大奥おおおく(秘ひ)物語ものがたり

大奥おおおく㊙物語ものがたり
監督かんとく	中島なかじま貞夫さだお
脚本きゃくほん	国弘くにひろ威雄たけお 掛かけ札さつ昌裕まさひろ 佐治さじ乾いぬい 金子かねこ武郎たけお
出演しゅつえん者しゃ	佐久間さくま良子りょうこ 藤ふじ純子じゅんこ 岸田きしだ今日子きょうこ
音楽おんがく	鏑木かぶらき創はじめ
撮影さつえい	吉田よしだ貞次ていじ
編集へんしゅう	神田かんだ忠男ただお
配給はいきゅう	東映とうえい
公開こうかい	1967年ねん7月がつ30日にち
上映じょうえい時間じかん	90分ふん
製作せいさく国こく	日本にっぽん
言語げんご	日本語にほんご
次つぎ作さく	続ぞく大奥おおおく(秘ひ)物語ものがたり

『大奥おおおく㊙物語ものがたり』（おおおくまるひものがたり）は、1967年ねんの日本にっぽん映画えいが。東映とうえい製作せいさく。主演しゅえん・佐久間さくま良子りょうこ、藤ふじ純子じゅんこ、岸田きしだ今日子きょうこ。監督かんとく・中島なかじま貞夫さだお。R-18（成人せいじん映画えいが）指定してい作品さくひん。

概要がいよう

江戸城えどじょう大奥おおおくを舞台ぶたいに、女おんなたちの戦たたかいを3部ぶ構成こうせいで描えがく。

「大奥おおおく」とタイトルに冠かんされた最初さいしょの映像えいぞう作品さくひんであり、オムニバス形式けいしきで主演しゅえん級きゅうを女優じょゆうで固かためた点てんや、ナレーターが大奥おおおくを説明せつめいしながら話はなしが展開てんかいするスタイルが、今日きょう続つづく大奥おおおくもの（大奥おおおくに関かんする作品さくひんの一覧いちらん）や「女性じょせい時代じだい劇げき」の実質じっしつ的てき元祖がんそとなった作品さくひんである。大奥おおおくという閉鎖へいさされた世界せかいのドロドロとした人間にんげんドラマは、男性だんせい上位じょういの時代じだい劇げき史しの中なかでも特筆とくひつすべき女性じょせい路線ろせんの企画きかくであった。1967年度ねんどの日本にっぽん映画えいが配給はいきゅう収入しゅうにゅうでベストテン10位いの大だいヒットを記録きろく、東映とうえいとしても久ひさしぶりの時代じだい劇げきの大だいヒットとなった。本ほん作さくはふんだんにエロチシズムを取とり入いれた作品さくひんであるが、翌よく1968年ねんに本ほん作さくをベースにエロ要素ようそを薄うすめ、硬かたい内容ないようにして制作せいさくされたテレビドラマ『大奥おおおく』（関西かんさいテレビ）も大だいヒットした。以降いこう、テレビドラマや演劇えんげきでは"硬かたい大奥おおおくもの"が、映画えいがやAVなどでは"エロい大奥おおおくもの"が多数たすう制作せいさくされた。『大奥おおおく㊙物語ものがたり』は、二ふたつの源流げんりゅうになった作品さくひんである。

あらすじ

第だい1部ぶ

• 時ときは、六ろく代だい将軍しょうぐん・徳川とくがわ家宣いえのぶの時代じだい。家宣いえのぶ側室そくしつ・おこんとおすめの対立たいりつが激はげしい中なか、おこんの元もとに、大名だいみょうの娘むすめ・おふさとその女中じょちゅうおみのがやって来くる。しかしそんな中なか、家宣いえのぶは、おふさではなくおみのを夜伽よとぎに相手あいてに指名しめいしてしまう。

第だい2部ぶ

• 将軍しょうぐんと夜伽よとぎの相手あいてを監視かんしする添そい寝ね役やくを仰おおせつかった御ご年寄としより・浦うら尾おの部屋へや子こ・篠しのの井い。現場げんばを見みせつけられた篠しのの井いは、欲求よっきゅう不満ふまんで頭あたまがパンパンになってしまう。そんな中なか、浦うら尾おと篠しのの井いは、同性愛どうせいあいの関係かんけいになってしまう。

第だい3部ぶ

• 3年ねんの奉公ほうこうを終おえようとする上臈じょうろう御ご年寄としより・飛鳥井あすかいの部屋へや子こ・おちせ。おちせは大奥おおおくを辞やめた後のち、恋人こいびと・長吉ちょうきちと結婚けっこんするのが夢ゆめ。だが、家宣いえのぶはおちせを夜伽よとぎの相手あいてに指名しめいしてしまう。一生いっしょう大奥おおおくから出でられないことが分わかったおちせの元もとに、飛鳥井あすかいがある作戦さくせんを持もってくる。

