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オープンカー - Wikipedia コンテンツにスキップ

オープンカー

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
カブリオレから転送てんそう
マツダ・ロードスター
日産にっさん・フェアレディZ HZ34
レクサス・LC
ダイハツ・コペン
ホンダ・S2000

オープンカー(open car)とは、屋根やねがないか、もしくは屋根やね開放かいほう可能かのう乗用じょうよう自動車じどうしゃ言葉ことば

馬車ばしゃ歴史れきしからボディスタイルを詳細しょうさい区別くべつする欧米おうべいにおいては、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくではコンバーチブルConvertible[よう出典しゅってん]イギリスではロードスターRoadster[よう出典しゅってん]フランスではカブリオレCabriolet[よう出典しゅってん]ドイツではカブリオレットKabriolett)やカブリオ(Cabrio)とばれる[よう出典しゅってん]。なお、「オープンカー」(Open Car)という用語ようごは、「いち世紀せいきちかまえ米国べいこくでよく使用しようされた言葉ことば」だったと説明せつめいする資料しりょうがある[1]事実じじつ米国べいこく作家さっかF・スコット・フィッツジェラルド小説しょうせつグレート・ギャツビー」(The Great Gatsby)作品さくひんちゅう原語げんごばん)で"Open car"という名詞めいしふくすうかい登場とうじょうする。

現代げんだいでは開放かいほうてきはしりをたのしむ趣味しゅみてきくるまとして使用しようされることがおおい。客室きゃくしつ開放かいほうされ外部がいぶへのアピールができるため、このタイプの車両しゃりょう馬車ばしゃ時代じだいから各種かくしゅのパレードや式典しきてんなどでももちいられている。

現在げんざいでは、ほとんどの車種しゃしゅりたたみやはずしが可能かのうほろそなえており、車種しゃしゅによっては収納しゅうのうしきはずしが可能かのうハードトップ用意よういされているものもある。

概要がいよう

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黎明れいめい自動車じどうしゃ基本きほんてきにすべてがオープンカーであった[よう出典しゅってん]。エンジン出力しゅつりょくにまだ制約せいやくがあったこの時代じだいには、自動車じどうしゃおおきな屋根やね取付とりつけて車体しゃたい重量じゅうりょうやすことは、パワーウェイトレシオ低下ていかさせた結果けっかとして速度そくどない、無駄むだなものだった。また現在げんざい乗用車じょうようしゃ主流しゅりゅうであるモノコックボディではなく、頑丈がんじょうフレームエンジントランスミッションなどの装備そうびはいしたため、ボディ形状けいじょうによる強度きょうど問題もんだいもなかった(モノコック構造こうぞう開口かいこう存在そんざいすると強度きょうど低下ていかするため、密閉みっぺい構造こうぞう理想りそうとなる)。したがって、当時とうじ自動車じどうしゃ通常つうじょうしで、当時とうじ馬車ばしゃではすでにたりまえだったはこがた客室きゃくしつではなく、よくても重量じゅうりょうすくない簡単かんたんほろしかいていなかった[よう出典しゅってん]

やがて自動車じどうしゃひろ一般いっぱん家庭かていにまで普及ふきゅうし、エンジンの出力しゅつりょくがって必要ひつようなだけの馬力ばりきとスピードが確保かくほできるようになると、つぎだった車内しゃない居住きょじゅうせいにも配慮はいりょできるようになり、恒久こうきゅうてき屋根やねおおわれたはこがた自動車じどうしゃ以後いご主流しゅりゅうとなった[よう出典しゅってん]

