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アースティカとナースティカ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

アースティカ(Āstika)とナースティカ(Nāstika)は、正統せいとうバラモンがわからた、正統せいとう異端いたん区別くべつするための呼称こしょうである。Āstikaとは「存在そんざいする」(Sanskrit: आस्तिक)の意味いみであり、Nāstika とは「存在そんざいしない」(否定ひていがた na + āstika )の意味いみ[1]

インドには伝統でんとうてきにはぐくまれた哲学てつがく宗教しゅうきょう思想しそう体系たいけいがあり、それはダルシャナなどの名称めいしょうばれている[2]。アースティカは、アートマンブラフマンなどの存在そんざいしんじるもの意味いみする。以下いかの3つの方法ほうほうのいずれかで定義ていぎされている[3][4]対照たいしょうてきにナースティカは、そのすべてを否定ひていし、アートマンとブラフマンの存在そんざいしんじないもの[1][3]

  1. ヴェーダ聖典せいてん認識にんしきろんてき権威けんいとしてれるもの
  2. アートマンブラフマン両者りょうしゃ存在そんざいれるもの
  3. イーシュヴァラ絶対ぜったいかみ)の存在そんざいれるもの

正統せいとうバラモンは、そうしたダルシャナを、ヴェーダ聖典せいてん権威けんいみとめるかかを基準きじゅんとして区分くぶんし、みとめる思想しそうを「आस्तिक(āstika アースティカ)」つまり「正統せいとう」とび、ヴェーダに権威けんいみとめない思想しそうを「नास्तिक(nāstika ナースティカ)」つまり「異端いたん」とんだ[2]。アースティカとナースティカの定義ていぎは、ふるくから論争ろんそうされており、コンセンサスは存在そんざいしない[3][5]

学派がくは一覧いちらん[編集へんしゅう]

ヴェーダーンタ一元論いちげんろんによってかれた、かく学説がくせつ哲学てつがく教義きょうぎ要覧ようらんでも「アースティカ」「ナースティカ」というかたりもちいているが、そうしたしょでは、どの学説がくせつ唯一ゆいいつ実在じつざいブラフマンいているがまなしゅ能力のうりょくにあわせておしかたわっているのだ、などと説明せつめいされた。こうした説明せつめいには、異質いしつ要素ようそでもんでしまおうとする包括ほうかつ主義しゅぎられ、これは現在げんざいヒンドゥーイズム顕著けんちょ特徴とくちょうである包括ほうかつ主義しゅぎ継承けいしょうされている。さらにネオ・ヒンドゥーイストたちは「真理しんりひとつ。表現ひょうげんことなっているだけなのだ」としつつ、西洋せいよう宗教しゅうきょう哲学てつがくまでも包括ほうかつするようなモデルを構築こうちくしようとした。

アースティカ[編集へんしゅう]

正統せいとうバラモンたちからアースティカの代表だいひょうかくなされたのはろく哲学てつがくで、そのなかでもヴェーダ聖典せいてん解釈かいしゃく密接みっせつ関係かんけいがあるミーマーンサーヴェーダーンタ正統せいとうなか正統せいとうとする傾向けいこうがある[2]

  1. ミーマーンサー学派がくは - 祭祀さいし解釈かいしゃく
  2. ヴェーダーンタ学派がくは - 宇宙うちゅう原理げんりとの一体化いったいか神秘しんぴ主義しゅぎ
  3. サーンキヤ学派がくは - 精神せいしん原理げんり精神せいしん原理げんり二元論にげんろん
  4. ヨーガ学派がくは - 身心しんしん訓練くんれん解脱げだつ目指めざす。
  5. ニヤーヤ学派がくは - 論理ろんりがく
  6. ヴァイシェーシカ学派がくは - 自然しぜん哲学てつがく

ナースティカ[編集へんしゅう]

それにたいしナースティカとなされたのは、以下いかであった[6]

  1. 仏教徒ぶっきょうと[2]
  2. ジャイナ教徒きょうと[2]
  3. チャールヴァーカ(=唯物ゆいぶつろんしゃ[2]
  4. アージーヴィカきょう
  5. 不可知論ふかちろん - サンジャヤ・ベーラッティプッタ

古典こてんにおいてはバラモンたちはチャールヴァーカや仏教徒ぶっきょうとたちをナースティカとして異端いたんする傾向けいこうつよかった。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b Monier-Williams 2006.
  2. ^ a b c d e f 岩波いわなみ 哲学てつがく思想しそう事典じてん』pp.921-922
  3. ^ a b c Nicholson, Andrew J. 2013. Unifying Hinduism: Philosophy and Identity in Indian Intellectual History. Columbia University Press. ISBN 978-0231149877. ch. 9.
  4. ^ GS Ghurye, Indian Sociology Through Ghurye, a Dictionary, Ed: S. Devadas Pillai (2011), ISBN 978-8171548071, page 354
  5. ^ Doniger, Wendy. 2014. On Hinduism. Oxford University Press. ISBN 978-0199360079. p. 46.
  6. ^ Flood 1996, pp. 82.

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

関連かんれんしょ[編集へんしゅう]

  • Flood, Gavin (1996), An Introduction to Hinduism, Cambridge University Press, ISBN 8175960280