大阪 弁
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ISO 639-3 | — |
概要
地域 差
摂津 方言 (広義 )
なお、
阪神 言葉
音声
その
アクセントは
高年 =アノオトコ アレワ フネノ ナカニ アルト シンジテルミタイヤ(=あの男 は、あれは船 の中 にあると信 じているようだ)中年 =アノオトコ アレワ フネノ ナカニ アルト シンジテルミタイヤ若年 =アノオトコ アレワ フネノ ナカニ アルト シンジテルミタイヤ
表現
丁寧 体 には「です」と「ます」を用 いるが、年配 層 では「です」の代 わりに「体言 +だす」「体言 +でおます」「形容詞 連用形 ウ音便 +おます」を用 いる(「おます」単体 では「ある」の丁寧 語 )。丁寧 体 の後 ろに終 助詞 が接続 すると「す」が促音 化 ・撥音 化 するのも伝統 的 な大阪 弁 の特徴 である。「だす」「ます」「おます」は「す」が省略 されることもある。例 :ここが大阪城 です、ここが大阪城 だす、ここが大阪城 だ、ここが大阪城 でおます、ここが大阪城 でおま例 :行 きます→行 きま、行 きますねん→行 きまんねん、行 きますがな→行 きまんがな、行 きますなあ→行 きまんなあ、行 きますえ→行 きまっせ、行 きますか→行 きまっか、行 きますやろ→行 きまっしゃろ
五 段 活用 動詞 に否定 の助動詞 「へん」を接続 させる場合 、主 に「ア段 +へん」と「エ段 +へん」の2形 があるが、大阪 弁 では「エ段 +へん」が優勢 である(同様 の用法 は名古屋 弁 にも見 られる)。「ア段 +へん」が優勢 な地域 (京都 や神戸 など)では不可能 を表 すのに可能 動詞 の「エ段 +へん」を用 いるが、大阪 弁 では通常 の「エ段 +へん」との同音 衝突 を避 けるため、可能 動詞 を使 わずに「未然 形 +れへん」を用 いる(近年 は京都 でも「未然 形 +れへん」が多用 されるようになっている)。ただし「ん」の場合 は、「エ段 +ん」を通常 の否定 に用 いることはなく、京都 などと同 じく不可能 表現 となる。例 :行 けへん -大阪 では「行 かぬ」、京都 では「行 けぬ」の意 。「行 けん」は大阪 でも京都 でも「行 けぬ」の意 。例 :行 かれへん -大阪 で「行 けぬ」の意 。京都 では「行 けへん」だが、最近 は京都 でも「行 かれへん」を用 いる者 が増 えている。例 :膝 は笑 えへんやろ -大阪 では「膝 は笑 わないだろう」、京都 では「膝 は笑 えないだろう」の意 。例 :なんで決勝 に残 れへんねん -大阪 では「なぜ決勝 に残 らないんだ」、京都 では「なぜ決勝 に残 れないんだ」の意 [18]。
下 一 段 活用 動詞 に否定 の助動詞 「へん」を接続 させる場合 は「エ段 +へん」で安定 しているが、上 一 段 活用 動詞 に接続 させる場合 には個人 や世代 によって複数 の形 があり、例 えば「見 る」の否定 形 には「めーへん」「みえへん」「みーへん」があり、若年 層 では「みーひん」という形 も多 い。カ行 変格活用 動詞 とサ行 変格活用 動詞 の場合 は「けーへん」と「せーへん」が優勢 で、一部 では「こえへん」や「しえへん」もあるが、若年 層 では「きーひん」「こーへん」や「しーひん」が広 まっている。21世紀 に入 り、一段 活用 ・カ行 変格活用 ・サ行 変格活用 では「みやん」「こやん」「しやん」といった「やん」を用 いる否定 形 も和歌山 ・奈良 方面 から広 まりつつある。- 「もうかりまっか」
- 「
