こと座ざ

こと座ざ
Lyra
	こと座ざの恒星こうせい
属ぞく格かく形かたち	Lyrae
略りゃく符ふ	Lyr
発音はつおん	[ˈlaɪrə]、属ぞく格かく:/ˈlaɪriː/
象徴しょうちょう	the Lyre
概略がいりゃく位置いち：赤あか経けい	19
概略がいりゃく位置いち：赤あか緯ぬき	+40
広ひろさ	286平方へいほう度ど（52位い）
バイエル符号ふごう/; フラムスティード番号ばんごう; を持もつ恒星こうせい数すう	25
3.0等とうより明あかるい恒星こうせい数すう	1
最さい輝てる星ぼし	ベガ（αあるふぁ Lyr）（0.03等ひとし）
メシエ天体てんたい数かず	2
確定かくてい流星りゅうせい群ぐん	こと座ざ流星りゅうせい群ぐん; こと座ざ7月がつ流星りゅうせい群ぐん; こと座ざαあるふぁ流星りゅうせい群ぐん
隣接りんせつする星座せいざ	りゅう座ざ; ヘルクレス座ざ; こぎつね座ざ; はくちょう座ざ
	; 出典しゅってん：Stars and Planets Guide
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こと座ざ（ことざ、琴きん座ざ、ラテン語らてんご：Lyra）は、トレミーの48星座せいざの1つ。北きた天てんの星座せいざで、比較的ひかくてき小ちいさい星座せいざである。

αあるふぁ星ほしは、全ぜん天てん21の1等とう星ぼしの1つであり、ベガ（七夕たなばたのおりひめ星ぼし、織女しょくじょ星ぼし）と呼よばれる。ベガと、はくちょう座ざαあるふぁ星ほしのデネブ、わし座ざαあるふぁ星ほしのアルタイル（七夕たなばたのひこ星ほし、牽牛けんぎゅう星ぼし）の3つの1等とう星ぼしで、夏なつの大だい三角さんかくと呼よばれる大おおきな二等辺三角形にとうへんさんかっけいを形成けいせいする^[3]。

都会とかいなど空そらの条件じょうけんのよくないところでは、明あかるいベガしか見みえないが、そのすぐ近ちかくに3-4等とう星ほしが平行四辺形へいこうしへんけいに並ならんでいるため、空そらの環境かんきょうが良よければ比較的ひかくてき見みつけやすい星座せいざである。

主おもな天体てんたい[編集へんしゅう]

恒星こうせい[編集へんしゅう]

「こと座ざの恒星こうせいの一覧いちらん」も参照さんしょう

以下いかの恒星こうせいには、国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごうによって正式せいしきな固有こゆう名めいが定さだめられている。

αあるふぁ星ほし：ベガ^[4] (Vega^[5]) は、こと座ざで最もっとも明あかるい恒星こうせいで、全ぜん天てん21の1等とう星ぼしの1つ（実視じっし等級とうきゅう0.03等とう）^[6]。スペクトル型がたA型がたの主しゅ系列けいれつ星ぼしで^[6]、地球ちきゅうから比較的ひかくてき近ちかく、およそ25光年こうねんの距離きょりにある^[6]。この星ほしには塵ちりのリングが見みつかっており、惑星わくせいが存在そんざいするのではないかと考かんがえられている。また、この星ほしは写真しゃしんに撮影さつえいされた最初さいしょの恒星こうせいでもある。西暦せいれき13,000年ねん頃ごろには、北極星ほっきょくせいになる。
βべーた星ほし：シェリアク^[7] (Sheliak^[5]) は、B型がたの青色あおいろ輝てる巨星きょせい（3等とう星ほし）で、変光星へんこうせいである。「こと座ざβべーた型がた」食しょく変光星へんこうせいの代表だいひょう星ぼしとなっている。8等とうの伴とも星ぼしのある見みかけの二に重じゅう星ほしでもある。
γがんま星ほし：スラファト^[8] (Sulafat^[5]) は、B型がたの巨星きょせいで、βべーた星ほしと同おなじく3等とう星ぼしである。連れん星ぼしでもある。
ηいーた星ほし：アラドファル^[8] (Aladfar^[5]) は、4等とう星ぼしで、見みかけの三重みえ星ほしを成なしている。
HD 173416：国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごうの100周年しゅうねん記念きねん行事ぎょうじ「IAU100 NameExoworlds」で中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく（南京なんきん市し）に命名めいめい権けんが与あたえられ、主しゅ星ほしはXihe（羲和）、太陽系たいようけい外がい惑星わくせいはWangshu（望もち舒）と命名めいめいされた^[9]。
HAT-P-5：国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごうの100周年しゅうねん記念きねん行事ぎょうじ「IAU100 NameExoworlds」でスロバキア共和きょうわ国こくに命名めいめい権けんが与あたえられ、主しゅ星ほしはIrena、太陽系たいようけい外がい惑星わくせいはIztokと命名めいめいされた^[9]。

