ながねん家族かぞくを顧かえりみず、デイリリーの栽培さいばい一筋ひとすじに生いきてきましたが、インターネットの波なみに勝かてず事業じぎょうに失敗しっぱい。家いえを失うしない、家族かぞくからも見放みはなされたところに、思おもいがけない仕事しごとのオファーが来きます。それはメキシコの麻薬まやく密売みつばい組織そしきが扱あつかうドラッグの運はこび屋やでした...。

映画えいがを知しり尽つくしたイーストウッド作品さくひんにはずれなし。本ほん作さくも、笑わらいあり、涙なみだあり、どきどきする展開てんかいあり...とすごくおもしろかったです。

アールはイーストウッドその人ひとといった感かんじの、軽妙けいみょう洒脱しゃだつで女性じょせいにもてもてのおじいちゃん。デイリリーという一いち日にちだけ咲さく特別とくべつなユリに魅みせられ、何なん度ども賞しょうを取とっている才能さいのうあふれる園芸えんげい家かですが、仕事しごとのためにいつもおんぼろピックアップトラックで全米ぜんべいを走はしり回まわっていて、家族かぞくの大切たいせつな場面ばめんを蔑ないがしろにしてきました。

妻つまとは別居べっきょ？離婚りこん？しているようですし、結婚式けっこんしきにも出でてもらえなかった娘むすめ(イーストウッドの実みの娘むすめアリソン・イーストウッドが演えんじています)は怒おこってアールとは口くちも利きかないほど。唯一ゆいいつ、孫娘まごむすめだけはアールの味方みかたをしてくれていましたが...。

そんなアールが一文いちぶん無なしになり、麻薬まやくの運はこび屋やを始はじめます。運転うんてんに自信じしんがあり、これまで一いち度ども捕つかまったことがないというのが自慢じまんのアール。

麻薬まやく取締とりしまり官かんのベイツ(ブラッドリー・クーパー)は、タタ(お爺じいさん)という名なの運はこび屋やを追おいますが、なかなか捕つかまえることができません。まさか、90歳さいのおじいちゃんが毎月まいつきのように長距離ちょうきょり運転うんてんして、何なん百ひゃくキロもの麻薬まやくを運はこんでいるとは思おもいもしませんものね。

映画えいがではアールが次々つぎつぎと繰くり出だすジョークや、飄々ひょうひょうとした仕事しごとぶり、麻薬まやく王おうのとんでもなくゴージャスな生活せいかつなど、笑わらえるポイントがたくさん。一方いっぽう、パンケーキハウスでアールとベイツがばったり会あう場面ばめんではビリビリと緊張きんちょうが走はしりました。そしてクライマックスの捕とり物ぶつ劇げき。

家族かぞくとようやく和解わかいしたと思おもったら、実じつは犯罪はんざいに手てを染そめていたなんて...。ふつうだったら縁えんを切きられかねないですが、かつてあれほど父親ちちおやを憎にくんでいた娘むすめが、彼かれのすべてを受うけ入いれるところは、罪つみを憎にくんで人ひとを憎にくまず、家族かぞくの犯罪はんざいを恥はじとみなさないアメリカらしいな...と思おもいました。

それにしてもお金かねは魔物まもの。一度いちど大金たいきんを手てにしてしまうと、犯罪はんざいをやめられなくなってしまうものなのでしょうね。もっとも麻薬まやく組織そしきがからむ危険きけんなお金かねですから、どちらにしても途中とちゅうで抜ぬけるなんてことは無理むりだったかもしれませんが。

あとアメリカにおいて、白人はくじんで男性だんせいであることは生いきていく上うえでの最強さいきょうのパスポートだな...と実感じっかんしました。ラテン系けいというだけで警察けいさつから犯罪はんざい者しゃと疑うたがわれる場面ばめんや、アールが悪意あくいなくぽろっと口くちにする差別さべつ発言はつげんなど、さりげなく今いまのリアルが描えがかれていました。

今年ことしの２月がつはいろいろあって、梅うめを見みに行いく余裕よゆうがなかったのですが、先日せんじつふと思おもい立たって、横浜よこはまの大倉山おおくらやま公園こうえんに梅うめを見みに行いこう、ということになりました。ピークはやや過すぎていたものの、遅咲おそざきの梅うめが美うつくしく、いいお花見はなみになりました。