儲 かりますか」の転 。いかにも金 に細 かい大阪 人 らしい表現 として喧伝 され、大阪 弁 の代名詞 ともいうべき有名 なフレーズ。しかし、実際 には「もうかりまっか」を用 いる大阪 商人 は殆 どおらず、「どう(どない)でっか」「負 けてはりまっか」「お忙 しいでっか」などが一般 的 な商人 の挨拶 だったという。「もうかりまっか」の対 として知 られている「ぼちぼちでんな」(「ぼちぼちですな」の転 )は現在 も多用 される表現 であるが[19]、「もうかりまっか」→「ぼちぼちでんな」という挨拶 の組 み合 わせは菊田 一夫 の小説 内 で作 られたものであり、近年 の大阪 でこの遣 り取 りが模倣 されるのは関東 から見 た大阪 弁 のイメージを逆 輸入 した結果 に過 ぎない。大阪 市 浪速 区 生 まれの放送 作家 である新野 新 は「『阪 僑』という言葉 は、評論 家 大宅 壮一 の造語 だが、ぼくの推論 として、その流 れをくむ週刊 ジャーナリズムが、昭和 20年代 の後半 に『大阪 人 は顔 を合 わせると『もうかりまっか』とあいさつする』と言 い出 したのではないだろうか」と推察 している[20]。
- 「
船場 言葉
- 「あなたの
旦那 さん、きつときつと無事 でお歸 りになりますわ(略 )」(幸子 からシュトルツ夫人 への台詞 。中 巻 ・四 )幸子 は夫 または下位 者 に対 しては「あんた」を使用 し、ソトの関係 の人物 に対 しては「あなた」を使用 している。また、見合 いの場 などでは「あんさん」という敬称 を使用 している。
- 「………
雪子 はをりやつけど、呼 んで來 まおか」(幸子 から富永 の叔母 への台詞 。上巻 ・二 十 二 )- この「お」の
付 かない「やす」言葉 について、前田 勇 は「これこそ船場 特有 のもの」と述 べている[23]。
- この「お」の
- 「
今日 は雪子 ちやんもこいさんもお内 にゐてやおまへんか」「さうですか、それであたしも使 に來 た甲斐 がごわしたわ」(どちらも富永 の叔母 から幸子 への台詞 。上巻 ・二 十 二 )富永 の叔母 は昔 ながらの船場 言葉 を使用 する人物 であるが、楳垣実 は「これだけの簡単 な対話 に船場 言葉 の代表 的 語法 がこれだけ現 れていることは、たしかに注目 すべきことであって、谷崎 氏 は確 かな資料 に基 いて書 かれたものと信 じてよかろう[24]」と評 している。
『
その
特徴
そのような
しかし、
へえへえ、わたしらは尋常 (小学校 )もろくにあがらん無学 文盲 でごあす。お賢 いあんさんみたいなお方 はんの、ねき(傍 )にも寄 られいたしやへん。せえだい(精 々)おっしゃっとくれやす。けどなああんさん。 悪口 親 をないがしろにおしやしたら、どないな報 いが参 じますやら、存 じやへんでごあっせ。
表現
よそ
「お ……やす」のような
船場 言葉 の例
敬称 人 の名字 や名前 を、その人 に向 かって直接 呼 ぶ時 は「さん」をつけることが多 く、その人 のことを第三者 同士 が話 の中 で話 し合 う時 には「はん」をつけることが多 い。ただし、人名 がイ列 ・ウ列 ・オ・ハ行 ・ンで終 わる場合 は「はん」とは言 いづらく聞 きづらいため、必 ず「さん」となる。シ・ス・チ・ツで終 わる場合 は「さん」も言 いづらく、小林 さん→コバヤッサン、甘粕 さん→アマカッサン、野口 さん→ノグッツァン、赤松 さん→アカマッツァンのように変化 する。よって、エノケンとロッパは「エノケンさんとロッパはん」、アチャコとエンタツは「アチャコはんとエンタッつぁん」となり、エノケンはんとロッパはん、アチャコはんとエンタツはんとは呼 ばない。名前 だけの時 では、丁稚 には「吉 」がつき、手代 小 番頭 には徳 七 のように「七 (ひち)」がつき、大 番頭 には「助 」がつく。女中 はどの家 でも「お松 」「お竹 」「お梅 」で、呼 ぶ時 には「どん(殿 )」がつく。丁稚 と手代 番頭 にも「どん」がつく。大 番頭 には「はん」がつく。ただし、◯吉 どん、◯七 どん、お松 どんは聞 きづらく言 いづらいため、「◯きっとん」「◯ひっとん」となる。
人称 代名詞 - ワテ・アテ・ワタシ・ウチ(
私 )- ワテは