出演しゅつえん

• おちせ（飛鳥井あすかい付づけ部屋へや子こ）：佐久間さくま良子りょうこ（第だい3部ぶ）
• おみの（おふさ付づけ部屋へや子こ→家宣いえのぶ側室そくしつ）：藤ふじ純子じゅんこ）（第だい1部ぶ）
• 浦うら尾お（御ご年寄としより）：岸田きしだ今日子きょうこ（第だい2部ぶ）　※第だい1部ぶでカメオ出演しゅつえん
• 飛鳥井あすかい（上臈じょうろう御ご年寄としより）：岩崎いわさき加か根子ねっこ（第だい1、3部ぶ）
• おすめ（家宣いえのぶ側室そくしつ、二にのお部屋様へやさま）：久保くぼ菜穂子なほこ（第だい1部ぶ）
• おこん（家宣いえのぶ側室そくしつ、一いちのお部屋様へやさま）：宮園みやその純子じゅんこ（第だい1部ぶ）
• たみ（長吉ちょうきちの姉あね）：坂本さかもとスミ子すみこ（第だい3部ぶ）
• 篠しのの井い（浦うら尾お付づけ部屋へや子こ→家宣いえのぶ側室そくしつ）：小川おがわ知子ともこ（第だい2部ぶ）
• 斎ときの局きょく（中臈ちゅうろう）：三島みしまゆり子こ（第だい1部ぶ）
• おふさ（おこん付づけ部屋へや方かた）：萩はぎ玲子れいこ（第だい1部ぶ）
• 玉岡たまおか（筆頭ひっとう御ご年寄としより（第だい1部ぶ）→隠居いんきょ（第だい2、3部ぶ））：中村なかむら芳子よしこ（第だい1、2、3部ぶ）
• 御ご広敷ひろしき役人やくにん：有川ありかわ正治しょうじ（第だい1部ぶ）
• 御ご典てん医い：村むら居きょ京きょう之の輔（第だい2部ぶ）
• 伊賀いが者しゃ二に：西田にしだ良りょう（第だい3部ぶ）
• 伊賀いが者しゃ一いち：結城ゆうき哲也てつや（第だい3部ぶ）
• 男おとこ：小山田おやまだ良樹よしき（第だい1部ぶ）
• 部屋へや子こ二に：崎山さきやま陽よう要よう（第だい2部ぶ）
• 部屋へや子こ一いち：波なみ千鶴ちづる（第だい2部ぶ）
• タモン：小島こじま恵子けいこ（第だい3部ぶ）
• 仲居なかい：岡田おかだ千代ちよ（第だい2部ぶ）
• おゆき：三浦みうら徳子とくこ（第だい1部ぶ）
• おまき：沢さわ淑子としこ（第だい1部ぶ）
• 磯いそ川がわ（御ご年寄としより）：国友くにとも和歌子わかこ（第だい1、2、3部ぶ）
• 女中じょちゅう一いち：服部はっとり三千代みちよ（第だい3部ぶ）
• 部屋へや子こ：司つかさみのり（第だい3部ぶ）
• 林はやし昌子まさこ
• 兼けん秀子ひでこ
• 女中じょちゅう二に：北口きたぐち千春ちはる（第だい3部ぶ）
• 御次おつぎ：千葉ちば淑子としこ（第だい3部ぶ）
• 稲村いなむら理恵りえ
• 御ご火ひの番ばん：林はやし三恵みえ（第だい1部ぶ）
• 茶屋ちゃやの女おんな：丸まる平たいら峰子みねこ（第だい3部ぶ）
• 老婆ろうば：金森かなもりあさの（第だい1部ぶ）
• 都賀つが静子しずこ
• 煕子ひろこ（御台みだい所しょ）：星野ほしの美恵子みえこ（第だい1部ぶ）
• 御伽おとぎ坊主ぼうず：日高ひだか綾子あやこ（第だい2部ぶ）
• 徳川とくがわ家宣いえのぶ（六ろく代だい将軍しょうぐん）：高橋たかはし昌也まさや（第だい1、2、3部ぶ）
• 長吉ちょうきち（おちせの恋人こいびと）：村井むらい国夫くにお（第だい3部ぶ）
• ナレーター：渡辺わたなべ美佐子みさこ
• 松島まつしま（御ご客きゃく会釈えしゃく（第だい1部ぶ）→筆頭ひっとう御ご年寄としより（第だい2、3部ぶ））：山田やまだ五十鈴いすず（東宝とうほう）（第だい1、2、3部ぶ）

スタッフ

• 脚本きゃくほん：金子かねこ武郎たけお、掛かけ札さつ昌裕まさひろ（第だい1部ぶ）、国弘くにひろ威雄たけお（第だい2部ぶ）、佐治さじ乾いぬい（第だい3部ぶ）　
• 企画きかく：岡田おかだ茂しげる、翁長おなが孝雄たかお、松平まつだいら乗じょう道どう
• 監督かんとく：中島なかじま貞夫さだお

キャッチコピー

• 髪かみがくずれます　裾すそがみだれます　帯おびがほどけます…上様うえさまその手てを離はなして下くださいませ
• 男おとこ一いち人にんに女おんな三さん千せん人にん　とてもとても口くちでは言いえない　愛欲あいよくと欲望よくぼううずまく大奥おおおく　おんな物語ものがたり

製作せいさく

当時とうじの東映とうえい常務じょうむ兼けん京都きょうと撮影さつえい所しょ所長しょちょう・岡田おかだ茂しげるプロデューサー（のち、同社どうしゃ社長しゃちょう）が任侠にんきょう路線ろせんと平行へいこうして、「男おとこの世界せかいを覗のぞき見みる」のが任侠にんきょう映画えいがなら「女おんなの世界せかいを覗のぞき見みる」のは何なにかという発想はっそうから、大胆だいたんな"エロティシズム＝性愛せいあい路線ろせん"を打うち出だし「京都きょうと撮影さつえい所しょ（以下いか、京きょう撮つまみ）の時代じだい劇げきの衣装いしょうを使つかってピンク映画えいがを撮とる」「男子だんし禁制きんせいの大奥おおおくの世界せかいを覗のぞき見みる」というコンセプトから企画きかくされたのが本ほん作さくとなる。岡田おかだはこれ以前いぜんにも東映とうえい東京とうきょう撮影さつえい所しょ所長しょちょう時代じだいの1963年ねんに佐久間さくま良子りょうこ主演しゅえんで『五番ごばん町まち夕ゆう霧きり楼ろう』1964年ねんに小川おがわ真由美まゆみ・緑みどり魔子まこ主演しゅえんで『二に匹ひきの牝めす犬けん』（渡辺わたなべ祐介ゆうすけ監督かんとく）を、京きょう撮つまみに戻もどった同年どうねんに中島なかじま貞夫さだおに『くノ一いち忍法にんぽう』、1966年ねんには"文芸ぶんげいエロ路線ろせん"と称しょうし『四畳半よじょうはん物語ものがたり 娼婦しょうふしの』（成澤なりさわ昌あきら茂しげる監督かんとく）といったエロティシズム要素ようそを含ふくんだ映画えいがを撮とらせており、既すでにその萌芽ほうがが見みられていた。この時期じきの東映とうえいは任侠にんきょう映画えいが以外いがいは全まったく当あたらなかったが、本ほん作さくが大だいヒットしたことで岡田おかだはメジャー会社かいしゃ初はつの「エロ映画えいが」量産りょうさんに舵かじを切きった。

