元もと泊とまり郡ぐん

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大日本帝国だいにっぽんていこく > 北海ほっかい地方ちほう > 樺太からふと庁ちょう > 敷じき香が支庁しちょう > 元もと泊とまり郡ぐん
樺太からふと・元もと泊とまり郡ぐんの位置いち（1.元もと泊とまり村むら 2.帆ほ寄やどりき村むら 3.知ち取と町まち）

元もと泊とまり郡ぐん（もとどまりぐん）は、日本にっぽんの領有りょうゆう下かにおいて樺太からふとに存在そんざいした郡ぐん。

以下いかの1町まち2村むらを含ふくんだ。


郡ぐん域いき[編集へんしゅう]

1915年ねん（大正たいしょう4年ねん）に行政ぎょうせい区画くかくとして発足ほっそくした当時とうじの郡ぐん域いきは、上記じょうきのうち、帆ほ寄やどりき村むら、元もと泊とまり村むらの2村むらの区域くいきに相当そうとうする。

歴史れきし[編集へんしゅう]

郡ぐん発足ほっそくまでの沿革えんかく[編集へんしゅう]

古代こだい[編集へんしゅう]

古墳こふん時代じだいの4世紀せいきころには鈴谷すずや文化ぶんかが、5世紀せいきころからオホーツク文化ぶんかが栄さかえた。飛鳥あすか時代ときよに阿倍比羅夫あべのひらふと交戦こうせんした粛慎はオホーツク文化ぶんか人じんに比定ひていされ、古代こだいの文献ぶんけん『日本書紀にほんしょき』や『続ぞく日本にっぽん紀き』にも記述きじゅつが見みえる。その後ご、擦こす文ぶん文化ぶんか進出しんしゅつにともない、オホーツク人じんは樺太からふと南部なんぶから駆逐くちくされた。

平安へいあん時代じだい中期ちゅうき（11世紀せいき）ころから、オオワシ羽はねやアザラシ皮かわなどを求もとめ、擦こす文ぶん文化ぶんかの担にない手てが進出しんしゅつ。当時とうじの和人わじん社会しゃかいでは武士ぶしが台頭たいとうし、矢や羽わや甲冑かっちゅうなどの材料ざいりょうとしてワシ羽わや海獣かいじゅう皮がわの需要じゅようが高たかまっていた。これらは重要じゅうような交易こうえき品しなとして、奥羽おううの豪族ごうぞく・安倍あべ氏しや奥州おうしゅう藤原ふじわら氏しにより全国ぜんこくに流通りゅうつうした。同時どうじに、和人わじん社会しゃかいから和わ産物さんぶつの流入りゅうにゅうもあり、擦こす文ぶん文化ぶんかからアイヌ文化ぶんかへの転換てんかんに繋つながったとみられる。アイヌは、擦こす文ぶん文化ぶんかの担にない手ての末裔まつえいである。

中世ちゅうせい[編集へんしゅう]

鎌倉かまくら時代ときよ以降いこう、蝦夷えぞ・えみしの子孫しそんを自称じしょうする蝦夷えぞ管領かんりょう・安東あんどう氏しが唐子からこ蝦夷えぞ（アイヌ）を統括とうかつ[1]していたと、当時とうじの文献ぶんけん『諏訪すわ大明神だいみょうじん絵詞えことば』にある。中世ちゅうせいの安東あんどう氏しは奥州おうしゅう藤原ふじわら氏しを引ひき継つぐかたちで、十じゅう三さん湊みなとを拠点きょてんに日本海にほんかい北部ほくぶを中心ちゅうしんにかなり広範囲こうはんいにわたって活動かつどうしていたという（『廻船かいせん式目しきもく』）。また、陸りくの豪族ごうぞくであるとともに安藤あんどう水軍すいぐんと呼よばれる武装ぶそう船団せんだんを擁ようし、蝦夷えぞ社会しゃかいで騒乱そうらんが起おこるとこれを鎮しずめるため、しばしば津軽つがるから出兵しゅっぺいしたという[2]。1904年ねんに発見はっけんされた帆ほ寄やどりき村むらの馬うま群ぐん潭土城じょうからは、大陸たいりく製せい武具ぶぐのほか和人わじん社会しゃかいで造つくられた武器ぶきなども出土しゅつど[3]。中世ちゅうせいの樺太からふとでは幾いく度どか騒乱そうらんがあり、モンゴルの樺太からふと侵攻しんこう（白しろ主ぬし土ど城じょうも参照さんしょう）或あるいは応おう永ひさし19年ねん（1412年ねん）の「応おう永ながの蝦夷えぞの乱らん[4]」の古戦場こせんじょうの可能かのう性せいも否定ひていはできない。安東あんどう氏しは応おう永年えいねん間あいだに「北海ほっかいの夷狄いてき動乱どうらん」を平定へいていし、日にち之の本ほん将軍しょうぐんと称しょうしていた。

