この項目 こうもく では、標準 ひょうじゅん 和名 わみょう モロコシの作物 さくもつ について説明 せつめい しています。モロコシの地方 ちほう 名 めい を持 も つ作物 さくもつ については「トウモロコシ 」を、菓子 かし については「もろこし 」をご覧 らん ください。
モロコシ (蜀黍 もろこし 、唐黍 とうきび 、学名 がくめい Sorghum bicolor )は、イネ科 か の一 いち 年 ねん 草 くさ のC4植物 しょくぶつ ・穀物 こくもつ 。タカキビ(高黍 たかきび ) とも呼 よ ぶ。外来 がいらい 語 ご 呼称 こしょう にはコーリャン [ 1] (中 なか : 高粱 こうりゃん , gāoliáng[ 2] から)、ソルガム (英 えい : sorghum )、ソルゴー (伊 い : sorgo )がある。沖縄 おきなわ ではトーナチン と呼 よ ばれる。
Sorghum bicolor Moderne
熱帯 ねったい 、亜熱帯 あねったい の作物 さくもつ で乾燥 かんそう に強 つよ く、イネ (稲 いね )やコムギ (小麦 こむぎ )などが育 そだ たない地域 ちいき でも成長 せいちょう する。食用 しょくよう をはじめ飼料 しりょう 、醸造 じょうぞう 、精糖 せいとう 、デンプン やアルコール などの工業 こうぎょう 用 よう など非常 ひじょう に用途 ようと が広 ひろ く、穀物 こくもつ としての生産 せいさん 量 りょう ではコムギ、イネ、トウモロコシ 、オオムギ (大麦 おおむぎ )に次 つ いで世界 せかい 第 だい 5位 い である。
同 おな じくイネ科 か の穀物 こくもつ であり名称 めいしょう が似 に ているトウモロコシとしばしば混同 こんどう される[ 4] が、モロコシはモロコシ属 ぞく 、トウモロコシはトウモロコシ属 ぞく に分類 ぶんるい されているように、属 ぞく レベルで異 こと なるまったく別 べつ の植物 しょくぶつ である。また、「タカキビ」との別名 べつめい があるとおりキビ とも混同 こんどう されやすいが、キビはキビ属 ぞく であり、これも属 ぞく レベルで異 こと なる。
野生 やせい や従来 じゅうらい の栽培 さいばい 種 しゅ では全長 ぜんちょう 3メートル以上 いじょう にも達 たっ するが、この高 たか さでは機械 きかい での収穫 しゅうかく に支障 ししょう をきたすことや倒伏 とうふく しやすいことから、アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく を中心 ちゅうしん に全長 ぜんちょう を低 ひく くする品種 ひんしゅ 改良 かいりょう が行 おこ なわれ、現在 げんざい では1.5メートル程度 ていど にまで低 ひく くなった品種 ひんしゅ も主力 しゅりょく の一 ひと つとなっている。葉 は も長 なが さ1メートル以上 いじょう で幅 はば 10センチメートル程度 ていど になり、茎 くき は太 ふと さ3センチメートル程度 ていど で芯 しん の詰 つ まったものとなっている。夏 なつ になると茎 くき の先端 せんたん に穂 ほ が出 で る。穂 ほ は節 ふし が10程 ほど あり(節 ふし は必 かなら ずしも明瞭 めいりょう ではないが、複数 ふくすう の穂 ほ 枝 えだ が出 で ていることから逆 ぎゃく に見分 みわ けられる)、各 かく 節 ふし より6本 ほん 程度 ていど の枝 えだ が放射状 ほうしゃじょう に出 で ている。各 かく 枝 えだ は更 さら に数 すう 十 じゅう に枝分 えだわ かれしており、最終 さいしゅう 的 てき には一 ひと つの穂 ほ で3,000程 ほど の小 ちい さな穂 ほ を付 つ ける。なお、実 み の千 せん 粒 つぶ 重 おも は25グラム程度 ていど 。その色 いろ は紫 むらさき や赤 あか に近 ちか い。
作物 さくもつ としては根 ね が深 ふか く、吸水 きゅうすい 能力 のうりょく が非常 ひじょう に高 たか いため主要 しゅよう 穀物 こくもつ の中 なか では最 もっと も乾燥 かんそう に強 つよ い穀物 こくもつ である。吸肥性 せい も同様 どうよう の理由 りゆう で高 たか い。その割 わり には湿潤 しつじゅん にもよく耐 た え、日本 にっぽん のような多湿 たしつ 地域 ちいき でも栽培 さいばい が可能 かのう である。ただし、湛 たたえ 水中 すいちゅう の水田 すいでん などの沼地 ぬまち では栽培 さいばい はできない。連作 れんさく は可能 かのう であるが、可能 かのう であるだけで地力 じりき は落 お ちるので輪作 りんさく が行 おこな われることが多 おお い。栽培 さいばい 期間 きかん は、一般 いっぱん に早生 わせ が70日 にち から80日 にち 程度 ていど 、晩生 ばんせい で150日 にち から160日 にち 程度 ていど で収穫 しゅうかく となる。日本 にっぽん の山間 さんかん 部 ぶ においては日照 ひでり 時間 じかん や農業 のうぎょう に適 てき した期間 きかん の短 みじか さなどから極 ごく 早生 わせ が好 この まれる傾向 けいこう にあり、岐阜 ぎふ 県 けん の飛騨 ひだ 地方 ちほう 山間 さんかん 部 ぶ における調査 ちょうさ では播種 はしゅ から2か月 げつ 少々 しょうしょう (70日 にち 程度 ていど )で収穫 しゅうかく が行 おこな われていた。