男女 共 に使 う。当主 は家族 の間 ではワテであったが、奉公人 の前 ではワシと言 った。若 い女 の子 はウチと言 う方 が多 く、中年 になるとワタイとも言 った。女 はワをアと変化 させ、アタシ・アテ・アタイとも言 う。中高年 の男 でワァシを使 うこともある。品 よく言 うときは男女 ともにワタシを使 う。ワタクシ→ワタシ→ワタイ→ワテと変化 したもの。 - へり
下 った場合 にテマイ(手前 )を使 うが、必 ずその下 にトコやドモをつけて、テマイトコ(わが家 ・わが店 )やテマイドモ(われわれ)というふうに使 う。
- ワテは
- アンサン(
貴方 )敬称 である。男女 とも、男 にも女 にも使 う。アナタサン→アンタサン→アンサンと変化 したもの。
- オマハン(お
前 さん)目下 の者 の男女 ともに使 う。時 には「お前 」と呼 び捨 てにすることもある。オマエサン→オマエハン→オマハンと変化 したもの。
- アノオヒト・アノオカタ(あの
人 )男女 ともに使 う。アノオカタは敬語 。アノオヒトは敬語 ほどではないが、丁寧 ない方 。
- ワテ・アテ・ワタシ・ウチ(
- ヨソサン・ヨソハン(
他人 の家 )- ヨソとは
外 、他所 、遠方 などの意 で、余所 と書 く。他人 はヨソの人 で、サンがつくと他人 の家 ということになる。
- ヨソとは
- ゴワス・ゴアス(ございます)
- オイデヤス(いらっしゃいませ)
- オイデヤスはオイデナサレマセがつづまったもの[
要 出典 ]。客 もゴメンヤス、またはゴメンヤシトクレヤス(御免 下 さいませ)と至極 丁寧 に入 ってくる。 - その
他 、オシヤス(なさいませ)、オイイヤス(おっしゃい)、オオキヤス(おやめなさい)など、ヤスは丁寧 な命令 語 にもなる。オシヤシテ(なさいまして)、オイイヤシテ(おっしゃいまして)、オオキヤシテ(おやめなさいまして)というふうにも、またオシヤシタラ(なさいましたら)、オオイヤシタラ、オオキヤシタラというふうにも使 う。
- オイデヤスはオイデナサレマセがつづまったもの[
- イタシヤス(いたします)
- このヤスは、マスからの
変化 。打 ち消 しはイタシヤヘン(いたしません)。
- このヤスは、マスからの
- イキハル(
行 きなさる)- イキは
行 きのことで、ユをイと言 うことが多 い。ハルはナハル(なさる)である。イキハルよりも丁寧 ない方 として、オイキナハルと言 うこともある。打 ち消 しはイキハレヘン(お行 きなさらない)。過去 形 はイキハッタ。その打 ち消 しはイキハラナンダで、もっと丁寧 に言 えばイキハリマヘナンダとなる。
- イキは
- イテテヤナイ(いらっしゃらない)
- イテテは「
居 る」を意味 するイテルの連用形 にテがついたもの。ヤナイはじゃない。イテテヤゴアヘンともイテテヤオマヘンとも言 う。テヤはよく使 う。タベテヤナイ、コウテ(買 って)ヤナイなど。江戸 時代 に多用 された「てや敬語 」の名残 。
- イテテは「
- サイデ(
左様 で)- サイデゴワス(さようでございます)、サイデゴワッカ(さようでございますか)、サイデゴワッカイナ(さようでございますか、それはそれは)、サイデゴワストモ(さようでございますとも)となる。
打 ち消 しとなる場合 はサイデを使 わず、ソヤゴワヘン(そうではございません)、ソヤゴワヘンカ(そうではございませんか)となる。
- サイデゴワス(さようでございます)、サイデゴワッカ(さようでございますか)、サイデゴワッカイナ(さようでございますか、それはそれは)、サイデゴワストモ(さようでございますとも)となる。
- イテサンジマス(
行 って参 ります)使 いなどで家 を出 る時 、学校 へ行 く時 などの挨拶 。イテキマスでは叱 られる。「参 じ」は馳 せ参 じの参 じである。帰宅 した時 はイテサンジマシタと挨拶 する。
- オハヨウオカイリ(お
早 くお帰 りなさい)奉公人 が主人 方 を送 り出 す時 はオハヨウオカイリヤスという。オカイリとリを上 げる場合 もある。物見 遊山 などに行 く時 には、ゴユルリトということもある。そうして出 て行 くのはオデマシという。