室町むろまち時代ときよになり、安藤あんどう水軍すいぐんは関東かんとう御免ごめん船せんとして活動かつどう。和わ産物さんぶつを蝦夷えぞ社会しゃかいへ供給きょうきゅうし、北方ほっぽう産品さんぴんを大量たいりょうに仕入しいれ全国ぜんこくに出荷しゅっかしていたという（『十じゅう三さん往来おうらい』）[5][6][7][8]。また、当時とうじの唐子からこは北海道ほっかいどう日本海にほんかい側がわや北きた海岸かいがんおよび樺太からふと南部なんぶなど、近世きんせいでいう西にし蝦夷えぞ地ちに居住きょじゅうし、生活せいかつ必需ひつじゅ品ひんなどを入手にゅうしゅするため十じゅう三さん湊みなとや渡わたり党とうの領域りょういきまで赴おもむいていた（城下じょうか交易こうえきも参照さんしょう）。文明ぶんめい17年ねん（1485年ねん）、唐子からこ蝦夷えぞの乙おつ名めいが蝦夷えぞ管領かんりょうの代官だいかん武田たけだ信広のぶひろ（松前まさき家かの祖そ）に、銅どう雀すずめ台だい瓦かわら硯すずりを献上けんじょうし配下はいかになったと伝つたわる（『福山ふくやま秘ひ府ふ』）[9]。

近世きんせい[編集へんしゅう]

江戸えど時代じだいになると、慶長けいちょう8年ねん（1603年ねん）宗谷そうやに置おかれた役宅やくたくが西にし蝦夷えぞ地ちに属ぞくする元もと泊とまり郡ぐん域いきを司つかさどり、貞享ていきょう2年ねん（1685年ねん）以降いこうは宗谷そうや場所ばしょに含ふくまれた。樺太からふとアイヌたちは和人わじん地ちに赴おもむかず済すむようになったものの、郡ぐん域内いきないの住民じゅうみんは宗谷そうやに行いき鉄器てっきや米べい・木綿こわたなどの生活せいかつ必需ひつじゅ品ひんを入手にゅうしゅしていた。宝たから暦れき2年ねん（1752年ねん）ころシラヌシ（本ほん斗と郡ぐん好こう仁じん村むら白しろ主ぬし）に船ふねが派遣はけんされはじめ、寛政かんせい2年ねん（1790年ねん）樺太からふと南端なんたんの白しろ主ぬしに松前まさき藩はんが樺太からふと商しょう場じょう（場所ばしょ）を開設かいせつ、当時とうじの場所ばしょ請負人うけおいにんは阿部あべ屋や村山むらやま家か。幕府ばくふも勤番きんばん所しょを置おいた。このときクシュンコタン（大泊おおとまり郡ぐん大泊おおとまり町まち楠くすのき渓けい）に、交易こうえきの拠点きょてんや藩はんの出先でさき機関きかんの機能きのうも兼かねた運うん上屋うわやを置おき、撫育ぶいく政策せいさくオムシャや、老病ろうびょう者しゃへの生活せいかつ扶助ふじょ（介抱かいほう）などをおこなった。当時とうじの地方ちほう行政ぎょうせいの詳細しょうさいについては、場所ばしょ請負うけおい制せい成立せいりつ後ごの行政ぎょうせいおよび江戸えど時代じだいの日本にっぽんの人口じんこう統計とうけいも参照さんしょう。

