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殺菌 - Wikipedia

殺菌さっきん

病原びょうげんせい有害ゆうがいせいゆうする糸状いとじょうきん細菌さいきんなどの微生物びせいぶつころ減少げんしょうさせる操作そうさ
加熱かねつ殺菌さっきんから転送てんそう

殺菌さっきん(さっきん、えい: sterilization)とは、病原びょうげんせい有害ゆうがいせいゆうする糸状いとじょうきん細菌さいきんなどの微生物びせいぶつころ減少げんしょうさせる操作そうさのことである。滅菌めっきんことなるのは具体ぐたいてき程度ていど定義ていぎされておらず、滅菌めっきんのような完全かんぜん効果こうか保証ほしょうされていない。電磁波でんじは温度おんど圧力あつりょく薬理やくり作用さようなどをもちいて細菌さいきんなどの組織そしき破壊はかいするか、生存せいぞん不可能ふかのう環境かんきょう生成せいせいすることでおこなわれる。すべての種類しゅるいきんころさなくても、生物せいぶつ悪影響あくえいきょうおよぼす細菌さいきんなどの微生物びせいぶつ減少げんしょうすれば殺菌さっきんとみなされる。おも病原びょうげんたい除去じょきょ感染かんせんしょう予防よぼう)、食品しょくひん鮮度せんど保持ほじなどが目的もくてき実行じっこうされる。対象たいしょうとする細菌さいきんなどによっては効果こうか期待きたいできない方法ほうほうもある。人体じんたい有益ゆうえき生物せいぶつへの障害しょうがい高熱こうねつ腐食ふしょくによる装置そうち破損はそん食品しょくひん風味ふうみ変質へんしつなどをこすことがあるため、対象たいしょう細菌さいきんなどの微生物びせいぶつわせて適切てきせつ方法ほうほう選択せんたくすることが重要じゅうようである。低温ていおん殺菌さっきんほうパスチャライゼーション英語えいごめい: pasteurization)はルイ・パスツールからきている。

類似るいじ概念がいねんとのちが

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一般いっぱんに「殺菌さっきん」は、消毒しょうどくのことをい、効能こうのうなどを表記ひょうきするさい殺菌さっきん消毒しょうどくをまとめて殺菌さっきん消毒しょうどくなどとわれたりするなど、ほぼおな概念がいねんとしてあつかわれてしまっていることがおおいが、専門せんもんてきにはことなる概念がいねんである。その類似るいじする概念がいねんとして、除菌じょきん抗菌こうきんなどもあるが、これらも微生物びせいぶつがく医学いがく食品しょくひん科学かがく分野ぶんやにおいて、意味いみことなる概念がいねんである。この項目こうもくではこの概念がいねんちがいにつき解説かいせつする。また、抗生こうせい物質ぶっしつ作用さようじょあらわ言葉ことばとして殺菌さっきんしずかきんという用語ようごもちいることがある。市販しはん洗剤せんざいけししゅうざいなどにおいて、「殺菌さっきん」、「除菌じょきん」、「抗菌こうきん」をうたった製品せいひん存在そんざいするが、滅菌めっきんのような完全かんぜん効果こうか保証ほしょうされていない(商品しょうひん説明せつめいらんに「すべてのきん・ウイルスに効果こうかがあるわけではありません」などとかれているのはそのため)。

専門せんもんてき概念がいねん

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具体ぐたいりょう定義ていぎされているのは「滅菌めっきん」のみである。