- オハヨウサン(お
早 うございます)- オハヨウサンデゴワスと
挨拶 する人 もある。解釈 としては「朝 のお天道 さまがお出 ましになりましてござります」ということになる。
- オハヨウサンデゴワスと
- ゴメンヤス(ごめん
下 さい・さようなら)他家 に入 る場合 に使 うが、また他家 を出 る時 にも使 う。サイナラは子供 に多 い。お家 さんや御寮 さんたちは、ゴメンヤシトクレヤス(ごめんなされて下 さいませ)と丁寧 にいう。主客 男 同士 の場合 で同格 なら、ゴメンとも、ゴメンヲとも簡易 に交 わす。
- ダイジナイ(かまわない、
別条 ない)- 「
大事 ない」である。かまわない。丁寧 にいうと、ダイジョゴアヘン。簡単 にいうとダンナイになる。
- 「
- カシコマリマシタ(
畏 まりました)承知 いたしましたという意 に使 う。
- そやし、あかんし、ええし
明治 末 から、親 しい女 の子 同士 が話 す時 に終 助詞 「わ」を「し」に変化 させて言 った。遊女 の言葉 に由来 するとして、年寄 りなどはこの表現 を厳 しく禁 じていた[41]。
家族 の者 の呼 び方
- だんさん
当主 、御 主人 。「旦那 様 」が変化 したもの。
- おやだんさん
当主 の父 。当主 に家督 を譲 り隠居 している者 もあれば、なお営業 にくちばしを入 れたりする者 もある。
- ごりょんさん
御寮人 様 。当主 の妻 。ゴリョウニンサマのニが消 え、サマがサンになり、ゴリョンサンとなった。単 なる主婦 でなく、親類 縁者 との付 き合 い、分家 、別家 への配慮 は勿論 、雇人 に対 しても身 の回 りのこと、食事 、相談 ごとなどの面倒 をみたり、それらの親元 との連絡 をとったり、ダンサンとのパイプ役 になったりした。また、金庫 や蔵 の鍵 を全 て預 かっているのも御寮人 さんである。とにかく船場 の御寮人 さんというのは、店 と家族 を引 っくるめての総 支配人 である。京都 の公家 言葉 で未婚 の部屋 (寮 )住 の娘 を「御寮人 」といい、「御料 人 」とも書 く。それが他家 へ嫁 ぐ際 には、身 の回 りの世話 をさせるために日頃 使 っていた女中 を何人 か一緒 に連 れて行 く。その女中 達 が実家 にいた時 と同 じように「ご寮 人 さま」と呼 んだので、いつしか妻女 をそう呼 ぶようになった。船場 ではそれを真似 たものである。
- おえさん
御家 様 。オイエサマのイエがエとつづまった。元 は御寮人 さんであったものが、息子 が当主 になり、息子 の嫁 が御寮人 さんになるのに合 わせて、格上 げされたものである。オエサンという言葉 の響 きは年寄 り臭 く、老女 を思 わせるものがあるので、これを嫌 って相変 わらず御寮人 さんと呼 ばせて、息子 の嫁 をワカゴリョンサン(若 御寮人 さん)と呼 ばせている家 もあった。
- おこひっつぁん
- 「
御 後室 様 」に由来 する言葉 。公家 や武家 における未亡人 の意 であるが、船場 では由緒 ある大 町人 のお家 さんで、つれあいの亡 くなった人 をそう呼 んだ。
- 「
- ぼんぼん
男 の子 一般 を呼 ぶ言葉 。坊 ん坊 ん。家庭 内 では雇人 たちが、家庭 外 では他家 の息子 のことを呼 び、家族 の者 はそう呼 ばない。ボンサンとも呼 ぶ。兄弟 の多 い時 には上 がアニボンサンで、中 をナカボンサン、下 がコボンサンで、まだ下 があれば、4人 目 からは名前 の下 にボンサンをつける。
- いとさん
