じょうぎ

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じょうぎ
Norma
Norma
ぞくかくかたち Normae
りゃく Nor
発音はつおん 英語えいご発音はつおん: [ˈnɔrmə]ぞくかく:/ˈnɔrmiː/
象徴しょうちょう 大工だいく使つかゆびのり[1]
概略がいりゃく位置いちあかけい  15h 12m 13.6s -  16h 36m 08.3s[1]
概略がいりゃく位置いちあかぬき −42.27° - −60.44°[1]
正中せいちゅう 7がつ5にち21
ひろ 165平方へいほう[2]74
バイエル符号ふごう/
フラムスティード番号ばんごう
恒星こうせいすう
13
3.0とうよりあかるい恒星こうせいすう 0
さいてるぼし γがんま2 Nor(4.0ひとし
メシエ天体てんたいかず 0
確定かくてい流星りゅうせいぐん じょうぎγがんま流星りゅうせいぐん
隣接りんせつする星座せいざ さそり
おおかみ
コンパス
みなみのさんかく
さいだん
テンプレートを表示ひょうじ

じょうぎ(じょうぎざ、Norma)は、現代げんだいの88星座せいざの1つ。18世紀せいきなかばに考案こうあんされたあたらしい星座せいざで、製図せいず建築けんちくもちいるゆびのりをモチーフとしている[1][3]日本にっぽんでは、十島としまむら以南いなん星座せいざ全域ぜんいきることができる。

おも天体てんたい[編集へんしゅう]

ちいさな星座せいざで、あかるい恒星こうせいもない。また、この星座せいざにはαあるふぁほしβべーたほしがない。

恒星こうせい[編集へんしゅう]

2022ねん4がつ現在げんざい国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう (IAU) が認証にんしょうした固有こゆうめい恒星こうせいは1つもない[4]

星団せいだん星雲せいうん銀河ぎんが[編集へんしゅう]

1997ねんから1998ねんにかけてハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょう撮像さつぞうしたアリ星雲せいうん

星座せいざ全体ぜんたいあまがわにかかっているので、おおくの星雲せいうん星団せいだんがある。

由来ゆらい歴史れきし[編集へんしゅう]

クラウディオス・プトレマイオス著書ちょしょヘー・メガレー・スュンタクスィス・テース・アストロノミアースでは、じょうぎ恒星こうせいおおくのほしは、おおかみさいだんあいだのにあるどの星座せいざにもぞくしていないほしとしてあつかわれていた[3]。フランスの天文学てんもんがくしゃニコラ・ルイ・ド・ラカーユは、1756ねん刊行かんこうされたフランス科学かがくアカデミーの1752年版ねんばん紀要きよう『Histoire de l'Académie royale des sciences』に掲載けいさいされた星図せいずに、ゆびのりちょく定規じょうぎ星座せいざフランス語ふらんすご製図せいず用具ようぐゆびのりちょく定規じょうぎ意味いみする l'Équerre et la Règleえがいた[3][7][8]。ラカーユの死後しご1763ねん刊行かんこうされた著書ちょしょ『Coelum australe stelliferum』に掲載けいさいされただい2はん星図せいずでは、ラテン語らてんご短縮たんしゅくした「Norma」と呼称こしょう変更へんこうされている[3][9]

1801ねんヨハン・ボーデ刊行かんこうした『ウラノグラフィア』ではゆびのりちょく定規じょうぎ意味いみする Norma et Regula としてえがかれた[3]。また19世紀せいきまつのアメリカのアマチュア博物はくぶつ学者がくしゃリチャード・ヒンクリー・アレンによると「ユークリッドの定規じょうぎ」を意味いみする Quadrans Euclidisばれたとされる[10]

1922ねん5月にローマ開催かいさいされたIAUの設立せつりつ総会そうかい現行げんこうの88星座せいざさだめられたさいにそのうちの1つとして選定せんていされ、星座せいざめいNorma略称りゃくしょうNor正式せいしきさだめられた[11]あたらしい星座せいざのため星座せいざにまつわる神話しんわ伝承でんしょうはない。

ラカーユがじょうぎもうけたさいかれαあるふぁほしからμみゅーほしまで10ほしをリストアップしていたが、αあるふぁほしβべーたほしフランシス・ベイリー1845ねん刊行かんこうした『British Association Catalogue』でさそり領域りょういき無名むめいほしとしてくわえられた[12]のちベンジャミン・グールドによって、αあるふぁほしさそりNほしβべーたほしさそりHほしとされた[12][13]

呼称こしょう方言ほうげん[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは、1910ねん明治めいじ43ねん)2がつ刊行かんこう日本にっぽん天文てんもん学会がっかい会誌かいし天文てんもん月報げっぽうだい2かんだい11ごう星座せいざめい改訂かいていしめされたさいに「定規じょうぎ」という呼称こしょう使つかわれている[14]。この訳名やくめいは、1925ねん大正たいしょう14ねん)に初版しょはん刊行かんこうされた『理科りか年表ねんぴょう』にも「定規じょうぎ(ぢゃうぎ)」としてがれた[15]戦後せんご1952ねん昭和しょうわ27ねん)7がつ日本にっぽん天文てんもん学会がっかいが「星座せいざめいはひらがなまたはカタカナで表記ひょうきする」[16]としたさいに、Norma の日本語にほんご学名がくめいは「じょうぎ」とさだめられ[17]、これ以降いこうは「じょうぎ」という学名がくめい継続けいぞくしてもちいられている