今日きょう自動車じどうしゃモノコック構造こうぞう主流しゅりゅうであり、モノコックしゃをベースとして屋根やねをカットした車種しゃしゅ強度きょうど剛性ごうせいそこなわれる弱点じゃくてんがある。そのためオープンカーにはそれらをおぎなうための工夫くふうほどこされている。屋根やね部分ぶぶんだけが着脱ちゃくだつ可能かのうでその部分ぶぶんのこしたタルガトップという形式けいしきされた[よう出典しゅってん]強度きょうど確保かくほのためだけでも、屋根やねきの車両しゃりょう開発かいはつのち工程こうていとして開発かいはつ時間じかんがかかり、また部品ぶひん点数てんすうおおくなる。屋根やねがないから安価あんかなのではなく、屋根やねをカットしながらも強度きょうど確保かくほするからこそコストがかかり、そのため重量じゅうりょうし、こう価格かかくとなる。また屋根やねやその動作どうさ部分ぶぶん収納しゅうのうするため、座席ざせきトランクスペースが犠牲ぎせいとなっているなど、趣味しゅみせいたか自動車じどうしゃといわれる。

日本にっぽんではオープンカーは伝統でんとうてきに「ほろがた」とばれ、現在げんざい自動車じどうしゃ検査けんさしょううえでもそう表記ひょうきされている。Tバールーフハードトップ分類ぶんるいされ、表記ひょうきは「はこがた」となる。また、クーペカブリオレハードトップであるが、こちらは「ほろがた」となる。

日本にっぽん国外こくがいで「オープンカー」に相当そうとうする用語ようごには「バルケッタ」(barchetta )、「ロードスター」(roadster )、「スパイダー」(spider )、「カブリオレ」(cabriolet )、「コンバーチブル」(convertible )などがある。呼称こしょうちがいはくにによるもののほかにも、「バルケッタ」「ロードスター」「スパイダー」 は「屋根やねめられるくるま」、「カブリオレ」「コンバーチブル」 は「屋根やねけられるくるま」というくるまづくりの方向ほうこうせいちがいにも立脚りっきゃくしており、ほろ有無うむ面積めんせきたいこうせいなどもちがいがられる[よう出典しゅってん]

また、最近さいきんではよりたかたいこうせい耐久たいきゅうせい安全あんぜんせいそなえた「クーペカブリオレ」「リトラクタブルハードトップ」とばれる電動でんどう格納かくのうしきハードトップもえ、フィアット・500Cシトロエン・DS3カブリオのようにキャンバストップの延長線えんちょうせんじょうにあるオープンモデルも登場とうじょうしている。

これらのほとんどが2ドアしゃなのにたいし、以前いぜんは4ドアしゃの「フェートン」というタイプがあったが、現在げんざいでは一部いちぶ式典しきてんようのぞいて消滅しょうめつしたため、ほとんど使つかわれなくなった[よう出典しゅってん]

なお近年きんねんではアウディなど一部いちぶのメーカーで、クーペ派生はせいモデルには「ロードスター」、セダン派生はせいの2ドア・よんのものには「カブリオレ」の名称めいしょうもちいて区別くべつしているところがある。「ロードスター」は車体しゃたいだい部分ぶぶんがそれ専用せんよう部品ぶひんからっているか、スポーツカーからの派生はせいで、「カブリオレ」は大衆たいしゅうしゃ(ファミリーカー)をベースにしている場合ばあいおおい。例外れいがいとして、生産せいさんしゃのすべてがスポーツカーであった時代じだいポルシェでは、356にスピードスター、ロードスター、コンバーチブル(カブリオレ)の3タイプが、911にはスピードスターとカブリオレの双方そうほうがそれぞれ存在そんざいしており、911/912914にはデタッチャブルトップのタルガもラインナップする。

純正じゅんせい時点じてんでロールバーがついているれいプジョー・205コンバーチブル

オープンカーの安全あんぜんめん問題もんだいとなるのが、転覆てんぷくした場合ばあい乗員じょういんたいする重大じゅうだい危険きけんせいである。Tバールーフタルガトップ、または転覆てんぷくまえ瞬時しゅんじ突出とっしゅつして頭部とうぶ保護ほごする干渉かんしょう装置そうちとう安全あんぜん機構きこうなかにはクローズドボディでうところのBピラー部分ぶぶんロールバー常設じょうせつした車両しゃりょう存在そんざいする。ユーロNCAPなどの第三者だいさんしゃ機関きかんによる衝突しょうとつ安全あんぜんテストでは、オープンカーはそれ単体たんたいでクラスけされ、クローズドボデーとはことなる基準きじゅんでテストされている。

