ピット (考古学こうこがく)

石川いしかわ県けん江沼えぬま郡ぐん山中さんちゅう町まち（現げん加賀かが市し）九谷くたにＡ遺跡いせきの発掘はっくつ調査ちょうさ区内くないに広ひろがるピット。（2005年ねん4月がつ）

ピット（英語えいご；pit）とは、考古学こうこがく用語ようご、もしくは発掘はっくつ調査ちょうさ現場げんばにおいて小ちいさな穴あなや細ほそい穴あな状じょうの遺構いこうを呼称こしょうする場合ばあいの総称そうしょうである。

意味いみと用法ようほう

一般いっぱん的てきには、建物たてものの柱はしら穴あななどで想起そうきされる樹木じゅもくの幹みき程度ていどの大おおきさの穴あなを指さすが、性格せいかくのわからない穴あな、獲物えものを捕とらえるための落おとし穴あなや炊事すいじなどを行おこなった穴あなとしての機能きのうを持もつ遺構いこう（Tピット、ファイアーピットなど）、直径ちょっけい1メートル程度ていどの小ちいさな土ど坑あな（どこう）もピットのカテゴリーに含ふくんで呼よぶ場合ばあいがある。柱はしら穴あななど用途ようとが判明はんめいした場合ばあいは、そのピットのことを「柱はしら穴あな」と呼よんだり性格せいかくの判明はんめいした名称めいしょうで呼よぶが、性格せいかくがはっきりしない穴あなはピットと包括ほうかつ的てきに呼称こしょうされる。

なお、英語えいごでは、竪穴たてあな建物たてもののことを pit-house, pit-dwelling と呼よぶことから本来ほんらいはかなり規模きぼの大おおきい穴あなをも示しめす用語ようごであるが、日本にっぽんでは、直径ちょっけい1メートルを超こえる大おおきな穴あなは、土ど坑あなと包括ほうかつ的てきに総称そうしょうする。ピットと土ど坑あなは、大おおきさに関かんして漠然ばくぜんと区別くべつしており、井戸いど跡あとのような直径ちょっけい数すうメートルにおよぶ穴あなは、性格せいかくの判然はんぜんとしない場合ばあいに「土ど坑あな」と呼よび、ピットとは呼よばれないのが普通ふつうである。

ピットと呼よばれる遺構いこうの種類しゅるい

1. 竪穴たてあな建物たてもの跡あとの柱はしら穴あな
2. 竪穴たてあな建物たてもの跡あとの内部ないぶに見みられる柱はしら穴あな以外いがいの小ちいさな穴あな
3. 掘立柱ほったてばしら建物たてもの跡あとの柱はしら穴あな
4. 直径ちょっけい1メートル程度ていどの小ちいさな土ど坑あな
5. 柵しがらみ列れつなどを構成こうせいする小ちいさな穴あな
6. 建造けんぞう物ぶつの一部いちぶと推察すいさつされる小ちいさな穴あな
7. 性格せいかくの判明はんめいしない小ちいさな穴あな
8. 現場げんば監督かんとくを行おこなっている調査ちょうさ員いん、調査ちょうさ担当たんとう者しゃが作業さぎょう員いんに小ちいさな穴あなのことを指さして指示しじする場合ばあいの用語ようご（用途ようとが判明はんめいしている場合ばあいも含ふくむ）。また、同おなじ遺構いこうでも調査ちょうさ員いん、調査ちょうさ担当たんとう者しゃの判断はんだんによって「土ど坑あな」と呼よばれる場合ばあいもある。

e.g.「そのピットを半分はんぶん掘ほって（半裁はんさいして）ください。」「ピットの断面だんめん図ずを作つくってください。」など。

関連かんれん項目こうもく

• 発掘はっくつ調査ちょうさ
• 遺構いこう