タイトル

現在げんざいもよく使つかわれる㊙も岡田おかだの発想はっそうで、本ほん作さくのタイトルで初はじめて使用しようされた。元もとタイトルは『大奥おおおく物語ものがたり』であったが、岡田おかだはこのタイトルでは記録きろく映画えいがや歴史れきし文芸ぶんげい作品さくひんのように思おもわれてしまい、地味じみでヒットしないと考かんがえた。「男子だんし禁制きんせいの大奥おおおくの世界せかいを覗のぞき見みる」という隠微いんびさが必要ひつようだと考かんがえ、「大奥おおおく」と「物語ものがたり」の間あいだに㊙という文字もじを入いれることを思おもいつく。この㊙のおかげでエロティックな雰囲気ふんいきを漂ただよわすことができた。監督かんとくの中島なかじまはこの発想はっそうに衝撃しょうげきを受うけたという。しかし佐久間さくま良子りょうこはそれが東映とうえいを退社たいしゃする切きっ掛かけになったと明あかしている。マスコミは㊙から来くる卑猥ひわいな映画えいがと風評ふうひょうを流ながしたため、続編ぞくへんの際さいの配役はいやくに苦労くろうしたという。岡田おかだは本ほん作さくの成功せいこうを切きっ掛かけに「好色こうしょく路線ろせん」を本格ほんかく化かさせ、別種べっしゅの任侠にんきょう映画えいがと二に本立ほんだてにすることで両者りょうしゃの魅力みりょくが際立きわだち興行こうぎょう的てきにも成功せいこうした。若わかい頃ころから既すでに大川おおかわ博ひろし東映とうえい社長しゃちょう（当時とうじ）から絶対ぜったい的てき信頼しんらいを得えて辣腕らつわんを振ふるい、ゼネラルマネージャーとして東映とうえいの多おおくの映画えいが製作せいさくを担になってきた岡田おかだであるが、1968年ねん5月がつに常務じょうむ取締役とりしまりやく企画きかく製作せいさく本部ほんぶ長ちょう、同年どうねん秋あきに製作せいさくから営業えいぎょうまでを一貫いっかんして統括とうかつする営業えいぎょう本部ほんぶを新しん編成へんせいし、その長ちょうとなるとエロ路線ろせんがさらに本格ほんかく化かした。1969年ねんには映画えいが本部ほんぶ長ちょう兼けんテレビ本部ほんぶ長ちょうとなり、東映とうえいの全ぜん作品さくひんを完全かんぜん掌握しょうあく、本ほん作さくに端はしを発はっす「好色こうしょく路線ろせん」はさらにエスカレートしていく。

キャスティング

出演しゅつえんは、ヒロインの第だい1部ぶに藤ふじ純子じゅんこ、第だい2部ぶに岸田きしだ今日子きょうこ、第だい3部ぶに佐久間さくま良子りょうこ。将軍しょうぐん役やくに、高橋たかはし昌也まさや。大奥おおおくを取とり仕切しきる御ご年寄としよりに、東宝とうほう・山田やまだ五十鈴いすず。その他た岩崎いわさき加か根子ねっこ、坂本さかもとスミ子すみこを始はじめとする東映とうえいの女優じょゆうが大だい集結しゅうけつした。物語ものがたりの中なかで重要じゅうような役割やくわりを担になうナレーターは、渡辺わたなべ美佐子みさこが務つとめる。有名ゆうめいな岸田きしだ今日子きょうこのナレーターは1968年ねんの『大奥おおおく』からである。脚本きゃくほんは第だい1部ぶが金子かねこ武郎たけお、掛かけ札さつ昌裕まさひろ、第だい2部ぶが国弘くにひろ威雄たけお、第だい3部ぶが佐治さじ乾いぬい。監督かんとく・中島なかじま貞夫さだおは前作ぜんさく『あゝ同期どうきの桜さくら』のラストシーンの編集へんしゅう問題もんだいで大川おおかわ博ひろし社長しゃちょう（当時とうじ）の逆鱗げきりんに触ふれ、クビになる寸前すんぜん、岡田おかだから「もう一本いっぽん撮つまみらしたるわ」と監督かんとくに抜擢ばってきされた。映画えいがの大だいヒットでクビの話はなしは立たち消ぎえになったという。その他たのキャスティングも全すべて岡田おかだによるもの。本ほん作さくは藤ふじ純子じゅんこ、小川おがわ知子ともこ、佐久間さくま良子りょうこの3人にんを並ならべて主演しゅえんにしたオムニバス映画えいがだが、当時とうじの藤ふじと小川おがわは新人しんじん扱あつかい。小川おがわは本ほん作さくで同性愛どうせいあいの女中じょちゅうを演えんじ、先輩せんぱい女優じょゆう・岸田きしだ今日子きょうことヌメヌメのレズ、折檻せっかんシーンなど体当たいあたり演技えんぎで、エランドール賞しょう新人しんじん賞しょうを受賞じゅしょうした。この演技えんぎにより中島なかじま貞夫さだおに惚ほれられ、佐久間さくまが下品げひんな芝居しばいをさせられて中島なかじまと絶交ぜっこうしたため「マル㊙シリーズ」第だい二に弾だん『続ぞく大奥おおおく㊙物語ものがたり』（1967年ねん）の単独たんどく主演しゅえんに大だい抜擢ばってきされた。しかし岡田おかだに「まだ裸はだかが足たりん!」と怒おこられ、これ以上いじょうはムリと東映とうえいを離はなれてフェロモン歌手かしゅとしてデビュー、その後ご、大だいスターとなった。藤ふじは本ほん作さくでの艶つや技わざに合格ごうかく点てんを出だされ、「マル㊙シリーズ」第だい三さん弾だん『尼寺あまでら㊙物語ものがたり』（1968年ねん）で初はつ主演しゅえんを果はたした。しかし同どう作品さくひんは思おもわぬ不入ふいりで、「藤ふじ純子じゅんこではダメか..」と撮影さつえい所しょにはそういう空気くうきが充満じゅうまんしていた矢先やさきに、やはり岡田おかだに東映とうえい初はつの女性じょせい任侠にんきょう映画えいが『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと』の主演しゅえんに抜擢ばってきされた。小川おがわが東映とうえいを退社たいしゃしていなければ『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと』は小川おがわだったかもしれない。