モロコシは、ビコロ、ギニア、カウダツム、カフィア、デュラの5つの基本 きほん 種 しゅ と10の中 なか 間 あいだ 種 しゅ に分類 ぶんるい されている。品種 ひんしゅ としての分類 ぶんるい のほか、用途 ようと によって大 おお きく穀物 こくもつ 用 よう モロコシ(グレイン・ソルガム)、糯 もち モロコシ、飼料 しりょう 用 よう モロコシ(グラス・ソルガム)、糖蜜 とうみつ 用 よう モロコシ(スイート・ソルガム、ソルゴー、サトウモロコシ[ 16] )、箒 ほうき 用 よう モロコシ(ブルーム・ソルガム)の5つの品種 ひんしゅ 群 ぐん に大別 たいべつ される。グレイン・ソルガムはさらにマイロ群 ぐん やカフィア群 ぐん などの群 ぐん に分類 ぶんるい されている。モロコシには爆 は ぜるタイプの、いわゆるポップ・ソルガムも存在 そんざい する。
モロコシは種 たね 間 あいだ の交雑 こうざつ が起 お こりやすいため新 しん 品種 ひんしゅ の育成 いくせい が行 おこな いやすく、原産地 げんさんち であるアフリカには野生 やせい や栽培 さいばい 、半 はん 野生 やせい や原種 げんしゅ など様々 さまざま な種類 しゅるい の種 たね があり、さらにその中 なか でも用途 ようと 別 べつ ・環境 かんきょう 別 べつ にやや分化 ぶんか した多 おお くの品種 ひんしゅ が存在 そんざい する。20世紀 せいき に入 はい ると近代 きんだい 的 てき な品種 ひんしゅ 改良 かいりょう がアメリカにおいて行 おこな われるようになり、さまざまな特性 とくせい を持 も つ交雑 こうざつ 種 しゅ が育成 いくせい され、さらに一 いち 代 だい 雑種 ざっしゅ が主流 しゅりゅう 化 か するなかで、収量 しゅうりょう や病虫害 びょうちゅうがい ・倒伏 とうふく 耐 たい 性 せい などが大 おお きく向上 こうじょう した。しかしこれらの改良 かいりょう は主 おも にアメリカなどで栽培 さいばい される飼料 しりょう 用 よう や糖蜜 とうみつ 用 よう のモロコシに限 かぎ られており、インドやアフリカで栽培 さいばい される主 しゅ 穀 こく 用 よう のモロコシの改良 かいりょう は必 かなら ずしも進 すす んでいない。
原産地 げんさんち は熱帯 ねったい アフリカで、エチオピア を原産地 げんさんち とする仮説 かせつ が有力 ゆうりょく である。エジプト では紀元前 きげんぜん 3世紀 せいき 頃 ごろ には栽培 さいばい されていた。早 はや い時期 じき に西 にし アフリカ 、北 きた アフリカ 、インド へ伝播 でんぱ し、のちに中国 ちゅうごく 、東南 とうなん アジア にも伝播 でんぱ して栽培 さいばい 種 しゅ となった。中国 ちゅうごく に入 はい った時期 じき は諸説 しょせつ 紛々 ふんぷん として不明 ふめい だが、DNA の分布 ぶんぷ からは950年 ねん 頃 ころ と考 かんが えられている[ 20] 。古 ふる くは「蜀黍 もろこし 」(しょくしょ)と呼 よ ばれたが、現代 げんだい の中国 ちゅうごく 名 めい は「高粱 こうりゃん 」(こうりゃん、カオリャン)である。伝播 でんぱ 以前 いぜん の文献 ぶんけん にも蜀黍 もろこし の名 な は見 み られるが、別 べつ の穀物 こくもつ を指 さ したらしい。18世紀 せいき には新大陸 しんたいりく にも伝播 でんぱ し、1853年 ねん にはアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく で栽培 さいばい が開始 かいし された。
日本 にっぽん には室町 むろまち 時代 じだい に中国 ちゅうごく を経由 けいゆ して伝来 でんらい した。五穀 ごこく (キビ )の一種 いっしゅ としてモロコシ、タカキビ(高黍 たかきび )という名前 なまえ での食用 しょくよう 栽培 さいばい のほか、サトウモロコシ、トウキビ、ロゾク(蘆 あし 粟 あわ )という名 な で、糖 とう 汁 じる 採取 さいしゅ 目的 もくてき の栽培 さいばい も行 おこな われてきた[ 22] 。
世界 せかい のモロコシ生産 せいさん 地域 ちいき 。赤 あか が原産地 げんさんち 、緑 みどり が主要 しゅよう 生産 せいさん 地域 ちいき 。
インドの穀物 こくもつ 生産 せいさん 図 ず 。中央 ちゅうおう 部 ぶ の黄色 おうしょく がジョワール(モロコシ)を主 おも に栽培 さいばい する地域 ちいき 。
エルサルバドル のモロコシ畑 はたけ
モロコシ世界 せかい 生産 せいさん 量 りょう (2008/09年 ねん ) [ 23]
順位 じゅんい
国名 こくめい
生産 せいさん 量 りょう (千 せん トン )
割合 わりあい
1
アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく
11,998
19.22 %
2
ナイジェリア
11,000
17.63 %
3
インド
7,240
11.60 %
4
メキシコ
6,300
10.09 %
5
スーダン
4,700
7.53 %
6
エチオピア
2,619
4.20 %
7
オーストラリア
2,400
3.85 %
8
アルゼンチン
2,300
3.69 %
9
ブラジル
2,000
3.20 %
10
ブルキナファソ
1,800
2.88 %
11
中国 ちゅうごく
1,800
2.88 %
12
ニジェール
1,000
1.60 %
13
エジプト
900
1.44 %
14
タンザニア
900
1.44 %
15
ヨーロッパ連合 れんごう
521
0.83 %
その他 た
4,932
7.90 %
世界 せかい 総 そう 生産 せいさん 量 りょう
62,410
100.00 %
モロコシはモロコシ属 ぞく の中 なか で最 もっと も広 ひろ く栽培 さいばい される種 しゅ であり、小麦 こむぎ 、稲 いね 、トウモロコシ、大麦 おおむぎ についで世界 せかい で5番目 ばんめ に多 おお く栽培 さいばい される穀物 こくもつ となっている。アフリカ、中国 ちゅうごく 、インドなどの一部 いちぶ 地域 ちいき ではモロコシは重要 じゅうよう な穀類 こくるい として栽培 さいばい されている。生産 せいさん 量 りょう は1960年代 ねんだい に3,000万 まん トン台 だい だったが、1980年代 ねんだい には7,000万 まん トン台 だい にまで生産 せいさん が拡大 かくだい した。その後 ご 、2000年代 ねんだい には6,000万 まん トン台 だい にまで下 さ がってきている。多 おお くの種 たね が耐 たい 乾燥 かんそう 性 せい 、耐 たい 熱性 ねっせい を持 も っており、特 とく にサヘル では重要 じゅうよう な作物 さくもつ となっている。ただ、全般 ぜんぱん としてはやはり乾燥 かんそう 地 ち においてほかの穀物 こくもつ の栽培 さいばい できないところで栽培 さいばい されることが多 おお いため、反収 たんしゅう はイネ、コムギ、トウモロコシの三 さん 大 だい 穀物 こくもつ に比 くら べて低 ひく い。モロコシの大 だい 生産 せいさん 国 こく のうち、アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく やオーストラリア やアルゼンチン では飼料 しりょう 用 よう 生産 せいさん がほとんどである。
ハイブリッド・ソルガムの畑 はたけ
アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく には、1853年 ねん にフランス から持 も ち込 こ まれ、アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく 南部 なんぶ やグレートプレーンズ を中心 ちゅうしん に広 ひろ まっていった。19世紀 せいき 後半 こうはん から20世紀 せいき 前半 ぜんはん にかけてはアフリカなど世界 せかい 各地 かくち から優良 ゆうりょう 品種 ひんしゅ がアメリカに持 も ち込 こ まれ、また20世紀 せいき に入 はい ってからはこれらの移入 いにゅう 品種 ひんしゅ との掛 か け合 あ わせや、優良 ゆうりょう 品種 ひんしゅ の選抜 せんばつ によって近代 きんだい 的 てき な育種 いくしゅ が進 すす められるようになった。
特 とく にアメリカで栽培 さいばい される飼料 しりょう 用 よう モロコシにおいては、1957年 ねん に一 いち 代 だい 雑種 ざっしゅ のハイブリッド品種 ひんしゅ が初 はじ めて開発 かいはつ され、7年 ねん 後 ご の1963年 ねん までにはほぼ全量 ぜんりょう が新 しん 品種 ひんしゅ に切 き り替 か わるなど品種 ひんしゅ 改良 かいりょう が盛 さか んに行 おこな われ、この7年間 ねんかん で収量 しゅうりょう が倍増 ばいぞう している。この改良 かいりょう はトウモロコシの品種 ひんしゅ 改良 かいりょう を参考 さんこう として行 おこな われ、同 どう 時期 じき の緑 みどり の革命 かくめい の成果 せいか を多 おお く取 と り入 い れて改良 かいりょう が進 すす んだ。多 た 収量 しゅうりょう 化 か だけでなく、この時期 じき には短 たん 稈化も行 おこな われ、アメリカの主要 しゅよう 品種 ひんしゅ の高 たか さは1.5メートルほどにまで短 みじか くなっており、コンバイン などによる収穫 しゅうかく 機械 きかい 化 か に適応 てきおう した形 かたち となっている。このため、これ以降 いこう もモロコシの反収 たんしゅう は増大 ぞうだい を続 つづ け、1950年 ねん の1ヘクタール 当 あ たり1,257キログラムから、1998年 ねん には1ヘクタール当 あ たり4,245キログラムと、約 やく 3.5倍 ばい にまで伸 の びている。アメリカは世界 せかい 最大 さいだい のモロコシ生産 せいさん 国 こく であるが、利用 りよう はほぼ全量 ぜんりょう 飼料 しりょう または製糖 せいとう 用 よう としてのものである。