場所ばしょ請負人うけおいにんはその後ご、寛政かんせい8年ねんから大阪おおさか商人しょうにん・小しょう山屋やまや権兵衛ごんべえと藩士はんし・板垣いたがき豊四郎とよしろう、翌よく9年ねんからは板垣いたがき豊四郎とよしろう単独たんどくの請負うけおいとなった。寛政かんせい12年ねん（1800年ねん）元もと泊とまり郡ぐん域いきを含ふくむカラフト場所ばしょは松前まさき藩はん直営ちょくえいとなり、藩士はんし・高橋たかはし荘そう四よん郎ろうと目め谷たに安やす二に郎ろうが管理かんりし、兵庫ひょうご商人しょうにん・柴屋しばや長ちょう太夫たゆうが仕入しいれを請負うけおった。

アイヌ乙おつ名めいの山やま丹に渡航とこう[編集へんしゅう]

18世紀せいき後半こうはん、ソヨンコタン（僧院そういん）とフヌフ（班はん伸しん）のアイヌ乙おつ名めいが満州まんしゅう人じんから朝貢ちょうこう交易こうえきを強しいられ、郷さと長ちょう（ガシャン・ダ）の称号しょうごうを与あたえられた[10]（冊さつ封ふう）。これは、ナヨロ（泊とまり居い郡ぐん名寄なよせ村むら）の惣そう乙おつ名めいが、交易こうえき相手あいてのスメレンクル夷えびすや山やま丹に人じんを殺害さつがいし商品しょうひんを奪うばったことに起因きいんする（『北きた夷えびす分界ぶんかい余話よわ』）。山やま丹にに出向でむくのは数すう年ねんに一いち度ど程度ていどであったが、アイヌ乙おつ名めいたちにとって大おおきな負担ふたんとなったという。

ただし、アイヌ乙おつ名めいたちは幕まく藩はん体制たいせい下したの郷ごう村むら制せいの役職やくしょくも持もちながら山やま丹に渡航とこうしており、薩摩さつま藩はんの附つけ庸いさお国こくであった琉球りゅうきゅう王国おうこくに近ちかい位置いちづけの外交がいこう関係かんけいや交易こうえき形態けいたいであった。

日本にっぽん列島れっとうにおける朝貢ちょうこうや冊さつ封ふうについては、カラフトナヨロ惣そう乙おつ名めい文書ぶんしょを参照さんしょう

紛争ふんそうなどが原因げんいんで朝貢ちょうこうを強要きょうようされた例れいは、他たに李り氏し朝鮮ちょうせんの仁じん祖そがあり、その経緯けいいは大だい清きよし皇帝こうてい功徳くどく碑ひも参照さんしょうされたい。

第だい一いち次じ幕まく領りょう期き[編集へんしゅう]

文化ぶんか4年ねん（1807年ねん）発生はっせいした文化ぶんか露ろ寇[11][12][13]を受うけ、元もと泊とまり郡ぐん域いきを含ふくむ西にし蝦夷えぞ地ちが松前まさき奉行ぶぎょうの管轄かんかつする公おおやけ議ぎ御料ごりょう（幕府ばくふ直轄ちょっかつ領りょう）とされ（〜1821年ねん、第だい一いち次じ幕まく領りょう期き）、樺太からふと場所ばしょ請負人うけおいにんは柴屋しばや長ちょう太夫たゆうとなる。

文化ぶんか5年ねん（1808年ねん）は会津あいづ藩はんが樺太からふと警固けいごをおこなう。文化ぶんか6年ねん(1809年ねん)西にし蝦夷えぞ地ちから樺太からふとが分立ぶんりつ、この年としからの警固けいごは弘前ひろさき藩はんに交代こうたいし、栖原すはら家かが伊達だて家かと共同きょうどうで北きた蝦夷えぞ地ち(文化ぶんか6年ねん6月がつ、樺太からふとと改称かいしょう)場所ばしょを請負うけおうようになった[14]。