脚本きゃくほん

岡田おかだは最初さいしょ、監督かんとく・今井いまい正ただしと脚本きゃくほんは大御所おおごしょの八木やぎ保太郎やすたろうで企画きかくしていた。岡田おかだは東映とうえいの屋台骨やたいぼねの任侠にんきょう路線ろせんと並行へいこうして、新あたらしい芽めとなるエロチシズム路線ろせんを打うち出だす狙ねらいを持もち、「＜未知みちの世界せかい＞＜女おんなの世界せかい＞を覗のぞき見み」という発想はっそうから、将軍しょうぐん以外いがいの立たち入いりを許ゆるされない男子だんし禁制きんせいの女おんなの園えん、将軍しょうぐんのおたねを宿しゅくすことが最上さいじょうであるとする女おんなたちの権謀術数けんぼうじゅっすうの世界せかい、皆みなが知しらない大奥おおおくの秘密ひみつの部分ぶぶんを見みせ場ばに考かんがえていた。ところが、今井いまいと八木はちぼくはテレビでよくある歴史れきし物語ものがたりに仕上しあげようとし、岡田おかだの構想こうそうとはまるで違ちがった作品さくひんをイメージしていた。八木はちぼくに全面ぜんめん的てきに直なおして下くださいとお願ねがいしたが言いうことを聞きかないので頭あたまにきてこの二人ふたりを降おろし、一度いちど企画きかくを中止ちゅうしさせ、半年はんとし後ごに本ほん作さくのメンバーで再開さいかいさせた。脚本きゃくほんはチームを作つくり出来できを競きそわせ、中島なかじま貞夫さだおを監督かんとくに起用きよう、岡田おかだの懐刀ふところがたな・翁長おなが孝雄たかおに製作せいさくさせ、後ごの「東映とうえいエログロ路線ろせん」を決定けっていづけた。キャスティングの他ほか、オムニバス形式けいしきの構想こうそうも岡田おかだが出だし、脚本きゃくほんにもかなり指示しじを出だした。「宮中きゅうちゅう秘話ひわ」も着想ちゃくそうしたが取とりやめた。

撮影さつえい

衣装いしょう

岡田おかだの発想はっそうは「時代じだい劇げきの衣装いしょうを使つかってポルノを撮とる」であったが、時代じだい劇げき制作せいさくの本尊ほんぞん・東映とうえいと言いえど、それまでまともな女性じょせい時代じだい劇げきは作つくられたことはなく、女性じょせい物ぶつの衣装いしょうや道具どうぐ類るいは当時とうじ京きょう撮つまみにも多おおくはなかった。このため質量しつりょうともに改あらためて調達ちょうたつ、作品さくひんは一種いっしゅのコスチュームプレイ的てきな意味合いみあいを持もち、費用ひようは衣装いしょう費ひだけで3000万まん円えんかかったという。大奥おおおくを藤ふじ純子じゅんこ以下いか、女優じょゆうたちがぞろぞろ歩あるくシーンがあるが、全員ぜんいん打掛うちかけはほぼ初はじめてで、持もち方かたから、歩あるき方かたから全まったくできない。時代じだい劇げきのベテラン・山田やまだ五十鈴いすずがムンムンするセットの中なかで半日はんにちかけて出演しゅつえん女優じょゆうの歩あるき方かたの特訓とっくんをした。

美術びじゅつ

当時とうじは大奥おおおくの造つくりや作法さほう、衣装いしょうなど細部さいぶが書かかれた史料しりょうが極きわめて少すくなく、中島なかじまは京都きょうとの門跡もんぜきの尼寺あまでらに見当けんとうをつけた。大奥おおおくには御所ごしょからの嫁入よめいりがあり、そのときは女官にょかんがついてくるので、御所ごしょの習慣しゅうかんや作法さほうが大奥おおおくに多おおくの影響えいきょうを与あたえていて、その点てんでは、皇族こうぞく出だしの門跡もんぜきをいただく尼寺あまでらも同おなじに違ちがいないと予想よそうした。相手あいては尼寺あまでらで映画えいがの、それも「大奥おおおくもの」の参考さんこうにしたいというのでは、断ことわられることは目めに見みえていたので、取材しゅざい目的もくてきは美術びじゅつ研究けんきゅうで通とおした。中島なかじまは学生がくせい時代じだい、美学びがく美術びじゅつ史し専攻せんこうだったことが役やくに立たった。色々いろいろな情報じょうほうを集あつめることが出来できたが、大奥おおおくの女性じょせいたちが着きる打掛うちかけについては、結局けっきょく分わからず、当あて推量ずいりょうで決きめた。以来いらい、「大奥おおおくもの」は、本ほん作さくが衣装いしょうや小道具こどうぐのモデルになったといわれる。後年こうねん、中島なかじまがテレビの「大奥おおおくもの」を撮とったとき、衣装いしょうを少すこし変かえようとしたら、衣装いしょう部ぶから怒おこられたという。

映倫えいりんからのクレーム

本ほん作さくは愛欲あいよく描写びょうしゃで映倫えいりんからNGが続出ぞくしゅつした。第だい一いち話わの将軍しょうぐん・徳川とくがわ家宣いえのぶ（高橋たかはし昌也まさや）がおみの（藤ふじ純子じゅんこ）に満足まんぞくした回数かいすうを問とい質ただすくだりは、脚本きゃくほん内ない審しんの際さいに映倫えいりんから改訂かいていを要請ようせいされた。第だい二に話わで浦うら尾お（岸田きしだ今日子きょうこ）と篠しのの井い（小川おがわ知子ともこ）の大胆だいたんな同性愛どうせいあいシーンは映倫えいりんから数々かずかずの注意ちゅうい・改訂かいてい要請ようせいが出だされ、その一部いちぶが完成かんせい映画えいが審査しんさで切除せつじょされた。東映とうえいは映画えいが公開こうかい前まえに、こうした裸体らたい、性愛せいあい場面ばめんを通常つうじょうの写真しゃしんではなく台詞せりふや説明せつめい分ぶん付つきの"浮世絵うきよえ"スチールにしてマスコミ関係かんけいにばらまいた。どぎつい裸体らたい・性愛せいあい場面ばめんのスチール写真しゃしんに食傷しょくしょう気味ぎみだった関係かんけい者しゃにこの初はつの浮世絵うきよえ作戦さくせんは好評こうひょうを博はくした。

