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電気工学 - Wikipedia

電気でんき工学こうがく

電気でんき磁気じきひかり電磁波でんじは)の研究けんきゅう応用おうようあつか工学こうがく分野ぶんや

電気でんき工学こうがく(でんきこうがく、えい: electrical engineering)は、電気でんき磁気じきひかり電磁波でんじは)の研究けんきゅう応用おうようあつか工学こうがく分野ぶんやである。電気でんき磁気じき現象げんしょう広汎こうはん応用おうよう範囲はんい根源こんげんてき現象げんしょうであるため、通信つうしん工学こうがく電子でんし工学こうがくをはじめ、派生はせいした技術ぎじゅつでそれぞれまた学問がくもん分野ぶんや形成けいせいしている。電気でんき特徴とくちょうとして「エネルギー輸送ゆそう手段しゅだん」としても「情報じょうほう伝達でんたつ媒体ばいたい」としても大変たいへん有用ゆうようであることがげられる。この観点かんてんから、前者ぜんしゃを「強電きょうでん」、後者こうしゃを「弱電じゃくでん」と二分にぶんされる。

電気でんき工学こうがくは、複雑ふくざつ電力でんりょくけい設計せっけいから…
電子でんし回路かいろ設計せっけいまでふくむ。
 
マイケル・ファラデー発見はっけん電動でんどう技術ぎじゅつ基盤きばんきずいた。

電気でんきは17世紀せいきはじめごろには科学かがく興味きょうみ対象たいしょうとなっていた。世界せかいはつ電気でんき工学こうがくしゃは「ベルソリウム」[注釈ちゅうしゃく 1]設計せっけいしたウィリアム・ギルバートといわれている。ベルソリウムは静電気せいでんきびている物体ぶったい検出けんしゅつする機器ききである。かれはまた、磁力じりょく静電気せいでんき明確めいかく区別くべつした最初さいしょ人物じんぶつであり、「electricity(エレクトリシティ)」(電気でんき)という用語ようご確立かくりつした人物じんぶつわれている[1]。1775ねんアレッサンドロ・ボルタ電荷でんかたくわえる電気でんきぼんらしめ、1800ねんには電池でんち先駆さきがけであるボルタ電池でんち開発かいはつした[2]

しかし、電気でんきかんする研究けんきゅう本格ほんかくするのは19世紀せいきになってからである。ゲオルグ・オームは1827ねん導体どうたいにおける電流でんりゅう電位差でんいさ関係かんけい定式ていしきした(オームの法則ほうそく)。1831ねんマイケル・ファラデー電磁でんじ誘導ゆうどう現象げんしょう発見はっけんした。ジェームズ・クラーク・マクスウェル電気でんき磁気じき統一とういつ理論りろん確立かくりつし、1873ねんに “Electricity and Magnetism”(抄訳しょうやく電気でんき磁気じき」)という論文ろんぶん発表はっぴょうした[3]

電気でんき工学こうがく教育きょういく誕生たんじょう電力でんりょく商業しょうぎょう

編集へんしゅう
 
トーマス・エジソン世界せかいはつだい規模きぼ電力でんりょく供給きょうきゅうもう構築こうちくした。

そのころ、電気でんき研究けんきゅう物理ぶつりがくいち分野ぶんやとみなされていた。電気でんき工学こうがく大学だいがく学科がっかとなるのは19世紀せいきまつごろである。1882ねんダルムシュタット工科こうか大学だいがく世界せかいはつ電気でんき工学科こうがっか創設そうせつした。また同年どうねんマサチュまさちゅセッツ工科大学せっつこうかだいがくでも物理ぶつり学部がくぶ電気でんき工学こうがく学位がくい選択せんたくできるようになった[4]。1883ねん、ダルムシュタット工科こうか大学だいがくコーネル大学だいがく世界せかいはつ電気でんき工学こうがくのカリキュラムを導入どうにゅうし、1885ねんにはイギリスはつ電気でんき工学科こうがっかユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン創設そうせつされた[5]。1886ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくはつ電気でんき工学科こうがっかミズーリ大学だいがくコロンビアこう創設そうせつした[6]日本にっぽんでは、こうしょう工学こうがくりょうこう学校がっこう電信でんしんが1871ねん発足ほっそくしているが、これが東京大学とうきょうだいがく工芸こうげい学部がくぶ統合とうごうされて帝国ていこく大学だいがく工科こうか大学だいがく東京大学とうきょうだいがく工学部こうがくぶ)となったのは1886ねんのことだった[7]