エチオピア のアムハラ州 しゅう ヘイック湖 こ 付近 ふきん のモロコシ畑 はたけ
アフリカでは、サヘル 地帯 ちたい などの乾燥 かんそう した地域 ちいき において盛 さか んに栽培 さいばい されている。やや湿潤 しつじゅん な地域 ちいき においては、かつてはソルガムが栽培 さいばい されていたものの、現在 げんざい ではより湿潤 しつじゅん に適 てき したトウモロコシなどの栽培 さいばい が盛 さか んになっている。また、極度 きょくど に降水 こうすい の少 すく ない地域 ちいき ではより乾燥 かんそう に強 つよ いトウジンビエ が主 おも な穀物 こくもつ となっている。一方 いっぽう で、モロコシはアフリカで最 もっと も古 ふる くから、最 もっと も大 だい 規模 きぼ に栽培 さいばい されてきた穀物 こくもつ であり、トウモロコシやコメが伝来 でんらい してくるまではアフリカ大陸 たいりく の主 しゅ 穀 こく であったため、栽培 さいばい 種 しゅ の分化 ぶんか も進 すす んでおり、2,000メートル以上 いじょう の雨 あめ の多 おお い高地 こうち に適応 てきおう した品種 ひんしゅ も存在 そんざい する。
モロコシを主 おも に主 しゅ 穀 こく として栽培 さいばい している国 くに はモーリタニア 、マリ 、ブルキナファソ 、ナイジェリア 、ニジェール 、チャド 、スーダン といったサハラ南 みなみ 縁 えん のサヘル地帯 ちたい の国々 くにぐに である。特 とく にブルキナファソとスーダンにおいては一人 ひとり 当 あ たり食糧 しょくりょう 生産 せいさん 量 りょう はソルガムが最 もっと も多 おお く、最 さい 重要 じゅうよう の穀物 こくもつ となっている。またこれ以外 いがい の地域 ちいき においても、乾燥 かんそう 地域 ちいき を中心 ちゅうしん に熱帯 ねったい 雨林 うりん を除 のぞ くブラックアフリカ のほぼ全土 ぜんど で栽培 さいばい されており、アフリカにおける最 さい 重要 じゅうよう 穀物 こくもつ の一 ひと つである。2000年 ねん のブラックアフリカの作物 さくもつ の収穫 しゅうかく 面積 めんせき のうちソルガムは13.0%を占 し めるが、これはトウモロコシと同率 どうりつ 1位 い であり、アフリカで最 もっと も広 ひろ く栽培 さいばい される作物 さくもつ となっている。一方 いっぽう で土地 とち 生産 せいさん 性 せい は非常 ひじょう に低 ひく く、1997年 ねん のソルガムの土地 とち 生産 せいさん 性 せい は世界 せかい 平均 へいきん が1ヘクタール 当 あ たり1,414キログラムであるのに対 たい し、アフリカ平均 へいきん は788キログラムで、世界 せかい 平均 へいきん よりも79%も収量 しゅうりょう が少 すく ない。主 しゅ 穀 こく 用 よう ソルガム自体 じたい が収量 しゅうりょう の改善 かいぜん はさほど進 すす んでいないうえ、サブサハラ・アフリカにおけるソルガムの土地 とち 生産 せいさん 性 せい は1961年 ねん 以来 いらい ほぼ改善 かいぜん が見 み られず、50年 ねん 以上 いじょう ほぼ横 よこ ばいのままである。これは肥料 ひりょう の投入 とうにゅう が農地 のうち に行 おこな われないなど、緑 みどり の革命 かくめい がソルガムに限 かぎ らず、コメやコムギなど全 ぜん 穀物 こくもつ においてブラックアフリカ全域 ぜんいき では進 すす んでいないためである。主食 しゅしょく 用 よう モロコシにおいてはコメやコムギと違 ちが って品種 ひんしゅ 改良 かいりょう が進 すす んでいないうえ、もともとそれらの栽培 さいばい できない乾燥 かんそう 地 ち の農地 のうち での栽培 さいばい が主 おも となっているため、ブラックアフリカ内 ない ですらコメやコムギ、トウモロコシよりも反収 たんしゅう が低 ひく く、ほぼ半分 はんぶん かそれ以下 いか にとどまっている。
一方 いっぽう でモロコシの耕地 こうち 面積 めんせき はブラックアフリカにおいて1980年代 ねんだい 以降 いこう 急速 きゅうそく に拡大 かくだい し、1980年 ねん から2010年 ねん までの30年間 ねんかん でブラックアフリカのモロコシ栽培 さいばい 面積 めんせき は76%も増大 ぞうだい している。これは、反収 たんしゅう の貧弱 ひんじゃく さを耕地 こうち 面積 めんせき の拡大 かくだい で補 おぎな ったことを意味 いみ している。このため、ブラックアフリカのモロコシ生産 せいさん は1961年 ねん の1,000万 まん トン程度 ていど から、2000年代 ねんだい 後半 こうはん には2,500万 まん トン程度 ていど まで拡大 かくだい した。しかしこの生産 せいさん の増大 ぞうだい は土地 とち 生産 せいさん 性 せい の改善 かいぜん を伴 ともな わなかったため、ひとりあたりのソルガム生産 せいさん 量 りょう は低下 ていか を続 つづ け、1970年 ねん に比 くら べ2010年 ねん のブラックアフリカからのモロコシ輸出 ゆしゅつ は-1.4%となり、生産 せいさん 増大 ぞうだい にもかかわらず輸出 ゆしゅつ は減少 げんしょう してしまっている。