北緯45度線(ほくい45どせん)は、地球の赤道面より北に地理緯度にして45度の角度を成す緯線である。ヨーロッパ、アジア、太平洋、北アメリカ、大西洋を通過する。
よく北極点から赤道までの距離の中間地点だといわれるが、実際の中間地点は北緯45度線よりも16キロメートル北にある。これは地球が、自転による遠心力で赤道付近が膨らみ極付近が平らな楕円体であることに起因する[1]。
この緯度の下では、夏至点時の可照時間は15時間37分で、冬至点時は8時間46分である[2][3]。
この緯度上では、度数法による度・分・秒で分画される子午線弧長は概ね以下の長さに相当する。
- 1度 = 96.49 km (59.95 mi)
- 1分 = 1.61 km (1.00 mi)
- 1秒 = 26.80 m (87.93 ft)
本初子午線から東に向かって北緯45度線は以下の場所を通っている。
北アメリカにおいて北緯45度線は、セントローレンス川とコネチカット川の間で大まかにアメリカ合衆国 - カナダ間の国境の一部となっており (米国側はニューヨーク州およびバーモント州の北側、カナダ側はケベック州の南側である) 、しばしばカナダ・ライン Canada line) と呼ばれる。実際には1772年の調査時に誤りがあった[4]ため、バーモント州の正確な州境線は約1kmほど北に引かれている。この境界線は (大部分は米国領であるが) 両国が共有しているシャンプレーン湖と交差する。
45度線はモンタナ州とワイオミング州の州境の大部分を形成している。また、米国内では他にオレゴン州、アイダホ州、サウスダコタ州、ミネソタ州、ウィスコンシン州、ミシガン州、ニューヨーク州、バーモント州、ニューハンプシャー州およびメーン州を、カナダではオンタリオ州、ケベック州、ニューブランズウィック州およびノバスコシア州を通過する。
カナダではノバスコシア州を大まかに二等分しており、州都ハリファックスは45度線より約40 km南にある。
ニューブランズウィック州の本土はすべて45度線よりも北にあり、州内最大の都市セントジョンの南西約90kmにある州本土最南端の町グリーンズ・ポイントのわずかに南を通過する。ディア島の3分の2とカンポベロ島およびグランド・マナン島の全土が45度線の南に位置する。
ミシガン州では、グランドトラバース湾に面するオールドミッション半島の先端がちょうど45度線上にある。多くのガイドブックや標識ではミッションポイント灯台が赤道と北極点の中間地点であると解説されている。グランドトラバース湾が通常の潮位まで下がったとき、北緯45度ちょうどまで歩いて行くことができる。
西に視点を移すと、ウィスコンシン州中央部、ウォーソー市の西郊で、45度線は西経90度線と交わる(45×90地点のひとつ)。さらに西では、45度線はミネアポリス・セントポール都市圏を大きく二等分する。ミネアポリスのセオドア・ワース公園内には記念銘板が置かれている。ノースイースト・ミネアポリス市内を東西方向に走る大通り (Broadway Avenue) のセンターラインは、市の設計者により計画的に北緯45度線の延長上に引かれた。 (つまり、大通りの中央に立った場合、文字通り45度線上に立ったことになるということである。) 米国西部においては、45度線はグレートプレーンズやロッキー山脈を横切り、オレゴン州の太平洋岸と交差する。米国中で45度線の通過する地点には、当地が北極点と赤道の中間地点である旨を示す高速道路の標識等が見られる。
西から順に北アメリカでは以下の都市またはわずかにその脇を通過する。
前節からさらに45度線を西へ延長すると、長く北太平洋を渡った後、利尻礼文サロベツ国立公園を横切り、日本の北海道北部に位置する幌延町を通過する。さらに日本海北部海域を進み、ロシアウラジオストクの北方、沿海地方沿岸部と交差する。
ロシアとの国境地帯にある中国東北部のハンカ湖を通過し、黒竜江省、吉林省および内モンゴル自治区東部を横切る。モンゴル南部のモンゴル高原の、スフバータル、ドルノゴビ (および県都サインシャンド)、ドンドゴビ、ウブンハルガイ、バヤンホンゴル、ゴビ・アルタイ、ホブドの各県を横断する。中国北西部では新疆ウイグル自治区のイリ・カザフ自治州と産油地として知られるカラマイ市を通過する。
続いてカザフスタンの南部からバルハシ湖南端までを通過し、さらに西部のクズロルダへ延びる。アラル海でウズベキスタンと国境を接し、かつてソ連が使用していた化学兵器の研究所があるヴォズロジデニヤ半島を通る。ウスチュルト台地の北端をかすめ、再びカザフスタンへ入り、カスピ海の北部を経てヨーロッパとロシアへと延びていく。
ヨーロッパでは、東はロシア領コーカサス地方のカスピ海岸から、西はフランスのビスケー湾まで伸びている。ロシア領内ではカスピ海の西海岸から黒海の東海岸まで、カルムイク共和国、スタヴロポリ地方とその州都スタヴロポリ、クラスノダール地方とその行政の中心クラスノダールを通っている。ウクライナ領内では、クリミア自治共和国とその首都シンフェロポリを通っている。
更に其の西側ではバルカン半島を貫いている。: ルーマニア(プロイェシュティのすぐ北、トゥルグ・ジウの中)、セルビアのヴォイヴォディナ自治州、クロアチアの東端のごく一部、ボスニア・ヘルツェゴビナの北端,そしてアドリア海沿いのクロアチア領を通る。セルビアの首都であるベオグラードはこの緯線のすぐ南にある。
北イタリアでは、ロヴィーゴ付近でポー川を横切り、コッティアン・アルプスを越えてフランス領内に入る直前にトリノのすぐ南を通過する。南フランスでは、ヴァランスのすぐ北でローヌ川と交わる。フランスのオートルートの一つであるオートルート A7には、"Aire de Pont de l'Isere/Latitude 45'"というサービスエリアがある。その後はフランスの中央高地を越え、アキテーヌ地域圏に入る。ボルドーはこの緯線のすぐ南にある。