滅菌めっきん

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滅菌めっきんsterilization 英語えいご語源ごげんにん手術しゅじゅつのように、にんすること)は、有害ゆうがい無害むがいわず、対象たいしょうぶつ存在そんざいしているすべての微生物びせいぶつおよびウイルスを死滅しめつさせるか除去じょきょすることである。実際じっさいにはきんすう完全かんぜんにゼロとすることは現実げんじつてきではないため、無菌むきんせい保証ほしょうレベル(sterility assurance level, SAL)をたすことをもって『滅菌めっきんした』とする。SAL≦10-6滅菌めっきん操作そうさ滅菌めっきんぶつ微生物びせいぶつ生存せいぞんするかくりつが100まんぶんの1以下いかであること)が国際こくさいてき採用さいようされている。おな概念がいねんが、日本にっぽん薬局方やっきょくほうにおいても「最終さいしゅう滅菌めっきんほう」として採用さいようされている。 ほん記事きじあつか殺菌さっきん消毒しょうどく除菌じょきんひとし用語ようごなかで、滅菌めっきんがもっとも厳重げんじゅう方法ほうほうであり、その用途ようと限定げんていされる。手洗てあらいのさい「ヒトの手指しゅし消毒しょうどくする」ことはできるが、ヒトの手指しゅし滅菌めっきんしようとすれば、手指しゅし細胞さいぼうごと全部ぜんぶころすことになり、手指しゅし滅菌めっきん事実じじつじょう不可能ふかのうである。 また、対象たいしょうぶつをたとえ滅菌めっきんできても、一般いっぱんてき外気がいきれれば、ふたたきん繁殖はんしょくすることになる。たとえばカビ除去じょきょで、カビを滅菌めっきんした状態じょうたいぞくう「カビの」がのこらない状態じょうたい)にしたとしても、空気くうきちゅうただよ胞子ほうしさいちゃくおとすれば、カビがふたた増殖ぞうしょくすることになる。

殺菌さっきん

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殺菌さっきん (microbiocidal effect, bacteriocidal-) は文字通もじどおきんころすことである。極端きょくたんはなし、1%のきんころし、まだきんが99%のこっている状態じょうたいでも「殺菌さっきん」を達成たっせいしたとえる。このため、滅菌めっきんのような完全かんぜん効果こうか保証ほしょうされない。

消毒しょうどく

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消毒しょうどく (disinfection) は、対象たいしょうぶつ使用しようしてもがいのない程度ていどまで対象たいしょうぶつ存在そんざいしている病原びょうげんせいのある微生物びせいぶつを、らすことである。この手段しゅだんとして殺菌さっきんおこなわれることもあるが、殺菌さっきんせずに病原びょうげんせい消失しょうしつさせることにより消毒しょうどく達成たっせいされることもあるので、殺菌さっきん滅菌めっきんとはすこ意味合いみあいがことなる。

その概念がいねん

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以下いか学術がくじゅつてき専門せんもん用語ようごとしてはあまり使つかわれず、よりくだいた、あるいは曖昧あいまい意味いみもちいられることがある。

除菌じょきん

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除菌じょきんは、対象たいしょうぶつからきんのぞいてらすことである。みずあらうことから、ろなどによりきんのぞくなど、様々さまざま程度ていど範囲はんいがある。対象たいしょう程度ていどふくまない概念がいねんである。

抗菌こうきん

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抗菌こうきん (antimicrobial effect, antiseptic, antibacterial-) は、(ほそきん増殖ぞうしょく阻止そしすることである。繁殖はんしょく阻止そしする対象たいしょう程度ていどふくまない概念がいねん経済けいざい産業さんぎょうしょう定義ていぎでは、対象たいしょう細菌さいきんのみとしている。そのため日本工業規格にほんこうぎょうきかく抗菌こうきん仕様しよう製品せいひんでは、かび、くろずみ、ヌメリは、効果こうか対象たいしょうがいになっている。JIS Z 2801

