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公的こうてき年金ねんきん

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公的こうてき年金ねんきん(こうてきねんきん、えい: Public Pensions)とは、社会しゃかい保障ほしょう観点かんてんから財政ざいせい援助えんじょ税制ぜいせい優遇ゆうぐう措置そちあたえ、くにおこな年金ねんきんである。

日本にっぽん公的こうてき年金ねんきんには、老齢ろうれい年金ねんきんとして国民こくみん年金ねんきん厚生こうせい年金ねんきん共済きょうさい年金ねんきんがある。

厚生こうせい労働省ろうどうしょう調査ちょうさでは、公的こうてき年金ねんきん支給しきゅう総額そうがく年金ねんきん総額そうがく)が2009ねんに50ちょうえんたっし、名目めいもく国内こくないそう生産せいさん(GDP)にたいする割合わりあいが1わりえた。年金ねんきん受給じゅきゅうしゃすうが3703まんにん前年度ぜんねんどで3.1%え、加入かにゅうしゃすうは0.9%げんの6874まんにんった。

公的こうてき年金ねんきん拠出きょしゅつされたきんてられ、年金ねんきん積立つみたてきん管理かんり運用うんよう独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん運用うんようしている。

2018ねんまつ時点じてん運用うんよう資産しさん総額そうがくやく151ちょうえんである[1]外国がいこく公的こうてき年金ねんきん運用うんようについて、方式ほうしきであっても利息りそくなどによる増加ぞうか見越みこして十分じゅうぶんがく給付きゅうふしようというこころみもある[注釈ちゅうしゃく 1]

積立つみたて方式ほうしき賦課ふか方式ほうしき

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年金ねんきん制度せいどには、積立つみたて方式ほうしき(つみたてほうしき)と賦課ふか方式ほうしき(ふかほうしき)とがあり、積立つみたて方式ほうしきとはわか現役げんえき時代じだいはらんだかねて、老後ろうごにそのおかね仕組しくみである。賦課ふか方式ほうしきとは、はたら現在げんざい現役げんえきひとはらんだかね現在げんざい高齢こうれいしゃ支給しきゅうする仕組しくみであり、この賦課ふか方式ほうしきによって「世代せだいあいだ扶養ふよう」が実現じつげんできる[2]

現在げんざい公的こうてき年金ねんきん老後ろうご収入しゅうにゅうげんとして重要じゅうよう位置いちめているが、むかしからそうだったわけではない。たとえば、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでも「ニューディール政策せいさく以前いぜんには公的こうてき年金ねんきん制度せいどはなく、家族かぞく単位たんいはたらざかりの現役げんえき世代せだいいた両親りょうしん子供こどもやしない、それが世代せだいごとがれてきた。日本にっぽんでも、現在げんざい賦課ふか方式ほうしき年金ねんきん制度せいど基礎きそ確立かくりつしたのは、高度こうど経済けいざい成長せいちょうでそれまでの複数ふくすう世代せだい同居どうきょするだい家族かぞくからしょう人数にんずう親子おやこ2世代せだいのみのかく家族かぞく顕著けんちょになった20世紀せいきなかばである。

現在げんざい賦課ふか方式ほうしき年金ねんきん制度せいどは、個々ここ家族かぞくわって社会しゃかい全体ぜんたい高齢こうれいしゃ扶養ふようをする仕組しくみである。したがって、積立つみたて方式ほうしきでは本人ほんにん積立つみたてきん枯渇こかつすれば原則げんそく支給しきゅう停止ていしするのにたいして、賦課ふか方式ほうしきでは本人ほんにん現役げんえき時代じだい納付のうふした総額そうがく関係かんけいなく、本人ほんにん生存せいぞんするかぎ一定いっていがく支給しきゅう継続けいぞくする(ぎゃくに、たとえば本人ほんにん受給じゅきゅう開始かいしまえあるいは受給じゅきゅうちゅう死亡しぼうしても「残金ざんきん」が返還へんかんされることはない)。これはいわゆる「長生ながいきリスク」にたいするそなえつまり保険ほけんであり、年金ねんきん制度せいど正式せいしきには「年金ねんきん保険ほけん」、納付のうふするかねが「年金ねんきん保険ほけんりょう」とばれる所以ゆえんである。

両者りょうしゃ比較ひかくした場合ばあい賦課ふか方式ほうしき利点りてんひとつに、インフレ問題もんだいがある。はげしいインフレが継続けいぞくした場合ばあい積立つみたて方式ほうしきでは積立つみたてきん予定よていよりもはや使つかたしてしまうが、賦課ふか方式ほうしき場合ばあい、インフレスライドの効果こうかで、現役げんえき保険ほけん納付のうふしゃ世代せだい納付のうふがくはインフレぶんげられ、給付きゅうふしゃ給付きゅうふがくもインフレぶんげられることで、インフレリスクに対抗たいこうすることができる。他方たほうで、少子しょうし高齢こうれい進展しんてん世代せだいあいだ人口じんこうおおきなちがいがしょうじると、現役げんえき世代せだい保険ほけんりょう負担ふたん過重かじゅうになるというデメリットがあることも否定ひていできない。

日本にっぽん

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日本にっぽん公的こうてき年金ねんきん制度せいど戦後せんご積立つみたて方式ほうしきでスタートしたが、その賦課ふか方式ほうしき事実じじつじょう移行いこうした。

