きりん座ざ

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きりん座ざ
Camelopardalis
Camelopardalis
属ぞく格かく形かたち Camelopardalis
略りゃく符ふ Cam
発音はつおん [kəˌmɛləˈpɑrdəlɨs] Camélopárdalis, 属ぞく格かくの発音はつおんも同一どういつ
象徴しょうちょう キリン[1]
概略がいりゃく位置いち：赤あか経けい  03h 15m 36.2s -  14h 27m 07.9s[2]
概略がいりゃく位置いち：赤あか緯ぬき +52.67° - +85.12°[2]
20時じ正中せいちゅう 2月がつ中旬ちゅうじゅん[3]
広ひろさ 756.828平方へいほう度ど[4] （18位い）
バイエル符号ふごう/
フラムスティード番号ばんごう
を持もつ恒星こうせい数すう		 36
3.0等とうより明あかるい恒星こうせい数すう 0
最さい輝てる星ぼし βべーた Cam（4.02等ひとし）
メシエ天体てんたい数かず 0
確定かくてい流星りゅうせい群ぐん 10月がつきりん座ざ流星りゅうせい群ぐん[5]
隣接りんせつする星座せいざ りゅう座ざ
こぐま座ざ
ケフェウス座ざ
カシオペヤ座ざ
ペルセウス座ざ
ぎょしゃ座ざ
やまねこ座ざ
おおぐま座ざ
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きりん座ざ（きりんざ、Camelopardalis）は現代げんだいの88星座せいざの1つ。17世紀せいきに考案こうあんされた新あたらしい星座せいざで、キリンをモチーフとしている[1][6]。天てんの北極ほっきょくの近ちかくに位置いちしているため、日本にっぽんでは年間ねんかん通とおして見みることができる。16世紀せいき以降いこうに考案こうあんされた星座せいざの中なかでは最もっとも面積めんせきが大おおきな星座せいざ[4]だが、星座せいざが置おかれていない領域りょういきに作つくられたため、明あかるい星ほしもなく目立めだたない星座せいざである。

主おもな天体てんたい[編集へんしゅう]

恒星こうせい[編集へんしゅう]

「きりん座ざの恒星こうせいの一覧いちらん」も参照さんしょう

2022年ねん4月がつ現在げんざい、国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう (IAU) によって2個この恒星こうせいに固有こゆう名めいが認証にんしょうされている[7]。

  • HD 104985：太陽系たいようけいから約やく330 光年こうねんの距離きょりにある黄色おうしょく巨星きょせいで、ヘリウム中心ちゅうしん核かくで起おこる核かく融合ゆうごう反応はんのうで輝かがやく「水平すいへい分ぶん枝えだ」の段階だんかいにある[8]。2003年ねんに太陽系たいようけい外がい惑星わくせいが発見はっけんされた。これは巨星きょせいとして初はじめて、また日本にっぽんの研究けんきゅうチームによる初はじめての系けい外がい惑星わくせい発見はっけんとなった。2015年ねんに開催かいさいされたIAUの太陽系たいようけい外がい惑星わくせい命名めいめいキャンペーン「NameExoWorlds」で、恒星こうせいはアステカ神話しんわの太陽たいよう神しんトナティウの名前なまえにちなんで「トナティウ (Tonatiuh) 」、惑星わくせいは月つきの女神めがみにちなんで「メツトリ (Meztli)」とそれぞれ命名めいめいされた[9]。
  • HD 32518：見みかけの明あかるさ6.42等とうの6等とう星ほし[10]。2019年ねんに開催かいさいされたIAUの100周年しゅうねん記念きねん行事ぎょうじ「IAU100 NameExoWorlds」でドイツに命名めいめい権けんが与あたえられ、主しゅ星ほしはMago、太陽系たいようけい外がい惑星わくせいはNeriと命名めいめいされた[11]。