大倉山おおくらやま公園こうえんは、東急東横とうきゅうとうよこ線せんの大倉山おおくらやまの駅えきから線路せんろ沿ぞいに急きゅうな坂道さかみちを上のぼった丘おかの上うえにあります。着ついたのは夕方ゆうがた４時じ頃ごろで、そろそろ日ひが傾かたむいていましたが、人ひとも少すくなくゆったり散策さんさくできました。

公園こうえんに入はいって木立こだちを抜ぬけると、ギリシャ風ふうの白亜はくあの洋館ようかん　大倉山おおくらやま記念きねん館かんが現あらわれます。実業じつぎょう家かで東洋大学とうようだいがく学長がくちょうを務つとめた大倉おおくら邦彦くにひこ氏しが、大倉おおくら精神せいしん文化ぶんか研究所けんきゅうじょとして創設そうせつした建物たてもので、のちに横浜よこはま市しに寄贈きぞうされました。会議かいぎ室しつやホールがあり、文化ぶんか活動かつどうや展覧てんらん会かい、コンサートなどに使つかわれています。

記念きねん館かんからさらに歩あるくと、眼下がんかのなだらかな斜面しゃめんいっぱいにみごとな梅林ばいりんが現あらわれます。梅林ばいりんはゆるやかな起伏きふくを見みせながらVの字じに続つづいていて、まるでどこかの里山さとやまに来きたような、のどかな風景ふうけいでした。すでに陰かげり始はじめた日ひの光ひかりが、谷間たにまに陰影いんえいを作つくっています。

遅咲おそざきの白梅はくばいが、元気げんきに溌剌はつらつと咲さいていました。

愛あいらしいピンク色ぴんくいろが、遠とおくからもひときわ目立めだった玉たま簾すだれ(たますだれ)。

ひとつの木きから白しろとピンクの花はなが咲さく無類むるい絞しぼり(むるいしぼり)。

ほんのりピンクがかった白梅はくばい。つぼみも愛あいらしい。

池いけに張はり出だす東屋あずまやと、しだれ梅うめの淡路あわじ枝えだ垂たれ(あわじしだれ)。花はなはほとんど散ちっていましたが、名残なごりの梅うめもまた風流ふうりゅうです。

梅うめではありませんが...　同おなじ時期じきに咲さく馬酔木あしび(あしび)も大好だいすきな花はなです。和服わふくを着きたお嬢じょうさんの髪かみ飾かざりのようです。

青空あおぞらの下した、凛々りりしく咲さく白梅はくばいの玉英たまえい(ぎょくえい)。

真まっ赤かな梅うめは、鹿児島かごしま紅べにでしょうか。この色いろも好すきです。

緑みどりの萼がく(がく)がさわやかな月影つきかげ(つきかげ)。

中なかには、幹みきが空洞くうどうになりながらも、のたうち回まわるように枝えだを広ひろげ、花はな咲さき誇ほこる古木ふるきもあり、生いきる力ちからに圧倒あっとうされました。

トッパンホールで定期ていき的てきに開催かいさいされている、ランチタイムコンサート に行いってきました。

99回かい目めとなる今回こんかいは「天才てんさいモーツァルトへの憧憬どうけいと探求たんきゅう」と題だいし、原嶋はらしま 唯ゆいさんのピアノによるモーツァルトの「ピアノ協奏曲きょうそうきょく第だい12番ばん イ長調いちょうちょう K414」が演奏えんそうされました。といってもいっしょに演奏えんそうするのはオーケストラではなく、弦楽げんがく四よん重奏じゅうそう。これはモーツァルト自身じしんによって弦楽げんがく四よん重奏じゅうそうに編曲へんきょくされているのだそうです。

演奏えんそうするのは、渡邉わたなべゆづきさん(ヴァイオリン)、土岐とき祐奈ゆうなさん(ヴァイオリン)、田原たはら綾子あやこさん(ヴィオラ)、伊東いとう裕ひろしさん(チェロ)という編成へんせい。いずれも若わかい才能さいのうあふれる演奏えんそう家かたちですが、土岐ときさんは以前いぜん、国立こくりつ新しん美術館びじゅつかんのロビーコンサートでもお聴ききしたことがあります。