その他た、以下いかの恒星こうせいが知しられている。

δでるた星ほし：青白あおじろい6等とう星ぼし（δでるた¹星ほし）と、4等とうから5等とうに変へん光ひかりする赤色あかいろ輝てる巨星きょせい（δでるた²星ほし）からなる見みかけの二に重じゅう星ぼしである。
εいぷしろん星ほし：5等とうのεいぷしろん¹星ほしと4等とうのεいぷしろん²星ほしからなる二に重じゅう星ほし。かろうじて肉眼にくがんで見分みわけられるかどうかという程度ていどの角すみ距離きょりで、全体ぜんたいで4等とう星ほしとなっている。さらに各々おのおのの星ほしが実視じっし連れん星ぼしであり、「二に重じゅうの二に重じゅう星ほし」となっていることからダブル・ダブル・スターとも呼よばれている^[10]。望遠鏡ぼうえんきょうならば、εいぷしろん¹星ほし・εいぷしろん²星ほしともに分離ぶんりでき、4重じゅう星ぼしになっているのが分わかる。
ζぜーた星ほし：4等とう星ほしと6等とう星ぼしからなる見みかけの二に重じゅう星ぼし。双眼鏡そうがんきょうで見分みわけることができる。
R星ほし：3.88等とうから5.0等とうまで脈動みゃくどう変へん光こうする「半はん規則きそく型がた変光星へんこうせい」で、SRB型がたに細ほそ分類ぶんるいされている。
RR星ほし：7等とうから8等とうまで収縮しゅうしゅく膨張ぼうちょうを繰くり返かえす「こと座ざRR型がた」脈動みゃくどう変光星へんこうせいの代表だいひょう星ぼしである。

星団せいだん・星雲せいうん・銀河ぎんが[編集へんしゅう]

M56：球状きゅうじょう星団せいだん。約やく33,000光年こうねんの距離きょりにある、やや疎うと（まば）らな星団せいだん。視し等級とうきゅう8.3等とう、実じつ直径ちょっけい約やく85光年こうねん。
M57（環状かんじょう星雲せいうん）：惑星わくせい状じょう星雲せいうん。視し等級とうきゅう8.8等とう、距離きょり6,000光年こうねんから8,000光年こうねん。リング星雲せいうんともいわれる。

その他た[編集へんしゅう]

WISEPA J182831.08+265037.8：知しられている中なかで最もっとも低温ていおんの褐色かっしょく矮星。

由来ゆらいと歴史れきし[編集へんしゅう]

αあるふぁ星ほし、βべーた星ほし、γがんま星ほしが形作かたちづくる逆ぎゃくL字形じけいを、古代こだいに使つかわれていたL字形じけいのハープに見立みたてたものであろうと考かんがえられている^[11]。16世紀せいきドイツの版画はんが家かアルブレヒト・デューラーの北きた天てん星図せいずにはフィドルを抱だいた鳥とりの姿すがたで絵えが描えがかれているが^[12]、その後ご、『フラムスティード天球てんきゅう図譜ずふ』等とうにはリラの姿すがたで描えがかれている^[13]。

神話しんわ[編集へんしゅう]

非常ひじょうに古ふるい星図せいずには鳥とり、特とくにハゲタカ (Vultur cadens) と記載きさいされる。はくちょう座ざ、アルタイルとともに、ヘラクレスの12の冒険ぼうけんの6番目ばんめの冒険ぼうけんで殺ころされた鳥とりとされる。

「こと座ざ」とされるようになってから『カタステリスモイ』が語かたる神話しんわは次つぎのとおり。

発明はつめいの神かみヘルメースがリラを発明はつめいし、アポローンが譲ゆずり受うけて弾ひいた。この琴きんはアポローンの息子むすこオルペウスの物ものとなり、オルペウスは有名ゆうめいな音楽家おんがくかになった。やがてオルペウスは妻つまエウリュディケーを娶めとったが、妻つまは毒蛇どくへびに噛かまれすぐに死しんだ。悲かなしんだオルペウスは冥めい神しんハーデースのところに行いき、琴きんを弾ひきながら妻つまを戻もどしてくれるよう頼たのんだ。ハーデースは琴きんの調しらべが大変たいへんに美うつくしいのでこれを許可きょかしたが、途中とちゅう決けっして振ふり返かえってはならないという条件じょうけんをつけた。帰かえる途中とちゅう、あと少すこしというところでオルペウスは思おもわず後うしろを振ふり向むいてしまい、妻つまは冥界めいかいに連つれ戻もどされ、永遠えいえんにいることになり、オルペウスは身みを投なげて死しんだ。（一説いっせつには、酒神しゅしんディオニューソスの祭まつりで泥酔でいすいした女おんなたちに殺ころされた）琴きんはそのまま川かわを流ながれていたが、ゼウスが拾ひろい、星座せいざとした。