かつてのオープンカーは構造こうぞうじょう、3てんしきシートベルト設置せっち困難こんなんであったため、1975ねん4がつ1にち生産せいさんしゃから運転うんてんせき助手じょしゅせきへの3てんしきシートベルトの設置せっち義務ぎむされたのちも、1987ねん2がつ28にちまでの生産せいさんしゃ例外れいがいとして2てんしきシートベルトがみとめられていた。

日本にっぽんのオープンカー市場いちば

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日本にっぽんしゃ1933ねん登場とうじょうした日産にっさんダットサン12がたフェートンにはじまり、1935ねんにダットサン14がたロードスターで、ロードスターの使つかわれた。2名分めいぶんシートトランクルーム格納かくのうしきとした2+2のクーペをベースとした、よりスポーティーなロードスターがラインナップに追加ついかされた。

そのこのながれは、戦後せんごはつスポーツカーとなった1952ねんのダットサン・スポーツDC-3や、オースチンとの提携ていけいによる「ダットサン・1000」をベースとしたFRPボディーを採用さいようした1959ねんの「フェアレディ」へとがれてく。これらはくるまめいにロードスターのけられなかったが、北米ほくべいでは後継こうけいとなる SRL311がた(ダットサン2000スポーツ) まで、ダッツン(ダットサン)・ロードスターとしてしたしまれた。

1962ねんにはよんりんしゃ製造せいぞう参入さんにゅうしたばかりの本田技研工業ほんだぎけんこうぎょうS360発表はっぴょうし、のSシリーズの布石ふせきとなる。しかし1960年代ねんだいまつからおも輸出ゆしゅつさきとなる北米ほくべい保安ほあん基準きじゅん強化きょうかによる一般いっぱんてき屋根やねつき車体しゃたい(クローズドボディー)への移行いこうや、はいガス規制きせい対応たいおうせまられた時期じき開発かいはつ削減さくげんなどの理由りゆうのほか、オイルショックなどの社会しゃかいてき背景はいけいから、その、このジャンルは前述ぜんじゅつのユーノス・ロードスターの登場とうじょうまで、長期ちょうきにわたる空白くうはくむかえる[注釈ちゅうしゃく 1]

1989ねんマツダ発売はつばいした「ユーノス・ロードスター」(現在げんざいの「マツダ・ロードスター」)は、しん時代じだいのオープンカーの先駆さきがけであり、世界せかい自動車じどうしゃメーカーに多大ただい影響えいきょうあたえた。ロードスターは、マツダの大衆たいしゅうしゃであるファミリアようの1,600ccエンジンを改良かいりょうしたものを車体しゃたい前部ぜんぶ搭載とうさいし、こう駆動くどう専用せんよう車体しゃたいあたえられた。

当時とうじこの分野ぶんや隙間すきま市場いちばとなっており、化石かせきてきともいえるきゅう世代せだいのこりモデルもえてひさしく、一部いちぶ海外かいがい高級こうきゅうしゃのぞくほとんどの自動車じどうしゃメーカーもすすんですことがなかった。しかし、マツダ・ロードスターは2016ねん4がつ25にちまでに累計るいけい100まんだい出荷しゅっか[2]し、2人ふたりりの小型こがたオープンスポーツカー生産せいさん台数だいすう世界一せかいいちとしてギネス認定にんていされるなど、この分野ぶんやでの最高さいこう成功せいこうさくとなった。また2002ねんにはダイハツ・コペン、2015ねんにはホンダ・S660発売はつばいされるなど、新車しんしゃ開発かいはつもわずかながらつづいている。2020ねん6がつにはレクサス・LCにコンパーチブル仕様しよう追加ついかされた。

ボディースタイル一覧いちらん

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一部いちぶ商標しょうひょう

レーシングカー

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ルノー・R26(F1)