木目もくめの美うつくしいホールは広ひろすぎず、室内楽しつないがくを聴きくにはぴったりの空間くうかんでした。時間じかんぴったりに５人にんの演奏えんそう家かたちがステージに現あらわれましたが、４人にんの女性じょせいたちはドレスが水色みずいろ、藤ふじ色しょく、ワインカラーと色いろのハーモニーも完璧かんぺきで、まるで花はなが咲さいたようでした。小鳥ことりがさえずるような美うつくしいアンサンブルに心しん洗あらわれ、しばし夢ゆめの時間じかんをすごしました。

演奏えんそう時間じかんは12時じ15分ふんから30分間ふんかんちょうど。アンコールもありません。もう少すこし聴ききたいなーという気持きもちになりましたが、きっとお昼休ひるやすみに来きて、さくっと聴きけるというのが、このコンサートのコンセプトなのでしょうね。チケットは事前じぜんにはがきでの申もうし込こみが必要ひつようですが、当日とうじつ券けんもあるようです。

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トッパンホールのすぐ近ちかくには、学生がくせい時代じだいの教科書きょうかしょでなじみのある出版しゅっぱん社しゃ 朝倉書店あさくらしょてんがあって、へ～と懐なつかしくなりました。それから目白めじろ通どおり沿ぞいには「国産こくさん飛行機ひこうき発祥はっしょうの地ち」という碑いしぶみも。初はじめて試験しけん飛行ひこうしたのは今いまの代々木公園よよぎこうえんですが、日野ひの熊蔵くまぞう大尉たいいが飛行機ひこうきを作つくった会社かいしゃがここにあったそうです。

それから江戸川橋えどがわばし駅えきのすぐ横よこには、日本にっぽんで初はじめてフランスパンを作つくったという「関口せきぐちフランスパン」の支店してんがありました。こちらのラスクをよくくださる方ほうがいて、以前いぜんから名前なまえを覚おぼえていたのです。いろいろ発見はっけんがある一いち日にちでした。^^

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おまけに、最近さいきん作つくったバナナの朝食ちょうしょくから。

バナナとバニラアイスのダッチベイビー・パンケーキ

生地きじをスキレットに流ながして、オーブンで焼やくタイプのパンケーキです。半はん割わりにしたバナナとバニラアイスクリームをのせて、刻きざんで乾煎からいりしたくるみをぱらぱら。チョコレートクリームをささっとして、粉こな砂糖さとうをふるいました。

バナナとピーナッツバターのトーストサンド

トーストした食しょくパンの片側かたがわに甘あまみのあるピーナッツバター、もう片側かたがわに甘あまみのないピーナッツバターをぬり、縦たてに薄切うすぎりにしたバナナをはさみました。バナナとピーナッツバターは最強さいきょうの組くみ合あわせです♪

映画えいがのあとに、お昼ひるをいただくことに。行いこうと思おもったお店みせがあいにく予約よやくでいっぱいだったので、予定よていを変更へんこうして、その途中とちゅうにあるお蕎麦そば屋やさんに入はいることにしました。

いつも車くるまで前まえを通とおっていますが、今いままで気きが付つかなかった...。ビルの１階かいにあってあまり目立めだちませんが、中なかに入はいると古こ民家みんか風ふうの重厚じゅうこうな作つくりで、趣おもむきがありました。そして気きが付つけばあちこちに、黒澤くろさわ明あきら監督かんとくの写真しゃしんや映画えいがのポスターが飾かざってあります。

よく見みればお店みせの名前なまえは「欅けやきくろさわ」。後ごから知しったところでは、黒澤くろさわ監督かんとくのご子息しそくの、黒澤くろさわ久雄ひさおさんがプロデュースしているお店みせということです。お昼ひるのメニューはご飯はんものもあってなかなか豊富ほうふ。決きめるのに時間じかんがかかりました。^^

天てんそば膳ぜん。海老えびや野菜やさいの天てんぷらに、ごはんと小ちいさなお蕎麦そば、小鉢こばちなどがつくセットです。

私わたしは季き節ぶし限定げんていの、海老えびと春はるの山菜さんさいの天てんぷらのつく冷つめたいお蕎麦そばをいただきました。天てんぷらは海老えびのほか、たけのこ、ふきのとう、たらの芽め、菜なの花はななど。春はるの恵めぐみをいっぱいいただきました。お蕎麦そばのゆで加減かげんはややかため。しゃきっとさっぱり、おいしかったです。