北方ほっぽうの緊張きんちょうが解消かいしょうされ、元もと泊とまり郡ぐん域いきは文政ぶんせい4年ねん（1821年ねん）松前まさき藩はん領りょうに復ふくした。

山やま丹に交易こうえき改革かいかく

また、松田まつだ伝でん十郎じゅうろうの改革かいかく[15][16]では、山やま丹に交易こうえきを幕府ばくふ直営ちょくえいとし白しろ主ぬし会所かいしょのみで行おこない、支払しはらいできない分ぶんの借財しゃくざいを幕府ばくふが肩代かたがわりしり、借財しゃくざいを抱かかえ困窮こんきゅうしていたアイヌを救済きゅうさい。その後ご、過酷かこくな労働ろうどう環境かんきょうであるが亜あ庭にわ湾わんの漁場ぎょじょうなどに出稼でかせぎし、生計せいけいを立たてる者ものもいたという。同時どうじにアイヌ乙おつ名めいたちの山やま丹に渡航とこうも禁きんじた。

松前まさき藩はんや江戸えど幕府ばくふによる北きた蝦夷えぞ地ち検分けんぶん[編集へんしゅう]

第だい一いち次じ幕まく領りょう期きの文化ぶんか5年ねん（1808年ねん）、間宮まみや林蔵りんぞうは樺太からふと検分けんぶんのため渡わたり樺かばし元もと泊とまり郡ぐん域いきも踏査とうさ[17][18][19]。林蔵りんぞうは、北きた知床しれとこ半島はんとうからの帰かえり、樫かし保ほに立たち寄よっている。

幕末ばくまつの安政あんせい元年がんねん(1854年ねん)6月がつ、普請ふしん役やく間宮まみや鉄次郎てつじろうが東浦ひがしうらタライカ(多た来らい加か)まで調査ちょうさした。 結果けっか、アイヌはタライカ(敷じき香こうやつ郡ぐん多た来らい可村かむら多た来らい加か)まで居住きょじゅうしているが、公儀こうぎの撫育ぶいく、即すなわち会所かいしょ（運うん上屋うわや）にておこなわれるオムシャでの役やく蝦夷えぞの任命にんめい、周辺しゅうへんの役やく蝦夷えぞからの掟おきて書がきの伝達でんたつ（法ほうの適用てきよう）や住民じゅうみんの宗門しゅうもん人別にんべつ改あらため帳ちょう（戸籍こせき）の作成さくせい、漁場ぎょじょうなどでの就労しゅうろう、御ご救すくい米まいの支給しきゅう（介抱かいほう）など、樺太からふと東岸とうがんのアイヌ居住きょじゅう地ちではフヌフ(元もと泊村とまりむら班はん伸しん)まで、何なんらかの形かたちで撫育ぶいくや介抱かいほう、今いまで言いう「日本にっぽんの統治とうち」が及およんでいることが確認かくにんされた[20]。フヌフより北きたに住すむ者ものは風俗ふうぞくが少すこし異ことなり、「タライカ人じん」或あるいは「多た来らい加かアイヌ」と記述きじゅつする文献ぶんけんも存在そんざいする。

弘ひろし化か3年ねん（1846年ねん）と、安政あんせい4年ねん（1857年ねん）の2回かい、松浦まつうら武四郎たけしろうも訪おとずれた。武四郎たけしろうは概おおむね大泊おおとまり国境こっきょう線せんの前身ぜんしんにあたる道みち沿ぞいに旅たびし、元もと泊とまり郡ぐん域いきでは幕吏ばくりとして訪おとずれた安政あんせい4年ねん、往路おうろは元もと泊とまり村むらのフヌフ（班はん伸しん）とカシホ（樫かし保ほ）、復路ふくろは帆ほ寄やどりき村むらのマクンコタン（馬うま群ぐん潭）に宿泊しゅくはくしている。この調査ちょうさの時点じてんでは、ロシア人じんは未み到達とうたつ・否いや混こん住じゅうである。

『鈴木すずき重しげる尚なお　松浦まつうら武四郎たけしろう　唐から太ふとし日記にっき』（嘉よしみ永ひさし7年ねん（1854年ねん）刊行かんこう）に弘ひろ化か3年ねん当時とうじの状況じょうきょうの一部いちぶが書かかれている。