 
ニコラ・テスラ長距離ちょうきょり送電そうでんもう実現じつげん可能かのうとした。

おなじころ、電気でんき工学こうがく劇的げきてき発展はってんげる。1882ねんトーマス・エジソンはマンハッタンの59の顧客こきゃく直流ちょくりゅう110ボルトの電力でんりょく供給きょうきゅうする世界せかいはつ電力でんりょく供給きょうきゅうもう完成かんせいさせた。1884ねんチャールズ・アルジャーノン・パーソンズ蒸気じょうきタービン発明はつめいし、これが今日きょうでは電力でんりょくの80%をしている。1887ねんニコラ・テスラは、エジソンの直流ちょくりゅう方式ほうしき競合きょうごうする交流こうりゅうによる電力でんりょく供給きょうきゅう方式ほうしきについて複数ふくすう特許とっきょ取得しゅとくしている。その直流ちょくりゅう交流こうりゅうのどちらが送電そうでん方式ほうしきとしてふさわしいかについて、エジソンとテスラのあいだ電流でんりゅう戦争せんそうばれるはげしい対立たいりつしょうじた。この対立たいりつ結局けっきょく送電そうでん効率こうりつ送電そうでん距離きょりながさというめんすぐれていた交流こうりゅう勝利しょうりわった。

この2人ふたりは、ほかにも様々さまざま業績ぎょうせきのこしている。テスラは誘導ゆうどう電動でんどうあい交流こうりゅうについて業績ぎょうせきのこし、研究けんきゅう影響えいきょうあたえた。エジソンは電信でんしん業績ぎょうせきのこし、とく株価かぶか電信でんしんらせ、それをかみテープに記録きろくのこ装置そうち stock ticker を製品せいひんし、その収益しゅうえきゼネラル・エレクトリックしゃまれた。しかし、19世紀せいきまつには電気でんき工学こうがくにさらなる進展しんてんをもたらす重要じゅうよう人々ひとびと登場とうじょうしつつあった[8]

無線むせん工学こうがく勃興ぼっこう

編集へんしゅう

ラジオ開発かいはつにおいては、多数たすう科学かがくしゃ発明はつめい無線むせん技術ぎじゅつ電子でんし工学こうがく貢献こうけんしている。1881ねんハインリヒ・ヘルツ電磁波でんじは発生はっせい検出けんしゅつおこな電気でんき装置そうち製作せいさくしてごくちょう短波たんぱ実験じっけんおこなった。1895ねん、ニコラ・テスラはニューヨーク市内しない自身じしん実験じっけんしつから発信はっしんした電波でんぱウェストポイント受信じゅしんする実験じっけん成功せいこうした(距離きょりは80.4km)[9]。1897ねんフェルディナント・ブラウンオシロスコープ一部いちぶとしてブラウン管ぶらうんかん発明はつめいし、これがこうテレビむことになる[10]ジョン・フレミングは1904ねん最初さいしょ真空しんくうかんきょくかん)を発明はつめいした。2ねんロベルト・フォン・リーベン英語えいごばんリー・ド・フォレストがそれぞれ独自どくじ増幅ぞうふく効果こうかのある三極さんきょくかん発明はつめいした[11]

1895ねんグリエルモ・マルコーニはヘルツの無線むせん技術ぎじゅつをさらに進展しんてんさせた。まずかれやく1.5マイルの距離きょりでの無線むせん信号しんごう送受信そうじゅしん実験じっけんおこなった。1901ねん12月、マルコーニは地表ちひょうめんきょくりつ影響えいきょうされない無線むせん電波でんぱ送信そうしんし、大西洋たいせいよう横断おうだんする無線むせん通信つうしん成功せいこうした(距離きょりやく3400km)[12]

その進展しんてん

編集へんしゅう

1920ねんアルバート・ハル英語えいごばんマグネトロン開発かいはつし、1946ねんパーシー・スペンサーによる電子でんしレンジ開発かいはつもととなった[13][14]。1934ねん、イギリスぐんレーダー(これもマグネトロンを応用おうようしたもの)の開発かいはつ着手ちゃくしゅし、1936ねん8がつにはBawdsey世界せかいはつのレーダー基地きち運用うんようはじまった[15]