近ちかくのテーブルのから聞きこえてきた話はなしによると、このお店みせでは豚ぶたざるというのが名物めいぶつのようです。豚肉ぶたにくの入はいった温あたたかいおつゆに冷つめたいお蕎麦そばをつけていただくようで、武蔵野むさしのうどんのお蕎麦そば版ばんかな？と想像そうぞうしました。機会きかいがあれば食たべてみたいです。

黒澤くろさわ明あきら監督かんとくの作品さくひんはほとんど見みたことがありませんが、唯一ゆいいつ、学校がっこうの芸術げいじゅつ鑑賞かんしょうで「デルス・ウザーラ」を見みに行いったことがあります。場所ばしょは、今いまはなき横浜よこはま・関内かんないの映画えいが館かん。それまで映画えいがといえば、娯楽ごらく作品さくひんしか見みたことがなく、芸術げいじゅつ系けいの映画えいがを見みたのはこれが初はじめてでした。

でも子こども心しんにもすごくおもしろくて、引ひき込こまれました。まわりの級友きゅうゆうたちも、それは同おなじだったようで、いい映画えいがというのは、子こどもの心しんにもちゃんと届とどくものなのだな...としみじみ思おもいます。その後ごしばらく学校がっこうで、カピタン！が流行りゅうこう語ごになったのは言いうまでもありません。^^

そんな思おもい出で話ばなしをしていたら、帰かえりがけにお店みせの中なかにデルス・ウザーラのポスターがあることに気きづいて、びっくりしました。いずれは、黒澤くろさわ作品さくひんも少すこしずつ見みていきたいです。

人種じんしゅ差別さべつの残のこる1960年代ねんだいのアメリカで、ニューヨークから南部なんぶをめざして演奏えんそうツアーを行おこなうことを決きめた黒人こくじんピアニストと、彼かれの運転うんてん手しゅとして雇やとわれた白人はくじん運転うんてん手しゅが、旅たびを通つうじて友情ゆうじょうを深ふかめていくロードムービー。「メリーに首くびったけ」のピーター・ファレリーが監督かんとくを手掛てがけ、ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリが共演きょうえんしています。

グリーンブック　(Green Book)

1962年ねん、ニューヨーク。高級こうきゅうクラブのコパカバーナで用心棒ようじんぼうとして働はたらくイタリア系けい白人はくじんのトニー(ヴィゴ・モーテンセン)は、その問題もんだい解決かいけつ能力のうりょくを買かわれ、カーネギーホールの上うえ階かいに住すむ黒人こくじんピアニスト、ドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)から演奏えんそうツアーの運転うんてん手しゅとしてスカウトされます。

ニューヨークから中西部ちゅうせいぶ、そして人種じんしゅ差別さべつが色濃いろこく残のこるディープサウス(深ふか南部なんぶ)へ。デコボココンビの２人ふたりは、グリーンブック(黒人こくじんが利用りようできる施設しせつが書かかれた旅行りょこうガイド)を頼たよりに、ドライヴ旅行りょこうに出発しゅっぱつしますが...。

コパカバーナと聞きいて思おもい出だしたのは、バリー・マニロウの大だいヒット曲きょく。しかも客きゃくを殴なぐり倒たおすのがトニーだなんて！歌うたの通とおりではありませんか。^^　イタリア系けいの用心棒ようじんぼうと聞きいてゴッドファーザーを思おもい浮うかべたら、ほんとうにトニーご本人ほんにんが映画えいが「ゴッドファーザー」にマフィア役やくで出でていたと知しって驚おどろきました。

本ほん作さくは実際じっさいにあった話はなしで、トニーの息子むすこさんが製作せいさくに加くわわり、実在じつざいのエピソードが使つかわれているそうです。60年代ねんだいのアメリカや人種じんしゅ差別さべつの歴史れきしがわかりやすく描えがかれていて、多少たしょう教科書きょうかしょ的てきなところもありますが、笑わらって泣なけて、温あたたかい気持きもちになる、素直すなおに感動かんどうできる作品さくひんでした。

演えんじるマハーシャラ・アリと、ヴィゴ・モーテンセンもすごくよかったです。マハーシャラはもともと知的ちてきな雰囲気ふんいきのある役者やくしゃさんですが、いつもは渋しぶくてすてきなヴィゴが、かなり体重たいじゅうを増ふやして、粗野そやで別人べつじんのようになっていたのにはびっくりしました。でもヴィゴが演えんじるトニーは、ハートが温あたたかくて心意気こころいきがあってとても魅力みりょく的てきでした。