「大奥おおおくもの」と女性じょせい時代じだい劇げき

時代じだい劇げきの一部いちぶで登場とうじょうするのではなく、大奥おおおくを主おも舞台ぶたいとして、かつ女優じょゆうが主演しゅえんした最初さいしょの映画えいがとしては、1955年ねんの淡島あわしま千景ちかげ主演しゅえん、大庭おおば秀雄ひでお監督かんとくの松竹しょうちく『絵え島とう生島いくしま』や、1959年ねん新珠あらたま三千代みちよ主演しゅえん、安田やすだ公義きみよし監督かんとくの大映だいえい『千代田ちよだ城じょう炎上えんじょう』が挙あげられる。1950年代ねんだいから1960年代ねんだいまでの時代じだい劇げきは男性だんせい中心ちゅうしんのチャンバラものが圧倒的あっとうてきに主流しゅりゅうで、大奥おおおくはチャンバラより格かくの低ひくい、お女中じょちゅうが化ばけ猫ねこになって出でてくるような怪談かいだん映画えいがの舞台ぶたいになることが多おおかった。またこの時代じだいは女優じょゆうが主役しゅやくの時代じだい劇げきはそうした怪談かいだん映画えいがか、歌謡かようスターの映画えいがが多おおく、本格ほんかく的てきに女優じょゆうを主役しゅやくとした時代じだい劇げきは作つくられなかった。テレビドラマではこの『大奥おおおく㊙物語ものがたり』と同おなじ1967年ねん1月がつから4月がつまで放送ほうそうされた佐久間さくま良子りょうこ主演しゅえんのNET『徳川とくがわの夫人ふじんたち』が元祖がんそともいわれるが、これも岡田おかだが作つくらせた東映とうえいの製作せいさくで、テレビ局てれびきょくも「撮影さつえい所しょがえらいことを始はじめた」とびっくりしていたという。タイトルに「大奥おおおく」と名前なまえが冠かんされたのはこの『大奥おおおく㊙物語ものがたり』と、これをテレビドラマ化かした1968年ねんの関西かんさいテレビ/フジテレビ『大奥おおおく』がいずれも最初さいしょで、また前述ぜんじゅつの「大奥おおおくもの」は、主演しゅえんは女優じょゆうでも有名ゆうめい男優だんゆうも主役しゅやく級きゅうで出演しゅつえんしているが、『大奥おおおく㊙物語ものがたり』と、テレビドラマ『大奥おおおく』は、豪華ごうか女優じょゆう陣じんの競演きょうえんが話題わだいになったように、主演しゅえん級きゅうが全員ぜんいん女優じょゆうという点てんで「女性じょせい時代じだい劇げき」の元祖がんそといえ、今いまに通つうじる『大奥おおおく』の世界せかい観かんを作つくったといわれる。また映画えいがとテレビが連動れんどうしたのも、これが最初さいしょといわれる。映画えいがをベースに製作せいさくされたテレビドラマ『大奥おおおく』が最高さいこう視聴しちょう率りつ30%を突破とっぱする人気にんきシリーズとなり、視聴しちょう者しゃの大おおきな共感きょうかんを得えたことで「女性じょせい路線ろせん時代じだい劇げき」ブームを巻まき起おこし「大奥おおおくもの」は時代じだい劇げきの主流しゅりゅうジャンルとなっていった。本ほん作さくは今日きょう続つづく大奥おおおく物ぶつ（大奥おおおくに関かんする作品さくひんの一覧いちらん）、「女性じょせい時代じだい劇げき」の実質じっしつ的てき元祖がんそといえる。

後続こうぞく作品さくひんへの影響えいきょう

テレビドラマ『大奥おおおく』

京きょう撮つまみの大だいリストラのため人員じんいんをテレビや東映動画とうえいどうが（東映とうえいアニメーション）、劇場げきじょうなどの関連かんれん会社かいしゃに移動いどうさせていた岡田おかだは、同どう作さくを関西かんさいテレビに売うり込こみ、エロ部分ぶぶんを薄うすめ、大奥おおおくでの女おんなたちの激はげしい権力けんりょく争あらそいを中心ちゅうしんとした歴史れきし絵巻えまきに変更へんこう。本ほん作さくのテレビ化か作品さくひんとして、連続れんぞく時代じだい劇げきテレビドラマ『大奥おおおく』が翌よく1968年ねん、関西かんさいテレビと東映とうえいとの製作せいさくによりフジテレビ系列けいれつで放送ほうそうされた。テレビドラマ『大奥おおおく』は映画えいが版ばんのセットや衣装いしょう使つかい回まわしたものであったが、奥様おくさま族ぞくの人気にんきを集あつめて大だいヒットした。しかしそのエッセンスは全すべて映画えいが『大奥おおおく㊙物語ものがたり』に凝縮ぎょうしゅくされていた。以降いこう映画えいが・テレビ・舞台ぶたいに大奥おおおくブームが起おこり、現在げんざいも連綿れんめんと続つづく。この後のちも東映とうえいは、1983年ねん放送ほうそうの関西かんさいテレビ製作せいさく版ばん、2003年ねん-2005年ねん放送ほうそうのフジテレビ製作せいさく版ばん、2006年ねん公開こうかいの映画えいが版ばん、2007年ねん初演しょえんの舞台劇ぶたいげき版ばんも手掛てがけ、大奥おおおく物ぶつ製作せいさくをリードする。岡田おかだは大奥おおおく物ぶつ（大奥おおおくに関かんする作品さくひんの一覧いちらん）の実質じっしつ的てきな生うみの親おやでもある。