逆 ぎゃく にブラックアフリカのモロコシ輸入 ゆにゅう は急増 きゅうぞう し、2010年 ねん にはモロコシの世界 せかい 輸入 ゆにゅう 量 りょう の14%がブラックアフリカ諸国 しょこく の輸入 ゆにゅう で占 し められることとなり、しかもこの割合 わりあい は増加 ぞうか の一途 いっと をたどっている。こうして、ブラックアフリカのモロコシは社会 しゃかい で重要 じゅうよう な地位 ちい を占 し めるのにもかかわらず生産 せいさん はアフリカ諸国 しょこく の人口 じんこう の急速 きゅうそく な増大 ぞうだい に追 お いつくことができず、これらの地域 ちいき の食糧 しょくりょう 不足 ふそく を招 まね き、経済 けいざい 成長 せいちょう のネックとなっている。
近代 きんだい 的 てき な育種 いくしゅ や品種 ひんしゅ 改良 かいりょう が行 おこ なわれていない一方 いっぽう で、アフリカはソルガムの原産地 げんさんち であり栽培 さいばい には長 なが い伝統 でんとう を持 も っており、また重要 じゅうよう 性 せい も他 た 地域 ちいき に比 くら べて非常 ひじょう に高 たか いため、非常 ひじょう に多種 たしゅ に及 およ ぶ伝統 でんとう 品種 ひんしゅ が存在 そんざい し、維持 いじ され続 つづ けている。
また、インドにおいてもモロコシは古 ふる くから栽培 さいばい されている重要 じゅうよう な穀物 こくもつ である。インドは雑穀 ざっこく 栽培 さいばい が重要 じゅうよう な地位 ちい を占 し める国 くに であるが、そのなかでもモロコシの占 し める割合 わりあい は大 おお きい。インドでのモロコシはジョワールと呼 よ ばれ、カリーフ期 き と呼 よ ばれる雨季 うき にもラビー期 き と呼 よ ばれる乾季 かんき にも栽培 さいばい される。ラビー期 き のモロコシの栽培 さいばい 地域 ちいき は、ボンベイ の東 ひがし に広 ひろ がるデカン高原 こうげん 地域 ちいき が主 おも であり、プネー からマハーラーシュトラ州 しゅう 内陸 ないりく 部 ぶ 、カルナータカ州 しゅう 北部 ほくぶ 、アーンドラ・プラデーシュ州 しゅう 南部 なんぶ にかけて広 ひろ がっている。
ラオス のボーラウェン高原 こうげん におけるソルガムの乾燥 かんそう 作業 さぎょう
また熱帯 ねったい 地域 ちいき の多 おお くでも重要 じゅうよう な穀物 こくもつ の一 ひと つである。アフリカ、中央 ちゅうおう アメリカ 、南 みなみ アジア などで盛 さか んに栽培 さいばい される[ 38] 。現代 げんだい 中国 ちゅうごく での生産 せいさん 量 りょう は全 ぜん 世界 せかい での割合 わりあい 的 てき には多 おお くないが、特 とく に東北 とうほく 部 ぶ において盛 さか んに栽培 さいばい される。近代 きんだい 日本 にっぽん の中国 ちゅうごく 大陸 たいりく 進出 しんしゅつ の重点 じゅうてん となった中国 ちゅうごく 東北 とうほく 部 ぶ についてのリポートや作品 さくひん 等 とう にもコーリャンに関 かん する言及 げんきゅう がある。
日本 にっぽん においては、かつては山間 さんかん 部 ぶ においてご飯 はん に混 ま ぜる主食 しゅしょく 用 よう として栽培 さいばい されており、第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 後 ご の食糧難 しょくりょうなん の時代 じだい には一時 いちじ 栽培 さいばい が拡大 かくだい したものの、すぐにコメ の生産 せいさん 量 りょう 増大 ぞうだい によって栽培 さいばい は激減 げきげん した。雑穀 ざっこく の一種 いっしゅ として、あまり高 たか い価値 かち を持 も っていなかったため、品種 ひんしゅ 改良 かいりょう もほとんど行 おこな われず、そのため反収 たんしゅう も低 ひく いままだった。1965年 ねん 頃 ころ には食糧 しょくりょう 用 よう としての栽培 さいばい はほぼ消滅 しょうめつ し、飼料 しりょう 用 よう や緑肥 りょくひ で細々 こまごま と栽培 さいばい されるのみとなった。
しかし21世紀 せいき に入 はい ると、雑穀 ざっこく の栄養素 えいようそ が健康 けんこう 面 めん から見直 みなお される中 なか で、モロコシの栽培 さいばい も復活 ふっかつ するところが出 で てきている。なお、日本 にっぽん におけるモロコシ栽培 さいばい 、特 とく に穀物 こくもつ 用 よう のモロコシ栽培 さいばい は、伝統 でんとう 品種 ひんしゅ をそのまま利用 りよう したものが多 おお い[ 39] 。