女 の子 一般 を呼 ぶ言葉 。「いとしい」または「いとけない」に由来 するものと思 われる。トオサンとも呼 ぶが、これはイトサンのイが消 えてトが伸 ばされたものとされる。俗 にイトハンというい方 があるが、第三者 同士 で話 す場合 はそれで良 いが、直接 、またはその家族 に話 す場合 は、ハンではなくサンでなければならない。ハンは慣 れなれしい呼 び方 で、人 を見下 げたようなニュアンスを含 むため、昔 は他人 にイトハンなどと呼 び掛 けられると返事 もしない娘 もあった。ゴリョンハンにも同 じことがいえる。上 をアネイトサン、中 をナカイトサン、下 はコイトサンまたはコイサンと呼 ぶ。これは雇人 または他人 が呼 ぶ場合 で、両親 が呼 ぶ場合 は、めいめい名前 で呼 び、姉妹 同士 で呼 ぶ時 は、上 をネエサンまたはネエチャン、中 をナカンサン(ナカアネサンのつづまったもので、さらにナカサンになる)、ナカンチャン、下 はコイサンまたはコイチャン、または名前 で呼 ぶ。
- こどもし・こどもっさん
- お
子 たち・お子 たちさんの意 で、他家 の子供 たちに対 して使 う。「子供 衆 」のつづまったもの。衆 を「し」とつづめるのは「ええ衆 」を「ええし」などと言 うのと同様 である。
- お
- おなごし・おなごっさん
女中 。「女子衆 」のつづまったもの。他家 の女中 には「さん」をつける。上女中 (小間使 い)・下女中 (下働 き)の女中 共 にいう。よその女中 には「さん」をつける。女中 を呼 ぶ時 は、その本名 を呼 ばず、松竹梅 からとって「お松 とん」「お竹 どん」「お梅 どん」と名付 ける。「お松 とん」が辞 めて代 わりが来 ると「お松 とん」を継 ぐ。4人 以上 になると、御寮人 さんが呼 びやすい名前 を付 ける(例 :お花 どん)。女中 には上女中 (小間使 )と下女中 (下働 き)があるが、互 いに両方 の用事 をする。上女中 には古参 の女 が多 い。
- おとこし・おとこっさん
下男 。「男衆 」のつづまったもの。中年 以上 が多 く、おなごしと夫婦 の場合 もある。庭 掃除 、米 ふみ、薪割 り、重 い物 の持 ち運 び、高 い所 の作業 、風呂 の水 汲 みなど力仕事 に従 う。おおむね家族 の用 を務 めるが、店舗 が忙 しい時 、店舗 を手伝 うこともある。人力車 のある家 では車夫 がこれを兼 ねる時 もある。番頭 より古参 者 もいて奉公人 にはうるさい存在 でもある。奥 向 きの内密 な用事 をつとめることもあり、「はん」づけで呼 ばれる者 もある。
- おんば・おんばはん
乳母 。河内 出身 の人 が多 かった。子供 が乳離 れすると帰 る者 もあり、成長 後 もおなごしとして居着 く者 もある。
しゃれ言葉
とはいえ、
しゃれ
白 犬 のおいど:面白 い(←尾 も白 い)黒 犬 のおいど:面白 うない(←尾 も白 うない)牛 のおいど:物知 り(←モーの尻 )- うどん
屋 の釜 :言 うばかり(←湯 ぅばかり) 雪隠 場 の火事 :やけくそ(←焼 け糞 )五 合 とっくり:一生 つまらん(←一 升 詰 まらぬ)蟻 が十 匹 、猿 が五 匹 :ありがとうござる(←蟻 が十 、五 猿 )夜明 けの行灯 :薄 ぼんやり- やもめの
行水 :勝手 に言 うとれ(←勝手 に湯 ぅ取 れ) の妹 嫁入 り:値段 の相談 (← と姉 相談 )蛸 の天麩羅 :揚 げ足 をとる竹屋 の火事 :ポンポン言 う酢 屋 の看板 :上手 (上 酢 )鰯 煮 た鍋 :(男女 が)くさい仲 である・どうも臭 う- ちびた
鋸 :(仲 が)切 っても切 れない 春 の夕暮 れ:ケチ(←くれそうでくれん)赤子 の行水 :金足 らいで泣 いている(←金盥 で泣 いている)狐 のやいと:困窮 している(←コン灸 )馬 のやいと:貧窮 している(←ヒン灸 )無地 の羽織 :一文 なし(←一 紋 なし)
役割 語 としての大阪 弁
冗談 好 き、笑 わせ好 き、おしゃべり好 き- けち、
守銭奴 、拝金 主義 者 食通 、食 いしん坊 派手 好 き好色 、下品 - ど
根性 (逆境 に強 く、エネルギッシュにそれを乗 り越 えていく) - やくざ、
暴力団 、恐 い
2から6はいずれも、
1から6のステレオタイプは、
「
これらの
例文