伝統でんとうてき形式けいしきおもんじられることのおおいレーシングカーの世界せかいでは、ドライバーがむきしのオープンカータイプ(以下いか「オープントップ」と表記ひょうき[注釈ちゅうしゃく 2]車両しゃりょうがよくられる。F1ふくまれるフォーミュラカーはその代表だいひょうれいで、賛否さんぴ両論りょうろんありながらもタイヤがしのスタイル(オープンホイール)とともに、戦前せんぜんから現在げんざいまでフォーミュラカーの伝統でんとうとして継承けいしょうされている[3]

プロトタイプスポーツカーでもオープントップはよくもちいられてきたが、時代じだいによって流行はやすたりが存在そんざいする(後述こうじゅつ)。

市販しはんしゃ改造かいぞうする競技きょうぎでベース車両しゃりょう市販しはんオープンカーをもちいることもあるが、安全あんぜんじょう理由りゆう後述こうじゅつ)から一般いっぱんてきにはほろじた状態じょうたいでロールケージをむことが義務付ぎむづけられるため、はクローズドになっていることがおおい。

クローズドトップとの比較ひかく

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アウディ・R10 vs アストンマーティン・B09/60(2009ねんル・マン)

オープントップのメリットとしては、屋根やね・ドア・まどガラス・ワイパー・空調くうちょう設備せつびなどをける必要ひつようがないため、てい重心じゅうしん軽量けいりょうかつていコストに車両しゃりょう製造せいぞうできるてんがある[注釈ちゅうしゃく 3][4]。また乗降じょうこうせいすぐれる、視界しかいけている、事故じこにドライバーを救助きゅうじょしやすいなど利便りべんせいのメリットもある。一方いっぽうでクローズドトップはボディ剛性ごうせいそらりょく性能せいのう追究ついきゅうのしやすさ[注釈ちゅうしゃく 4][5]悪天候あくてんこう快適かいてきせい衝突しょうとつ安全あんぜんなどでメリットがあるため、一概いちがい優劣ゆうれつかたるのはむずかしい。コースがいはなしでいうと、自動車じどうしゃメーカーにとってはクローズドのほう市販しはんしゃのイメージを投影とうえいしやすいてんげられる。

オープン/クローズドが選択せんたくできるプロトタイプスポーツカーの世界せかいでは、エンジニアたちはしばし両者りょうしゃ選択せんたくせまられた。1970年代ねんだいまでは、選択せんたく可能かのう場合ばあいはオープントップをえらぶことがほとんどで、すぐれた結果けっかのこすマシンもオープントップがおおかった[注釈ちゅうしゃく 5][6]北米ほくべいCan-Am日本にっぽんグランプリでは、オープントップだけでにぎわうコースじょうにクローズドトップのプロトタイプを投入とうにゅうしようというこころみがいくつかなされたが、そらりょくかんする知見ちけん技術ぎじゅつ未熟みじゅくさが、重量じゅうりょう増加ぞうか視界しかい悪化あっかというデメリットをすことができず、断念だんねんしている[注釈ちゅうしゃく 6][7][8][9]

FISA国際こくさい自動車じどうしゃスポーツ連盟れんめい)は、市販しはんしゃメーカーたちをレースにむため1982ねんグループC北米ほくべいではIMSA-GTP)規定きてい導入どうにゅう市販しはんしゃ形状けいじょう維持いじするグループ5規定きていと、オープントップのグループ6規定きてい統合とうごうするかたち誕生たんじょうしたこの規定きていは、クローズドトップのプロトタイプスポーツカーとなった[注釈ちゅうしゃく 7]。これは多数たすうのメーカーをむことに成功せいこうし、以降いこう10ねん以上いじょうはクローズドトップがスタンダードとなった[よう出典しゅってん]