ぼうカビ (antimicrobial effect, anti-mould) は、きん増殖ぞうしょく阻止そしすることである。繁殖はんしょく阻止そしする対象たいしょう程度ていどふくまない概念がいねんであり、対象たいしょうきんのみとしているてんことなる。かずきんにのみ効果こうかがあるものから、すうひゃく種類しゅるい効果こうかのあるものもあり、持続じぞく期間きかんもメカニズムもまちまちである。ぎりぎりJIS規格きかく(JIS Z 2911)レベルのすうきんにのみ効果こうかがあるぼうカビざい一般いっぱん住宅じゅうたくもちいても、発生はっせいするかびの種類しゅるいおおいため、防止ぼうし効果こうか期待きたいできない。ぼうカビ表示ひょうじがあってもカビが発生はっせいするのはこのためである。すくなくとも建築けんちくぶつ発生はっせいするおそれのあるカビすべてに対応たいおうできるタイプでなければ、カビを防止ぼうしすることは出来できない。 殺菌さっきん除菌じょきんもちいるつぎ塩素えんそさんナトリウム消毒しょうどくようエタノールは、ただちに殺菌さっきん効果こうかがなくなるため、塗布とふしても継続けいぞくてきぼうカビ効果こうかい。

殺菌さっきん相対そうたいする概念がいねん

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せいきん

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せいきん (microbiostatic effect, bacteriostatic-) は、きんころさないがその増殖ぞうしょくめること(低温ていおん保存ほぞん乾燥かんそうなど)である。対象たいしょう程度ていどふくまない概念がいねんである。

方法ほうほうによる分類ぶんるい

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この項目こうもくでは、殺菌さっきん方法ほうほうについて解説かいせつする。ただし、消毒しょうどくほう滅菌めっきんほうなどが混在こんざいしてかれているので注意ちゅうい必要ひつよう上述じょうじゅつしたように殺菌さっきん消毒しょうどく意味合いみあいがことなるため、消毒しょうどくほう限定げんていした方法ほうほう消毒しょうどくざい別記べっきしている。該当がいとう項目こうもく参照さんしょうのこと。

殺菌さっきんする方法ほうほうには、おおきくけて、物理ぶつりてき方法ほうほうによるものと、化学かがくてき方法ほうほうによるものがある。

物理ぶつりてき方法ほうほう

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高温こうおん処理しょり

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高温こうおん処理しょりすることによって殺菌さっきん可能かのうである。微生物びせいぶつ有機物ゆうきぶつから構成こうせいされるため、とく水分すいぶん存在そんざい加熱かねつ湿しめねつ)すると死滅しめつしやすい。ただし、一部いちぶ細菌さいきんつく芽胞がほうきわめてたい熱性ねっせいたかく、100℃で沸騰ふっとうさせてもなないため、滅菌めっきんするさいには、100℃よりたか温度おんどもちいる必要ひつようがある。