設定 した文 を近畿 各地 の方言 に訳 してまとめた『近畿 方言 の総合 的 研究 』の「近畿 方言 文例 抄 」から、旧 摂津 国 の範囲 の方言 を抜粋 する[58]。なお、この項目 での「摂津 」は狭義 の摂津 方言 を指 す。雨 が降 っているから、傘 を差 していきなさいよ摂津 :アメ(ガ) フッテ(イ)ル ヨッテ(ニ)/サカイニ、カサ(オ) サシテ イキー/イキ(ナハレ) ヤ/ナ能勢 :アメ フットル サカイ、カサ サシテ イキ/イキナハレ ヨ三島 :アメ(ガ) フッタール/フッテル サカイ(ニ)、カサ サシテ/サヒテ イキ ヤ神戸 :アメ フリヨル サカイ、カサ サシテ イキヨ
- おはようございます。さあお
上 がりくださいませ。皆様 が待 っていらっしゃいますから摂津 :オハヨーサンデス/オハヨーサン。サー アガットク(レ)ナハレ/オアガンナハッテ。ミナサンガ/ドナタハンモ マッテハリマッセ/マッテハリマスヨッテ能勢 :オハヨーオス/オハヨーゴザイマス。サー アガットクナハレ/アガッテクナハレ。ミナハン/ミンナ マッタハリマッセ/マッタハリマッサカイ三島 :オハヨーサンデス/オハヨーゴザイマス。サー アガットクナハレ/アガットクナーレ。ミ(ン)ナ/ミナハン マッテテクレタハリマスネン/マッターリマ神戸 :オハヨーサンデス。マー アガットクンナハレ。ミナサンガ マットッテデッサカイ
赤 ん坊 を寝 させるのだから、静 かにしていなければいけないよ摂津 :ヤヤコ/アカンボー ネヤセルヨッテ/ネサセンナンサカイ、シズカニ/オトナシー セント/シテオカント アカンデ(ー)能勢 :ヤヤコ/アカチャン ネサスネンサカイ/ネヤスノヤサカイ、シズカニ シテナ/シトラナ アカンデー/イカンデ三島 :ヤーコオ ネヤスサカイ/ネサセルサカイ、シズカニ/オトナシー シテ(ヤ)ナ イカンデ/アカンデ神戸 :アカンボー ネサセンネヤカラ、シズカニ シトラナ アカンデー
- 1990
年 に記録 された、明治 44年 生 まれの大阪 市 生野 区 の女性 (船場 南久宝寺 町 出身 )と調査 者 (岸 江 信介 )のやりとり[59]。()は調査 者 の発言 。なお、読 みやすさのため、カタカナ表記 をひらがな表記 に、アクセント記号 「」を[]に改 め、共通 語 訳 を加 えた。- (オワタリというのはどういう
事 ?) - おわたりわ[ね]ー、
- お
渡 りはねー
- お
- そ[こ]の[うじがみさんの[ね、
- そこの
氏神 さんのね、
- そこの
- あのー [ま、
- あのー ま、
- わたしらー あの [なんばじ]んじゃいー]まして ね あのーいまー[ま]ーまだ[のこってますけ]ど みどー[す]じに なんばじ]んじゃゆーの]が [のこってますけ]ど [その]おまつりの[ひ]ーが、
私 らー あの難波 神社 といいまして ね あのー今 まあまだ残 っていますけど御堂筋 に難波 神社 というのが残 っていますけど そのお祭 りの日 が、
- あのー[に]じゅー は[つか に]じゅー い[ち]とあります]ねん[な、
- あのー
二 十 二 十 日 二 十 一 とあるんですよね、
- あのー
- [ひち]がつのそーと その よ[み]やの ひ]ー[に、
七 月 の その宵宮 の日 に、
- あの[ほんまつりのひ]ーか あの [あれお[ね、
- あの
本 祭 りの日 か あの あれをね、
- あの
- ちょ[ー]ないから み]な[ね、
町内 から皆 ね、
- おちご[さん]も だし[ます]し そして あの まー おうち[の] おかた[が、
- お
稚児 さんも出 しますし そして あの まあ お家 の お方 が、
- お
- おやくあのーお[せ]わ[したはる]おか[た]やら [じゅんばんに]ま]た[ではる]おう[ち]もありますちゃんと [い]み[た]だして そら も]んつき[はか]まで[ね、
- お
役 あのーお世話 しておられるお方 やら順番 にまた出 られるお家 もあります ちゃんと意味 を正 して そりゃ紋付 袴 でね、
- お
- それ ついて[いきはります]ね ほんで [その か]みさん[が、
- それ ついて
行 かれるんです それで その神 さんが、
- それ ついて