モロコシの特徴 とくちょう として、主要 しゅよう 生産 せいさん 国 こく が主 おも に主 しゅ 穀 こく としての食糧 しょくりょう 自給 じきゅう 用 よう として生産 せいさん する国家 こっか と、飼料 しりょう としての生産 せいさん を主 おも とする国家 こっか に大 おお きく分 わ かれていることが挙 あ げられる。前者 ぜんしゃ はアフリカ諸国 しょこく やインドなどが当 あ てはまり、主要 しゅよう 生産 せいさん 国 こく 中 ちゅう では2位 い のナイジェリア を筆頭 ひっとう に、3位 い のインド 、5位 い のスーダン 、6位 い のエチオピア 、10位 い のブルキナファソ 、12位 い のニジェール 、14位 い のタンザニア が挙 あ げられる。後者 こうしゃ としては世界 せかい 最大 さいだい のモロコシ生産 せいさん 国 こく であるアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく を筆頭 ひっとう に、4位 い のメキシコ 、7位 い のオーストラリア 、8位 い のアルゼンチン 、9位 い のブラジル 、11位 い の中国 ちゅうごく 、13位 い のエジプト などが挙 あ げられる。このうち、自給 じきゅう 用 よう 生産 せいさん を旨 むね とする前者 ぜんしゃ のグループはほとんどモロコシを輸出 ゆしゅつ しておらず、むしろアフリカ諸国 しょこく は主要 しゅよう 生産 せいさん 国 こく も含 ふく めて大量 たいりょう にモロコシを輸入 ゆにゅう している。後者 こうしゃ のグループは、ほぼ自国 じこく の国内 こくない で飼料 しりょう や原料 げんりょう として消費 しょうひ するタイプと、余剰 よじょう 分 ぶん を輸出 ゆしゅつ へと振 ふ り向 む けられるタイプの2種類 しゅるい の国家 こっか に分 わ けられる。モロコシを輸出 ゆしゅつ に振 ふ り向 む けられるほど生産 せいさん できる国家 こっか は非常 ひじょう に少 すく なく、2010年 ねん には世界 せかい のモロコシ輸出 ゆしゅつ 量 りょう の62%をアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく が、21%をアルゼンチンが、13%をオーストラリアが占 し め、残 のこ りの諸国 しょこく のモロコシ輸出 ゆしゅつ 量 りょう はわずか4%に過 す ぎず[ 40] 、事実 じじつ 上総 かずさ 輸出 ゆしゅつ の96%を占 し めるこの上位 じょうい 3国 こく によってモロコシ輸出 ゆしゅつ はほぼ独占 どくせん されている。
輸入 ゆにゅう 量 りょう としてはメキシコが最 もっと も多 おお く、次 つ いで日本 にっぽん 、チリ と続 つづ く。日本 にっぽん では種子 しゅし を毎年 まいとし 120万 まん トン近 ちか く輸入 ゆにゅう し、このほぼ全量 ぜんりょう が濃厚 のうこう 飼料 しりょう として使用 しよう される。ただし、飼料 しりょう としての輸入 ゆにゅう 量 りょう は2002年 ねん の147万 まん トンから年 とし ごとの増減 ぞうげん が激 はげ しいものの毎年 まいとし 基本 きほん 的 てき には微減 びげん 傾向 けいこう にあり、2010年 ねん には122万 まん トンにまで減少 げんしょう している。輸入 ゆにゅう 国 こく の内訳 うちわけ としては基本 きほん 的 てき にはアメリカからの輸入 ゆにゅう が最 もっと も多 おお く、オーストラリア、アルゼンチン、中国 ちゅうごく と続 つづ くが、各国 かっこく の作況 さっきょう によって輸入 ゆにゅう 量 りょう に占 し めるパーセンテージは毎年 まいとし 大 おお きく変動 へんどう する。2010年度 ねんど の輸入 ゆにゅう 量 りょう はアルゼンチンが最 もっと も多 おお く、54万 まん 6,000トンにのぼる。これに次 つ ぐのがアメリカからの輸入 ゆにゅう で、51万 まん 1,000トンとなる。2008年 ねん と2009年 ねん には最大 さいだい の輸入 ゆにゅう 国 こく であったオーストラリアは、15万 まん 8,000トンにとどまった。中国 ちゅうごく からの輸入 ゆにゅう は量 りょう も少 すく ないうえ減少 げんしょう 傾向 けいこう にあり、2009年 ねん と2010年 ねん には全 まった く輸入 ゆにゅう がなされなかった。なお、この4か国 こく 以外 いがい からのモロコシの輸入 ゆにゅう はほとんどなく、まったく存在 そんざい しない年 とし もあり、輸入 ゆにゅう がある年 とし でもごく微量 びりょう にとどまる[ 41] 。
ソルガムの種子 しゅし とポップ・ソルガム
ソルガムを挽 ひ く一家 いっか (エチオピアのラリベラ )
中国 ちゅうごく 産 さん の高粱 こうりゃん の粥 かゆ