焼却しょうきゃく
滅菌めっきん有機物ゆうきぶつ完全かんぜん燃焼ねんしょうさせる。もっと確実かくじつ方法ほうほうではあるが、対象たいしょうぶつ同時どうじ喪失そうしつしてしまうため、実用じつようてきとはがたい。通常つうじょうでは伝染でんせんびょう発生はっせいに、病原びょうげん微生物びせいぶつ汚染おせんされたもの(衣服いふくかみ遺体いたいなど)を処分しょぶんする目的もくてきもちいる。
火炎かえん滅菌めっきん
ライターブンゼンバーナーアルコールランプ火炎かえん対象たいしょうぶつ直接ちょくせつ加熱かねつして滅菌めっきんする方法ほうほう微生物びせいぶつ培養ばいようきバリ、ピンセットなどにもちいる。
いぬいねつ滅菌めっきん
滅菌めっきんようオーブンで180℃30ふんあるいは160℃2あいだ[1]加熱かねつする。水分すいぶんふくまないたい熱性ねっせい器具きぐ金属きんぞくせいのメスやピンセット、ガラス製品せいひん)にたいしてもちいる。
高温こうおんだかあつ滅菌めっきんオートクレーブ
オートクレーブとばれる装置そうちもちいて、飽和ほうわ水蒸気すいじょうきちゅうで121℃2気圧きあつ15ふん以上いじょう通常つうじょう20ふん加熱かねつする。湿しめねつ芽胞がほう死滅しめつさせるため、圧力あつりょくげて100℃以上いじょう温度おんどにする。いぬいねつ滅菌めっきん高温こうおんにはえられない樹脂じゅし製品せいひん器具きぐやろほん書類しょるい水分すいぶんふく培地ばいちなどの滅菌めっきんもっとてきしている。ぎゃくに、れると都合つごうわる器具きぐには不向ふむきである。また、対象たいしょうぶつによっては、115℃1.7気圧きあつ30ふん以上いじょう加熱かねつでよい場合ばあいや、非常ひじょう病原びょうげんせいたかいもの(異常いじょうプリオン)にたいしては、133℃3気圧きあつで1あいだ加熱かねつする場合ばあいもある。
間欠かんけつ滅菌めっきん
煮沸しゃふつしたあといちばん室温しつおん放置ほうちしてふたた煮沸しゃふつ、さらにもういちばん放置ほうち煮沸しゃふつする方式ほうしき細菌さいきん芽胞がほうが、増殖ぞうしょくてきした環境かんきょうになると通常つうじょうきんたいもどることを利用りようしたもの。オートクレーブできない培地ばいちなどにもちいる。実施じっしするには単純たんじゅん計算けいさんで3にちかかるため、最近さいきんはあまりもちいられていない。
みず煮沸しゃふつ
汚物おぶつなどにせっしたみずは、コレラちょうチフス赤痢せきりなどをこす。また寄生虫きせいちゅう問題もんだいこす。それらをふせぐために、古代こだいからみず一旦いったん沸騰ふっとうさせてからむ、ということがおこなわれている。現代げんだいでもおおくの地域ちいき安全あんぜん飲料いんりょうすい確保かくほしづらく、そのような地域ちいきでは飲用いんようすいまえ一旦いったんかすことが重要じゅうようである。
熱湯ねっとう消毒しょうどく
台所だいどころ用品ようひん調理ちょうり用品ようひん、ソフトコンタクトレンズなどにもちいる。コンタクトレンズよう器具きぐでは、家庭かてい簡便かんべん使つかえるようにコンセントと一体いったいになった小型こがた器具きぐなどもある。
低温ていおん殺菌さっきんパスチャライゼーション
消毒しょうどく)100℃以下いか温度おんど(42,60,80℃など)でやや長時間ちょうじかん(30ふん - 数時間すうじかん)かけて加熱かねつ処理しょりする。オートクレーブなどの滅菌めっきん処理しょり変質へんしつしてしまう食品しょくひん牛乳ぎゅうにゅうなどの消毒しょうどく殺菌さっきんもちいる。
高温こうおん殺菌さっきん
蒸気じょうき利用りようし、100℃以上いじょう湿しめねつ加熱かねつする。たい熱性ねっせい芽胞がほう死滅しめつさせることができる。
ちょう高温こうおん殺菌さっきん
120℃以上いじょう湿しめねつ加熱かねつする。缶詰かんづめ殺菌さっきん、LL(ロングライフ;長期ちょうき保存ほぞん可能かのう)牛乳ぎゅうにゅう殺菌さっきんなどにもちいられる。