1941ねんコンラート・ツーゼ世界せかいはつのプログラム可能かのう完全かんぜん自動じどう計算けいさんZ3公開こうかいした[16]。1946ねんにはジョン・プレスパー・エッカートジョン・モークリーENIACつづき、コンピュータ時代じだいはじまった[17]。コンピュータの計算けいさん能力のうりょくによって、様々さまざましん技術ぎじゅつ開発かいはつ可能かのうとなり、アポロ計画けいかくとその月面げつめん着陸ちゃくりくもコンピュータがあるからこそ可能かのうになった。

1947ねんウィリアム・ショックレージョン・バーディーンウォルター・ブラッテントランジスタ発明はつめいし、より小型こがた機器きき開発かいはつする電子でんし工学こうがく半導体はんどうたい工学こうがくへのみちひらかれた。

電気でんき工学こうがく関連かんれん分野ぶんや発展はってん

編集へんしゅう

電気でんき工学こうがく源流げんりゅう基礎きそ理論りろんとしての電気でんき回路かいろがく実用じつようとしての電力でんりょく工学こうがくである。つぎ情報じょうほう伝達でんたつ観点かんてんから通信つうしん工学こうがく派生はせいする。通信つうしん工学こうがく発展はってん過程かてい増幅器ぞうふくき高周波こうしゅうは発振はっしんのための真空しんくうかん発達はったつし、1940ねんごろの半導体はんどうたいによる固体こたい増幅ぞうふく素子そし発明はつめいがあり電子でんし工学こうがくまれる。電子でんし工学こうがく利用りよう方法ほうほうとして論理ろんり演算えんざん機械きかい可能かのうになり、ここからコンピュータを利用りようした情報じょうほう工学こうがくこる。また電気でんき回路かいろがく周波数しゅうはすう応答おうとう研究けんきゅうから、制御せいぎょ工学こうがく派生はせいしている。

電力でんりょく工学こうがく

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電柱でんちゅう

電力でんりょく工学こうがくは、電気でんきのエネルギーとしての利用りようかんする工学こうがくである。エネルギーの発生はっせいとしての発電はつでん電力でんりょく流通りゅうつうとしての送電そうでんが2だいテーマで、こう電圧でんあつだい電流でんりゅうえうる電力でんりょく回路かいろ絶縁ぜつえんたいなどの電気でんき材料ざいりょうについてあつかう。変圧へんあつ発電はつでん発動はつどうこう電圧でんあつ工学こうがくパワーエレクトロニクスなどをふくむ。おおくのくにでは、発電はつでん送電そうでん配電はいでん電力でんりょくもう政府せいふ維持いじ管理かんりしている。利用りようしゃ電力でんりょくもうからエネルギーを購入こうにゅうでき、自前じまえ発電はつでんするコストをおさえることができる。電力でんりょく工学こうがくしゃ電力でんりょくもうおよび電力でんりょくもう接続せつぞくする電力でんりょくシステムの設計せっけい保守ほしゅ研究けんきゅうしている。電力でんりょくシステムは電力でんりょくもう電力でんりょく供給きょうきゅうするものと電力でんりょくもうから電力でんりょくすものがある(あるいは、両方りょうほう同時どうじおこなうものもある)。電力でんりょくもう接続せつぞくしない電力でんりょくシステムも研究けんきゅう対象たいしょうである。リアルタイムのフィードバックにより電力でんりょく需要じゅよう急増きゅうぞう対応たいおう停電ていでんふせ人工じんこう衛星えいせい制御せいぎょ電力でんりょくシステムなどが今後こんご研究けんきゅう課題かだいである。

通信つうしん工学こうがく

編集へんしゅう
 
ディープスペースネットワーク使用しようされる巨大きょだいパラボラアンテナ

情報じょうほう通信つうしんかんする分野ぶんやで、電気でんき通信つうしん電磁気でんじきがくがある。情報じょうほういち地点ちてんからべつ地点ちてんおくるためには、同軸どうじくケーブルひかりケーブル自由じゆう空間くうかんなどの伝送でんそう必要ひつようとする。これら伝送でんそうマクスウェルの方程式ほうていしきをはじめとする電磁気でんじきがく法則ほうそくもちいて正確せいかく記述きじゅつすることができる。自由じゆう空間くうかんでの通信つうしん場合ばあい伝送でんそうてきした搬送はんそう周波数しゅうはすう情報じょうほう変換へんかんした搬送波はんそうはかたちにする必要ひつようがあり、それを変調へんちょうぶ。変調へんちょう方式ほうしきには振幅しんぷく変調へんちょう周波数しゅうはすう変調へんちょうなどの技法ぎほうがある。変調へんちょう方式ほうしきによってシステムのコストと性能せいのうことなり、両者りょうしゃのバランスを工学こうがくしゃ技術ぎじゅつしゃ注意深ちゅういぶか調整ちょうせいする。