黒人こくじんがホテルで宿泊しゅくはく拒否きょひされるのは、ジャッキー・ロビンソンの伝記でんき映画えいが「42」でも描えがかれていましたが、白人はくじんといっしょに旅たびをして、自分じぶんだけ同おなじホテルに泊とまれなかったり、トイレが外そとにあったりするのはどれだけ屈辱くつじょく的てきなことでしょう。そうした理不尽りふじんに会あうたびに、シャーリーは決けっして誇ほこりを捨すてず、妥協だきょうせず、粘ねばり強づよく交渉こうしょうしていきます。

何なにもそんな苦労くろうをしてまで南部なんぶで演奏えんそう活動かつどうをしなくても、と思おもいますが、シャーリーにとってこれは社会しゃかいを変かえるためのひとつのチャレンジなのでしょうね。実際じっさい、シャーリーと旅たびをしていくうちに、人種じんしゅ差別さべつ主義しゅぎ者しゃだったトニーが、シャーリーをひとりの人間にんげんとして尊敬そんけいし、彼かれの名誉めいよを守まもるために奮闘ふんとうするようになるのですから。

いつもはけんかっ早はやいトニーが、シャーリーに迷惑めいわくがかからないよう怒いかりを抑おさえる姿すがたにもぐっと来きました。その彼かれが唯一ゆいいつ警官けいかんをなぐったのが、自みずからのイタリア系けいという出自しゅつじを汚よごされた時とき。白人はくじん、黒人こくじんだけでなく、白人はくじん同士どうしの微妙びみょうな差別さべつも垣間見かいまみえるひとこまでした。

シャーリーはお金かねと教養きょうようがあって、当時とうじの黒人こくじんの中なかでは異色いしょくの存在そんざい。カーネギーホールといえばファッション写真しゃしん家かのビル・カニンガムも住すんでいましたが、それとは比くらべものにならないほど豪華ごうかなお部屋へやで、いったいシャーリーは何者なにもの？！となりました。しかもロバート・ケネディ司法しほう長官ちょうかんにも顔かおが効きくなんて。

彼かれの白人はくじんでもない、黒人こくじんでもない、家族かぞくもいない、という孤独こどくな心しんを慰なぐさめるものは、トニーと出会であうまでは、これまで音楽おんがくしかなかったのだろうな...と想像そうぞうしました。トニーは逆ぎゃくにイタリア系けいの大だい家族かぞくの中なかでにぎやかに育そだち、愛あいに恵めぐまれてきた人ひと。妻つまのドロリスに手紙てがみを書かくくだりは、すごく微笑ほほえましかったです。

シャーリーが演奏えんそうする音楽おんがくが、クラシックでもジャズでもないアメリカ音楽おんがくともいうべきもので興味深きょうみぶかかったです。黒人こくじんがクラシックを演奏えんそうすることへの周囲しゅういの偏見へんけんがあったからかもしれませんが、当時とうじのアメリカ人じんはあまりクラシックを聴きかなかったとも聞きいたことがあります。個人こじん的てきには最後さいごのバーでシャーリーが弾ひく、ショパンとジャズが一番いちばんよかったです。

フライドチキンという人種じんしゅ的てきにデリケートな食たべ物ものを、ユーモアにからませて描えがいているのもうまかった。私わたしがこのことを知しったのは、1997年ねんのマスターズでタイガー・ウッズが最年少さいねんしょうで優勝ゆうしょうした時ときで、今いまも衝撃しょうげきとともに覚おぼえています。一方いっぽう、トニーのピザ丸まるかじりには大笑おおわらいしました。^^

ニューヨークへの帰かえり道みちに、眠ねむくて眠ねむくてしかたのないトニーのためにシャーリーがとった行動こうどう。そしてクリスマスのエンディング。心地ここちよい感動かんどうを味あじわいました。