現行げんこうほうでは、所定しょてい要件ようけん該当がいとうするもの全員ぜんいん公的こうてき年金ねんきん強制きょうせい加入かにゅうとされ、将来しょうらい保険ほけん事故じこ現行げんこうほうでは老齢ろうれい障害しょうがい死亡しぼうの3つを規定きていしている)が発生はっせいしたさい年金ねんきんまたいちきん給付きゅうふけるという「社会しゃかい保険ほけん方式ほうしき」による国民こくみんみな年金ねんきん採用さいよう[注釈ちゅうしゃく 2]している。公的こうてき年金ねんきん加入かにゅうしゃ保険ほけんりょうおさめ、将来しょうらい年金ねんきん給付きゅうふけることとなっている。

給付きゅうふは、現在げんざい受給じゅきゅうしゃ年金ねんきん給付きゅうふ必要ひつよう費用ひようを、その期間きかん現役げんえき世代せだいおさめる保険ほけんりょう国庫こっこ負担ふたんぜい)でまかな方式ほうしき賦課ふか方式ほうしき)を採用さいようしている。もっとも、一定いってい期間きかん以上いじょうあいだ保険ほけんりょうおさめなければ年金ねんきん受給じゅきゅうできず、さらに老齢ろうれい年金ねんきん保険ほけんりょう納付のうふした期間きかんおうじて年金ねんきん受給じゅきゅうがく増減ぞうげんすることから、積立つみたて方式ほうしき側面そくめんもある。

公的こうてき年金ねんきん種類しゅるい

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公的こうてき年金ねんきんかく制度せいどなか給付きゅうふ要件ようけんべつ老齢ろうれい年金ねんきん障害しょうがい年金ねんきん遺族いぞく年金ねんきんの3種類しゅるいがある。

公的こうてき年金ねんきん老齢ろうれい年金ねんきん種類しゅるい

過去かこ共済きょうさい組合くみあいおこなっていた共済きょうさい年金ねんきんは、2015ねん10がつ厚生こうせい年金ねんきん統合とうごうされた。

年金ねんきん階層かいそう

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日本にっぽん公的こうてき年金ねんきんは2かい方式ほうしきわれ、1かい部分ぶぶん基礎きそ年金ねんきん国民こくみん年金ねんきん該当がいとうする)と2かい部分ぶぶん厚生こうせい年金ねんきんから[3]。さらに私的してき年金ねんきん企業きぎょう年金ねんきんが、3かい部分ぶぶんわれる[3]

国民こくみん年金ねんきんのみに加入かにゅうするもの自営業じえいぎょう無職むしょくなど)は1かい国民こくみん年金ねんきんくわえて、2かい部分ぶぶん相当そうとうする国民こくみん年金ねんきん基金ききんなどの私的してき年金ねんきん任意にんい加入かにゅうし、年金ねんきん受給じゅきゅうがくやすことができる。所定しょてい要件ようけんたす厚生こうせい年金ねんきん保険ほけん加入かにゅうしゃ同時どうじ国民こくみん年金ねんきん加入かにゅうしゃとなる。

老齢ろうれい基礎きそ年金ねんきん受給じゅきゅう必要ひつよう加入かにゅう期間きかんの「10ねん」は、原則げんそくとして国民こくみん年金ねんきん加入かにゅうして保険ほけんりょうおさめた期間きかんが10ねんとなることが必要ひつようである。

年金ねんきん種類しゅるいとその階層かいそう
3かい部分ぶぶん 各種かくしゅ企業きぎょう年金ねんきん企業きぎょう選択せんたく私的してき年金ねんきん
2かい部分ぶぶん 国民こくみん年金ねんきん基金ききん個人こじん選択せんたく私的してき年金ねんきん 厚生こうせい年金ねんきん義務ぎむ公的こうてき年金ねんきん
1かい部分ぶぶん 国民こくみん年金ねんきん基礎きそ年金ねんきん)(義務ぎむ公的こうてき年金ねんきん

注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ たとえば、シンガポールでは個人こじん単位たんいてたものを政府せいふ運用うんようする方法ほうほう給付きゅうふ確保かくほしようとしている。
  2. ^ 国民こくみんみな年金ねんきんきし信介しんすけ内閣ないかくのときに採用さいようした。

出典しゅってん

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  1. ^ 年金ねんきん積立つみたてきん管理かんり運用うんよう独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん (2018ねん12がつ). “最新さいしん運用うんようじょうきょう年金ねんきん積立つみたてきん管理かんり運用うんよう独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん”. 2019ねん6がつ19にち閲覧えつらん
  2. ^ 世代せだいあいだ扶養ふよう賦課ふか方式ほうしき基本きほんとする年金ねんきん制度せいど 厚生こうせい労働省ろうどうしょう
  3. ^ a b 野村證券のむらしょうけん. “日本にっぽん年金ねんきん制度せいど”. 2019ねん6がつ19にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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  • HMG(英国えいこく政府せいふ柏野かしの健三けんぞうわけしん福祉ふくし契約けいやく 英国えいこく野心やしん帝塚山大学てづかやまだいがく出版しゅっぱんかい2008ねん

関連かんれん項目こうもく

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英語えいごばん

外部がいぶリンク

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