システムの伝送でんそう特性とくせいまると、つぎ送信そうしん受信じゅしん設計せっけいおこなう。送信そうしん受信じゅしん機能きのうそなえた機器ききトランシーバーぶ。送信そうしん設計せっけいにあたっては、電力でんりょく消費しょうひ信号しんごう強度きょうど密接みっせつ関連かんれんしているてん重要じゅうようである。送信そうしん信号しんごう強度きょうど不十分ふじゅうぶん場合ばあい雑音ざつおんによって情報じょうほううしなわれることになる。

無線むせん工学こうがく

編集へんしゅう

通信つうしん工学こうがくいち分野ぶんやとして無線むせん通信つうしん対象たいしょうとする無線むせん工学こうがくがある。電磁気でんじきがく応用おうようとしてアンテナの指向しこうせい利得りとくかんする研究けんきゅう主要しゅようテーマである。

電子でんし工学こうがく

編集へんしゅう
 
Raspberry Pi」の回路かいろ基板きばん

真空しんくうちゅう固体こたいちゅう電界でんかいちゅう磁界じかいちゅうなどにおける電子でんしのふるまいを解明かいめい理論りろんし、またそれをもとに、種々しゅじゅ電子でんし素子そし装置そうちなどの制御せいぎょおこな技術ぎじゅつ抵抗ていこうキャパシタインダクタトランジスタダイオード、その半導体はんどうたい素子そしなどの電子でんし回路かいろ素子そしモデルをつくる。このモデルを使つか目的もくてきは、回路かいろシミュレーションおこなうためであり、その部分ぶぶんてき回路かいろわせてだい規模きぼ回路かいろつくげることができる。

だい世界せかい大戦たいせん以前いぜんは、電子でんし工学こうがく無線むせん工学こうがくとほぼ同義どうぎで、応用おうよう範囲はんい電気でんき通信つうしんレーダーラジオ初期しょきテレビなどにかぎられていた。戦後せんご民生みんせいよう電子でんし機器きき開発かいはつされるようになり、テレビ、音響おんきょう機器ききコンピュータマイクロプロセッサなどの開発かいはつとも電子でんし工学こうがく発展はってんしていった。1950年代ねんだいまつには無線むせん工学こうがく電子でんし工学こうがく完全かんぜんべつ分野ぶんや認識にんしきされるようになった。

1959ねん集積しゅうせき回路かいろ発明はつめい以前いぜん電子でんし回路かいろ個別こべつ部品ぶひんわせて構築こうちくされていた。当然とうぜんながら回路かいろ実装じっそうようする空間くうかん電力でんりょくおおきく、動作どうさ速度そくどおそかった。それでも、いまもそのような回路かいろ実装じっそう用途ようとがある。一方いっぽう集積しゅうせき回路かいろトランジスタ中心ちゅうしんとした微小びしょう電子でんし部品ぶひんをひとまとめにして、ちいさなチップない回路かいろ構成こうせいする。これによってコンピュータなどの電子でんし機器きき性能せいのう向上こうじょうしていった。

半導体はんどうたい工学こうがく

編集へんしゅう
 
マイクロプロセッサ

半導体はんどうたい素子そし微細びさいない進展しんてんは、VLSI製造せいぞうプロセスの発展はってんをもたらし、完全かんぜんシステムをひとつのチップに実装じっそうする技術ぎじゅつ実現じつげんした。マイクロプロセッサはこの進展しんてん成果せいかで、コンピュータ工学こうがく関連かんれん分野ぶんやとかかわる。

材質ざいしつ着目ちゃくもくすると「半導体はんどうたい工学こうがく」だが、製造せいぞう技術ぎじゅつ着目ちゃくもくすると「マイクロエレクトロニクス」とばれる。これらはほぼ同義どうぎだが、マイクロエレクトロニクスはかならずしも半導体はんどうたい集積しゅうせき回路かいろ限定げんていされない。

