アージーヴィカ教きょう

パーリ経典きょうてんに登場とうじょうする沙門しゃもん (六ろく師し外道げどう) (沙門しゃもん果はて経けいより)
沙門しゃもん	論ろん(思想しそう)
プーラナ・カッサパ	無む道徳どうとく論ろん、道徳どうとく否定ひてい論ろん: 善行ぜんこうも悪行あくぎょうもなく、善悪ぜんあくいずれの報むくいも存在そんざいしない。
マッカリ・ゴーサーラ (アージーヴィカ教きょう)	運命うんめい決定けってい論ろん (宿命しゅくめい論ろん): 自己じこの意志いしによる行おこないはなく、一切いっさいはあらかじめ決定けっていされており、定さだめられた期間きかん流転るてんする定さだめである。
アジタ・ケーサカンバリン (順じゅん世よ派は)	唯物ゆいぶつ論ろん、感覚かんかく論ろん、快楽かいらく主義しゅぎ: 人ひとは四大しだいからなり、死しぬと散さんじ何なにも残のこらない。善悪ぜんあくいずれの行おこないの報むくいもないとし、現世げんせいの快楽かいらく・享楽きょうらくのみを説とく。
パクダ・カッチャーヤナ （常住じょうじゅう論ろん者しゃ）	要素ようそ集合しゅうごう説せつ:人ひとは地ち・水みず・火ひ・風ふうの四よん元素げんそと、苦く・楽らくおよび命いのち（霊魂れいこん）の七ななつの要素ようその集合しゅうごうにで構成こうせいされ、それらは不変ふへん不動ふどうで相互そうごの影響えいきょうはない。
マハーヴィーラ (ジャイナ教きょう)	相対そうたい主義しゅぎ、苦行くぎょう主義しゅぎ、要素ようそ実在じつざい説せつ: 霊魂れいこんは永遠えいえん不滅ふめつの実体じったいであり、乞食こじき・苦行くぎょう生活せいかつで業ごうの汚よごれを落おとし涅槃ねはんを目指めざす。
サンジャヤ・ベーラッティプッタ	不可知論ふかちろん、懐疑かいぎ論ろん: 真理しんりをあるがままに認識にんしきし説明せつめいすることは不可能ふかのうであるとする。判断はんだんの留保りゅうほ。

アージーヴィカ教きょう（アージーヴィカきょう、アージーヴァカ教きょうとも）は、古代こだいインドの宗教しゅうきょうの一ひとつであり、インド哲学てつがく異端いたん派はに位置付いちづけられる。マウリヤ朝あさのアショーカ王おう碑文ひぶんに仏教ぶっきょう、バラモン教ばらもんきょう、ジャイナ教きょうと並ならんで「アージーヴィカ」の名前なまえが出でている。仏教ぶっきょうやジャイナ教きょうと同どう時期じきに生うまれた宗教しゅうきょうである。

マッカリ・ゴーサーラが主張しゅちょうした「運命うんめいがすべてを決定けっていしている」という運命うんめい決定けってい論ろん、運命うんめい論ろん、宿命しゅくめい論ろんを奉ほうじていた。さらに意志いしに基もとづく行為こういや、修行しゅぎょうによる解脱げだつをも否定ひていした。エローラにあるローマス・リシ窟くつ（前ぜん3世紀せいきの石窟せっくつ寺院じいん）はアージーヴィカ教徒きょうとのためのものであったらしい。

一時期いちじきはバラモン教ばらもんきょうやジャイナ教きょう、仏教ぶっきょうなどと並ならぶ一大いちだい宗教しゅうきょうであった。南みなみインドにおいて13世紀せいきまでアージヴィカ教きょうの信徒しんとがいたことが、碑文ひぶんによって実証じっしょうされているが、その後ご全まったく姿すがたを消けし現在げんざい信徒しんとはいない。

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