グループC/IMSA-GTPが瓦解がかいした1995ねんからは、公道こうどう仕様しようしゃ製造せいぞう必要ひつようとするクローズドトップ(LM-GT1)と、いち安価あんか製造せいぞうできるオープントップ(WSC→LMP)とのこんはしとなる。前者ぜんしゃはメーカーけいワークス、後者こうしゃはプライベーターの参入さんにゅう想定そうていしていた[注釈ちゅうしゃく 8][10]両者りょうしゃはタイヤサイズや吸気きゅうきリストリクターみち重量じゅうりょう燃料ねんりょうタンク容量ようりょうなどで性能せいのう均衡きんこうはかられ[注釈ちゅうしゃく 9]最初さいしょのうちはうまくいっていた。

オープントップ車両しゃりょうあふれかえる1999ねんル・マン24あいだ

しかしLMPにだい排気はいきりょうエンジンが認可にんかされた1998ねんからオープントップが有利ゆうりるワークスチームが続出ぞくしゅつし、2000ねんにはたちまちオープントップ一辺倒いっぺんとうになった。アウディはわざわざオープン/クローズドの2種類しゅるい車両しゃりょう製造せいぞうし、参戦さんせんさせて比較ひかくしたが[11]結局けっきょくアウディはオープントップを選択せんたく独立どくりつけいコンストラクターたちも軒並のきなみオープントップを開発かいはつし、ふたたびル・マンやその関連かんれんカテゴリはオープントップ全盛期ぜんせいきむかえた[注釈ちゅうしゃく 10]

ル・マンのワークスがアウディいちしゃのみとなってしまっていたころの2006ねんに、FIAはポルシェフェラーリのようなGTクラスに参戦さんせんしていたマニュファクチャラーたちの要求ようきゅうにより、5ねんのLMP1を、市販しはんしゃのイメージを投影とうえいしやすいクローズドトップにする意向いこう表明ひょうめいした[12]。それにさきんじてプジョーはクローズドの908 HDi FAP投入とうにゅう空調くうちょう設備せつび義務ぎむによるリストリクターみち拡大かくだい恩恵おんけいもあって、はやさではオープントップのアウディを圧倒あっとうしており、比較的ひかくてきレース距離きょりみじかル・マン・シリーズではなんもチャンピオンを獲得かくとくしている。しかし長丁場ながちょうばのル・マンでは、ヨースト・レーシング運用うんようするアウディの耐久たいきゅうれしたつよさに1勝利しょうりをもぎるのが精一杯せいいっぱいであった。2011ねんにはアウディもクローズドボディを選択せんたくし、2014ねんまでにはクローズド完了かんりょうした[注釈ちゅうしゃく 11]

のトップカテゴリでは、WRC世界せかいラリー選手権せんしゅけん)に参戦さんせんしたプジョー・307 WRCが、当時とうじWRカー規則きそくならひく全高ぜんこうてい重心じゅうしんボディの恩恵おんけいけられるとんで、オープンカーのグレード(307CC、正確せいかくにはクーペカブリオレ)をベース車両しゃりょうとしていた。マイナートラブルになやまされてタイトルにはとどかなかったが、3総合そうごう優勝ゆうしょうげている[13]。またLM-GTE規定きていシボレー・コルベットC8.Rは、ロールケージによる剛性ごうせい強化きょうかへの依存いぞんげることでロールケージを軽量けいりょうすることを目的もくてきに、ベースに十分じゅうぶん剛性ごうせい強化きょうかほどこしたコンバーチブルモデルを採用さいようしている[14]

安全あんぜん対策たいさく

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ロールケージをんだマツダ・ロードスター(ワンメイクレース仕様しよう

オープントップ車両しゃりょう上下じょうげさかさまになったり、壁面へきめん上部じょうぶたたきつけられるような事故じこではドライバーがあぶないため、現代げんだいでは座席ざせき背面はいめんに「ロールバー」とばれる鉄製てつせいぼう、または背面はいめんがったようなデザインの「ロールオーバー構造こうぞうたい」をもちいて安全あんぜん確保かくほしている。