  • 帆ほ寄やどりき村むら
    • トッソ（突阻）に達たっした

北きた蝦夷えぞ餘あまり誌し（安政あんせい3年ねん、1856年ねんの状況じょうきょう）

  • 帆ほ寄やどりき村むら
    • チカヘロシナイ（近きん幌ほろ）・・・アイヌの家いえ2軒けん
    • マクンコタン（馬うま群ぐん潭）・・・サケ、マス、サクラマス多おおく、フヌフからイウウノの倅せがれキンロカリを連つれ出稼でかせぎ
  • 元もと泊とまり村むら
  • この奥おくはタライカに属ぞくす。・・・少すこし風俗ふうぞくが違ちがう、着きている物ものも三さん靼の古着ふるぎ、トドの皮かわで葺ふいた屋根やね
樺太からふと直ちょく捌場所しょの分立ぶんりつ[編集へんしゅう]

安政あんせい年間ねんかん(1854年ねん～1860年ねん)以降いこう、東岸とうがんは中ちゅう知床岬しれとこみさき以北いほくのオホーツク海かい側がわが幕府ばくふ直ちょく捌となる。 安政あんせい3年ねん（1856年ねん）鳥井とりい権けん之の助じょ、箱はこ館かん奉行ぶぎょうから北きた蝦夷えぞ地ち差配さはい人じんを拝命はいめい[21][22]。安政あんせい5年ねん（1858年ねん）、佐藤さとう広ひろ右みぎエ門もんと米屋よねや喜代きよ作さくが漁場ぎょじょうを開設かいせつした。漁場ぎょじょうの状況じょうきょうについては北海道ほっかいどうにおけるニシン漁りょう史しも参照さんしょうされたい。

東浦ひがしうら漁場ぎょじょう（南方なんぽうより順次じゅんじ記載きさい）安政あんせい5年ねん（1858年ねん）当時とうじの割当わりあて[23]

  • 佐藤さとう広ひろ右みぎエ門もん・・・松川まつかわ弁べん之の助すけの義弟ぎてい、越後えちご国こく新潟にいがたの人ひと
    • 拠点きょてん・・・シララオロ（栄浜さかえはま郡ぐん白しろ縫ぬい村むら白浦しろうら）
    • 受持うけもち場所ばしょ・・・南みなみのシルトロ川とろがわ（栄浜さかえはま郡ぐん富浜とみはま村むら白浜しらはま付近ふきん）より北きたのチカヘルウシナイ（帆ほ寄やどりき村むら近きん幌ほろ）まで
    • 差配さはい人じんを拝命はいめい。栄浜さかえはま郡ぐんの富浜とみはま村むら西部せいぶ（後ごの栄浜さかえはま村むら西部せいぶ）と白しろ縫ぬい村むら、元もと泊とまり郡ぐん帆ほ寄やどりき村むら南部なんぶにまたがる地域ちいきを割当わりあてられ漁場ぎょじょうを開ひらいた。
  • 米屋よねや喜代きよ作さく(慶応けいおう二に年ねん以降いこうの佐野さの孫右衛門まごえもん)
    • 拠点きょてん・・・マクンコタン（帆ほ寄やどりき村むら馬うま群ぐん潭）
    • 受持うけもち場所ばしょ・・・南みなみのノボリホ（帆ほ寄やどりき村むら登のぼり帆かい）より北きたのウエンコタン（新しん問とい郡ぐん東あずま知とも取と村むら北きた遠とお古丹こたん）まで
    • 帆ほ寄やどりき村むらと元もと泊とまり村むら、新しん問とい郡ぐん東ひがし知ち取と村むらを割当わりあてられ、漁場ぎょじょうを開ひらいたが経営けいえいは困難こんなんを極きわめた。文久ぶんきゅう3年ねんに漁場ぎょじょう返納へんのうを却下きゃっかされ、さらに3年間ねんかん経営けいえいを継続けいぞく。

※いずれも、後のちに栖原すはら家かに取と捌を引継ひきつがれた。

幕末ばくまつの状況じょうきょうについて、「北海道ほっかいどう歴れき検けん図ず」[24]のカラフトの部分ぶぶんの絵図えずと松浦まつうら武四郎たけしろうの「北きた蝦夷えぞ山川やまかわ地理ちり取調とりしらべ図ず」等とう[25]によると、小しょう休きゅう所しょでは、マクンコタン(帆ほ寄やどりき村むら馬うま群ぐん潭)に「小しょう休きゅう所しょ」が描えがかれていることから、大泊おおとまり国境こっきょう線せんの前身ぜんしんに相当そうとうする道みちがフヌフ（元もと泊村とまりむら班はん伸しん、元もと泊はくの北きた樫かし保ほの南みなみ）付近ふきんまで通つうじていたようである。

