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埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい

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埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい(まいぞうぶんかざい)は、文化財ぶんかざい文化ぶんか遺産いさん)が土地とち埋蔵まいぞうされている状態じょうたい総称そうしょうである。[1]りゃくして「うめぶん」とばれることもある[2]一般いっぱんには文化ぶんか遺産いさん保護ほご制度せいどにおける保護ほご対象たいしょうとなっている。

出土しゅつどした埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい遺物いぶつ)。(奈良ならけん桜井さくらいまといこう遺跡いせき土師器はじき
出土しゅつどした埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい遺構いこう)。(青森あおもりけんさんない丸山まるやま遺跡いせきろくほんばしら建物たてものあと
埋蔵まいぞう文化財ぶんかざいふく地面じめん遺物いぶつ包含ほうがんそう)の展示てんじ断面だんめん土器どきへんなどがえる。(さんない丸山まるやま遺跡いせき

日本にっぽんでの制度せいどじょう位置いちづけ[編集へんしゅう]

埋蔵まいぞう文化財ぶんかざいは、日本にっぽん文化財ぶんかざい保護ほごほううえ定義ていぎでは、どうほうだい92じょうきゅうだい57じょう以下いか、2005ねん平成へいせい17ねん)3がつ31にちまで施行しこうされていた条文じょうぶんを「きゅう」でしめす)の「土地とち埋蔵まいぞうされている文化財ぶんかざい」としており、具体ぐたいてきには遺跡いせき、そこから出土しゅつどする遺物いぶつがこれにあたる。[1]

ただし、厳密げんみつには「埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい」といった場合ばあい土地とち埋蔵まいぞうされている文化財ぶんかざいとしての価値かちみとめられる「遺構いこう」と、文化財ぶんかざいとしての価値かち推定すいていされる民法みんぽうだい241じょうの「埋蔵まいぞうぶつ」としての「遺物いぶつ」のことをしており、めんてき遺跡いせきおよ遺跡いせき範囲はんいとしてとらえた場合ばあいは、文化財ぶんかざい保護ほごほうだい93じょうきゅうだい57じょうの2)の「かいづか古墳こふんその埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい包蔵ほうぞうする土地とちとして周知しゅうちされている土地とち」として「周知しゅうち埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい包蔵ほうぞう」が定義ていぎされている。

法律ほうりつじょう定義ていぎされる範囲はんい[編集へんしゅう]

法的ほうてきに「埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい」としてあつかうことのできる範囲はんいは、「埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい保護ほご発掘はっくつ調査ちょうさ円滑えんかつとうについて(通知つうち)」[3]、いわゆる「平成へいせい10ねん円滑えんかつ通知つうち」によって定義ていぎされた。

それによると、「埋蔵まいぞう文化財ぶんかざいとしてあつか範囲はんいかんする原則げんそく」は、

  1. おおむね中世ちゅうせいまでにぞくする遺跡いせきは、原則げんそくとして対象たいしょうとすること。
  2. 近世きんせいぞくする遺跡いせきについては、地域ちいきにおいて必要ひつようなものを対象たいしょうとすることができること。
  3. きん現代げんだい遺跡いせきについては、地域ちいきにおいてとく重要じゅうようなものを対象たいしょうとすることができること。

とされ、「埋蔵まいぞう文化財ぶんかざいとしてあつか範囲はんいいち基準きじゅん要素ようそ」として、「遺跡いせき時代じだい種類しゅるいしゅたる要素ようそとし、遺跡いせき所作しょさする地域ちいき歴史れきしてき特性とくせい文献ぶんけん絵図えず民俗みんぞく資料しりょうその資料しりょうとの補完ほかん関係かんけい遺跡いせきのこそんじょうきょう遺跡いせきからられる情報じょうほうりょうとう副次的ふくじてき要素ようそとする」よう指示しじがなされた。

出土しゅつどひん出土しゅつど遺物いぶつ法律ほうりつじょう位置いちづけ[編集へんしゅう]

埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい包蔵ほうぞうない分布ぶんぷ調査ちょうさして土器どきへん採集さいしゅうしたり、調査ちょうさした結果けっか遺物いぶつ出土しゅつどした場合ばあい、これを発見はっけんしたから1週間しゅうかん以内いない遺失いしつぶつほうだい13じょうによって所轄しょかつ警察けいさつしょとどることになっている(「埋蔵まいぞうぶつ発見はっけんとどけ」)。される以前いぜん民法みんぽうじょうの「埋蔵まいぞうぶつ」でありされたりひろわれた時点じてんで「拾得しゅうとくぶつ」となるという法的ほうてき解釈かいしゃくがなされている。

警察けいさつしょでは、拾得しゅうとくぶつとしてけた埋蔵まいぞうぶつ文化財ぶんかざいみとめられるときは、文化財ぶんかざい保護ほごほう101じょうきゅうだい60じょう)にもとづき管轄かんかつ都道府県とどうふけん政令せいれい指定してい都市としおよ中核ちゅうかく教育きょういく委員いいんかいに「埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい提出ていしゅつしょ」を提出ていしゅつする。また、発見はっけんしゃは、「埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい保管ほかんしょう」を管轄かんかつ都道府県とどうふけん政令せいれい指定してい都市としおよ中核ちゅうかく教育きょういく委員いいんかい提出ていしゅつし、これを照合しょうごうすることによってどうほう102じょう旧法きゅうほう61じょう)の鑑査かんさおこなわれ、実物じつぶつたことと同様どうようにみなし、「文化財ぶんかざい認定にんてい通知つうち」を警察けいさつしょおこない、発見はっけんしゃにも認定にんてい通知つうちうつしが送付そうふされ、出土しゅつどひんは、この時点じてんでようやく正式せいしき文化財ぶんかざいとして認定にんていされたことになる。内容ないようがたとえ土器どきへんいちてんであっても、指定していされることなしに法的ほうてき文化財ぶんかざいとして認定にんていする制度せいどがあることに特徴とくちょうがあるといえる。

埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい包蔵ほうぞう範囲はんい周知しゅうち[編集へんしゅう]

教育きょういく委員いいんかいなど、かく地方自治体ちほうじちたい文化財ぶんかざい所管しょかんは、文化財ぶんかざい保護ほごほうだい95じょうにより、地域ちいきのどのような場所ばしょ埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい包蔵ほうぞう存在そんざいするかについて、その周知しゅうち徹底てっていはかり、必要ひつよう措置そちこうじることが義務付ぎむづけられている。このため、かく自治体じちたいでは「必要ひつよう措置そち」として、包蔵ほうぞう番号ばんごうあたえ、その詳細しょうさい時代じだい種類しゅるい面積めんせき)をまとめた遺跡いせき台帳だいちょう包蔵ほうぞう台帳だいちょう)」作成さくせいし、範囲はんい地図ちずじょうしめした遺跡いせき地図ちず包蔵ほうぞう地図ちず)」刊行かんこうすることで一般いっぱん公開こうかいしている。

なお埋蔵まいぞう文化財ぶんかざいは、土中どちゅう埋蔵まいぞうされているというその性質せいしつじょう具体ぐたいてきにその土地とちしたなにがあるかは発掘はっくつしてみなければわからないという特徴とくちょうをもち、かつ、されたのち前項ぜんこうでの手続てつづきをはじめて文化財ぶんかざいとして認定にんていされる。したがってかく自治体じちたいは、「文化財ぶんかざいとなりうるものが包含ほうがんされている可能かのうせいのある土地とち」を周知しゅうちらせる)」しているのであって、指定していしているわけではない。

土地とち利用りようへの影響えいきょう[編集へんしゅう]

前項ぜんこう文化財ぶんかざい地図ちずなどによってしめされた、「周知しゅうち埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい包蔵ほうぞう」のなかで、土木どぼく工事こうじとう目的もくてき発掘はっくつ(この場合ばあいの「発掘はっくつ」とは、遺跡いせき調査ちょうさではなく、基礎きそりやかん埋設まいせつなどの、工事こうじにおける掘削くっさく行為こうい)をしようとするものは、文化財ぶんかざい保護ほごほうだい93じょうだいこうもとづき、工事こうじ着工ちゃっこうの60にちまえまでに文化庁ぶんかちょう長官ちょうかん届出とどけでをする義務ぎむしょうじる。

また、文化財ぶんかざい保護ほごほうもとづく発掘はっくつ調査ちょうさ現状げんじょう変更へんこうすることとなるような行為こうい停止ていしまた禁止きんし設計せっけい変更へんこうともな費用ひよう負担ふたん土地とち利用りよううえ制約せいやくとうにより、その土地とち価格かかく形成けいせい重要じゅうよう影響えいきょうあたえる場合ばあいがある[4][5]

したがって、周知しゅうち埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい包蔵ほうぞうふくまれるかなど、埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい存在そんざい留意りゅういしたうえで、発掘はっくつ調査ちょうさ必要ひつよう有無うむ調査ちょうさようする費用ひよう期間きかんについては、自治体じちたい教育きょういく委員いいんかいなど、文化財ぶんかざい所管しょかんする行政ぎょうせいちょう確認かくにんすべきとされる[6]。また、土地とち取引とりひきにおいても、宅地たくち建物たてもの取引とりひき業法ぎょうほうだい47じょう告知こくち事項じこう関係かんけいする。

出典しゅってん脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい発掘はっくつ調査ちょうさ体制たいせいとう整備せいび充実じゅうじつかんする調査ちょうさ研究けんきゅう委員いいんかい埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい保存ほぞん活用かつよう報告ほうこく』(PDF)(レポート)2007ねん2がつ1にちhttps://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/pdf/hokoku_07.pdf2020ねん4がつ1にち閲覧えつらん 
  2. ^ 浜松はままつ. “ > (1) うめぶんってなあに?” (PDF). 2013/11/05 - 2016/11/05てんの[www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/bunkazai/maibun/documents/maibun_book.pdf オリジナル]よりアーカイブ。2020ねん4がつ1にち閲覧えつらん
  3. ^ 文化庁ぶんかちょう次長じちょう埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい保護ほご発掘はっくつ調査ちょうさ円滑えんかつとうについて(通知つうち』(PDF)(レポート)1998ねん9がつ29にちhttps://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/pdf/hokoku_03.pdf2020ねん4がつ1にち閲覧えつらん 
  4. ^ 不動産ふどうさん鑑定かんてい評価ひょうか基準きじゅん運用うんようじょう留意りゅうい事項じこう 総論そうろんだい3しょう
  5. ^ さんない丸山まるやま遺跡いせきは、予定よていされていた事業じぎょう野球やきゅう建設けんせつ)が、遺跡いせき存在そんざいにより中止ちゅうしまれた著名ちょめい事例じれいでもある。
  6. ^ しんようせつ不動産ふどうさん鑑定かんてい評価ひょうか基準きじゅん』p.65

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 監修かんしゅう日本にっぽん不動産ふどうさん鑑定かんてい協会きょうかい 編著へんちょ 調査ちょうさ研究けんきゅう委員いいんかい鑑定かんてい評価ひょうか理論りろん研究けんきゅうかいしんようせつ不動産ふどうさん鑑定かんてい評価ひょうか基準きじゅん住宅じゅうたく新報しんぽうしゃ 2010ねん ISBN 9784789232296 p.63 - 65

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]