2010年代ねんだい以降いこうものがドライバーに直撃ちょくげきして死亡しぼうする事例じれい目立めだっており[注釈ちゅうしゃく 12]安全あんぜんめん重視じゅうししてクローズドしようという議論ぎろんきている。フォーミュラカーにかんしては独自どくじ形状けいじょうによる脱出だっしゅつむずかしさや強度きょうど確保かくほ問題もんだいから、『HALO』とばれる鼻緒はなおのような頭部とうぶ保護ほごデバイスや透明とうめいのウィンドスクリーンを装着そうちゃくしつつも、伝統でんとうのオープントップを維持いじしている。

LMP規定きていはLMP1/LMP2/LMP3ともに2017ねんまでにクローズド完了かんりょうしている。ただしLMP1については前述ぜんじゅつとおりで、LMP2についても元々もともとどう規定きていをベースに市販しはんしゃのデザインを投影とうえいする北米ほくべいDPi規定きてい導入どうにゅうによるもので、当初とうしょ(2014ねん8がつ時点じてん)の議論ぎろん方向ほうこうとしてはドライバーの保護ほごという観点かんてんつぎであった[15][16][注釈ちゅうしゃく 13]

FIA/JAF-F4、『KYOJO CUP』のようなエントリーレベルの競技きょうぎヒルクライムでは、頭部とうぶ保護ほごデバイスの純粋じゅんすいなオープントップ車両しゃりょうがまだられる。またふる時代じだいたのしむクラシックカー競技きょうぎでも、当時とうじ姿すがた再現さいげんするために、保護ほごデバイスを追加ついかせずにオープン状態じょうたいはしることがおおい。

改造かいぞうオープンカー

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オープンカーにったケネディ大統領だいとうりょう夫妻ふさい後列こうれつ)とコナリー・テキサスしゅう知事ちじ夫妻ふさいちゅうれつ)、狙撃そげき直前ちょくぜん画像がぞう

オープンカーは野外やがい行事ぎょうじ祝典しゅくてんもちいられることがおおい。しかし市販しはんされているオープンカーはほろ設置せっちされる関係かんけいじょう後部こうぶ座席ざせきせまいものがおおい。そこで本来ほんらいはオープンカーではないくるまをオープンカーに改造かいぞうすることがしばしば必要ひつようになる。

きゅうソビエト連邦れんぽう後継こうけいこくロシア連邦れんぽう中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこくなどでは、軍事ぐんじパレードのさい国家こっか最高さいこう指導しどうしゃ観閲かんえつしゃ)やぐん指揮しきかん(受閲しゃ)などが改造かいぞうオープンカーにった状態じょうたい敬礼けいれいわし、いで兵士へいしたちを閲兵えっぺいするのが通例つうれいである。

また、要人ようじん有名人ゆうめいじんパレードにオープンカーを使つか場合ばあいおおい。ただし、昨今さっこんではセキュリティ観点かんてんから使つかわれないケースもえてきている。

かつて王室おうしつ国家こっか元首げんしゅ参加さんかする公式こうしき行事ぎょうじには、ロールス・ロイスなどの高級こうきゅうしゃ改造かいぞうしたオープンカーが使用しようされることがおおかった。アメリカでも1960年代ねんだい初頭しょとうまでは、大統領だいとうりょうくわわるパレードや地方ちほう遊説ゆうぜいなどには、リンカーンキャデラック改造かいぞうしたオープンカーが使つかわれることがおおかった。しかし1963ねん11月22にちケネディ大統領だいとうりょう暗殺あんさつ事件じけん以後いご事情じじょう一変いっぺんし、現在げんざいでは現職げんしょく大統領だいとうりょうのオープンカー使用しようはほぼ皆無かいむとなっている。

ローマ教皇きょうこうちょうでもかつては、教皇きょうこう外国がいこく訪問ほうもんしたさいおこなうパレードやお膝元ひざもとサンピエトロ広場ひろばあつまった群衆ぐんしゅうしたしく祝福しゅくふくあたえる行事ぎょうじなどでオープンカーを使用しようしていたが、1981ねん5月13にちヨハネ・パウロ二世よはねぱうろにせい暗殺あんさつ未遂みすい事件じけん教皇きょうこう重傷じゅうしょうったことを警護けいご徹底てっていされ、以後いごメルセデス・ベンツ・Gクラス改造かいぞうしたオープンカーの上部じょうぶ四面しめん強固きょうこ防弾ぼうだんガラスかこんだショーケースのようなおおいをせた専用せんようしゃパパモビル)を使用しようすることになり、現在げんざいいたっている。