電磁波でんじは

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対象たいしょうぶつつよ電磁波でんじは照射しょうしゃし、細菌さいきんやウイルスなどの遺伝子いでんし破壊はかいして死滅しめつさせる。
電子でんしレンジ電磁波でんじは応用おうようで、実際じっさい殺菌さっきん利用りようされるが、その作用さようじょ電磁波でんじはそのものの作用さようというよりも、照射しょうしゃによって物質ぶっしつしょうじたねつによる低温ていおん湿しめねつ殺菌さっきんである。
紫外線しがいせん殺菌さっきん
滅菌めっきんあるいは消毒しょうどく照射しょうしゃりょうによっては十分じゅうぶん殺菌さっきんりょく期待きたいされるが透過とうかせいひくいため、ひかり浸透しんとうしない(かげになる)部分ぶぶんには効果こうかがない。実験じっけんだいクリーンベンチつくえ表面ひょうめん照射しょうしゃしたり、スリッパや器具きぐ保管ほかんクリーンルーム消毒しょうどく殺菌さっきんとう利用りようされる。一部いちぶ飲料いんりょう製造せいぞう工程こうていではながれ照射しょうしゃして殺菌さっきんすることもある。300-200nmの紫外線しがいせん利用りようし、254nmがもっと効果こうかてきである。
不完全ふかんぜんながら、太陽光たいようあきらもちいて殺菌さっきんする方法ほうほうもあり、太陽たいようすい殺菌さっきん (Solar water disinfection、SODIS)とばれている。災害さいがいなど飲料いんりょうすい確保かくほ困難こんなん場合ばあいに、ペットボトルなど透明とうめい容器ようきれたみず太陽光たいようこうさらすことで殺菌さっきんする。WHOやUNICEF、赤十字せきじゅうじ国際こくさい委員いいんかい推奨すいしょうする。
この場合ばあい煮沸しゃふつことなり、必要ひつようなエネルギー、燃料ねんりょうくてむ。
エックス線えっくすせん滅菌めっきんガンマ線がんません滅菌めっきん
滅菌めっきん殺菌さっきんりょくつよくまた物質ぶっしつへの透過とうかせいたかいため、滅菌めっきん用途ようともちいられる。ただし放射ほうしゃせい物質ぶっしつあつか必要ひつようがあるため、利用りようできる施設しせつ限定げんていされる。ねつよわプラスチック製品せいひん注射ちゅうしゃとう・輸液ようチューブなど)を大量たいりょう製造せいぞうする工場こうじょうなどで利用りようされる。
日本にっぽんでは1970ねんから使つか注射ちゅうしゃみとめられるようになった[2]
電子でんしせん殺菌さっきん
滅菌めっきんカテーテルメスなど医療いりょう器具きぐ殺菌さっきん利用りようされる。透過とうかりょくよわいため、小型こがた器物きぶつにしか応用おうようできないが、ガンマ線がんませんよりあつかいやすいことから、ディスポーザブル(使つかて)となる製品せいひんに、ガンマ線がんません使つかけられひろ利用りようされている。
パルスこう殺菌さっきん
GPセンターでの鶏卵けいらん殺菌さっきんなど

なお、電磁波でんじはには殺菌さっきん以外いがい有用ゆうよう効果こうかがあるため、その効果こうか期待きたいしてもちいられることがある。たとえば、きん増殖ぞうしょくするさい発生はっせいする有機ゆうき脂肪酸しぼうさんなどによる悪臭あくしゅうたいしても、原因げんいん物質ぶっしつ分解ぶんかいしょうしゅうする効果こうかがある。また、食品しょくひん放射線ほうしゃせん照射しょうしゃする場合ばあい(食品しょくひん照射しょうしゃ)もあるが、殺菌さっきん目的もくてきでの食品しょくひん照射しょうしゃは2005ねん現在げんざい日本にっぽんではみとめられておらず、ジャガイモ発芽はつが阻止そし目的もくてき照射しょうしゃかぎられている。

濾過ろか滅菌めっきん

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液体えきたい気体きたいを、特殊とくしゅなフィルターで濾過ろかする。フィルターにあるあなみちよりもおおきな微生物びせいぶつはフィルターを通過つうかできないために除去じょきょされる。細菌さいきんようメンブランフィルターや中空ちゅうくういとまくなどが使用しようされる。ただしマイコプラズマなどの小型こがた定形ていけい細菌さいきんウイルスなどには無効むこうである。

こうあつ真空しんくうなど

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こうあつ殺菌さっきん
滅菌めっきんあるいは消毒しょうどくちょう高圧こうあつ処理しょりによる殺菌さっきん
真空しんくうパック
滅菌めっきんでも消毒しょうどくでもないしずかきん作用さようこう気性きしょう細菌さいきん増殖ぞうしょく死滅しめつさせる効果こうかがあるが、嫌気いやけせい細菌さいきんには無効むこう