モロコシの利用 りよう において最 もっと も重要 じゅうよう なものは食用 しょくよう である。特 とく にアフリカにおいては主食 しゅしょく として重要 じゅうよう な地位 ちい を持 も つ植物 しょくぶつ である。食 た べ方 かた としては、臼 うす などで挽 ひ いて粉 こな にしたあと練 ね って固 かた めの粥 かゆ 状 じょう にして食 た べることが多 おお い。アフリカの東部 とうぶ や南部 なんぶ で主食 しゅしょく として広 ひろ く食 しょく されるウガリ は各種 かくしゅ 穀物 こくもつ の粉 こな から作 つく られるが、トウモロコシが伝来 でんらい してくるまではウガリの主 しゅ 原料 げんりょう はモロコシであった。現代 げんだい でも、トウモロコシを栽培 さいばい していない地域 ちいき のウガリはモロコシで作 つく られることが主 おも であり、トウモロコシ栽培 さいばい 地域 ちいき でもモロコシで作 つく られたウガリは一般 いっぱん 的 てき なものである。ボツワナ においてはモロコシを元 もと にしたウガリは「ボホペ」と呼 よ ばれ、サワークリーム やマヨネーズ を入 い れて食 しょく されるが、トウモロコシを元 もと とした「パパ」と呼 よ ばれるウガリと共存 きょうぞん している[ 42] 。ブルキナファソのモシ人 じん においてはサガボと呼 よ ばれ[ 43] 、マリ では「トー」と呼 よ ばれるが、これも同様 どうよう のものである。また、セネガル やマリなどではコムギの代 か わりにモロコシやトウジンビエを使用 しよう してクスクス が作 つく られる。
インドにおいては、モロコシの主要 しゅよう な調理 ちょうり 法 ほう はロティ と呼 よ ばれる非 ひ 発酵 はっこう のパンを作 つく ることであるが、ほかにもそのまま粒食 りゅうしょく したり、揚 あ げパンや蒸 む しパン、アフリカのように固 かた 粥 かゆ にするなど多様 たよう な調理 ちょうり 法 ほう が存在 そんざい する。中国 ちゅうごく においては、米 べい と同様 どうよう に炊 た いたり粥 かゆ にしたりする。かつては広 ひろ く食用 しょくよう にされたが、タンニン を含 ふく むために食 た べにくく、最近 さいきん では人気 にんき がない[ 47] 。
日本 にっぽん においては製粉 せいふん が基本 きほん であり、練 ね って食 た べる。糯 もち 性 せい のモロコシは団子 だんご や餅 もち などの材料 ざいりょう として使用 しよう される。岩手 いわて 県 けん では伝統 でんとう 食 しょく としてタカキビを団子 だんご にしたへっちょこ団子 だんご や、コメとタカキビを混 ま ぜたタカキビもちなどをつくり、おやつとして食 た べる[ 49] 。沖縄 おきなわ では伝統 でんとう 穀物 こくもつ として、紅 べに 芋 いも などとともに餅 もち に入 い れてムーチー にするなどして利用 りよう される[ 50] 。
かつては上記 じょうき 以外 いがい の栽培 さいばい 地域 ちいき である日本 にっぽん や欧米 おうべい 諸国 しょこく の一部 いちぶ など幅広 はばひろ い地域 ちいき で食用 しょくよう とされてきたが、モロコシはおもに種皮 しゅひ にタンニン を多 おお く含 ふく むため、精白 せいはく を強 つよ めにしないと渋 しぶ みが強 つよ くなる。この性質 せいしつ が嫌 きら われ、インドやアフリカを除 のぞ いては食用 しょくよう 利用 りよう は衰退 すいたい した。近年 きんねん では健康 けんこう 意識 いしき の高 たか まりから雑穀 ざっこく が先進 せんしん 国 こく を中心 ちゅうしん に見直 みなお され、アメリカでタンニンを含 ふく まないホワイトソルガムが開発 かいはつ されるなど、復権 ふっけん に向 む けた動 うご きもみられる。ホワイトソルガムはグルテン を含 ふく まないため、セリアック病 びょう 患者 かんじゃ のためのグルテン・フリー食材 しょくざい として使用 しよう される。ミート・ミレットという俗称 ぞくしょう の通 とお り、肉 にく に近 ちか い食 しょく 感 かん を持 も つため、日本 にっぽん でも雑穀 ざっこく 利用 りよう の波 なみ に乗 の り、たかきびハンバーグ などのレシピ が開発 かいはつ されている。
また、モロコシから酒 さけ を作 つく ることもできる。中国 ちゅうごく の蒸留酒 じょうりゅうしゅ である白酒 しろざけ はモロコシを原料 げんりょう としており、汾酒、五 ご 糧 かて 液 えき 、茅 かや 台 たい 酒 しゅ などの銘酒 めいしゅ も存在 そんざい する。アフリカのモロコシ生産 せいさん 地域 ちいき においても、各地 かくち でモロコシ酒 しゅ は製造 せいぞう されているが、商業 しょうぎょう ベースではなくあくまでも村 むら などで個人 こじん で作 つく る地酒 じざけ 的 てき なものがほとんどである。アフリカのモロコシ酒 しゅ の製造 せいぞう 法 ほう は、モロコシに水 みず を吸 す わせて発芽 はつが させ、その発芽 はつが モロコシの酵素 こうそ によって糖化 とうか させて作 つく るというものであるが、この製法 せいほう は原料 げんりょう は違 ちが うもののオオムギを原料 げんりょう とする一般 いっぱん 的 てき なビール と基本 きほん 的 てき には共通 きょうつう の手法 しゅほう であり、そのためこのモロコシ酒 しゅ はモロコシ・ビールと呼 よ ばれる。エチオピア 南部 なんぶ のコンソ人 じん は、モロコシを主 しゅ としてトウモロコシと、まれにコムギを入 い れてチャガと呼 よ ばれるビールを作 つく り、これを主食 しゅしょく としている。