東映とうえいポルノの展開てんかい

本ほん作さくはレズシーンなどエロ要素ようそもあるが、女性じょせいの裸はだかがあるわけではない。東映とうえい専属せんぞく女優じょゆうで脱ぬぐのは三島みしまゆり子こぐらいしかいなかったためで、岡田おかだはこの後のちも『続ぞく大奥おおおく㊙物語ものがたり』や『尼寺あまでら㊙物語ものがたり』といった「マル秘ひシリーズ」を自みずからの発案はつあんで仕掛しかけていくがどちらも不入ふいりに終おわる。「中途半端ちゅうとはんぱなことしてたからアカンのや」と、敗因はいいんは裸はだかが少すくないからと分析ぶんせきし、回まわりの反対はんたいを押おし切きり、岡田おかだの右腕うわん・天尾てんのお完かん次じプロデューサーに「ピンク映画えいがの女優じょゆうを大量たいりょうに引ひき抜ぬいて来こい」と指示しじし、メジャー映画えいが会社かいしゃとして初はじめて、東映とうえい専属せんぞくではないピンク女優じょゆうを大量たいりょう投入とうにゅうして、石井いしい輝男てるおに撮とらせたのが1968年ねんの『徳川とくがわ女系じょけい図ず』であった。当時とうじは大蔵おおくら映画えいが、国くに映うつなどの独立どくりつプロがこうしたエロ映画えいがを製作せいさくしていて大手おおて五ご社しゃが手てを染そめることは大おおきな抵抗ていこう感かんがあったが、岡田おかだは易々いいと一線いっせんを越こえピンク路線ろせんに舵かじをきった。石井いしいは当時とうじ『網走あばしり番外地ばんがいちシリーズ』を手掛てがけていたが、もう飽あき飽あきしていて、「何なにか別べつの事ことをやらせてください」と岡田おかだの要請ようせいに応こたえた。　

詳細しょうさいは東映とうえいポルノを参照さんしょう

『徳川とくがわ女系じょけい図ず』は3000万まん円えんの製作せいさく費ひでたちまち一いち億おく円えん以上いじょう稼かせぎ、石井いしいはその後ごもヌード、セックスだけでなく、拷問ごうもん、処刑しょけい等ひとし、グロテスクな描写びょうしゃを取とり入いれ「異常いじょう性愛せいあい路線ろせん」としてエログロをエスカレートさせた。"岡田おかだチルドレン"鈴木すずき則のり文ぶん、内藤ないとう誠まこと、関本せきもと郁夫いくお、牧口まきぐち雄二ゆうじらもその流ながれに加くわわり、東映とうえいは多おおくのピンク映画えいがを量産りょうさんしていく。東映とうえいポルノはたくさんのジャンルのエロ映画えいがを量産りょうさんしたが、「エロ大奥おおおく」も1969年ねん『残酷ざんこく・異常いじょう・虐待ぎゃくたい物語ものがたり 元禄げんろく女系じょけい図ず』（石井いしい輝男てるお監督かんとく）、1972年ねん『徳川とくがわセックス禁止きんし令れい　色情しきじょう大名だいみょう』、『エロ将軍しょうぐんと二に十じゅう一いち人にんの愛妾あいしょう』（鈴木すずき則のり文ぶん監督かんとく）など、エロがパワーアップし興行こうぎょう的てきにも成功せいこうし、1977年ねん、関本せきもと郁夫いくお監督かんとくの『大奥おおおく浮世うきよ風呂ふろ』まで製作せいさくが続つづいた。一方いっぽう、テレビドラマ版ばん『大奥おおおく』が硬かたい内容ないようで女性じょせいに受うけたため、これと同おなじ1968年ねんに岡田おかだは『大奥おおおく絵巻えまき』という、出演しゅつえん者しゃは大体だいたい同おなじメンバーで硬かたい内容ないようの「大奥おおおくもの」を映画えいがで一本いっぽん制作せいさくしている。しかし興行こうぎょう的てきには今いまひとつで、硬かたい内容ないようの「大奥おおおくもの」映画えいがはこの後のちは製作せいさくしなかったが、テレビドラマでは『大奥おおおく』の後のち、『大坂おおさか城じょうの女おんな』（1970年ねん）、『徳川とくがわおんな絵巻えまき』（1970年ねん）と連作れんさくされ、これらは「大奥おおおくシリーズ3部ぶ作さく」と呼よばれた。 　