通電つうでん殺菌さっきん

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対象たいしょう直接ちょくせつ電界でんかい電流でんりゅう印加いんかし、クーロンりょくによる物理ぶつり作用さよう電気でんき化学かがく反応はんのうによる抗菌こうきん物質ぶっしつ毒性どくせい、により殺菌さっきんおこなう。

ひかり触媒しょくばい反応はんのう

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マイクロバブル(二酸化炭素にさんかたんそなど)

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ちょう音波おんぱ

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化学かがくてき方法ほうほう

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ガス滅菌めっきん

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滅菌めっきんエチレンオキシドホルムアルデヒドなどのアルキルざい気体きたい(ガス)や、酸化さんかざいであるオゾンなかに、対象たいしょうぶつしずかおけして滅菌めっきんする。ねつよわ器具きぐ滅菌めっきんにエチレンオキシドがもちいられる。また汚染おせんした建物たてもの滅菌めっきんにホルムアルデヒドガス(ホルマリン燻蒸くんじょう)がもちいられる。ただし使用しようするガスは人体じんたい有害ゆうがいなものがおおいので、対象たいしょうぶつへのガスの残留ざんりゅうや、処理しょり終了しゅうりょう排気はいきには注意ちゅういようする。

殺菌さっきんざい殺菌さっきん消毒しょうどくやく

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これらは通常つうじょう液体えきたいあるいは水溶液すいようえきとして消毒しょうどく目的もくてきもちいられることがおおい。ただし、重金属じゅうきんぞく化合かごうぶつ一部いちぶ殺菌さっきんざい樹脂じゅしやセラミックなどにぜて使つかうことで抗菌こうきん樹脂じゅし抗菌こうきんセラミックなどとしてもちいられることがある。