なお日本にっぽんではスポーツ競技きょうぎなどで優勝ゆうしょう決定けってい祝賀しゅくがパレードにオープンカーを使用しようすることがおおい。競技きょうぎしゃ腰掛こしかけるのは通常つうじょう後部こうぶ座席ざせきもたれの上部じょうぶで、一人ひとりないし二人ふたりせる。このさいによく使つかわれるのは、トヨタ・クラウン日産にっさん・セドリック改造かいぞうしたオープンカーがおおい。このような車両しゃりょう普段ふだんはメーカーの車庫しゃこ保管ほかんされており、必要ひつようおうじてされる。

日本にっぽんプロ野球やきゅうなどは、参加さんか選手せんしゅおお場合ばあいは、オープンタイプのバス使つかわれることがある。1998ねん横浜よこはまベイスターズ(げん横浜よこはまDeNAベイスターズ優勝ゆうしょうパレードのさいには、横浜よこはま交通こうつうきょく磯子いそご営業えいぎょうしょ所有しょゆうで1998年度ねんど廃車はいしゃ予定よてい路線ろせんバスをオープンバスに改造かいぞうして投入とうにゅうしていた。2004ねんまる自動車じどうしゃ興業こうぎょうがオープントップバスを使用しようした定期ていき観光かんこうバス「スカイバス東京とうきょう」の運行うんこう開始かいししてからは優勝ゆうしょうパレードでスカイバス専用せんようしゃ使用しようする機会きかいえている。

また、007は2ではジェームズ・ボンドやくショーン・コネリー身長しんちょうたかいことでトヨタ・2000GT車体しゃたいはいりきらなかったため、特別とくべつトヨタ自動車とよたじどうしゃがオープンカー仕様しよう製作せいさくしている[17]