シリコンなどの半導体はんどうたいウェハーを化学かがくてき製造せいぞうする技術ぎじゅつふくみ、化学かがく材料ざいりょう工学こうがく密接みっせつ関連かんれんする。また、微細びさい設計せっけいにあたっては量子力学りょうしりきがくてき知識ちしき要求ようきゅうされる。

ひかりエレクトロニクス

編集へんしゅう

電子でんし電気でんき)と光子こうしひかり)の両方りょうほうあつか電子でんし工学こうがくいち分野ぶんやひかりエレクトロニクスまたはオプトエレクトロニクスとばれる。この分野ぶんやあつかひかりケーブル高速こうそく通信つうしんシステムの開発かいはつインターネット発展はってんをもたらした。

電気でんき計測けいそく工学こうがく計測けいそく工学こうがく

編集へんしゅう

電気でんき計測けいそく工学こうがくは、電気でんきてき特性とくせい正確せいかく測定そくていかんする分野ぶんや電気でんき回路かいろ電子でんし回路かいろ測定そくていおこなうと、測定そくてい回路かいろ電圧でんあつ電流でんりゅう影響えいきょうあたえることがけられない。測定そくてい技術ぎじゅつ目的もくてきは、測定そくてい回路かいろ影響えいきょう最小さいしょうあるいは補償ほしょうすることである。この分野ぶんやには物質ぶっしつ電気でんきてき特性とくせい利用りようするセンサ電気でんき機械きかいてき測定そくてい手段しゅだんふくまれる。前者ぜんしゃれいとしては圧力あつりょく測定そくていするピエゾあつでん素子そし温度おんど測定そくていする温度おんど依存いぞんする電気でんき抵抗ていこう素子そしがある。これらのセンサは制御せいぎょ工学こうがくにおいてももちいることができる。

 
速度そくど測定そくてい応用おうようした速度そくど違反いはん自動じどう取締とりしまり装置そうち

計測けいそく工学こうがくは、圧力あつりょくなが温度おんどといった物理ぶつりりょう測定そくていする機器きき設計せっけいあつかう。そういった測定そくてい機器きき設計せっけいには、電磁気でんじきがくだけでなく様々さまざま物理ぶつりがく知識ちしき必要ひつようとする。たとえば、スピード測定そくていドップラー効果こうか応用おうようしてちかづいてくる自動車じどうしゃ速度そくど測定そくていする。同様どうようねつでんたいペルティエ-ゼーベック効果こうか応用おうようして2地点ちてんあいだ温度おんど測定そくていする。

計測けいそく単独たんどくではなく、よりおおきな電気でんきシステムのセンサとして使つかわれることがおおい。たとえば、溶鉱炉ようこうろ温度おんど一定いっていたもつシステムでねつでんたい利用りようするといった場合ばあいである。このため、計測けいそく工学こうがく制御せいぎょ工学こうがくわせてあつかわれることがおおい。

制御せいぎょ工学こうがく

編集へんしゅう
 
ISS接近せっきんする宇宙うちゅうステーション補給ほきゅう制御せいぎょシステム宇宙うちゅう飛行ひこうにおいて重要じゅうよう役目やくめたしている。

制御せいぎょ工学こうがく様々さまざま力学りきがくけいをモデルし、システムのいをのぞんだかたちにするための制御せいぎょ装置そうち設計せっけいおこなう。そのような制御せいぎょ装置そうち実装じっそうにあたって、電子でんし回路かいろデジタル信号しんごう処理しょりマイクロコントローラPLCなどを使つかうこともある。制御せいぎょ工学こうがくには、旅客機りょかくきのフライトシステムから自動車じどうしゃクルーズコントロールまで、様々さまざま応用おうようがある。また、ファクトリーオートメーションでも重要じゅうよう役目やくめたしている。

制御せいぎょシステムの設計せっけいにおいては、フィードバック多用たようする。たとえば、クルーズコントロールにおいては自動車じどうしゃ速度そくど継続けいぞくてき監視かんししフィードバックし、それによってエンジンの出力しゅつりょく調整ちょうせいしている。制御せいぎょ理論りろんでは、あるフィードバックがあったときのシステムの応答おうとうもとめることができる。

信号しんごう処理しょり

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べイヤーフィルター撮像さつぞう素子そしによる、ピクセルごとに1しょくずつの情報じょうほうから、ピクセルごとにRGBの情報じょうほうがある画像がぞうデータを生成せいせいするのも信号しんごう処理しょり応用おうようのひとつである。