他社たしゃへの波及はきゅう

大手おおて映画えいが会社かいしゃである東映とうえいが成人せいじん映画えいがに参入さんにゅうしたことで、大映だいえい、松竹しょうちく、日活にっかつも追随ついずいした。『徳川とくがわ女系じょけい図ず』の大だいヒットの後のち、日活にっかつがまずお色気いろけ時代じだい劇げき『女おんな浮世うきよ風呂ふろ』（井田いだ探さがせ監督かんとく）を制作せいさくし大だいヒット、続つづけて『秘ひ帳ちょう　女おんな浮世草紙うきよぞうし』（井田いだ探さがせ監督かんとく）を制作せいさく。大映だいえいは1968年ねんの『秘録ひろくおんな牢ろう』（井上いのうえ昭あきら監督かんとく）から始はじまる残酷ざんこくエロチシズムを売うり物ものにした「おんな牢ろうもの」を連作れんさくした。また当時とうじの洋画ようがポルノ攻勢こうせいの影響えいきょうも相あいまって、大映だいえい『ある女子じょし高校こうこう医いの記録きろく 妊娠にんしん』（1968年ねん、弓削ゆげ太郎たろう監督かんとく）、大映だいえい『浮世絵うきよえ残酷ざんこく物語ものがたり』（1968年ねん、武智たけち鉄二てつじ監督かんとく）などのエロ映画えいがが量産りょうさんされ、日本にっぽん映画えいが界かいにセックス旋風せんぷうが吹ふき荒あれた。特とくに日活にっかつは一般いっぱん映画えいがの製作せいさくを中止ちゅうしし1971年ねん11月から、ポルノ映画えいがの制作せいさくのみとし「日活にっかつロマンポルノ」を開始かいしした。最初さいしょの作品さくひんは『団地だんち妻つま 昼下ひるさがりの情事じょうじ』と、『色いろ暦れき大奥おおおく秘話ひわ』で、「日活にっかつロマンポルノ」は"大奥おおおくもの"と"団地だんち妻つまもの"の両方りょうほうをシリーズ化かしている。この「日活にっかつロマンポルノ」の"大奥おおおくもの"は東映とうえいの「大奥おおおく㊙シリーズ」第だい二に弾だん『続ぞく・大奥おおおく㊙物語ものがたり』の、江戸城えどじょうの豪華ごうかなセットがいらないお手軽てがるな撮影さつえい法ほうをヒントにしたといわれる。「日活にっかつロマンポルノ」も『㊙女子大じょしだい生せい SEXアルバイト』『女高生じょこうせい100人にん㊙モーテル白書はくしょ』『㊙海女あまレポート 淫いん絶ぜっ』『㊙OL大奥おおおく物語ものがたり』など、「日活にっかつロマンポルノ」は最多さいたの32作品さくひんのタイトルに㊙を付つけた。大奥おおおく物ぶつはその後ごもエロ路線ろせんの定番ていばん企画きかくになった。大奥おおおく物ぶつ（大奥おおおくに関かんする作品さくひんの一覧いちらん）は、映画えいが、テレビや舞台ぶたいで作つくられる"女性じょせい同士どうしのバトルもの"と、"エロもの"の二ふたつに分わかれたといえる。岡田おかだが関与かんよした女性じょせい時代じだい劇げきは大奥おおおく物ぶつだけではない。前述ぜんじゅつした1964年ねんに中島なかじま貞夫さだおに『くノ一いち忍法にんぽう』を撮とらせているが、これは山田やまだ風かぜ太郎たろうの"エロ忍者にんじゃもの"の最初さいしょの映像えいぞう化かで、くノ一いち（女おんな忍者にんじゃ）を主役しゅやくとした最初さいしょ期きのものである。くノ一いちとタイトルに冠かんされた映像えいぞう作品さくひんはこれが最初さいしょ。くノ一いちが登場とうじょうする最初さいしょの映像えいぞう作品さくひんは、同おなじ東映とうえいの1963年ねん加藤かとう泰やすし監督かんとく『真田さなだ風雲ふううん録ろく』での渡辺わたなべ美佐子みさこ演えんじる"むささびの霧きり"といわれるが、これは主演しゅえん・中村なかむら錦之助きんのすけの他ほか、真田さなだ十じゅう勇士ゆうしの一人ひとりとして登場とうじょうするため主役しゅやくではない。『くノ一いち忍法にんぽう』は主役しゅやくも女優じょゆうである。女おんな忍者にんじゃを主人公しゅじんこうにした劇映画げきえいがやテレビドラマはこの後のち、単発たんぱつ的てきに作つくられているが（くノ一いち一いち）、1990年代ねんだい以降いこうにはオリジナルビデオとして多数たすう製作せいさくされた。またアダルトビデオ（DVD・BD）でもよく使つかわれるコンテンツである。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『東映とうえい京都きょうと・テレビ映画えいが25年ねん』東映とうえい京都きょうとスタジオ（東映太秦映画村とうえいうずまさえいがむら）、1982年ねん。 
• 山根やまね貞男さだお『官能かんのうのプログラム・ピクチュア ロマン・ポルノ1971-1982全ぜん映画えいが』フィルムアート社しゃ、1983年ねん。 
• 「映画えいが40年ねん全ぜん記録きろく」『キネマ旬報きねまじゅんぽう』1986年ねん2月がつ13日にち増刊ぞうかん号ごう。 
• 村井むらい実みのる・山根やまね貞男さだお『はだかの夢ゆめ年代ねんだい記き ぼくのピンク映画えいが史し』大和やまと書房しょぼう、1989年ねん。ISBN 4-479-39016-2。 
• 渡邊わたなべ達人たつひと『私わたしの東映とうえい30年ねん』1991年ねん。 
• 能のう村むら庸一よういち『実録じつろくテレビ時代じだい劇げき史しちゃんばらクロニクル1953-1998』東京とうきょう新聞しんぶん出版しゅっぱん局きょく、1999年ねん。ISBN 4-8083-0654-9。 
• 東映とうえい『クロニクル東映とうえい：1947-1991』 1巻かん、東映とうえい、1992年ねん。 
• 松島まつしま利行としゆき『風雲ふううん映画えいが城じょう』 下した、講談社こうだんしゃ、1992年ねん。ISBN 4-06-206226-7。 
• 石井いしい輝男てるお・福間ふくま健二けんじ『石井いしい輝男てるお映画えいが魂たましい』ワイズ出版しゅっぱん、1992年ねん。ISBN 4-948735-08-6。 
• 佐々木ささき康やすし『佐々木ささき康やすしの悔くいなしカチンコ人生じんせい』けやき出版しゅっぱん、1993年ねん。ISBN 4-905942-20-9。 
• 桑原くわばら稲いね敏さとし『切きられた猥褻わいせつ ー映倫えいりんカット史し』読売新聞社よみうりしんぶんしゃ、1993年ねん。ISBN 4-643-93082-9。 
• 『テレビドラマ全ぜん史し 1953-1994』東京ニュとうきょうにゅース通信社すつうしんしゃ、1994年ねん。 
• 沢辺さわべ有司ゆうじ『悪あく趣味しゅみ邦画ほうが劇場げきじょう〈映画えいが秘宝ひほう2〉』洋よう泉いずみ社しゃ、1995年ねん。ISBN 978-4896911701。 