幕末ばくまつの樺太からふと警固けいご（第だい二に次じ幕まく領りょう期き）[編集へんしゅう]

安政あんせい2年ねん（1855年ねん）日にち露ろ和親わしん条約じょうやくで樺太からふと国境こっきょうが未み確定かくていのまま棚上たなあげ先送さきおくりとなっていた。この年とし以降いこう、樺太からふとを含ふくむ蝦夷えぞ地ちが再ふたたび公おおやけ議ぎ御料ごりょうとなり、秋田あきた藩はんが元もと泊とまり郡ぐん域いきの警固けいごも行おこなった[26]。冬季とうきは漁場ぎょじょうの番屋ばんやに詰つめる番人ばんにんを武装ぶそう化かして足軽あしがるとし警固けいごした。万延まんえん元年がんねん（1860年ねん）樺太からふと警固けいごは仙台せんだい・会津あいづ・秋田あきた・庄内しょうないの4藩はんとなるが東北とうほく諸しょ藩はんの負担ふたんは大おおきく、文久ぶんきゅう3年ねん（1863年ねん）以降いこうは仙台せんだい・秋田あきた・庄内しょうないの3藩はん体制たいせいとなる[25]。慶応けいおう3年ねん（1867年ねん）樺太からふと雑居ざっきょ条約じょうやくで樺太からふと全島ぜんとうが日にち露ろ雑居ざっきょ地ちとされた。

大政奉還たいせいほうかん後ご[編集へんしゅう]

大政奉還たいせいほうかん後ごの慶応けいおう4年ねん（1868年ねん）4月がつ12日にち、箱はこ館かん裁判所さいばんしょ(閏うるう4月がつ24日にちに箱はこ館かん府ふと改称かいしょう)の管轄かんかつ[27][28]となり、明治めいじ2年ねん（1869年ねん）北きた蝦夷えぞ地ちを樺太からふと州しゅう（国くに）と改称かいしょう[29]。同年どうねん、開拓かいたく使し直轄ちょっかつ領りょうとなった。明治めいじ3年ねん（1870年ねん）開拓かいたく使しと分離ぶんりし、樺太からふと開拓かいたく使し領りょうを経へて、明治めいじ4年ねん（1871年ねん）北海道ほっかいどう開拓かいたく使しと再さい統合とうごうされ開拓かいたく使し直轄ちょっかつ領りょうに復ふくした。同年どうねん8月がつ29日にち、廃藩置県はいはんちけん。このころ行おこなわれた文明開化ぶんめいかいか期きの事象じしょうとしては、神仏しんぶつ分離ぶんり令れい、壬みずのえ申さる戸籍こせき編へん製せい、散髪さんぱつ脱だつ刀かたな令れい、平民へいみん苗字みょうじ必称義務ぎむ令れい公布こうふなどが挙あげられる。アイヌは百姓ひゃくしょう身分みぶんだったため、平民へいみんとなった。明治めいじ8年ねん（1875年ねん）、樺太からふと千島ちしま交換こうかん条約じょうやくによりロシア領りょうとされたが、同どう条約じょうやく第だい六ろく款において、日本人にっぽんじんの漁業ぎょぎょう権けんが認みとめられており[30]、露ろ領りょう時代じだいの元もと泊とまり郡ぐん域いき沿岸えんがんは東海岸ひがしかいがん漁区ぎょく（中ちゅう知床岬しれとこみさきから北きた知床岬しれとこみさきまで）の範囲はんいに含ふくまれた。

日本にっぽん領りょうに復帰ふっき[編集へんしゅう]