そのほか、以下いかの恒星こうせいが知しられている。

星団せいだん・星雲せいうん・銀河ぎんが[編集へんしゅう]

  • 2019年10月にハッブル宇宙望遠鏡によって撮像されたスターバースト銀河IC 342。
    2019年ねん10月がつにハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうによって撮像さつぞうされたスターバースト銀河ぎんがIC 342。
  • レモン山スカイセンターの 0.8m 望遠鏡で撮影された渦巻銀河NGC 2403。
    レモン山やまスカイセンターの 0.8m 望遠鏡ぼうえんきょうで撮影さつえいされた渦巻うずまき銀河ぎんがNGC 2403。

由来ゆらいと歴史れきし[編集へんしゅう]

19世紀せいきイギリスの星座せいざカード集しゅう『ウラニアの鏡かがみ』に描えがかれたきりん座ざ。

1612年ねんに、オランダの神学しんがく者しゃで天文学てんもんがく者しゃのペトルス・プランシウスが自作じさくの天球儀てんきゅうぎに「Camelopardalis」としてキリンの姿すがたを描えがいたことに始はじまる[6]。この名前なまえは、ヘレニズム期きにコイネーでキリンを表あらわすのに使つかわれた、キリンの長ながい首くびをラクダに、斑点はんてん模様もようをヒョウに喩たとえた合成ごうせい語ご「καμηλοπάρδαλις」に起源きげんを持もつ[6]。Camelopardalisは、καμηλοπάρδαλιςをラテン語らてんご化かしたもので、マルクス・テレンティウス・ウァッロや大だいプリニウスもキリンを表あらわすのにこの表現ひょうげんを使つかっていた[19]。

ドイツの天文学てんもんがく者しゃヤコブス・バルチウスが1624年ねん[注ちゅう 1]に出版しゅっぱんした天てん文書ぶんしょ『Usus astronomicus planisphaerii stellati』の中なかで「Camelopardalis」を紹介しょうかいしていた[21]ことから、誤あやまってバルチウスが作つくった星座せいざと紹介しょうかいされることもあった[22]。当とうのバルチウスは、1621年ねんにアイザック・ハプレヒト2世せい（英語えいご版ばん）が作つくった星座せいざであると思おもい違ちがいしていた[6]。また、バルチウスはこの Camelopardalis のモチーフをラクダと勘違かんちがいしており、「旧約きゅうやく聖書せいしょの創世そうせい記きでリベカがイサクの元もとへ嫁とつぐエピソードに登場とうじょうするラクダを記念きねんしたもの」と誤解ごかいに基もとづいた説明せつめいを残のこしている[6][21]。

プランシウスやバルチウスは現代げんだいと同おなじく「Camelopardalis」と綴つづったが、のちの17世紀せいきポーランドの天文学てんもんがく者しゃヨハネス・ヘヴェリウスや19世紀せいきドイツの天文学てんもんがく者しゃヨハン・ボーデが「Camelopardalus」と綴つづったため、表記ひょうきに混乱こんらんが生しょうじていた。この混乱こんらんは、1908年ねんにアメリカの天文学てんもんがく者しゃエドワード・ピッカリングによって「「コイネーや古典こてんラテン語らてんごでの表記ひょうき」「動物どうぶつ学者がくしゃに使つかわれる表記ひょうき」「天文学てんもんがく者しゃが最もっとも良よく使つかう表記ひょうき」の3つの観点かんてんから「Camelopardalis」が最もっとも相応ふさわしい」とする研究けんきゅう結果けっかが発表はっぴょうされた[19]ことによって決着けっちゃくがつけられた[6]。

イギリス生うまれの天文学てんもんがく者しゃリチャード・アンソニー・プロクター（英語えいご版ばん）は、この星座せいざをラクダを意味いみする「Camelus」と呼よぶことを提唱ていしょうしたが、追随ついずいする者ものも少すくなく廃すたれた[20][22][23]。また、アメリカの学者がくしゃウィリアム・クロスウェルは、カシオペヤ座ざとの境界きょうかいに近ちかいこの星座せいざの領域りょういきに自みずからが考案こうあんした「モモンガ座ざ (Sciurus Volans)」を配はいしたが、のちに取とり上あげる者ものもおらず廃すたれている[24]。