- あの こ]しに[の]って [そして、
- あの
輿 に乗 って そして、
- あの
- あのあのー [なん]ちゅーねん[な]ー あの [む]この えー おた[び]しょゆー]のがありまして そ[こ][え あの [いかれます]ねん [そのぎょーれつお、
- あのあのー
何 と言 うのかなー あの向 こうの えー御旅所 というのがありまして そこへ あの行 かれるんです その行列 を、
- あのあのー
- そのーおみやさんから ずーっ[と、
- そのーお
宮 さんから ずーっと、
- そのーお
- [ぎょーれつし]て[いきはります ほて ちょ[ー]ないに[よ]ったら おちご[さん]だしはる[と]こもあれ]ば [そーゆ]ーなこ]とでまた [い]っしょー[け]んめー [い]っしょー[け]んめー[み]たもんです [ゆ]ーちょーな[も]ん[で]して
行列 していかれます そして町内 によったら お稚児 さんを出 されるところもあれば そういうようなことでまた一生懸命 一生懸命 見 たものです悠長 なものでして
- (そういうのが
今 は全然 なくなってますね) - ありませ[ん ありませ[ん もー ぜん[ぜん、
- ありません ありません もう
全然 、
- ありません ありません もう
- [そーでし]てん まー そ[れ]ぞれの[ね、
- そうだったんです まあ それぞれのね、
- あのーおみやさん[の、
- あのーお
宮 さんの、
- あのーお
- [その]おわた[り]わあるそ[れ]ぞれでっ[せ、
- そのお
渡 りはある それぞれですよ、
- そのお
- ある[と]こもない[と]こもありまし]たやよってに[ね
- あるところもないところもありましたからね
- (やはり
船場 ) - まーやっ[ぱ]しあた[し]らー [そーゆーこ]とやっぱ [なつか]し[な]と [お]もて いま[で]も[おもてます]けど[ね、
- まあやっぱり
私 らー そういうことやっぱり懐 かしいなと思 って今 でも思 っていますけどね、
- まあやっぱり
- [もー おそ]らくわたしが[しまい]でしょ
- もう
恐 らく私 が最後 でしょ
- もう
- (オワタリというのはどういう
脚注
- ^ 楳垣
編 (1962)、429頁 。 - ^ a b
橋爪 監修 (2009)、12頁 。 - ^
平山 ほか編 (1997)、10頁 。 - ^
岡田 ・楳垣(1962), 506頁 。 - ^ 。「
芥子 川 『尾張 方言 というものを寛延 元年 に山本 格安 という人 が書 いとる。その中 に「そやさかい」「さかい」という言葉 を、名古屋 弁 の中 に入 れてるんですよ。明 らかに大阪 弁 ですが、それが名古屋 弁 と思 われるほどよく使 われているわけです。それから「じゃによって」とかいう大阪 弁 も、うんと入 ってる』」「なごやべん杉戸 清 さんのおしゃべり」編集 委員 会 . 『なごやべん杉戸 清 さんのおしゃべり』.日進 堂 書店 . p. 290 - ^ “
第 一次到大阪旅遊時感到驚訝的5件 事 ” (中国 語 ). Yahoo!新聞 > (2024-8/22). 2024年 9月 15日 閲覧 。 - ^
山本 (1962), 427-429頁 。 - ^
高木 (2018), 74頁 。 - ^
原文 ママ。「豊能 町 西部 」の誤記 か - ^
高木 (2018), 77-79頁 。 - ^ 楳垣・
岡田 (1962), 506頁 。 - ^
鎌田 良二 『兵庫 県 方言 文法 の研究 』、1979年 、桜 楓 社 - ^
都染 (2018), 83頁 。 - ^
前田 (1977)、47頁 。 - ^
河内 厚郎 「阪神 文化 のパイオニアたち」、阪神 間 モダニズム実行 委員 会 編 『阪神 間 モダニズム六甲 山麓 に花開 いた文化 、明治 末期 ‐昭和 15年 の軌跡 』淡 交社、1997年 、所収 、164-165頁 - ^
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