郡ぐん発足ほっそく以降いこうの沿革えんかく[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  1. ^ 函館はこだて市し史し 通説つうせつ編へん1 通説つうせつ編へん第だい1巻かん　第だい3編へん　古代こだい・中世ちゅうせい・近世きんせい 第だい1章しょう　安東あんどう氏し及および蠣崎かきざき氏し 第だい2節せつ　安東あんどう氏しの支配しはい
  2. ^ 木村きむら裕ひろし俊しゅん 「道みち南みなみ十じゅう二に館かんの謎なぞ」111頁ぺーじ ISBN 978-4-8328-1701-2
  3. ^ 新岡にいおか武彦たけひこ・宇田川うだがわ洋ひろし著ちょ 187頁ぺーじ ISBN 4-8328-9013-1
  4. ^ 海保かいほ嶺夫みねお エゾの歴史れきし 215頁ぺーじ ISBN 978-4-0615-9750-1　原はら出典しゅってん:遠藤えんどう巌いわお 「応おう永なが初期しょきの蝦夷えぞ反乱はんらん」『北きたからの日本にっぽん史し』 三省堂さんせいどう 1988年ねん
  5. ^ 海保かいほ嶺夫みねお エゾの歴史れきし 117,149-152頁ぺーじ ISBN 978-4-0615-9750-1
  6. ^ 木村きむら裕ひろし俊しゅん 「道みち南みなみ十じゅう二に館かんの謎なぞ」95-98,137-138頁ぺーじ ISBN 978-4-8328-1701-2
  7. ^ 函館はこだて市し史し 通説つうせつ編へん1 通説つうせつ編へん第だい1巻かん　第だい3編へん　古代こだい・中世ちゅうせい・近世きんせい 第だい1章しょう　安東あんどう氏し及および蠣崎かきざき氏し 第だい3節せつ　中世ちゅうせい期きの商品しょうひん流通りゅうつう
  8. ^ 五所川原ごしょがわら市しの地域ちいき経済けいざい循環じゅんかん分析ぶんせき 安東あんどう氏しの活動かつどう範囲はんいは北海道ほっかいどうや樺太からふとのほか、大陸たいりくにも及およんでいたという
  9. ^ 松前まさき町まち「松前まさきの文化財ぶんかざい」 - 松前まさき家伝かでん　銅どう雀すずめ台だい瓦かわら硯すずり
  10. ^ 佐々木ささき史郎しろう「18,19世紀せいきにおけるアムール川下かわしも流域りゅういきの住民じゅうみんの交易こうえき活動かつどう」『国立こくりつ民族みんぞく学がく博物館はくぶつかん研究けんきゅう報告ほうこく』第だい22巻かん第だい4号ごう、国立こくりつ民族みんぞく学がく博物館はくぶつかん、1998年ねん、683-763頁ぺーじ、doi:10.15021/00004131、NAID 110000448267。 
  11. ^ 稚内わっかない史し 第だい二に章しょう ロシアの乱暴らんぼうと山崎やまざき半蔵はんぞうの宗谷そうや警備けいび
  12. ^ 文化ぶんか四よん（千せん八はち一いち七なな）年ねんロシアの択捉島えとろふとう襲撃しゅうげきを巡めぐる諸しょ問題もんだい 川上かわかみ淳あつし
  13. ^ 高野たかの明あきら、「フヴォストフ文書ぶんしょ考こう」『早稲田大学わせだだいがく図書館としょかん紀要きよう』 1964年ねん 6巻かん p.1-28, hdl:2065/00053944, NAID 120006306514
  14. ^ 田島たじま佳けい也、「近世きんせい期き～明治めいじ初期しょき、北海道ほっかいどう・樺太からふと・千島ちしまの海うみで操業そうぎょうした紀州きしゅう漁民ぎょみん・商人しょうにん」『知多半島ちたはんとうの歴史れきしと現在げんざい(16) 』 2015年ねん 19巻かん, 日本福祉大学にほんふくしだいがく知多半島ちたはんとう総合そうごう研究所けんきゅうじょ
  15. ^ 稚内わっかない史し 第だい五ご章しょう 樺太からふと詰つめ松田まつだ伝でん十郎じゅうろうの山やま丹に交易こうえき改革かいかく
  16. ^ 池添いけぞえ博彦ひろひこ、北きた蝦夷えぞ地ち紀行きこうの食しょく文化ぶんか考こう 北きた夷えびす談だんについて 『帯広大谷短期大学おびひろおおたにたんきだいがく紀要きよう』 1995年ねん 32巻かん p.33-48, doi:10.20682/oojc.32.0_33