エタノールイソプロピルアルコール
消毒しょうどく細菌さいきん細胞さいぼうまくやウイルスのエンベロープ破壊はかいタンパク質たんぱくしつ凝固ぎょうこ作用さようによる。エタノールは細菌さいきんには70%程度ていど、ウイルスでは100%の濃度のうどもっと効果こうかたかい。イソプロピルアルコールは30~50%でもちいる。ノロウイルスやロタウイルスなどのノンエンベロープウイルスにはきにくい。
フェノールクレゾール
消毒しょうどくタンパク質たんぱくしつ凝固ぎょうこ作用さよう
ぎゃくせい石鹸せっけん塩化えんかベンザルコニウム塩化えんかベンゼトニウム)、両性りょうせい石鹸せっけん塩酸えんさんアルキルジアミンエチルグリシングルコンさんクロルヘキシジン
消毒しょうどく表面張力ひょうめんちょうりょく低下ていかによる細胞さいぼうまく障害しょうがいタンパク質たんぱくしつ凝固ぎょうこ変性へんせいさせ、きん死滅しめつさせる。通常つうじょう石鹸せっけん反応はんのうすると殺菌さっきんりょくうしなわれるので注意ちゅういする。
酸化さんかざい
細胞さいぼう成分せいぶん酸化さんかし、機能きのう阻害そがいする。
アルキルざい
生体せいたい高分子こうぶんしにあるアミノもとアルキルする。
消毒しょうどく滅菌めっきんホルムアルデヒド
消毒しょうどくグルタルアルデヒド(グルタラール)
ハロゲン化合かごうぶつ
塩素えんそ化合かごうぶつ
消毒しょうどくつぎ塩素えんそさんナトリウム二酸化にさんか塩素えんそさらしなど。
ヨウ化合かごうぶつ
消毒しょうどくヨードチンキヨウもと - ヨウカリウム溶液ようえきエタノールぜたもの。
消毒しょうどくポビドンヨード、イソジンえき界面かいめん活性かっせいざいであるポリビニルピロリドンとヨウもと結合けつごうたい。うがいやくとしてもっともよくられている。
酸化さんかぶつ
消毒しょうどく滅菌めっきんオゾン
消毒しょうどく過酸化水素かさんかすいそ - 3%水溶液すいようえきはオキシドールとして殺菌さっきん消毒しょうどくよう市販しはんされている
アクリノール
消毒しょうどく)アクリニジウムイオンによる呼吸こきゅう酵素こうそ阻害そがい
さん・アルカリ
生石灰せいせっかい消石灰しょうせっかい
消毒しょうどく安価あんか大量たいりょう入手にゅうしゅるので、水害すいがい土壌どじょう建物たてものとう消毒しょうどく家畜かちく伝染でんせんびょう発生はっせい建物たてもの車両しゃりょう器具きぐとう消毒しょうどくもちいられる。つよアルカリであれば十分じゅうぶんであるので炭酸たんさんナトリウムひとしもちいられる。
ホウさん
消毒しょうどくタンパク質たんぱくしつ沈殿ちんでん作用さようがある。眼科がんかのみに使用しよう
重金属じゅうきんぞく化合かごうぶつ
消毒しょうどく金属きんぞくイオンを添加てんかした各種かくしゅ製品せいひんほか調理ちょうり用品ようひん配管はいかんなどにどうせい製品せいひんもちいることがある。
水銀すいぎん化合かごうぶつ
塩化えんかだい水銀すいぎん昇汞しょうこう
毒性どくせいたか現在げんざいではもちいられてはいないが、過去かこ多用たようされた。
マーキュロクロムえき
通称つうしょうあかチン」。水銀すいぎんイオンが細菌さいきん酵素こうそ阻害そがいこす。
ぎん化合かごうぶつ
ぎんイオンと、おおくの細菌さいきん硫黄いおうとの強力きょうりょく親和しんわせい[よう出典しゅってん]利用りようして殺菌さっきんする。ぎんイオンはごく微量びりょうでも効果こうか発揮はっきするが、具体ぐたいてき殺菌さっきんりょくかんしては諸説しょせつある。また貴金属ききんぞくふくみコストがたかい。
どう化合かごうぶつ
ぎん化合かごうぶつ同様どうよう作用さようにより殺菌さっきんする。どう安価あんかであるが、多量たりょう摂取せっしゅした場合ばあいや、微量びりょうでも長期間ちょうきかんにわたり摂取せっしゅした場合ばあい人体じんたい蓄積ちくせき悪影響あくえいきょうがあるため、ひろもちいられてはいない。家庭かていようとしては排水はいすいこうゴミなまゴミけなどが製品せいひんされている。
その
トリクロサン
消毒しょうどく分子ぶんしちゅう塩素えんそ原子げんしによる酸化さんか作用さよう細菌さいきん脂質ししつ代謝たいしゃ阻害そがい作用さよう

このほかカテキンなどのポリフェノールや、ペパーミントユーカリなどの植物しょくぶつ精油せいゆわさびしょうがなどの香辛料こうしんりょうにも殺菌さっきん効果こうかみとめられるものがある。

対象たいしょうぶつによる分類ぶんるい

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医療いりょう理容りようなど

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  • 医療いりょう理容りよう器具きぐ
  • 皮膚ひふ粘膜ねんまくなど、人体じんたい組織そしき直接ちょくせつもちいるもの

食品しょくひん

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飲料いんりょうよう以外いがいみず

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つぎ塩素えんそさんナトリウムなどを添加てんかすることにより殺菌さっきんおこなう。

プール
衛生えいせいじょう観点かんてんからつぎ塩素えんそさんナトリウムを0.4〜1.0ppm保持ほじしなくてはならない。使用しよう前後ぜんごに、消毒しょうどくそうなどとばれるこう濃度のうど殺菌さっきんざい添加てんかした水槽すいそうかることがあるが、こちらは皮膚ひふ障害しょうがいあたえるとして、学校がっこうでは使用しようりやめるところもある。
公衆こうしゅう浴場よくじょう温泉おんせん
不十分ふじゅうぶん殺菌さっきんのため、レジオネラきんなどの繁殖はんしょく問題もんだいとなっている。

