内包ないほうと外延がいえん

内包ないほう（intension）はある概念がいねんがもつ共通きょうつうな性質せいしつのことを指さし、外延がいえん（extension）は具体ぐたい的てきにどんなものがあるかを指さすものである。これらは互たがいに対義語たいぎごの関係かんけいをもつ。

集合しゅうごう

詳細しょうさいは「集合しゅうごう#記法きほう」を参照さんしょう

数学すうがくの集合しゅうごうの記法きほうにおける、内包ないほうによる記法きほうと外延がいえんによる記法きほうについては、詳細しょうさいは集合しゅうごう#記法きほうを参照さんしょう。論理ろんりにおいても内包ないほうと外延がいえんという語かたりは使つかわれることがあるが、（現代げんだいにおいては）数学すうがくと同様どうようの用法ようほうがなされる。基本きほん的てきに表現ひょうげん法ほうの違ちがいであり、（外延がいえんによる記法きほうでは、厳密げんみつさが必要ひつような場合ばあいに「任意にんいの偶数ぐうすうの集合しゅうごう」のような集合しゅうごうは書かけない、といった違ちがいはあるが）外延がいえん性せいの公理こうりにより、実質じっしつが同おなじであれば両者りょうしゃは同おなじものとする。よって以下いかのような哲学てつがくの場合ばあいのような議論ぎろんは通常つうじょうは必要ひつようとしない。

なお、量りょう#外延がいえん量りょうと内包ないほう量りょうにある「外延がいえん量りょう」「内包ないほう量りょう」という語かたりは、物理ぶつり学がくにおける物理ぶつり量りょうに関かんする熱ねつ力学りきがく的てき概念がいねん（示しめせ量りょう性せいと示しめせ強きょう性せい）及および、数学すうがくでは測度そくど論ろん的てきに区別くべつを考かんがえることができるような術語じゅつご（テクニカルターム）として考かんがえたほうが良よく、ここでの議論ぎろんから類推るいすいできるようなものとは異ことなる。詳細しょうさいはやはりリンク先さきの記事きじを参照さんしょう。

哲学てつがく

「定義ていぎ#外延がいえんと内包ないほう」も参照さんしょう

内包ないほうはある記号きごう（言葉ことば）が意義いぎとする、対象たいしょうに共通きょうつうな性質せいしつのことであり、外延がいえんは記号きごうの指さす具体ぐたい対象たいしょうのことを指さす。また、外延がいえんと内包ないほうは各々おのおの、概念がいねんの外側そとがわか内側うちがわかという意味合いみあいを持もっている。例たとえば「芸術げいじゅつ」という言葉ことばは、「自己じこ表現ひょうげん」「人間にんげん活動かつどう」などの属性ぞくせいを内包ないほうとするのにたいして、「演劇えんげき」「音楽おんがく」「絵画かいが」「彫刻ちょうこく」「文学ぶんがく」などの非ひ属性ぞくせいを外延がいえんとして指さす。

すなわち「芸術げいじゅつ」を内包ないほう的てき定義ていぎで表あらわすと「芸術げいじゅつとはさまざまな方法ほうほうで自己じこ表現ひょうげんを行おこない、美的びてきな価値かちを創出そうしゅつする人間にんげん活動かつどう」のようになり、外延がいえん的てき定義ていぎは「芸術げいじゅつとは演劇えんげき、音楽おんがく、絵画かいが、彫刻ちょうこく、文学ぶんがくなどのこと」となる。外延がいえん的てき定義ていぎではすべての例れいをあげることは大抵たいてい困難こんなんなので、などのような言葉ことばを用もちいて具体ぐたい例れいを途中とちゅうで打うちきることが多おおい。

集合しゅうごうの記号きごうで書かくと、内包ないほうは「芸術げいじゅつ」を、

「芸術げいじゅつ」＝「自己じこ表現ひょうげん」∩ 「人間にんげん活動かつどう」 ∩ ...

のように積せき集合しゅうごうで規定きていする。「芸術げいじゅつ」は右辺うへんの諸しょ概念がいねんの内包ないほう(すなわち特殊とくしゅ化か)として表あらわされる。一方いっぽう、外延がいえんは「芸術げいじゅつ」を、

「芸術げいじゅつ」＝「音楽おんがく」 ∪ 「絵画かいが」 ∪ 「彫刻ちょうこく」 ∪ 「文学ぶんがく」 ∪ ...

のように和わ集合しゅうごうで規定きていする。「芸術げいじゅつ」は右辺うへんの諸しょ概念がいねんの外延がいえん(すなわち一般いっぱん化か)として表あらわされる。

「内包ないほう」と「外延がいえん」という概念がいねんは通常つうじょう互たがいに対義語たいぎごの関係かんけいである。ただしその定義ていぎについては哲学てつがく者しゃによってより限定げんていしたものとなることもある。また、内包ないほうは志向しこう性せい(Intention)との関連かんれんで論ろんじられることが多おおい。

家族かぞく的てき類似るいじも参考さんこう。