  17. ^ 稚内わっかない史し 第だい三さん章しょう 松田まつだ伝でん十郎じゅうろうと間宮まみや林蔵りんぞうの樺太からふと踏査とうさ
  18. ^ 池添いけぞえ博彦ひろひこ、北きた蝦夷えぞ地ち紀行きこうの食しょく文化ぶんか考こう 北きた夷えびす分界ぶんかい余話よわについて 帯広大谷短期大学おびひろおおたにたんきだいがく紀要きよう 1993 年ねん 30 巻かん p. A51-A60, doi:10.20682/oojc.30.0_A51
  19. ^ 松浦まつうら美由紀みゆき, 池添いけぞえ博彦ひろひこ、北きた蝦夷えぞ地ち紀行きこうの食しょく文化ぶんか考こう 東ひがし韃地方ちほう紀行きこうおよび北きた蝦夷えぞ餘あまり誌しについて 『帯広大谷短期大学おびひろおおたにたんきだいがく紀要きよう』 1994年ねん 31巻かん p.1-12, doi:10.20682/oojc.31.0_1
  20. ^ 上村うえむら　英明えいめい、「北海道ほっかいどう」・「沖縄おきなわ」の植民しょくみん地ち化かとその国際こくさい法ほうの論理ろんり　- アジアにおける「先住民せんじゅうみん族ぞく」形成けいせいの一時いちじ例れい -
  21. ^ 敦賀つるが屋や文書ぶんしょ（鳥井とりい家か文書ぶんしょ）
  22. ^ 「新潟にいがた県けん北洋ほくよう漁業ぎょぎょう発展はってん誌し」内橋うちはし　潔きよし　著ちょ
  23. ^ 『新しん北海道ほっかいどう史し』第だい二に巻かん通説つうせつ一いち　Ｐ.764
  24. ^ 目め賀田よした帯たい万まんが安政あんせい3年ねん4年ねん(1856・57)頃ごろのカラフト沿岸えんがんを写生しゃせいした「延のべ叙じょ歴れき検けん真しん図ず」の再さい写うつし図ず
  25. ^ a b 榎森えのもり進すすむ、「「日にち露ろ和親わしん条約じょうやく」がカラフト島とうを両国りょうこくの 雑居ざっきょ地ちとしたとする説せつは正ただしいか?」『東北とうほく文化ぶんか研究所けんきゅうじょ紀要きよう』 2013年ねん 45号ごう p.1-22, 東北学院大学とうほくがくいんだいがく東北とうほく文化ぶんか研究所けんきゅうじょ
  26. ^ 平成へいせい18年度ねんど 秋田あきた県けん公文書こうぶんしょ館かん企画きかく展てん 秋田あきた藩はんの海防かいぼう警備けいび
  27. ^ 秋月あきづき俊幸としゆき、「明治めいじ初年しょねんの樺太からふと 日にち露ろ雑居ざっきょをめぐる諸しょ問題もんだい」『スラヴ研究けんきゅう』 1993年ねん 40巻かん p.1-21, 北海道大学ほっかいどうだいがくスラブ研究けんきゅうセンター
  28. ^ 第だい十じゅう七なな回かい資料しりょう紹介しょうかい展てん 徳島とくしま県けん人じんの北海道ほっかいどう移住いじゅう 徳島とくしま県立けんりつ文書ぶんしょ館かん
  29. ^ 髙木崇たかし世よ芝しば、近世きんせい蝦夷えぞ地ちの地名ちめい
  30. ^ 山口やまぐち精きよし次じ「橋立はしだて出身しゅっしん 忠ちゅう谷だに・田端たばた家かの函館はこだてに於おける商業しょうぎょう活動かつどう」『市立しりつ函館はこだて博物館はくぶつかん研究けんきゅう紀要きよう』第だい20巻かん、市立しりつ函館はこだて博物館はくぶつかん、2010年ねん、21-50頁ぺーじ、doi:10.24484/sitereports.121115-58797。 
  31. ^ 法律ほうりつ第だい39号ごう 官報かんぽう 大正たいしょう7年ねん（1918年ねん）4月がつ17日にち

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関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん終戦しゅうせん頃ころ
1922年ねん改編かいへん頃ごろ
元もと泊とまり郡ぐん
敷じき香こうやつ郡ぐん
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