• 杉作すぎさくJ太郎たろう・植うえ地ち毅あつし（編著へんちょ）『東映とうえいピンキー・バイオレンス浪漫ろうまんアルバム』徳間書店とくましょてん、1999年ねん。ISBN 4-19-861016-9。 
• 俊しゅん藤ふじ浩ひろし滋しげる・山根やまね貞男さだお『任侠にんきょう映画えいが伝でん』講談社こうだんしゃ、1999年ねん。ISBN 4-06-209594-7。 
• 松島まつしま利行としゆき『日活にっかつロマンポルノ全ちょん史ふみ —名作めいさく・名優めいゆう・名めい監督かんとくたち』講談社こうだんしゃ、2000年ねん。4-06-210528-4。 
• 岡田おかだ茂しげる『悔くいなきわが映画えいが人生じんせい：東映とうえいと、共ともに歩あゆんだ50年ねん』財界ざいかい研究所けんきゅうじょ、2001年ねん。ISBN 4-87932-016-1。 
• 「東映とうえい50周年しゅうねんと千せん年ねんの恋こいひかる源氏物語げんじものがたり」『キネマ旬報きねまじゅんぽう』2001年ねん12月がつ上旬じょうじゅん号ごう。 
• 笠原かさはら和夫かずお『映画えいがはやくざなり』新潮社しんちょうしゃ、2003年ねん。ISBN 978-4104609017。 
• 岡田おかだ茂しげる『波瀾万丈はらんばんじょうの映画えいが人生じんせい：岡田おかだ茂しげる自伝じでん』角川書店かどかわしょてん、2004年ねん。ISBN 4-04-883871-7。 
• 中島なかじま貞夫さだお『遊ゆう撃げきの美学びがく 映画えいが監督かんとく中島なかじま貞夫さだお』ワイズ出版しゅっぱん、2004年ねん。ISBN 4-89830-173-8。 
• 岡田おかだ茂しげる（東映とうえい・相談役そうだんやく）×福田ふくだ和也かずや「東映とうえいヤクザ映画えいがの時代じだい 『網走あばしり番外地ばんがいち』『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと』『仁義じんぎなき戦たたかい』の舞台裏ぶたいうらは」『オール読物よみもの』、文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、2006年ねん3月がつ。 
• 佐藤さとう忠男ただお（編へん）『日本にっぽんの映画えいが人じん：日本にっぽん映画えいがの創造そうぞう者しゃたち』日外にちがいアソシエーツ、2007年ねん。ISBN 978-4-8169-2035-6。 
• 「東映とうえい『大奥おおおく』シリーズ」『映画えいが秘宝ひほう』、洋よう泉いずみ社しゃ、2007年ねん8月がつ号ごう。 
• 春日かすが太一たいち「東映とうえい京都きょうと撮影さつえい所しょ60年ねん史し」『時代じだい劇げきマガジン （タツミムック）』l17、辰巳たつみ出版しゅっぱん、2008年ねん1月がつ1日にち。 
• 春日かすが太一たいち『時代じだい劇げきは死しなず!：京都きょうと太秦うずまさの「職人しょくにん」たち』集英社しゅうえいしゃ〈集英社しゅうえいしゃ新書しんしょ〉、2008年ねん。ISBN 978-4-08-720471-1。 
• 淡島あわしま千景ちかげ『淡島あわしま千景ちかげ 女優じょゆうというプリズム』青あお弓ゆみ社しゃ、2009年ねん。ISBN 978-4787272638。 
• 四方田よもだ犬いぬ彦・鷲谷わしや花はな『戦たたかう女おんなたち 日本にっぽん映画えいがの女性じょせいアクション』作品社さくひんしゃ、2009年ねん。ISBN 978-4-86182-256-8。 
• 「欲望よくぼうする映画えいが カツドウ屋や、岡田おかだ茂しげるの時代じだい」『キネマ旬報きねまじゅんぽう』2011年ねん7月がつ上旬じょうじゅん号ごう。 
• 「東映とうえい不良ふりょう性せい感度かんど映画えいがの世界せかい」『映画えいが秘宝ひほう』、洋よう泉いずみ社しゃ、2011年ねん8月がつ号ごう。 
• 文化ぶんか通信つうしん社しゃ『映画えいが界かいのドン 岡田おかだ茂しげるの活動かつどう屋や人生じんせい』文化ぶんか通信つうしん社しゃ、2012年ねん。ISBN 978-4-636-88519-4。 
• 日下部くさかべ五朗ごろう『シネマの極道ごくどう 映画えいがプロデューサー一いち代だい』新潮社しんちょうしゃ、2012年ねん。ISBN 978-4103332312。 
• 春日かすが太一たいち『仁義じんぎなき日本にっぽん沈没ちんぼつ 東宝とうほうVS.東映とうえいの戦後せんごサバイバル』新潮社しんちょうしゃ〈新潮しんちょう新書しんしょ〉、2012年ねん。ISBN 978-4-10-610459-6。 
• 春日かすが太一たいち『あかんやつら 東映とうえい京都きょうと撮影さつえい所しょ血ち風ふう録ろく』文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、2013年ねん。ISBN 4-1637-68-10-6。 
• 春日かすが太一たいち「特別とくべつ企画きかく 『現代げんだいの軍師ぐんし』16人にんの素顔すがお 知しられざるエピソードでつづる伝説でんせつの男おとこたち 翁長おなが孝雄たかお 『映画えいが界かいのドン・岡田おかだ茂しげる』を支ささえ続つづけた現場げんば力りょく」『文藝春秋ぶんげいしゅんじゅうspecial「日本にっぽんの軍師ぐんし100人にん」』第だい26巻かん、文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、2013年ねん・冬ふゆ。 
• 中島なかじま貞夫さだお「デイリースポーツ連載れんさい「中島なかじま貞夫さだお 傑作けっさく選せん劇場げきじょう」、デイリースポーツ、2014年ねん2月がつ18日にち。 
• 二階堂にかいどう卓也たくや『ピンク映画えいが史し』彩いろどり流りゅう社しゃ、2014年ねん。ISBN 978-4-7791-2029-9。 
• 桂かつら千穂ちほ・掛かけ札さつ昌裕まさひろ『エンタ・ムービー本当ほんとうに面白おもしろい時代じだい劇げき 1945-2015』メディアックス、2015年ねん。ISBN 978-4-86201-944-8。 
• 東映とうえいキネマ旬報きねまじゅんぽう 2011年ねん夏なつ号ごう Vol.17 | 電子でんしブックポータルサイト

関連かんれん項目こうもく

• 大奥おおおくに関かんする作品さくひんの一覧いちらん
• 雪ゆき夫人ふじん絵図えず

外部がいぶリンク

• 大奥おおおく㊙物語ものがたり - 日本にっぽん映画えいがデータベース
• 大奥おおおく㊙物語ものがたり - allcinema
• 大奥おおおく㊙物語ものがたり - KINENOTE
• 大奥おおおく㊙物語ものがたり - オールムービー（英語えいご）
• 大奥おおおく㊙物語ものがたり - IMDb（英語えいご）