ギャラリー

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市販しはんしゃ

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競技きょうぎしゃ

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ このあいだ発売はつばいされたオープンモデルにはホンダ・シティカブリオレ、マツダ・ファミリアカブリオレ、サバンナRX-7カブリオレ(FC3C)があった。
  2. ^ 「オープンコックピット」とも
  3. ^ FIAがさだめるLMP2の技術ぎじゅつ規則きそくでは、販売はんばい価格かかくさい上限じょうげんがオープントップは388,500ユーロ、クローズドトップが463,550ユーロ以下いかまでそれぞれとさだめられていた。またオープントップの日産にっさん・R391開発かいはつ記録きろくには「ルーフやドアやウィンドウをくしたことは、エンジニアの開発かいはつ時間じかんらし、ル・マンにつための最高さいこうのレースカーの設計せっけい専念せんねんさせることに役立やくだった。」とある
  4. ^ 規則きそくによる。2010ねんごろLMP1車両しゃりょうプジョー・908開発かいはつしゃブルーノ・ファミンは、「オープンとクローズドでそらりょく性能せいのうおおきなはない」としている
  5. ^ 例外れいがいとしては1952ねんはじめてクローズドトップで総合そうごう優勝ゆうしょうたしたメルセデス・ベンツ・300SLや、1978ねん軽量けいりょうなアクリルガラスせいのバブルキャノピーで擬似ぎじてきなクローズドトップを実現じつげんし、最高さいこうそくを8km/h向上こうじょうさせ総合そうごう優勝ゆうしょうたしたルノー・アルピーヌA442Bなどがある。また1962ねん〜1968ねんのル・マンでは市販しはんしゃ姿すがたのこす『GTプロトタイプ』規定きていによりクローズドトップのみとなっており、オープントップ解禁かいきんもエンジン規定きていちがいが原因げんいんで1971ねんまでクローズド優位ゆういだった
  6. ^ 1960ねん末期まっきトヨタは、日本にっぽんグランプリ投入とうにゅうするためのクローズドトップの車両しゃりょうをテストが、重量じゅうりょうめんでの不利ふり視界しかい不良ふりょうからドライバーたちから苦情くじょう相次あいつぎ、オープントップで開発かいはつなおした。また1970年代ねんだい富士ふじグランチャンピオンレース参戦さんせんしたムーンクラフト紫電しでん77は、空気くうき抵抗ていこう減少げんしょうねらってクローズドトップを採用さいようしたが、リアに発生はっせいする空気くうきうずやルーフぶん上部じょうぶ面積めんせきえることで発生はっせいする揚力ようりょくを、未熟みじゅくそらりょく技術ぎじゅつゆえにうまくおさめなかった。Can-Amではシャパラル・2H元々もともとクローズドトップの予定よていだったが、実戦じっせん投入とうにゅうにはオープントップになっている。
  7. ^ 正確せいかくにはオープントップも選択せんたく可能かのうであったが、形状けいじょうにかかわらず2ドアを必要ひつようとしため、実質じっしつてきにクローズド一択いったくであった
  8. ^ NISMOはWSC車両しゃりょう流用りゅうよう日産にっさんせいエンジンをむつもりであったが、本社ほんしゃ市販しはんしゃのイメージを重視じゅうしするという意向いこうによりクローズドボディのR390新規しんき開発かいはつなおした。トヨタも本社ほんしゃ意向いこうと、開発かいはつじんそらりょく設計せっけい思想しそうからクローズドのTS020 GT-One製作せいさくしている
  9. ^ オープントップは吸気きゅうきリストリクターはしぼられるわり、ふとめのタイヤをくことができた。重量じゅうりょう燃料ねんりょうタンク容量ようりょうは1999ねん両者りょうしゃとも統一とういつされた。
  10. ^ 例外れいがいとしてベントレー・スピード8があるが、おなじVWグループの戦略せんりゃくでアウディがワークスをめた2003ねんしかル・マンでてなかった
  11. ^ アストンマーティン・AMR-one費用ひようたい効果こうか観点かんてんから時代じだい趨勢すうせいさからってオープンボディしたが、本社ほんしゃ方針ほうしん転換てんかんもあって2011ねんのみで活動かつどう終了しゅうりょうしている。この北米ほくべいぜいHPD・ARX-03が2013ねんまで参戦さんせんしていた。
  12. ^ 2009ねんF2のヘンリー・サーティース、2014ねんF1のジュール・ビアンキ、2015ねんインディカージャスティン・ウィルソンなど
  13. ^ その2016ねんのLMP2技術ぎじゅつ規則きそくには、『2015ねんよりまえ公認こうにんされたオープンカーについて:(中略ちゅうりゃく安全あんぜんじょう理由りゆうで、規定きていによりあらたな要求ようきゅう義務付ぎむづけられる場合ばあい、その改造かいぞう費用ひよう車両しゃりょう基本きほん価格かかく追加ついかされる。』と記載きさいされており、安全あんぜんがクローズド主因しゅいんわっていることがわかる

出典しゅってん

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  1. ^ 和製わせい英語えいご事典じてん」(2014ねん丸善まるぜん出版しゅっぱん亀田かめだ尚己なおみほかちょ
  2. ^ MAZDA ROADSTER|累計るいけい生産せいさん100まんだい達成たっせい|マツダ”. www.mazda.co.jp. 2022ねん4がつ27にち閲覧えつらん
  3. ^ オープンコクピットの伝統でんとうてるときたのか──ドライバーたちの意見いけんAS-web 2022ねん8がつ6にち閲覧えつらん
  4. ^ 1999 Le Mans 24 Hours
  5. ^ Peugeot 908
  6. ^ ル・マン24あいだ歴史れきし2/5TOYOTA GAZOO Racing公式こうしきサイト 2022ねん8がつ11にち閲覧えつらん
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