ホウキギ

ホウキギ
秋あきに紅葉こうようするホウキギ
分類ぶんるい
界さかい : 植物しょくぶつ界かい Plantae 階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ angiosperms 階級かいきゅうなし : 真正しんしょう双そう子葉しよう類るい eudicots 階級かいきゅうなし : コア真正しんせい双そう子葉しよう類るい core eudicots 目め : ナデシコ目め Caryophyllales 科か : ヒユ科か Amaranthaceae 属ぞく : バッシア属ぞく Bassia 種たね : ホウキギ B. scoparia
学名がくめい
Bassia scoparia (L.) A.J.Scott
シノニム
Kochia scoparia (L.) Schrad.
和名わみょう
ホウキギ（箒ほうき木き）
英名えいめい
summer cypress Mexican burningbush Mexican fireweed mock cypress

ホウキギ（箒ほうき木き、学名がくめい: Bassia scoparia）は、ヒユ科か（アカザ科か）バッシア属ぞくの一いち年ねん草くさ。別名べつめい、ホウキグサ（箒草ほうきぐさ）。実じつは食用しょくようになる。

バッシア属ぞくのうちホウキギなど数すう種しゅは、一時いちじ、花はな被ひの特徴とくちょうから、ホウキギ属ぞく Kochia（コキア）に分離ぶんりされていた。

名称めいしょう

和名わみょうは、乾燥かんそうした茎くきを箒ほうきに使つかうので、「ホウキギ」の名ながついたものである。園芸えんげい（鑑賞かんしょう）用途ようとにおいては「コキア」が一般いっぱん的てきである。地方ちほうにより様々さまざまな呼よび名ながあり、ハハキギ、ニワクサ、トンブリなどの地方ちほう名めいがある。中国ちゅうごく植物しょくぶつ名めい（漢かん名めい）では地膚じはだ（じふ）とよばれる。学名がくめいのスコーパリア（scoparia） は「ほうき状じょうの」の意い。

特徴とくちょう

ヨーロッパ、南みなみアジア、中国ちゅうごくなどのユーラシア原産げんさんといわれ、日本にっぽんへは古ふるくに渡来とらいし、栽培さいばいされている。一いち年生ねんせいの草本そうほん。箒ほうきのような細こまかい茎くきが特徴とくちょうで、秋あきに紅葉こうよう、茎くきも同様どうように赤あかくなる。耐たい塩性えんせいが高たかい。花言葉はなことばは「夫婦ふうふ円満えんまん」。

茎くきは直立ちょくりつ、もしくは枝分えだわかれし、最初さいしょは緑色みどりいろで、後のちに赤あかくなり、全体ぜんたいが球形きゅうけいから楕円だえん形がたになる。8 - 9月がつ頃ごろに赤あかみを帯おびた茎くき枝えだは、固かたくなる。葉はは線せん状じょう披針形ひしんけいである。夏なつから秋あきにかけて、葉腋ようえきから多数たすうの淡あわ緑色みどりいろの花はなが束たばのように生はえてくる。花はなは雄花おばなと雌花めばなに分わかれており、雄花おばなからは黄色きいろい葯が出でる。一方いっぽう、雌花めばなは深緑しんりょく色しょくで目立めだたない。果実かじつは、宿やど存そん萼がくに包つつまれて、星ほし形がたになる。

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  ひたち海浜かいひん公園こうえんの紅葉こうようするコキア（2018年ねん10月がつ20日はつか）
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  紅葉こうようし始はじめたころのコキア（2010年ねん10月がつ9日にち）
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  紅葉こうようする前まえのコキア
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  コキアの実み
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  植うえ込こみに使用しようされるコキア

栽培さいばい

種子しゅしは極きわめて小ちいさくて軽かるいため、前年ぜんねんに植うえた周辺しゅうへんから生はえた苗なえを移植いしょくする方法ほうほうも採とられている。日本にっぽんでの栽培さいばい地ちは、秋田あきた県けん・山形やまがた県けんが主おもな産地さんちである。ツツミノガ類るいが主おもな害虫がいちゅうである。

利用りよう

果実かじつは、薬用やくよう・食用しょくようにされ、若芽わかめは食用しょくようにされる。淡白たんぱくな味あじでプリプリした食しょく感かんから「畑はたけのキャビア」と呼よばれるほどで、秋田あきた県けんの特産とくさん品ひん「とんぶり」の原料げんりょうとなる。昔むかしは夏なつから秋あきに固かたくなった茎くきを根元ねもとから切きり採とって乾燥かんそうし、束たばねて箒ほうきとして利用りようした。同どう時期じきには果実かじつも成熟せいじゅくしており、ビニールを広ひろげて天日てんじつで乾燥かんそうし、打うち落おとしてから、風かぜを送おくって実みとかすを選別せんべつする。

乾燥かんそうさせた果実かじつは地膚じはだ子こ（じふし）と称しょうされる生薬きぐすりになり、滋養じようや強壮きょうそうのほか、膀胱ぼうこう炎えん、皮膚ひふのかゆみ、疥癬かいせん、湿疹しっしん、蕁麻疹じんましんに効果こうかがあるといわている。民間みんかん療法りょうほうでは、1日にち量りょう3 - 10グラムを、水みず500 - 600 ccで半量はんりょうになるまで煎せんじ、3回かいに分わけて服用ふくようする用法ようほうが知しられている。皮膚ひふ病びょうに対たいして、50グラムほどを布袋ほていに入いれて浴よく湯ゆ料りょうとして使用しようしてもよいとも言いわれているが、皮膚ひふが冷ひえているときの使用しようは禁忌きんきとされる。

また成熟せいじゅく果実かじつは秋田あきた県けんの郷土きょうど料理りょうり「とんぶり」の材料ざいりょうとなる。実じつはその性状せいじょうから「畑はたけのキャビア」「陸りくのキャビア」ともいわれ、煮付につけて大根だいこんおろしやとろろに加くわえて食たべられる。

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  9月のホウキギ（日本にっぽん）
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  成熟せいじゅく果実かじつ

参考さんこう文献ぶんけん

• 貝津かいづ好孝よしたか『日本にっぽんの薬草やくそう』小学館しょうがくかん〈小学館しょうがくかんのフィールド・ガイドシリーズ〉、1995年ねん7月がつ20日はつか、195頁ぺーじ。ISBN 4-09-208016-6。 
• 馬場ばば篤あつし『薬草やくそう500種しゅ－栽培さいばいから効用こうようまで』大貫おおぬき茂しげる（写真しゃしん）、誠まこと文ぶん堂どう新光しんこう社しゃ、1996年ねん9月がつ27日にち、104頁ぺーじ。ISBN 4-416-49618-4。