映画えいが「三さん度目どめの殺人さつじん」に出でてくる、ピーナッツクリームが気きになりました。

三隅みすみ(役所広司やくしょこうじ)の部屋へやにあったものですが、のちに咲さき江こう(広瀬ひろせすず)がパン屋やさんでピーナッツクリームを買かうところを見みた重盛しげもり(福山ふくやま雅治まさはる)は、同おなじものを買かって三さん隅すみに差さし入いれします。三隅みすみは「これ、大好だいすきなんですよ」と喜よろこび、それを受うけ取とります。

この一連いちれんのシーンにどんな意味いみが込こめられているのか？はわかりませんが、その後ご、拘置こうち所しょの独房どくぼうでコッペパンにピーナッツクリームをぬって食たべる三さん隅すみは、なんともうれしそうでした。

ところで今回こんかい画像がぞうを探さがしていて知しったのですが、モデルとなった丸まる十じゅうベーカリーは横浜よこはま・蒔田まきたにあるパン屋やさんだそうです。ローカルな場所ばしょですが、こういうレトロで趣おもむきのあるお店みせをよく見みつけたなーと感心かんしんしました。残念ざんねんながら丸まる十じゅうベーカリーは現在げんざいは閉店へいてんしているようです。

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前置まえおきが長ながくなりましたが、映画えいがの三さん隅すみを思おもい出だしながら、ピーナッツクリームの朝食ちょうしょくを用意よういしました。

これは、お正月しょうがつに房総ぼうそうを訪おとずれた時ときに、ホテルの売店ばいてんで見みつけたピーナッツクリームです。千葉ちばといえば落花生らっかせいが名産めいさんですが、このピーナッツクリームも最高さいこうにおいしかった！　ますだの落花生らっかせいさんの商品しょうひんで、スイートタイプ、渋皮しぶかわ入いりビター、無む糖とうの３種類しゅるいがありました。

三隅みすみはコッペパンにピーナッツクリームをぬっていましたが、私わたしは厚あつ切ぎりのトーストにビター、スイート２種類しゅるいのピーナッツクリームをぬりました。三隅みすみがほかに何なにを食たべていたか、映画えいがでは判別はんべつできませんでしたが、私わたしがこの日ひ用意よういしたのは紫むらさきキャベツのコールスロー、菜なの花はなの蒸むし焼やき、モッツァレラ入いりスクランブルドエッグ

そして愛媛えひめ産さんの天草てんぐさ(あまくさ)というオレンジです。長崎ながさき・天草あまくさ島とうで生うまれた品種ひんしゅで、清見きよみ、みかん、ページオレンジを交配こうはいして作つくられたとか。甘あまくてジューシー、口当くちあたりが柔やわらかくておいしいです。最近さいきんは柑橘類かんきつるいの種類しゅるいがたくさんありますが、どれもよく研究けんきゅうされていておいしいですね。

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手持てもちのピーナッツクリームがそろそろなくなるので、先日せんじつは六本木ろっぽんぎヒルズのグランドフードホールでピーナッツバターを買かいました。

その場ばでバターピーナッツを挽ひいて作つくってくれるもので、素朴そぼくな食しょく感かんが魅力みりょく。甘あまみが加くわえられていないので、そのままお料理りょうりにも使つかえます。トーストに使つかう時ときははちみつと合あわせてもいいですね。

私わたしは今いままで何なんでもピーナッツバターとよんでいましたが、商品しょうひん名めいはピーナッツクリームとなっていることが多おおいようです？？　調しらべてみたところ日本にっぽんでは、ピーナッツだけでできているものをピーナッツバター、甘あまみなどが加くわえられているものをピーナッツクリームと、区別くべつされているようです。

【関連かんれん記事きじ】三さん度目どめの殺人さつじん　(2019-03-01)

是枝これえだ裕和ひろかず監督かんとく、福山ふくやま雅治まさはるさん主演しゅえんの、2017年ねん公開こうかいの法廷ほうていサスペンス映画えいが。役所広司やくしょこうじさん、広瀬ひろせすずさんが共演きょうえんしています。

三さん度目どめの殺人さつじん　(The Third Murder)

30年ねん前まえに殺人さつじんを犯おかした前科ぜんかのある三隅みすみ(役所広司やくしょこうじ)は、解雇かいこされた工場こうじょうの社長しゃちょうを殺害さつがいして火ひをつけたとして起訴きそされます。三隅みすみは犯行はんこうを自供じきょうしていて、死刑しけいはほぼ確実かくじつと思おもわれましたが、弁護べんごを担当たんとうすることになった重盛しげもり(福山ふくやま雅治まさはる)は、なんとか無期むき懲役ちょうえきに持もち込こもうと調査ちょうさをはじめます...。