東ひがしアジアの七夕たなばた伝説でんせつ[編集へんしゅう]

詳細しょうさいは「七夕たなばた#織女しょくじょ星ぼしと牽牛けんぎゅう星ぼしの伝説でんせつ」を参照さんしょう

こと座ざの1等とう星ほしベガは、中国ちゅうごく・日本にっぽんの七夕たなばた伝説でんせつでは織姫おりひめ星ぼし（織女しょくじょ星ほし）として知しられる。わし座ざのアルタイルを牛うし飼かいに見立みたてた恋こい物語ものがたりが伝つたわっている。東ひがしアジアでは、7月がつ7日にちがこの2つの星ほしの祭日さいじつである。

呼称こしょうと方言ほうげん[編集へんしゅう]

ラテン語らてんご名なの Lyra は古典こてんギリシア語ごの λύρα に由来ゆらいし、「竪琴たてごと」（リラ）を意味いみする。ギリシア語ご・ラテン語らてんごの古典こてん式しき発音はつおんではリュラ、英語えいごでの発音はつおんはカタカナで書かき下くだすとライラに近ちかい^[14]^{[注釈ちゅうしゃく 1]}。

「ベガ（こと座ざ）の方言ほうげん」も参照さんしょう

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ 発音はつおん例れい：[ˈlaɪərə] ^[14]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

^ “星座せいざ名めい・星座せいざ略りゃく符ふ一覧いちらん(面積めんせき順じゅん)”. 国立こくりつ天文台てんもんだい(NAOJ). 2023年ねん1月がつ1日にち閲覧えつらん。
^ Ian Ridpath and Wil Tirion (2007). Stars and Planets Guide, Collins, London. ISBN 978-0007251209. Princeton University Press, Princeton. ISBN 978-0691135564.
^ “夏なつの星空ほしぞらを楽たのしもう”. AstroArts. 2013年ねん5月がつ11日にち閲覧えつらん。
^ 原はら恵めぐみ 2007, p. 163.
^ ^a ^b ^c ^d “IAU Catalog of Star Names (IAU-CSN)”. 国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう (2017年ねん6月がつ30日にち). 2017年ねん10月がつ14日にち閲覧えつらん。
^ ^a ^b ^c “SIMBAD Astronomical Database”. Results for NAME VEGA. 2013年ねん1月がつ15日にち閲覧えつらん。
^ 原はら恵めぐみ 2007, pp. 163–164.
^ ^a ^b 原はら恵めぐみ 2007, p. 164.
^ ^a ^b “Approved names” (英語えいご). Name Exoworlds. 国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう (2019年ねん12月17日にち). 2020年ねん1月がつ2日にち閲覧えつらん。
^ 『天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょうで楽たのしむ星空ほしぞらガイドブック』（5版はん）ビクセン、2009年ねん、33頁ぺーじ。
^ 原はら恵めぐみ 2007, p. 157.
^ “北きた天たかし星図せいず”. antiquesandartireland.com. 2017年ねん10月がつ14日にち閲覧えつらん。
^ “Atlas Céleste de Flamstéed. - Map 11. Lyra, Cygnus, Lacerta, and Vulpecula.”. Linda Hall Library Digital Collections. Linda Hall Library. 2017年ねん10月がつ14日にち閲覧えつらん。
^ ^a ^b Lesley Brown (1993年ねん), The New Shorter Oxford English Dictionary. Vol. 1: A-M, Oxford: Clarendon Press, p. 1651

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

パトリック・ムーア（編へん）『ギネスワールド - 天文てんもんと宇宙うちゅう』中村なかむら士し・高田たかだ昌英まさひで・湯浅ゆあさ学まなぶ（訳わけ）講談社こうだんしゃ、1982年ねん。
原はら恵めぐみ『星座せいざの神話しんわ - 星座せいざの歴史れきしと星名ほしなの意味いみ』（新装しんそう改訂かいてい版ばん4刷さつ）恒星こうせい社しゃ厚生こうせい閣かく、2007年ねん2月がつ28日にち。ISBN 978-4-7699-0825-8。