環境かんきょう考古学こうこがく

環境かんきょう考古学こうこがく（かんきょうこうこがく、Environmental archaeology）は、生物せいぶつ学がく、地質ちしつ学がくなどの自然しぜん科学かがく的てき分析ぶんせき法ほうを用もちいて、さまざまな時代じだいの考古学こうこがく研究けんきゅうにおける自然しぜん環境かんきょうと人間にんげんの相互そうご関係かんけいをあきらかにしようとする学問がくもん。

提唱ていしょう

ゴードン・チャイルド(Vere Gordon Childe,1892～1957)。オーストラリア生うまれの考古こうこ学者がくしゃ・文献ぶんけん学がく者もの。ヨーロッパ先史せんし時代じだいの研究けんきゅうを専門せんもんとし、新しん石器せっき革命かくめい、都市とし革命かくめいを提案ていあんした。代表だいひょう的てきな著書ちょしょは、『文明ぶんめいの起源きげん』（Man makes himself）及および『歴史れきしのあけぼの』（What Happened in History）。 チャイルドは、ロンドン大学だいがくに環境かんきょう考古こうこ学部がくぶ（Department of Environmental Archaeology）を設もうけ、遺跡いせきから発見はっけんされる動植物どうしょくぶつ遺体いたいの分析ぶんせき、土壌どじょうの物理ぶつり的てき・化学かがく的てき研究けんきゅう、花粉かふん分析ぶんせき等ひとしの分野ぶんやにおける研究けんきゅうに基もとづき、人間にんげんと環境かんきょう変化へんかの問題もんだいを取とり上あげた。

現在げんざい、ロンドン大学だいがく考古学こうこがく研究所けんきゅうじょは、人間にんげん環境かんきょう部ぶ、保存ほぞん科学かがく部ぶ、先史せんし考古こうこ学部がくぶ、ローマ属ぞく州しゅう考古こうこ学部がくぶ、西にしアジア考古こうこ学部がくぶ、考古こうこ写真しゃしん部ぶの６部ぶ構成こうせいとなっている。そのうち、人間にんげん環境かんきょう学部がくぶでは、第だい四よん紀き生態せいたい学がく、地質ちしつ考古学こうこがく、植物しょくぶつ考古学こうこがく、人類じんるい進化しんかと生態せいたい学がく、土壌どじょう学がくと考古学こうこがく、無む脊椎動物せきついどうぶつ生態せいたい学がくと考古学こうこがく、脊椎動物せきついどうぶつの生物せいぶつ学がくを科目かもくとして、自然しぜん科学かがくの諸しょ分野ぶんやとの共同きょうどう研究けんきゅうがおこなわれている。

ロンドン大学だいがくの環境かんきょう考古学こうこがくの科目かもく（概要がいよう）

• 第だい四よん紀き生態せいたい学がく：更新こうしん世よおよび完かん新しん世よの環境かんきょうを復元ふくげんする。
• 地質ちしつ考古学こうこがく：地質ちしつ学がくと地形ちけい学がくの原則げんそくと方法ほうほうを考古学こうこがく上じょうの諸しょ問題もんだいに応用おうようする。
• 植物しょくぶつ考古学こうこがく：植物しょくぶつ遺体いたいの分析ぶんせきによる環境かんきょう復元ふくげんを取とり扱あつかう。
• 人類じんるい進化しんかと生態せいたい学がく：更新こうしん世よおよび完かん新しん世よの人類じんるい進化しんか、現生げんなま人類じんるいの遺伝いでん学がく的てき分化ぶんかを扱あつかう。
• 土壌どじょう学がくと考古学こうこがく：古こ土壌どじょうの分析ぶんせき、過去かこの土地とち利用りようよその土壌どじょうへの影響えいきょうを扱あつかう。

日本にっぽんの環境かんきょう考古学こうこがく

国際こくさい日本にっぽん文化ぶんか研究けんきゅうセンター（日にち文ぶん研けん）名誉めいよ教授きょうじゅの安田やすだ喜き憲けん（やすだ よしのり、1946年ねん～）は、古代こだい文明ぶんめいの比較ひかくを研究けんきゅうテーマとし、日本にっぽんの環境かんきょう考古学こうこがくの創始そうし者しゃといわれる。環境かんきょうや文明ぶんめいに関かんする著作ちょさくが多おおい。著書ちょしょには、「環境かんきょう考古学こうこがく事始ことはじめ」（1980年ねん）、「人類じんるい破滅はめつの選択せんたく―環境かんきょう考古学こうこがくが明あかす古代こだい文明ぶんめいの盛衰せいすい（古代こだいを検証けんしょうする）」（1990年ねん）などがある。近年きんねん、安田やすだ以外いがいにも環境かんきょう考古学こうこがくの研究けんきゅう者しゃも増ふえてきている。

現在げんざいの環境かんきょう考古学こうこがく

環境かんきょう考古学こうこがくの研究けんきゅうが進すすむにつれて、多おおくの自然しぜん科学かがくとの連携れんけいが進すすんでおり、地球ちきゅう温暖おんだん化か、地震じしん、花粉かふん分析ぶんせき、DNA研究けんきゅう、心しんの問題もんだいまで、あらゆる分野ぶんやと考古学こうこがくとの関連かんれんが明あきらかとなっている。