信号しんごう処理しょり信号しんごう解析かいせき操作そうさあつか分野ぶんやである。信号しんごうには連続れんぞくてき変化へんかするアナログ信号しんごうと、離散りさんてきをとるデジタル信号しんごうがある。アナログ信号しんごう場合ばあい信号しんごう処理しょり音声おんせい信号しんごうなどの増幅ぞうふくフィルタリング電気でんき通信つうしんにおける信号しんごう変調へんちょう復調ふくちょうあつかう。デジタル信号しんごう場合ばあい信号しんごう処理しょり標本ひょうほんされた信号しんごう圧縮あっしゅくあやま検出けんしゅつ訂正ていせいあつかう。

デジタル信号しんごう処理しょりは、既存きそんのアナログのシステムがデジタルのシステムに置換ちかんされていくにつれて、その応用おうよう範囲はんい電力でんりょく通信つうしん放送ほうそう医療いりょうなど急激きゅうげき拡大かくだいしている。

かつてアナログ信号しんごう処理しょりはアナログのハードウェアで実装じっそうされたシステムの設計せっけい数学すうがくてきあらわすだけのものだったが、デジタル信号しんごう処理しょり設計せっけい数学すうがくてき記述きじゅつするだけでなく、ハードウェア問題もんだいとは独立どくりつしてそのまま(ソフトウェアまたはハードウェアへのみで)実装じっそうすることもできるようになった。そのためデジタル信号しんごう処理しょり重要じゅうようせいしつつある。

信号しんごう信号しんごうはこんでいる情報じょうほうにはつよ関係かんけいがあり、信号しんごう処理しょり情報処理じょうほうしょり等価とうかでもある。それが信号しんごう処理しょり幅広はばひろ用途ようとがある理由りゆうである。DSPチップは、テレビ、ラジオ、携帯けいたい機器きき音響おんきょう機器ききノイズリダクションアルゴリズム、MP3プレーヤーGPSカーナビゲーション各種かくしゅ画像がぞう処理しょり音響おんきょう処理しょり音声おんせい処理しょりシステムといった様々さまざま電子でんし機器ききまれている。

計算けいさん工学こうがく

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携帯けいたい情報じょうほう端末たんまつ

計算けいさん工学こうがく計算けいさん設計せっけい関連かんれんする分野ぶんやであり、電気でんき工学こうがくとは電子でんししき計算けいさん設計せっけいという分野ぶんや関連かんれんづいている[注釈ちゅうしゃく 2]新規しんきハードウェア設計せっけい携帯けいたい情報じょうほう端末たんまつ設計せっけい、コンピュータを利用りようした生産せいさんシステムの設計せっけいなどがある。システムソフトウェア計算けいさん工学こうがくあつか場合ばあいがあるが、複雑ふくざつなソフトウェアシステムの設計せっけいソフトウェア工学こうがく領域りょういきであり、両者りょうしゃことなる分野ぶんやとされている。パーソナルコンピュータ設計せっけいはこの分野ぶんやのごく一部いちぶであり、コンピュータてきアーキテクチャの電子でんし機器ききゲームDVDプレーヤーなど様々さまざまなものがある。

関連かんれんする学問がくもん分野ぶんや

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メカトロニクス電気でんき工学こうがく機械きかい工学こうがく融合ゆうごうした工学こうがく分野ぶんやである。電気でんき機械きかいしきシステムは様々さまざま領域りょういき利用りようされている。たとえば、ファクトリーオートメーション空調くうちょうシステム航空機こうくうき自動車じどうしゃ各種かくしゅサブシステムなどである。CDプレーヤー記録きろくトラック追尾ついびするためのレーザー精密せいみつ位置決いちぎめは、振動しんどう焦点しょうてんのずれ、ディスク媒体ばいたい変形へんけいとう補償ほしょうするよう設計せっけいされた電子でんし回路かいろによってはじめて実現じつげんできたものである。

微視的びしてきなメカトロニクスとしてMEMSがあり、今後こんご発展はってん見込みこまれている。たとえば、自動車じどうしゃエアバッグ作動さどうタイミングを決定けっていする仕組しくみ、プロジェクタ映像えいぞうをより鮮明せんめいにする仕組しくみ、こう精細せいさいインクジェットプリンターのインク噴射ふんしゃノズルなどがMEMSの応用おうようである。