殺菌さっきんよりもきえしゅう乾燥かんそう目的もくてきとする意味合いみあいがつよい。

台所だいどころ用品ようひん調理ちょうり用品ようひん

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熱湯ねっとうによる殺菌さっきんや、漂白ひょうはくざい殺菌さっきんざいつぎ塩素えんそさんナトリウム主成分しゅせいぶん)をもちいることがおおい。業務ぎょうむようでは紫外線しがいせん殺菌さっきんとうオゾンもちいられる。

建築けんちくぶつ住宅じゅうたく

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おもつぎ塩素えんそさんナトリウムやエタノールによるカビの除去じょきょおこなう。

農業のうぎょう工業こうぎょうよう

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下水げすい処理しょりよう

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下水げすい処理しょりすい浄水じょうすいでの病原菌びょうげんきん殺菌さっきんには塩素えんそけい殺菌さっきんふるくからもちいられてきた。クリプトスポリジウムなどのあらたな殺菌さっきん必要ひつようせいから、オゾン殺菌さっきん紫外線しがいせん殺菌さっきんなどが検討けんとうされている。[3]

まず、塩素えんそ消毒しょうどくはほとんどの下水げすい処理しょりじょうでは塩素えんそ消毒しょうどく採用さいようされている。病原びょうげんせい大腸菌だいちょうきん消毒しょうどくには有効ゆうこう手段しゅだんかんがえられている。原虫げんちゅうやウイルスにおいて、塩素えんそたいせいられている。[4]

また、オゾン消毒しょうどく欧米おうべい水道すいどうすい消毒しょうどくもちいられており、日本にっぽん塩素えんそ消毒しょうどく法律ほうりつ規定きていされているため、水道すいどうすいへの適用てきよう脱臭だっしゅう限定げんていされている。下水げすい処理しょりやプールの消毒しょうどく食品しょくひん工場こうじょう空気くうき殺菌さっきんなどにもちいられており、細菌さいきん殺菌さっきんだけではなく塩素えんそ消毒しょうどくたいせいのある原虫げんちゅうシストやウイルスに効力こうりょく発揮はっきする。[3]

そして、紫外線しがいせん殺菌さっきん食品しょくひん工業こうぎょう医療いりょうひん工業こうぎょうなど様々さまざま分野ぶんや利用りようされている。水銀すいぎんとうもちいられ、紫外線しがいせん発生はっせいさせ、波長はちょう250~260nmの紫外線しがいせん使用しよう微生物びせいぶつ核酸かくさん構造こうぞう破損はそん死滅しめつさせ、細菌さいきん、ウイルスなどすべてを殺菌さっきんする。 [3]

無菌むきん作業さぎょうのための装置そうち

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問題もんだいてん

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  • 電磁波でんじは化学かがく物質ぶっしつによる障害しょうがい過度かど殺菌さっきん潔癖けっぺき志向しこうによる免疫めんえきちから低下ていかなど、人体じんたいあたえる影響えいきょうかんがえられる。
  • 微生物びせいぶつ薬剤やくざいたいせいち、殺菌さっきん効果こうかうすれる可能かのうせいがある。
  • 食中毒しょくちゅうどく場合ばあい殺菌さっきんおこなっていても細菌さいきんるい生成せいせいした毒素どくそにより発症はっしょうすることがある。(ボツリヌストキシンなど)

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 日本にっぽん薬局方やっきょくほうだい15はんより
  2. ^ 放射線ほうしゃせん滅菌めっきんみとめる 基準きじゅんもう良品りょうひんにも歯止はどめ朝日新聞あさひしんぶん』1970ねん昭和しょうわ45ねん)3がつ21にち夕刊ゆうかん 3はん 11めん
  3. ^ a b c こし弘毅こうき 『ベーシックマスター 微生物びせいぶつがく株式会社かぶしきがいしゃ ム社むしゃ、264ページ
  4. ^ こし弘毅こうき 『ベーシックマスター 微生物びせいぶつがく株式会社かぶしきがいしゃ ム社むしゃ、263ページ

関連かんれん項目こうもく

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