天文てんもん同好どうこうかい[ちゅう 1]山本やまもと一清かずきよらは、すでにIAUが学名がくめいを Norma とさだめたのちの1931ねん昭和しょうわ6ねん)3がつ刊行かんこうした『天文てんもん年鑑ねんかんだい4ごうで、星座せいざめいを Norma alias Quadra Euclidi 訳名やくめい水準すいじゅん方形ほうけい定規じょうぎ」または Norma et Regula 訳名やくめい水準すいじゅん定規じょうぎ」と紹介しょうかい[18]以降いこうごうでもこの星座せいざめい訳名やくめい継続けいぞくしてもちいていた[19]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d The Constellations”. 国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう. 2023ねん1がつ15にち閲覧えつらん
  2. ^ 星座せいざめい星座せいざりゃく一覧いちらん(面積めんせきじゅん)”. 国立こくりつ天文台てんもんだい(NAOJ). 2023ねん1がつ1にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c d e Ridpath, Ian. “Norma”. Star Tales. 2023ねん1がつ15にち閲覧えつらん
  4. ^ IAU Catalog of Star Names”. 国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう. 2023ねん1がつ9にち閲覧えつらん
  5. ^ "gam02 Nor". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023ねん1がつ15にち閲覧えつらん
  6. ^ "PN Mz 3". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023ねん1がつ15にち閲覧えつらん
  7. ^ Ridpath, Ian. “Lacaille’s southern planisphere of 1756”. Star Tales. 2023ねん1がつ7にち閲覧えつらん
  8. ^ Histoire de l'Académie royale des sciences” (フランス語ふらんすご). Gallica. 2023ねん1がつ7にち閲覧えつらん
  9. ^ Coelum australe stelliferum / N. L. de Lacaille”. e-rara. 2023ねん1がつ15にち閲覧えつらん
  10. ^ Allen, Richard H. (2013-2-28). Star Names: Their Lore and Meaning. Courier Corporation. pp. 293-294. ISBN 978-0-486-13766-7. https://play.google.com/books/reader?id=vWDsybJzz7IC&pg=GBS.PA293 
  11. ^ Ridpath, Ian. “The IAUえーゆー list of the 88 constellations and their abbreviations”. Star Tales. 2023ねん1がつ5にち閲覧えつらん
  12. ^ a b Wagman, Morton (2003). Lost Stars: Lost, Missing and Troublesome Stars from the Catalogues of Johannes Bayer, Nicholas Louis de Lacaille, John Flamsteed, and Sundry Others. Blacksburg, Virginia: The McDonald & Woodward Publishing Company. pp. 215-16. ISBN 978-0-939923-78-6 
  13. ^ Gould, Benjamin Apthorp (1879). “Uranometria Argentina: Brightness and position of every fixed star, down to the seventh magnitude, within one hundred degrees of the South Pole; with atlas”. Resultados del Observatorio Nacional Argentino 1: I-387. Bibcode1879RNAO....1....1G. OCLC 11484342. https://articles.adsabs.harvard.edu/pdf/1879RNAO....1D...1G#page=192. 
  14. ^ 星座せいざめい」『天文てんもん月報げっぽうだい2かんだい11ごう、1910ねん2がつ、11ぺーじISSN 0374-2466 
  15. ^ 東京とうきょう天文台てんもんだい へん理科りか年表ねんぴょう だい1さつ丸善まるぜん、1925ねん、61-64ぺーじhttps://dl.ndl.go.jp/pid/977669/1/39 
  16. ^ 文部省もんぶしょう学術がくじゅつ用語ようごしゅう天文学てんもんがくへんぞうていばん)』(だい1さつ日本にっぽん学術がくじゅつ振興しんこうかい、1994ねん11月15にち、316ぺーじISBN 4-8181-9404-2 
  17. ^ 星座せいざめい」『天文てんもん月報げっぽうだい45かんだい10ごう、1952ねん10がつ、13ぺーじISSN 0374-2466 
  18. ^ 天文てんもん同好どうこうかい へん天文てんもん年鑑ねんかん』4ごう新光しんこうしゃ、1931ねん3がつ30にち、6ぺーじdoi:10.11501/1138410https://dl.ndl.go.jp/pid/1138410/1/11 
  19. ^ 天文てんもん同好どうこうかい へん天文てんもん年鑑ねんかん』10ごう恒星こうせいしゃ、1937ねん3がつ22にち、4-9ぺーじdoi:10.11501/1114748https://dl.ndl.go.jp/pid/1114748/1/12