1922年ねん5月にローマで開催かいさいされたIAUの設立せつりつ総会そうかいで現行げんこうの88星座せいざが定さだめられた際さいにそのうちの1つとして選定せんていされ、星座せいざ名めいは Camelopardalis、略称りゃくしょうは Cam と正式せいしきに定さだめられた[25]。新あたらしい星座せいざのため星座せいざにまつわる神話しんわや伝承でんしょうはない。

中国ちゅうごく[編集へんしゅう]

中国ちゅうごくの天文てんもんでは、きりん座ざの星ほしは「三さん垣かき」の1つ「紫むらさき微ほろ垣かき」に配はいされていた。きりん座ざには明あかるい星ほしがなく、バイエル符号ふごうもフラムスティード番号ばんごうも振ふられていない暗くらい星ほしが多おおいが、そのような星ほしも数多かずおおく星ほし官かんに配はいされている。天てんの北極ほっきょく近ちかくの星ほし官かん「北極ほっきょく」の星ほし「天てん枢くるる」にはHD 112028が充あてられていた。北極ほっきょくの隣となりの星ほし官かん「四よん輔」にはHD 89571とHD 90089が配はいされた。星ほし官かん「右みぎ垣かき」の星ほし「上うえ衛まもる」に43番ばん星ほし、「少しょう衛まもる」にαあるふぁ星ほし、「上うえ丞すすむ」にHD 20336が充あてられた。星ほし官かん「六甲ろっこう」には、HD 46588、HD 49878、HD 64486、HD 55966、HD 33564の5星ほしが充あてられた。星ほし官かん「五ご帝みかど内座ないざ」にはカシオペヤ座ざ、ケフェウス座ざの星ほしとともにHD 25274が配はいされた。星ほし官かん「杠ゆずりは」には、γがんま星ほしとカシオペヤ座ざの8星ほしが充あてられた。星ほし官かん「八はち穀こく」にはぎょしゃ座ざの星ほしとともに26・14・11・31の4星ほしが配はいされた。星ほし官かん「伝つて舎しゃ」にはカシオペヤ座ざの6星ほしとともにCS星ほし、CE星ほし、HD 21447の3星ほしが充あてられた[6][26]。

呼称こしょうと方言ほうげん[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは明治めいじ末期まっきには「麒麟きりん」という訳語やくごが充あてられていた。これは、1910年ねん（明治めいじ43年ねん）2月がつに刊行かんこうされた日本にっぽん天文てんもん学会がっかいの会誌かいし『天文てんもん月報げっぽう』の第だい2巻かん11号ごうに掲載けいさいされた、星座せいざの訳名やくめいが改訂かいていされたことを伝つたえる「星座せいざ名めい」という記事きじで確認かくにんできる[27]。この訳名やくめいは、1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）に初版しょはんが刊行かんこうされた『理科りか年表ねんぴょう』にも「麒麟きりん（きりん）」として引ひき継つがれ[28]、1944年ねん（昭和しょうわ19年ねん）に学術がくじゅつ研究けんきゅう会議かいぎによって天文学てんもんがく用語ようごが改訂かいていされた際さいもこの呼称こしょうが継続けいぞくして採用さいようされた[29]。戦後せんごの1952年ねん（昭和しょうわ27年ねん）7月がつに日本にっぽん天文てんもん学会がっかいが「星座せいざ名めいはひらがなまたはカタカナで表記ひょうきする」[30]とした際さいに、Camelopardalis の日本語にほんごの学名がくめいは「きりん」と改あらためられた[31]。これ以降いこうは「きりん」が星座せいざ名めいとして継続けいぞくして用もちいられている。