スイートソルガムを絞 しぼ り、糖蜜 とうみつ とする(アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく ノースカロライナ州 しゅう 中央 ちゅうおう 部 ぶ )
モロコシのうち、糖分 とうぶん を多 おお く含 ふく むものは総称 そうしょう してスイートソルガムと呼 よ ばれる。スイートソルガムは甘味 あまみ 料 りょう の原料 げんりょう としてアメリカを中心 ちゅうしん に栽培 さいばい されている。これを煮詰 につ めてソルガムシュガー(ロゾク糖 とう )をつくることもできるが、グルコース やフラクトース を多 おお く含 ふく むため結晶 けっしょう 化 か させにくく、結晶 けっしょう 糖 とう の収量 しゅうりょう としてはサトウキビ やテンサイ に劣 おと るため、シロップ の原料 げんりょう として使用 しよう されることが多 おお い。近年 きんねん ではバイオエタノール の原料 げんりょう としても多 おお く利用 りよう されている。工業 こうぎょう 用 よう デンプン の材料 ざいりょう ともなっている。
モロコシは飼料 しりょう としても重要 じゅうよう であり、各国 かっこく で飼料 しりょう として使用 しよう される。種子 しゅし の部分 ぶぶん は穀物 こくもつ であるので濃厚 のうこう 飼料 しりょう として使用 しよう し、茎 くき や葉 は は牧草 ぼくそう として粗 そ 飼料 しりょう となる。とくに飼料 しりょう としての消費 しょうひ 量 りょう が多 おお いのはアメリカやメキシコ、オーストラリアなどであり[ 56] 、日本 にっぽん でも広 ひろ く使用 しよう される。
ただしモロコシを含 ふく むモロコシ属 ぞく のいくつかの種 たね は、成長 せいちょう の初期 しょき にシアン化水素 しあんかすいそ 、ホルデニン (英語 えいご 版 ばん ) 、硝酸塩 しょうさんえん などの有毒 ゆうどく 物質 ぶっしつ を致死 ちし 量 りょう 含 ふく むことがあるので注意 ちゅうい が必要 ひつよう である。さらに成長 せいちょう した個体 こたい でも、ストレス を受 う けるとかなりの量 りょう のシアン化物 ばけもの を作 つく ることがある。日本 にっぽん など各地 かくち でセイバンモロコシ が飼料 しりょう 用 よう として使用 しよう されなくなったのは、この性質 せいしつ による。ただし青酸 せいさん などこれらの毒素 どくそ は青草 あおくさ に含 ふく まれるものであり、成長 せいちょう につれて毒素 どくそ の量 りょう は減少 げんしょう していく。成長 せいちょう のほか、乾燥 かんそう させても青酸 せいさん は減少 げんしょう するため、牧草 ぼくそう として青刈 あおがり した場合 ばあい は十分 じゅうぶん に乾燥 かんそう させれば危険 きけん 性 せい はほぼなくなり、干 ほ し草 くさ に危険 きけん 性 せい はほとんどない。
高粱 こうりゃん をあしらった満州 まんしゅう 国 こく の建国 けんこく 功労 こうろう 章 あきら
モロコシは箒 ほうき の材料 ざいりょう として世界 せかい 各地 かくち で広 ひろ く使用 しよう され、箒 ほうき 専用 せんよう の品種 ひんしゅ 群 ぐん も存在 そんざい する。日本 にっぽん においても箒 ほうき 専用 せんよう 種 しゅ がホウキモロコシと呼 よ ばれて古 ふる くから栽培 さいばい されており、21世紀 せいき に入 はい っても関東 かんとう 地方 ちほう において少量 しょうりょう が生産 せいさん されている[ 59] 。茎 くき は壁 かべ 材 ざい などとしても利用 りよう される。原産地 げんさんち であるアフリカにおいては、収穫 しゅうかく 後 ご の茎 くき や葉 は は燃料 ねんりょう や飼料 しりょう として使用 しよう するなどし、基本 きほん 的 てき には余 あま すところなく利用 りよう される。また収穫 しゅうかく 後 ご の茎 くき も装飾 そうしょく 的 てき な木工 もっこう 製品 せいひん を作 つく るための材料 ざいりょう となり、KIREI BOARDのブランドは特 とく に有名 ゆうめい である。
また、最近 さいきん ではカドミウム をはじめとする重金属 じゅうきんぞく の吸着 きゅうちゃく に優 すぐ れている性質 せいしつ を利用 りよう して、イネやエンバク とともにカドミウムによる土壌 どじょう 汚染 おせん の修復 しゅうふく (バイオレメディエーション)に利用 りよう される[ 61] 。
堆肥 たいひ が利用 りよう できない場合 ばあい において、モロコシを土 ど に鋤 す きこみ緑肥 りょくひ として使用 しよう することもできる[ 62] 。
満州 まんしゅう 国 こく では国花 こっか に指定 してい されていた。1933年 ねん (大同 だいどう 2年 ねん )4月 がつ に決定 けってい されたとの記録 きろく がある[ 63] 。
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