昨年さくねんTV放映ほうえいしていたのを遅おそまきながら録画ろくがで見みました。映画えいがは、頬ほおに血ちのついた三隅みすみが、河川敷かせんしきで何なにかを燃もやしている場面ばめんから始はじまるので、犯人はんにんが最初さいしょからわかっているコロンボ形式けいしきの推理すいりドラマか？と思おもいましたが、そういうわけではないようです。

重盛しげもりは、三隅みすみの30年ねん前まえの事件じけんを父親ちちおやが担当たんとうしていたという経緯けいいから、先輩せんぱい弁護士べんごしから頼たのまれ、三隅みすみの弁護べんごを引ひき受うけます。弁護士べんごしというのは、どんな凶悪きょうあくな犯人はんにんであっても、なるべく刑けいを軽かるくしようと手てを尽つくすのが仕事しごと。エリート弁護士べんごしの重盛しげもりも、なんとか無期むき懲役ちょうえきに持もち込こもうと奮闘ふんとうします。

ところが三さん隅すみというのが、なかなかの曲者くせもの。すべてを重盛しげもりに明あかすわけではなく、時ときに嘘うそもついているようです。達観たっかんして潔いさぎよく刑けいを受うけ入いれようとしているように見みえますが、かといってほんとうに殺ころしたかどうか疑うたがわしい。困惑こんわくする重盛しげもりを、どこか高たかみの見物けんぶつで楽たのしんでいる余裕よゆうすら感かんじられます。

はたして三さん隅すみはこの事件じけんの真犯人しんはんにんなのでしょうか。

でもこの映画えいがは、事件じけんの真相しんそうを明あきらかにすることが目的もくてきではないようです。まずはタイトルの意味いみするところですが、一いち度目どめの殺人さつじんは30年ねん前まえに三さん隅すみが起おこした事件じけん、二に度目どめの殺人さつじんは今回こんかいの殺人さつじん事件じけん。そして三さん度目どめの殺人さつじんは三さん隅すみの死刑しけいを指さしている、と私わたしは受うけ止とめました。

では誰だれが三さん隅すみを殺ころしたのでしょう。私わたしは最初さいしょは ”司法しほうが三さん隅すみを殺ころした” つまりこの作品さくひんは司法しほうの限界げんかいを描えがいた作品さくひんかと思おもいました。真実しんじつはひとつですが、弁護士べんごしの力量りきりょうや、裁判さいばん長ちょうの判断はんだんで刑けいが左右さゆうされることに、疑問ぎもんを唱となえているのかな？と。

でも後あとで、三隅みすみを殺ころしたのは ”私わたしたち” ではないかと思おもい当あたりました。三隅みすみは被害ひがい者しゃの娘むすめ 咲さき江こう(広瀬ひろせすず)の犯行はんこうをかばっているのかもしれないし、あるいは咲さき江えの代かわりに殺ころしたのかもしれません。いずれにしても、そのことが立証りっしょうされれば、三隅みすみの刑けいは軽かるくなるはずです。

でも弁護士べんごしだけでなく、公平こうへいを期きするはずの検事けんじも、咲さき江えを法廷ほうていに呼よぼうとしませんでした。それは、真実しんじつを明あきらかにするよりも、咲さき江えの未来みらいを守まもることを第だい一いちに考かんがえたのだと思おもいます。当とうの三さん隅すみが罪つみを受うけ入いれようとしているのだから、それでいいではないか、という考かんがえです。

私わたしたちは時ときに、すべてを丸まるく収おさめるために、真実しんじつをほんの少すこし曲まげることがあります。誰だれも傷きずつかず、みんなが納得なっとくするのであれば、それでよいではないかと。真実しんじつが必かならずしも正ただしいとは限かぎらないのだから...。

でもそれが、命いのちに係かかわることだったら？　たとえ三さん隅すみが納得なっとくしていたとしても、冤罪えんざいによって死しを受うけ入いれることがあっていいのか。真相しんそうは藪やぶの中なかですが、割わり切きれないものを感かんじました。

【関連かんれん記事きじ】ピーナッツクリームの朝食ちょうしょく　＠三さん度目どめの殺人さつじん　(2019-03-03)