医用いよう生体せいたい工学こうがくは、医療いりょう機器きき設計せっけいあつか関連かんれん分野ぶんやである[18]人工じんこう呼吸こきゅうMRIスキャナー心電図しんでんずモニターなどの医療いりょうよう装置そうちだけでなく、人工じんこう内耳ないじ心臓しんぞうペースメーカー人工じんこう心臓しんぞうといった体内たいない機器ききもある。

電気でんき技術ぎじゅつしゃ道具どうぐ理論りろんは、数学すうがくおよび物理ぶつりがく基礎きそにしている。とく電気でんき現象げんしょう基礎きそとして電磁気でんじきがく電気でんき回路かいろ解析かいせき手法しゅほうである回路かいろ理論りろん必要ひつよう不可欠ふかけつである。また、量子力学りょうしりきがく信号しんごう処理しょり制御せいぎょ理論りろん計算けいさん科学かがくなどの知見ちけん重要じゅうようである。

電磁気でんじきがくがほかの日常にちじょう生活せいかつかかわっているれいとしては、携帯けいたい電話でんわアンテナ設計せっけい磁気じき共鳴きょうめい画像がぞうスキャナにおいて電磁石でんじしゃく正確せいかく配置はいち調整ちょうせいにより電磁場でんじば形成けいせい制御せいぎょすることがあげられる。さらに電磁気でんじきがくにより実現じつげんできた技術ぎじゅつとして電子でんしレンジがある。

学会がっかい

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世界せかいてき規模きぼでは「The Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE)米国べいこく電気でんき電子でんし学会がっかい」が電気でんき関連かんれん研究けんきゅうしゃあいだ著名ちょめいかつもっと有力ゆうりょく学会がっかいである。IEEEは営利えいり研究けんきゅう団体だんたいであり、規格きかくしょ出版しゅっぱんぶつ定期ていき刊行かんこうぶつ発行はっこう学会がっかいやワークショップの開催かいさいおこなっている。IEEEの学会がっかいすうじゅう種類しゅるいおよ各論かくろんかれて発行はっこうされている。IEEEは事実じじつじょう世界せかい最大さいだい学会がっかいである。 海外かいがいでは英国えいこくの「The Institute of Electrical Engineers (IEE)」がよくられている。

日本にっぽん研究けんきゅう団体だんたいとしては電力でんりょくエネルギーに関係かんけいする分野ぶんやでは電気でんき学会がっかい (IEEJ) が、通信つうしんシステム・電子でんしデバイス・情報処理じょうほうしょりではこれら分野ぶんや網羅もうらする電子でんし情報じょうほう通信つうしん学会がっかい (IEICE) が有名ゆうめいである。また電子でんし工学こうがく分野ぶんやでは応用おうよう物理ぶつり学会がっかい (JSAP)、情報じょうほう工学こうがく分野ぶんやでは情報処理じょうほうしょり学会がっかい (IPSJ) で活動かつどうする研究けんきゅうしゃおおい。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ えい: versorium
  2. ^ 計算けいさん実現じつげんする方法ほうほうには様々さまざまあり、電子でんししき計算けいさんほかにも、DNAコンピュータひかりコンピュータ量子りょうしコンピュータなどがある。

出典しゅってん

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  18. ^ 上野うえのあきらつよし (2004). “医療いりょう分野ぶんやにおける電気でんき電子でんし工学こうがくへの期待きたい”. 電気でんき学会がっかい (電気でんき学会がっかい) 124 (4): 208-209. doi:10.1541/ieejjournal.124.208. 

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 高木たかぎ純一じゅんいち電気でんき歴史れきし計測けいそく中心ちゅうしんとして ―』ム社むしゃ、1967ねん
  • 山崎やまざき俊雄としお木本きもと忠昭ただあき新版しんぱん 電気でんき技術ぎじゅつム社むしゃ、1992ねんISBN 978-4-27412-914-8
  • 岩本いわもとひろしでみる電気でんき歴史れきし図版ずはん300まい物語ものがた電気でんき発見はっけんたびム社むしゃ、2003ねんISBN 978-4-27494-323-2
  • 高橋たかはし雄造ゆうぞう電気でんき歴史れきし じん技術ぎじゅつのものがたり』東京電機大学とうきょうでんきだいがく出版しゅっぱんきょく、2011ねんISBN 978-4-50111-560-9
  • 矢田やた恒二つねじ電気でんき技術ぎじゅつ発展はってん秘話ひわ: 技術ぎじゅつかげささえた人々ひとびとム社むしゃ、2020ねんISBN 978-4-27422-524-6

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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