現代げんだいの中国ちゅうごくでは「鹿しか豹ひょう座ざ」と呼よばれている[32]。なお、中国ちゅうごくではいっかくじゅう座ざを「麒麟きりん座ざ」と呼よんでいる[32]。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ リチャード・ヒンクリー・アレンは1614年ねんとしている[20]が、『Usus astronomicus planisphaerii stellati』の表紙ひょうしに「MDCXXIV (1624)」と明記めいきされており、誤あやまりとされる[6]。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b “The Constellations”. 国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう. 2023年ねん7月がつ30日にち閲覧えつらん。
  2. ^ a b “The Constellations”. 国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう. 2023年ねん7月がつ30日にち閲覧えつらん。
  3. ^ 山田やまだ陽よう志郎しろう「星座せいざ」『天文てんもん年鑑ねんかん2016年版ねんばん』2015年ねん11月26日にち、290-293頁ぺーじ。ISBN 978-4-416-11545-9。 
  4. ^ a b “星座せいざ名めい・星座せいざ略りゃく符ふ一覧いちらん(面積めんせき順じゅん)”. 国立こくりつ天文台てんもんだい(NAOJ). 2023年ねん1月がつ1日にち閲覧えつらん。
  5. ^ “流星りゅうせい群ぐんの和名わみょう一覧いちらん（極大きょくだいの日付ひづけ順じゅん）”. 国立こくりつ天文台てんもんだい. 2023年ねん3月がつ12日にち閲覧えつらん。
  6. ^ a b c d e f g h Ridpath, Ian. “Camelopardalis”. Star Tales. 2023年ねん3月がつ11日にち閲覧えつらん。
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  9. ^ “Approved names 2015”. 国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう. 2023年ねん3月がつ11日にち閲覧えつらん。
  10. ^ "HD 32518". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年ねん3月がつ11日にち閲覧えつらん。
  11. ^ “Approved names”. Name Exoworlds. 国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう (2019年ねん12月17日にち). 2023年ねん3月がつ11日にち閲覧えつらん。
  12. ^ "alp Cam". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年ねん3月がつ11日にち閲覧えつらん。
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  14. ^ "CS Cam". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年ねん3月がつ11日にち閲覧えつらん。
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  26. ^ 大崎おおさき正次まさつぐ「中国ちゅうごくの星座せいざ・星名ほしなの同定どうてい一覧いちらん表ひょう」『中国ちゅうごくの星座せいざの歴史れきし』雄山閣ゆうざんかく出版しゅっぱん、1987年ねん5月がつ5日にち、294-341頁ぺーじ。ISBN 4-639-00647-0。 
  27. ^ 「星座せいざ名めい」『天文てんもん月報げっぽう』第だい2巻かん第だい11号ごう、1910年ねん2月がつ、11頁ぺーじ、ISSN 0374-2466。 
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  30. ^ 『文部省もんぶしょう学術がくじゅつ用語ようご集しゅう天文学てんもんがく編へん（増ぞう訂てい版ばん）』（第だい1刷さつ）日本にっぽん学術がくじゅつ振興しんこう会かい、1994年ねん11月15日にち、316頁ぺーじ。ISBN 4-8181-9404-2。 
  31. ^ 「星座せいざ名めい」『天文てんもん月報げっぽう』第だい45巻かん第だい10号ごう、1952年ねん10月がつ、158頁ぺーじ、ISSN 0374-2466。 
  32. ^ a b 大崎おおさき正次まさつぐ「辛からし亥い革命かくめい以後いごの星座せいざ」『中国ちゅうごくの星座せいざの歴史れきし』雄山閣ゆうざんかく出版しゅっぱん、1987年ねん5月がつ5日にち、115-118頁ぺーじ。ISBN 4-639-00647-0。 
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  • 改名かいめいされた星座せいざ

座標ざひょう: 星図 06h 00m 00s, +70° 00′ 00″

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